JP3516373B2 - 磁気共鳴測定装置 - Google Patents

磁気共鳴測定装置

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JP3516373B2 JP23444896A JP23444896A JP3516373B2 JP 3516373 B2 JP3516373 B2 JP 3516373B2 JP 23444896 A JP23444896 A JP 23444896A JP 23444896 A JP23444896 A JP 23444896A JP 3516373 B2 JP3516373 B2 JP 3516373B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気共鳴測定装置
に関し、特に、拡散灌流計測、細胞内外の横緩和時間計
測、細胞内外の縦緩和時間計測等の検査対象からの信号
が少なくとも1つの変数と決定しようとする少なくとも
1つの未知数を含む関数で表され、前記変数を複数の値
に変化させて前記信号の計測点を設定し、該計測点の各
々で前記信号の計測を行って得る複数の計測値から、前
記未知数を求める磁気共鳴測定装置に適用して有効な技
術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気共鳴検査装置を用いた,拡散
灌流計測について説明するにあたり、まず,拡散(diff
usion)と灌流(perfusion)について説明する。
【0003】拡散とは、分子のブラウン運動のことでラ
ンダムな運動としてとらえられる。一方、灌流とは、毛
細血管内の血流や細胞外液の流動によって生じる分子の
運動で,ミクロにみれば方向性,流速をもつが,マクロ
にみるとランダムな運動としてとらえられる。共に磁気
共鳴装置で通常観測している空間分解能ではランダムな
運動としてとらえられるが,運動の激しさを表す係数は
大きく異なり,灌流係数は拡散係数の約10倍,また,灌
流がしめる信号強度の割合は数%である。
【0004】次に、拡散と灌流の測定方法について説明
する。現在広く使用されている計測方法は、文献1の
「E.O. Stejskal and J.E. Tanner,The Journal of Che
micalPhysics誌,42号,288-292頁,1965年発行」に記載
のStejskal-Tannerのパルスシーケンスを基礎としたも
のである。
【0005】この文献1に記載の方法では、拡散係数ま
たは灌流係数を測定するために、高周波磁場による核ス
ピンの励起の後、互いに補償する二つ以上の傾斜磁場を
印加し、信号を取得するものである。ここで「互いに補
償する」という意味は、たとえば、分子が移動していな
ければ核スピンの位相を回転させる影響を相殺するとい
うことである。
【0006】すなわち、拡散または灌流があると位相回
転の影響を完全に相殺することはできず、傾斜磁場の印
加強度およびその時間に応じた割合で信号強度が減衰す
る。
【0007】信号強度の減衰は、理想的な場合、拡散係
数と灌流係数とを指数とする二項指数関数で表される。
したがって、傾斜磁場の印加強度およびその時間を変化
させて複数回の測定を行い、その信号強度の減衰率から
拡散係数、灌流係数、および、各々の信号強度の割合を
求めることが可能となる。
【0008】この拡散係数または灌流係数を測定するた
めに印加する傾斜磁場は、拡散傾斜磁場(diffusion gr
adient)と呼ばれている。また、傾斜磁場が信号強度の
減衰率に与える影響を数値化したものは、傾斜磁場因子
(gradient factor)と呼ばれている。この方法は、文
献2の「Radiology誌,168号,497-505頁,1988年発行」
に記載されている。
【0009】この文献2に記載の方法は、(1)拡散係
数、灌流係数および各々の信号強度という4つの未知の
係数を求めるために傾斜磁場因子を変化させて少なくと
も4回、実際には十分な測定精度を得るためには10回
程度以上の計測が必要である、(2)逆に計測回数が十
分でないときには、測定精度が劣化するという問題があ
る。
【0010】この問題を解決するために、LeBihanら
は、灌流係数を求めずにその信号強度のみを求めること
で、係数(未知数)の個数を減らす方法を提案している
(前述の文献2に記載する)。
【0011】また、特開平4−357934号公報に記
載の方法では、拡散係数、灌流係数、あるいは、信号強
度の割合のいずれかに既知の値を代入することによっ
て、未知数の個数を減らす方法を提案している。
【0012】次に、細胞内外の横緩和時間および縦緩和
時間の測定方法について説明する。
【0013】この方法は、前述する拡散灌流測定方法と
ほとんど同様である。しかしながら、変数は傾斜磁場因
子ではなく、横緩和時間の場合にはエコー時間、縦緩和
時間の場合には反転時間が変数となる。この技術は、例
えば、特開平7−79939号公報に記載の方法が挙げ
られる。しかしながら、この方法でも、前述の欠点と同
様の欠点を有する。
【0014】なお、単一指数関数に従う拡散計測では、
拡散係数の測定精度を最良にする傾斜磁場因子の計算方
法および計算結果が文献3の「Proceedings of the Soci
etyof Magnetic Resonance, 3rd Annual Meeting, p. 9
13, 1995年発行」に記載されている。
【0015】この文献3に記載の計算方法では、単一指
数関数の対数を計算することで線形な関数に置き換える
ことで、計算を容易にしている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記従来
