JP3512424B2 - 素早く乾燥するネイルエナメル組成物および方法 - Google Patents

素早く乾燥するネイルエナメル組成物および方法

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Description

【発明の詳細な説明】 背景技術 1.技術分野 本発明は人間の爪に塗るためのエナメルコーティング
組成物の分野に関するものである。より詳しくは、上記
組成物は素早く乾燥するネイルエナメル組成物に関する
ものである。
2.従来技術の検討 ユーザーが、汚す、筋をつける、付着させる、擦る、
さらに衣服にエナメルを着けてしまう等に煩わされない
よう、ネイルエナメルを塗るのに必要な時間を短くし、
表面およびその下部を素早く乾燥させるべく試みがなさ
れている。しかも、そのように素早く乾燥できるとして
も、ネイルエナメルを塗るときの特性、艶、硬さ、また
は洗えるという能力を犠牲にしてはならない。
これらの試みの幾つかは、溶媒システム、硬化システ
ム、または薄膜形成樹脂システムに着目してなされてい
るが成功には至らず、更なる乾燥時間の短縮、乾燥状態
のエナメルの品質改善などが求められている。
したがって、本発明は、短時間で効果的に乾燥する、
素早く乾燥するネイルポリッシュエナメルを提供するこ
とを目的とする。
発明の概要 上述した課題を解決するために、塗布後直ちに切れ目
ない薄膜を得ることができるものとされていたビニル−
シリコーンコポリマーを、適切に素早く乾燥するネイル
エナメルのベース組成物に添加する試みがなされてい
た。このビニル−シリコーンコポリマーは、たとえばカ
ンターら(Kanter,et al.)に特許権が付与され、後に
ミネソタミニングアンドマニュファクチャリングカンパ
ニー(3M)に譲渡された米国特許第5,032,460号に係る
明細書、および国際出願WO93/23009で公開された明細書
に開示されている。これら3Mの特許明細書に係るビニル
−シリコーンコポリマーを、ニトロセルロース薄膜形成
剤と他の第2薄膜形成剤とを含有してなるネイルエナメ
ル組成物に添加すると、乾燥時間が短縮されることがわ
かった。さらに、非極性炭化水素溶媒を上記組成物に添
加することで、ビニル−シリコーンコポリマーがより迅
速に表面に移動することにより、乾燥時間をより短せし
めることができる。
しかしながら、素早く乾燥するエナメル組成物を爪に
塗布すると、かなり気泡が生じることが明白にわかる。
気泡が生じた結果、乾燥したエナメルコーティングが不
均一となり、外観に問題を生じるため、製品は商業ベー
スに乗らない、又は商業的に使用できない。
したがって、市販されている抗発泡剤を上記組成物に
添加することにより、気泡が生じる現象を改善する試み
がなされていた。発泡が減少した組成物もあったが、依
然として多少の発泡は起き、多量の抗発泡剤が必要であ
った。
したがって、本発明は、ニトロセルロースをベースと
したネイルエナメル組成物に素早く乾燥するビニル−シ
リコーンコポリマーを添加した素早く乾燥し発泡しない
ネイルエナメルコーティングに、さらに200〜500センチ
ストークス(cSt)の粘度を有するポリジメチルシロキ
サン(ジメチコン)抗発泡剤を微量添加することをベー
スとしている。
本発明は、より広い見地からは、可塑化された薄膜形
成セルロース誘導体の溶媒溶液;シリコーンポリマーセ
グメントおよびビニルポリマーセグメントを含有してな
るビニル−シリコーングラフトコポリマーまたはブロッ
クコポリマー;非極性炭化水素溶媒;およびジメチコン
抗発泡剤を含有してなる、素早く乾燥する非発泡ネイル
エナメル組成物を提供するものである。
本発明の詳細な説明および好ましい実施態様 本明細書においては、「乾燥」との用語を、塗布され
たコーティングが、表面のみならず、コーティングの厚
み全体に亘って迅速に乾燥することを意味する。すなわ
ち、下方層に溶媒を保持する一方で「乾燥した感触」を
与えるエナメルコーティングでは十分ではない。こうし
た「乾燥した感触」のコーティングでは、塗布された爪
が固い面に擦れた場合、損傷したり、擦れた面に付着し
たりする。
また、本発明に係る素早く乾燥するネイルエナメル組
成物は、澄み切ったまたは透明な、固い、艶のあるエナ
メルコーティングを提供すべく処方するものでもよく、
または着色した、固い、艶のあるエナメルコーティング
を提供すべく、顔料または他の着色剤を含有しても良
い。澄み切ったまたは透明なコーティングは、直接爪に
