JP3519303B2 - 単一磁束量子ディジタル素子 - Google Patents

単一磁束量子ディジタル素子

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JP3519303B2
JP3519303B2 JP04014199A JP4014199A JP3519303B2 JP 3519303 B2 JP3519303 B2 JP 3519303B2 JP 04014199 A JP04014199 A JP 04014199A JP 4014199 A JP4014199 A JP 4014199A JP 3519303 B2 JP3519303 B2 JP 3519303B2
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    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N60/00Superconducting devices
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    • Y10S977/932Specified use of nanostructure for electronic or optoelectronic application
    • Y10S977/936Specified use of nanostructure for electronic or optoelectronic application in a transistor or 3-terminal device
    • Y10S977/937Single electron transistor

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超伝導体からなるデ
ィジタル素子に係り、とりわけ単一磁束量子を利用した
単一磁束量子ディジタル素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、高速かつ低消費電力のディジ
タル素子として、超伝導体からなるジョセフソン素子が
知られている。ジョセフソン素子とは、図5に示すよう
に、2つの超伝導体21を薄い絶縁膜22を挟んでつな
げたものであり、超伝導の担い手であるクーパー対がト
ンネル効果により絶縁膜22を量子力学的に通過するよ
うになっている。このようなジョセフソン素子の動作原
理には大きく分けて、電圧状態ロジック(電圧型論理)
と、単一磁束量子ロジック(フラクソイド型論理)とが
ある。
【0003】このうち、電圧型論理とは、ジョセフソン
素子の電流−電圧特性に現れる強い非線形性を利用した
ロジックである。図6に示すように、ジョセフソン素子
においては、トンネル効果によりクーパー対が移動する
ので、ジョセフソン素子の電流−電圧特性には電圧ゼロ
の状態が現れる。図6において、電流が原点Oから増加
すると、まず、経路OAを辿り、電圧ゼロの超伝導電流
が流れる(超伝導状態)。ここで、ジョセフソン素子に
流れる超伝導電流の大きさには限界があるので、点A
(臨界電流値I0)で点Bの電圧状態に飛び、その後は
電圧が単調に増加して点Cに至る。これに対し、点Cの
電圧状態から電流を減少させると、経路CBDOを辿る
こととなり、電圧ゼロの状態は現れない(ヒステリシス
特性)。このため、ジョセフソン素子においては、最初
の状態としてジョセフソン素子に臨界電流値I0以下の
超伝導電流を流しておき、入力信号に対応してこの電流
を一時的に臨界電流値I0以上に増加させて電圧状態に
遷移させることにより、離散的な2つの論理状態を実現
することができる。なお、ジョセフソン素子において
は、電圧状態に一旦遷移すると、その後は入力信号を切
っても超伝導状態には戻らなくなる(ラッチング特
性)。
【0004】一方、フラクソイド型論理とは、ジョセフ
ソン素子の電流−位相特性に現れる非線形性を利用した
ロジックである。ジョセフソン素子においては、超伝導
電流の大きさIと位相差φとの間に次式(1)で表され
るような関係がある。なお、次式(1)において、I0
は超伝導電流の臨界電流値、φは絶縁体22の両側に位
置する超伝導体21,21の波動関数の位相差である。 I=I0sinφ … (1)
【0005】ところで、このようなジョセフソン素子に
流れる超伝導電流の大きさには限界があるので、電流の
大きさが一時的に臨界電流値I0を越えたときに位相状
態が瞬間的に遷移する。このため、ジョセフソン素子に
