JPH05212225A - 難燃性濾材およびその製造方法 - Google Patents

難燃性濾材およびその製造方法

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JPH05212225A
JPH05212225A JP4019217A JP1921792A JPH05212225A JP H05212225 A JPH05212225 A JP H05212225A JP 4019217 A JP4019217 A JP 4019217A JP 1921792 A JP1921792 A JP 1921792A JP H05212225 A JPH05212225 A JP H05212225A
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flame
fiber
retardant
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less
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JP4019217A
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Ryoichi Togashi
良一 富樫
Hiroyasu Kato
博恭 加藤
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】良好なユニット化適性、すなわち良好なプリー
ツ加工性と難燃特性を有するとともに、優れたダスト保
持性も有しており長期にわたり良好な濾過性能を発揮し
得る濾材を提供すること。 【構成】上流側と下流側でポアサイズが異なる単糸繊維
直径10μm未満の極細短繊維と自己融着性繊維からな
る平均繊維密度0.07g/cm3 以上0.2g/cm
3 未満の粗密構造不織布よりなり、少なくとも厚みの1
/2の位置からの下流側においてポアサイズが20μm
以上120μm未満である繊維層部分が存在し、かつ、
前記自己融着性繊維によって前記極細繊維の少なくとも
一部が該自己融着性繊維と一体化され、かつ、難燃性薬
剤が40重量%未満5重量%以上の付着量で少なくとも
表層から内層部にかけて付着して存在するとともに、剛
軟度が200mg以上であることを特徴とする難燃性濾
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は濾材に関し、詳しくは良
好なプリーツ性と難燃性とを有し、また、ダスト保持性
に優れていて長期にわたり良好な濾過性能を発揮し得る
難燃性濾材に関するものである。
【0002】
【従来技術】空調用濾材に要求される特性として、フィ
ルター特性のほかに難燃性があり、さらに濾材をユニッ
ト化するために必要な濾材を山谷折りするための剛性と
賦形性、すなわちプリーツ加工性がある。
【0003】かかるフィルター特性、難燃性、プリーツ
加工性の全てを良好に満足させることは意外と難しい。
【0004】従来技術では、例えば、繊度2デニール以
上の比較的太い繊維からなる単層不織布を比較的硬い合
成難燃性樹脂で加工することで上記要求を満たそうとす
る方法などが知られているが、従来の該樹脂加工した濾
材では繊度が大きいために捕集効率が低く、またダスト
を保持する空間が樹脂の付着によって失われ、ダスト保
持量が少なく、良好な濾過性能を発揮しうる期間が短
く、濾材寿命が非常に短いものであった。
【0005】さらに高性能な濾材として極細繊維を用い
た濾材が知られている。例えば極細繊維を濾材の一部に
用いた公知技術として、特公平3−28892号公報、
特開平2−91262号公報、特開昭51−13447
5号公報、特開昭62−83017、特開平2−104
765号公報、特開平2−303509号公報、実開平
2−12415号公報、特開平2−151218号公報
に記載された提案などが知られている。
【0006】このうち、特公平3−28892号公報に
記載のものでは、極細繊維にメルトブロー不織布を用い
ており、これに樹脂で加工した不織布支持層を積層して
用いている。かかる従来技術では、メルトブロー不織布
にプリーツ加工性向上と難燃性を与えるために別個の支
持層が用いられており、極細繊維からなるメルトブロー
不織布自身に剛性を与えるものではなかった。また、上
流側の粗構造濾材の捕集効率が低いため、緻密なメルト
ブロー不織布層に高濃度のダストがそのまま到達するの
で圧力損失の上昇が早く濾材の性能を良好に発揮し得る
フィルター寿命が短いものであった。また、特開平2−
104765号公報ではメルトブロー不織布に自己融着
性短繊維を混ぜ嵩高で形態安定性を与える方法が示され
ている。この従来技術でも嵩高性と形態安定化を目的と
するもので、メルトブロー不織布自身にプリーツに耐え
る剛性を与えるものではなかった。また、特開平2−9