塗布されてもよく、また塗布されることが好ましいが、
着色したネイルポリッシュをあらかじめコーティングし
た上に塗布しても良い。着色されたネイルエナメルは、
直接爪に塗布され、他の下塗りまたは上塗りを必要とし
ない。
本発明の組成物は、以下に示すネイルエナメル組成物
に概して見受けられる必須の成分を含有している:その
成分とは、溶媒;薄膜形成剤;薄膜形成剤用可塑剤;組
成物を爪に容易に塗布できるが爪の向きに関わらず垂れ
ない程度の十分な粘度を与えるための増粘剤またはチキ
ソトロピー剤である。また、組成物は、たとえば、顔料
およびその他の着色剤、防腐剤、および香料等の機能的
な属性または美的属性を付与する、1種またはそれ以上
の更なる添加物を含有しても良い。
しかしながら、本発明の組成物は、以下に説明される
素早く乾燥するビニル−シリコーングラフトコポリマー
またはブロックコポリマーと、エナメルコーティングが
乾燥する間の気泡の発生を効果的に防止するためのジメ
チコン抗発泡剤との組み合わせによって特に特徴付けら
れる。これら種々の必須成分および好ましい成分を以下
に説明する。
ビニル−シリコーングラフトコポリマーまたはブロッ
クコポリマーは、3Mの米国特許第5,032,460およびWO93/
23009に詳しく説明されている、これらの開示内容は、
それについて述べたことにより、その全体がここに記載
されていることとする。そして、ビニル−シリコーング
ラフトコポリマーまたはブロックコポリマーは、以下の
一般式を有している。
式中、G5は、アルキル、アリール、アルカリル、アルコ
キシ、アルキルアミノ; フルオロアルキル、水素、および−ZSAからなるグルー
プから選択される1価の基を示し、それぞれ同じでも良
いし、異なっていても良い;Aは可塑化された、フリーラ
ジカルで可塑可能なモノマーを必須的に有してなるビニ
ル高分子セグメントを示し;そしてZは2価の結合基を
示す。2価の結合基であるZ基としては、C1〜C10のア
ルキレン、アルカリレン(alkarylene)、アリーレン、
およびアルコキシアルキレンなどを例示できるが、これ
らに限定されるものではない。商業的に入手可能である
ため、Zはメチレンまたはプロピレンが好ましい。
G6は、アルキル、アリール、アルカリル、アルコキ
シ、アルキルアミノ、フルオロアルキル、水素、および
−ZSAからなるグループから選択される1価の基を示
し、それぞれ同じでも良いし、異なっていても良い; G2は、Aを含有し; G4は、Aを含有し; R1は、アルキル、アリール、アルカリル、アルコキシ
アルキルアミノ、フルオロアルキル、水素、およびヒド
ロキシルからなるグループから選択される1価の基を示
し、それぞれ同じでも良いし、異なっていても良い。商
業的に入手可能であるため、R1はC1〜C4のアルキルまた
は水酸基である1価の基が好ましく、それぞれ同じでも
異なっていても良い。また、R1はメチル基が最も好まし
い。
R2は、2価の結合基を示し、それぞれ同じでも異なっ
ていても良い。好ましい2価の結合基としては、C1〜C
10のアルキレン、アリレン、アルカリレン(alkarylen
e)、およびアルコキシアルキレンなどを例示できる
が、これらに限定されるものではない。化合物合成の容
易さを考慮すると、R2は、C1〜C3アルキレン、またはC7
〜C10アルカリレン(alkarylene)であることが好まし
い。また、R2は、−CH2−、1,3−プロピレン、または である基が最も好ましい。
R3は、アルキル、アリール、アルカリル(alkary
l)、アルコキシ、アルキルアミノ、フルオロアルキ
ル、水素、およびヒドロキシルからなるグループから選
択される1価の基を示し、それぞれ同じでも良いし、異
なっていても良い。商業的に入手可能であるため、R
3は、C1〜C4のアルキル基またはヒドロキシル基である
1価の基が好ましく、それぞれ同じでも異なっていても
良い。また、R3はメチル基が最も好ましい。
R4は、2価の結合基を示し、それぞれ同じでも異なっ
ていても良い。好ましい2価の結合基としては、C1〜C
10のアルキレン、アリレン、アルカリレン(alkarylen
e)、およびアルコキシアルキレンなどを例示できる
が、これらに限定されるものではない。化合物合成の容
易さを考慮すると、R4はC1〜C3アルキレン、またはC7
C10アルカリレン(alkarylene)であることが好まし
い。また、R4は、−CH2−、1,3−プロピレン、または が最も好ましい。