おいては、最初の状態としてジョセフソン素子に臨界電
流値I0以下の超伝導電流を流しておき、入力信号に対
応してこの電流を一時的に臨界電流値I0以上に増加さ
せて位相状態を遷移させることにより、離散的な2つの
論理状態を実現することができる。
【0006】なお、電圧型論理またはフラクソイド型論
理を実現するために、入力信号に対応して電流を一時的
に臨界電流値I0以上に増加させる方法としては、磁界
制御型(磁束結合型)と、電流制御型(直結型)とがあ
る。このうち、磁界制御型とは、ジョセフソン素子の近
傍に配置されたコイルに電流(入力電流)を流してジョ
セフソン素子に磁界をかけることにより、臨界電流値I
0を減少させる方法である。一方、電流制御型とは、ジ
ョセフソン素子に電流(入力電流)を直接注入すること
により、ジョセフソン素子に流れる電流を臨界電流値I
0以上にする方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、電圧
型論理またはフラクソイド型論理のジョセフソン素子に
おいては、入力信号に対応してジョセフソン素子に流れ
る電流を、磁界制御型または電流制御型の駆動方式によ
り一時的に臨界電流値I0以上に増加させることによ
り、離散的な2つの論理状態を実現することができる。
【0008】しかしながら、このようなジョセフソン素
子においては、磁界制御型または電流制御型のいずれの
駆動方式を採用するにしても次のような欠点がある。
【0009】すなわち、第1の欠点は、ジョセフソン素
子が2端子素子であるので、入力と出力との分離に特別
の工夫が必要となるということである。この欠点は、ジ
ョセフソン素子に入力電流を直接注入する電流制御型の
駆動方式において特に問題となり、この場合には入力と
出力との分離にはアイソレータ等の回路を用いるといっ
た特別の工夫が必要となる。これに対し、磁界制御型の
駆動方式においては、コイルに流した入力電流が全てグ
ラウンドに流れ込むので、単一のジョセフソン素子にお
ける入力と出力との分離は比較的とりやすいといえる。
しかしながら、コイルを配置するために広い面積が必要
となり、かつコイルに発生する磁界が隣のジョセフソン
素子に影響しないようコイルと他のジョセフソン素子と
の間隔をかなり広くとる必要があるので、集積度を上げ
ることが困難である。
【0010】また、第2の欠点は、入力信号を与える信
号源が電流であるので、現行の半導体素子とは異なる動
作方式が必要となり、特にファンアウトおよび負荷イン
ダクタンスの問題が生じるということである。
【0011】さらに、第3の欠点は、ジョセフソン素子
の電流−電圧特性にヒステリシス特性があるので、電圧
型論理のジョセフソン素子においてゼロ電圧への復帰が
必要になるということである。ゼロ電圧への復帰には交
流電源で駆動される回路を用いる方法の他、直流電源で
駆動される回路を用いる方法も提案されているが、これ
らの方法ではいずれも実装や回路速度等に多くの問題が
生じることが知られている。なお、ヒステリシス特性の
ないジョセフソン論理回路として1991年にLikharev
らによってRSFQ(Rapid Single-Flux-Quantum)論
理を用いたものが提案されているが、このRSFQ論理
によっても上述した第1および第2の欠点を解消するこ
とはできない。
【0012】本発明はこのような点を考慮してなされた
ものであり、上述した第1乃至第3の欠点を解消し、3
端子素子で集積度の向上を可能にするとともに、入出力
の信号源が電圧で、かつヒステリシス特性を持たないよ
うにして、現行の半導体素子と同様の回路設計を容易に
実現する高速かつ低消費電力の単一磁束量子ディジタル
素子を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、リング状に延
びる第1の超伝導線と、前記第1の超伝導線に接続され
た第2の超伝導線であって、前記第1の超伝導線により
形成される大リングを2つの小リングに分ける第2の超
伝導線と、前記第2の超伝導線を流れる超伝導電流を増
減させるためのスイッチング素子と、前記第1の超伝導
線上での超伝導電流の変化を検出するための検出素子と
を備え、前記2つの小リングは略同一の形状および面積
を有し、前記検出素子は前記第1の超伝導線と前記第2
の超伝導線との接続点に接続されていることを特徴とす
る単一磁束量子ディジタル素子を提供する。また、本発
明は、リング状に延びる第1の超伝導線と、前記第1の
超伝導線に接続された第2の超伝導線であって、前記第