1262号公報に記載された発明の場合、その実施例か
ら明らかなように、極細繊維はメルトブローされた繊維
であり、加えて、フィルター特性に重要な影響を有する
繊維の開繊状態やポアサイズ、さらに濾材をユニット化
して用いるものであるために必要なプリーツ加工性の適
正化や難燃性への考慮がなく、空調用濾材として必要な
技術知見を示すものではなく、単なる一般的な不織布や
フィルターの高強力化方法をメルトブロー不織布で実現
することを目的とすることが明らかである。
【0007】さらに、特開平2−303509号公報に
記載された発明では、フィブリル化することで得た極細
繊維を抄紙法で不織布状としこれに自己融着性繊維を同
様に抄紙法で不織布状とし重合してHEPAフィルター
を得る技術が示されているが、この方法は積層して用い
ており自己融着性繊維の使用目的が毛羽立ちや脱落を防
ぐものであり、極細繊維の濾材自身に剛性を与える考え
方は示されていない。また、抄紙法で行なうため、繊維
長が5mm程度と極端に短く、極細長・短繊維を嵩高に
かつ剛性アップを図る考え方は示されていないものであ
った。また実開平2−12415号公報に記載された発
明でも、極細繊維と自己融着性繊維を用いた濾材が示さ
れているが、このものはそれぞれの不織布層を積層する
ことで毛羽立ち性とダスト剥離性を改善するものであ
り、同様に極細繊維使い濾材自身の剛性化を図るもので
はなかった。
【0008】次に難燃化については、特開昭51−13
4475号公報には極細繊維濾材の難燃化技術が示され
ているが、この方法は、難燃性繊維あるいは可燃性繊維
からなる不織布を剛性のある難燃性樹脂で樹脂加工する
ことで難燃化した嵩高な不織布と難燃化していない極細
不織布層(メルトブロー不織布)を積層することにより
難燃濾材を得る技術であり、極細繊維からなる不織布層
全体で難燃性を図るという考え方は示されていないもの
であった。
【0009】また、特開平2−119910号公報には
難燃剤をスプレー法によって濾材表面に付着させる方法
が開示されている。特開平2−119910号公報の方
法では、極細繊維濾材表面に難燃剤をスプレー付着させ
る方法であるが、その実施例から明らかなように圧力損
失が高い濾材となっていることがわかる。これは実験の
結果、防炎剤が表面付着するためであることがわかっ
た。ビル空調用濾材では5mmAq以下の特に低圧力損
失が要求されるので、このような付着形態では適さない
ものであることがわかった。
【0010】さらに極細繊維ではないが、特開昭62−
83017号公報には、自己融着性繊維を含む粗密構造
不織布が示されているが、難燃化方法として、濾材に直
接難燃剤をスプレーする方法が示されている。確かに難
燃剤を多量に付着させれば難燃性は得られるものである
が、本発明のように極細繊維を含む緻密化された不織布
表面にスプレーする方法では、難燃剤の付着が極めて表
面付着となり、表面が覆われることは避けられないもの
である。このためフィルター特性を損なわずに難燃性を
得ることは困難であり、その解決方法は開示されていな
い。
【0011】このように従来技術は、極細繊維を含む一
層の濾材層のみでユニット化するためのプリーツ加工性
と難燃性付与を図り、かつ長期にわたり良好な高い濾過
性能を発揮しうる長寿命な空気処理用濾材を得るという
考え方はないものであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
したような点に鑑み、特別な繊維構成とした濾材に関
し、良好なユニット化適性、すなわち良好なプリーツ加
工性と難燃特性を有するとともに、優れたダスト保持性
も有しており長期にわたり良好な濾過性能を発揮し得る
新規な難燃性濾材を提供せんとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の構成を有
する。
【0014】すなわち、本発明の難燃性濾材は、上流側
と下流側でポアサイズが異なる単糸繊維直径10μm未
満の極細短繊維と自己融着性繊維からなる平均繊維密度
0.07g/cm3 以上0.2g/cm3 未満の粗密構
造不織布よりなり、少なくとも厚みの1/2の位置から
の下流側においてポアサイズが20μm以上120μm
未満である繊維層部分が存在し、かつ、前記自己融着性
繊維によって前記極細繊維の少なくとも一部が該自己融
着性繊維と一体化され、かつ、難燃性薬剤が40重量%
未満5重量%以上の付着量で少なくとも表層から内層部
にかけて付着して存在するとともに、剛軟度が200m
g以上であることを特徴とする難燃性濾材である。
【0015】また、本発明の難燃性濾材の製造方法は、
単糸繊維直径10μm未満の極細短繊維と自己融着性繊
維からなる繊維密度が0.05g/cm3 未満のウエッ
ブまたはニードルパンチ不織布の表層から内層にかけて
難燃性薬剤をスプレー法で付着させて乾燥した後、表裏
2面のうち、少なくとも1面を前記自己融着性繊維の接
着温度以上に加熱された面で押圧し平均繊維密度を0.
