JP3517649B2 - 電子源の製造方法 - Google Patents

電子源の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子源の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては熱電子源と
冷陰極電子源との2種類が知られている。冷陰極電子源
には電界放出型(以下、FE型と略す)、金属/絶縁層
/金属型(以下、MIM型と略す)や表面伝導型電子放
出素子(以下、SCEと略す)等がある。FE型の例と
しては、W.P.Dyke & W.W.Dolan、“Field emission”,
Advance in Electron Physics, 8,89(1956)あるいは、
C.A.Spindt, “PHYSICAL Properties of thin-film fie
ld emission cathodes with molbdeniumcones”, J.App
l. Phys., 47,5248(1976) 等が知られている。
【0003】MIM型の例としては、C.A.Mead,“The T
unnel-emission amplifier, J.Appl.Phys., 32,646(196
1)等が知られている。SCE型の例としては、M.I.Elin
son, Radio Eng.Electron Pys.,10,(1965) 等がある。
【0004】SCE型は、基板上に形成された小面積の
薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより電子放出が
生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型電子
放出素子としては、前記エリンソン等によるSnO2薄
膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:“Th
in Solid Films”,9,317(1972)]、In203/SnO2
薄膜によるもの,[M.Hartwell and C.G.Fonstad: “IEE
E Trans.ED Conf. ”,519(1975)] 、カーボン薄膜によ
るもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22頁
(1983)]等が報告されている。
【0005】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として、前述のM.ハートウェルの素子構成
を図1に示す。同図において1は絶縁性基板である。2
は電子放出部形成用薄膜で、H型形状のパターンに、ス
パッタで形成された金属酸化物薄膜などからなり、後述
のフォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部3
が形成される。4は電子放出部を含む薄膜と呼ぶことに
する。尚、図中の素子電極間隔Lは、0.5 〜1mm、Wは
0.1 mmで設定されている。尚、電子放出部3の位置及び
形状については、不明であるので模式図として表した。
【0006】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に電子放出部形成用薄膜2
に対して、予めフォーミングと呼ばれる通電処理によっ
て電子放出部3を形成するのが一般的であった。即ち、
フォーミングとは前記電子放出部形成用薄膜2の両端に
直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧、例えば
1V/分程度を印加通電し、電子放出部形成用薄膜2を
局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵
抗な状態にした電子放出部3を形成することである。
尚、電子放出部3は電子放出部形成用薄膜2の一部に亀
裂が発生し、その亀裂付近から電子放出が行われる。以
下、フォーミングにより形成した電子放出部を含む電子
放出部形成用薄膜2を、電子放出部を含む薄膜4と呼
ぶ。前記フォーミング処理をした表面伝導型電子放出素
子は、上述電子放出部を含む薄膜4に電圧を印加し、素
子に電流を流すことにより、上述電子放出部3より電子
を放出せしめるものである。しかしながら、これら従来
の表面伝導型電子放出素子においては、実用化にあたっ
ては様々の問題があったが、本出願人は、後述する様な
様々な改善を鋭意施し、実用化上の様々な問題点を解決
してきた。
【0007】上述の表面伝導型放出素子は、構造が単純
で製造も容易であることから、大面積に亙り多数の素子
を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を生か
せるようないろいろな応用が研究されている。例えば、
荷電ビーム源、表示装置等があげられる。多数の表面伝
導型放出素子を配列形成した例としては、後述する様
に、梯型配置と呼ぶ並列に表面伝導型電子放出素子を配
列し、個々の素子の両端を配線(共通配線とも呼ぶ)に
てそれぞれ結線した行を多数行配列した電子源があげら
れる(例えば、本出願人の特開平1−031332)。また、
特に表示装置等の画像形成装置においては、近年、液晶
を用いた平板型表示装置が、CRTに代わって普及して
きたが、自発光型でないため、バックライト等を持たな
ければならない等の問題点があり、自発光型の表示装置
の開発が望まれてきた。表面伝導型放出素子を多数配置
した電子源と、電子源より放出された電子によって可視
光を発光せしめる蛍光体とを組み合わせた表示装置であ
る画像形成装置は、大画面の装置でも比較的容易に製造
でき、かつ表示品位の優れた自発光型表示装置である
(例えば、本出願人のUSP5066883)
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
多数の表面伝導型電子放出素子を基板上に設置した電子
源、及びそれを用いた画像形成装置の製造方法、特に
は、前述のフォーミング工程に由来する次のような問題
点があった。
【0008】画像形成装置において、高品位な映像を得
るため必要な電子放出素子数は非常に多くなり、電子放
出素子を製造する際のフォーミング工程において、上記
複数の表面伝導型電子放出素子を結び、外部電源から電
力を各素子に供給する配線(これを共通配線と呼ぶ)を
流れる電流は大きなものとなる。その結果以下のような
不都合が生じた。
【0009】(1)共通配線の抵抗で生じる電圧降下の
ため各素子ごとに印加される素子印加電圧に勾配が発生
し、フォーミング工程での素子印加電圧に差異を生ずる
ために、形成される電子放出部も変化し、素子特性が不
均一となる。
【0010】(2)フォーミング工程を共通配線を利用
した通電で行うため、通電による配線での電力が熱とし
て消費され、基板上に温度の分布を発生させる。これは
各部の素子温度に分布を与えてしまい、形成される電子
放出部も変化し、素子ごとの特性のバラツキが生じやす
い。
【0011】(3)電子放出部の形成を配線を利用した
通電で行うため、通電による配線での電力が熱として消
費され、基板に熱ダメージを与え、衝撃に対する強度を
低下させる。
【0012】以下、これらの問題点を、複数の電子放出
素子の基板上での配置を前述の梯型配置で説明するが、
後述の単純マトリクス配置でも、後述する様に、同様の
問題が生ずる。
【0013】上述(1)の問題に関し、更に詳しく説明
するため図3、図4を示す。図3(a),図4(a)は
電子放出素子と配線抵抗及び電源を含む等価回路図であ
り、図3(b),図4(b)は、各素子の高電位側と低
電位側の電位を示す図であり、図3(c),図4(c)
は、各素子の高電位側と低電位側の電位の差電圧、即ち
素子印加電圧を示す図である。
【0014】図3(a)は、並列接続されたN個の電子
放出素子D1−DNと電源VEを配線端子TH,TLを通し
て接続した回路を示すもので、電源と素子D1を、また
電源のグランドと素子DNを接続したものである。ま
た、各素子を並列に結ぶ共通配線は、図に示すように隣
接する素子間で、rの抵抗成分を有するものとする(画
像形成装置では、電子線のターゲットとなる画素は、通
常、等ピッチで配列されている。従って、電子放出素子
も空間的に等間隔をもって配列されており、これらを結
ぶ配線は幅や膜厚が製造上ばらつかない限り、素子間で
ほぼ等しい抵抗値を持つ)。また、電子放出素子D1−
DNは、ほぼ等しい抵抗値Rdを有するものとする。図3
(c)から明らかなように、図3(a)のような回路の
場合には、両端の素子(D1及びDN)に近い程大きな電
圧が印加され、中央部付近の素子では印加電圧が低くな
る。
【0015】一方、図4に示すのは、並列接続された素
子列の片側(本図では素子D1側)に電源の正負極を接
続した場合である。各素子に印加される電圧は、図4
(c)に示すようにD1に近い程大きなものとなる。
【0016】以上二つの例で示したような素子毎の印加
電圧のばらつきの程度は、並列接続される素子の総数N
や、素子抵抗Rdと配線抵抗rの比(=Rd/r)や、あ
るいは、電源の接続位置により異なるが、一般にはNが
大きい程、Rd/rが小さい程ばらつきは顕著となり、
また、前記図3よりも図4の接続方法の方が、素子に印
加される電圧のばらつきが大きい。また、上記二つの例
とは異なるが、図5に示すような単純マトリクス配線に
おいても、配線抵抗rx及びryで生じる電圧降下によ
り、各素子毎の印加電圧にばらつきが生じる。以上説明
したように、複数の素子を共通配線で接続する場合、素
子抵抗Rdに対して配線抵抗を十分小さくしないと、素
子毎の印加電圧がばらつくことになる。
【0017】一方、発明者らが鋭意検討した結果、電子
放出素子の電子放出部を形成する過程のフォーミングを
行う場合、電子放出部を形成するための、電圧あるい
は、電力は、素子の形状即ち、図1の電子放出部形成用
薄膜2の材料、膜厚、およびW,Lなどの形状が同じで
あれば、同じ電圧あるいは電力でフォーミングされる。
この素子固有の電圧あるいは、電力をそれぞれ、素子の
フォーミング電圧Vform,フォーミング電力Pformと呼
ぶ。このVformあるいはPformより極度に高電圧、高電
力を素子に与えてフォーミング工程を行うと、素子の電
子放出部の形態的変化が極度に起こり、電子放出特性が
劣化し、それ以下であると、当然のことながら、電子放
出部が形成されないことがわかった。
【0018】他方、前述した様に、共通配線で結線され
た複数の素子を、同時に外部の電源より、共通配線を通
じた電圧供給でフォーミング工程を行う場合、配線での
電圧降下により、各素子への素子印加電圧に差異が生
じ、素子印加電圧が前述のフォーミング電圧Vform、フ
ォーミング電力Pformより過剰の電圧、電力が印加され
る素子が発生する。これらの素子の電子放出部が劣化
し、複数の素子の電子放出特性が大きくばらつくことが
定性的にわかる。尚、定量的取扱については、後述の実
施態様に述べる。
【0019】従って、フォーミング工程での素子印加電
圧のばらつきを防止するためには、複数の素子を結線
し、電源まで導く共通配線は、低抵抗な配線とする必要
が生ずる。また、共通配線に結線された素子数の増加に
伴い、その配線への要求は、さらに厳しいものとなる。
これは、電子源および画像形成装置の構造設計や製造プ
ロセスの自由度に大幅な制限を付加することになり、し
いては高価な装置になってしまう。
【0020】次に上記(2)(3)の問題点について更
に詳しく説明する。
【0021】フォーミングでは、素子に通電により電子
放出部を形成するのであるが、共通配線、および素子で
は、通電により電力が消費され、ジュール熱に変換さ
れ、基板温度の上昇を伴う、一方、素子の電子放出部形
成の際の形態的変化は、温度の影響も受けやすい。従っ
て、基板温度のばらつきや変動は、素子の電子放出特定
に影響を与えることになる。特に複数の素子を配置した
電子源および画像形成装置においては、同時にフォーミ
ングを行う素子数の増加をともない、前述の共通配線で
の電圧降下によるばらつきだけでなく、問題が大きくな
る。例えば、基板の中央部と、熱の逃げが存在する端部
とで基板の上昇温度に分布が発生し、中央部の温度が端
部より上昇してしまい、電子放出特性のばらつきを生ず
ることとなる。結果として、各素子の電子放出特性のば
らつきにより、画像形成装置にした場合は輝度に差が出
るなどの不都合が起きてしまい、画像品位が低下する。
【0022】また同時に、これら発生した熱は、基板に
対して熱的衝撃あるいは歪を与え、特に、真空装置とし
た画像形成装置で、大気の圧力に耐える容器構造とした
場合には破損などの安全性の問題を生ずる。
【0023】以上のような問題により、更には以下の不
都合が発生する。
【0024】(1)共通配線することが可能な素子の数
が事実上、制限されてしまう。
【0025】(2)配線抵抗を低くするために、Auや
Agなど比較的高価な材料を使用する必要が生じ、原材
料費が上昇する。
【0026】(3)配線抵抗を低くするために配線電極
を厚く形成する必要が生じ、電極の形成やパターニング
といった製造プロセスに要する時間や装置設備の値段を
増大させる。
【0027】本発明の目的は、フォーミング中における
電子放出部形成用薄膜への電圧、電流の回り込みを防止
して、配線による電圧降下によるフォーミング電圧或は
電力の分布を減少して特性のバラツキをなくして電子源
を作成するようにした電子源の製造方法を提供すること
にある。
【0028】また本発明の他の目的は、製造の歩留まり
を改良した電子源とその製造方法を提供することにあ
る。
【0029】更に本発明の他の目的は、配線抵抗を低く
するために配線電極を厚くするなどの必要が無く、製造
プロセスに要する時間を短縮できる電子源の製造方法を
提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の電子源の製造方法は以下のような工程を備え
る。即ち、基体上に配置され、配線により結線された複
数の表面伝導型電子放出素子を有する電子源の製造方法
において、前記表面伝導型電子放出素子の電子放出部の
形成工程は、複数の電子放出部形成用薄膜が接続された
単一の配線上で、かつ前記電子放出部形成用薄膜間を含
む複数箇所に電気的接続手段を接続し、前記電気的接続
手段から前記電子放出部形成用薄膜に通電する工程を有
することを特徴とする。
【0031】また本発明の電子源は、本発明の製造方法
により製造された複数の表面伝導型電子放出素子を有す
る。
【0032】本発明は、複数の電子放出素子を基板上に
配置した電子源製造方法において、複数の電子放出素
子の電子放出部を形成するフォーミング工程で、配線以
外の電気的接続手段を用いることで配線を流れる電流値
を小さくしたものであり、上記問題点を解決した複数の
電子放出素子からなる電子源及び画像形成装置を提供す
るものである。以下にその手段を具体的に述べる。
【0033】A.所望の部分の素子群にのみ電圧が印加
され、それ以外の素子群に電圧が印加されないように外
部給電機構を設ける。
【0034】B.所望の部分の素子群がフォーミングさ
れる際、各素子がほぼ同じ電圧、あるいは同じ電力でフ
ォーミングされるような機構を設ける。
【0035】上記Aに関し、具体的な手段としては以下
の方法を説明する。
【0036】A−1.行列状に縦横に並んだ単純なマト
リクス配線でそれぞれ結線された電子放出素子を具備し
た構成において、少なくとも1本以上の行の配線に電位
V1、それ以外の行の配線にV1とは異なる電位V2を
印加し、すべての列配線には電位V2を印加してフォー
ミングを行う。それを繰返す。
【0037】更に、行方向と列方向に並んだ素子数をN
X,Ny,各方向の1素子あたりの配線抵抗をrx,ryと
し、 (Nx×Nx−aNx)×rx≦(Ny×Ny−aNy)×ry
ならx方向にフォーミングする (Nx×Nx−aNx)×rx>(Ny×Ny−aNy)×ry
ならy方向にフォーミングする 但し、a=8 :給電部がxあるいはyの片端にある場
合 a=24:給電部がxあるいはyの両端にある場合 同様に、行あるいは列を順次選択してフォーミングを行
う。
【0038】A−2.行列状に縦横に並んだ単純なマト
リクス配線でそれぞれ結線された電子放出素子を具備し
た構成において、少なくとも1本以上全数未満の行の配
線に電位V1、それ以外の行の配線にV1とは異なる電
位V2を印加し、少なくとも1本以上、全数未満の列配
線には電位V1、それ以外の列配線には電位V2を印加
する。
【0039】又、前記Bに関し、具体的には以下の手段
が考えられる。
【0040】B−1.共通配線の端子からフォーミング
時の電圧を給電するのではなく、これとは別に設けられ
た電気的接続手段を介してフォーミング電圧を印加す
る。
【0041】上記の電気的接続手段は、前記素子共通配
線の複数の箇所とフォーミング用電圧源との間を低イン
ピーダンスで接続するものであり、かつ、フォーミング
完了後は、容易に接続を解除することが可能な構造を有
するものである。更に、前記電気的接続手段は熱伝導性
の良い材料で構成され、温度コントローラにより昇温、
冷却を制御する機構を備えている。
【0042】B−2.共通して電子放出素子を接続する
行または列方向の配線少なくとも一方を所定間隔で高イ
ンピーダンス部分を設けるか、あるいは分割した構成
で、その一部にフォーミング電圧を印加し、フォーミン
グ処理を終了後、高インピーダンス部あるいは分割部を
接続する。
【0043】B−3.1次元あるいは2次元に配列した
電子放出素子をフォーミングする際に、フォーミングさ
れた素子の位置が特定されるように、あるいはフォーミ
ング済みの素子の位置を検知しながら、給電端子に印加
する電圧を制御して印加する。
【0044】尚、上記本発明における手段A1,A2,
B1,B2,B3は、それぞれ個別に実施しても効果が
あるが、併用して実施されても良い(以下は本発明の手
段を、手段A1,A2,B1,B2,B3と呼ぶ)。次
に本発明における好ましい実施態様を示す。、上記問題
を解決するための手段は、前述した従来の電子放出素
子、MIM型電子用出力素子あるいは表面伝導型電子放
出素子を複数配置した電子源及び画像形成装置において
応用可能であるが、以下に述べる本発明者などによる表
面伝導型電子放出素子において特に効果は大きい。
【0045】本発明の一実施の形態に係わる表面伝導型
電子放出素子の基本的な構成は、平面型及び垂直型の2
つの構成があげられる。
【0046】まず、平面型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。
【0047】図6(a),図6(b)はそれぞれ、本発
明に係る基本的な表面伝導型電子放出素子の構成を示す
模式的平面図及び断面図である。図6を参照して本発明
の素子の基本的な構成を説明する。
【0048】図6において、61は基板、65と66は
素子電極、64は電子放出部を含む薄膜、63は電子放
出部である。基板61としては、石英ガラス、Na等の
不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガラ
スにスパッタ法などにより形成したSiO2 を積層した
ガラス基板など及びアルミナ等のセラミックス等が上げ
られる。
【0049】対向する素子電極65,66の材料として
は導電性を有するものであればどのようなものであって
も構わないが、例えばNi,Cr,Au,Mo,W,P
t,Ti,Al,Cu,Pd等の金属あるいは合金及び
Pd,Ag,Au,RuO2 ,Pd−Ag等の金属ある
いは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、I
n2O3-SnO2 などの透明導伝対及びポリシリコン等
の半導体導体材料等が挙げられる。
【0050】素子電極間隔L1は、数百オングストロー
ムより数百マイクロメートルであり、素子電極の製法の
基本となるフォーミングとリソグラフィ技術、即ち、露
光機の性能とエッチング方法等、及び素子電極間に印加
