JP3511153B2 - コンクリート充填梁の接合構造 - Google Patents
コンクリート充填梁の接合構造Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リサイクルビル架
構を構築するのに好適な梁どうしの接合構造、特に、上
下フランジとウェブからなるH形鋼の上下フランジ間の
両側面の凹所にコンクリートを充填したコンクリート充
填梁からなる大梁と小梁とを接合するための接合構造に
関する。 【0002】 【従来の技術】近年、地球環境保全の立場から、工業製
品のリサイクルに対する社会的関心が高まっており、建
物の構造体のリサイクルについても、その要請が高まっ
てきている。 【0003】建物のリサイクルを考えた場合、その形態
としては「再部材化」、「再資源化」、「転用」といっ
た形態がとられる。「再部材化」とは、部材の形を保持
して元の部材と同じ使途に再利用することを意味する。
「再資源化」とは、一度素材(原材料)に戻して再利用
することを意味する。「転用」とは、元の部材とは全く
異なった使途に再利用することを意味する。「再資源
化」の代表例には、鉄やアルミニウムの電炉による再生
がある。また、「転用」の代表例には、コンクリートガ
ラの道路舗装や埋め立てへの利用等がある。 【0004】従来、建物の構造体のリサイクルとして
は、次のような実績がある。例えば、鉄筋コンクリート
構造について言えば、躯体解体後のコンクリートを、コ
ンクリートガラとして埋め立てや道路舗装等に用いてい
る(転用)。また、鉄骨造について言えば、解体後の鉄
骨をスクラップとして電炉に戻すことで、鋼材として再
生している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のリサ
イクルは、コンクリートガラとしての転用やスクラップ
としての再資源化に止まり、再部材化への対応が十分考
慮されていなかった。また、耐火性を考慮した場合、鉄
骨梁には耐火被覆を施す必要があるが、耐火被覆の再利
用は不可能であるから、それについての改善の要望もあ
った。 【0006】本発明は、耐火被覆を施す必要のないコン
クリート充填梁を採用し、そのコンクリート充填梁どう
しを再部材化を可能な状態で接合するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】梁の再部材化を図るため
に重要なことは、解体した梁の品質及び耐久性を保証す
ることである。言い換えると、梁の無損傷解体を可能に
することである。本発明は、このような点を考慮し次の
構成を採用した。 【0008】本発明は、上下フランジとウェブからなる
H形鋼の上下フランジ間の両側面の凹所にコンクリート
を充填したコンクリート充填梁を採用するものである。 【0009】このコンクリート充填梁の場合、H形鋼の
上下フランジ間の両側面の凹所にのみコンクリートを充
填しているから、解体時に、そのコンクリートまで破砕
せずに梁を他の部材、例えば柱や他の梁から分離するこ
とができる。従って、梁を殆ど無損傷で解体すべき架構
から取り外すことができる。 【0010】そして、本発明は、上記のコンクリート充
填梁からなる大梁の側部に、同じくコンクリート充填梁
からなる小梁の端部を接合するために、両端に小梁受用
の凹部を有した鞍形の接続金物を大梁に跨がり状態で載
せ、その接合金物の凹部に、端部にはコンクリートが充
填されていない小梁の端部を落とし込んでその凹部内に
コンクリートを充填するようにしたことを特徴としてい
る。 【0011】本発明によれば、鞍形の接続金物の凹部に
小梁の端部を落とし込み、凹部にコンクリートを充填す
ることで、小梁とコンクリート充填梁を接合することが
できる。その際、凹部内で小梁の位置を調整することが
できるので、柱スパンの変更に対応できる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。まず、ここで用いる大梁及び小梁
は、コンクリート充填H形鋼梁(コンクリート充填梁)
である。図1に示すように、大梁6は、H形鋼61の側
面の凹所にコンクリート62を充填したもので、上下フ
ランジ61a、61bとウェブ61cとで3方を囲まれ
る側面凹所にコンクリート62が充填されている。コン
クリート62は図示略の端部には充填されていない。 【0013】また、小梁8も、H形鋼81の側面の凹所
にコンクリート82を充填したもので、上下フランジ8
1a、81bとウェブ81cとで3方を囲まれる側面凹
所にコンクリート82が充填されている。コンクリート
82は端部には充填されていない。なお、大梁6および
小梁8のコンクリート62、82の内部には、火災時に
備えた用心鉄筋63、83が埋設されている。 【0014】このように、H形鋼61、81の側面凹所
にコンクリート62、82を充填したことにより、耐火
性を高めて耐火被覆を省略することができる。 【0015】水平に架設された大梁6に対して小梁8を
接合するには、図1に示すように、まず、大梁6に鞍形
の接続金物7を取付けておく。鞍形の接続金物7は、大
梁6を跨ぐ形で載置されるもので、大梁6の上フランジ
61aの上面に載る上板71を有している。上板71