技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0017】従来の磁気共鳴検査装置を用いた拡散灌流
計測では、測定精度の劣化を未知数の個数を減らすこと
で解決している。
【0018】しかしながら、未知数の個数を減らすため
の方法としては、たとえば、前述する特開平4−357
934号公報に記載される方法のように、既知の値を代
入することによって達成される。
【0019】したがって、たとえば、拡散係数に既知の
値を用いる磁気共鳴検査装置の拡散灌流計測で、脳虚血
の部位を測定した場合、脳虚血に伴う拡散係数の低下は
計測結果に反映されず、むしろ、他の3個の変数でこの
拡散係数の低下に伴う計測値の変化を求めることにな
る。
【0020】しかしながら、この方法においては、灌流
係数を増加させることによって、拡散係数の低下分を補
うことになるので、実際の計測部位の症状は、脳虚血で
あるにも関わらず、計測結果は灌流係数が増加する細胞
萎縮という計測結果であるという実際と異なる計測結果
を示すという問題があった。
【0021】このように、前述する方法では、省略した
未知数を求められない、あるいは、既知の値が実際の値
と異なる場合には求めた未知数の値が異なってしまう結
果、実際の症状とは異なる計測結果となってしまうとい
う問題があった。
【0022】また、単一指数関数に従う場合の計算方法
は、本質的には線形関数に従う場合にのみ適用可能であ
り、2項指数関数に従う拡散灌流計測や細胞内外の横緩
和時間および細胞内外の縦緩和時間の測定などには適用
できないという問題があった。
【0023】本発明の目的は、未知数の個数を減らすこ
となく、少ない計測回数で非線形関数の未知の係数を、
最良の測定精度で得ることが可能な磁気共鳴測定装置を
提供することにある。
【0024】本発明の他の目的は、計測回数の上限が決
められたときに、測定精度を最良にする変数の値および
各変数により設定した計測点での計測回数を求めること
が可能な技術を提供することにある。
【0025】本発明のその他の目的は、必要とされる測
定精度を満足するために必要な計測回数を最小にする、
すなわち、計測時間を最短にすることが可能な技術を提
供することにある。
【0026】本発明のその他の目的は、拡散灌流計測に
おいて、拡散成分と灌流成分とを精度良く分離した再構
成画像を得ることが可能な磁気共鳴装置を提供すること
にある。
【0027】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らか
になるであろう。
【0028】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
下記のとおりである。
【0029】(1)被検体の所定の位置に磁気共鳴を誘
起することにより得られる被検体からの信号が、少なく
とも1つの変数と決定しようとする少なくとも1つの係
数を含む非線形関数とで表され、計測点の各々で前記信
号の計測を行い、該複数の計測値から前記係数を求める
計算手段を有する磁気共鳴測定装置であって、前記変数
を複数の値に変化させて、前記信号の計測点を設定する
計測点設定手段と、前記計測値が所定の確率変数に従う
誤差を含むものであるとして、前記計算手段が求めた前
記係数と予め設定した係数との差を計算する差分計算手
段と、該差分計算手段によって計算した差分値が最小と
なるように前記変数を設定する変数設定手段とを具備
し、前記計測点設定手段は前記変数設定手段が設定した
変数に基づいて、計測点を設定する。
【0030】(2)前述する(1)に記載の磁気共鳴測
定装置において、前記非線形関数が少なくとも1つの変
数と決定しようとする少なくとも3つの係数を含む関数
とで表される。
【0031】(3)前述する(1)あるいは(2)に記
載の磁気共鳴測定装置において、前記関数は、2項指数
関数である。
【0032】(4)前述する(3)に記載の磁気共鳴測
定装置において、前記変数は、4個の値のみをとり、該
4個の値によって設定される計測点での計測回数は、2
項指数関数の係数の測定精度を最良にする比率で設定さ
れる。
【0033】(5)前述する(3)あるいは(4)に記
載の磁気共鳴測定装置において、前記変数をb、小さい
方の指数をD、大きい方の指数をPで示すときに、P=
10xDの関係が概ね成立し、前記変数bが概ね{0.
0,0.1/D,0.4/D,1.8/D}の4つの値
のみをとり、前記変数bによって設定される計測点での
計測回数の比率は概ね{0.15,0.30,0.3
2,0.23}である。
【0034】(6)前述する(3)ないし(5)の内の
いずれかに記載の磁気共鳴測定装置において、前記2項
指数関数の内の小さい方の指数を拡散係数、大きい方の
指数を灌流係数、前記変数を傾斜磁場因子に設定し、拡
散灌流計測を行う。
【0035】(7)前述する(3)あるいは(4)に記
載の磁気共鳴測定装置において、前記変数を励起高周波
磁場パルスを印加してから前記信号が得られるまでの時
間とし、予め設定した細胞内外の横緩和時間および各々
の信号強度と、前記計測値に所定の確率変数に従う誤差
が含まれると仮定して計算した細胞内外の横緩和時間お
よび各々の信号強度との差を最小にするように、前記変
数設定手段が前記変数を計算し設定する。
【0036】(8)前述する(1)に記載の磁気共鳴測
定装置において、前記変数を反転高周波磁場パルスを印
加してから励起高周波時パルスを印加するまでの時間と
し、予め設定した細胞内外の縦緩和時間および各々の信
号強度と、前記計測値に所定の確率変数に従う誤差が含
まれると仮定して計算した細胞内外の縦緩和時間および
各々の信号強度との差を最小にするように、前記変数設