xは、0−3の整数であり; yは、5またはそれ以上の整数を示し、約750〜約20,
000の範囲の分子量を有するシリコーンセグメントを得
るために、約10〜約270の範囲の整数であることが好ま
しい。また、yは約40〜約270の範囲の整数が最も好ま
しい。
qは、0−3の整数である。
さらに、以下に示す条件のうち少なくとも1つを満た
す; qは、少なくとも1の整数である; xは、少なくとも1の整数である; G5は、少なくとも1つの−ZSA基を含有する; G6は、少なくとも1つの−ZSA基を含有する。
より詳細には、これらのコポリマーは、それぞれビニ
ル高分子セグメントおよびシリコーン高分子セグメント
を有しているため、反応物および重合技術については、
先に述べた3Mの特許明細書を参照するものとする。ま
た、ここに記載したことにより、そのような技術等につ
いては本明細書に記載されたものとする。特に、WO93/2
3009の29−31ページでは、ビニル−シリコーンコポリマ
ーを低沸点オイルまたは揮発性溶媒に溶解させて得られ
た化粧用組成物は、優れた耐水性、耐油性を示す化粧用
薄膜を提供するものであり、ネイルエナメルのように、
爪に塗布できると記載されている点に着目すべきであ
る。上記低沸点オイルは、常圧で260℃より低い沸点を
有する揮発性炭化水素オイルであっても良い。また、上
記揮発性溶媒は、常圧で260℃より低い沸点を有し、10c
Stより低い粘度を有する、直鎖、環状、または枝分かれ
したシリコーンオイルであっても良い。さらに、メチル
メタクリレイト、t−ブチル(メタ)アクリレイト、イ
ソブチルメタクリレイトなどのモノマーを大量にアクリ
ル鎖に導入することにより、固い薄膜が得られる。上記
薄膜形成化粧用組成物中のコポリマーの量は0.03〜70重
量%であり、逆に言えば、99.97〜30重量%の揮発性溶
媒を含有している。
本発明において、ビニル−シリコーンコポリマーは、
約0.1〜5重量%の範囲で組成物に添加されており、0.2
5〜2.0重量%の範囲がより好ましく、0.5〜1.0重量%の
範囲が最も好ましい。
組成物の素早い乾燥をより促進させるために、本発明
の組成物に、ヘプタンまたはヘキサンなどの揮発性非極
性炭化水素溶媒を含有させても良い。どのような場合に
でも当てはまるわけではないが、非極性炭化水素は、他
の溶媒が蒸発するにつれて、ビニール−シリコーンコポ
リマーのエナメルコーティング表面への移動を促進し、
迅速な乾燥作用を促進させると考えられる。
素早い乾燥をより促進させるための特定の非極性炭化
水素溶媒量は、ルーチン実験により予め決定できる。一
般には、組成物の約1〜30重量%、5〜20重量%の範囲
がより好ましく、この範囲の量が好ましい結果を示して
いる。
ヘプタン溶媒(または他の揮発性非極性炭化水素溶
媒)は、従来より周知のように、ネイルエナメル組成
物、特に素早く乾燥するネイルエナメル組成物に従来よ
り使用されている他の1種またはそれ以上の溶媒ととも
に使用される。組成物中に存在する薄膜形成樹脂、およ
び所望の乾燥時間を考慮して、特定の溶媒が選択され
る。
好ましい溶媒としては、アセトン、エチルアセテー
ト、メチルアセテート、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、プロピルアセテート、
n−ブチルアセテート、アミルアセテート、および他の
エステル、メチルクロロホルム(methychloroform)、
メチレンクロライド、メチルエチルケトン、およびその
他のケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサン、および他のエーテル等の低沸点溶媒
を例示できる。1種類の溶媒、またはこれら溶媒の混合
物は、必要に応じて種々の重量比率で容易に選択され
る。また、一般に好ましくない高沸点溶媒としては、セ
ロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、セロソルブア
セテート、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソ
ルブ、エチルセロソルブ等を例示できる。しかしなが
ら、これらの高沸点溶媒も、組成物の素早い乾燥特性を
妨げない量であるならば、溶媒混合物に添加することも
できる。
素早い乾燥と満足のいく粘度(つまり、塗布しても流
れない状態)とを保証するために必要な、先に説明した
ヘプタンまたは他の炭化水素溶媒以外の溶媒混合物を含
む溶媒の量は、もちろん、溶媒の性質、および特に樹