1の超伝導線により形成される大リングを2つの小リン
グに分ける第2の超伝導線と、前記第2の超伝導線を流
れる超伝導電流を増減させるためのスイッチング素子
と、前記第1の超伝導線上での超伝導電流の変化を検出
するための検出素子とを備え、前記スイッチング素子は
前記第2の超伝導線を流れる超伝導電流を電圧の変化に
応じて増減させる電圧制御型素子であることを特徴とす
る単一磁束量子ディジタル素子を提供する。
【0014】本発明によれば、スイッチング素子によ
り、第2の超伝導線を流れる超伝導電流を増減させる
と、これに伴って、第1の超伝導線上の超伝導電流も増
減する。このため、この変化を検出素子の出力電圧の変
化として検出することにより、入力信号および出力信号
の間の関係を利用して論理回路や記憶回路等の基本ロジ
ックを実現することができる。特に、本発明の単一磁束
量子ディジタル素子は、3端子素子で集積度の向上を可
能にするとともに、入出力の信号源が電圧で、かつヒス
テリシス特性を持たないので、超伝導体からなるディジ
タル素子の高速性および低消費電力性といった特性を維
持しつつ、現行の半導体素子と同様の回路設計を容易に
実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1乃至図3は本発明によ
る単一磁束量子ディジタル素子の一実施の形態を示す図
である。
【0016】図1に示すように、単一磁束量子ディジタ
ル素子10は、リング状に延びる第1の超伝導線1a
と、第1の超伝導線1aに接続された第2の超伝導線1
bと、第2の超伝導線1bを流れる超伝導電流を増減さ
せるための超伝導単一電子トランジスタ(SET:Sing
le Electron Transistor)(スイッチング素子)2と、
第1の超伝導線1a上での超伝導電流の変化を検出する
ための微小トンネル接合素子(検出素子)5とを備えて
いる。
【0017】ここで、第1の超伝導線1aは経路ABC
DAに沿って延びる大リングを形成しており、この大リ
ングABCDAが第2の超伝導線1bにより2つの小リ
ングAEFDAおよびEBCFEに分けられるようにな
っている。なお、第1の超伝導線1aおよび第2の超伝
導線1bはいずれも磁場侵入深さより十分に細く、超伝
導流がその断面を一様に流れるようになっている。ま
た、2つの小リングAEFDAおよびEBCFEは略同
一の形状および面積を有しており、検出素子である微小
トンネル接合素子5は第1の超伝導線1aと第2の超伝
導線1bとの接続点Eに接続されている。
【0018】また、超伝導単一電子トランジスタ2は単
一電子帯電効果を利用したスイッチング素子であり、第
2の超伝導線1bを流れる超伝導電流を電圧の変化に応
じて増減させる電圧制御型素子である。具体的には、超
伝導単一電子トランジスタ2は、一対の超伝導二重微小
トンネル接合素子3a,3bと、これら超伝導二重微小
トンネル接合素子3a,3bの近傍に配置されたゲート
電極4とを有し、ゲート電極4のゲート電圧Vinを変化
させることにより、超伝導二重微小トンネル接合素子3
a,3bすなわち第2の超伝導線1bを流れる超伝導電
流を増減させることができるようになっている。なお、
各微小トンネル接合素子3a,3bは、2つの超伝導体
を絶縁膜を挟んでつなげたものである。
【0019】図2は超伝導単一電子トランジスタ2の基
本特性を示す図である。図2に示すように、超伝導単一
電子トランジスタ2の超伝導二重微小トンネル接合素子
3a,3bにおける超伝導電流の臨界電流値(超伝導臨
界電流)はゲート電極4のゲート電圧Vinに応じて振動
するので、この特性を利用して第2の超伝導線1bを流
れる超伝導電流を増減させることができる。
【0020】一方、微小トンネル接合素子5は、第1の
超伝導線1a上での超伝導電流の変化を電圧の変化とし
て検出するものである。具体的には、微小トンネル接合
素子5は、その一端に第1の超伝導線1aの点Eに接続
されるとともに、その他端には10pA程度以上の微少
なバイアス電流が流れ込むようになっており、第1の超
伝導線1a上での超伝導電流の変化を微小トンネル接合
素子5の出力電圧Vou tの変化として検出することがで
きるようになっている。なお、微小トンネル接合素子5
は、リングと金属電極(超伝導体または常伝導体のいず
れでもよい)とを絶縁体を挟んでつないだものであり、
その電気抵抗値は量子抵抗値6.4kΩよりも十分大き
く設定されている。
【0021】次に、図1により、このような構成からな
る本実施の形態の作用について説明する。
【0022】初期状態として、印加磁場がゼロで、小リ
