JP3515214B2 - フィルタ材 - Google Patents

フィルタ材

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JP3515214B2
JP3515214B2 JP12728195A JP12728195A JP3515214B2 JP 3515214 B2 JP3515214 B2 JP 3515214B2 JP 12728195 A JP12728195 A JP 12728195A JP 12728195 A JP12728195 A JP 12728195A JP 3515214 B2 JP3515214 B2 JP 3515214B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフィルタ材に関し、とく
に水の濁りを取り除くのに用いられる液体用のフィルタ
材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プールや循環風呂などの水の濁り
を取り除くために、ケイソウ土などの多孔質粉粒体を堆
積した濾過層が用いられている。これらの濾過層は非常
に微細な開孔を有するケイソウ土が充填された構造とな
っているため、濁りの除去効果には優れているが、すぐ
に目詰りを生じるという欠点があった。
【0003】一方、フィルタ材としては不織布などの繊
維質基材からなるものが知られているが、開孔径が大き
いため、目詰りが生じにくい反面、濁りの原因となるよ
うな微粒子を十分に捕捉できないという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
従来技術の欠点を解消するべくなされたものであり、濁
りなどの除去が十分に行え、しかも目詰りの生じにくい
フィルタ材を得ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、本発明に
よる、スチリルピリジニウム基を架橋基に持つポリビニ
ルアルコールを付着させることによりカチオン化処理さ
れた多孔質粉粒体が、該多孔質粉粒体を分散した接着樹
脂溶液を含浸し乾燥する手段で繊維質基材に付着して
り、前記スチリルピリジニウム基を架橋基に持つポリビ
ニルアルコールが架橋され不溶化していることを特徴と
するフィルタ材によって解決することができる。
【0006】すなわち、多孔質粉粒体は繊維質基材に付
着されることによって、互いに適度な間隔を保って三次
元的に分布して配置されるため、多孔質粉粒体に濁りの
原因となる微粒子が捕集されても流路が確保されるので
目詰りを生じにくい。また、多孔質粉粒体はカチオン化
処理されているため、多孔質粉粒体から多少離れた位置
を通る微粒子もイオン吸着的な作用によって吸着できる
ので微粒子がフィルタ材を通り抜けてしまわず、効率よ
く濁りを除去できる。
【0007】以下、図面を用いて本発明を説明する。本
発明に使用する繊維質基材1には、例えば、不織布、
紙、織物、編み物、またはこれらの複合体などが使用で
きるが、とくに、水流絡合不織布、ニードルパンチ不織
布などの構成繊維が三次元的に絡合した不織布や、繊維
接着不織布などが好ましい。これらの繊維質基材の目付
は20〜400g/m2 、より好ましくは40〜300
g/m2 の範囲であるのがよく、この範囲よりも目付が
大きいと多孔質粉粒体を繊維質基材に担持させるとき、
粉粒体が中間層まで侵入しにくくなり、均一な濾過層の
形成が難しくなる。一方、この範囲よりも目付が小さい
と繊維質基材に付着可能な粉粒体量が少なくなる。ま
た、繊維質基材の平均開孔径は10〜2000μm、よ
り好ましくは20〜1000μmの範囲にあるのがよ
く、この範囲を越えると繊維質基材に付着した粉粒体間
の空隙が大きくなりすぎて濁り除去効果が低下する。一
方、この範囲を下回ると多孔質粉粒体を繊維質基材に担
持させるとき粉粒体が浸透しにくくなる。
【0008】繊維質基材に用いる繊維としては、ポリエ
ステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポ
リオレフィン系繊維などの合成繊維、レーヨン繊維など
の再生繊維や、ポリアミド/ポリエステル、ポリプロピ
レン/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリアミド、ポ
リプロピレン/ポリエステルなどの複合成分からなる分
割繊維を用いることができる。分割繊維は機械的な衝撃
や、熱、化学薬品の作用などによって微細な繊維に分割
するものが好ましく、例えば、水流絡合処理などの工程
で繊維の絡合と共に繊維の分割が生じるものが好まし
い。
【0009】本発明に使用する多孔質粉粒体2には、ケ
イソウ土、パーライト、活性アルミナ、シラス、活性炭
などが適している。多孔質粉粒体2の平均開孔径は0.