は、大梁6の上面幅と等しい小幅部71aと、その両端
の大幅部71b、71bとを有する平面視H形状のもの
である。一対の大幅部71b、71bは、幅方向両端が
大梁6から外に突出しており、大梁6から突出した部分
の下面中央に垂直板72が垂下され、大梁6の両側にお
いて、それぞれ一対の垂直板72が対向している。 【0016】また、大梁6の両側の垂直板72は、大梁
6を挟んで対称位置にある。大梁6の各側の垂直板7
2、72の下端間には、水平な受板73が渡されてお
り、一対の垂直板72、72と、垂直板72、72の下
端に接合された受板73とで、小梁8を受けるための凹
部74が形成されている。この凹部74の上方は、H形
の上板71の小幅部71aに対応しているため、開放し
ている。 【0017】また、受板73の両端は、垂直板72の位
置よりも食み出しており、その食み出した部分がフラン
ジ76とされ、フランジ76にはボルト通し孔76cが
開けられている。これらフランジ76には、大梁6の下
側から小梁浮き上がり防止用の底板79のフランジ79
bが合わせられるようになっている。底板79は、一対
のフランジ79b、79b間に、大梁6の下部に嵌まる
コ字形部79aを有しており、重ねたフランジ76、7
9bのボルト通し孔76c、79cに、ボルトを通して
締め付けることにより、大梁6を、上下から接続金物7
と底板79とで挟み込むようになっている。 【0018】そして、この鞍形の接続金物7の凹部74
に、コンクリート82の充填されていない小梁8の端部
を落とし込み、必要に応じて側方の開口を塞いだ状態
で、接続金物7の凹部74内に、充填材としてコンクリ
ート101を充填することにより、図2、図3、図5に
示すように、小梁8を鞍形の接続金物7を介して大梁6
に接合させる。なお、図2、図3は大梁6の両側に小梁
8を接合する場合を示すが、図4に示すように片側のみ
に小梁8を接合してもよい。その場合は、反対側の凹部
74にもコンクリート101を充填するのがよい。次
に、大梁6と小梁8を接合した後で、その上にPC床版
を敷設して各階の床を構成する。 【0019】上記の大梁6と小梁8の接合構造では、小
梁8に加わる荷重により、図6、図7中矢印で示すよう
に応力伝達が行われる。図6は下向き荷重の場合の応
力、図7はガス爆発時等の上向き荷重の場合の応力を示
す。上向き荷重がかかる場合、底板79を設けたことに
より、力は有効に大梁6に伝わることになる。いずれの
場合も、受板73や上板71、および小梁8を構成する
H形鋼のフランジが有効な応力伝達機能を果たす。 【0020】このような鞍形の接続金物7を用いて小梁
8を大梁6に接合した場合、凹部74内にて小梁8を位
置調整できるから、寸法誤差の調整が容易で、施工が早
くできる。また、溶接やボルト締めが不要であり、且つ
小梁8を鞍形の接続金物7の凹部74に落とし込むだけ
で建て方が終了するので、熟練を要する鍛冶工がいらな
くなり、現場作業の省力化になる。また、コンクリート
62、82を充填したH形鋼よりなる大梁6、小梁8を
用いたので、大梁6との接合部を含めて耐火被覆が不要
となり、耐火被覆工事がいらなくなる分、労務の省力化
や工期短縮ができる。 【0021】また、同じ理由で解体が容易になる。解体
時には、最初にPC床版を取り除くが、その際、大梁6
と小梁8の上面にコンクリートが露出していないので、
PC床版の分離が容易で、分離の際に大梁6、小梁8を
無損傷な状態とすることができる。次いで、小梁浮上が
り防止用の底板79を取り外すと共に、鞍形の接続金物
7を切断して、小梁8を大梁6から分離し、小梁8をク
レーンで吊り降ろし、破断した接続金物7の一部を地上
で小梁6から分離する。従って、小梁8と大梁6の双方
をほぼ無損傷で再部材化することができる。そして、小
梁8と大梁6の再利用が可能となるので、建設廃棄物が
少なくなるとともに、地球環境維持保全に役立つ。さら
に、耐火被覆がなくなるので、解体時に耐火被覆に伴う
工事や産業廃棄物がなくなる。なお、鞍形の接続金物7
は切断解体後に「再資源化」される。また、コンクリー
ト101等の破砕解体物はコンクリートガラとして埋め
立て用等に転用される。 【0022】また、この実施形態の接合構造では、大梁
6と小梁8の接合部に、コンクリートの充填で接合力を
得る形式の鞍形の接続金物7を用いたので、鞍形の接続
金物7の凹部74内に確保できる間隙により、柱スパン
の変化に対応して梁長さを調整することができる。例え
ば、リサイクル効率、構造強度等を勘案しても、梁寸法
の10%程度の現打コンクリート充填部分をとることが
できるので、これによって10%程度のスパン変化を吸
収することが可能となる。 【0023】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ビル架構の主要構造部材である梁のリサイクル利用が可
能であり、しかも地球資源を最も節減し且つエネルギー
消費の最も少ない「再部材化」の形で再利用することが
できる。また、耐火被覆が不要であるから、その点でも
省資源化が図れ、リサイクルの容易化を図ることができ
る。 【0024】また、本発明によれば、小梁受用凹部を備
えた鞍形の接続金物を載せ、小梁をその凹部に落とし込