する電圧と、電子放出し得る電解強度等により設定され
るが、好ましくは数マイクロメートルより数十マイクロ
メートルである。素子電極長さW1、素子電極5,6の
膜厚dは、電極の抵抗値、多数配置された電子源の配置
上の問題より適宜設計され、通常は、素子電極長さW1
は、数マイクロメートルより数百マイクロメートルであ
り、素子電極5,6の膜厚dは、数百オングストローム
より数マイクロメートルである。
【0051】基板61上に設けられた対向する素子電極
65と素子電極66間及び素子電極65,66上に接地
された電子放出部を含む薄膜64は、電子放出部63を
含むが、図6(b)に示された場合だけでなく、素子電
極65,66上には、設置されない場合もある。即ち、
基板61上に、電子放出部形成用薄膜62、対向する素
子電極65,66の電極順に積層構成した場合である。
また、対向する素子電極65と素子電極66間全てが、
製法によっては電子放出部として機能する場合もある。
この電子放出部を含む薄膜64の膜厚は、好ましくは、
数オングストロームより数千オングストロームで、特に
好ましくは10オングストロームより500オングスト
ロームであり、素子電極65,66へのステップカバレ
ージ、電子放出部63と素子電極65,66間の抵抗値
及び電子放出部63の導伝性微粒子の粒径、後述する通
電処理条件等によって適宜設定される。その抵抗値は、
101より107[Ω/□]のシート抵抗値を示す。
【0052】電子放出部63を含む薄膜64を構成する
材料の具体例を挙げるならばPd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pb等の金属、PdO,SnO2,In2O3,
PbO,Sb2O3等の酸化物、HfB2,ZrB2,La
B6,CeB6,YB4,BdB4等の硼化物、TiC,Z
rC,HfC,TaC,SiC,WCなどの炭化物、T
iN,ZrN,HfN等の窒化物、Si,Ge等の半導
体、カーボン微粒子からなる。
【0053】なおここで述べる微粒子膜とは、複数の微
粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子
が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに
隣接、あるいは重なりあった状態(島状も含む)の膜を
さす。微粒子の粒径は、数オングストロームより数千オ
ングストローム、好ましくは、10オングストロームよ
り200オングストロームである。
【0054】電子放出部63は、好ましくは、数オング
ストロームより数百オングストローム、特に好ましく
は、10オングストロームより500オングストローム
の粒径の導伝性微粒子の多数個からなり、電子放出部6
3を含む薄膜64の膜厚及び後述する通電処理条件等の
製法に依存しており、適宜設定される。電子放出部63
を構成する材料は、電子放出部を含む薄膜64を構成す
る材料の元素の一部あるいは全てと同様の物である。
【0055】電子放出部63を有する電子放出素子の製
造方法としては様々な方法が考えられるが、その一例を
図7に示す。62は電子放出部形成用薄膜で例えば微粒
子膜が挙げられる。
【0056】以下、順を追って製造方法の説明を図6及
び図7に基づいて説明する。
【0057】(1)基板61を洗剤、純水及び有機溶剤
により十分に洗浄した後、真空蒸着法、スパッタ法等に
より素子電極材料を堆積した後、フォトリソグラフィ技
術により、該絶縁性基板61の面上に素子電極65,6
6を形成する(図7(a))。
【0058】(2)基板61上に設けられた素子電極6
5と素子電極66との間に、素子電極65と66を形成
した基板上に有機金属溶液を塗布して放置することによ
り、有機金属薄膜を形成する。なお、有機金属溶液と
は、前記Pd,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,
Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属を主
段元素とする有機化合物の溶液である。この後、有機金
属薄膜を過熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等に
よりパターニングし、電子放出部形成用薄膜62を形成
する(図7(b))。尚、ここでは有機金属溶液の塗布
法により説明したがこれに限るものでなく、真空蒸着
法、スパッタ法、科学的気相堆積法、分布塗布法、ディ
ッピング法、スピンナー法、等によって形成される場合
もある。
【0059】(3)続いて、フォーミングと呼ばれる通
電処理を、素子電極65,66間に電圧を不図示の電源
によりパルス状あるいは、昇電圧により印加して通電処
理が行われると、電子放出部形成用薄膜62の部位に構
造の変化した電子放出部63が形成される(図7
(c))。この通電処理により、電子放出部形成用薄膜
62を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造の
変化した部位を電子放出部63と呼ぶ。先に説明したよ
うに、電子放出部63は導伝性微粒子で構成されている
ことを本出願人らは観察している。フォーミング処理の
パルスを印加の場合の電圧波形を図8に示す。
【0060】図8において、T1及びT2は電圧波形の
パルス幅とパルス間隔であり、T1を1マイクロ秒〜1
0ミリ秒、T2を10マイクロ秒〜100ミリ秒とし、
三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は適宜
選択し、フォーミング処理は10-5torr程度の真空雰囲
気下で、数十秒間から数十分程度印加した。
【0061】以上説明した電子放出部を形成する際に、
素子の電極間に三角波パルスを印加してフォーミング処
理を行っているが、素子の電極間に印加する波形は三角
波に限定することはなく、矩形波など所望の波形を用い
てもよく、その波高値及びパルス幅・パルス間隔等につ
いても上述の値に限ることなく、電子放出部が良好に形
成される様に、電子放出素子の抵抗値等にあわせて、所
望の値を選択する。
【0062】フォーミング以降の電気的処理は、図9に
示す測定評価装置内で行う。以下に測定評価装置を説明
する。
【0063】図9は、図6で示した構成を有する素子の
電子放出特性を測定するための測定評価装置の概略構成
図である。図9において、61は基体、65及び66は
素子電極、64は電子放出部を含む薄膜、63は電子放
出部を示す。また、91は素子に素子電圧Vfを印加す
るための電源、90は素子電極65・66間の電子放出
部を含む薄膜64を流れる素子電流Ifを測定するため
の電流計、94は素子の電子放出部より放出される放出
電流Ieを捕捉するためのアノード電極、93はアノー
ド電極94に電圧を印加するための高圧電源、92は素
子の電子放出部63より放出される放出電流Ieを測定
するための電流計である。
【0064】電子放出素子の上記素子電流If、放出電
流Ieの測定にあたっては、素子電極65,66に電源
91と電流計90とを接続し、該電子放出素子の上方に
電源93と電流計92とを接続したアノード電極94を
配置している。また、本電子放出素子及びアノード電極
94は真空装置内に設置され、その真空装置には不図示
の排気ポンプ及び真空計等の真空装置に必要な機器が具
備されており、所望の真空下で本素子の測定評価を行え
るようになっている。
【0065】なお、アノード電極の電圧は1kV〜10
kV,アノード電極と電子放出素子との距離Hは2mm
〜8mmの範囲で測定した。
【0066】図9に示した測定評価装置により測定され
た放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfとの関
係の典型的な例を図10に示す。なお、図10は放出電
流Ie素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位
で示されている。図10からも明らかなように、本電子
放出素子は放出電流Ieに対する三つの特性を有する。
【0067】まず第1に、本素子はある電圧(閾値電圧
と呼ぶ、図10のVth)以上の素子電圧を印加すると急
激に放出電流Ieが増加し、一方、閾値電圧Vth以下で
は放出電流Ieがほとんど検出されない。すなわち、放
出電流Ieに対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形
素子である。第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存
するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0068】第3に、アノード電極94に捕捉される放
出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。す
なわち、アノード電極94に捕捉される電荷量は、素子
電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0069】以上のような表面伝導型電子放出素子の特
性、素子電流If、放出電流Ieの素子印加電圧に対する
単調増加特性を有するため、本発明にかかわる電子放出
素子は、多方面への応用が期待できる。
【0070】また、素子電流Ifは素子電圧Vfに対して
単調増加する(MI特性と呼ぶ)特性の例を図10実線
に示したが、この他にも、素子電流Ifが素子電圧Vfに
対して電圧制御型負性抵抗(VCNR特性と呼ぶ)特性
を示す場合もある(図10破線)。また、これら素子電
流の特性はその製法及び測定時の測定条件に依存すると
考えられる。なおこの場合も、本発明の電子放出素子は
上述した3つの特性上の特徴を有する。
【0071】なお、予め導伝性微粒子を分散して構成し
た表面伝導型電子放出素子においては、前記本発明の基
本的な素子構成の基本的な製造方法のうち一部を変更し
てもよい。
【0072】次に本発明に係わる別な構成の表面伝導型
電子放出素子である垂直型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。図2は本発明の基本的な垂直型表面伝導
型電子放出素子の構成を示す模式的図面である。
【0073】図2において61は基板、65と66は素
子電極、64は電子放出部を含む薄膜、63は電子放出
部、21は段差形成部である。基板61、素子電極65
と66、電子放出部を含む薄膜64、電子放出部63
は、前述した平面型表面伝導型電子放出素子と同様の材
料で構成されたものであり、垂直型表面伝導型電子放出
素子を特長ずける段差形成部21は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等の絶縁性材料
で構成され、段差形成部21の厚さが、先に述べた平面
型表面伝導型電子放出素子の素子電極間隔L1に対応
し、数百オングストロームより数十マイクロメートルで
あり、段差形成部の製法の製法、及び、素子電極間に印
加する電圧と電子放出し得る電解強度により設定される
が、好ましくは、数千オングストロームより数千マイク
ロメートルである。
【0074】電子放出部を含む薄膜64は、電子電極6
5,66と段差形成部21の作成後に形成するため、素
子電極65,66の上に積層され、場合によっては、素
子電極65,66との電気的接続を担う重なりの一部を
除いた所望の形状にされる。また、電子放出部を含む薄
膜64の膜厚は、その製法に依存して、段差部での膜厚
と素子電極65,66の上に積層された部分の膜厚で
は、異なる場合が多く、一般に段差部分の膜厚が薄い。
なお、電子放出部64は、図2において、段差形成部2
1に直線状に示されているが、形状、位置ともにこれに
限るものでなく、作成条件、フォーミング条件等に依存
する。
【0075】以上、表面伝導型電子放出素子の基本的な
構成、製法について述べたが、本発明の思想によれば、
表面伝導型電子放出素子の特性で3つの特徴を有すれ
ば、上述の構成等に限定されず、後述の電子源、表示装
置等の画像形成装置に於いても適用できる。
【0076】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の好適な実施の形態を詳細に説明する。この実施の形態
では電子源及びその製造方法と、これら複数の電子現を
用いた画像形成装置について説明する。本実施の形態の
電子放出素子を複数個、基板上に配列し、電子源あるい
は画像形成装置が構成できる。
【0077】基板上の配列方式には、例えば従来例で述
べた、多数の表面伝導型電子放出素子を並列に配置し、
個々の素子の両端を配線にて結線した電子放出素子の行
を多数配列し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方
向に(列方向と呼ぶ)、該電子源の上方の空間に設置さ
れた制御電極(グリッドと呼ぶ)により電子を制御駆動
する梯子状配置、及び次に述べるm本のX方向配線の上
にn本のY方向配線を層間絶縁層を介して設置し、表面
伝導型電子放出素子の一対の素子電極にそれぞれ、X方
向配線、Y方向配線とを接続した配列法があげられる。
以降、これを単純マトリクス配置と呼ぶ。次にこの単純
マトリクス配置について詳述する。
【0078】本実施の形態に係る表面伝導型電子放出素
子の3つの基本的特性の特徴、即ち、第1に、本素子は
ある電圧(閾値電圧と呼ぶ、図10中のVth)以上の素
子電圧を印加すると、急激に放出電流Ieが増加し、一
方、閾値電圧Vth以下では、放出電流Ieがほとんど検
出されない。即ち、放出電流Ieに対する明確な閾値電
圧Vthを持った非線形素子である。
【0079】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存
するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0080】第3に、アノード電極94に捕捉される放
出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。即
ち、アノード電極94に捕捉される電荷量は、素子電圧
Vfを印加する時間により制御できる。
【0081】以上によれば、単純マトリクス配置された
表面伝導型電子放出素子においても表面伝導型電子放出
素子からの放出電子は、閾値電圧以上では、対抗する素
子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と巾で制御さ
れる。一方、閾値電圧以下では、殆ど放出されない。こ
の特性によれば、多数の電子放出素子を配置した場合に
おいても、個々の素子に、上記パルス状電圧を適宜印加
すれば、入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素子を
選択し、その電子放出量が、制御できることになる。
【0082】以下この原理に基づき構成した電子源基板
の構成について、図11を用いて説明する。111は絶
縁性基板、112はX方向配線、113はY方向配線、
114は表面伝導型電子放出素子、115は結線であ
る。尚、表面伝導型電子放出素子114は、前述した平
面型あるいは垂直型どちらであってもよい。
【0083】同図において、絶縁性基板111は、前述
したガラス基板等であり、その大きさ及びその厚みは、
絶縁性基板111に設置される表面伝導型素子の個数及
び個々の素子の設計上の形状、及び電子源の使用時、容
器の一部を構成する場合には、その容器を真空に保持す
るための条件等に依存して適宜設定される。m本のX方
向配線112は、DX1,DX2,…,DXmからなり、絶縁
性基板111上に、例えば真空蒸着法、印刷法、スパッ
タ法等で形成して所望のパターンとした導伝性金属等か
らなり、多数の表面伝導型素子にほぼ均等な電圧が供給
される様に、材料、膜厚、配線巾が設定される。Y方向
配線113は、DY1,DY2,..DYnのn本の配線より
なり、X方向配線112と同様に、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成し、所望のパターンとした導伝
性金属等からなり、多数の表面伝導型素子にほぼ均等な
電圧が供給される様に、材料、膜厚、配線巾等が設定さ
れる。これらm本のX方向配線112とn本のY方向配
線113間には、不図示の層間絶縁層が設定され、電気
的に分離されて、マトリックス配線を構成する(この
m,nは共に正の整数)。
【0084】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等であり、X方
向配線112を形成した絶縁性基板111の全面あるい
は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線11
2とY方向配線113の交差部の電位差に耐える様に、
膜厚、材料、製法が、適宜設定される。X方向配線11
2とY方向配線113は、それぞれ外部端子として引き
出されている。
【0085】さらに前述と同様にして、表面伝導型放出
素子114の対抗する電極(不図示)が、m本のX方向
配線112とn本のY方向配線113と、真空蒸着法、
印刷法、スパッタ法等で形成された導伝性金属等からな
る結線115によって電気的に接続されているものであ
る。
【0086】ここで、m本のX方向配線112とn本の
Y方向配線113と結線115と対向する素子電極の導
伝性金属は、その構成元素の一部あるいは全部が同一で
あっても、またそれぞれ異なってもよく、Ni,Cr,
Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等の金
属あるいは合金及びPd,Ag,Au,RuO2 ,Pd
−Ag等の金属あるいは金属酸化物とガラス等から構成
されるの印刷導体,In2O3 −SnO2 等の透明導体
及びポリシリコン等の半導体導体材料等より適宜選択さ
れる。また表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板11
1あるいは、不図示の層間絶縁層上のどちらに形成して
もよい。
【0087】また、詳しくは、後述するが、前記X方向
配線112には、X方向に配列する表面伝導型放出素子
114の行を、入力信号に応じて走査するための走査信
号を印加するための不図示の走査信号発生手段が電子的
に接続されている。
【0088】一方、Y方向配線113には、Y方向に配
列する表面伝導型放出素子114の列の各列を、入力信
号に応じて変調するための変調信号を印加するための不
図示の変調信号発生手段が電気的に接続されている。
【0089】さらに、表面伝導型電子放出素子に各素子
に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信
号と変調信号の差電圧として供給されるものである。
【0090】上記構成において単純なマトリクス配線だ
けの個別の素子を選択して独立に駆動可能になる。
【0091】ここで上述した表面伝導型放出素子をフォ
ーミング処理する際、上記の配線を通して素子に給電す
るのであるが、前記した問題点より、フォーミング時の
印加電圧が配線による電位効果の分布、配線での発熱ダ
メージ等で、各素子の放出電子量に分布が発生し、電子
源として使用する際、単純なドライバで均一な電子量を
得ることが困難になる。これにより画像形成装置として
使用する場合は、輝度の分布が発生するという欠点を有
している。
【0092】そこで前述した本実施の形態の複数の電子
放出素子のフォーミングを用いてこの問題を解決したわ
けである。以下に1つ1つの手段毎に好ましい実施態様
を説明する。
【0093】前述した手段のうち、まずA−1について
説明する。
【0094】図11に示した単純マトリクス配置電子源
においてX方向の配線端子DX1からDXmまですべてに電
位V2を印加すると共に、任意に選択した少なくとも1
本以上のY方向配線端子DYiに、V2とは異なる電位V
1を印加し、残りのY方向配線端子すべてに電位V2を
印加するというものである。本実施の形態によれば、任