07g/cm3 以上に緻密化せしめることを特徴とする
難燃性濾材の製造方法である。
【0016】
【作用】本発明は、主に各種空気処理用に適する極細短
繊維を含む嵩高で、高い捕集特性とプリーツ加工性およ
び難燃性を有する長寿命の難燃性濾材と製造方法に関す
る。
【0017】以下に詳細を説明する。
【0018】本発明において、粗密構造不織布とは、構
成繊維の存在密度が不織布の厚さ方向において均一でな
く、同方向において、密度が粗である部分と密度が密で
ある部分とが存在する不織布をいう。一般に、このよう
な構造の濾材は、密度が粗である部分が上流側に、密度
が密である側が下流側にして用いられる。
【0019】本発明の難燃性濾材を構成するために用い
られる繊維は、極細繊維と自己融着性繊維であり、本発
明は、これらの繊維を少なくとも構成繊維として混合ま
たは積層状態にて含んでなる不織布を濾材材料として用
いてなるものである。
【0020】極細繊維としては、特に単糸繊維直径10
μm未満のものを用いる必要があり、単糸繊維直径が1
0μmよりも大きいものを用いる場合には、良好なフィ
ルター性能を得ることは難しい。
【0021】該単糸繊維直径が10μm未満の極細繊維
は、剛性アップを目的として使用される自己融着性繊維
と、該自己融着性繊維によって部分的な加熱によって繊
維の接触交絡点で融着化・固定化されるものである。
【0022】また、難燃性濾材の構造はエアー流れの流
入側(上流側)からエアー流れの流出側(下流側)にか
けて、繊維密度が連続的または段階的に変化する粗密構
造を有するものであり、粗密の程度は、粗部分のポアサ
イズ(繊維間平均空間距離を表わす)が120μm以上
で、密部分のポアサイズが20μm以上120μm未満
で構成され、また、難燃性薬剤が、少なくとも表層から
内層部にかけて、難燃性薬剤が、繊維軸直交最大径が1
0μm以上200μm以下である粒状を実質的に呈して
付着して存在するものである。難燃性薬剤は、不織布重
量に対して40重量%未満5重量%以上付着されている
ことが必要である。難燃性薬剤の付着量が40重量%以
上である場合、ダスト保持のための空間が少なくなった
り、圧力損失が増加するので好ましくない。また、5重
量%未満の場合には、所望の難燃効果が得られないので
好ましくない。
【0023】かかる本発明の難燃性濾材の構成要素につ
いて、さらに詳しく説明すると、極細繊維は、単糸繊維
直径10μm未満の細繊維であることが高い捕集効率を
少ない目付で得る目的に有利であって必要である。特
に、単糸繊維直径が8.5μm未満の極細繊維が低目
付、薄物化の要求から本発明には好適な素材である。
【0024】該繊維直径の下限は、1本1本の単一繊維
の状態に開繊されているのであれば小さいほど好ましい
(良好に開繊されずにどちらかといえば束状の構造に近
いのであれば、繊維直径が小さくても良くない)といえ
るが、コストの点や開繊性のことなどを考慮すると、数
μm程度までが実際上は好ましい下限値である。ただ
し、この下限値は、開繊が良好であれば更に小さいもの
であっても差支えない点は前述の通りである。
【0025】さらに、特筆すべきことは、このような細
い繊維であれば、該繊維に上述の難燃性薬剤が付着した
際に、一般に小さな粒状を呈して付着することができる
(後述の如くに、繊維軸直交最大径が10μm以上20
0μm以下である粒状など)ことであり、そのような小
さな粒状を呈して、かつそれが多数の粒状にて難燃性薬
剤が付着することになるから、優れた難燃性と濾過性能
を有する濾材を実現することができるのである。
【0026】繊維直径が10μmよりも大きい場合、捕
集効率が極細繊維使用の同目付の場合よりも低下するの
で、同じ捕集効率を得るためにはより高目付であること
を要し、このため濾材が厚くなってしまい好ましくな
く、また、太い繊維に付着する難燃性薬剤は、膜状を呈
して付着することが多くなって小さな粒状にて付着する
ことが少なくなるので好ましくないのである。
【0027】該細繊維の素材として適するものは、紡糸
により直接的に得られる極細の繊維ステープル、繊維の
分割によって極細化が可能となる分割繊維、また、フィ
ブリル化することで極細化が可能なフィブリル化繊維な
どよりなる短繊維であるが、繊維長としては15mm以
上100mm未満の範囲のものが好ましく、より好まし
くは20mm以上60mm以下のものなどである。ただ
し、不織ウエッブの形成手法によっては、この範囲以外
のものであってもよい。
【0028】上述の極細繊維の形成法の中では紡糸によ
り直接的に得られるステープルが最も適する。これは該
ステープルは、カードを用いてウエッブ化する工程で1
本1本に開繊されるため、ポアサイズの均一化とフィル
ター特性のバラツキの少なさにおいて他よりも優れてお
り、また捲縮の付与されているものであれば、嵩高で目
的のポアサイズに成型しやすいという特性を有するため
である。
【0029】ステープルの中では、単糸繊維直径が5〜
10μmのポリプロピレン、アクリル、ポリエステル、
ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミドなどの極
細繊維などがカード通過性も良く適する。特にポリプロ
ピレンやポリカーボネートは、後述するエレクトレット
化も容易であり高い捕集効率が得られるので好適な素材
である。
【0030】自己融着性繊維は、剛性の向上を目的とし
て繊維どうしの接着のために用いられるものである。こ
のため素材と使用割合の適正な選定が重要である。自己
融着性繊維の素材は、外周繊維断面の一部に他の部分よ
り低融点ポリマーで構成した複合繊維や繊維全体が軟化