定手段が前記変数を計算し設定する。
【0037】(9)前述する(1)ないし(8)の内の
いずれかに記載の磁気共鳴測定装置において、本計測を
行う前に予備計測を行い、予め設定する係数を決定す
る。
【0038】前述した(1)〜(7)に記載の手段によ
れば、計測点設定手段が変数を複数の値に変化させて信
号の計測点を設定し、差分計算手段が計測値は所定の確
率変数に従う誤差を含むものであるとして、計算手段が
求めた係数と予め設定した係数との差を計算した後、変
数設定手段がこの差分値を最小とするように変数を設定
することによって、変数の最適値を求めることができ
る。
【0039】なお、このとき、前述する計測点における
計測回数を増やすことによって、そのときの変数の最適
値の精度は、さらに上がることになる。
【0040】ここで、計算手段がこの変数を計測パラメ
ータすなわち計測点とする計測を行うことによって、少
ない計測回数であっても、未知の値の係数の個数を減ら
すことなく、係数の値を最良の測定精度で計測できる。
【0041】したがって、2項指数関数で表される磁気
共鳴測定装置による拡散灌流計測の各係数である拡散係
数D、灌流係数P、信号強度Sd,Spを、最良の測定
精度で計測できる。
【0042】また、測定回数の上限が決められた場合で
あっても、変数に基づいて計測点を決定し、その結果に
基づいて信号の計測を行うので、係数を最良の測定精度
で計測できる。
【0043】また、必要とされる測定精度が決められた
場合には、測定回数が最小となるように測定点が決定さ
れるので、最短の計測時間で計測できる。
【0044】次に、拡散灌流計測および細胞内外の横緩
和時間計測における係数の真値が典型的なものについ
て、変数の値、および各変数により設定した計測点での
計測回数の比を計算した結果を、以下に示す。
【0045】P=6xDの場合 b={0.0, 0.12/D,0.56/D,2.10/D}, 計測回数比:{0.11,
0.26,0.32,0.31} P=10xDの場合 b={0.0, 0.08/D,0.39/D,1.80/D}, 計測回数比:{0.14,
0.30,0.33,0.23} P=14xDの場合 b={0.0, 0.06/D,0.30/D,1.66/D}, 計測回数比:{0.16,
0.32,0.33,0.19} なお、Pは灌流係数、Dは拡散係数、bは最適な傾斜磁
場因子の組、計測回数比は各bにおける計測回数の比を
表す。他の値については、上記方法を用いるか、この値
から内挿または外挿して計算しても良い。
【0046】前述した(8)に記載の手段によれば、変
数を反転高周波磁場パルスを印加してから励起高周波時
パルスを印加するまでの時間とし、変数設定手段が細胞
内外の縦緩和時間および各々の信号強度と、計測値に所
定の確率変数すなわち任意に設定される確率変数に従う
誤差が含まれると仮定して計算した細胞内外の縦緩和時
間および各々の信号強度との差を最小にするように変数
を設定することによって、変数の最適値を求めることが
できる。
【0047】ここで、計算手段がこの変数を計測パラメ
ータすなわち計測点とする計測を行うことによって、少
ない計測回数であっても、細胞内外の縦緩和時間を示す
非線形関数の係数値を最良の計測精度で計測できる。
【0048】したがって、2項指数関数ではない非線形
関数で表される細胞内外の縦緩和時間を示す関数を最良
の測定精度で計測できる。
【0049】また、測定回数の上限が決められた場合で
あっても、変数に基づいて計測点を決定し、その結果に
基づいて信号の計測を行うので、係数を最良の測定精度
で計測できる。
【0050】前述した(9)に記載の手段によれば、本
計測を行う前に予備計測を行うことによって、予め設定
する係数すなわち計測パラメータを決定しておくので、
本計測の都度、計測パラメータを計算する必要がなくな
るので、本計測に要する測定時間を短縮できる。
【0051】したがって、被検者にかかる負担を低減で
きる。
【0052】次に、前述する拡散係数などの未知数(係
数)の測定精度を最良にする計算方法の原理について説
明する。
【0053】(原理の説明)まず、信号が2項指数関数
に従う場合だけでなく、一般の場合すなわち所定の関数
に従う場合について説明する。
【0054】所定の変数bを変えたときに得られる信号
の計測値をS’、この信号の真値をS、計測値S’と真
値Sとの誤差をΔS=S’−Sとした場合、この誤差Δ
Sがある確率分布Nにしたがっていると仮定すると、信
号の計測値S’から求められる未知数A’とその真値A
との誤差ΔA=A’−Aは、前述の確率分布Nの関数と
して表せる。したがって、この誤差ΔAの統計量を最小
にするように、変数bの値および各変数により設定した
計測点での計測回数を決定する。
【0055】このとき、誤差ΔAを確率分布Nの関数と
して表すに際し、非線形最小自乗法の一手法であるニュ
ートン法の考え方が参考となるので、次に、ニュートン
法について簡単に説明する。なお,ニュートン法の詳細
については、例えば、「数値計算ハンドブック」、オー
ム社、1990年発行を参照されたい。
【0056】ニュートン法では、未知数のある初期値A
0を始点として修正値ΔAを計算してA0に加算し、こ
れを新たにA0と置き直して、繰り返し計算を行うこと
で解を求める。ここで、修正値ΔAは、A0での残差お
よび1次と2次偏微分とから、次の手順で求められる。
【0057】まず、求める未知数をA={A1,a
2,...an}(nは、求める未知数の個数)と置
く。
【0058】次に、初期値A0で計算される信号強度S
(A0,b)と計測値S’(b)との残差ΔS(A0,
B)の自乗和E(A0,B)=Sum[Abs[S(A
0,B)−S’(B)]2,{B=b1,b2,...