意に選択したY方向配線に接続している電子放出部形成
用薄膜にのみ(V1−V2)[V]の電圧が印加され、
他の非選択の電子放出部形成用薄膜には(V1−V2=
0)[V]の電圧が印加されて、フォーミングが行わ
れ、この工程が順次繰り返されることによりフォーミン
グが終了する(これをライン・フォーミングと呼ぶ)。
【0095】即ち、選択されていない電子放出部形成用
薄膜の電極がフローティング(電位不定)状態になった
り、フォーミングを実施中の電子放出部形成用薄膜に印
加している電圧がマトリクス配線を介して回り込むこと
がないため、フォーミングを実施していない電子放出部
形成用薄膜が静電気により破壊もしくは損傷したり、フ
ォーミング中の電子放出部形成用薄膜に印加中の電圧の
影響を受けて、電子放出部が変質したりすることを防止
でき、各素子の特性を均一にできることになる。
【0096】ここで、前記電位V1及びV2は必ずしも
時間的に変動のない一定電子(DC)に限るものではな
く、三角波あるいは矩形波等のパルス上の波形も含むも
のである。また、上記V1、V2の両方をDC波形ある
いはパルス状の波形としたり、どちらか片方をパルス状
の波形としてもよい。この時、フォーミング処理を実施
しようとする電子放出部形成用薄膜に印加される電圧
(V1−V2)[V]は、フォーミングにより電子放出
部を形成するに足りる電圧波形が供給されていればよ
く、パルス状波形の場合には、上記(V1−V2)
[V]はピーク電圧をいうものである。また、フォーミ
ング処理を実施するために任意に選択される列は、同時
に1列であっても複数列であってもよく、同時に複数列
を選択する場合は、フォーミングにより発生する熱によ
る基板内の温度分布を考慮して、例えば千鳥状に選択し
て温度分布を均一化するのが好ましい。また、複数列を
同時にフォーミングする場合、フォーミングに要する時
間を短縮できるものの、電圧源には大きな電流容量が必
要となる。従って、本実施の形態では、フォーミングに
要する時間と電圧源の電流容量とを考慮し、最も経済的
効果の高い数を選択し、並列でのフォーミングを行うこ
とが望ましい。
【0097】さらに上述したX方向配線とY方向配線の
いずれを選択し、ラインフォーミングをするかについて
は以下のようにして決定するのが好ましい。
【0098】表面伝導型放出素子を用いた単純マトリク
スの表示装置の等価回路を図12に示す。Rが素子抵
抗、rx,ryが1画素あたりの横あるいは縦方向配線抵
抗である。また、横方向(行方向)の素子数をNx、縦
方向(列方向)の素子数をNyとする。この表示装置を
フォーミング処理する際、通常1列あるいは1行ずつを
一括してフォーミングする。なお、ここでいう一括フォ
ーミングとは、多数の素子に対して所定の給電部(1ケ
所あるいは複数)から電力を供給してフォーミングする
ことを指しており、必ずしも多数の素子を同時にフォー
ミングすることを意味するものではない。ラインフォー
ミングを模式的に示したのが図13の等価回路である。
ここで装置(パネル)外の配線等のインピーダンスはr
x,ry,Rに比べ無視できるとしている。ここでは横方
向(接地部からkラインめ)に一括してラインフォーミ
ングする例を示す。図13からも明らかなように、素子
抵抗R、配線抵抗rx,ryにばらつきがない場合、各素
子にかかる分圧は必ず給電部に最も近い素子のそれが最
大となる。また、フォーミングされた素子の抵抗はフォ
ーミング前の抵抗Rに比べて2〜3桁以上も大きい。従
って、ラインフォーミングすると給電側から順次切れて
いく。そして、(n−1)番目まで切れていて、次にn
番目の素子をフォーミングする時の等価回路は図14と
なる。即ち、この状態でも最も給電部に近いn番目の素
子が切れて、次の時点での等価回路は図14よりも1素
子少ない梯子状のものとなる。(n−1)番目の素子ま
で切れている状態で、給電部に一定の電圧V0を印加し
たとすると、n番目の素子にかかる電圧は次式で与えら
れる。
【0099】 V(k,n)={1-k ×ry/R-n×(Nx-n+1)×rx/R}V0 (1) なお、上式の導出は、一般的な4端子マトリクスの(N
x−n+1)段のシリーズとして容易に計算できる。こ
こで、rx,ryはRに比べ十分小さいとした。また、こ
れを電力で現すと、n番目の素子にかかる電力は次式で
与えられる。
【0100】P(k,n)={1−2×k×ry/R-2×n×
(Nx-n+1)×rx/R}×V0×V0/R (2) つまり、V,Pはk,nの関数であり、ラインフォーミ
ングの方向の素子アドレスnの2次、他方向の素子アド
レスkの1次で変化することがわかる。
【0101】図15に電圧あるいは電力のパネル内分布
の模式図を示す。
【0102】しかしながら、上記のようなラインフォー
ミング方法には、次のような問題点がある。即ち、図1
5にみられるように給電部に一定の電圧を供給しても素
子のアドレスによってその素子が切れる時にかかる電
圧、及び電力に差がでてしまう。この現象は画素数が大
きくなり、また配線抵抗が素子抵抗に比べ大きくなって
くるとより大きな影響を及ぼす。各素子が切れる直前に
印加される電力のn方向の最大最小の差は次式となる。
即ち、電力最大となるのは給電端(n=1)の時で、最
小となるのは中央部(n=Nx/2) のときであり、P0=
V0 ×V0/Rとして、 P(k,1)−P(k,Nx/2)〜Nx×Nx/2×(rx/R)×P0 (3) 但し、Nx≫1である。
【0103】また、k方向の最大・最小の差は、最大と
なるのが給電端(k=1)で、最小となるのが接地端
(k=Ny)であるから、次式となる。
【0104】 P(1,n)−P(Ny,n)〜2×Ny×(ry/R) (4) 但し、Ny≫1である。
【0105】上記2式よりわかるように、特にラインフ
ォーミング方向の画素数が大きくなると急激に画素間の
フォーミング条件に差がでてくることになる。従って、
大画面化に際して無視できない悪影響を及ぼすことにな
る。
【0106】図15の例は、給電部が行(あるいは列)
の1端にある場合であるが、給電部が両端にある場合
は、系の対称性から、一括フォーミングされる行(ある
いは列)の両端部及び中央部で各素子が切れる直前に印
加される電力が大きく、両端から1/4ライン長付近で
は小さくなり、やはり素子アドレスによってばらつきが
生じてしまう。ここで、給電方式を一般化するために、
新たにN'を導入する。この時、片側給電の場合N'=
N,両側給電の場合N'=N/2。
【0107】結局、単純マトリクスをラインフォーミン
グする場合、給電部に一定の電圧V0を印加したとき、
n番目の素子にかかる電力は次式で与えられる。
【0108】 P(k,n)={1−2×k×ry/R-2×n×(N'-n+1)×rx/R}P0:P0=V0
×V0 /R (5) n方向の最大最小の差:ΔP=N'×(N'/2)(rx/R)P0 (6) k方向の最大最小の差:ΔP=2×K ×(ry/R)×P0 (7) 尚、両側給電の場合は、n≦Nx/2に対して、n>Nx
/2でも対応する。
【0109】さらに、表面伝導型電子放出素子が単純マ
トリクス配列ではなく、1次元梯子状に配列された場合
も同様の問題点を有する。図16(a)〜図16(c)
に、いくつかの例において、等価回路と給電部に一定電
圧を印加した場合に各素子が切れる直前の印加電力の素
子アドレスによる違いの例を示す。素子数はN、配線抵
抗は1素子あたりr、素子抵抗はRとする。
【0110】(a)は、給電部が梯子状ラインの一端に
1ケ所配置され、他端に接地部が1ケ所配置されている
例であり、給電部に電圧V0を印加したとき、(n−
1)番目まで切れて、n番目が切れる時にかかる電力は
nの関数として、P(n)={1+(n×n+n-N×N-3×N-2)×
(r/R)}×P0;P0=V0×V0R, (8)最大最小の差
は、 ΔP=P(N)−P(1)=(N+2) ×(N-1) ×P0 (9) となる。
【0111】(b)は、給電部と接地部が梯子状ライン
の同じ側の端部に配置されている例で、(c)は、給電
部と接地部が梯子状ラインの両端にそれぞれ1ケ所ずつ
配置されている例である。(a)の場合と同様にP(n),
ΔP を求めると、 P(n)={1-4×n×
(N'n+1)×(r/R)}×P0;P0=V0×V0/R (1
0) ΔP=P(1)-P(N'/2)=N' ×N'×(r/R) ×P0 (11) (b)の場合N'=N、(c)の場合N'=N/2(nはN
/2に関して対称に考える).本図からわかるように、
1次元配列の場合においても給電部に一定の電圧を印加
しても、各素子が切れる直前に印加される電力は、素子
アドレスによってばらつく事になる。
【0112】従って、電子放出部形成用薄膜を2次元に
配列した装置を1ラインずつ一括して通電フォーミング
する際、各素子に印加される電力のばらつきを小さくで
きる方向(行あるいは列)を選択してフォーミングする
ことができればよいわけである。
【0113】より詳しくは、2次元の方向をx,y方向
とし、各方向の素子数をNx,Ny各方向の1素子あたり
の配線抵抗をrx,ryとして、 (Nx×Nx-a×Nx)×rx≦(Ny×Ny-a×Ny) ×ryなら、x方向にフォーミ
ングす る (12) (Nx×Nx-a×Nx)×rx>(Ny×Ny-a×Ny)×ryなら、y方向にフォーミン
グする (13) ことを特徴とするマルチ電子源のフォーミング方法であ
る。尚、ここで給電部がxあるいはyの片端にある場合
a=8、給電部がxあるいはyの両端にある場合a=2
4である。なおここでは各素子が切れる時にかかる電力
によって方向を決定した。
【0114】ここで、簡単に上記条件式を説明してお
く。通電フォーミングは、熱的な現象と考えられるの
で、各素子に印加される電力が問題となる。従って、前
述の式、 P(k,n)={1-2×k×r'/R-2×n×(N
-n+1)×r/R}×P0;P0=V0×V0/R
(14)で考える。ここで、x方向のフォーミング
の時は、r=rx,r'=ry,N=Nx、y方向の時は、
r=ry,r'=rx,N=Nyとする。すると、給電部が
xあるいはyの1端のみにある場合、前に定義したx,
y方向の素子数Nx,Nyと素子アドレス(x,y)=
(n,k)、素子抵抗R、配線抵抗rx,ry等を用い
て、以下のように書くことができる。
【0115】(1)x方向に一括フォーミングする場
合、P(k,n)={1-2×n×(Nx-n+1)×(rx/R)-2×k
×(ry/R)}×P0;P0=V0×V0/R(15) pが最大となるのはn=k=1 、最小となるのはn=Nx
/2,k=Ny のときである。
【0116】面内での最大値:P(1,1)/P0=1−2×N
x×(rx/R)-2×(ry/R)(16) 面内での最小値:P(Nx/2,Ny)/P0 〜1-Nx×Nx
/2×(rx/R)-2×Ny×(ry/R)
(17) 面内のばらつき:Px={P(1,1)-P(Nx/2,Ny)}/P0
〜(Nx×Nx/2−2×Nx)×(rx/R)+2×Ny×(r
y/R)
(18) (2)y方向に一括フォーミングする場合P(n,k)=
{1−2×n×(rx/R)−2×k×(Ny-k+1)×(ry/
R)}×P0;P0=V0×V0/R
(19) pが最大となるのはn=k=1,最小となるのはn=
N,k=Ny/2のときである。
【0117】面内での最大値:P(1,1)/P0=1−2×
(rx/R)-2×Ny×(ry/R)(20) 面内での最小値:P(Nx,Ny/2)/P0 〜1-2 ×Nx×
(rx/R)-Ny×Ny/2×(ry/R)
(21) 面内のばらつき: Py={P(1,1)-P(Nx,Ny/2)}/P0 〜2×Nx×(rx
/R)+(Ny×Ny/2-2×Ny) ×(ry/R)
(22) 従って、Px≦Pyつまり(Nx×Nx-8×Nx)×rx≦(N
y×Ny-8×Ny)×ryなら、x方向に一括してフォーミ
ングしたほうがよく、Px>Py つまり(Nx×Nx-8×
Nx) ×rx>(Ny×Ny-8Ny)×ryなら、y方向に一
括してフォーミングしたほうがよい。また、給電部がx
あるいはyの両端にある場合、一括してフォーミングす
るラインの中央に対して対称である事を考えれば、条件
式は(Nx×Nx−24×Nx)×rx (Ny×Ny−24×
Ny)×ryの大小で設定される。
【0118】以上のように、2方向の配線抵抗と素子数
との関係により、ラインフォーミングに適した方向が決
まる。
【0119】フォーミング処理の電圧波形としては図8
と同様であり、適宜設定される。
【0120】続いて、前述した手段のうちA−2につい
て説明する。
【0121】図18に示す構成により行配線(DX1 -
m)及び列配線(DY1 - n)にフォーミング電源(電位
はV1またはV2)を接続してフォーミングを行う。この
時、全行配列のうちk本に電位V1を、残りの(m−
k)本に電位V2を印加し、同様に全列配線のうちL本
に電位V2を、残りの(n−L)本に電位V1を印加す
る。これにより、全電子放出部形成用薄膜のk×L+
(m−k)×(n−1)個の電子放出部形成用薄膜が選
択され、選択された電子放出部形成用薄膜では、図6の
素子電極65、66間に電圧V2−V1が印加され、電子
放出部形成用薄膜の部位に構造の変化した電子放出部6
3が形成される。
【0122】次に、列配線(あるいは行配線)に接続し
た電位V1とV2とを入れ換えることにより、先に選択さ
れなかった残りの電子放出部形成用薄膜が選択され、同
時にフォーミングを施すものである。またフォーミング
処理の電圧波形としては図8に示すようなものを用い
る。
【0123】前述の手段(A−1)との相違は、(A−
1)がライン単位でフォーミングするのに対し、これは
ブロック単位でフォーミングするところが異なり、効果
は(A−1)と同様に、未フォーミングの電子放出部形
成用薄膜への電圧の回り込みが無くなり、また、同時に
フォーミング電圧が印加される電子放出部形成用薄膜数
が1/2に少なくなることにより、配線を流れる電流値
も小さくなるため、配線での電位降下による表面伝導型
電子放出素子特性のばらつきも小さく抑えられる。
【0124】次に前述の手段のうち(B−1)について
説明する。
【0125】この製造法の特徴を図19(a)のブロッ
ク図、及び図19(b)の回路図、そして、図19
(c)の素子単体断面図を用いて説明する。
【0126】図19(a)において、191はマルチ電
子源、192は電気的接続手段、193は温度コントロ
ーラ、194はフォーミング電源、195は温度検知
器、また、実線で囲った部分が本実施の形態の通電処理
装置196を示している。マルチ電子源191は、前述
した電子放出素子が複数並んだデバイスで、共通配線で
各素子は接続されている。192は191の並列した電
子放出素子の複数部分で、電気的接続を行う機構を有す
るものであり、図19(b)に示したように、マルチ電
子源の各部に抵抗rf1,rf2を介して接続される。ここ
でこの電気的接続手段は、前記電子放出素子の共通配線
のような形状の制限(薄膜形状、画像形成装置を想定し
た場合1画素に納まるサイズ)がないため、抵抗rf1,
rf2を共通配線の素子間抵抗rに比較して十分に小さい
値にしている。図19(b)のように、1列に並んだ電
子放出素子の複数部分で接続し、電源VEから電圧を印
加したとき、rf2による電位降下の大きさは並列配線数
が少なく、抵抗が非常に小さいため十分に小さい値とな
り、共通配線への接続部に印加される電圧はほぼ等しく
なる。また、各接続点からみた並列抵抗は、左右等しい
数の素子が接続されるため、どれも等しい値となる。こ
の結果、各素子に直接印加される電圧のばらつきは共通
配線を用いて通電した場合に比較して格段に小さくでき
るようになった。
【0127】さらに、上記接続機構FCに用いる材料に
熱伝導性のよいものを使い、その後段に熱容量の大きな
ものを設け、加熱、冷却機構及びそれを制御する機構を
備えた構成としている。この構成により、上記接続機構
FCは素子に通電するためだけではなく熱の伝導路とし
ても働き、素子電極を通して電子放出部の温度を変化さ
せる機能を有するものとなる。接続部の模式的断面図を
図19(c)に示した。同図において、195は基板、
65及び66は電気的接続を得るための素子電極、64
は電子放出部を含む薄膜、63は電子放出部を示し、1
97は熱伝導路となる電気的接続手段を示している。な
お、図19では、素子電極上で電気的接続手段と接続し
ているが、むろん、配線上で行ってもよい。
【0128】197の接続手段を構成する材料は銅、ア
ルミニウム、インジウム、銀、金、タングステン、モリ
ブデン等の金属や、真鍮、ステンレス等の合金を使用し
ている。また、配線との接触抵抗を小さくし、複数の接
触部での接触抵抗の分布を小さく抑えるため、剛性の高
い金属の表面を低抵抗金属でコーティングした接続手段
を設けたり、各接続手段には、接触する配線に対し数十
g以上の荷重がかかる不図示の荷重印加機構を備えてい
ることが望ましい。この荷重印加機構は弾性部材により
構成され、例えばコイルバネ、板バネ等が用いられる。
【0129】また、上記電気的接続手段はマトリクス配
線の一例あるいは複数列に接続し、一列あるいは複数列
を同時にフォーミングしてから、接続する列をずらし、
順次全体をフォーミングするものであるが、電気的接続
手段の数を多くすれば全体を同時にフォーミングするこ
とも可能である。
【0130】さらに、上記した単純マトリクス構成では
絶縁層の下層の配線上に電気的接続手段を設ける場合、
接触部にコンタクト用の窓を形成することとし、該下層
配線の電気的接続手段との接触部には低抵抗金属がコー
ティングされていることが好ましい。また、上記手段
(A−1)と組み合わせることにより、X方向の配線あ
るいはY方向の配線の一方、即ち、フォーミング電圧を
印加するため選択された列の配線にのみ複数の電気的接
続手段を設け、同方向の非選択配線及び他方の方向の配
線は端子から電圧を印加するだけでも十分効果が期待で
きる。
【0131】ここまでは単純なマトリクス配置の電子源
におけるフォーミング手段について述べたが、この手段
(B−1)は、前述した梯子状配置の電子源に対しても
同様に利用可能である。
【0132】上記構成で、素子電極を冷却しながらフォ
ーミング電圧を印加すると、フォーミング電流Ifによ
るジュール熱で微粒子膜が昇温し、この時の温度プロフ
ァイルは冷却を行い従来の方法と比較し、急峻になる。
これは素子から発生した熱は基板となる石英あるいはガ
ラスと比較して金属電極からの逃げが大きく、この金属
電極を上記接続手段197を通して冷却することで、伝
導による熱の逃げの効率が大幅に改善されるためであ
る。
【0133】我々は電子放出部が通電の熱による素子の
温度プロファイルのピーク位置で発生することを確認
し、この温度が亀裂形成の起因であると考えた。
【0134】従来、電極間隔が10μm以上になると温
度プロファイルもブロードになり、そのため電子放出部
のばらつきが顕著になると考えたわけである。よって本
実施の形態のように、電極の温度を低く制御して温度プ
ロファイルを急峻にすれば電極間隔を広げても電位放出
部のばらつきは小さくなるという可能性が生まれる。
【0135】実際、本実施の形態の通電処理方法で温度
制御しながらフォーミングしたところ電極間隔を10μ
m以上に広げても微粒子膜の温度プロファイルが急峻
で、ピーク領域の幅は狭くなり、その結果、電子放出部
のばらつきが少なく抑えられるようになった。
【0136】さらに上記構成で複数並んだ電子放出素子
の各部を一定の温度に制御することも可能となり、従来
問題となったマルチ電子源のデバイス中央部、端部の温
度差も無くなり、これにより、フォーミング時の電子放
出部ばらつきも少なくなった。
【0137】次に前述の手段(B−2)について説明す
る。
【0138】まず、複数個の電子放出素子を共通に接続
する行または列方向の配線のうち、少なくとも一方を所
定間隔で分割した構成、あるいは所定間隔で高インピー
ダンス部分を設けた構成の実現方法について説明する。
【0139】図20Aに梯子状配線、図20B単純マト
リクスの一部を分割した形状を示す。配線はフォトリソ