して融着する能力を有する繊維などが好適に使用でき
る。複合繊維の場合、繊維断面構造として芯鞘構造やバ
イメタル構造をした低融点成分と高融点成分からなる融
点差が30℃以上のものが適し、特に芯鞘構造のもので
捲縮数も少なく、かつ熱収縮が少なく捲縮率25%以下
のものが剛性アップ効果が高く好適である。このため、
鞘がポリエチレンまたは共重合ポリエチレンと芯がポリ
プロピレンなどの組み合わせ、あるいは鞘が共重合ポリ
エステルと芯がポリエチレンテレフタレートなどの組合
わせが適する。中でも、鞘が融点60〜140℃等の共
重合ポリエステルで芯がポリエチレンテレフタレートの
組合わせのものが温度差が大きいので収縮が少なく、か
つ素材の剛性も高いことから剛性アップ効果も高く優れ
ている。また、前もって後述エレクトレット化された繊
維を一部に用いる場合には、融着化のための高温加熱に
よってエレクトレット性が減少する場合があるので、低
温で接着できる融点60〜140℃範囲の素材が好適で
ある。
【0031】なお、芯鞘構造とは、同心円構造および偏
心構造の繊維も含むものである。
【0032】自己融着性繊維の繊度は、30デニール未
満のものを使用することが好ましいが、繊度が細すぎる
と剛性アップ効果が低く、また太過ぎても濾材中に含ま
れる繊維本数が減少し接着点が少なくなり、同様に剛性
アップ効果が低いものとなる、さらに捕集効率とプリー
ツ加工性の関係からも0.5〜10デニール範囲のもの
が適するものである。
【0033】また、自己融着性繊維の使用量は、不織布
重量の30〜80重量%の割合で用いるもので、濾材の
全体目付、自己融着性繊維の繊度、素材および極細繊維
の使用量によって使用割合は変化するものであるが、剛
軟度(JIS−L−1079;ガーレー法)で200m
g以上であるように、望ましくは400mg以上が得ら
れるように使用量を決定する。これは、プリーツ加工し
た濾材の形状が風圧によって変形しないようにするため
に必要な特性範囲を表わすものである。上述剛軟度で2
00mg未満の場合には、良好なプリーツ加工性が得ら
れず、実際に濾材として使用することが困難なものであ
る。
【0034】この剛性を少ない使用量で得るためには、
特に繊維密度の適正化が重要である。
【0035】一般的に自己融着性繊維と極細繊維の接着
点の数は多い方が濾材の強度は高くなるが、剛性は接着
強度だけに関係するのではなく、特に繊維密度に関係す
る。それは接着された繊維どうしが立体的なトラスを組
んで一番変形を受けにくい繊維密度が存在することによ
る。すなわち繊維密度が0.07g/cm3 〜0.2g
/cm3 の範囲に調整することで最も高い剛性が得られ
る。好ましくは0.08g/cm3 〜0.15g/cm
3 の範囲である。
【0036】この範囲外、すなわち繊維密度が小さすぎ
る場合は接着点が少なく繊維の移動が生じるため、また
繊維密度が大きすぎる場合は立体トラス構造ではない平
面的な接着面ができるため、それぞれ十分な剛性を得る
ことは困難である。
【0037】また、自己融着性繊維の使用割合、繊度、
素材などと密接に関係し、さらにこれらの構成要素によ
って変化するポアサイズは捕集効率と寿命をも左右する
ので、目的の範囲のポアサイズが得られる条件で剛性を
も満足させるように自己融着性繊維の使用割合、繊度、
素材を選定することが必要である。なお、自己融着性繊
維の素材を難燃性素材で構成してもよい。
【0038】本発明の濾材において、単糸繊維直径10
μm未満の極細短繊維と自己融着性繊維の少なくともい
ずれかがエレクトレット化繊維であることも好ましい。
このようにすることにより、捕集効果をさらにアップさ
せることができる。エレクトレット化は、公知のエレク
トレット化方法を用いて行なうことができる。
【0039】次に、濾材構造について説明すると、目付
範囲が一般的な30〜200g/m2 程度の範囲内の濾
材を用いてビル管理法に定められた清浄度が得られる濾
材を、長寿命に設計するためには、ダスト保持量を多く
し、同時に捕集効率を向上させることが重要である。
【0040】濾材のポアサイズが上流から下流にかけて
均一な構造の場合、ポアサイズが150μmより大きい
と一定圧力損失に達するまでに捕集できるダスト保持量
が増え長寿命化を達成できるが捕集効率を満足すること
が困難となる。またポアサイズが30μmより小さいと
捕集効率を満足させることが可能であるが、一定圧力損
失に達するまでに捕集できるダスト保持量が減り長寿命
化が達成できない。
【0041】一方、これまでに、繊維密度が上流が小さ
く(粗)、下流が大きい(密)、すなわち粗密構造の濾
材は公知であるが、繊度の大きいものが主体であったた
め、粗密化手段として温度勾配のあるロールで強圧縮す
る必要があった。
【0042】このため、緻密化部分の繊維は変形し空間
を塞いでしまう結果となり、通気抵抗を大幅に増える結
果を招いていた。このため十分に粗密構造の利点、すな
わち長寿命化が図れない場合が多かった。
【0043】しかし、本発明の極細短繊維と自己融着性
繊維を含む濾材の場合には、極細短繊維を使用している
ので、初期よりポアサイズが小さくでき、緻密化する場
合でも極めて弱い押圧(繊維の変形を伴わない厚み変
化)で繊維の接着頻度の高い緻密化部分を形成すること
ができる。このため通気量をほとんど損なうことなく、
上流側から下流側にかけて粗密勾配をもった濾材構成と
することが可能となったのである。
【0044】このため、ダスト付着に伴う捕集効率の上
昇が早くなる一方、全層にわたってダストを保持させる
ことが可能となるので、より少ない目付で平均捕集効率
