JP3516060B2 - Nb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細多芯超伝導線の製造方法 - Google Patents
Nb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細多芯超伝導線の製造方法Info
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
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- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、Nb3Al 極
細多芯超伝導線の特性向上のためGe添加、Si添加を検討
する中で案出された発明であり、GeまたはSiが添加され
るNb/Al 合金製極細多芯超伝導線の製造方法に関するも
のである。
細多芯超伝導線の特性向上のためGe添加、Si添加を検討
する中で案出された発明であり、GeまたはSiが添加され
るNb/Al 合金製極細多芯超伝導線の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術とその課題】アーク溶解で作製されたNb
3(Al,Ge)または Nb3(Al,Si) の超伝導臨界温度Tcおよび
超伝導臨界磁場Hc2 は、Nb3Al よりずっと高くなること
は以前から知られていた。
3(Al,Ge)または Nb3(Al,Si) の超伝導臨界温度Tcおよび
超伝導臨界磁場Hc2 は、Nb3Al よりずっと高くなること
は以前から知られていた。
【0003】最近、図13に示すような製法を用いる中
で、NbとAlの複合線材を急熱・急冷処理し、Nb-25at%Al
の過飽和bcc 合金固溶相を複合線材中に生成させ、その
後650〜900℃で熱処理することで、化学量論組成
に近く、極めて細かい結晶粒のNb3Al を析出させる製法
が提案されている。この製法では臨界電流密度Jcが極め
て高くなるため、実用線材の製法として注目されてい
る。
で、NbとAlの複合線材を急熱・急冷処理し、Nb-25at%Al
の過飽和bcc 合金固溶相を複合線材中に生成させ、その
後650〜900℃で熱処理することで、化学量論組成
に近く、極めて細かい結晶粒のNb3Al を析出させる製法
が提案されている。この製法では臨界電流密度Jcが極め
て高くなるため、実用線材の製法として注目されてい
る。
【0004】現在、金属系超伝導材料を使った発生磁場
記録は21.7T であり、Nb3Al 線材が実用化しても、発生
磁場の上限は23.5T 程度と考えられる。
記録は21.7T であり、Nb3Al 線材が実用化しても、発生
磁場の上限は23.5T 程度と考えられる。
【0005】酸化物系超伝導線材は、より強磁場の発生
が可能であるが、線材製造コストが金属系超伝導線材の
百倍程度大きいのが問題である。
が可能であるが、線材製造コストが金属系超伝導線材の
百倍程度大きいのが問題である。
【0006】ところで、NbマトリックスとAl-Ge 合金芯
からなる極細多芯複合線を作製し、通電加熱で2000
℃近くの温度まで急熱し、次いで液体金属中に連続的に
導き急冷する急熱・急冷処理を施すと、Al中のGeの添加
量が2%以下と少ない場合、過飽和固溶体が生成され、
追加析出熱処理により、大きいJcが得られるが、TcやHc
2 の顕著な増加は見られない。
からなる極細多芯複合線を作製し、通電加熱で2000
℃近くの温度まで急熱し、次いで液体金属中に連続的に
導き急冷する急熱・急冷処理を施すと、Al中のGeの添加
量が2%以下と少ない場合、過飽和固溶体が生成され、
追加析出熱処理により、大きいJcが得られるが、TcやHc
2 の顕著な増加は見られない。
【0007】一方、Geの添加量が多くなると、過飽和固
溶体は不安定になり、超急冷条件下のみで過飽和固溶体
は形成される。
溶体は不安定になり、超急冷条件下のみで過飽和固溶体
は形成される。
【0008】しかし、連続的な超急冷は工業的に極めて
実現が難しいため、実用化の目途が立たない。
実現が難しいため、実用化の目途が立たない。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上の従来技術の欠点を
打開するために、この出願の発明は、厚さ1μm 以下の
Al-(2 〜30)at%Ge合金がNb母材中に体積率1:2.5 〜1:3.
5 で均質に複合された複合芯材を作製し、この複合芯材
の多数本をNb含有の筒状のマトリックス材に埋め込んで
極細多芯構造複合線を作製し、この極細多芯構造複合線
を2 秒以内で1700℃以上の温度まで加熱し、次いで溶融
金属中に導き冷却する急熱・急冷処理により、極細多芯
構造複合線中に結晶秩序度の低いA15 相化合物フィラメ
ントを形成し、この状態で、この極細多芯構造複合線上
に超伝導安定化材としてのCuを被覆し、次いで650 〜90
0 ℃で追加熱処理を行うことによりA15 相化合物のNb
3(Al,Ge)の結晶秩序度を回復させることを特徴とするNb
3(Al,Ge)極細多芯超伝導線の製造方法(請求項1)を提
供する。
打開するために、この出願の発明は、厚さ1μm 以下の
Al-(2 〜30)at%Ge合金がNb母材中に体積率1:2.5 〜1:3.