bm}]を評価関数として導入する。ここで、mは計測
回数、B={b1,b2,...bm}は設定する変数
の値である。
【0059】次に、この評価関数E(A0,B)のヘシ
アン行列H(A0,B)を計算する。このとき、nXn
の正方行列であるヘシアン行列H(A0,B)を評価関
数E(A0,B)を用いて計算する。このときの計算式
を下記の数1に示す。
【0060】
【数1】
【0061】なお、ヘシアン行列H(A0,B)の第2
項の2階偏微分を含む項は0として、計算速度の向上を
図ってもよい。
【0062】次に、ヘシアン行列H(A0,B)と残差
ΔS(A0,B)とからなる下記の数2に示す線形方程
式を解いて、修正値ΔA(A0,B)を計算する。
【0063】
【数2】
【0064】以上に示すとおり、ニュートン法では初期
値A0を始点として、評価関数E(A,B)を最小とす
るための未知数Aに対する修正値ΔA(A0,B)を与
える。
【0065】一方、残差ΔS(A0,B)が十分小さい
ときには、この修正値ΔA(A0,B)は初期値A0と
解との差を表しているとも言える。
【0066】すなわち、数2は信号強度S’にある誤差
ΔSが含まれるときに、未知数A’にどの程度のΔAの
誤差が生じるかを表すものであり、数2は誤差の伝播関
係を表す式と考えることができる。
【0067】したがって、信号強度の誤差ΔS(A,
b)がある確率分布Nに従うときには、未知数の誤差Δ
A(A,B)は確率分布N(b)の関数として表せるの
で、その分散v(A,B)を計算することができる。
【0068】通常、N(b)としては、bに関して独立
な正規分布を採用する。なお、真値との差の割合を評価
したいときには、ΔA(A,B)の各成分をAの各成分
で除算した後、分散v(A,B)を計算しても良い。
【0069】また、未知数の内、ある成分の測定精度を
高めたいときには、その成分の分散のみを計算するな
ど、未知数に重み付けを行っても良い。
【0070】測定精度を最良にするには、v(A,B)
の大きさを最小にするような変数の集合Bを求めればよ
い。このときの変数の集合Bの求め方としては、例え
ば、ある程度細かな差分で集合Bの要素を変化させ、総
当たり方式で分散v(A,B)の最小値を見つける方
法、あるいは、その値を元に最急降下法などを組み合わ
せる方法などがある。
【0071】さらには、最適解Bに制限を付加すること
も可能である。たとえば、Bを等間隔に設定するなどの
制限を付加しても良い。また、最適解BはAに依存する
ので、実際の計測では予めAとして、既知の値や予備計
測を行って得られる概略値を設定し、これを下に最適解
Bを求め、この最適解Bを計測パラメータとして設定し
てもよい。
【0072】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、発明の実
施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明
する。
【0073】なお、発明の実施の形態を説明するための
全図において、同一機能を有するものは同一符号を付
け、その繰り返しの説明は省略する。
【0074】(実施の形態1)図2は本発明の実施の形
態1の磁気共鳴測定装置の概略構成を示すブロック図で
あり、1は静磁場Hを発生する磁石、2は被検体、3は
高周波磁場の発生と被検体から生じる磁気共鳴信号の検
出を行うコイル、4,5,6はそれぞれX方向,Y方向
およびZ方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発
生コイル、7はX方向,Y方向およびZ方向の各傾斜磁
場発生コイルにそれぞれ駆動電流を供給するコイル駆動
装置、8は測定されたデータの演算を行う計算機、9は
計算機での演算結果を表示するCRTディスプレイ、1
0はシンセサイザ、11はシンセサイザで発生させた高
周波を波形整形および電力増幅する変調装置、12は増
幅器、13は検波装置である。
【0075】なお、前述の各装置および機構は、公知の
ものを用いる。
【0076】次に、図2に基づいて、実施の形態1の磁
気共鳴測定装置の動作の概要を説明する。
【0077】検査対象2の核スピンを励起する高周波磁
場Hは、シンセサイザ10により発生させた高周波を変
調装置11で波形整形および電力増幅し、コイル3に電
流を供給することにより発生させる。
【0078】コイル駆動装置7から電流を供給されたX
方向,Y方向およびZ方向の各傾斜磁場発生コイル4,
5,6は、それぞれX方向,Y方向およびZ方向の傾斜
磁場を発生し、検査対象2からの磁気共鳴信号を変調す
る。
【0079】この変調信号(エコー信号、被検体からの
信号)は、コイル3により受信された後、まず、増幅器
12で増幅され、次に、検波装置13で検波された後、
計算機8に入力される。
【0080】計算機8では、後述する演算により得られ
た計測点における計測を行うと共に、計測の結果から得
られたエコー信号に基づく画像の再構成、再構成された
画像の各ピクセルごとの拡散成分と灌流成分との分離、
および、分離後の各ピクセルごとの表示データの生成を
行った後、この表示データをCRTディスプレイ9に表
現する。
【0081】なお、前述の各ピクセルごとの表示データ
の生成においては、たとえば、同一のピクセルに対応す
る複数個のデータを予め設定した関数でフィッティング
して各係数を計算する。その後、各係数の全部もしくは
一部、または、所定の関数で計算された値を白黒の濃淡
などに変換することにより、表示データ(表示用の画像
データ)の生成を行う。
【0082】また、計算機8は、予めプログラムされた
タイミング、強度で図2に示す各装置が動作するよう
に、その制御をも行う。
【0083】ただし、本実施の形態1においては、この
各装置を制御するプログラムの内、計測点の決定に関わ
る部分については、後述する手順により、計測点を決定
するプログラムを有し、このプログラムの実行により計
測点を決定し、さらには、この結果に基づいて、各装置
の出力および動作タイミングを制御する。
【0084】さらには、複数の計測値から指数関数の係
数を求める計算手段、変数を複数の値に変化させて、信
号の計測点を設定する計測点設定手段、計測値が所定の
確率変数に従う誤差を含むものであるとして、計算手段
が求めた係数と予め設定した係数との差を計算する差分
計算手段、および、差分計算手段によって計算した差分
値が最小となるように変数を設定する変数設定手段もま
た、計算機8で実行されるプログラムで実現される。
【0085】また、計算機8で実行されるプログラムの
内、特に、高周波磁場、傾斜磁場および信号受信のタイ
ミングや強度を記述したものは、パルスシーケンスと呼
ぶ。
【0086】次に、図3に本実施の形態1の磁気共鳴測
定装置で実行されるパルスシーケンスの一例を示し、以