の向上と濾材寿命の延長を図ることが可能である。
【0045】かかる特徴を得るために、少なくとも厚み
の1/2の位置からの下流側においてポアサイズが20
μm以上120μm未満である繊維層部分が存在するこ
とが必要であり、好ましくは、好ましくは20μm以上
100μm以下の範囲の繊維層部分が存在することであ
る。
【0046】また、少なくとも厚みの1/2の位置から
の上流側のポアサイズは120μm以上、好ましくは、
150μm〜300μmの範囲にある繊維層が存在する
ことが望ましい。
【0047】粗密構造の形態は、上流側から下流側にか
けてポアサイズがある程度規則的に連続変化をするも
の、あるいは不規則的ではあるが連続的にポアサイズが
変化するもの、すなわち、ある部分から急にポアサイズ
の変化率が大きくなるものなどの粗密勾配型と、あるい
は、ポアサイズの異なる2種の不織布を積層一体化させ
た粗密積層型の2種類のものが好適な形態である。その
うち中でも、寿命特性の面からポアサイズが規則的に連
続変化した粗密勾配型のものが特に好ましい。
【0048】ポアサイズの求め方は、英国のCOULT
ER ELECTRONICS LIMITEDのPO
ROMETERIIを用いて評価するものである。
【0049】本発明の「少なくとも厚みの1/2の位置
からの下流側においてポアサイズが20μm以上120
μm未満である繊維層部分が存在すること」の具体的評
価方法について説明すると、試料が粗密勾配型の場合、
10cm角の試料から、縦横それぞれ2cm角の試料を
25枚採取し、ポリビニルアルコール水溶液に浸漬し、
乾燥固化して厚さの1/2の位置で上流側と下流側に2
枚にスライスする。次いで水に浸漬して完全にポリビニ
ルアルコールを除去し(試料が変形しないように金網に
挟んで水に沈めて行なう)、次いで自然乾燥して上流側
と下流側の2枚の試料を作成する。
【0050】次に、評価面積0.196cm2 で、使用
液体はポロフイルを用いてポアサイズを求める。次いで
上流側と下流側の平均ポアサイズを求めるものである。
【0051】粗密勾配型の場合、この厚さの1/2の位
置でスライスした試料の下流側の試料にてポアサイズが
20μm以上120μm未満であれば、「少なくとも厚
みの1/2の位置からの下流側においてポアサイズが2
0μm以上120μm未満である繊維層部分が存在す
る」とみなすものである。
【0052】また、粗密積層型の場合には、粗部分と密
部分とに分けて、同様の方法で試料作成を行ない、厚さ
の1/2の位置からの下流側において、ポアサイズが2
0μm以上120μm未満の試料が存在すれば、「少な
くとも厚みの1/2の位置からの下流側においてポアサ
イズが20μm以上120μm未満である繊維層部分が
存在する」とみなすものである。
【0053】次に、難燃化方法について説明すると、前
述の通り、難燃性薬剤はバインダーによって濾材の少な
くとも表層から内層部にかけて、不織布重量の40%未
満5重量%以上の付着量で付着して存在するものであ
る。
【0054】ここで、「表層から内層部にかけて」と
は、少なくとも表層部には難燃性薬剤が存在していて、
該薬剤が内層の方に向けて入り込んで存在していること
をいう。すなわち、ここで、該薬剤は、厚さ方向の全域
において難燃性薬剤が存在していてもよいし、あるいは
少なくとも表層に存在しその他は一部にのみ存在するも
のであってもよい。
【0055】付着状態は、好ましくは、難燃性薬剤が、
繊維軸直交最大径が10μm以上200μm以下である
粒状を実質的に呈して付着して少なくとも存在すること
が望ましいものである。「繊維軸直交最大径が10μm
以上200μm以下である粒状を実質的に呈して付着し
て少なくとも存在する」とは、難燃性薬剤が、繊維軸直
交最大径20μm〜200μmである粒状を実質的に呈
して付着している部分が存在していることを意味し、該
状態で付着している部分が大半であれば、それらの粒が
繋った状態の数珠状または粒状が広がった膜状を呈して
付着している部分が多少存在するものであってもよい。
【0056】繊維軸直交最大径が10μm以上200μ
m以下である粒状を実質的に呈して付着して少なくとも
存在する」とは、図1にモデル図で示したように、繊維
1に対して難燃性薬剤の粒2が、あたかも蜘蛛の巣に露
が付いた如くに付着していて、その粒の繊維軸方向と直
交する方向の最大径Dが10μm以上200μm以下で
ある状態で付着していることを意味するものである。
【0057】なお、本発明において、粒状とは、粒状、
球状、玉状、塊状等のような状態を総称していうもので
ある。
【0058】このような粒状を呈しての付着形態は、濾
材寿命を延ばし、低圧損化を実現するものであり、この
特徴は次に説明する濾材の製造方法によって初めて得ら
れるものである。
【0059】すなわち、従来のスプレー法による難燃化
方法は、すでに緻密化した不織布に加工を行なうもので
あったため、難燃性薬剤が濾材表層の繊維に主体に付着
する結果、難燃性薬剤の連続した大きな膜状物が表面に
形成される。このため難燃化に必要な多量の付着を行な
った場合、目詰まりして通気抵抗が増すことは避けられ
ず、難燃性薬剤の付着によってダスト捕集に必要な貴重
な空間が失われ、ダスト付着量が減少する(短寿命化す
る)ことが避けられないものでった。この原因は、スプ
レーの粒子径より濾材表面のポアサイズが小さいため、
ほとんどの粒子が表面繊維で捕集され大きな膜状物が形
成されるために起こるものであった。
【0060】本発明は、かかる欠点を解決するものであ
る。すなわち、緻密化前の嵩高な繊維ウエッブ状態、繊
維密度で0.07g/cm3 未満、より好ましくは0.