5 で均質に複合された複合芯材を作製し、この複合芯材
の多数本をNb含有の筒状のマトリックス材に埋め込んで
極細多芯構造複合線を作製し、この極細多芯構造複合線
を2 秒以内で1700℃以上の温度まで加熱し、次いで溶融
金属中に導き冷却する急熱・急冷処理により、極細多芯
構造複合線中に結晶秩序度の低いA15 相化合物フィラメ
ントを形成し、この状態で、この極細多芯構造複合線上
に超伝導安定化材としてのCuを被覆し、次いで650 〜90
0 ℃で追加熱処理を行うことによりA15 相化合物のNb
3(Al,Ge)の結晶秩序度を回復させることを特徴とするNb
3(Al,Ge)極細多芯超伝導線の製造方法(請求項1)を提
供する。
【0010】また、この出願の発明は、請求項1におい
て、出発材であるAl-(2 〜30)at%Ge合金に代えて、Al-
(2 〜20)at%Si合金を使い、請求項1と同一の工程で作
製することを特徴とするNb3(Al,Si)極細多芯超伝導線の
製造方法(請求項2)を提供する。
て、出発材であるAl-(2 〜30)at%Ge合金に代えて、Al-
(2 〜20)at%Si合金を使い、請求項1と同一の工程で作
製することを特徴とするNb3(Al,Si)極細多芯超伝導線の
製造方法(請求項2)を提供する。
【0011】更に、請求項1または2において、製造工
程中、追加熱処理の前段で行われる安定化のためのCu被
覆に代えて、追加熱処理の後に安定化のためのCu被覆を
行うことを特徴とするNb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細
多芯超伝導の製造方法(請求項3)を、また、請求項1
または2において、製造工程中、Cuをあらかじめ拡散バ
リアー材で周囲を囲んだ状態でマトリックス材中に組み
込み、伸線加工を行って極細多芯構造複合線を作製し、
この極細多芯構造複合線を急熱・急冷処理をすることを
特徴とするNb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細多芯超伝導
線の製造方法(請求項4)を、更に請求項1、2、3、
または4において、製造工程中の出発材であるAl-(2 〜
30)at%Ge合金またはAl-(2 〜20)at%Si合金に代えて、Al
-(2 〜30)at%Ge-(0 〜7)at%X合金またはAl-(2 〜20)at%
Si-(0 〜7)at%X合金( ただしX は、Mg、Zn、Li、Ag、C
u、B の中から選択される1 種類以上) を使用すること
を特徴とするNb3(Al,Ge)または Nb3(Al,Si) 極細多芯超
伝導線の製造方法(請求項5)をも提供する。
程中、追加熱処理の前段で行われる安定化のためのCu被
覆に代えて、追加熱処理の後に安定化のためのCu被覆を
行うことを特徴とするNb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細
多芯超伝導の製造方法(請求項3)を、また、請求項1
または2において、製造工程中、Cuをあらかじめ拡散バ
リアー材で周囲を囲んだ状態でマトリックス材中に組み
込み、伸線加工を行って極細多芯構造複合線を作製し、
この極細多芯構造複合線を急熱・急冷処理をすることを
特徴とするNb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細多芯超伝導
線の製造方法(請求項4)を、更に請求項1、2、3、
または4において、製造工程中の出発材であるAl-(2 〜
30)at%Ge合金またはAl-(2 〜20)at%Si合金に代えて、Al
-(2 〜30)at%Ge-(0 〜7)at%X合金またはAl-(2 〜20)at%
Si-(0 〜7)at%X合金( ただしX は、Mg、Zn、Li、Ag、C
u、B の中から選択される1 種類以上) を使用すること
を特徴とするNb3(Al,Ge)または Nb3(Al,Si) 極細多芯超
伝導線の製造方法(請求項5)をも提供する。
【0012】すなわち、この出願の発明は発明者により
見出された以下の知見に基づいて完成されている。
見出された以下の知見に基づいて完成されている。
【0013】まず、前記の通りの急熱・急冷処理を行う
と、結晶秩序度の低いA15 相化合物フィラメントが生成
し、この線材を650〜900℃で熱処理すると、結晶
の長距離秩序度が回復し、Tc=19.4K、Hc2(4.2K) = 39.5
T が得られるが、Jc(4.2K)は15T で130A/mm2と実用線材
に比べて少し低い。ただし、磁場増加によるJc減少は小
さく、25T でのJc(4.2K)は100 A/mm2 程度であり、金属
系超伝導線材の中では最も高いことである。だが、超伝
導マグネットとして実用されるには、Jc(4.2K)は目標と
する発生磁場で最低150 A/mm2 程度は必要であり、実用
線の実現には若干無理があった。
と、結晶秩序度の低いA15 相化合物フィラメントが生成
し、この線材を650〜900℃で熱処理すると、結晶
の長距離秩序度が回復し、Tc=19.4K、Hc2(4.2K) = 39.5
T が得られるが、Jc(4.2K)は15T で130A/mm2と実用線材
に比べて少し低い。ただし、磁場増加によるJc減少は小
さく、25T でのJc(4.2K)は100 A/mm2 程度であり、金属
系超伝導線材の中では最も高いことである。だが、超伝
導マグネットとして実用されるには、Jc(4.2K)は目標と
する発生磁場で最低150 A/mm2 程度は必要であり、実用
線の実現には若干無理があった。
【0014】ところが、Al-Ge 合金芯径を従来の径より
1.5 μm から0.3 μm まで減少させた複合極細多芯線を
作製することに成功し、この複合線を急熱・急冷処理し
たところ、最終的に得られたJc(4.2K)は 21Tで、250A/m
m2を超えており、25T で150A/mm2に達した。
1.5 μm から0.3 μm まで減少させた複合極細多芯線を
作製することに成功し、この複合線を急熱・急冷処理し
たところ、最終的に得られたJc(4.2K)は 21Tで、250A/m
m2を超えており、25T で150A/mm2に達した。
【0015】このことから、このNb3(Al,Ge)極細多芯線
材を使った超伝導マグネットは最適設計を行えば、4.2K
運転で25T 、また 1.8K 運転で 27Tの磁場発生が可能で
あると推定できる(4.2K→ 1.8K への冷却で、超伝導特
性は2T程度改善される)ことが判明した。
材を使った超伝導マグネットは最適設計を行えば、4.2K
運転で25T 、また 1.8K 運転で 27Tの磁場発生が可能で
あると推定できる(4.2K→ 1.8K への冷却で、超伝導特
性は2T程度改善される)ことが判明した。
【0016】AlにSiを添加した場合も、TcおよびHc2(4.