ングAEFDAのフラクソイド数が1、小リングEBC
FEのフラクソイド数が0であるものとする。この初期
状態では、小リングAEFDA内に磁束の中心が位置
し、超伝導電流が小リングAEFDAとともに大リング
ABCDAにも流れた状態となる。すなわち、図1に示
すように、経路FDAEには超伝導電流I1+I2が流れ
るとともに、経路E−(1b)−Fには超伝導電流I1
が流れ、経路EBCFには超伝導電流I2が流れた状態
となる。
【0023】ここで、超伝導単一電子トランジスタ2の
ゲート電極4のゲート電圧Vinを変化させると、第2の
超伝導線1bを流れる超伝導電流I1が増減し、これに
伴って、微小トンネル接合素子5が接続されている点E
の超伝導電流I1+I2も増減する。この変化は微小トン
ネル接合素子5において超伝導エネルギーギャップの変
化として検出されるので、超伝導エネルギーギャップの
変化に非常に敏感な微小トンネル接合素子5の出力電圧
outの変化を検出することにより、入力信号(ゲート
電圧Vin)と出力信号(出力電圧Vout)との間の関係
を利用して論理回路や記憶回路等の基本ロジックを実現
することができる。
【0024】なお、超伝導エネルギーギャップは、超伝
導線に流れる超伝導電流が増加するにつれて減少すると
いう性質があるので、出力電圧Voutの大小に基づいて
超伝導電流の大小を判別することができる。
【0025】図3(a)(b)は超伝導電流による超伝
導エネルギーギャップの変化を確かめるために行った実
験結果を示す図である。図3(a)は実験で用いられた
アルミニウムからなる超伝導リングの寸法を示し、図3
(b)は図3(a)に示す超伝導リングを2つの微小ト
ンネル接合素子の間に配置して一定電流(100pA)
を流したときの実験結果のうち、印加磁場に対する電圧
の変化をフラクソイド数n=0の場合につき示したもの
である。図3(b)に示すように、磁場とともにリング
を流れる超伝導電流が増加すると、電圧は減少すること
が分かる。
【0026】ここで、一例として、超伝導単一電子トラ
ンジスタ2のゲート電極4のゲート電圧Vinの変化によ
って、超伝導二重微小トンネル接合素子3a,3bにお
ける超伝導電流の臨界電流値(超伝導臨界電流)I0
次式(2)のように2つの値をとる場合を考える。次式
(2)において、Φ0は磁束量子、aは超伝導線の断面
積、Λはロンドン定数、Lは経路の長さである。なお、
第1の超伝導線1aおよび第2の超伝導線1bの各辺の
長さが全てLであるものとする(AE=EB=BC=C
F=FD=DA=EF=L)。また、簡単化のために、
超伝導線を流れる循環電流の作る磁束(自己磁束)が無
視できる場合を考える。
【数1】
【0027】ここで、次式(3)のフラクソイド量子化
の条件を図1に示すABCDAの経路とAEFDAの経
路にそれぞれ適用すると、
【数2】 次式(4)(5)の関係が得られる。なお、上式(3)
において、Jsは超伝導電流密度、nはフラクソイド
数、θは超伝導二重微小トンネル接合素子の両端の位相
差(ただし、積分路に超伝導二重微小トンネル接合素子
がない場合はθ=0とおく)である。
【数3】
【0028】ここで、I0、I1およびθの間には次式
(6)の関係が成り立つ。 I1=I0 sinθ …(6)
【0029】従って、上式(4)(5)(6)から、超
伝導臨界電流I0がI0=C1である場合には、θとI1
2とが次式(7)のように求められる。
【数4】
【0030】また、超伝導臨界電流I0がI0=C2であ
る場合には、θとI1+I2とが次式(8)のように求め
られる。
【数5】
【0031】上式(7)(8)から分かるように、超伝
導単一電子トランジスタ2の超伝導臨界電流I0の増減
に対応して、微小トンネル接合素子5が接続されている
点Eの超伝導電流I1+I2が増減する。
【0032】NOTゲート ここで、超伝導単一電子トランジスタ2の超伝導臨界電
流−ゲート電圧Vinの特性上で、図4(a)に示すよう
に、臨界電流が増加する線上に動作点“0”、“1”を
おくと(動作点“0”のゲート電圧は動作点“1”のゲ
ート電圧より小さいものとする)、上述した計算例から
分るように、次のような動作が可能である。なお、動作
点“0”、“1”は、臨界電流が増加する線上に位置し
ていればよく、図4(a)に示す極小点、極大点以外の
任意の位置をとることが可能である。
【0033】ゲート電圧Vin小(“0”)→I0小→点
Eの電流小→出力電圧Vout大 ゲート電圧Vin大(“1”)→I0大→点Eの電流大→
出力電圧Vout小 従って、微小トンネル接合素子5の出力電圧Voutの最