05g/cm3 未満の状態のとき、すなわち繊維1本1
本の間隔の大きい状態のときに難燃性薬剤をミクロ粒子
状態でスプレーし、ウエッブまたはニードルパンチ不織
布の表層から内層に向けて、好ましくは中心層部にかけ
ての繊維1本1本に分散付着させ、乾燥後、2面のうち
少なくとも1面が自己融着性繊維の接着温度以上に加熱
された面、例えば熱ロール間やベルトプレス間で押圧し
て、繊維密度で0.07g/cm3 以上、好ましくは
0.09g/cm3 以上0.2g/cm3未満に緻密化
させることにより連続した難燃性薬剤の膜状物の表面形
成を防ぎ目詰まりを防止する方法である。
【0061】この方法の利点は、難燃性薬剤が、一般に
上述のような粒状に繊維表面に分散付着すること(一部
が、数珠状または膜状にて繊維表面に分散付着すること
があり得るが)、さらに表面から内部の繊維に付着が分
散され、難燃化に必要な多量の付着を行なっても連続し
た付着形態をとることが極めて少ない点にある。また、
この粒状物の繊維軸直交最大径が10μm以上200μ
m以下であるので目詰まりを促進することも極めて少な
い。このため、ダスト捕集・付着に必要な貴重な空間容
積の消失が少なく、長寿命の難燃性濾材を得ることが可
能となる。また、濾材の下流側(緻密化部分)となる側
から難燃加工を行なった場合には、ダスト付着量が上流
側より少ないので難燃性薬剤付着の影響を最小化できる
ので、ダスト付着に伴う目詰まり(圧損上昇)を押さえ
ることが可能である。
【0062】繊維密度の求め方は、下記式に示す通り、
濾材の重量(W)を濾材の容積(V)で割って求める
が、濾材厚みは3cm角の試料に0.25g/cm2
荷重を濾材に掛けダイヤルゲージで測定して求めるもの
である。
【0063】ρ=W/V ρ:繊維密度(g/m3 ) W:濾材重量(g/m2 ) V:濾材の容積(cm3 ) なおV=T×10000 T:濾材厚み(mm) また、粒状物の繊維軸直交最大径の求め方は、ランダム
に独立した1個の粒状物のSEM写真を撮り、繊維軸方
向に対し直交する方向の粒の外径最大長さから求めるも
のである(n数は、100以上として平均する)。
【0064】なお、粒状物とは繊維に1個の粒状、玉
状、塊状等を通した状態のものから、表面張力で多少変
形した紡錘形のものも含むものである(図1の右側に示
したような形)。また、前述した数珠状とは串団子状の
状態をさし、膜状とは粒子が会合した部分や繊維交点付
近に見られる面状態の付着状態をさすものである。
【0065】難燃性薬剤は、特に限定されるものではな
いが、有機ブロム系の水系デスパージョンやエマルジョ
ン、リン酸グアニジン系などの難燃剤にバインダーとし
て水系の合成樹脂、例えば酢酸ビニル系エマルジョンや
アクリル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン
や、塩化ビニリデン系エマルジョンが適するが、中でも
酢酸ビニル系エマルジョンや塩化ビニル系エマルジョン
が難燃性も高いので好適に使用できるものである。
【0066】次に、本発明の難燃性薬剤中には、実使用
中でのカビ発生を防ぐ目的で、バクテリアや黴に対して
殺菌力を有する防黴・防菌剤が含まれているものであ
る。防黴・防菌剤は、難燃性薬剤重量の5%以内で用い
られ、難燃性薬剤やバインダーと共に混合して用いられ
る。防黴・防菌剤の種類は特に限定されないが、健康上
の理由と効力の面から毒性の少ない、テトラクロロイソ
フタルニトリルやゼオライトなどが好ましいものであ
る。
【0067】
【実施例】実施例をもって更に詳細に本発明を説明す
る。
【0068】実施例1 極細繊維が8μmのアクリル短繊維43重量%と自己融
着性短繊維(芯鞘型繊維:4デニール、芯;ポリエステ
ル、鞘;共重合ポリエステル融点85℃)57重量%が
混合された目付150g/m2 のニードルパンチ不織布
(厚さ7mm)に、塩ビ系エマルジョン(日本ゼオン株
式会社製“G351”)と難燃性薬剤(大京化学株式会
社製“DBS60CN”)を固体配合比で2:8の水溶
液をスプレーガン(岩谷塗装機株式会社製“W−88−
10”)を用いてスプレーし、乾燥して難燃性薬剤の付
着率18重量%、粒状の付着物の繊維軸直交最大径が4
0μmである全体目付180g/m2 の不織布を作成し
た。
【0069】このものを90℃と130℃に加熱された
ロール間に通して、上流側平均ポアサイズ150μm、
下流側平均ポアサイズ60μm(難燃性薬剤の付着側)
の粗密勾配型の本発明の難燃性濾材を製造した。このも
のの剛軟度は、900mgで良好なプリーツ加工性を有
し、難燃性(JIS L1091A−1法)も満足する
ものであった。
【0070】この濾材の特性をアシュレ法52−76の
評価方法に準じて下記条件で評価した。
【0071】 試料面積=120cm2 (シート状態) 測定風速=5m/min ダスト=JIS15種 ダスト付着量=初期圧力損失+5mmAq時点の付
着量 ダスト濃度=80mg/m3 ±10% 評価の結果、捕集効率は67%、初期圧力損失は3mm
Aq、またダスト付着量は9g/m2 であった。この結
果は、濾材グレード比色法65%を満足するものであ