脂、他の薄膜形成成分、増粘剤、固形物などの他の成分
の性質および量に依存する。しかしながら、本発明の目
的に合致する溶媒の量は、組成物の約20〜約70重量%の
範囲であり、組成物の約30〜60重量%の範囲がより好ま
しい。溶媒の一部または溶媒の全てを、特に、ニトロセ
ルロース溶媒溶液、着色溶液などの1種以上の非溶媒成
分からなる溶媒溶液として、エナメル組成物に添加して
もよい、ということが理解できる。また、ヘプタンまた
はそれ以外の炭化水素溶媒を含有してなる溶媒の総量
は、組成物の総重量に対して、一般に、約25〜90%であ
り、35%〜85%の範囲がより好ましい。
従来より利用されており、衝撃硬さ、丈夫さ、摩滅に
対する抵抗力という能力、および溶媒を放出する能力を
有するため、ニトロセルロースは、本発明の素早く乾燥
するネイルエナメル組成物における第1薄膜形成ポリマ
ー物質として好ましい。
既に商業的に利用できる好ましいニトロセルロースとし
ては、ニトロセルロースRS 1/4 sec.、ニトロセルロー
スRS 1/2 sec.、ニトロセルロースSS 1/4 sec.、ニトロ
セルロースSS 1/2 sec.、ニトロセルロースHIG 1/4 se
c.、ニトロセルロースHIG 1/2 sec.、およびニトロセル
ロースSL−1等を例示できる。ニトロセルロースの量
は、全組成物に対して、一般に、約1.0〜25重量%の範
囲であり、3または5〜20重量%の範囲がより好まし
い。
ニトロセルロース薄膜形成剤の代わりとしてまたは一
部の代わりとして、必要な硬さ、丈夫さ、摩滅に対する
抵抗力という能力、および溶媒を放出する能力を与える
ことができる他の第1薄膜形成ポリマーを使用してもよ
い。そのような薄膜形成剤としては、たとえば、メチル
セルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、
ブチルセルロース、セルロースフタレイト、セルロース
アセテートプロピオネイト、セルロースアセテートブチ
レイト、セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルセ
ルロースなどのセルロース誘導体を挙げることができ
る。
第1薄膜形成成分を強くし、エナメルコーティングに
好ましい艶および接着特性を付与するため、上記組成物
は第2薄膜形成樹脂も含有する。好ましい第2薄膜形成
ポリマーとしては、ポリビニルアセテートおよびブチレ
イト、ビニルクロライド/ビニルアセテートコポリマー
などのビニルポリマー、およびメタクリレイトおよびア
クリレイトタイプのポリマーおよびポリエステル樹脂な
どを例示できる。たとえば、トルエンスルホアミド−ホ
ルムアルデヒド樹脂などの上記目的のために従来より使
用されている、アリールスルホアミド−ホルムアルデヒ
ド樹脂も挙げることもできる。
たとえば、最終的に得られるエナメルの艶などの所望
の特性に依存して、第2薄膜形成樹脂成分の量は予め決
定することができる。一般に、総組成物に対して、約2
〜15重量%、より好ましくは約4〜10重量%の範囲が好
ましい結果を得ることができる。
また、得られる薄膜を柔らかくするために、また部分
的に柔軟性を付与するために、従来より習慣的に、ネイ
ルエナメル組成物は、可塑剤混合物、または可塑剤を一
般に含有している。
本発明において特に好ましい可塑剤は、ジブチルフタ
レイト(DBP)であり、総組成物に対して、約1〜10重
量%、好ましくは2〜8重量%、そして特に好ましくは
3〜5重量%の範囲で添加される。上記ニトロセルロー
ス薄膜形成剤とともに一般に使用される、1種以上の更
なる汎用可塑剤もまた、DBP可塑剤とともに使用するこ
とができる。そのような可塑剤としては、カンフル、ス
クロースアセテートイソブチレイト、トリフェニルホス
フェイト、トリクレジルフタレイト、ブチルフタレイ
ト、ブチルグリコレイト、ジオクチルフタレイト、ジブ
トキシエチルフタレイト、ヒマシ油、ベンジルベンソエ
イト、トリブチルホスフェイト、ブチルアセチルリシノ
レイト、ブチルステアレイト、トリエチルシトレイト、
ジブチルタタレイト、ジアミルフタレート等を例示する
ことができる。カンフル、トリフェニルホスフェイト、
およびジブチルフタレートは、単独であってもまたは混
合されていても、好ましい。更なる可塑剤の量は、総組
成物に対して、一般に約1〜12重量%の範囲であり、2
〜10重量%の範囲がより好ましい。
上記成分、すなわち、溶媒、第1、第2薄膜形成ポリ