下、この図に基づいて、本実施の形態1の磁気共鳴測定
装置における拡散灌流計測を説明する。
【0087】まず、励起高周波磁場パルス14を印加し
て、測定対象に磁気共鳴現象を誘起する。このときの励
起高周波磁場パルスとしては、たとえば、典型的に用い
られるπ/2−パルスを用いる。
【0088】次に、反転高周波磁場パルス15を印加す
ることで、スライス内の磁化を反転する。このとき、発
生したエコー16は、周知のアナログデジタル(AD)
サンプリングにて、データとして、計算機8に接続され
る図示しない記憶装置に格納される。
【0089】また、励起高周波磁場パルス14と反転高
周波磁場パルス15との間、および、反転高周波磁場パ
ルス15とエコー16との間に、互いに補償する二つの
拡散傾斜磁場17を印加する。ただし、この拡散傾斜磁
場17は、傾斜磁場発生コイル4から発生するX方向の
傾斜磁場、傾斜磁場発生コイル5から発生するY方向の
傾斜磁場、および、傾斜磁場発生コイル6から発生する
Z方向の傾斜磁場の合成、または、単独として与えられ
る。
【0090】この二つの拡散傾斜磁場を強度の時間積分
が等しくなるように調整する。このとき、もし拡散運動
がなければ、第1番目の拡散傾斜磁場でディフェーズさ
れた核スピンの位相は、第2番目の拡散傾斜磁場で完全
にリフェーズされ、拡散傾斜磁場が印加されない場合と
比較して信号強度は減衰しない。しかしながら、拡散ま
たは灌流があれば完全にリフェーズできなくなるので、
拡散または灌流の激しさに応じた割合で信号強度が減衰
する。拡散と灌流との2つで表現できる理想的な状況で
は、この減衰は下記の数3に示す2項指数関数で表され
る。
【0091】
【数3】
【0092】ただし、Dは拡散係数、Sdは傾斜磁場因
子が0のときの拡散に対応する信号強度、Pは灌流係
数、Spは傾斜磁場因子が0のときの灌流に対応する信
号強度、S(b)は傾斜磁場因子がbのときの信号強度
を示す。
【0093】なお、傾斜磁場因子b[s/m2]は、拡
散傾斜磁場の印加強度と印加時間によって決まる値であ
り、下記の数4で計算される。
【0094】
【数4】
【0095】ただし、Teはエコー時間[s]、γは磁
気回転比[Hz/T]、G(τ)は時刻τでの傾斜磁場
印加強度[T/m]を示す。
【0096】拡散係数、灌流係数、および、各々の信号
強度を測定する場合、傾斜磁場因子を変化させて少なく
とも4回計測を行う。
【0097】このとき、傾斜磁場因子の選び方によっ
て、これら未知数の測定精度が変化する。たとえば、傾
斜磁場因子の変化量を小さくしすぎると、信号強度の減
衰率が小さくなるために拡散係数の測定精度が劣化す
る。逆に、傾斜磁場因子の変化量を大きくしすぎると、
信号対雑音比が低下するために測定精度が劣化する。
【0098】次に、実施の形態1の磁気共鳴測定装置の
拡散灌流計測で使用される2項指数関数に、前述の原理
を適用した場合の計算方法とその結果とについて説明す
る。
【0099】ただし、本実施の形態1においては、以下
に示す計算は、計算機8で実行されるプログラムによっ
て実現されるか、もしくは、図示しない別の計算機で実
行されるプログラムによって実現され、計算機8に接続
された図示しない記憶装置計算結果が格納される。
【0100】まず、求める未知数の個数nを4とし、求
める未知数AをA={D,Sd,P,Sp}とおく。こ
こで、Dは拡散係数、Pは灌流係数、Sd,Spはそれ
ぞれ傾斜磁場因子b=0のときのそれぞれの信号強度を
表す。このときの信号強度S(A,b)および1階偏微
分は、下記の数5で与えられる。
【0101】
【数5】
【0102】このとき、前述するステップ(1)のヘシ
アン行列H(A,B)は、下記の数6で計算される。た
だし、ヘシアン行列H(A,B)の計算では2階偏微分
の項は無視した。
【0103】
【数6】
【0104】次に、未知数の誤差ΔA(A,B)は、下
記の数7を解いて得られる。
【0105】
【数7】
【0106】ここで、確率変数N(b)は互いに独立で
あり、平均が0、分散が等しいという仮定をおく。
【0107】v(A,B)の計算では、ΔA(A,B)
の各成分をAの各成分で除算した後、自乗加算した。こ
こで、Bの最適解を求めるときには、計算方法の原理に
示すように、まず、ある程度細かな差分で集合Bの要素
を変化させて総当たり方式で最小値を見つけ、次に、そ
の中の最小値を始点として、最急降下法により最適解を
計算する。
【0108】このときの計算結果は、以下に示すように
なる。なお、本計算では簡単のために、D=1.0、S
d=1.0と規格化し、PはDとの比率、SpはSdと
の比率を表すこととした。この結果、最適解Bの値もD
で規格化されることになるので、たとえば、b=1は、
本来は、D*b=1を表していることに注意する(ただ
し、*は乗算を示す)。
【0109】また、最適解B={b0,b1,...b
n}の内,b0=0と固定して計算している。b0=0
でない場合には、Sd,Spが変化すると考えればよ
く、一般性を失わない。なお、下で示した結論より、最
適解BはSpへの依存性が低いので、Spを変化させず
に計算した最適解を用いても良い。
【0110】また、確率変数N(b)の分散は1として
いる。このため、実際にはv(A,B)の値はN(b)
の分散を乗算した値となる。以下に、典型的な場合につ
いてのv(A,B)を最小とするBの最適解を示す。
【0111】計測回数が4回の場合には、最適解は次の
ようになる。
【0112】P=6, Sp=0.02 ---> B={0.0, 0.11, 0.55,
2.09}, v=187000 P=10, Sp=0.02 ---> B={0.0, 0.07, 0.39, 1.88}, v=89
600 P=14, Sp=0.02 ---> B={0.0, 0.06, 0.31, 1.80}, v=66
200 P=6, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.11, 0.54, 2.10}, v=7560 P=10, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.07, 0.39, 1.88}, v=361
0 P=14, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.06, 0.31, 1.79}, v=267
0 P=6, Sp=0.2 ---> B={0.0, 0.11, 0.54, 2.08}, v=1940 P=10, Sp=0.2 ---> B={0.0, 0.07, 0.39, 1.85}, v=928 P=14, Sp=0.2 ---> B={0.0, 0.06, 0.31, 1.76}, v=686 この結果より、Bの値は、通常使用されるSpの値には
ほとんど依存しないことが判る。