技術あるいは印刷技術により作製されるが、いずれの場
合も予めマスクパターンに分割用ギャップ部分を設けて
おけば、所定間隔で分割ギャップのある配線は容易に得
られる。また当然ながら連続した配線を作製しておい
て、YAGレーザによる溶融切断、あるいはダイシング
ソーによる機械的切断を行っても所定間隔で分割ギャッ
プのある配線を得ることができる。
【0140】次に高インピーダンス部分を設ける方法は
以下の方法がある。上述のようにして得られた分割ギャ
ップ上にニッケル−クロム合金薄膜等の抵抗率の高い金
属を蒸着してパターニングして得る(図20)。また或
は連続した配線を作製しておいて、その一部の配線幅を
非常に狭くしておく、あるいはフォトリソ技術の中のミ
リング技術により一様に作製した配線の厚さを一部薄膜
化することにより得られる。
【0141】次にこの構成の基板に給電して、特定の素
子にフォーミング電圧を印加し、フォーミング処理を行
う。ここで給電方法は、配線端から給電し、配線端に近
い分割領域内の素子からフォーミング処理を施して、前
述の手段(B−1)で用いる特別な電気的接続手段と同
様な手段を用いて給電する。
【0142】次に所定部分をフォーミングした後、分割
ギャップ部分あるいは高インピーダンス部分を短絡する
方法について説明する。
【0143】まず単純にAuやAl材料によるワイヤボ
ンディング、あるいはリボンボンディングにより短絡す
る方法がある。別の方法として以下の方法がある。まず
ギャップ部の片側、あるいは高インピーダンス部分近
傍、あるいは高インピーダンス部分の一部分に、金−鉛
ペーストあるいはInやBiを含む低融点金属をマイク
ロディスペンサーによる塗布、あるいはフォトリソ技術
を用いて製膜しておく。レーザ光や赤外線照射やヒータ
加熱によりペーストあるいは低融点金属を加熱融解させ
て、分割ギャップ部分あるいは高インピーダンス部分を
その融解した金属で埋めるようにして短絡(接続)させ
る。あるいは高インピーダンス部分に電流を集中させる
ことにより、高インピーダンス部分の温度が上昇し、上
述の他の加熱方法と同じ結果が得られる。
【0144】次に前述の手段(B−3)について説明す
る。
【0145】単純マトリクス配置あるいは1次元梯子状
に配列した各素子がフォーミングされる時点での印加電
力あるいは印加電圧が全素子で一定になるように、給電
部に印加する電圧を制御しながら、1行あるいは1列を
一括してフォーミングする方法を以下に示す。従来の問
題点で述べたフォーミングに必要な外部端子供給電圧の
変動を考慮すると、一括してフォーミングする行(ある
いは列)のうち、どの素子までがフォーミング済なのか
を検知しながら給電部に印加する電圧を制御して一括フ
ォーミングを行うことにより、全素子に対して一定のフ
ォーミング条件を保つことができる。
【0146】2次元単純マトリクス配列の場合において
は、給電部が行(あるいは列)の1端にある場合、一括
フォーミングする行(あるいは列)の両端部付近にある
素子をフォーミングするときは給電部に印加する電圧を
小さくし、中央部付近にある素子をフォーミングすると
きは給電部に印加する電圧を大きくすればよい。また、
給電部が行(あるいは列)の両端にある場合、一括フォ
ーミングする行(あるいは列)の両端部及び中央部付近
にある素子をフォーミングするときは給電部に印加する
電圧を小さくし、両端から1/4ライン長付近にある素
子をフォーミングするときは給電部に印加する電圧を大
きくすればよい。また、一括してフォーミングされる行
(あるいは列)に対向する列(あるいは行)の一端また
は両端が接地されている場合、一括してフォーミングさ
れる行(あるいは列)が接地端に近い場合は給電部に印
加する電圧を小さくし、遠い場合は大きくすればよい。
【0147】さらに、1次元梯子状に素子が配列されて
いて、給電部が梯子状ラインの一端に1ケ所配置され他
端に接地部が1ケ所配置されている場合、給電端部付近
にある素子をフォーミングするときは給電部に印加する
電圧を小さくし、接地端部付近にある素子をフォーミン
グするときは給電部に印加する電圧を大きくする。ま
た、給電部と接地部が梯子状ラインの同じ側の端部に配
置されているとき、両端部付近にある素子をフォーミン
グするときは給電部に印加する電圧を小さくし、ライン
中央部付近にある素子をフォーミングするときは給電部
に印加する電圧を大きくする。また、給電部と接地部が
梯子状の両側にそれぞれ1ケ所ずつ配置されている場
合、両端部及び中央部付近にある素子をフォーミングす
るときは給電部に印加する電圧を小さくし、両端から1
/4ライン長付近にある素子をフォーミングするときは
給電部に印加する電圧を大きくする。
【0148】具体的には、例えば、単純マトリクスにお
いては、素子アドレス(k,n) の素子を、例えばx方向
にフォーミングする時には、(1)式の電圧分布を補っ
て、一定電圧になる様に、給電部には、V0(k,n)=C'
×{1+k×ry/R+n×(N-n+1)×rx/R};C':定数
(23)となる様に電圧V0(k,n) を印加すればよ
い。C'は実験的に最適値を決定する。また、フォーミ
ング済の素子のアドレスを検出するには、例えば給電部
と接地部の間のインピーダンスを測定すればよい。この
インピーダンスの測定は、一定のパルス高を有する1つ
あるいは複数のフォーミングパルスを1ブロックとし、
ブロックとブロックとの間にフォーミングパルスよりも
低い電圧パルスを挿入して行えばよい。図23にパルス
印加例を示す。ここで、T1は1マイクロ秒から10ミ
リ秒、T2は10マイクロ秒から100ミリ秒程度であ
り、Nは1〜100パルス、Viは0.1V程度であ
る。
【0149】ブロック数(インピーダンス測定回数)が
少なければフォーミング制御のアルゴリズムは容易とな
り、ライン全体をフォーミングするための時間も短くで
きる。一方、ブロック数が多ければ、素子間のフォーミ
ング条件のばらつきを小さく抑えることができる。な
お、フォーミングパルスの印加方法、素子アドレスの検
出方法は上記に限ったものではなく、一定の条件さえ整
えば素子アドレスの検出が不要となりうる。
【0150】次に、以上の様にして作製した電子源を用
いた表示等に用いる画像形成装置について、まず単純マ
トリクス構成の装置について、図24と図25(a)
(b)を用いて説明する。図24は、画像形成装置の基
本構成図にあり、図25は蛍光膜である。
【0151】図24において111は、上述の様にして
電子放出素子を作製した電子源基板、241は、電子源
基板111を固定したリアプレート、246はガラス基
板243の内面に蛍光膜244とメタルバック245等
が形成されたフェースプレート、242は支持枠であ
り、リアプレート241は支持枠242及びフェースプ
レート246をフリットガラス等を塗布し、大気中ある
いは窒素中で400〜500度で10分以上焼成するこ
とにより封着して、外囲器248を構成する。
【0152】図24において、247は、図7における
電子放出部63に相当する。112、113は、表面伝
導型電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向
配線及びY方向配線である。また、これら素子電極への
配線は、素子電極と配線材料が同一である場合は素子電
極と呼ぶ場合もある。外囲器248は、上述の如く、フ
ェースプレート246、支持枠242、リアプレート2
41で構成したが、リアプレート241は主に基板11
1の強度を補強する目的で設けられるため、基板111
自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート24
1は不要であり、基板111に直接支持枠242を封着
し、フェースプレート246、支持枠242、基板11
1にて外囲器248を構成してもよい。
【0153】図25(a)(b)において、蛍光膜24
4は、モノクロームの場合は蛍光体のみからなるが、カ
ラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックス
トライプあるいはブラックマトリクス等と呼ばれる黒色
導電材251と蛍光体252とで構成される。ブラック
ストライプ、ブラックマトリクスが設けられる目的は、
カラー表示の場合に必要となる三原色蛍光体の各蛍光体
252間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立た
なくすることと、蛍光膜244における外光反射による
コントラストの低下を制御することにある。ブラックス
トライプの材料としては通常良く用いられている黒鉛を
主成分とする材料だけでなく、導電性があり、光の透過
及び反射が少ない材料であればこれに限るものではな
い。
【0154】ガラス基板243に蛍光体を塗布する方法
はモノクローム、カラーによらず、沈殿法や印刷法が用
いられる。
【0155】また、蛍光膜244の内面側には通常メタ
ルバック245が設けられる。メタルバックの目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート2
46側へ鏡面反射することにより輝度を向上すること、
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用す
ること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメ
ージカラーの蛍光体の保護等である。メタルバックは、
蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常
フィルミングと呼ばれる)を行い、その後Al(アルミ
ニウム)を真空蒸着等で堆積することにより作製でき
る。フェースプレート246には、さらに蛍光膜244
の導電性を高めるため、蛍光膜244の外面側に透明電
極(不図示)が設けられても良い。前述の封着を行う
際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応
させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行う必
要がある。外囲器248は、不図示の排気管を通じ、1
-7トール程度の真空度にされ、封止を行われる。
【0156】また、外囲器248の封止後の真空度を維
持するために、ゲッター処理を行う場合もある。これ
は、外囲器248の封止を行う直前あるいは封止後に、
抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器
118ないの所定の位置(不図示)に配置されたゲッタ
ーを加熱し、蒸着膜を形成する処理であるゲッターは通
常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、
例えば、1×10-5ないしは1×10-7[Torr]の真空度
を維持するものである。
【0157】以上の様に完成した本実施の形態の画像表
示装置において、各電子放出素子には、容器外端子DOx
1ないしDOm,DOy1ないしDPynを通じて電圧を印加す
ることにより電子を放出させ、高圧端子HVを通じ、メ
タルバック115、あるいは透明電極(不図示)に数k
V以上の高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜1
14に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示す
るものである。なお、容器外端子DOx1ないしDOxm,D
Oy1ないしDOynは、配線Dx1ないしDxm,DY1ないしD
Ynとそれぞれ接続されている。
【0158】以上述べた構成は、表示等に用いられる好
適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限
られるものではなく、画像装置の用途に適する様適宜選
択する。
【0159】次に、前述の梯子型配置の電子源を用いた
画像形成装置について図21を用いて説明する。
【0160】図21は、梯子型配置のマルチ電子源を備
えた画像形成装置のパネル構造を示すための図である。
先の単純マトリクス構成の画像形成装置との違いは、電
子源(基板S)とフェースプレートの間にグリッド電極
を備えていることで、これ以外は同じ部材で同じ構成と
なる。
【0161】基板SとフェースプレートFPの中間に
は、グリッド電極GRが設けられている。グリッド電極
GRは、表面伝導型放出素子から放出された電子ビーム
を変調するもので、例えば図21のグリッドは、梯子型
配置の素子列と直交して設けられたストライプ上の電極
に電子ビームを通過させるため、各素子に対応して1個
ずつ円形の開口Ghが設けられている。グリッドの形状
や設置位置は必ずしも図21のようなものでなくとも良
く、開口としてメッシュ上に多数の通過口を設ける事も
あり、また例えば表面伝導型放出素子の周囲や近傍に設
けてもよい。電子源の電極及びグリッド電極は、真空容
器外の制御回路と電気的に接続されている。
【0162】本実施の形態の画像形成装置では、素子列
を1列ずつ順次駆動(走査)していくのと同期してグリ
ッド電極列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加す
ることにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御
し、画像を1ラインずつ表示していく。
【0163】前述の様にして作製された表示パネルが、
画像形成装置として表示動作を行うための電気回路構成
の好ましい一例を以下に例示する。
【0164】図22は、本実施の形態の製造方法で作製
された単純マトリクス上に複数の電子放出素子を配置し
た電子源を用いて構成した画像形成装置を、NTSC方
式のテレビ信号にもとずきテレビジョン表示を行うため
の駆動回路の概略構成をブロック化で示したものであ
る。
【0165】図中、221は前記表示パネルであり、ま
た、222は走査回路、223は制御回路、224はシ
フトレジスタ、225はラインメモリ、226は同期信
号分離回路、227は変調信号発生器、VX及びVaは直
流電圧源である。
【0166】以下、各部の機能を説明してゆくが、まず
表示パネル221は、端子Dx1ないしDxm、及び端子D
y1ないしDyn、及び高圧端子HVを介して外部の電気回
路と接続している。このうち、端子Dx1ないしDxmに
は、前記表示パネル内に設けられているマルチ電子源、
すなわちM行N列の行列上にマトリクス配線された表面
伝導型放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動してゆ
くための走査信号が印加される。一方、端子Dy1ないし
Dynには、前記走査信号により選択された一行の表面伝
導型放出素子の各素子の出力電子ビームを制御するため
の変調信号が印加される。また、高圧端子HVには、直
流電圧源Vaより、例えば10K[V]の直流電圧が供
給されるが、これは表面伝導型放出素子より出力される
電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを
付与するための加速電圧である。
【0167】次に、走査回路222について説明する。
同回路は、内部にM個のスイッチング素子を備えるもの
で(図中、S1ないしSmで模式的に示している)、各ス
イッチング素子は、直流電圧源VXの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル221の端子Dx1ないしDxmと電位的に接続
するものである。S1ないしSmの各スイッチング素子
は、制御回路223が出力する制御信号Tscan にもと
ずいて動作するものだが、実際には例えばFETのよう
なスイッチング素子を組み合わせることにより容易に構
成できる。
【0168】なお、前記直流電圧源VXは、本実施の形
態の場合には前記表面伝導型放出素子の特性(電子放出
閾値電圧)に基づき、走査されていない素子に印加され
る駆動電圧が電子放出閾値電圧以下となるような一定電
圧を出力するように設定されている。また、制御回路2
23は、外部より入力する画像信号に基づいて適切な表
示が行われる様に各部の動作を整合させるように制御
し、次に説明する同期信号分離回路226より送られる
同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscan 及び
Tsft及びTmry等の制御信号を発生する。
【0169】同期信号分離回路226は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、よく知られて
いる様に周波数分離(フィルタ)回路を用いれば容易に
構成できる。同期信号分離回路226により分離された
同期信号は、よく知られる様に垂直同期信号と水平同期
信号によりなるが、ここでは説明の便宜上Tsync 信号
として図示した。一方、前記テレビ信号から分離された
画像の輝度信号成分を便宜上DATA信号と表すが、同
信号がシフトレジスタ224に入力される。
【0170】シフトレジスタ224は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて動
作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ22
4のシフトクロックであると言い換えてもよい)。シリ
アル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素
子N素子分の駆動データに相当する)のデータは、ID1
ないしIDnのN個の並列信号として前記シフトレジスタ
224より出力される。ラインメモリ105は、画像1
ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶するための記
憶装置であり、制御回路223より送られる制御信号T
mryにしたがって、適宜ID1ないしIDnの内容を記憶す
る。記憶された内容は、I'D1ないしI'Dnとして出力さ
れ、変調信号発生器227に入力される。
【0171】変調信号発生器107は、前記画像データ
I'D1ないしI'Dnの各々に応じて、表面伝導型放出素子
の各々を適切に駆動変調するための信号源で、その出力
信号は、端子Dy1ないしDynを通じて表示パネル101
内の表面伝導型放出素子に印加される。
【0172】前述した様に、本実施の形態に係る電子放
出型素子は、放出電流Ieに対して以下の基本特性を有
している。すなわち、前述した様に、電子放出には明確
な閾値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印加されたと
きのみ電子放出が生じる。また、電子放出閾値以上の電
圧に対しては、素子への印加電圧の変化に応じて放出電
流も変化してゆく。なお、電子放出素子の材料や構成、
製造方法を変える事により、電子放出閾値電圧Vthの値
や、印加電圧に対する放出電流の変化の度合いが変わる
場合もあるが、いずれにしても以下のようなことがいえ
る。
【0173】即ち、本素子にパネル上の電圧を印加する
場合、例えば、電子放出閾値以下の電圧を印加しても電
子放出は生じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加す
る場合には電子ビームが出力される。その際、第1にパ
ルスの波高値Vmを変化させることにより出力電子ビー
ムの強度を制御する事ができる。第2には、パルスの長
さPWを変化させることにより、出力される電子ビーム
の電荷の総量を制御する事が可能である。
【0174】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等があげられ、電圧変調方式を実施するには、変調
信号発生器227としては、一定の長さの電圧パルスを
発生するが入力されるデータに応じて適宜パルスの波高
値を変調するような電圧変調方式の回路を用いる。
【0175】また、パルス幅変調方式を実施するには、