マーおよび樹脂、可塑剤およびビニル−シリコーンコポ
リマーをベースとした組成物が、素早く乾燥するネイル
エナメルを形成する。しかしながら、全ての場合に当て
はまるとは限らないが、おそらくは、溶媒分子が薄膜形
成ポリマー外に移動し、最表面層がもっとも速乾性であ
るエナメルの、表面直下に捕捉されることによって、乾
燥したエナメルコーティング中に気泡が形成され、塗布
された爪の外観を損なう。
以下の実施例に示されているように、数種の市販され
ている抗発泡剤は、発泡を減少させるのに幾分は効果が
あるが、発泡という問題が解決されるわけではない。し
かしながら、市販品であるDC200Fluid(350cSt)のよう
なジメチコン(ポリジメチルシロキサン)抗発泡剤は極
めて微量で発泡を実質的にすっかり除去できることがわ
かっている。
したがって、好ましい抗発泡剤には、約200〜500cS
t、好ましくは約300〜400cStの範囲の粘度を有する、液
体のポリジメチルシロキサンが含まれる。これらの抗発
泡剤は微量で効果があり、総組成物に対して、大抵約0.
02〜0.3%、より好ましくは0.06〜0.20重量%というよ
うに、0.3重量%より少ない。
ネイルエナメル組成物は、上記成分の他に、素早く乾
燥するという特性を減じない程度の量であるならば、通
常ネイルエナメルに添加されている一般的な補助剤成分
を含有しても良い。たとえば、顔料、染料、真珠光沢剤
等の着色剤;チキソトロピー剤;充填剤;香料、(殺菌
剤のような)保存剤、抗酸化剤)、UV抑制剤、レベリン
グ剤等を例示できる。
着色剤は、化粧品として許容できる陰をつけるため、
および得られる薄膜を不透明化するために、一般に使用
されているネイルポリッシュ添加剤である。
本発明において使用される顔料としては、たとえば、
D&CレッドNo.7、D&CレッドNo.30、D&CレッドN
o.34等の赤顔料を例示できる。本発明の組成物に使用で
きる他の顔料としては、たとえば、D&CイエローNo.5
レーキ、D&CレッドNo.6レーキ、D&CレッドNo.7レ
ーキ、D&CレッドNo.34レーキ、D&CレッドNo.2レ
ーキ、およびExt.D&CレッドNo.2レーキを例示でき
る。さらに、例示した顔料の他に、さらに、たとえば、
化粧品用グレードのまたは精製したチタニウムジオキシ
ド(白)、マイカ、ビスマスオキシクロライド、イエロ
ーアイアンオキシド、レッドアイアンオキシド、アンア
ンブルー、アイアンブラック、ウルトラマリンブルー、
クロミドオキシドグリーン、フェリックアンモニウムフ
ェロシアナイド、カーボンブラック、またはランプブラ
ック(一般に、極微量)を挙げることができる。
上述した顔料に加えて、例えば、ニトロセルロース及
び溶媒中としたグアニン結晶の懸濁液のような“パール
エッセンス”等の真珠光沢の添加物、並びに顔料の外観
に影響を与えるであろう他の添加剤が含有可能である。
本発明の組成物における顔料の量は、顔料のタイプおよ
び組成物に含まれる他の成分に関連して変えることがで
きるが、顔料は、一般的に、組成物の約0.025〜約4.0重
量%の範囲で添加され、約0.5〜約1重量%の範囲で添
加されることが好ましい。
本発明に係る組成物に顔料が添加された場合、組成物
の他の成分への顔料の懸濁を高めるために、チキソトロ
ピー剤を添加することが有用である。本発明の組成物を
生成するためには、ネイルエナメル分野で通常使用され
ている数多くのチキソトロピー剤を使用できる。好まし
いチキソトロピー剤としては、チキソトロピッククレ
ー、特にステアラルコニウム(stearalkonium)ヘクト
ライトおよびステアラルコニウム(stearalkonium)ベ
ントナイトを例示できる。本発明の特に好ましい組成物
においては、ゲル、より好ましくはコロイダルゲルを生
成するのに充分な量のテキソトロピー剤が含有されてい
る。一般に、添加物なしの純粋なチキソトロピー剤であ
れば、組成物の約2〜約5重量%の割合で含有されてお
り、約2〜4重量%の範囲がより好ましく、約2〜3重
量%の範囲が最も好ましい。
本発明の特に好ましい実施態様においては、微粒子
(約5ミクロン)のチキソトロピー剤(クレー)が、可
塑剤(カンフル)及びニトロセルロースを含有する溶媒
溶液をさらに含有するベース混合物中の懸濁液として与
えられる。UV抑制剤、すなわちベンゾフェノンもまた、
ベースとなる混合物に含まれていても良い。
素早く乾燥するネイルエナメル組成物は、周知の好適
な混合機を用いて、ベースとなる混合物と、可塑剤、例