【0113】次に、Bを等間隔に設定したときの最適値
を以下に示す。ただし、maxBは等間隔に設定したB
の内、最大値を表す。
【0114】P=6, Sp=0.02 ---> max B=0.98, v=1.89E6 P=10, Sp=0.02 ---> max B=0.60, v=1.09E6 P=14, Sp=0.02 ---> max B=0.43, v=87600 P=6, Sp=0.1 ---> max B=0.99, v=76200 P=10, Sp=0.1 ---> max B=0.60, v=43900 P=14, Sp=0.1 ---> max B=0.43, v=35600 P=6, Sp=0.2 ---> max B=0.99, v=19500 P=10, Sp=0.2 --->max B=0.61, v=11400 P=14, Sp=0.2 ---> max B=0.44, v=9340 この結果より、Bを自由に設定したときの最適値を用い
たときの測定精度は、Bを等間隔に設定したときの最適
値を用いたときの測定精度よりもはるかに良いことが判
る。
【0115】測定回数が5回の場合では、最適解は次の
ようになる。
【0116】P=6, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.12, 0.54,
0.54, 1.98}, v=6170 P=10, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.08, 0.40, 0.40, 1.74},
v=2920 P=14, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.06, 0.32, 0.32, 1.64},
v=2160 この結果より、5回計測の場合でも異なる4点で計測を
行い、その内の1点で2回計測するときが最適だと判
る。
【0117】なお、計測点の間隔を等間隔に設定したと
きは、次のようになる。
【0118】P=6, Sp=0.1 ---> max B=1.17, v=28900 P=10, Sp=0.1 ---> max B=0.72, v=16800 P=14, Sp=0.1 ---> max B=0.52, v=13600 測定回数が6回の場合には、最適解は次のようになる。
【0119】P=6, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.11, 0.11,
0.51, 0.51, 1.96}, v=5110 P=10, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.08, 0.08, 0.37, 0.37,
1.73}, v=2300 P=14, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.06, 0.06, 0.30, 0.30,
1.64}, v=1650 この結果より、6回計測の場合でも異なる4点で計測を
行い,その内の1点で数回計測するときが最適だと判
る。
【0120】なお、計測点の間隔を等間隔に設定したと
きは、次のようになる。
【0121】P=6, Sp=0.1 ---> max B=1.31, v=16700 P=10, Sp=0.1 ---> max B=0.81, v=9690 P=14, Sp=0.1 ---> max B=0.59, v=7900 以上示した結果より、Bを自由に設定するときには、図
1に示すように4点で計測を行うときが最適である。
【0122】次に、計測点が4点、計測回数の比率は4
点の合計が1になるという条件で、P=6,10,14
の場合について、前述の方法により計算した結果を図4
および下記に示す。
【0123】P=6, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.12, 0.56,2.
10}, R={0.11,0.26,0.32,0.31}, v=27600 P=10, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.08,0.39,1.80}, R={0.1
4,0.30,0.33,0.23}, v=13500 P=14, Sp=0.1 ---> B={0.0, 0.06,0.30,1.66}, R={0.1
6,0.32,0.33,0.19}, v=9880 なお、RはBでの計測回数の比率を表す。また、vは計
測回数を乗算した値を表しており、実際の分散はvを計
測回数で除算した値となる。
【0124】この結果より、たとえば、P=10の条件
では、最適解Bのとる値は概ね{0.0,0.1,0.
4,1.8}となり、各計測点での計測回数の比率は概
ね{0.15,0.30,0.32,0.23}とな
る。
【0125】また、P=10.0、Sp=0.1の条件
で、Bを等間隔に設定するという制限の下では、測定回
数と最適解の関係は図5のようになる。ただし、図5に
おいて、x軸は測定回数を、y軸はmaxBとv(A,
B)をそれぞれ示す。
【0126】以上の説明では、未知数が4個の場合につ
いて説明したが、そのうちのいくつかに既知の値を代入
して未知数の個数を減らすことも可能である。その場合
には、ヘシアン行列およびヤコビアンの対応する要素を
0にするか、若しくは、未知数を減らした形式で計算を
行っても良い。
【0127】また、前述する方法は、計算の原理で説明
したように、2項指数関数だけではなく、複数項指数関
数にも未知数の個数を増やすことで対応可能である。
【0128】以上説明したように、本実施の形態1の磁
気共鳴測定装置においては、たとえば、前述するように
得られた最適パラメータを、たとえば、計算機8に接続
される図示しない記憶装置に格納しておき、磁気共鳴測
定装置の立ち上げ時に、このパラメータを計算機8が図
示しない記憶装置から読み込んでおき、測定時に、作業
者が入力した計測回数、測定点等の情報に基づき、計算
機8が読み込んでおいたパラメータに基づき、測定点を
計算し、計算結果に基づいた計測点を設定して測定を行
うので、少ない計測回数であっても、未知数の個数を減
らすことなく拡散灌流計測で使用される2項指数関数の
各係数(拡散係数D、灌流係数P、信号強度Sd,S
p)を、最良の測定精度で計測できる。
【0129】また、2項指数関数の各係数(拡散係数
D、灌流係数P、信号強度Sd,Sp)が最良の測定精
度で計測できるので、たとえば、拡散灌流計測で重要と
なる拡散に起因する画像データと、灌流に起因する画像
データとの分離が精度良くできる、すなわち、拡散成分
と灌流成分とを精度良く分離した画像の表示ができる。
【0130】したがって、被験者の拘束時間を減少でき