2K) は改善された。このケースでは急熱・急冷処理した
場合、過飽和固溶体が不安定になり、結晶秩序度の低い
A15相化合物が生成し、Jcが低いという問題に当面した
ものの、同様にAl-Si 合金芯径を小さくすることで、Jc
を増加させることに成功した。
2K) は改善された。このケースでは急熱・急冷処理した
場合、過飽和固溶体が不安定になり、結晶秩序度の低い
A15相化合物が生成し、Jcが低いという問題に当面した
ものの、同様にAl-Si 合金芯径を小さくすることで、Jc
を増加させることに成功した。
【0017】この出願の発明は、このような知見に基づ
いて完成されものであり、GeまたはSiを添加してTcおよ
びHc2 を向上させたNb3Al 極細多芯線において、大きい
Jcを得るための新製造法を提案するものである。
いて完成されものであり、GeまたはSiを添加してTcおよ
びHc2 を向上させたNb3Al 極細多芯線において、大きい
Jcを得るための新製造法を提案するものである。
【0018】この出願の製造方法により得られる発明の
超伝導線材は、27T 級の強磁場発生を可能とする。
超伝導線材は、27T 級の強磁場発生を可能とする。
【0019】
【発明の実施の形態】 Nb/Al 合金マイクロ複合体芯
の作製態様について、以下の実施例では、図9に示すよ
うにNbチューブにAl合金芯を挿入して、伸線加工を繰り
返すことで作製したする方法( ロッド・イン・チューブ
法) が採用されるが、この製法以外に、図10に示すよう
に、Nb粉末とAl合金粉末を混ぜ合わせた混合物を伸線加
工する方法( パウダー・イン・チューブ法) 、図11に示
すように、NbシートとAl合金シートを重ね合わせてロー
ル状に巻き込んだ複合体を伸線加工する方法( ジェリー
ロール法) 、図12に示すように、Al合金シートをNbシー
トと重ねた状態で、軽度の加工を加え、次いで、適当な
長方形チップ状に切って、押し出し加工( クラッドチッ
プ・押し出し法) により、マイクロ複合体を作製しても
原理的に、その特性は変化しない。 Al合金の厚さは1 μm 以下とする。Al 合金の厚さ
が1 μm 以上を超える場合、低磁場中のJc(4.2K)が小さ
くなり、実用上、都合が悪いからである。 マイクロ複合体中の合金比は、Al-(2 〜30)at%Ge合
金がNb中に占める体積率の範囲を1:2.5 〜1:3.5 とす
る。これは、芯材中のNbとAl合金の比率は化学量論では
3:1 であり、この付近の組成であれば、超伝導A-15 相
化合物が生成するからである。3:1 の比率から大きくず
れた場合には、他の非超伝導化合物や非超伝導合金の構
成割合が大きくなり、他の化合物が生成する。実施例で
は3:1 に固定して行ったが、実用的にはこの組成からあ
る程度ずれていても問題はない。 GeまたはSiの添加量は、Al中のGeまたはSi添加量を
2at%以上とする。添加量が2at%未満の場合、過飽和bcc
固溶体が優先し、これが生成する。その場合は以前の特
許第2762074 号と同じ製造法となる。
の作製態様について、以下の実施例では、図9に示すよ
うにNbチューブにAl合金芯を挿入して、伸線加工を繰り
返すことで作製したする方法( ロッド・イン・チューブ
法) が採用されるが、この製法以外に、図10に示すよう
に、Nb粉末とAl合金粉末を混ぜ合わせた混合物を伸線加
工する方法( パウダー・イン・チューブ法) 、図11に示
すように、NbシートとAl合金シートを重ね合わせてロー
ル状に巻き込んだ複合体を伸線加工する方法( ジェリー
ロール法) 、図12に示すように、Al合金シートをNbシー
トと重ねた状態で、軽度の加工を加え、次いで、適当な
長方形チップ状に切って、押し出し加工( クラッドチッ
プ・押し出し法) により、マイクロ複合体を作製しても
原理的に、その特性は変化しない。 Al合金の厚さは1 μm 以下とする。Al 合金の厚さ
が1 μm 以上を超える場合、低磁場中のJc(4.2K)が小さ
くなり、実用上、都合が悪いからである。 マイクロ複合体中の合金比は、Al-(2 〜30)at%Ge合
金がNb中に占める体積率の範囲を1:2.5 〜1:3.5 とす
る。これは、芯材中のNbとAl合金の比率は化学量論では
3:1 であり、この付近の組成であれば、超伝導A-15 相
化合物が生成するからである。3:1 の比率から大きくず
れた場合には、他の非超伝導化合物や非超伝導合金の構
成割合が大きくなり、他の化合物が生成する。実施例で
は3:1 に固定して行ったが、実用的にはこの組成からあ
る程度ずれていても問題はない。 GeまたはSiの添加量は、Al中のGeまたはSi添加量を
2at%以上とする。添加量が2at%未満の場合、過飽和bcc
固溶体が優先し、これが生成する。その場合は以前の特
許第2762074 号と同じ製造法となる。
【0020】Al中のGeまたはSi添加量に係る最良の効果
は、20at%Ge 、または10at%Si のときに得られ、過剰添
加は超伝導特性を次第に劣化させる。 急熱・急冷処理の時間については、実施例では線材
移動速度1m/secを標準に行ったが、この場合の加熱時間
は0.1 秒である。線材移動速度を0.5m/sec、0.2m/secと
遅くしても、得られる超伝導性は殆ど変わらない。ただ
し0.05m/sec 以下にすると、Ga浴等の溶融金属中に溶け
だすNb量が増え、長尺線の急熱・急冷処理には、適さな
いようである。このように、線材あるいは装置を構成す
る金属への著しい反応および侵食を防ぐため、溶融金属
は、一般には、その融点以上で300℃程度までの温度
範囲に保持されていることが好ましい。
は、20at%Ge 、または10at%Si のときに得られ、過剰添