変調信号発生器227としては、一定の波高値の電圧パ
ルスを発生するが、入力されるデータに応じて適宜電圧
パルスの長さを変調するようなパルス幅変調方式の回路
を用いるものである。
【0176】以上に説明した一連の動作により、表示パ
ネル221を用いてテレビジョン画像を表示できる。な
お、上記説明中、特に記載しなかったが、シフトレジス
タ224やラインメモリ225は、デジタル信号式のも
のでもアナログ信号式のものでも差し支えなく 要は画
像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で
行われればよい。なお、デジタル信号式を用いる場合に
は、同期信号分離回路226の出力信号DATAをデジ
タル信号化する必要があるが、これは同期信号分離回路
226の出力部にA/D変換器を備えれば容易に可能で
ある。また、これと関連してラインメモリ225の出力
信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号
発生器227に用いられる回路が若干異なったものとな
る。即ち、デジタル信号の場合には、電圧変調方式の場
合、変調信号発生器227には、例えばよく知られるD
/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付け加
えればよい。またパルス幅変調方式の場合、変調信号発
生器227は、例えば高速の発振器及び発振器の出力す
る波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力
値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合わせた回路を用いれば当業者であれば容易
に構成できる。必要に応じて、比較器の出力するパルス
幅変調された変調信号を表面伝導型放出素子の駆動電圧
にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0177】一方、アナログ信号の場合には、電圧変調
方式の場合、変調信号発生器227には、例えばよく知
られるオペアンプ等を用いた増幅回路を用いればよく、
必要に応じてレベルシフト回路等を付け加えてもよい。
また、パルス幅変調方式の場合には、例えばよく知られ
た電圧制御型発振回路(VCO)を用いればよく、必要
に応じて表面伝導型放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅
するための増幅器を付け加えてもよい。
【0178】<第1実施の形態> 第1実施の形態は、前記手段(A−1)により作製した
多数の表面伝導型放出素子を単純マトリクス配置した電
子源の例である。
【0179】電子源の一部の平面図を図26に示す。ま
た、図中のA−A’断面図を図27に示す。但し、図2
6において、図27で、同じ記号を示したものは、同じ
ものを示す。ここで261は基板、262は図24のD
xに対応するX方向配線242(下配線とも呼ぶ)、2
63は図24のDyに対応するY方向配線243(上配
線とも呼ぶ)、264は電子放出部を含む薄膜、27
2,273は素子電極、274は層間絶縁層、275は
素子電極272は下配線262と電気的接続のためのコ
ンタクトホールである。
【0180】次に製造方法を図28(a)〜(h)によ
り、工程順に従って具体的に説明する。
【0181】工程−a 清浄化した青板ガラス261上に厚さ0.5ミクロンの
シリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板261上
に、真空蒸着により厚さ50オングストロームのCr、
厚さ6000オングストロームのAuを順次積層した
後、ホトレジスト(AZ1370ヘキスト社製)をスピ
ンナにより回転塗布、ベークした後、ホトマスク像を露
光、現像して、下配線262のレジストパターンを形成
し、Au/Cr堆積層をウエットエッチングして、所望
の形状の下配線262を形成する。
【0182】工程−b 次に厚さ1.0ミクロンのシリコン酸化膜からなる層間
絶縁層274をRFスパッタ法により堆積する。
【0183】工程−c 工程bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール2
75を形成するためのホトレジストパターンを作り、こ
れをマスクとして層間絶縁層274をエッチングしてコ
ンタクトホール275を形成する。エッチングはCF4
とH2ガスを用いたRIE(Reactive IonEtching)法
によった。
【0184】工程−d その後、素子電極272,273と素子電極間ギャップ
L1となるべきパターンをホトレジスト(RD−200
0N−41日立化成社製)で形成し、真空蒸着法によ
り、厚さ50オングストロームのTi、厚さ1000オ
ングストロームのNiを順次堆積した。ホトレジストパ
ターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフト
オフし、素子電極間隔L1は2ミクロンとし、素子電極
の幅W1を220ミクロン、を有する素子電極272,
273を形成した。
【0185】工程−e 素子電極272,273の上に上配線263のホトレジ
ストパターンを形成した後、厚さ50オングストローム
のTi、厚さ5000オングストロームのAuを順次真
空蒸着により堆積し、リフトオフにより不要の部分を除
去して、所望の形状の上配線263を形成した。
【0186】工程−f 図29に本実施の形態の工程にかかわる表面伝導型放出
素子の電子放出部形成用薄膜271のマスクの平面図の
一部を示す。素子間電極ギャップL1及びこの近傍に開
口を有するマスクであり、このマスクを用いて膜厚10
00オングストロームのCr膜を真空蒸着により堆積・
パターニングし、その上に有機Pd(ccp4230奥
野製薬(株)社製)をスピンナにより回転塗布、300
℃で約10分間の加熱焼成処理をした。また、こうして
形成された主元素としてPdよりなる微粒子からなる電
子放出部形成用薄膜64の膜厚は100オングストロー
ム、シート抵抗値は5×104Ω/□であった。なおこ
こで述べる微粒子膜とは、上述した様に、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個
々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣
接、あるいは、重なり合った状態(島状も含む)の膜を
指し、その粒径とは、前記状態で粒子形状が認識可能な
微粒子ついての径を言う。
【0187】工程−g Cr膜276及び焼成後の電子放出部形成用薄膜277
の酸エッチャントによりエッチングして所望のパターン
を形成した。
【0188】工程−h コンタクトホール275部分以外にレジストを塗布する
ようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ50オン
グストロームのTi、厚さ5000オングストロームの
Auを順次堆積した。シフトオフにより不要の部分を除
去する事により、コンタクトホール275を埋め込ん
だ。
【0189】以上の工程により絶縁性基板261上に下
配線262、層間絶縁層274、上配線263、素子電
極272,273、電子放出部形成用薄膜277等を形
成した。以上の様にして作製した基板をフォーミング処
理を施していない電子源用基板と呼ぶ。
【0190】次に、このフォーミング処理を施していな
い電子源用基板を用い、本実施の形態によるフォーミン
グ処理を行い電子源を作製した例を具体的に説明する。
【0191】図30は、本実施の形態を説明するための
図で、先述の様にして単純マトリクス配線された電子放
出部形成用薄膜群のうちの一部に対してフォーミングを
行う際の、電気的な接続を示したものである。同図では
図示の便宜上、表面伝導型放出素子を6×6個だけ単純
マトリクス配線して示しているが、本実施の形態では3
00×200個のマトリクスを作製した。
【0192】図に於いては、説明上、各表面伝導型放出
素子を区別するためにD(1、1)、D(1、2)、
…、D(6、6)の様に、(X,Y)座標で示してい
る。
【0193】また、図中、Dx1,Dx2,…Dx6は単純マ
トリクス配線の各配線を示しており、各々端子Pを介し
て外部と電気的に接続されている。また、VEは電圧源
であり、電子放出部形成用薄膜をフォーミングするのに
必要な電圧を発生する能力を有するものである。
【0194】本図に示すのは、D(1、3)、D(2、
2)、D(3、3)、D(4、3)D(5、3)、D
(6、3)、…D(300、3)の300素子を同時に
フォーミングする場合の電圧印加法である。図に示す様
に配線Dx3には、グランドレベル、即ち、0[V]が印
加される。一方、X方向の配線のうちDx3以外のもの、
即ち、Dx1,Dx2,Dx4,Dx5,Dx6,…Dx200には、
電圧源Vformより、例えば6Vの電位が印加され、これ
と同時にDy1,Dy2,Dy3,Dy4,Dy5,Dy6…,Dy3
00の各配線にも電圧源Vformより電位が印加される。
【0195】この結果、マトリクス配線された複数の素
子のうち、選択されたD(1、3)、D(2、3)、D
(3、3)、D(4、3)、D(5、3)、D(6、
3)、…,D(300,3)の両端には、電圧源Vform
の出力電圧が印加されるため、これら300素子では平
行してフォーミングが行われる。
【0196】一方、前記300素子以外の素子は、素子
両端ともほぼ等電位(電圧源VEの出力電位)が印加さ
れるため、素子両端にかかる電圧はほぼ0[V]とな
り、フォーミングが行われないのはもちろんのこと、電
子放出材よりなる薄膜が変質したり損傷したりすること
も全く無い。このようにして、作製された電子放出部
は、パラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置さ
れた状態となり、その微粒子の平均粒径は30オングト
ロームであった。
【0197】ここで、各素子の抵抗は約1キロオーム、
1素子あたりの下配線抵抗(x方向)は約0.03オー
ム、上配線抵抗(y方向)は約0.1オームであった。
ここで前述したように、給電部が片側の場合では式(1
2)から、(Nx×Nx-8Nx)×rx×=2628,(Ny×
Ny-8Ny)×ry=3840であるから、素子数は多いが
x方向の素子を一括してフォーミングしたほうがよい。
上述の工程で作製した多数の平面型表面伝導型放出素子
の特性を把握するために、その電子放出特性の測定を前
述の図9の測定評価装置を用いて行った。
【0198】なお測定条件は、アノード電極と表面伝導
型放出素子間の距離を4mm、アノード電極の電位を1
kV、電子放出特性測定時の真空装置内の真空度を1×
10-6torrとした。
【0199】本実施の形態における代表的な表面伝導型
放出素子では、素子電圧8V程度から急激に放出電流I
eが増加し、素子電圧14Vでは素子電流Ifが2.2m
A、放出電流Ieが1.1マイクロAとなり、電子放出
効率Ie/If(%)は0.05%であった。
【0200】本実施の形態では全ての素子において、電
子放出効率のばらつきが7%以内となり、ほぼ均一な特
性が得られた。
【0201】<第2実施の形態> 本実施の形態では、前述の第1実施の形態で作製したフ
ォーミング処理を施していない電子源用基板を用いて画
像形成装置を構成した例について図24及び図25を用
いて説明する。
【0202】先のフォーミング処理を施していない30
0×200個の素子を単純マトリクス配置した電子源用
基板111をリアプレート241上に固定した後、電子
源用基板111の5mm上方に、フェースプレート24
6(ガラス基板243の内面に画像形成部材であるとこ
ろの蛍光膜244とメタルバック245が形成されてい
る構成される)を支持枠242を介し配置し、フェース
プレート246、支持枠242、リアプレート241の
接合部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素
雰囲気中で、400℃で10分以上焼成することで封着
した。また、リアプレート241への電子源用基板11
1の固定もフリットガラスで行った。
【0203】蛍光膜244は、モノクロームの場合は蛍
光体のみからなるが、本実施の形態では蛍光体はストラ
イプ形状(図25(a)(b)参照)を採用し、先にブ
ラックストライプを形成し、その間隙部に各色蛍光体を
塗布し、蛍光膜245を作製した。ブラックストライプ
の材料として通常よく用いられている黒鉛を主成分とす
る材料を用いた。ガラス基板244に蛍光体を塗布する
方法はスラリー法を用いた。
【0204】また、蛍光膜245内面側設けられるメタ
ルバック246は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面
の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、
その後Al(アルミニウム)を真空状着することにより
作製した。フェースプレートには、更に蛍光膜245の
導電性を高めるため、蛍光膜245の外面側面で透明電
極が設けられている場合もあるが、本実施の形態ではメ
タルバック246のみで十分な伝導性が得られたので省
略した。前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光
体と表面伝導型放出素子とを対応させなくてはいけない
ため、十分な位置合わせを行った。
【0205】以上のようにして完成したガラス容器内の
雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気
し、10-5[torr]程度の真空度に達した後、容器該端子
DOx1ないしDOxmとDOy1ないしDOynを通じて、第1実
施の形態に示した容量で素子電極管に電圧を印加し、前
述の通電処理(フォーミング処理)を行い、電子放出部
を成し、表面伝導型放出素子を作製した。
【0206】次に10-6[torr]程度の真空度で、不図示
の排気管をガスバーナで熱することにより溶着し、外囲
器の封止を行った。
【0207】最後に封止後の真空度を維持するために、
ゲッター処理を行った。これは、封止後に高周波加熱法
により、画像形成装置内の所定の位置(不図示)に配置
されたゲッターBaを加熱し、蒸着形成した。
【0208】以上のように完成した本実施の形態に係る
画像形成装置において、各表面伝導型放出素子には、容
器該端子DOx1ないしDOxm,DOy1ないしDOynを通じ、
走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段によりそ
れぞれ印加することにより、電子放出させ、高圧端子H
Vを蛍光体244に衝突させ、励起・発光させることに
より画像を表示した。
【0209】本実施の形態で作製した画像形成装置にお
いて、単純マトリクス配線された多数の表面伝導型放出
素子を均一にフォーミングできたことにより、素子特性
が均一になり表示画像の輝度均一性の大幅な向上が確認
された。
【0210】実際、以上のようにして作製した表示装置
を2台用意し、給電部を片側のみにしてx方向で一括し
てフォーミングしたものと、y方向で一括してフォーミ
ングしたものを用意して、各画素に一定電圧を印加し、
高圧端子HVに5k[V]印加して輝度測定したとこ
ろ、x方向を一括したフォーミングした方は輝度むらが
7%以下であったのに対し、y方向を一括してフォーミ
ングした方は輝度むらが15%程度あった。即ち、フォ
ーミング前にラインフォーミングすべき方向を決定でき
たことがわかる。
【0211】<第3実施の形態> 次に、本実施の形態の手段(A−1)を用いて、前述の
第2実施の形態と同様に作製した画像形成装置について
説明する。但し、本実施の形態においては第2実施の形
態と素子の個数、配線形状、厚みを変えてあり、既述の
表現を用いて、Nx=50,rx=.03オーム、Ny=
50,ry=0.1オーム、R=1キロオームの電子源
用基板を作製した。また、X方向、Y方向それぞれの配
線の両端から給電できる構造の画像形成装置とした。先
に述べたように給電部が各配線の両側にある場合は式
(13)から、(Nx×Nx-24Nx)×rx=39, (Ny
×Ny-24Ny)×ry=18 となる。すなわちY方向の
電子放出部形成用薄膜列を一括してフォーミングした方
がよいことがわかる。
【0212】第2実施の形態と同様に、x方向を一括し
たフォーミング方法と、y方向を一括したフォーミング
方法の2種の方法でフォーミング処理した2枚のパネル
を比較したところ、やはり、前者の輝度むらは12%程
度、後者は6%以下と、明らかにy方向フォーミング処
理したものの方が輝度むらが小さかった。即ち、フォー
ミング前にラインフォーミングすべき方向を決定できた
ことがわかる。
【0213】<第4実施の形態> 以下に、本実施の形態の手段(A−1)のフォーミング
処理を行う処理装置について説明する。
【0214】このフォーミング処理装置の電気回路構成
の一例を図31に示す。図中、311は第1実施の形態
と同様の工程で作製したm×n個の電子放出部形成用薄
膜を単純マトリクス配線したフォーミング処理を施して
いない電子源用基板であり、312はスイッチング素子
アレイ、313はフォーミングパルス発生器、314は
制御回路である。
【0215】電子源用基板311は図30の場合と同様
に、端子Dx1〜Dxn及びDy1〜Dymを介して、周辺の電
気回路と電気的に接続されるが、このうちDx1〜Dxnは
スイッチング素子アレイ312と接続され、Dy1〜Dym
はフォーミングパルス発生器313の出力と接続され
る。スイッチング素子アレイ312は、内部にS1〜Sn
のn個のスイッチング素子を備え、各スイッチング素子
は前記端子Dx1〜Dxnの各々を、フォーミングパルス発
生器313の出力またはグランドレベルかのどちらか一
方と接続する機能を持つ。なお、各スイッチング素子
は、制御回路314の発生する制御信号SC1に従って
動作するものである。
【0216】また、フォーミングパルス発生器313
は、制御回路314の発生する制御信号SC2に従っ
て、電圧パルスを出力する。制御回路314は、前述し
たようにスイッチング素子アレイとフォーミングパルス
発生器313の動作を制御するための回路である。
【0217】以上、各部の機能を説明したが、次に全体
の動作を順を追って説明する。
【0218】まず、フォーミングを開始する前に、制御
回路314の制御により、スイッチング素子アレイ31
2の各スイッチング素子は全てグランドレベル側と接続
しており、また、フォーミングパルス発生器313の出
力電圧も0[V]、即ち、グランドレベルに保たれてい
る。
【0219】次に、前記図30で説明したように、素子
列の一列を選択してフォーミング処理するために、スイ
ッチング素子アレイ312の中のスイッチング素子のう
ち、フォーミング処理を行う列と接続している以外のも
の全てをフォーミングパルス発生器313側と接続する
ように、制御回路314は制御信号SC1を発生する
(図31ではS3を除く全てのスイッチング素子をフォ
ーミングパルス発生器313側に接続した例を示してあ
る。)次に、制御回路314はフォーミングパルス発生
器313に対して、フォーミングに好適な電圧パルスを
出力するよう制御信号SC2を発する。選択された一列
の素子のフォーミングが完了したならば、制御回路31
4はフォーミングパルス発生器313に対して、パルス
の発生を中止し、出力電圧が0[V]となるよう制御信
号SC2を発生する。更に、スイッチング素子アレイ3
12に含まれる全てのスイッチング素子をグランドレベ
ル側と接続するよう制御信号SC1を発生する。
【0220】以上の動作手順により、任意に選択した一
列の素子フォーミングが完了する。以下、同様の手順で
他の素子列を順次フォーミングすることにより、m×n
個の表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線した基板