小値を“0”、最大値を“1”とすることにより、入力
信号(ゲート電圧Vin)と出力信号(出力電圧Vout
との間に否定論理の関係を成立させることができ、単一
磁束量子ディジタル素子10を否定論理ゲート(NOT
ゲート)として動作させることが可能となる。
【0034】バッファ これに対し、図4(b)に示すように、臨界電流が減少
する線上に動作点“0”、“1”をおくと、以下のよう
な動作が可能である。なお、動作点“0”、“1”は、
臨界電流が減少する線上に位置していればよく、図4
(b)に示す極大点、極小点以外の任意の位置をとるこ
とが可能である。 ゲート電圧Vin小(“0”)→I0大→点Eの電流大→
出力電圧Vout小 ゲート電圧Vin大(“1”)→I0小→点Eの電流小→
出力電圧Vout
【0035】従って、微小トンネル接合素子5の出力電
圧Voutの最小値を“0”、最大値を“1”とすること
により、入力信号(ゲート電圧Vin)と出力信号(出力
電圧Vout)との間に対応関係を成立させることがで
き、単一磁束量子ディジタル素子10をバッファとして
動作させることが可能となる。
【0036】なお、図4(a)(b)に示す動作点
“0”に対応するゲート電圧Vinは、ゲート電極4の他
に別の補助ゲート電極6(図1参照)を設けることによ
り容易に設定および変更することができる。
【0037】また、単一磁束量子ディジタル素子10の
適用対象は上述したようなNOTゲートやバッファに限
られるものではなく、ANDゲート、ORゲート、NA
NDゲート、およびNORゲート等のその他の論理ゲー
トについても適用することが可能である。
【0038】このように本実施の形態によれば、超伝導
単一電子トランジスタ2のゲート電極4のゲート電圧V
inを変化させると、第2の超伝導線1bを流れる超伝導
電流I1が増減し、これに伴って、微小トンネル接合素
子5が接続されている点Eの超伝導電流I1+I2も増減
する。このため、この変化を微小トンネル接合素子5の
出力電圧Voutの変化として検出することにより、入力
信号(ゲート電圧Vin)および出力信号(出力電圧V
out)の間の関係を利用して論理回路や記憶回路等の基
本ロジックを実現することができる。特に、本実施の形
態の単一磁束量子ディジタル素子10は、3端子素子で
集積度の向上を可能にするとともに、入出力の信号源が
電圧で、かつヒステリシス特性を持たないので、超伝導
体からなるディジタル素子の高速性および低消費電力性
といった特性を維持しつつ、現行の半導体素子と同様の
回路設計を容易に実現することができる。
【0039】また本実施の形態によれば、2つの小リン
グAEFDAおよびEBCFEが略同一の形状および面
積を有するとともに、検出素子である微小トンネル接合
素子5が第1の超伝導線1aと第2の超伝導線1bとの
接続点Eに接続されているので、入力電圧であるゲート
電圧Vinが一定であれば、素子の対称性により、小リン
グAEFDAと小リングEBCFEのどちらのフラクソ
イド数が1となっても出力電圧Voutを一定に保つこと
ができる。このため、高温状態で磁束量子の捕捉状態が
変化するような場合でも、安定な動作を実現することが
できる。
【0040】なお、上述した実施の形態においては、ス
イッチング素子として超伝導単一電子トランジスタ2を
用いているが、これに限らず、ジョセフソン電界効果ト
ランジスタやMIS電界効果トランジスタ等の各種の電
圧制御型素子を用いることができる。ここで、第1の超
伝導線1aおよび第2の超伝導線1bを流れる超伝導電
流は、超伝導体の材質、断面の形状、およびリングの面
積に依存するので、超伝導電流の増減(スイッチング)
に対応して出力信号を大きく変化させるためには、スイ
ッチングの振幅が超伝導線を流れる超伝導電流と同程度
であることが必要となる。超伝導単一電子トランジスタ
では、その振幅はせいぜい10nAのオーダーであるこ
とが分かっているが、ジョセフソン電界効果トランジス
タやMIS電界効果素子といった他の電圧制御型のスイ
ッチング素子を用いた場合には、振幅をさらに大きくす
ることが可能である。従って、リングの特性によって、
スイッチング素子の種類や特性を選択することが好まし
い。
【0041】また、上述した実施の形態においては、2
つの小リングAEFDAおよびEBCFEを略同一の形
状および面積としているが、面積の大きい小リングに磁
束量子を安定に捕捉可能であれば、例えば、小リングA
EFDAの面積を小リングEBCFEの面積よりも大き
くし、面積の大きな小リングAEFDAで磁束量子を常