加は超伝導特性を次第に劣化させる。 急熱・急冷処理の時間については、実施例では線材
移動速度1m/secを標準に行ったが、この場合の加熱時間
は0.1 秒である。線材移動速度を0.5m/sec、0.2m/secと
遅くしても、得られる超伝導性は殆ど変わらない。ただ
し0.05m/sec 以下にすると、Ga浴等の溶融金属中に溶け
だすNb量が増え、長尺線の急熱・急冷処理には、適さな
いようである。このように、線材あるいは装置を構成す
る金属への著しい反応および侵食を防ぐため、溶融金属
は、一般には、その融点以上で300℃程度までの温度
範囲に保持されていることが好ましい。
【0021】また、急熱・急冷処理時の熱処理時間を長
くすることは、冷却速度を遅くすることに繋がるので好
ましくない。現実には0.1 秒の加熱で充分である。 マトリックス材には、実施例では純Nbを使用してい
るが、これは1700℃以上の温度に耐えることができ、良
好な冷間加工性を有しており、しかも、Nb3Al との拡散
反応性に乏しいからである。このような要件を備えたマ
トリックス材としては、純Nbの他に、純Ta、Nb基合金、
Ta基合金が挙げられ、適用可能である。 加工の出発材は、実施例ではAl-Ge 合金、Al-Si 合
金を使用しているが、従来の経験から、この合金にMg、
Ag、Cu、B およびLiを合計して7at%以下を含ませても差
し支えなく、これらMg等を7at%以下を含有する場合、複
合加工性は改善され、一方超伝導特性には大きなマイナ
ス効果はなく、問題ない。 追加熱処理は、実施例では 800℃で行っているが、
熱処理温度は、650 〜900 ℃の温度範囲で行えばよい。
この温度範囲の追加熱処理により、Al5 相化合物のNb
3(Al,Ge)の結晶秩序度を回復させることができる。 安定化材としてのCuの被覆は、電気メッキ、化学メ
ッキ、物理的メッキ等から任意に選択して実施可能であ
り、また、被覆時期も、追加熱処理の前段または後段と
任意に選択することが可能である。
くすることは、冷却速度を遅くすることに繋がるので好
ましくない。現実には0.1 秒の加熱で充分である。 マトリックス材には、実施例では純Nbを使用してい
るが、これは1700℃以上の温度に耐えることができ、良
好な冷間加工性を有しており、しかも、Nb3Al との拡散
反応性に乏しいからである。このような要件を備えたマ
トリックス材としては、純Nbの他に、純Ta、Nb基合金、
Ta基合金が挙げられ、適用可能である。 加工の出発材は、実施例ではAl-Ge 合金、Al-Si 合
金を使用しているが、従来の経験から、この合金にMg、
Ag、Cu、B およびLiを合計して7at%以下を含ませても差
し支えなく、これらMg等を7at%以下を含有する場合、複
合加工性は改善され、一方超伝導特性には大きなマイナ
ス効果はなく、問題ない。 追加熱処理は、実施例では 800℃で行っているが、
熱処理温度は、650 〜900 ℃の温度範囲で行えばよい。
この温度範囲の追加熱処理により、Al5 相化合物のNb
3(Al,Ge)の結晶秩序度を回復させることができる。 安定化材としてのCuの被覆は、電気メッキ、化学メ
ッキ、物理的メッキ等から任意に選択して実施可能であ
り、また、被覆時期も、追加熱処理の前段または後段と
任意に選択することが可能である。
【0022】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの出
願の発明の実施の態様を説明する。
願の発明の実施の態様を説明する。
【0023】
【実施例1】Ge添加の例として、図2、図9を参照して
説明する。
説明する。
【0024】Al-5at%Ge 、Al-20at%Ge、Al-30at%Geおよ
び Al-40at%Ge 合金をタンマン溶解で作製し、外径 7mm
φの丸棒状に切り出し、Nbパイプ( 外形14mmφ、内径7m
m φ) に詰め込み、390 ℃での球状化熱処理を加えなが
ら冷間溝ロール加工と伸線加工を施した。これによって
厚さ1μm 以下のAl-(2 〜30)at%Ge合金をNb中に体積率
1:3 となるよう均質に複合芯材を作製した。
び Al-40at%Ge 合金をタンマン溶解で作製し、外径 7mm
φの丸棒状に切り出し、Nbパイプ( 外形14mmφ、内径7m
m φ) に詰め込み、390 ℃での球状化熱処理を加えなが
ら冷間溝ロール加工と伸線加工を施した。これによって
厚さ1μm 以下のAl-(2 〜30)at%Ge合金をNb中に体積率
1:3 となるよう均質に複合芯材を作製した。
【0025】ここでAl-40at%Ge合金の場合は、加工の初
期に割れが発生し、伸線加工工程で断線が発生したの
で、複合加工は成功しなかった。
期に割れが発生し、伸線加工工程で断線が発生したの
で、複合加工は成功しなかった。
【0026】しかし、Geが30at% 以下の場合には、複合
加工ができ、これらの複合線は一部、1.14mmφまで、残
りは0.8 mmφまで伸線加工を遂行することができた。
加工ができ、これらの複合線は一部、1.14mmφまで、残
りは0.8 mmφまで伸線加工を遂行することができた。
【0027】伸線加工に続いて、この単芯複合線を適当
な寸法に切断し、1.14mmφの単芯線を121 本束ねて、Nb
パイプ(外径 20mm 、内径 14mm )に、また0.8mmφの
単芯線を330 本束ねて、Nbパイプ(外径 25mm 、内径 1
6mm )に詰め込んだ後、中間焼鈍無しで、溝ロール加工
および伸線加工を行い、121 芯複合線は1.14mmφまで加
工した後、切断し、121 本束ねて、Nbパイプ( 外径 20m
m 、内径 14mm )に詰め込んだ。また、330 芯複合線は
0.8 mmφまで加工した後、切断し、330 本束ねて、Nbパ