り、実使用条件での濾材寿命は6000時間以上と推定
される長寿命濾材であった。
【0072】比較例1 極細繊維が15μmのポリエステル短繊維43%と自己
融着性短繊維(芯鞘型繊維:4デニール、芯;ポリエス
テル、鞘;共重合ポリエステル融点85℃)57%が混
合された目付150g/m2 のニードルパンチ不織布
(厚さ7mm)に、塩ビ系エマルジョン(日本ゼオン株
式会社製“G351”)と難燃性薬剤(大京化学株式会
社製“DBS60CN”)を固体配合比で2:8の水溶
液をスプレーガン(岩谷塗装機株式会社製“W−88−
10”)を用いてスプレーし、乾燥して難燃性薬剤の付
着率18重量%、粒状付着物の繊維軸直交最大径が40
μmの全体目付180g/m2 の不織布を作成した。
【0073】このものを90℃と130℃に加熱された
ロール間に通して、上流側平均ポアサイズ150μm、
下流側平均ポアサイズ60μm(難燃性薬剤付着側)の
粗密構造を製造した。このものの剛軟度は、1050m
gで良好なプリーツ加工性を有し、難燃性(JIS L
1091A−1法)も満足するものであったが、濾材特
性を実施例1の方法で評価したところ捕集効率45%で
効率の低いものであった。
【0074】実施例2 極細繊維が9μmのポリプロピレン短繊維41%と自己
融着性短繊維(芯鞘型繊維:繊度4デニール、芯;ポリ
エステル、鞘;共重合ポリエステル融点85℃)59%
が混合された目付145g/m2 のニードルパンチ不織
布(厚さ6mm)に、塩ビ系エマルジョン(日本ゼオン
株式会社製“G351”)と難燃性薬剤(大京化学株式
会社製“DBS60CN”)を固体配合比で2:8の水
溶液をスプレーガン(岩谷塗装機株式会社製“W−88
−10”)を用いてスプレー乾燥して難燃性薬剤の付着
率18重量%、粒状付着物の繊維軸直交最大径40μm
の全体目付174g/m2 の不織布を作成した。
【0075】このものを90℃と130℃に加熱された
ロール間に通して、上流側平均ポアサイズ150μm、
下流側平均ポアサイズ60μm(難燃性薬剤付着側)の
粗密構造を製造し、次いでコロナ放電法によってポリプ
ロピレン短繊維をエレクトレット化した。
【0076】このものの剛軟度は、1000mgで良好
なプリーツ加工性を有し、難燃性(JIS L1091
A−1法)も満足するものであった。
【0077】濾材特性を実施例1の方法で評価したとこ
ろ、捕集効率93%で効率が高く、ダスト付着量は10
g/m2 で寿命の長いものであった。
【0078】実施例3 実施例1の内容で下記条件を変更した濾材を作成した。
すなわち、粗構造側が難燃性薬剤付着面となるように難
燃加工した濾材を作成した。
【0079】このものの濾材特性を実施例1の方法で評
価したところ、捕集効率は66%で満足するものであ
り、ダスト付着量も8g/m2 と多いものであった。
【0080】実施例4 極細繊維が8μmのアクリル短繊維43%と自己融着性
短繊維(芯鞘型繊維:4デニール、芯;ポリエステル、
鞘;共重合ポリエステル融点85℃)57%が混合され
た目付150g/m2 のニードルパンチ不織布(厚さ7
mm)に、塩ビ系エマルジョン(日本ゼオン株式会社製
“G351”)と難燃性薬剤(大京化学株式会社製“D
BS60CN”)を固体配合比で2:8の水溶液に、防
黴剤(サンノプコ株式会社製“SNサイド707”)を
難燃性薬剤の固体重量比で2%混合してスプレーガン
(岩谷塗装機株式会社製“W−88−10”)を用いて
スプレー乾燥して難燃性薬剤の付着率18重量%、粒状
付着物の繊維軸直交最大径40μmの全体目付180g
/m2 の不織布を作成した。
【0081】このものを90℃と130℃に加熱された
ロール間に通して、上流側平均ポアサイズ150μm、
下流側平均ポアサイズ60μm(難燃性薬剤付着側)の
粗密勾配型の本発明の難燃性濾材を製造した。このもの
に外気を連続2000時間供給したが黴の発生は認めら
れなかった。
【0082】
【発明の効果】本発明の効果は、ビル管理法に適合する
長寿命濾材を極細短繊維と自己融着性繊維からなる粗密
構造と特殊難燃化方法によって得られるものである。
【0083】従来の空調用濾材の加工法が、不織布1層
の比較的硬い合成難燃性樹脂で加工した濾材、あるいは
不織布1層の剛性難燃樹脂で加工した粗構造の濾材に密
なメルトブロー不織布を接着して捕集効率を高めた濾材
などが知られている。従来の樹脂加工品ではダストを保
持する空間が樹脂で覆われて失われるためダスト保持量
が少なく寿命も短いものであった。また、上流側の粗構
造濾材の捕集効率が低いため、緻密なメルトブロー不織
布層に高濃度のダストがそのまま到達するので圧力損失
上昇が早く寿命が短いものであったが、本発明では、極
細短繊維を含む不織布を粗密構造に仕上げることによっ
て高い捕集効率と長寿命性を、また剛性は自己融着性繊
維の融着化・固定化によって、さらに難燃性は、繊維空
間を塞がない特殊難燃加工法によって得られるものであ
る。
【0084】このため、本発明の良好なプリーツ加工性
を有する難燃性濾材は、風圧に耐えるプリーツと高い難
燃性さらに低い通気抵抗と長寿命性を有しているので、