の全素子を均一にフォーミングすることができる。
【0221】本実施の形態では、上記手順により100
×100個の単純マトリクス基板を用い、選択素子に図
8に示したような電圧波形のパルスを印加しフォーミン
グ処理を行った。なお、本実施の形態ではパルス幅T1
を1ミリ秒、パルス間隔T2を10ミリ秒とし、三角波
の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は5Vとし、
フォーミング処理は約1×10-6[torr]の真空雰囲気下
で60秒間行った。そして、図9のような測定評価装置
を用いて測定したところ、作製した電子源中の代表的な
素子では、素子電圧8V程度から急激に放出電流Ieが
増加し、素子電圧14Vでは素子電流Ifが2.4m
A、放出電流Ieが1.0μAとなり、電子放出効率η
=Ie/If(%)は0.04%であった。
【0222】従来技術の問題点で述べたような亀裂形成
のばらつきが発生すると、上記電子放出効率の素子間の
均一性が得られなかった。しかし、本実施の形態のフォ
ーミング装置によればフォーミングされる瞬間、各素子
に実効的に印加される電圧のばらつきは小さくなり、素
子特性として電子放出効率の素子間ばらつきも10%以
下に抑えられた。
【0223】<第5実施の形態> 次に第1実施の形態で作製した基板と同じフォーミング
処理を施していない電子源用基板を用い、前記手段(A
−2)によるフォーミング処理を行い電子源とした例を
具体的に説明する。
【0224】図18は、本実施の形態を説明するための
図で、先述したようにして単純マトリクス配線された電
子放出部形成用薄膜群のうちの一部に対してフォーミン
グを行う際の電気的な接続を示したものである。
【0225】図18に示す構成により、行配線(Dx1 -
xm)及び列配線(Dy1 - yn)にフォーミング電源(電
位はV1またはV2)を接続してフォーミングを行う。こ
のとき全行配線のうち、K本に電位V1を、残りの(m
−K)本に電位V2を印加し、同様に全列配線のうちL
本に電位V2を、残りの(n−L)本に電位V1を印加す
る。これにより全電子放出部形成用薄膜のK×L+(m
−K)×(n−L)個の電子放出部形成用薄膜が選択さ
れ、選択された電子放出部形成用薄膜にはほぼ電圧V2
−V1(本実施の形態では6V)が印加されフォーミン
グが行われる。
【0226】一方、上記選択された電子放出部形成用薄
膜以外の薄膜の両端の電極には、ほぼ等電位が印加され
るため、電子放出部形成用薄膜の両端にかかる電圧はほ
ぼ0[V]となり、フォーミングが行われないのはもち
ろんのこと、電子放出部形成用薄膜が変質したり損傷し
たりする事も全く無い。次に、列配線(あるいは行配
線)に接続した電位V1とV2とを入れ換えることによ
り、先に選択されなかった残りの電子放出部形成用薄膜
が選択され、同様にフォーミングを施す。
【0227】上述の行程で、m,nを100、K,Lを
50として作製した多数の平面型表面伝導型放出素子の
特性を把握するために、その電子放出特性の測定を前述
の図9の測定評価装置を用いて行った。
【0228】なお測定条件は、前述の実施の形態と同じ
く、アノード電極と表面伝導型放出素子間の距離を4m
m、アノード電極の電位を1kV、電子放出特性測定時
の真空装置内の真空度を1×10-6[torr]とした。その
結果、電子放出効率η=Ie/If(%)は0.04%で
あった。また、全ての素子において、ほぼ均一な特性が
得られ、例えば電子放出効率ηのばらつきは全体で8%
以内であった。
【0229】<第6実施の形態> 本実施の形態では第5実施の形態と同じフォーミング処
理を施して作製した画像形成装置について図24を用い
て説明する。
【0230】先の第2実施の形態と同様の構成及び作製
方法であるが、100×100個の素子を単純マトリク
ス配線した電子源用基板、つまり第5実施の形態で作製
した同じ基板を用いて、フォーミング処理を施していな
い状態の画像形成装置を作製する。
【0231】完成したガラス容器内の雰囲気を排気管
(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気し、1×10-5
[torr]より高い真空度に達した後、容器外端子Dx1ない
しDxmとDy1ないしDynを通じ、第5実施の形態で示し
た容量で素子電極間に電圧を印加し、前述の通電処理
(フォーミング処理)を行い、電子放出部を形成し、表
面伝導型放出素子を作製した。次に、10-6トール程度
の真空度で、不図示の排気管をガスバーナーで熱するこ
とで溶着し、外囲器の封止を行った。
【0232】最後に、封止後の真空度を維持するために
ゲッタ処理を行った。
【0233】以上のようにして完成した本実施の形態の
画像形成装置において、各表面伝導型放出素子には、容
器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないしDynを通じ、走査
信号及び変調信号を不図示の信号発生手段によりそれぞ
れ印加し、高圧端子HVを通して、高圧を印加して画像
を表示した。
【0234】本実施の形態で作製した画像形成装置にお
いても、単純マトリクス配線された多数の表面伝導型放
出素子を均一にフォーミングできることにより、素子特
性が均一になり表示画像の輝度むらが8%以下となった
ことが確認された。
【0235】<第7実施の形態> 第1実施の形態で作製したフォーミング処理を施してい
ない電子源用基板を用い、本実施の形態の手段(A−
2)の別の方法でフォーミング処理して作製した電子源
について説明する。
【0236】図3は、640×400個の単純マトリ
クス配線されたフォーミング処理を施していないの電子
放出部形成用薄膜群のうちの半数に対してフォーミング
を行う際の電気的な接続を示したものである。また、図
中、Dx1,Dx2,…Dx400及びDy1,Dy2,…Dy640
は、単純マトリクス配線の各配線を示している。また、
V1,V2はフォーミングパルスを発生する電源である。
【0237】本図は黒丸で示した素子を選択的にフォー
ミングする場合の電圧印加方法である。即ち、V1をグ
ランドレベル、V2を電位Vformとする。黒丸の素子の
両端にはほぼ(V2−V1)の電圧、即ち、Vformが、白
抜きの素子の両端にはほぼ0[V]の電圧が印加される
ので、選択的に黒丸の素子がフォーミングされ、白抜き
の素子は変化されない。
【0238】次に、図3に示すのは、上記の方法でフ
ォーミング処理を行うための電気回路構成の一例であ
り、図中、341はフォーミング処理を施していない電
子放出部形成用薄膜を640×400個、単純マトリク
ス配線した電子源用基板であり、また342はスイッチ
ング素子、343はフォーミングパルス発生器、344
は制御回路である。電子源341の行配線(Dx1,Dx
2,…Dx400)のうち奇数番目のグループはグランドレ
ベルに、偶数番目のグループはフォーミングパルス発生
器の出力に接続する。列配線(Dy1,Dy2,…Dy640)
のうち奇数番目のグループと偶数番目のグループは、そ
れぞれグランドレベルあるいはフォーミングパルス発生
器出力のどちらかに接続される。但し、同時にフォーミ
ングパルス発生器に接続されることはない。
【0239】スイッチング素子342は、前述の列配線
の接続切り換えを制御回路344からの信号信号により
行う。フォーミングパルス発生器343は制御回路34
4の発生する制御信号に従って、前述のフォーミングパ
ルスを出力する。
【0240】まず、フォーミング開始前、全ての配線は
グランドレベルに保たれている。次に、列配線の奇数番
目のグループをフォーミングパルス発生器343の出力
に、偶数番目のグループをグランドレベルに接続するよ
うにスイッチング素子342に制御回路344から信号
が送出される。次に、制御回路344からフォーミング
パルス発生器343に信号が送られ、フォーミングが行
われる。フォーミングのパルスが選択された電子放出部
形成用薄膜に印加される。このとき、各行配線には行方
向の電子放出部形成用薄膜の個数640の2分の1であ
る320個分のフォーミング電流が流れ、各列配線には
同様に200個分の電流が流れる。選択された全ての電
子放出部形成用薄膜のフォーミングが終了したならば、
スイッチング素子342を切り換えて、列配線の奇数番
目をグランドレベルに、偶数番目をフォーミングパルス
発生器343の出力に接続することにより残りの電子放
出部形成用薄膜が選択され、同様にフォーミングパルス
を印加してフォーミングを行う。
【0241】本実施の形態では、上記手順により選択さ
れた電子放出部形成用薄膜に図8に示したような電圧波
形のパルスを印加してフォーミング処理を行った。な
お、本実施の形態ではパルス幅T1を1mm秒、パルス
間隔T2を10mm秒とし、三角波の波高値(フォーミ
ング時のピーク電圧)は5Vとし、フォーミング処理は
約1×10-6[torr]の真空雰囲気下で60秒行った。
【0242】また、本実施の形態においては、フォーミ
ング時に各配線に流れる電流による温度上昇を押さえる
ことができ、配線や基板の破壊は一切生じなかった。更
に、図3に示したようにマトリクス配線された多数の
電子放出部形成用薄膜を千鳥状にフォーミングしたの
で、温度むらが生ずることもなく、良好にフォーミング
を行うことができた。
【0243】その結果、第5実施の形態と同様にして電
子放出特性を測定すると電子放出効率η=Ie/If
(%)は0.05%であった。また、全ての素子におい
て、ほぼ均一な特性が得られ、例えば電子放出効率ηの
ばらつきは全体で13%以内であった。
【0244】また、第6実施の形態と同様の構成で作製
したフォーミング処理前の画像形成装置に対して、本実
施の形態の方法でフォーミング処理を施して作製した画
像形成装置においても、単純マトリクス配線された多数
の電子放出部形成用薄膜を均一にフォーミングすること
ができたことにより、素子特性が均一になり表示画像の
輝度むらが13%以下となったことが確認された。
【0245】<第8実施の形態> 第1実施の形態から第7実施の形態までは、一部の素子
だけにフォーミング電圧を印加するよう外部端子から配
線を通して給電する方法に関するものであったが、本実
施の形態は、前記手段(B−1)により配線以外の電気
的接続手段を用いて素子に給電するものである。本実施
の形態で用いる方法は配線の並び方には依存せず、前述
の梯子状の配置や単純マトリクス配置どちらにも実施可
能である。
【0246】まず表面伝導型放出素子を梯子上に配置し
た電子源の作製構成を図5を用いて説明する。
【0247】清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5ミク
ロンのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板65
1上に、厚さ1000オングストロームのNi薄膜を真
空蒸着により成膜し、ホトリソ技術により素子電極65
5,656を形成する。素子間電極ギャップL1及びこ
の近傍に開口を有するマスク(図29)を用いて、ホト
リソ技術により膜厚1000オングストロームのCr膜
を真空蒸着により堆積・パターニングし、そのうえに有
機Pd(ccp4230奥野製薬(株)社製)をスピン
ナーにより回転塗布、300℃で約10分間の加熱焼成
処理をした。
【0248】Cr膜及びCr上のPdを主成分とする薄
膜をエッチングして所望のパターンを形成した。こうし
てPdより成る微粒子からなる電子放出部形成用薄膜6
52形成する。その幅W2を300ミクロンとした。
【0249】この複数ライン状に並べたマルチ電子源
と、本実施の形態の核心となるフォーミング用電気的接
続手段を用いての通電を説明する斜視図を図3に示
す。ここで351は前記表面伝導型放出素子であり10
00個並列に並んでいる。352は各素子に通電する共
通配線となるNi電極、353は共通配線352の複数
部分で電気的接続を行う端子となる針状の銅端子、、3
54は銅端子353とフォーミング電源とを電気的に結
ぶ銅のバルク配線を示す。上記銅端子は表面伝導型放出
素子3つ毎に332組で接続されるよう構成している。
上記銅端子を共通配線352に圧着し、フォーミング電
源から素子のフォーミングに必要な電圧を共通配線35
2に印加して電子放出部となる亀裂を形成させるもので
ある。このとき、バルク銅配線354の各端子間での抵
抗を共通配線352と比較して1/1000以下となる
よう、バルク銅配線354の断面は1mm角以上の面積
とした。
【0250】ここで、従来技術の問題点で述べたような
亀裂形成のばらつきが発生すると、上記電子放出効率の
素子間均一性が得られなかったが、本実施の形態のフォ
ーミング装置を用いてフォーミング電圧を印加したとこ
ろ、前記銅端子(図3の353)の接触部に於ける電
圧のばらつきは0.001[V]以内に納まった。ま
た、実際の素子特性として電子放出効率の素子間ばらつ
きも5%以下に抑えられた。
【0251】<第9実施の形態> 本実施の形態では第8実施の形態の作製行程と同じ行程
により作製したフォーミング処理を施していない電子源
用基板を用いて画像形成装置を構成した例について図2
1、図5を用いて説明する。まず、第8実施の形態と
同様に電気的接続手段を用いたフォーミング処理を窒素
雰囲気中で行いリアプレート上に固定する。
【0252】図21は、梯子型配置のマルチ電子源を備
えた画像形成装置のパネル構造を示すための図であり、
図中、VCはガラス製の真空容器で、その一部であるF
Pは表示面側のフェースプレートを示している。フェー
スプレートFPの内面には、例えばITOを材料とする
透明電極が形成され、更に該透明電極上には赤、緑、青
の蛍光体がモザイクもしくはストライプ上に塗り分けら
れている。図面の複雑化を避けるため、図中では透明電
極と蛍光体を合わせてPHとして示されている。なお、
各色の蛍光体の間にはCRTの分野では公知のブラック
マトリクスもしくはブラックストライプを設けてもよ
く、また蛍光体の上に同じく公知のメタルバック相を形
成することも可能である。前記透明電極は、電子ビーム
の加速電圧を印加できるように端子EVを通じて真空容
器外と電気的に接続されている。本実施の形態では4k
[V]の高圧を印加した。
【0253】また、リアプレートSは真空容器VCの底
面に固定されたマルチ電子ビーム源の基板で、前述のよ
うに表面伝導型放出素子が配列形成されている。なお、
本実施の形態においては、1列あたり200素子が並列
に配線された素子列が200列設けられている。各素子
列の2本の配線電極は、両側のパネル側面に設けられた
電極端子Dp1〜Dp200及びDm1〜Dm200と交互に接続し
ており、真空容器外から駆動電気信号が印加できるよう
になっている。
【0254】また、リアプレートSとフェースプレート
FPの中間には、ストライプ状のグリッド電極GRが設
けられている。グリッド電極GRは、前記素子列と直交
して(即ちY方向に沿って)200本が独立して設けら
れている。開口Ghは、各表面伝導型放出素子に対応し
て1個ずつ円形のものが設けられているが、場合によっ
てはメッシュ状に多数の通過口を設けることもある。各
グリッド電極は、電極端子G1〜G200により真空容
器外と電気的に接続されている。なお、グリッド電極は
表面伝導型放出素子から放出された電子ビームを変調す
ることができるものであればその形状や設置位置は必ず
しも図21のようなものでなくても良く、例えば表面伝
導型放出素子の周辺や近傍に設けてもよい。
【0255】本実施の形態の表示パネルでは、表面伝導
型放出素子の素子列とグリッド電極で20×200のX
Yマトリクスを構成している。従って、素子列を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのに同期して、グリッド電
極列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加すること
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示していくことができる。
【0256】次に、図5は前記図21の表示パネルを
駆動するための電気回路をブロック図として示したもの
で、図中、600は前記図21の表示パネル、601は
外部から入力する複合画像信号をデコードするためのデ
コード回路、602はシリ/パラ変換回路、603はラ
インメモリ、604は変調信号発生回路、605はタイ
ミング制御回路、606は走査信号発生回路である。表
示パネル600の電極端子は各々電気回路と接続されて
おり、端子EVは10[KV]の加速電圧を発生する電
圧源HVと、端子G1〜G200は変調信号発生回路604
と、端子Dp1〜Dp200は走査信号発生回路106と、端
子Dm1〜Dm200はグランドとそれぞれ接続されている。
【0257】以下、各部の機能を説明する。まず、デコ
ード回路601は、外部から入力する例えばNTSCテ
レビ信号等の複合画像信号をデコードするための回路
で、複合画像信号から輝度信号成分と同期信号成分を分
離して、前者をDATA信号としてシリ/パラ変換回路
602に、後者をTsync信号としてタイミング制御回路
605に出力する。即ち、デコード回路601は、RG
Bの各色成分毎の輝度を表示パネル600のカラー画素
配列に合わせて配列しシリ/パラ変換回路602に順次
出力する。また、垂直同期信号と水平同期信号を抽出し
てタイミング制御回路605に出力する。タイミング制
御回路605は、前記同期信号Tsyncを基準にして、各
部の動作タイミングを整合させるための各種タイミング
制御信号を発生する。つまり、シリ/パラ変換回路60
2に対してはTSPを、ラインメモリ603に対してはT
MRYを、変調信号発生回路604に対してはTMODを、走
査信号発生回路606に対してはTSCANを出力する。
【0258】シリ/パラ変換回路602は、デコード回
路601から入力する輝度信号DATAをタイミング制
御回路605より入力されるタイミング信号TSPに基づ
いて順次サンプリングし、200個の並列信号I1〜I2
00としてラインメモリ603に出力する。タイミング制
御回路605は、画像の1ライン分のデータがシリ/パ
ラ変換された時点でラインメモリ603に対して書き込
みタイミング制御信号TMRYを出力する。ラインメモリ
603は、TMRYを受けるとI1〜I200の内容を記憶し
て、それをI'1〜I'200として変調信号発生回路604
に出力するが、これはラインメモリに次の書き込みタイ
ミング制御信号TMRYが入力されるまで保持される。
【0259】変調信号発生回路604は、ラインメモリ
603より入力される画像1ライン分緒輝度データに基
づいて、表示パネル600のグリッド電極に印加する変
調信号を発生させるための回路であり、タイミング制御
回路605の発生するタイミング制御信号TMODに合わ
せて変調信号を端子G1〜G200に同時に印加する。変調
信号は、画像の輝度データに応じて電圧の大きさを変え
る電圧変調方式を用いるが、輝度データに応じて電圧パ
ルスの長さを変えるパルス幅変調方式を用いることも可
能である。
【0260】また、走査信号発生回路606は、表示パ
ネル600の表面伝導型放出素子の素子列を適宜駆動す
るための電圧パルスを発生するための回路である。タイ
ミング制御回路1005の発生するタイミング制御信号
TSCANに合わせて適宜内部のスイッチング回路を切り替
え、定電圧源DVの発生する表面伝導型放出素子の閾値
を上回る適当な駆動電圧VE[V]か、またはグランド
レベル(即ち0[V])かを選択して端子Dp1〜Dp200
に印加するものである。
【0261】以上の回路により、表示パネル600には
特定のタイミングで駆動信号が印加される。即ち、振幅
VE[V]の電圧パルスが画像の1ライン表示時間毎に
順次Dp1,Dp2,Dp3…の順に印加されてゆく。一方、
端子Dm1〜Dm200は常にグランドレベル(0[V])と
接続されているため、上記電圧パルスにより素子列は第
1列目から順次駆動され電子ビームが出力されていく。
また、これと同期して変調信号発生回路604から、画