ると共に、拡散成分と灌流成分との分離が不十分なこと
に伴う、誤診を減少できる。
【0131】また、測定回数の上限が決められた場合で
あっても、前述の手順に基づいて、計算機8が測定精度
を最良にする変数の値、および、各変数により設定した
計測点での計測回数を求め、この結果によって計測点を
決定するので、最良の測定精度が得られる。
【0132】さらには、本実施の形態の磁気共鳴測定装
置は、拡散灌流計測に必要な全ての未知数を少ない計測
点数で求めることができるので、誤診断等の原因となる
変数の計算違いを防止することができる。
【0133】本実施の形態の磁気共鳴測定装置は、最良
の測定精度が得られる測定点から得られた信号に基づ
き、画像の再構成を行うので、高精度かつ正確な再構成
画像が得られる。
【0134】(実施の形態2)図6に細胞内外の横緩和
時間の測定方法を適用した本発明の実施の形態2の磁気
共鳴測定装置のパルスシーケンスの一例を示し、以下、
図6に基づいて、実施の形態2の磁気共鳴測定装置の動
作を説明する。
【0135】なお、本実施の形態2の磁気共鳴測定装置
のブロック構成は、前述する実施の形態1の磁気共鳴測
定装置と同一であるので、各部の構成およびその動作の
説明については、省略するものとし、実施の形態1と異
なるパルスシーケンスおよびその信号処理について説明
する。
【0136】実施の形態2の磁気共鳴測定装置では、励
起高周波磁場パルス14を印加し,測定対象に磁気共鳴
現象を誘起する。このときの励起高周波磁場パルスとし
ては、たとえば、典型的に用いられるπ/2−パルスを
用いるものとする。
【0137】次に、反転高周波磁場パルス15を印加す
ることにより、スライス内の磁化を反転する。
【0138】このとき発生したエコー16は、ADサン
プリングにて、データとして計算機8に接続される図示
しない記憶装置に格納される。
【0139】ここで、エコー時間Teを変化させて複数
回の計測を行い、横緩和過程による信号強度の変化か
ら、細胞内の横緩和時間T2iと細胞外の横緩和時間T
2oとを計算する。このとき、下記の数8が成立する。
【0140】
【数8】
【0141】ここで、S(Te)はエコー時間Teでの
信号強度、Si,Soはそれぞれエコー時間0のときの
細胞内と細胞外との信号強度を表す。
【0142】これより、2項指数関数で表されているた
め、計算の原理に示す計算方法が適用できるので、実施
の形態1の結果がそのまま適用可能である。
【0143】次に、図7に細胞内外の縦緩和時間を測定
するためのパルスシーケンスの一例を示し、以下、図7
に基づいて、細胞内外の縦緩和時間を測定方法について
説明する。
【0144】まず、反転高周波磁場パルス18を印加し
て核スピンを反転する。
【0145】次に、所定の反転時間TI待った後、励起
高周波磁場パルス14を印加して、測定対象に磁気共鳴
現象を誘起する。
【0146】次に、反転高周波磁場パルス15を印加す
ることにより、スライス内の磁化を反転する。
【0147】このとき発生したエコー16は、ADサン
プリングにて、計算機8の図示しない記憶装置にデータ
として格納される。
【0148】ここで、TIを変化させて複数回計測を行
い、縦緩和過程による信号強度の変化から細胞内外の縦
緩和時間T1i,T1oを計算する。
【0149】このとき、下記の数9で表される関係が成
立する。
【0150】
【数9】
【0151】ただし、S(TI)は反転時間TIでの信
号強度、Si,Soはそれぞれ反転時間無限大のときの
細胞内と細胞外との信号強度を表す。この数9は、2項
指数関数で表されていないが、2項指数関数の場合と同
様にして、前述の計算方法が適用可能である。
【0152】以上に示すように、細胞内外の横緩和時間
および縦緩和時間の測定においても、前述する計算の原
理に示す計算方法が適用できる。
【0153】このようにして得られた最適パラメータ
を、たとえば、計算機8に接続される図示しない記憶装
置に格納しておき、磁気共鳴測定装置の立ち上げ時に、
このパラメータを計算機8が図示しない記憶装置から読
み込み、そのパラメータに基づき、測定点を設定して測
定を行うので、未知数の個数を減らすことなく、最良の
測定精度が得られる。
【0154】また、測定回数の上限が決められた場合で
あっても、前述の手順に基づいて、計算機8が測定精度
を最良にする変数の値、および、各変数により設定した
計測点での計測回数を求め、この結果によって計測点を
決定するので、最良の測定精度が得られる。
【0155】さらには、本実施の形態の磁気共鳴測定装
置は、細胞内外の横緩和時間および縦緩和時間の測定に
必要な全ての未知数を少ない計測点数で求めることがで
きるので、誤診断等の原因となる変数の計算違いを防止
することができる。
【0156】さらには、本実施の形態2の磁気共鳴測定
装置は、最良の測定精度が得られる測定点から得られた
信号に基づき、画像の再構成を行うので、高精度かつ正
確な再構成画像が得られる。
【0157】なお、以上に示す実施の形態においては、
測定対象を被検体として、本発明の磁気共鳴装置の動作
およびその効果について説明したが、本発明の磁気共鳴
装置の効果は被検体に限定されることはなく、他の水分
子を含む他の物体の計測においても適用可能なことは言
うまでもない。
【0158】また、本実施の形態においては、計算機8
で動作するプログラムの実行によって最適な計測パラメ
ータを計算し、設定するという構成の磁気共鳴測定装置
で動作およびその効果を説明したが、これに限定される
ことはなく、たとえば、予め典型的な場合についての最
適な計測パラメータを計算し、この計測パラメータを計
算機8に接続される図示しない記憶装置に参照データと
して記憶しておき、内挿もしくは外挿処理によって最適
なパラメータを計算し、設定してもよいことは言うまで
もない。
【0159】さらには、本発明は検査対象である被検体
からの信号が少なくとも1つの変数と決定しようとする
少なくとも1つの未知数を含む関数で表され、この変数
を複数の値に変化させて信号の計測点を設定し、この計
測点の各々で信号の計測を行って得る複数の計測値か
ら、未知の係数を求める場合に適用可能である。
【0160】以上、本発明者によってなされた発明を、
前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本
発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能で
あることは勿論である。
【0161】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下
記の通りである。
【0162】(1)非線形関数に従う場合であっても、
この関数の未知数の個数を減らすことなく、最良の測定
精度が得られる。
【0163】(2)計測回数の上限が決められたとき