イプ( 外径 25mm 、内径 16mm φ)に詰め込んだ。これ
らの 121×121本複合体と330 ×330 本複合体を溝ロー
ル加工および伸線加工により、0.8mm φまで加工した。
こうして、複合芯材を、多数本、純Nbよりなるマトリッ
クス材に埋め込んだ極細多芯構造複合線を作製した。
な寸法に切断し、1.14mmφの単芯線を121 本束ねて、Nb
パイプ(外径 20mm 、内径 14mm )に、また0.8mmφの
単芯線を330 本束ねて、Nbパイプ(外径 25mm 、内径 1
6mm )に詰め込んだ後、中間焼鈍無しで、溝ロール加工
および伸線加工を行い、121 芯複合線は1.14mmφまで加
工した後、切断し、121 本束ねて、Nbパイプ( 外径 20m
m 、内径 14mm )に詰め込んだ。また、330 芯複合線は
0.8 mmφまで加工した後、切断し、330 本束ねて、Nbパ
イプ( 外径 25mm 、内径 16mm φ)に詰め込んだ。これ
らの 121×121本複合体と330 ×330 本複合体を溝ロー
ル加工および伸線加工により、0.8mm φまで加工した。
こうして、複合芯材を、多数本、純Nbよりなるマトリッ
クス材に埋め込んだ極細多芯構造複合線を作製した。
【0028】なお、複合体はその多数本がマトリックス
材に埋め込まれるが、ここで多数本とは、数十本から数
百万本の範囲を一般的に意味している。その後、図1に
示すように、Nb/Al-Ge複合体なる極細多芯構造複合線を
急熱・急冷処理をして低結晶秩序度のNb3(Al,Ge)-A15相
化合物を生成させ、更に結晶秩序化のため熱処理を追加
する工程を経て、高結晶秩序度のNb3(Al-Ge)A15 相超伝
導体を得ることができた。
材に埋め込まれるが、ここで多数本とは、数十本から数
百万本の範囲を一般的に意味している。その後、図1に
示すように、Nb/Al-Ge複合体なる極細多芯構造複合線を
急熱・急冷処理をして低結晶秩序度のNb3(Al,Ge)-A15相
化合物を生成させ、更に結晶秩序化のため熱処理を追加
する工程を経て、高結晶秩序度のNb3(Al-Ge)A15 相超伝
導体を得ることができた。
【0029】これらの複合線を図5に示すような急熱・
急冷装置にかけた。
急冷装置にかけた。
【0030】ここで、急熱・急冷装置は、線材の供給、
巻き取り機構、Ga浴槽、回折記録装置および電源装置
を備え、線材(1)の電熱加熱とGa浴冷却をする装置で
ある。線材(1) は、供給用リール(2) からガイドローラ
ー(3) 、電極プーリー(4) 、浸漬ガイドローラー(5) を
経て巻き取り用リール(6) に巻き取られる。動力源(9)
は、電極プーリー(4) 、浸漬ガイドローラー(5) に夫々
導線(14)(10)により接続されており、記録装置(11)は加
熱電圧用導線(12)、加熱電流用導線(13)を介して電極プ
ーリー(4) 、浸漬ガイドローラー(5) に接続されてい
る。浸漬タンク(7) にはGa溶液が満たされており、浸漬
ガイドローラー(5) がGa溶液に浸漬されている。
巻き取り機構、Ga浴槽、回折記録装置および電源装置
を備え、線材(1)の電熱加熱とGa浴冷却をする装置で
ある。線材(1) は、供給用リール(2) からガイドローラ
ー(3) 、電極プーリー(4) 、浸漬ガイドローラー(5) を
経て巻き取り用リール(6) に巻き取られる。動力源(9)
は、電極プーリー(4) 、浸漬ガイドローラー(5) に夫々
導線(14)(10)により接続されており、記録装置(11)は加
熱電圧用導線(12)、加熱電流用導線(13)を介して電極プ
ーリー(4) 、浸漬ガイドローラー(5) に接続されてい
る。浸漬タンク(7) にはGa溶液が満たされており、浸漬
ガイドローラー(5) がGa溶液に浸漬されている。
【0031】線材(1) は、電極プーリー(4) を通過する
とき、記録装置(11)の制御を受けながら急激に加熱さ
れ、Ga溶液を通過する際に急激に冷却されるように構成
されている。
とき、記録装置(11)の制御を受けながら急激に加熱さ
れ、Ga溶液を通過する際に急激に冷却されるように構成
されている。
【0032】複合線は1m/sec の速度で移動しながら、
Ga浴と電極プーリーの間で通電加熱により室温から約2
000℃まで急熱される。次いで、50℃程度に保持さ
れたGa溶中を通過させて急冷される(急冷速度1×105/
sec 程度)。ここで、Ga浴は電極と冷媒の役割を兼ねて
いる。
Ga浴と電極プーリーの間で通電加熱により室温から約2
000℃まで急熱される。次いで、50℃程度に保持さ
れたGa溶中を通過させて急冷される(急冷速度1×105/
sec 程度)。ここで、Ga浴は電極と冷媒の役割を兼ねて
いる。
【0033】図2に示すように、続いて、結晶秩序度の
低いA15 相化合物フィラメントを複合線中に形成した状
態で、この複合線上に電気メッキ、化学メッキまたは物
理的メッキにより、超伝導安定化材としてのCuを被覆し
た。
低いA15 相化合物フィラメントを複合線中に形成した状
態で、この複合線上に電気メッキ、化学メッキまたは物
理的メッキにより、超伝導安定化材としてのCuを被覆し
た。
【0034】その後、結晶秩序化のため熱処理を施し
て、結晶秩序度が高く、Cu安定化したNb3(Al,Ge)超伝導
体の複合線を得た。
て、結晶秩序度が高く、Cu安定化したNb3(Al,Ge)超伝導
体の複合線を得た。
【0035】なお、安定化のためのCu被覆工程は、この
実施例では、製造工程中、急熱・急冷処理後、追加熱処
理の前段で行ったが、図3に示すように、熱処理を施し
て高結晶秩序度Nb3(Al-Ge)A15 相超伝導体とした後にCu
被覆を行うこともできる。