時捕捉するようにしてもよい。なお、この場合には、素
子の対称性が問題とならないことから、微小トンネル接
合素子5は第1の超伝導線1a上の任意の位置に接続す
ることができる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、超
伝導体からなるディジタル素子の高速性および低消費電
力性といった特性を維持しつつ、現行の半導体素子と同
様の回路設計を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による単一磁束量子ディジタル素子の一
実施の形態を示す図。
【図2】図1に示す単一磁束量子ディジタル素子で用い
られる超伝導単一電子トランジスタの基本特性を示す
図。
【図3】アルミニウムからなる超伝導リングにおける電
圧−印加磁場特性を示す図。
【図4】図1に示す単一磁束量子ディジタル素子でNO
Tゲートおよびバッファを実現する場合のゲート電圧の
設定例を説明するための図。
【図5】ジョセフソン素子を示す図。
【図6】ジョセフソン素子の電流−電圧特性を示す図。
【符号の説明】
1a,1b 超伝導線 2 超伝導単一電子トランジスタ 3a,3b 超伝導二重微小トンネル接合素子 4 ゲート電極 5 微小トンネル接合素子 6 補助ゲート電極 10 単一磁束量子ディジタル素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅 野 卓 雄 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (56)参考文献 特開 昭59−139728(JP,A) 特開 昭60−170275(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03K 19/195 ZAA H01L 39/22 ZAA

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リング状に延びる第1の超伝導線と、 前記第1の超伝導線に接続された第2の超伝導線であっ
    て、前記第1の超伝導線により形成される大リングを2
    つの小リングに分ける第2の超伝導線と、 前記第2の超伝導線を流れる超伝導電流を増減させるた
    めのスイッチング素子と、 前記第1の超伝導線上での超伝導電流の変化を検出する
    ための検出素子とを備え、 前記2つの小リングは略同一の形状および面積を有し、
    前記検出素子は前記第1の超伝導線と前記第2の超伝導
    線との接続点に接続されていることを特徴とする単一磁
    束量子ディジタル素子。
  2. 【請求項2】前記検出素子は微小トンネル接合素子であ
    り、前記第1の超伝導線上での超伝導電流の変化を電圧
    の変化として検出することを特徴とする請求項1記載の
    単一磁束量子ディジタル素子。
  3. 【請求項3】リング状に延びる第1の超伝導線と、 前記第1の超伝導線に接続された第2の超伝導線であっ
    て、前記第1の超伝導線により形成される大リングを2
    つの小リングに分ける第2の超伝導線と、 前記第2の超伝導線を流れる超伝導電流を増減させるた
    めのスイッチング素子と、 前記第1の超伝導線上での超伝導電流の変化を検出する
    ための検出素子とを備え、 前記スイッチング素子は前記第2の超伝導線を流れる超
    伝導電流を電圧の変化に応じて増減させる電圧制御型素
    子であることを特徴とする単一磁束量子ディジタル素
    子。
  4. 【請求項4】前記電圧制御型素子は超伝導単一電子トラ
    ンジスタであり、この超伝導単一電子トランジスタのゲ
    ート電極の電圧を変化させることにより、前記第2の超
    伝導線を流れる超伝導電流を増減させることを特徴とす
    る請求項3記載の単一磁束量子ディジタル素子。
  5. 【請求項5】前記検出素子は微小トンネル接合素子であ
    り、前記第1の超伝導線上での超伝導電流の変化を電圧
    の変化として検出することを特徴とする請求項3又は4
    記載の単一磁束量子ディジタル素子。
  6. 【請求項6】前記2つの小リングは略同一の形状および
    面積を有し、前記検出素子は前記第1の超伝導線と前記
    第2の超伝導線との接続点に接続されていることを特徴
    とする請求項3乃至5のいずれか記載の単一磁束量子デ
    ィジタル素子。
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