えばジブチルフタレイトと、ビニル−シリコーンコポリ
マーと、任意に炭化水素溶媒、例えばヘプタンと、着色
剤と、抗発泡ジメチコン添加剤と、その他任意に添加物
とを混合することにより容易に得ることができる。
参考具体例 以下に示す成分を均一になるまで混合することによ
り、以下の組成物を得た。ベース混合物を激しくかき混
ぜながら、固まりができないように、ビニル−シリコー
ンコポリマーをゆっくりと添加した。コポリマーがベー
ス混合物に完全に溶け、均一になったことが確認される
まで混合物を攪拌した。
上記組成物を指の爪(清潔、乾燥済み)に塗布し、得
られたエナメルコーティングを10分間(残余タックな
し)乾燥させた。しかしながら、相当な起泡が確認さ
れ、製品としての有用性は損なわれていた。
実施例1 以下に示す市販されている抗発泡剤を、添加量を変化
させて、上記組成物に添加した(少なくとも15分間かけ
て上記組成物に適当量の抗発泡剤を混合させた)。次い
で、予め清潔にして乾燥させた指の爪に、上記テストと
同じ様にして、塗布し直した。その結果を、以下の表に
示す。
1)50%2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジ
オール+50%イソプロパノール 結果は、以下のように分類した。
0−効果なし 1−発泡がわずかに減少 2−発泡が減少 3−発泡が完全に減少 実施例2 以下に示す組成からなる、素早く乾燥し、発泡がな
く、着色されたネイルエナメル組成物を得た。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−131513(JP,A) 特開 平4−103514(JP,A) 特開 平5−97630(JP,A) 国際公開95/003776(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶媒、少なくとも1種の薄膜形成剤、シリ
    コーンポリマーセグメント及びビニルポリマーセグメン
    トを含む少なくとも一のビニル−シリコーングラフトコ
    ポリマーまたはビニル−シリコーンブロックコポリマ
    ー、及び少なくとも1種の抗起泡剤をエナメル被覆の乾
    燥の間、実質的に泡沫形成を効果的に防止する量で含む
    ネイルエナメル組成物であって、前記ビニル−シリコー
    ングラフトコポリマーまたはビニル−シリコーンブロッ
    クコポリマーが、下式のコポリマー: [式中、G5は、アルキル、アリール、アルカリル、アル
    コキシ、アルキルアミノ、フルオロアルキル、水素及び
    −ZSAからなる群から、同じまたは異なるように独立的
    に選択することができる1価の基を示し; Aは、本質的に、重合化された、フリーラジカルで重合
    可能なモノマーからなるビニル高分子セグメントを示
    し; Zは、2価の結合基を示し; G6は、同一又は相違し、個別に、アルキル、アリール、
    アルカリル、アルコキシ、アルキルアミノ、フルオロア
    ルキル、水素及び−ZSAからなる群から、同じ又は異な
    るように独立的に選択することができる1価の基を示
    し; G2はAを含み; G4はAを含み; R1は、アルキル、アリール、アルカリル、アルコキシ、
    アルキルアミノ、フルオロアルキル、水素及びヒドロキ
    シルからなる群から、同じ又は異なるように独立的に選
    択することができる1価の基を示し; R2は、2価の結合基を示し、それぞれ同じでも良いし、
    異なっていても良い; R3は、アルキル、アリール、アルカリル、アルコキシ、
    アルキルアミノ、フルオロアルキル、水素及びヒドロキ
    シルからなる群から、同じ又は異なるように独立的に選
    択することができる1価の基を示し; R4は、2価の結合基を示し、それぞれ同じでも良いし、
    異なっていても良い; xは0−3の整数であり; yは5以上の整数であり; qは0−3の整数であり; さらに以下に示す条件のうち少なくとも1つを満たす: qは少なくとも1の整数である; xは少なくとも1の整数である; G5は少なくとも1つの−ZSA基を含む; G6は少なくとも1つの−ZSA基を含む] を含み、前記ビニル−シリコーングラフトコポリマーま
    たはビニル−シリコーンブロックコポリマーの量が当該
    組成物の0.1から5重量%であり、前記抗起泡剤が200か
    ら500cstの粘度を有するジメチコーン、2−エチルヘキ