001〜10μm、より好ましくは0.01〜5μmの
範囲にあることが望ましく、この範囲よりも平均開孔径
が小さくなると、表面の開孔が詰りやすくなるため、濁
りの微粒子を捕集する能力が持続しにくくなり、一方、
この範囲よりも平均開孔径が大きくなると、最初から微
粒子が捕集しにくく、濁りが十分に除去しにくい。
【0010】また、多孔質粉粒体2の平均粒子径は、と
くに限定されないが、0.1〜100μmのものが適し
ている。また、フィルタ材1m2 当りの繊維質基材の見
かけの体積(1m2×厚み)に対して多孔質粉粒体の体
積が占める割合は、20〜300vol%、より好まし
くは40〜100vol%であることが望ましい。多孔
質粉粒体の占める割合が上記の範囲より小さいと、相対
的に粉粒体間の空間(空隙)が大きくなるため濁り除去
効果が低下する。一方、上記の範囲を越えると、表面に
クラックが発生しやすくなり、結果として濁り除去効果
が低下し、また折り曲げなどの加工が困難になる。
【0011】上記の多孔質粉粒体2は接着樹脂を介し
て、繊維質基材1の構成繊維に付着される。付着手段は
接着樹脂をエマルジョン溶液とし、これに多孔質粉粒体
を分散させた溶液を、不織布に含浸またはコーティング
し、乾燥する手段による。とくに、単位体積当りの多孔
質粉粒体2の占める体積の割合を高めたい場合には、嵩
高な繊維質基材に、上記の付着手段によって多孔質粉粒
体を付着させた後に、繊維質基材をプレス機などにより
圧縮して、所定の厚さに成形すればよい。接着樹脂とし
ては、例えば、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル
系共重合体、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル系共
重合体、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂などの接着樹
脂を主成分とするものが適している。
【0012】上記の接着樹脂の量は、多孔質粉粒体10
0重量部に対して10〜60重量部、より好ましくは2
0〜50重量部であることが望ましい。接着樹脂の量が
10重量部未満になると多孔質粉粒体の繊維質基材への
付着力が弱くなり、例えば循環風呂などに利用した場合
に、多孔質粉粒体の水中への脱落が生じやすくなる。ま
た、接着樹脂の量が60重量部を越えると多孔質粉粒体
の表面が被覆されてしまって多孔構造が利用できなくな
る場合がある。なお、接着樹脂の最適な量は、使用する
多孔質粉粒体の種類や接着樹脂の種類、あるいはその組
合せによっても大きく影響を受けるため、必ずしも上記
の範囲には限られず、上記の範囲からはずれる場合があ
ってもよい。
【0013】本発明では多孔質粉粒体2にカチオン化処
理が施される。カチオン化処理はカチオン化処理剤3を
多孔質粉粒体2に付着させることにより行われる。カチ
オン化処理剤3はスチリルピリジニウム基を架橋基に持
つポリビニルアルコールを使用する。
【0014】なお、カチオン化処理剤3が繊維質基材1
の構成繊維にも付着していると、イオン的な吸着作用に
より、繊維質基材の部分でも濁りの原因となる微粒子が
捕集できるのでよい。この場合、カチオン化処理は多孔
質粉粒体を繊維質基材に付着させた後、カチオン化処理
剤を含浸することなどにより行うとよい。カチオン化処
理剤の付着量は、使用するカチオン化処理剤、多孔質粉
粒体、繊維質基材によって異なり、適宜設定される。
【0015】
【実施例】参考例1平均繊度20デニールの芯鞘型ポリ
エステル複合繊維(鞘:融点140℃の低融点ポリエス
テル、芯:ポリエチレンテレフタレート)からなる繊維
ウェブをニードルパンチ処理した後、140℃で繊維接
着させて目付240g/m2 、厚み7mmの不織布(平
均開孔径480μm)を得た。この不織布に、平均粒径
13μmのケイソウ土(開孔径約0.1〜1μm)35
0g/m2 をエチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル系共重