像の1ライン分の変調信号が同時に端子G1〜G200に印
加される。走査信号が切り替えられるのと同期して順次
変調信号も切り替えられ、1画面分の画像が表示されて
ゆく。これを連続して繰り返し行うことにより、テレビ
ジョン動画の表示が可能なわけである。
【0262】本実施の形態で作製された画像形成装置に
おいても、並列梯子状配置された多数の表面伝導型放出
素子を均一にフォーミングすることができたことによ
り、素子特性が均一になり表示画像の輝度むらが5%以
下となったことが確認された。
【0263】<第10実施の形態> 第10実施の形態は第8実施の形態において述べた電気
的接続手段である複数の針状の銅端子が横に結がり、一
体となったものである。
【0264】図3に本実施の形態を説明する電気的接
続部の斜視図を示す。361は表面伝導型放出素子、3
62は配線、363は電気的接続の接触端子で、第8実
施の形態と同様に銅で構成されている。図3よりわか
る様に、第8実施の形態では針状であった接触部端子
が、ここでは横に繋がったナイフエッジ状の形になって
いる。このため電気的接続端子間に存在した抵抗はバル
ク金属で繋がったことによりほぼ0になり、更に素子間
の配線抵抗も無視できるようになるため、通電処理時に
素子に印加されるフォーミング電圧のばらつきは更に小
さくなる。
【0265】第8実施の形態で用いたのと同じ電子源用
基板に対して、該電気的接続手段を用いてフォーミング
を行った場合、第8実施の形態では、フォーミング時に
各素子に印加される電圧のばらつきは0.001Vであ
ったが、本実施の形態では0.0001V以内になる。
【0266】このため、実際の素子特性として電子放出
効率(0.05%)の素子間ばらつきも5%以下に抑え
られる。また、第9実施の形態と同様にして画像形成装
置を形成すると、多数の表面伝導型放出素子を均一にフ
ォーミングすることができることにより、素子特性が均
一になり表示画像の輝度むらが5%以下となったことが
確認された。
【0267】<第11実施の形態> 第8実施の形態及び第10実施の形態は、表面伝導型放
出素子が一列横に並んだ構成のマルチ電子源のフォーミ
ングに関するものであったが、本実施の形態では単純マ
トリクス型に100×100個の素子を2次元に配線さ
れたマルチ電子源に前記手段(B−1)を適用した場合
について説明する。配線構成及び、表面伝導型放出素子
電子源は第1実施の形態と同様にして形成され、複数の
表面伝導型放出素子が並んだ電子源基板に電気的接触手
段を接続して、フォーミングを行う工程を図3を用い
て説明する。
【0268】図3(c)に示した千鳥状に2列に配置
された電気的接続手段377,378(接続部分の針状
端子をプローブと呼ぶ)を用いて、1素子に対して1組
の割合でプローブを接続し、ある1行に接続されている
表面伝導型放出素子両端近傍に、電位V1、V2を印加
する様に、それぞれのブローブを低抵抗配線3710、
3711で接続した図である。各プローブはタングステ
ン材のスプリングピンで、各ピンに数十gの荷重がかか
る様に押し当てることにより、接触抵抗は0.1Ω以下
となる。本実施の形態では、更に接触抵抗を下げるため
にスプリングピン先端及び配線状でプローブが接触する
部分373に低抵抗金属、ここではAuをコーティング
した。これにより接触抵抗は0.01Ω以下となった。
これらプローブはフォーミングパルスを発生する電源に
接続されている。
【0269】フォーミングパルスは図8に示すパルス波
形で、T1を1msec、T2を10msec、ピーク電
圧を4Vとした。1行のフォーミングが終了後、プロー
ブを接続する行を変えて順次フォーミングを行い、全表
面伝導型放出素子のフォーミングを完了する。本実施の
形態のフォーミング装置を用いてフォーミング電圧を印
加したところ、前記スプリングピンの接触部に於ける電
圧のばらつきは0.01V以内におさまり、素子特性と
して電子放出効率(0.05%)の素子間ばらつきも5
%以下に抑えられた。
【0270】本実施の形態では表面伝導型放出素子1つ
に1組のプローブを接続したが、配線抵抗及び、素子抵
抗を考慮して複数個おきに接続しても効果は同様に得ら
れる。
【0271】また本実施の形態では配線表面が露出して
いる部分にプローブを接触させたが、配線表面が露出し
ていない場合、例えば絶縁層で覆われている場合、プロ
ーブ接触部分の絶縁層を除去した基板を作製して、本実
施の形態と同様のフォーミング処理を施すことにより、
同様の効果が得られる。
【0272】<第12実施の形態> 本実施の形態では第11実施の形態で作製したフォーミ
ング処理を施していない電子源用基板を用いて画像形成
装置を構成した例について図24を用いて説明する。
【0273】まず、第11実施の形態と同様のフォーミ
ング処理を大気中あるいは窒素雰囲気中で行いリアプレ
ート241上に固定する。その後、第2実施の形態と同
様の構成、方法により画像形成装置を作製する。
【0274】以上のように完成した本実施の形態に係る
画像形成装置において、各表面伝導型放出素子には、容
器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないしDynを通じ、走査
信号及び変調信号を不図示の信号発生手段によりそれぞ
れ印加し、高圧端子HVを通じて5kVの高圧を印加
し、画像を表示した。本実施の形態で作製した画像形成
装置においても、単純マトリクス配線された多数の表面
伝導型放出素子を均一にフォーミングすることができた
ことにより、素子特性が均一になり表示画像の輝度むら
が5%以下となったことが確認された。
【0275】<第13実施の形態> 本実施の形態も表面伝導型放出素子を単純マトリクス配
置した電子源に手段(B−1)を適用した場合に関する
もので、電気的接続手段を行あるいは列の一方にのみ設
けたフォーミング方法である。配線構成及び、フォーミ
ング処理を施す前の複数素子を備えた電子源用基板は第
1実施の形態と同様にして形成され、該電子源用基板に
電流注入端子を接続して、フォーミングを行う工程を図
を用いて説明する。
【0276】第8実施の形態では、電気的接続手段とし
て正極側と負極側の2組で電子放出部形成用薄膜に通電
するようにしたが、本実施の形態では第1実施の形態と
同様に、横1列の素子を選択してフォーミングを行っ
た。即ち選択した1行(図3ではDxLライン)の電子
放出部形成用薄膜の共通配線の端部を接地し、更に該配
線と選択された各電子放出部形成用薄膜が接続する部分
に、第8実施の形態と同様の電気的接続手段を接続し、
該手段も接地する。また、各列配線(図でDy1〜Dyn)
配線及びDxLライン以外の行配線(Dx1〜DxmでDxL以
外)を電位Vfのフォーミング電源に接続する。正極側
は電子放出部形成用薄膜1つ1つに対し、同じ並列抵抗
で並列に電圧Vfが印加されるので、接地側だけに本実
施の形態の電気的接続手段を設けるだけでもフォーミン
グ電圧のばらつきを十分抑えられる。選択するラインを
順次変えることにより全電子放出部形成用薄膜に対して
フォーミングを施すことができる。
【0277】m,nを1000とした電子源用基板に対
して、上記方法によりフォーミング処理したところ、前
記スプリングピンの接触部に於ける電圧のばらつきは
0.01V以内におさまり、実際の素子特性として電子
放出効率(0.05%)の素子間ばらつきも5%以下に
抑えられた。また、本実施の形態により作製された電子
源基板を用いて、第12実施の形態と同様に作製された
画像形成装置においても、単純マトリクス配線された多
数の表面伝導型放出素子を均一にフォーミングすること
ができたことにより、素子特性が均一になり表面画像の
輝度むらが5%以下となったことが確認された。
【0278】また、本実施の形態では選択した各素子に
対し1対1で電気的接触手段を設けたが、電気的接続手
段が接続点が一点の場合でも印加電圧のばらつきを改善
することが可能である。例えば図3の行配線DxLの両
端を接地し、該配線の中央部にのみ電気的接触手段を接
続してフォーミング処理を行った場合でも、作製された
素子の電子放出効率の素子間ばらつきを10%以内に抑
えられた。
【0279】<第14実施の形態> 本実施の形態は第8実施の形態において述べた電気的接
続手段である銅端子の後段に加熱/冷却器をはさんで熱
容量の大きな部分を設けているものである。
【0280】図3に本実施の形態を説明する装置斜視
図、図39に装置の概要を説明するブロック図を示し
た。391はガラス基板、392は第8実施の形態と同
様の工程で作製した表面伝導型放出素子を構成する微粒
子膜で両端に形成された電極間隔L1は20μmとし、
1000個一列に並んだ構成となっている。393は複
数の並んだ表面伝導型放出素子に共通に通電するための
Ni電極パターン、394はフォーミング電圧を印加す
る電気的接触端子となる針状の銅端子で、素子3個毎に
332組並んだ構成となっている。
【0281】395は前記銅端子394と電気的かつ熱
的に結合したバルク導体で、ここでは断面5mm×20
mmの銅のバーを用いている。396は加熱/冷却器と
なるペルチェ素子、397は大熱容量導体となる断面2
0mm×20mmの銅のバーで、401は放熱器、40
2は395の温度の検出器で、ここでは熱電対を用いて
いる。403は該加熱/冷却器を駆動する温度コントロ
ーラ、404はフォーミング電源を示している。上記構
成で、銅端子394を共通配線393に圧着し、フォー
ミング電源404から素子のフォーミングに必要な電圧
を共通配線393に印加して電子放出部となる亀裂を形
成させるものである。このとき、銅のバー395の各端
子間での抵抗は共通配線393と比較し、1/1000
以下となるため、実施の形態8と同様、素子に印加され
るフォーミング電圧にばらつきは無くなる。
【0282】また、銅のバーの熱容量は銅端子394、
共通配線393と比較し、桁違いに大きいので共通配線
と銅端子の接触部の温度は常に一定に保たれることにな
る。フォーミングによるジュール熱で素子が加熱されて
も前記熱電対402でモニタし、温度コントローラでペ
ルチェ396を制御して銅のバー395を冷却すること
で、ほぼ一定の温度にマルチ電子源を保つことが可能と
なる。更に、電極の温度を素子間のばらつきなく、常に
低く保てるため、フォーミング中の微粒子膜392の温
度プロファイルは急峻なものとなり、温度がピークとな
り、熱破壊が起こる領域は狭く、かつ素子間に於けるそ
の領域の相対的位置も一定になるため、亀裂の位置、形
状のばらつきは小さく抑えられることになる。
【0283】本実施の形態フォーミング装置を用いて第
8実施の形態と同様の電子源用基板にフォーミング電圧
を印加した場合、前記銅端子394の接触部に於ける電
圧のばらつきは0.01V以内に納まり、各素子の温度
のばらつきも1℃以内に納まり、電極間隔L1を20μ
mと広くしたにもかかわらず実際の素子特性として電子
放出効率の素子間ばらつきも5%以下に抑えられた。
【0284】また、上述の本実施の形態により作製した
電子源基板を用いて、第12実施の形態と同様に作製さ
れた画像形成装置においても、多数の表面伝導型放出素
子を均一にフォーミングすることができたことにより、
素子特性が均一になり表示画像の輝度むらが5%以下と
なったことが確認された。
【0285】<第15実施の形態> 本実施の形態は前記手段(B−1)を実際に行う装置に
関するものである。配線構成と、フォーミング処理を施
す前の電子放出部形成用薄膜を第1実施の形態と同様に
して形成した電子源基板に複数の電気的接触手段を1列
に電子放出部形成用薄膜が並んだ1つの配線状に設けて
フォーミングを行う。ここで電子放出部形成用薄膜が3
00個並んだ横1列に関しては上記装置により、一度に
フォーミングできるが、本実施の形態の様にそれが縦に
200行並んでいる場合、1行ずつこの操作を繰り返す
と、工程時間がかかり、大量生産には不都合が生じる。
そこで上記フォーミング機構を複数用意し、並列に並べ
て同時に駆動させることで工程時間は短縮される。
【0286】図4に装置を説明する斜視図を示す。4
11は単純マトリクス型に素子が並んだマルチ電子源、
412は前記電気的接続手段が3つ並列したフォーミン
グ機構、413は温度コントローラ414はフォーミン
グ電源である。図では3つの前記電気的接続手段が並ん
だ構成を示したが、これはマルチ電子源状のスペース
と、フォーミング電源の許容電流量で適当に選ぶもので
あるが、数は多ければ多い程、工程時間は短縮される。
【0287】上記構成で第12実施の形態で述べたフォ
ーミング操作を行うと、各表面伝導型放出素子の電子放
出効率のばらつきは5%以内におさまり、1列ずつ繰り
返した場合と比較し、1/3の時間でフォーミングが行
える様になった。
【0288】ここで図4では3つの前記電気的接続手
段が並んだ構成を示したが、これはマルチ電子源状のス
ペースと、フォーミング電源の許容電流量で適当に選ぶ
ものであるが、数は多ければ多い程工程時間は短縮され
る。
【0289】以上、第8実施の形態から第15実施の形
態では、1列に並んだマルチ電子源あるいは、単純マト
リクス型2次元に並んだマルチ電子源について述べた
が、電気的接続手段を使用する本実施の形態の通電方法
は、その他の一般的な配線パターンについても同様に使
用できるものである。
【0290】<第16実施の形態> 次に、本実施の形態の手段(B−2)による実施の形態
を示す。先述の第1実施の形態の工程(a)−(e)と
同様の手順で単純マトリクス配線パターンを作製する。
但し行配線の一部は図4の様にギャップ423が設け
られている。次に、該ギャップ136を高インピーダン
ス配線で接続する工程について、図4(a)〜43
(d)を用いて説明する。
【0291】図4のA−A’断面形状を図4(a)
に示す。次に、スパッタ法を用いてニッケル・クロム合
金を約2000オングストローム蒸着し、フォトリング
ラフィ法にてパターニングし、ギャップ423上に高イ
ンピーダンス部423を設ける8図4(b))。次
に、金−鉛ペースト428をマイクロディスペンサを用
いてギャップ部423の片側に塗布する(図4
(c))。この問の回路図を簡単に表したのが図4
である。なお、図4では、図示の便宜上、6×6個の
素子からなる電子源の例で示しているが、本実施の形態
の実際の電子源は1000×1000個の素子で構成さ
れ、X方向のラインDx1〜Dx1000の各配線中に等間隔
にそれぞれ10箇所(100素子毎)の高インピーダン
ス部分(分割部)が設けられている。
【0292】次に、前述の実施の形態の1の作製行程
(f)−(h)と同様の手順でフォーミング処理を施し
ていない電子源用基板を作製する。
【0293】次に、高インピーダンス部分より給電部分
に近い側に位置する素子、つまり(D(1,1)〜D
(1,6),D(1,6)〜D(2,6)を単素子毎に
フォーミングする。このときの電圧印加方法について図
に示す。図4ではD(1,1)の素子をフォーミ
ングするために、Dx1とDy1との間に電圧をかけている
状態を表している。印加する電圧は前述の第8実施の形
態と同様のパルス波形を印加する。結果はフォーミング
電圧が5Vで、その時の電流は分割がない時の電流値の
4分の1となった。
【0294】その後に基板裏面よりレーザ光を当てR
(1,1)〜R(1,6)のニッケル−クロム薄膜42
4を昇温させ、ペースト428を溶解させる。この溶解
したペースト部分を429で示す(図4)。なお、他
のギャップ部に対しても同じプロセスを繰り返すことに
より、図4に示す、各X方向ラインの分割部R(1,
1)〜R(1,6)が低抵抗導電体が接続される。その
後、次の領域、つまり図4のD(3,1)〜D(3,
6)、D(4,1)〜D(4,6)の素子について同様
にフォーミング処理を行う。次に分割部R(2,1)〜
R(2,6)を低抵抗化する。これを繰り返し全素子に
対してフォーミング処理を施す。その結果図4に示す
ような単純マトリクス状に配線された表面伝導型放出素
子482を有する電子源が得られる。
【0295】以上の様にして作成された電子源につい
て、その前述の評価装置により電子放出特性の測定が行
った。電子放出効率η=Ie/If(%)は0.05%で
あった。またそのばらつきはパネル全体で7%以下に抑
えられている。
【0296】上記実施の形態では高インピーダンス部分
で区切られた領域内で1素子毎にフォーミングする場合
について述べたが、該領域内で実施の形態1の様に1行
を選択し、一括してフォーミングすることも可能で、こ
の場合電子放出効率のばらつきは基板全体で5%以内に
抑えられた。
【0297】<第17実施の形態> 本実施の形態では第16実施の形態で作製したフォーミ
ング処理を施していない電子源用基板を用いて画像形成
装置を構成した例について図24を用いて説明する。
【0298】まず、第16実施の形態と同様のフォーミ
ング処理を大気中あるいは窒素雰囲気中で行いリアプレ
ート241上に固定し、画像形成装置を作製する。この
完成した本実施の形態の画像形成装置において、各表面
伝導型放出素子には、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1
ないしDynを通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信
号発生手段によりそれぞれ印加し、高圧端子HVを通じ
て5kVの高圧を印加し、画像を表示した。
【0299】本実施の形態で作製した画像形成装置にお
いても、単純マトリクス配線された多数の表面伝導型放
出素子を均一にフォーミングすることができたことによ
り、素子特性が均一になり表示画像の輝度むらが3%以
下となったことが確認された。
【0300】上述の例では、フォーミング処理を行った
後に、リアプレートに固定し画像形成装置を作製した
が、フォーミング処理前の電子源用基板を用いて画像形
成装置を構成し、その後、容器外端子Dx1ないしDxm、
Dy1ないしDynを通じ通電することにより、フォーミン
グを行い、また高インピーダンス部分の低抵抗化は、リ
アプレートを通してレーザ光で加熱することにより行っ
ても、先の例と同様に素子特性のばらつきを5%以下に
抑えられた。
【0301】<第18実施の形態> 前記手段(B−2)を適用した別の実施の形態による電
子源の平面図を図4に示す。本例では図4の様に電
子放出部形成用薄膜を梯子状に1次元配線し、配線の一
部にギャップを設けてある。ギャップ付配線を製作する
工程については第16実施の形態に準ずるものである。
【0302】そこでフォーミング処理及びフォーミング
を実施した後ギャップ491を接続する工程について図
、図4(a)(b)、図4(a)(b)を用い
て説明する。
【0303】図20Bはギャップ491つき配線が完成
した状態の回路図を簡単に表したものである。図示の便
宜上表示パネルの画素数を6×6とし、各ブロックを2
素子ずつに分割し示しているが、ここで用いた電子源
は、1列に1000個の素子が配線された列が1000
列あるもので配線を等間隔に10等分(100素子ず
つ)分割したものである。
【0304】次に、図4(a)にギャップ部断面を示
す。ここで第6実施の形態で用いたのと同じマルチプロ
ーブ512を用い、図4(b)のプローブ接続点51
1にプローブを接続しフォーミング電源513を接続し
て1ライン状の素子に対して同時にフォーミング処理を
行う。この電圧印加方法を図5に示す。各フォーミン
グ電圧は5Vでその時の各ブロック(100素子)毎の
電流は約3.0Aであった。これは分割がない場合の十
分の一に当たる。
【0305】次に図4(b)に示す通り、ギャップ4
91を1箇所につき3本の直径30ミクロンの金ワイヤ
ー492にてボンディングして接続してマルチ電子源基
板を完成した。
【0306】以上説明した通り、本発明の基本思想によ
れば素子の構造、材料、製造方法により必ずしもこれに
決まるものではない。従って分割の大きさは1素子あた
りのフォーミング電流に応じて決定すれば良い。
【0307】実際、第16実施の形態と同様にして1素
子あたりの素子特性を測定すると、電子放出効率η=I