に、測定精度を最良にする変数の値および各変数により
設定した計測点での計測回数を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2項指数関数に従う系を測定する場合におけ
る、計測点と信号強度との関係を示す典型的な模式図で
ある。
【図2】本発明の実施の形態1の磁気共鳴測定装置の概
略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態1の磁気共鳴測定装置で実行され
るパルスシーケンスの一例を示す図である。
【図4】2項指数関数における未知数の測定精度を最良
にする変数の最適解およびその最適解での計測回数との
比率を示すグラフである。
【図5】計測点を等間隔にした場合の2項指数関数にお
ける計測回数と未知数の測定精度を最良にする変数の最
適解との関係を示すグラフである。
【図6】細胞内外の横緩和時間の測定方法を適用した本
発明の実施の形態2の磁気共鳴測定装置のパルスシーケ
ンスの一例を示す図である。
【図7】細胞内外の縦緩和時間を測定するためのパルス
シーケンスの一例を示す図である。
【符号の説明】
1…静磁場Hを発生する磁石、2…被検体、3…磁気共
鳴信号の検出を行うコイル、4…X軸方向の傾斜磁場発
生コイル、5…Y軸方向の傾斜磁場発生コイル、6…Z
軸方向の傾斜磁場発生コイル、7…コイル駆動装置、8
…計算機、9…CRTディスプレイ、10…シンセサイ
ザ、11…変調装置、12…増幅器、13…検波装置、
14…励起高調波磁場パルス、15,18…反転高調波
磁場パルス、16…エコー信号、17…傾斜磁場。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−184875(JP,A) 特開 平7−20072(JP,A) 特開 平7−79939(JP,A) 特開 平7−67849(JP,A) 特開 平4−357934(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体の所定の位置に磁気共鳴を誘起す
    ることにより得られる被検体からの信号が、少なくとも
    1つの変数と、決定しようとする少なくとも1つの係数
    を含む非線形関数とで表され、計測点の各々で前記信号
    の計測を行い、該複数の計測値から前記係数を求める計
    算手段を有する磁気共鳴測定装置であって、前記変数を
    複数の値に変化させて、前記信号の計測点を設定する計
    測点設定手段と、前記計測値が所定の確率変数に従う誤
    差を含むものとして、前記計算手段が求めた前記係数と
    予め設定した係数との差を計算する差分計算手段と、該
    差分計算手段によって計算した差分値が最小となるよう
    に前記変数を設定する変数設定手段とを具備し、前記計
    測点設定手段は前記変数設定手段が設定した変数に基づ
    いて計測点を設定することを特徴とする磁気共鳴測定装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気共鳴測定装置にお
    いて、前記非線形関数が少なくとも1つの変数と決定し
    ようとする少なくとも3つの係数を含む関数とで表され
    ることを特徴とする磁気共鳴測定装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の磁気共鳴測定装置にお
    いて、前記非線形関数は2つの指数関数で表わされる
    項指数関数であることを特徴とする磁気共鳴測定装置。
  4. 【請求項4】 請求項に記載の磁気共鳴測定装置にお
    いて、前記非線形関数は2つの指数関数で表わされる2
    項指数関数であり、前記変数は、4個の値のみをとり、
    該4個の値によって設定される計測点での計測回数は、
    前記2項指数関数の係数の測定精度を最良にする比率で
    設定されることを特徴とする磁気共鳴測定装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の磁気共鳴測定装置にお
    いて、前記変数をb、小さい方の指数をD、大きい方の
    指数をPで示すときに、P=10×Dの関係が概ね成立
    し、前記変数bが概ね{0.0,0.1/D,0.4/
    D,1.8/D}の4つの値のみをとり、前記変数bに
    よって設定される計測点での計測回数の比率は概ね
    {0.15,0.30,0.32,0.23}であるこ
    とを特徴とする磁気共鳴測定装置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の磁気共鳴測定装置にお
    いて、前記非線形関 数は2つの指数関数で表わされる2
    項指数関数であり、該2項指数関数の内の小さい方の指
    数を拡散係数、大きい方の指数を灌流係数、前記変数を
    傾斜磁場因子に設定し、拡散灌流計測を行うことを特徴
    とする磁気共鳴測定装置。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の磁気共鳴測定装置にお
    いて、前記非線形関数は2つの指数関数で表わされる2
    項指数関数であり、前記変数を前記励起高周波磁場パル
    スを印加してから前記信号が得られるまでの時間とし、
    予め設定した細胞内外の横緩和時間および各々の信号強
    度と、前記計測値に所定の確率変数に従う誤差が含まれ
    ると仮定して計算した細胞内外の横緩和時間および各々
    の信号強度との差を最小にするように、前記変数設定手
    段が前記変数を計算し設定することを特徴とする磁気共
    鳴測定装置。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の磁気共鳴測定装置にお
    いて、前記変数を反転高周波磁場パルスを印加してから
    励起高周波磁場パルスを印加するまでの時間とし、予め
    設定した細胞内外の縦緩和時間および各々の信号強度
    と、前記計測値に所定の確率変数に従う誤差が含まれる
    と仮定して計算した細胞内外の縦緩和時間および各々の
    信号強度との差を最小にするように、前記変数設定手段
    が前記変数を計算し設定することを特徴とする磁気共鳴
    測定装置。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の磁気共鳴測定装置にお
    いて、本計測を行う前に予備計測を行い、予め設定する
    係数を決定することを特徴とする磁気共鳴測定装置。
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