合体エマルジョン(固形分付着量70g/m2 )に分散
したペーストを含浸し、乾燥した。次いで、この不織布
をプレス機により、温度160℃、圧力10kg/cm
2の条件で30秒間プレスし、厚み1mmに圧縮した。
なお、不織布体積に対するケイソウ土の体積は73vo
l%であった。この後、上記の不織布を0.25%ポリ
アリルアミン(センカ株式会社製:商品名 センカKC
F−215)溶液に浸漬し、引上げて乾燥し、フィルタ
材を得た。
【0016】上記のフィルタ材を用いて濾過実験を行っ
た。図2に示すように、試験水4を入れたファンネル5
の下にフィルタ材6を配置し、フィルタ材に流量2cm
3/cm2・minの条件で1回に0.2リットルの試験
水を通過させて濾過可能な回数を測定した。なお、濾過
後の試験水7の濁度が0.4以下とならなかった場合、
及び流量が極端に低下した場合には、濾過不可能と判断
した。また、フィルタ材6には直径3.6cmの円形に
裁断したものを使用し、試験水4には濁度1.0の風呂
水を用いた。濁度はホルマジン標準法で測定した。この
結果、濾過可能な回数は10回以上(10回まで測定
し、その後も濾過可能)であった。
【0017】比較例1ポリアリルアミンによるカチオン
化処理を行わなかったこと以外は、参考例1と同様にし
てフィルタ材を得た。このフィルタ材を用いて、参考例
と同様にして濾過実験を行ったところ、1回目の濾過
で、濾過後の試験水の濁度が0.6であり、濾過不能と
判断した。従って、濾過可能な回数は0回である。
【0018】比較例2参考例1で使用した不織布を、プ
レス機により、温度160℃、圧力10kg/cm2
条件で30秒間プレスし、厚み1mmに圧縮した後、
0.25%ポリアリルアミン(センカ株式会社製:商品
名 センカKCF−215)溶液に浸漬し、引上げて乾
燥し、フィルタ材を得た。すなわち、不織布に、ケイソ
ウ土を付着させなかったこと以外は、参考例1と同様に
してフィルタ材を得た。このフィルタ材を用いて、参考
例1と同様にして濾過実験を行ったところ、1回目の濾
過で、濾過後の試験水の濁度が0.8であり、濾過不能
と判断した。従って、濾過可能な回数は0回である。
【0019】比較例3平均粒径6μmの濾紙(ワットマ
ン3)上に、参考例1と同量のケイソウ土(350g/
2 )を積層したフィルタ材を用いて、参考例1と同様
にして濾過実験を行った。この結果、5回目には目詰り
による著しい流量低下が認められ、濾過可能な回数は4
回であった。
【0020】実施例1平均繊度20デニールの芯鞘型ポ
リエステル複合繊維(鞘:融点140℃の低融点ポリエ
ステル、芯:ポリエチレンテレフタレート)からなる繊
維ウェブをニードルパンチ処理した後、140℃で繊維
接着させて目付240g/m2 、厚み7mmの不織布
(平均開孔径480μm)を得た。この不織布に、平均
粒径13μmのケイソウ土(開孔径約0.1〜1μm)
350g/m2 をエチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル系
共重合体エマルジョン(固形分付着量70g/m2 )に
分散したペーストを含浸し、乾燥した。次いで、この不
織布をプレス機により、温度160℃、圧力10kg/
cm2の条件で30秒間プレスし、厚み1mmに圧縮し
た。なお、不織布体積に対するケイソウ土の体積は73
vol%であった。この後、上記の不織布に、スチリル
ピリジニウム基を架橋基に持つポリビニルアルコール5
重量%水溶液をピックアップが100%となるように含
浸し、乾燥した後、紫外線照射によりスチリルピリジニ
ウム基を架橋基に持つポリビニルアルコールを架橋して
不溶化し、フィルタ材を得た。このフィルタ材を用い
て、参考例1と同様にして濾過実験を行ったところ、濾
過可能な回数は10回以上であった。
【0021】参考例2平均繊度20デニールの芯鞘型ポ
リエステル複合繊維(鞘:融点140℃の低融点ポリエ
ステル、芯:ポリエチレンテレフタレート)からなる繊
維ウェブをニードルパンチ処理した後、140℃で加熱
加圧して繊維接着させて目付240g/m2 、厚み2.