実施例では、製造工程中、急熱・急冷処理後、追加熱処
理の前段で行ったが、図3に示すように、熱処理を施し
て高結晶秩序度Nb3(Al-Ge)A15 相超伝導体とした後にCu
被覆を行うこともできる。
【0036】また、図4に示すように、複合線材作製の
工程において、Cuはあらかじめ、拡散バリアー材、たと
えばV 、Nb、Ta等で周囲を囲んだ状態のものとしてマト
リックス材中に組み込み、伸線加工を行って極細多芯構
造複合線を作製し、この極細多芯構造複合線を急熱・急
冷処理をすることもできる。
工程において、Cuはあらかじめ、拡散バリアー材、たと
えばV 、Nb、Ta等で周囲を囲んだ状態のものとしてマト
リックス材中に組み込み、伸線加工を行って極細多芯構
造複合線を作製し、この極細多芯構造複合線を急熱・急
冷処理をすることもできる。
【0037】巻き取られた複合線をX線回折装置で調べ
たところ、図6に示すようにA15 相化合物が生成してい
た。これはGeを含まないNb/Al 線材を使い急熱・急冷処
理した場合、過飽和bcc 固溶相ができるのと対照的であ
った。
たところ、図6に示すようにA15 相化合物が生成してい
た。これはGeを含まないNb/Al 線材を使い急熱・急冷処
理した場合、過飽和bcc 固溶相ができるのと対照的であ
った。
【0038】Nb/Al-20at%Geを使った場合、急熱・急冷
処理後のTcは図7に示すように14.9Kであった。800 ℃
の追加熱処理により、結晶の長距離秩序度が回復し、Tc
は19.4K まで向上した。
処理後のTcは図7に示すように14.9Kであった。800 ℃
の追加熱処理により、結晶の長距離秩序度が回復し、Tc
は19.4K まで向上した。
【0039】Ge無添加の場合、最高のTcとして17.5K が
得られているので、2K程度向上したこととなる。
得られているので、2K程度向上したこととなる。
【0040】なお、Al-5at%Ge およびAl-30at%Geを使っ
た場合、得られた最高のTcは、それぞれ、18.3K および
18.7Kであった。
た場合、得られた最高のTcは、それぞれ、18.3K および
18.7Kであった。
【0041】Nb/Al-20at%Ge を使った場合、Hc2(4.2K)
も急熱・急冷処理後は20T 程度であったが、650 〜 900
℃の追加処理により、30〜 40TまでHc2(4.2K) は向上し
た。Ge無添加の場合のHc2(4.2K) は25〜 26Tなので、Ge
添加により、Hc2(4.2K) は大幅に改善されたことにな
る。
も急熱・急冷処理後は20T 程度であったが、650 〜 900
℃の追加処理により、30〜 40TまでHc2(4.2K) は向上し
た。Ge無添加の場合のHc2(4.2K) は25〜 26Tなので、Ge
添加により、Hc2(4.2K) は大幅に改善されたことにな
る。
【0042】Ge添加線材は、TcおよびHc2(4.2K )が大幅
に改善されるが、Jc(4.2K)は、図8に示すように、低磁
界ではあまり大きくない。ただしこれまでの実用超伝導
線材ではJcが極めて小さくなり、使えなくなる20T 以上
の磁場中ではかなり高い値を示す。特に330 × 330芯Nb
/Al-20at%Ge (Al-Ge 合金芯径0.3 μm )複合線材を使
った場合に得られたJc(4.2K ) は、21T で250A/mm2を越
えており、25T で150A/mm2に達した。したがって、この
Nb3(Al,Ge)極細多芯線材を使った超伝導マグネットは最
適設計を行った場合、4.2K運転で25T 、また 1.8K 運転
で27T の超強磁場発生が可能だということが示唆される
(4.2K→1.8Kへの冷却で、超伝導特性は2T 程度改善さ
れる)。
に改善されるが、Jc(4.2K)は、図8に示すように、低磁
界ではあまり大きくない。ただしこれまでの実用超伝導
線材ではJcが極めて小さくなり、使えなくなる20T 以上
の磁場中ではかなり高い値を示す。特に330 × 330芯Nb
/Al-20at%Ge (Al-Ge 合金芯径0.3 μm )複合線材を使
った場合に得られたJc(4.2K ) は、21T で250A/mm2を越
えており、25T で150A/mm2に達した。したがって、この
Nb3(Al,Ge)極細多芯線材を使った超伝導マグネットは最
適設計を行った場合、4.2K運転で25T 、また 1.8K 運転
で27T の超強磁場発生が可能だということが示唆される
(4.2K→1.8Kへの冷却で、超伝導特性は2T 程度改善さ
れる)。
【0043】Al-5at%Ge およびAl-30at%Geを使った場合
もAl-20at%Geで得られたほどの顕著な効果ではないが、
高磁場特性の改善が見られた。いずれも121 ×121 芯
(芯径1.5 μm )の場合より、330 ×330 芯(芯径0.3
μm )の場合の方がJc(4.2K)は向上した。
もAl-20at%Geで得られたほどの顕著な効果ではないが、
高磁場特性の改善が見られた。いずれも121 ×121 芯
(芯径1.5 μm )の場合より、330 ×330 芯(芯径0.3
μm )の場合の方がJc(4.2K)は向上した。
【0044】
【実施例2】Si添加の例としてAl-3at%Si 、 Al-10at%S
i 、 Al-20at%Si および Al-30at%Si 合金をタンマン溶
解で作製し、実施例1と同一方法で外径0.8mm φで、Al
-Si合金芯を121 ×121 本含む複合線と 330×330 本含
む複合線を作り、急熱・急冷処理後、追加熱処理を行
い、超伝導特性を調べた。
i 、 Al-20at%Si および Al-30at%Si 合金をタンマン溶
解で作製し、実施例1と同一方法で外径0.8mm φで、Al