e/If(%)は平均0.05%であった。またそのばら
つきはパネル全体で6%以下に抑えられている。
【0308】本実施の形態のフォーミング処理方法で第
9実施の形態と同様にして形成した画像形成装置におい
ても、単純マトリクス配線された多数のよう面伝導型放
出素子を均一にフォーミングすることができたことによ
り、素子特性が均一になり表示画像の輝度むらが6%以
下となったことが確認された。
【0309】<第19実施の形態>次に表面伝導型放出
素子を単純マトリクス配置した電子源を前記手段(B−
3)を適用して作製した別の実施の形態を示す。前述の
第1実施の形態と同様の工程によりフォーミング処理を
施していない電子放出部形成用薄膜を単純マトリクス配
線した電子源用基板を作製する。なお、本実施の形態で
は100×100個の電子放出部形成用薄膜を配線した
単純マトリクス構成のものを作製した。また、各電子放
出部形成用薄膜の抵抗は未フォーミングの状態で約1キ
ロオーム、1電子放出部形成用薄膜当たりの上配線抵抗
と下配線抵抗は共に約0.01オームであった。
【0310】以上に様にして作製した電子源用基板を2
台用意し、以下に示す異なる2方法によりフォーミング
を行った。 (フォーミング方法1) まず本実施の形態によるフォーミング方法を図5を用
いて説明する。上記の様にして完成した電子源用基板6
13の上配線につながる接続端子DOy1ないしDOykが順
次給電部653となる様に(図ではDOykが給電部)、
接続を制御する外部スキャン回路632と、電圧源63
3を接続し、下配線につながる接続端子DOx1ないしDO
xnを接地した。ここで、電流モニタ回路634により給
電部を流れる電流をモニタできる様にしておき、フォー
ミング処理の対象となる1ラインのインピーダンスを検
知できる様にしてある。
【0311】次に、図5に示すフォーミング波形を印
加し、フォーミングを行った。ここで、T1は1ミリ
秒、T2は10ミリ秒、Nは10とした。またブロック
数は10とした。kライン、mブロックをフォーミング
するときに、給電部DOykに印加する電圧(ピーク値)
を、V0(k,m)=8.5×{1+k/10000+0.0
5m−0.001m×m};m=1〜10とした。
【0312】ここで、インピーダンスの測定は、図5
のN個のフォーミングパルス印加後に、先の印加電圧V
0(k,m) よりも低い電圧Viを印加して、まだフォー
ミングされていない素子に影響を与えることなく、イン
ピーダンス測定を行う。ここで、測定されたインピーダ
ンスが、フォーミングの対象となっているkライン、m
ブロックがフォーミングされたと判断されたインピーダ
ンスよりも低い場合、対象となっている素子はまだフォ
ーミング終了していないと判断し、追加のフォーミング
パルスを発生する(図5(b))。(フォーミング方
法2:比較例)上記の様にして用意したもう1枚の電子
源用基板に対して、上記フォーミング方法1と同じ構成
で回路を接続する。但し、本方法では電流モニタ回路は
動作させず、図8に示すフォーミング波形で、T1を1
ミリ秒、T2を10ミリ秒、ピーク電圧値は9.3Vで
一定として電圧を印加し、一括フォーミングを行った。
【0313】以上の様に完成したマルチ表面伝導型放出
素子電子源(フォーミング方法1によるもの、フォーミ
ング方法2によるもの)において、各表面伝導型放出素
子には端子Dx1ないしDxm、Dy1ないしDynを通じ、前
述の第16実施の形態と同様にして、1素子あたりの素
子特性を測定するとフォーミング方法1によるものは電
子放出効率η=Ie/If(%)は0.1%であった。ま
たそのばらつきはパネル全体で5%以下に抑えられてい
る。
【0314】それに対し、フォーミング方法2によるも
のは、電子放出効率η=Ie/If(%)は0.5%であ
った。またそのばらつきはパネル全体で10%以上であ
った。
【0315】なお本実施の形態ではアドレスの検出をイ
ンピーダンス測定により行ったが、配線の電位分布から
アドレスを検知する手段を図5(a)(b)を用いて
説明する。
【0316】フォーミング前後で各素子のインピーダン
スが変化することにより、フォーミングが終了すると素
子の近傍の配線の電位が大きく変化する(図5
(b))。この変化を検出する、つまりプローブピン5
31を配線に接続し、配線の電位分布の変化を検出する
ことによってもフォーミングされた素子のアドレスを検
知できる。
【0317】<第20実施の形態> 本実施の形態では第5実施の形態で作製したフォーミン
グ処理を施していない電子源用基板を用いて画像形成装
置を構成した例について図24を用いて説明する。
【0318】先のフォーミング処理を施していない電子
源用基板111をリアプレート241上に固定した後、
フェースプレート246、支持枠242を介し配置し、
フェースプレート246、支持枠246、リアプレート
241の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中ある
いは窒素雰囲気中で、400℃で15分以上焼成するこ
とで封着した。また、リアプレート241への電子源用
基板111の固定もフリットガラスで行った。
【0319】以上のようにして完成したガラス容器内の
雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気
し、1×10-5torrより高い真空度に達した後、容器外
端Dx1ないしDxmとDy1ないしDynを通じ、第19実施
の形態で示した容量で素子電極間に電圧を印加し、第1
9実施の形態と同じく2つの方法で通電処理(フォーミ
ング処理)を行い、電子放出部を形成し、表面伝導型放
出素子を作製した。次に10-6torr程度の真空度で、不
図示の排気管をガスバーナで熱することで溶着し外囲器
の封止を行った。最後に封止後の真空度を維持するため
に、ゲッター処理を行った。
【0320】以上のようにして完成した本実施の形態の
画像形成装置において、各表面伝導型放出素子には、容
器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないしDynを通じ、走査
信号及び変調信号を不図示の信号発生手段によりそれぞ
れ印加し、高圧端子HVを通じ、6kVの高圧を印加
し、画像を表示した。そして全画素の輝度を測定したと
ころ図49に示すようになった。即ち、第19実施の形
態で述べたところのフォーミング方法1によるもので
は、全画面内の輝度むらは極めて小さいのに対し、フォ
ーミング方法2によるものでは画面の外縁部3辺付近の
輝度が大きく、中央付近では暗かった。つまり、各素子
のアドレスに応じて給電部に印加する電圧値を制御する
ことにより、輝度のむらが5%以下になり、高品位の画
像形成装置を得ることができた。
【0321】<第21実施の形態> 次に、前記手段(B−3)を適用して作製した梯子状配
置した電子源を用いて構成した、画像形成装置を図21
を用いて説明する。本実施の形態では絶縁性基板211
上にフォーミング前の電子放出部形成用薄膜を作製し
た。作製工程は実施の形態8と同様である。電子放出部
形成用薄膜(フォーミング前)の寸法等も実施の形態8
と同様である。但し1列の電子放出部形成用薄膜数は2
00であり、電極の給電部と接地部はラインの両端部に
各1カ所ずつ設けた。尚、等価回路は図16(c)で表
されたものと同様である。
【0322】このように作成された電子源用基板に対し
て、図5に示すフォーミング波形でフォーミングを行
った。このパルス群のピーク値は8Vから徐々に大きく
なり、最大9Vであり、その後徐々に減少して再び8V
になる過程を2度繰り返している。T1は1ミリ秒、T
2は10ミリ秒で2度繰り返しの全過程は約5秒であっ
た。ここで用いた電圧値は種々の検討条件の中から最適
なものを選択した。その結果、電子放出効率のばらつき
が7%以下となり、素子毎に極めて均一な電子放出特性
を有することがわかった。本実施の形態では既にフォー
ミングされてしまった素子のアドレスを検出することな
く、良好な一括フォーミングが行えた。
【0323】以上、第1実施の形態から第21実施の形
態では、前述した手段A−1,2、B−1,2,3につ
いて、いくつかの組合せが可能であることを示したが、
ここで示した組合せ以外でも組み合わせることが可能で
ある。
【0324】以上説明した実施の形態中、電子放出部を
形成する際に、素子の電極間に三角波パルスを印加して
フォーミング処理を行っているが、素子の電極間に印加
する波形は三角波に限定することはなく、矩形波など所
望の波形を用いても良く、その波高値及びパルス値・パ
ルス間隔などについても上述の値に限ることなく、電子
放出部が良好に形成されれば所望の値を選択することが
できる。
【0325】なお、先述した実施の形態において、表面
伝導型放出素子を垂直型(SCE)とした場合に、同様
の結果が得られた。
【0326】また本発明の適用は、表面伝導型素子に限
らず例えばMINのようにフォーミングを必要とする他
の素子にも使える。
【0327】尚、本発明は、複数の機器から構成される
システムに適用しても1つの機器から成る装置に適用し
ても良い。また、本発明は、システム或は装置に本発明
を実施するプログラムを供給することによって達成され
る場合にも適用できることはいうまでもない。
【0328】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、フ
ォーミング中に静電破壊されることが無くなり、製造歩
留まりが向上した。
【0329】又本発明によれば、フォーミング中、電子
放出部形成用薄膜への電圧、電流の回り込みが無くな
り、配線での電位降下によるフォーミング電圧あるいは
電力の分布が減少することで、電子放出特性の分布が減
少した電子源を作成が可能となった。
【0330】又本発明によれば、配線抵抗を低くするた
めに、AuやAgなど比較的高価な材料を使用する必要
がなく、原材料の選ぶ自由度が広がり、より安価なもの
を使用できるようになった。
【0331】又本発明によれば、配線抵抗を低くするた
めに配線電極を厚く形成する必要がなく、電極の形成や
パターニングといった製造プロセスに要する時間の短
縮、装置設備の値段を減少させることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の表面電極型の電子放出素子の模式図であ
る。
【図2】本発明の一実施の形態にかかる垂直型表面伝導
型電子放出素子の基本構成図である。
【図3】従来のフォーミングの問題点を説明する図であ
る。
【図4】従来のフォーミングの問題点を説明する図であ
る。
【図5】単純マトリクス配線の一例を示す図である。
【図6】本実施の形態に係わる表面伝導型電子放出素子
の模式図である。
【図7】本実施の形態に係る表面伝導型電子放出素子の
基本的製造工程を説明する図である。
【図8】本実施の形態の表面伝導型電子放出素子のフォ
ーミング電圧の一例を示す波形図である。
【図9】本実施の形態の表面伝導型電子放出素子の測定
評価回路の構成を示すブロック図である。
【図10】本実施の形態の表面伝導型電子放出素子の特
性例を示す図である。
【図11】本実施の形態の電子源をマトリクス状に配列
した回路例を示す図である。
【図12】本実施の形態の電子源をマトリクス状に配列
した回路の等価回路図である。
【図13】本実施の形態のラインフォーミング時の状態
を示す等価回路図である。
【図14】本実施の形態のラインフォーミング時におい
てn番目の素子をフォーミングする時の等価回路図であ
る。
【図15】本実施の形態のラインフォーミング時におけ
る各素子の印加電圧分布を示す図である。
【図16】本実施の形態の梯子型に接続された素子のフ
ォーミング時の等価回路と、各素子に印加される電圧分
布を説明する図である。
【図17】本実施の形態の片側或は両側より給電されて
フォーミングを行う状態を説明する図である。
【図18】本実施の形態の行及び列方向でのフォーミン
グを説明する図である。
【図19】本実施の形態のフォーミングを説明する図で
ある。
【図20A】本実施の形態の単純マトリクスにおけるは
しご型配線の一例を示す図である。
【図20B】本実施の形態の単純マトリクスの一部を分
割した一例を示す図である。
【図21】本実施の形態の画像形成装置の構成を示す図
である。
【図22】本実施の形態の画像形成装置の回路構成を示
すブロック図である。
【図23】本実施の形態のフォーミングパルスの一例を
示す図である。
【図24】本実施の形態の画像形成装置の基本構成を示
す図である。
【図25】本実施の形態の画像形成装置の蛍光体のパタ
ーン例を示す図である。
【図26】本実施の形態のマトリクス状に配置された電
子源の一部の平面図である。
【図27】図26のA−A’の断面図である。
【図28】本実施の形態の表面伝導型電子放出素子の製
造工程を説明する図である。
【図29】本実施の形態の表面伝導型電子放出素子のマ
スクの一部平面図である。
【図30】本実施の形態のマトリクス状に配列された表
面伝導型電子放出素子の一部をフォーミングする際の電
気的接続を示す図である。
【図31】本実施の形態のフォーミング装置の回路構成
を示す回路図である。
【図32】本実施の形態の単純マトリクス配線された表
面伝導型電子放出素子のフォーミングを説明する図であ
る。
【図33】図3のフォーミングを行う回路構成を示す
図である。
【図34】本実施の形態のフォーミング時の通電を説明
する斜視図である。
【図35】他のフォーミング時の通電を説明する斜視図
である。
【図36】本実施の形態のフォーミングを行う工程を説
明する図である。
【図37】本実施の形態に係るフォーミングを行う工程
を説明する等価回路図である。
【図38】他の実施の形態のフォーミングのための電気
接続を示す斜視図である。
【図39】図39に示す装置の概要を示すブロック図で
ある。
【図40】他の実施の形態のフォーミングのための装置
の接続を示す図である。
【図41】他の実施の形態のマトリクス状に配置された
電子源の一部の平面図である。
【図42】本実施の形態におけるギャップを高インピー
ダンス配線で接続する工程を説明する図である。
【図43】本実施の形態の単純マトリクス配線のフォー
ミング処理を説明する図である。
【図44】実施の形態のマトリクス状に配置された電子
源の一部の平面図である。
【図45】本実施の形態のフォーミング処理後の単純マ
トリクスに配列された電子源を示す図である。
【図46】他の実施の形態のマルチ電子源の一部を示す
平面図である。
【図47】本実施の形態のマトリクス配線におけるギャ
ップ部の断面と、その接続を示す図である。
【図48】他の実施の形態のプローブを用いたフォーミ
ングを説明する図である。
【図49】フォーミング方法による輝度むらを説明する
ための図である。
【図50】配線上の電位より電子源のアドレスを検知す
る方法を説明する図である。
【図51】本実施の形態のフォーミング波形の一例を示
す図である。
【図52】本実施の形態の画像形成装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図53】本実施の形態のフォーミング波形の一例を示
す図である。
【図54】本実施の形態によるフォーミング方法を説明
する図である。
【図55】本実施の形態に係るはしご型の表面伝導型電
子源の作成工程を説明する図である。
【符号の説明】
61,261 基板 62,271 電子放出部形成用薄膜 63 電子放出部 64,264 電子放出部を含む薄膜 65,66,272,273 素子電極 94 アノード電極 112 X方向配線 113 Y方向配線 114 表面伝導型電子放出素子 115 結線 191 マルチ電子源 221,311 電子源用基板 262 下配線(X方向配線) 263 上配線(Y方向配線) 274 層間絶縁層 275 コンタクトホール 311 電子源用基板
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平5−100088 (32)優先日 平成5年4月5日(1993.4.5) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平5−270343 (32)優先日 平成5年10月28日(1993.10.28) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 長田 芳幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 武田 俊彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 磯野 青児 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 野村 一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 戸島 博彰 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 鈴木 朝岳 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 小野 武夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 浜元 康弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 外處 泰之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 河出 一佐哲 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 新庄 克彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 奥田 昌宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−28139(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体上に配置され、配線により結線された
    複数の表面伝導型電子放出素子を有する電子源の製造方
    法において、 前記表面伝導型電子放出素子の電子放出部の形成工程
    は、複数の電子放出部形成用薄膜が接続された単一の配線上
    で、かつ前記電子放出部形成用薄膜間を含む複数箇所に
    電気的接続手段を接続し、前記 電気的接続手段から前記
    電子放出部形成用薄膜に通電する工程を有することを特
    徴とする電子源の製造方法。
  2. 【請求項2】前記電気的接続手段は前記配線の複数箇所
    に接触配置される複数の接触端子を有することを特徴と
    する請求項に記載の電子源の製造方法。
  3. 【請求項3】前記電気的接続手段は、前記配線の抵抗よ
    りも低抵抗な部材を含むことを特徴とする請求項に記
    載の電子源の製造方法。
  4. 【請求項4】更に、前記電気的接続手段の温度制御を行
    う工程を有することを特徴とする請求項に記載の電子
    源の製造方法。
  5. 【請求項5】前記電気的接続手段が接触配置される前記
    配線表面部分には、低抵抗金属が被覆されていること
    を特徴とする請求項に記載の電子源の製造方法。
  6. 【請求項6】前記配線が絶縁部材により被覆された下層
    配線であって、該絶縁部材には、前記電気的接続手段と
    前記下層配線との接触を可能とするコンタクトホールが
    形成されていることを特徴とする請求項に記載の電子
    源の製造方法。
  7. 【請求項7】前記通電する工程は、前記配線に接触配置
    された電気的接続手段からの電力供給に加えて、前記配
    線の片端に接続された給電部からの電力供給によって行
    われることを特徴とする請求項に記載の電子源の製造
    方法。
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