5mmの不織布(平均開孔径260μm)を得た。この
不織布に、平均粒径75μmのケイソウ土(開孔径約
0.1〜1μm)400g/m2をアクリル系樹脂エマ
ルジョン(固形分付着量80g/m2 )に分散したペー
ストを含浸し、乾燥した。なお、不織布体積に対するケ
イソウ土の体積は46vol%であった。この後、上記
の不織布を0.25%ポリアリルアミン(センカ株式会
社製:商品名 センカKCF−215)溶液に浸漬し、
引上げて乾燥し、フィルタ材を得た。このフィルタ材を
用いて、参考例1と同様にして濾過実験を行ったとこ
ろ、濾過可能な回数は10回以上であった。
【0022】参考例3ポリアミド/ポリエステル成分か
らなるオレンジ型分割繊維からなる繊維ウェブに水流絡
合処理を施し、分割繊維を分割すると共に繊維を絡合し
て、目付150g/m2 、厚み1.2mmの水流絡合不
織布を得た。この水流絡合不織布に、ケイソウ土(開孔
径約0.1〜1μm)400g/m2 をアクリル系樹脂
エマルジョン(固形分付着量80g/m2 )に分散した
ペーストをコーティングし、乾燥した。なお、不織布体
積に対するケイソウ土の体積は95vol%であった。
この後、上記の不織布を0.25%ポリアリルアミン
(センカ株式会社製:商品名 センカKCF−215)
溶液に浸漬し、引上げて乾燥し、フィルタ材を得た。こ
のフィルタ材を用いて、参考例1と同様にして濾過実験
を行ったところ、濾過可能な回数は10回以上であっ
た。
【0023】
【発明の効果】本発明のフィルタ材は、多孔質粉粒体が
繊維質基材に付着されることによって、互いに適度な間
隔を保って三次元的に分布して配置されるため、多孔質
粉粒体に濁りの原因となる微粒子が捕集されても流路が
確保されるので目詰りを生じにくい。また、多孔質粉粒
体はスチリルピリジニウム基を架橋基に持つポリビニル
アルコールを付着させることによりカチオン化処理され
ているため、多孔質粉粒体から多少離れた位置を通る微
粒子もイオン吸着的な作用によって吸着できるので微粒
子がフィルタ材を通り抜けてしまわず、効率よく濁りを
除去できる。また、カチオン化処理剤が繊維質基材の構
成繊維にも付着している場合には、イオン的な吸着作用
により、繊維質基材でも濁りの原因となる微粒子が捕集
できるので、より濁りの除去能力が高く、目詰りの生じ
にくいフィルタ材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルタ材の断面模型図
【図2】濾過実験の説明図
【符号の説明】
1・・・繊維質基材 2・・・多孔質粉粒体 3・・・カチオン化処理剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−15162(JP,A) 特公 昭52−18423(JP,B1) 特公 昭55−24928(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 39/00 - 39/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチリルピリジニウム基を架橋基に持つ
    ポリビニルアルコールを付着させることによりカチオン
    化処理された多孔質粉粒体が、該多孔質粉粒体を分散し
    た接着樹脂溶液を含浸し乾燥する手段で繊維質基材に付
    着しており、前記スチリルピリジニウム基を架橋基に持
    つポリビニルアルコールが架橋され不溶化していること
    を特徴とするフィルタ材。
  2. 【請求項2】 多孔質粉粒体の平均開孔径が0.001
    〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載のフ
    ィルタ材。
  3. 【請求項3】 カチオン化処理が繊維質基材の構成繊維
    にも施されていることを特徴とする請求項1または2に
    記載のフィルタ材。
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