-Si合金芯を121 ×121 本含む複合線と 330×330 本含
む複合線を作り、急熱・急冷処理後、追加熱処理を行
い、超伝導特性を調べた。
【0045】急熱・急冷処理後、X線回折を行うと、秩
序度の悪いA15 相化合物フィラメントが生成していた。
序度の悪いA15 相化合物フィラメントが生成していた。
【0046】この急熱・急冷処理後のTcはいずれの試料
でも13〜15K 程度であった。800 ℃の追加熱処理を行っ
たところ、Tcは向上し、10at%Si を添加したAl合金を使
った場合に最も顕著な効果を示し、Tcは18.8K までに向
上した。
でも13〜15K 程度であった。800 ℃の追加熱処理を行っ
たところ、Tcは向上し、10at%Si を添加したAl合金を使
った場合に最も顕著な効果を示し、Tcは18.8K までに向
上した。
【0047】3at%Si および20at%Si を添加した場合、
得られたTcは18.2K および18.1K と向上したが、30at%S
i 添加の場合は、得られた最高のTcは17.2K とSi無添加
の場合に得られた最高のTc、17.9K よりも低下した。
得られたTcは18.2K および18.1K と向上したが、30at%S
i 添加の場合は、得られた最高のTcは17.2K とSi無添加
の場合に得られた最高のTc、17.9K よりも低下した。
【0048】Nb/Al-10at%Siを使った場合に得られたJc
(4.2K)は、Nb/Al-20at%Ge で得られたJcと極めて類似し
た磁場依存性を示した。Ge添加の場合と類似して、芯径
が1.5 μm の場合より、 0.3μm の場合の方がJc(4.2K)
は高くなり、150A/mm2のJc(4.2K)が24T で得られた。
(4.2K)は、Nb/Al-20at%Ge で得られたJcと極めて類似し
た磁場依存性を示した。Ge添加の場合と類似して、芯径
が1.5 μm の場合より、 0.3μm の場合の方がJc(4.2K)
は高くなり、150A/mm2のJc(4.2K)が24T で得られた。
【0049】従って、このNb3(Al,Si)極細多芯線は、4.
2K運転で 24T、1.8K運転で 26Tの磁界発生に有望な超伝
導線材と考えられる。
2K運転で 24T、1.8K運転で 26Tの磁界発生に有望な超伝
導線材と考えられる。
【0050】
【発明の効果】この出願の発明の製造方法によれば、Ge
またはSiを添加してTcおよびHc2 を向上させたNb3Al 極
細多芯線において、高いJcを得ることができ、27T 級の
強磁場発生を可能とする超伝導線材が製造可能となる。
またはSiを添加してTcおよびHc2 を向上させたNb3Al 極
細多芯線において、高いJcを得ることができ、27T 級の
強磁場発生を可能とする超伝導線材が製造可能となる。
【0051】従来、超伝導特性が優れているとは知られ
ていたが、高Jcをもたらす線材化方法が知られていなか
ったNb3(Al, Ge)または Nb3(Al,Si) 化合物について、
実用に適した線材化方法が得られ、高臨界電流密度Jcが
実現する。
ていたが、高Jcをもたらす線材化方法が知られていなか
ったNb3(Al, Ge)または Nb3(Al,Si) 化合物について、
実用に適した線材化方法が得られ、高臨界電流密度Jcが
実現する。
【0052】このような高臨界電流密度を有するこの出
願の発明により製造される超伝導線材は、従来、困難と
されていた25-27Tの超強磁場発生を可能とし、核融合炉
マグネット、電磁推進船、1.1 GHz NMR スペクトロメー
タ等への応用が有望視され、更に全く新しい応用技術が
生み出される可能性も有り、多大な経済的波及効果が予
想される。
願の発明により製造される超伝導線材は、従来、困難と
されていた25-27Tの超強磁場発生を可能とし、核融合炉
マグネット、電磁推進船、1.1 GHz NMR スペクトロメー
タ等への応用が有望視され、更に全く新しい応用技術が
生み出される可能性も有り、多大な経済的波及効果が予
想される。
【図1】急熱・急冷による新型製法を示した工程図であ
る。
る。
【図2】新型製法の一例を示した工程図である。
【図3】新型製法の一例を示した工程図である。
【図4】新型製法の一例を示した工程図である。
【図5】急熱・急冷装置を示した概要図である。
【図6】Nb/Al複合線およびNb/Al-20%atGe 複合線を急
熱・急冷処理した状態の線材と、その後800 ℃、10時間
の追加熱処理をした線材のX線回折パターンを示した図
である。
熱・急冷処理した状態の線材と、その後800 ℃、10時間
の追加熱処理をした線材のX線回折パターンを示した図
である。
【図7】Nb/Al複合線およびNb/Al-20%atGe 複合線の追
加熱処理によるTcの変化を示した図である。
加熱処理によるTcの変化を示した図である。
【図8】Nb/Al複合線およびNb/Al-20%atGe 複合線にお
いて、芯材径を変えた場合のJc-B特性を示した図であ
る。
いて、芯材径を変えた場合のJc-B特性を示した図であ
る。
【図9】Nb/Al合金複合線材の加工法の一つであるロッ
ド・イン・チューブ法を示した工程図である。
ド・イン・チューブ法を示した工程図である。
【図10】Nb/Al合金複合線材の加工法の一つであるパ
ウダー・イン・チューブ法を示した工程図である。
ウダー・イン・チューブ法を示した工程図である。
【図11】Nb/Al合金複合線材の加工法の一つであるジ
ェリーロール法を示した工程図である。
ェリーロール法を示した工程図である。
【図12】Nb/Al 合金複合線材の加工法の一つであるク
ラッドチップ・押し出し法を示した工程図である。
ラッドチップ・押し出し法を示した工程図である。