    シルアセタート、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン
    −4,7,ジオール、ジプロピレングリコールメチルエーテ
    ル、イソドデカン、ジイソブチルケトンより選択される
    ネイルエナメル組成物。
  2. 【請求項2】ジメチコーンが、300から400cstの粘度を
    有する請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】抗起泡剤の量が、組成物の0.02から0.3%
    である請求項1または2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】薄膜形成剤が、ニトロセルロース、セルロ
    ース誘導体、ビニルポリマー、ポリエステル、またはア
    リールスルホンアミド−ホルムアルデヒド樹脂を含む請
    求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】薄膜形成剤が、組成物の1から25重量%で
    ある請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】抗起泡剤が2−エチルヘキシルアセター
    ト、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオー
    ル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、イソドデ
    カン、ジイソブチルケトンから選択され、前記剤が組成
    物の1重量%の量で存在する請求項1及び3から5のい
    ずれか一項に記載の組成物。
  7. 【請求項7】薄膜形成剤用の少なくとも一の可塑剤をさ
    らに含む請求項1から6のいずれか一項に記載の組成
    物。
  8. 【請求項8】可塑剤の量が、組成物の1から12重量%で
    ある請求項7に記載の組成物。
  9. 【請求項9】溶媒の量が、組成物の25から90重量%であ
    る請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 【請求項10】揮発性非極性炭化水素溶媒を1から30重
    量%含む請求項1から9のいずれか一項に記載の組成
    物。
  11. 【請求項11】揮発性非極性炭化水素溶媒が、ヘプタン
    またはヘキサンである請求項10に記載の組成物。
  12. 【請求項12】揮発性非極性炭化水素溶媒以外の溶媒
    を、組成物の20から70重量%含む請求項1から11のいず
    れか一項に記載の組成物。
  13. 【請求項13】増粘剤またはチキソトロピー剤をさらに
    含む請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 【請求項14】速乾性ネイルエナメルとしての請求項1
    から13のいずれか一項に記載の組成物の化粧品としての
    使用。
  15. 【請求項15】不起泡性ネイルエナメルとしての、請求
    項1から13のいずれか一項に記載の組成物の化粧的使
    用。
  16. 【請求項16】請求項1乃至13のいずれか一項に記載の
    速乾性ネイルエナメルにおける、請求項1に記載のビニ
    ル−シリコーングラフトコポリマーまたはビニル−シリ
    コーンブロックコポリマーの化粧的使用。
  17. 【請求項17】溶媒、少なくとも一の薄膜形成剤、及び
    ビニル−シリコーングラフトコポリマーまたはビニル−
    シリコーンブロックコポリマーを含む請求項1に記載の
    不起泡性ネイルエナメルにおける、200から500cstの粘
    度を有するジメチコーン、2−エチルヘキシルアセター
    ト、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオー
    ル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、イソドデ
    カン、ジイソブチルケトンより選択される抗起泡剤の、
    化粧的使用。
  18. 【請求項18】請求項1から13のいずれか一項に記載の
    組成物を爪に適用することからなる爪の被覆方法。
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