濾材をプリーツ加工して、あるいは平面で収納されたフ
ィルターユニットに利用できるものであり、難燃性も高
く延焼を防止する効果の高いものである。
【0085】このため各種ビル空調用やAHU用フィル
ターユニット、ロングライフフィルターユニット、プリ
ンター用フィルターユニット、精密機器用フィルターユ
ニット、粗塵フィルター、中、高性能フィルター、自動
車用フィルターなどのエアーフィルターを中心に好適に
使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、繊維に対して難燃性薬剤の粒が付着し
ている状態を示したモデル図である。
【符号の説明】
1:繊維 2:難燃性薬剤の粒 D:難燃性薬剤の粒の繊維軸方向と直交する方向の最大

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上流側と下流側でポアサイズが異なる単糸
    繊維直径10μm未満の極細短繊維と自己融着性繊維か
    らなる平均繊維密度0.07g/cm3 以上0.2g/
    cm3 未満の粗密構造不織布よりなり、少なくとも厚み
    の1/2の位置からの下流側においてポアサイズが20
    μm以上120μm未満である繊維層部分が存在し、か
    つ、前記自己融着性繊維によって前記極細繊維の少なく
    とも一部が該自己融着性繊維と一体化され、かつ、難燃
    性薬剤が40重量%未満5重量%以上の付着量で少なく
    とも表層から内層部にかけて付着して存在するととも
    に、剛軟度が200mg以上であることを特徴とする難
    燃性濾材。
  2. 【請求項2】難燃性薬剤が、繊維軸直交最大径が10μ
    m以上200μm以下である粒状を実質的に呈して付着
    してなることを特徴とする請求項1記載の難燃性濾材。
  3. 【請求項3】自己融着性繊維が芯鞘型複合繊維であり、
    芯部と鞘部の融点差が30℃以上であり、かつ少なくと
    も芯素材がポリエステル系ポリマーを含むものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の難燃性濾材。
  4. 【請求項4】粗密構造不織布の厚みの1/2の位置から
    の上流側においてポアサイズが120μm以上であり、
    厚みの上流側から下流側にかけて連続的にポアサイズが
    変化していることを特徴とする請求項1記載の難燃性濾
    材。
  5. 【請求項5】粗密構造不織布が、ポアサイズ120μm
    以上の不織布を上流側として、該不織布にポアサイズ2
    0μm以上120μm未満の不織布を下流側不織布とし
    て積層一体化してなるものであることを特徴とする請求
    項1記載の難燃性濾材。
  6. 【請求項6】難燃性薬剤が、少なくとも下流側から濾材
    内深部にかけて付着して存在するものであることを特徴
    とする請求項1記載の難燃性濾材。
  7. 【請求項7】難燃性薬剤中に、防黴・防菌剤が含まれて
    いることを特徴とする請求項1または5記載の難燃性濾
    材。
  8. 【請求項8】単糸繊維直径10μm未満の極細短繊維と
    自己融着性繊維の少なくともいずれかがエレクトレット
    化繊維であることを特徴とする請求項1または2記載の
    難燃性濾材。
  9. 【請求項9】単糸繊維直径10μm未満の極細短繊維と
    自己融着性繊維からなる繊維密度が0.05g/cm3
    未満のウエッブまたはニードルパンチ不織布の表層から
    内層にかけて難燃性薬剤をスプレー法で付着させて乾燥
    した後、表裏2面のうち、少なくとも1面を前記自己融
    着性繊維の接着温度以上に加熱された面で押圧し平均繊
    維密度を0.07g/cm3 以上に緻密化せしめること
    を特徴とする難燃性濾材の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07185238A (ja) * 1993-12-28 1995-07-25 Toray Ind Inc 難燃性濾材および製造方法
JP2009545440A (ja) * 2006-07-31 2009-12-24 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 二峰性単層単成分媒体を用いたプリーツ状フィルタ
JP2010094666A (ja) * 2008-09-17 2010-04-30 Toray Ind Inc エレクトレット濾材およびその製造方法
JP2010234285A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Toray Ind Inc エアフイルター用濾材
CN103451919A (zh) * 2013-09-04 2013-12-18 东华大学 一种民用航空工具专用多功能空气净化功能织物的制备方法

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