【図13】急熱・急冷による従来の製法を示した工程図
である。
である。
1 線材
2 供給用リール
3 アイドルローラー
4 電極プーリー
5 浸漬アイドルローラー
6 巻き取り用リール
7 浸漬タンク
8 Ga浴槽
9 動力源
10 導線
11 回折記録装置
12 加熱電圧用導線
13 加熱電流用導線
14 導線
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
C22F 1/00 627 C22F 1/00 627
661 661A
691 691A
691B
692 692A
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01B 12/00 - 13/00
Claims (5)
- 【請求項1】 厚さ1μm 以下のAl-(2 〜30)at%Ge合金
がNb母材中に体積率1:2.5 〜1:3.5 で均質に複合された
複合芯材を作製し、この複合芯材の多数本をNb含有の筒
状のマトリックス材に埋め込んで極細多芯構造複合線を
作製し、この極細多芯構造複合線を2 秒以内で1700℃以
上の温度まで加熱し、次いで溶融金属中に導き冷却する
急熱・急冷処理により、極細多芯構造複合線中に結晶秩
序度の低いA15 相化合物フィラメントを形成し、この状
態で、この極細多芯構造複合線上に超伝導安定化材とし
てのCuを被覆し、次いで650 〜900 ℃で追加熱処理を行
うことによりA15 相化合物のNb3(Al,Ge)の結晶秩序度を
回復させることを特徴とするNb3(Al,Ge)極細多芯超伝導
線の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、出発材であるAl-(2
〜30)at%Ge合金に代えて、Al-(2 〜20)at%Si合金を使
い、同一の工程で作製することを特徴とするNb 3(Al,Si)
極細多芯超伝導線の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または2において、製造工程
中、追加熱処理の前段で行われる安定化のためのCu被覆
に代えて、追加熱処理の後に安定化のためのCu被覆を行
うことを特徴とするNb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細多
芯超伝導線の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1または2において、製造工程
中、Cuをあらかじめ拡散バリアー材で周囲を囲んだ状態
でマトリックス材中に組み込み、伸線加工を行って極細
多芯構造複合線を作製し、この極細多芯構造複合線を急
熱・急冷処理をすることを特徴とするNb3(Al,Ge)または
Nb3(Al,Si)極細多芯超伝導線の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1、2、3、または4において、
製造工程中の出発材であるAl-(2 〜30)at%Ge合金または
Al-(2 〜20)at%Si合金に代えて、Al-(2 〜30)at%Ge-(0
〜7)at%X合金またはAl-(2 〜20)at%Si-(0 〜7)at%X合金
( ただしX は、Mg、Zn、Li、Ag、Cu、B の中から選択さ
れる1 種類以上) を使用することを特徴とするNb3(Al,G
e)または Nb3(Al,Si) 極細多芯超伝導線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000167971A JP3516060B2 (ja) | 1999-06-04 | 2000-06-05 | Nb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細多芯超伝導線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11-158826 | 1999-06-04 | ||
JP15882699 | 1999-06-04 | ||
JP2000167971A JP3516060B2 (ja) | 1999-06-04 | 2000-06-05 | Nb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細多芯超伝導線の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001052546A JP2001052546A (ja) | 2001-02-23 |
JP3516060B2 true JP3516060B2 (ja) | 2004-04-05 |
Family
ID=26485830
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000167971A Expired - Lifetime JP3516060B2 (ja) | 1999-06-04 | 2000-06-05 | Nb3(Al,Ge)またはNb3(Al,Si)極細多芯超伝導線の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3516060B2 (ja) |
-
2000
- 2000-06-05 JP JP2000167971A patent/JP3516060B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001052546A (ja) | 2001-02-23 |
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