み、凹部にコンクリートを充填する構造であるから、柱
スパンの変更に対応しながら、容易に梁の接合部を構成
することができ、また再部材化を可能にした解体ができ
るようになる。
構を構築するのに好適な梁どうしの接合構造、特に、上
下フランジとウェブからなるH形鋼の上下フランジ間の
両側面の凹所にコンクリートを充填したコンクリート充
填梁からなる大梁と小梁とを接合するための接合構造に
関する。 【0002】 【従来の技術】近年、地球環境保全の立場から、工業製
品のリサイクルに対する社会的関心が高まっており、建
物の構造体のリサイクルについても、その要請が高まっ
てきている。 【0003】建物のリサイクルを考えた場合、その形態
としては「再部材化」、「再資源化」、「転用」といっ
た形態がとられる。「再部材化」とは、部材の形を保持
して元の部材と同じ使途に再利用することを意味する。
「再資源化」とは、一度素材(原材料)に戻して再利用
することを意味する。「転用」とは、元の部材とは全く
異なった使途に再利用することを意味する。「再資源
化」の代表例には、鉄やアルミニウムの電炉による再生
がある。また、「転用」の代表例には、コンクリートガ
ラの道路舗装や埋め立てへの利用等がある。 【0004】従来、建物の構造体のリサイクルとして
は、次のような実績がある。例えば、鉄筋コンクリート
構造について言えば、躯体解体後のコンクリートを、コ
ンクリートガラとして埋め立てや道路舗装等に用いてい
る(転用)。また、鉄骨造について言えば、解体後の鉄
骨をスクラップとして電炉に戻すことで、鋼材として再
生している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のリサ
イクルは、コンクリートガラとしての転用やスクラップ
としての再資源化に止まり、再部材化への対応が十分考
慮されていなかった。また、耐火性を考慮した場合、鉄
骨梁には耐火被覆を施す必要があるが、耐火被覆の再利
用は不可能であるから、それについての改善の要望もあ
った。 【0006】本発明は、耐火被覆を施す必要のないコン
クリート充填梁を採用し、そのコンクリート充填梁どう
しを再部材化を可能な状態で接合するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】梁の再部材化を図るため
に重要なことは、解体した梁の品質及び耐久性を保証す
ることである。言い換えると、梁の無損傷解体を可能に
することである。本発明は、このような点を考慮し次の
構成を採用した。 【0008】本発明は、上下フランジとウェブからなる
H形鋼の上下フランジ間の両側面の凹所にコンクリート
を充填したコンクリート充填梁を採用するものである。 【0009】このコンクリート充填梁の場合、H形鋼の
上下フランジ間の両側面の凹所にのみコンクリートを充
填しているから、解体時に、そのコンクリートまで破砕
せずに梁を他の部材、例えば柱や他の梁から分離するこ
とができる。従って、梁を殆ど無損傷で解体すべき架構
から取り外すことができる。 【0010】そして、本発明は、上記のコンクリート充
填梁からなる大梁の側部に、同じくコンクリート充填梁
からなる小梁の端部を接合するために、両端に小梁受用
の凹部を有した鞍形の接続金物を大梁に跨がり状態で載
せ、その接合金物の凹部に、端部にはコンクリートが充
填されていない小梁の端部を落とし込んでその凹部内に
コンクリートを充填するようにしたことを特徴としてい
る。 【0011】本発明によれば、鞍形の接続金物の凹部に
小梁の端部を落とし込み、凹部にコンクリートを充填す
ることで、小梁とコンクリート充填梁を接合することが
できる。その際、凹部内で小梁の位置を調整することが
できるので、柱スパンの変更に対応できる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。まず、ここで用いる大梁及び小梁
は、コンクリート充填H形鋼梁(コンクリート充填梁)
である。図1に示すように、大梁6は、H形鋼61の側
面の凹所にコンクリート62を充填したもので、上下フ
ランジ61a、61bとウェブ61cとで3方を囲まれ
る側面凹所にコンクリート62が充填されている。コン
クリート62は図示略の端部には充填されていない。 【0013】また、小梁8も、H形鋼81の側面の凹所
にコンクリート82を充填したもので、上下フランジ8
1a、81bとウェブ81cとで3方を囲まれる側面凹
所にコンクリート82が充填されている。コンクリート
82は端部には充填されていない。なお、大梁6および
小梁8のコンクリート62、82の内部には、火災時に
備えた用心鉄筋63、83が埋設されている。 【0014】このように、H形鋼61、81の側面凹所
にコンクリート62、82を充填したことにより、耐火
性を高めて耐火被覆を省略することができる。 【0015】水平に架設された大梁6に対して小梁8を
接合するには、図1に示すように、まず、大梁6に鞍形
の接続金物7を取付けておく。鞍形の接続金物7は、大
梁6を跨ぐ形で載置されるもので、大梁6の上フランジ
61aの上面に載る上板71を有している。上板71
は、大梁6の上面幅と等しい小幅部71aと、その両端
の大幅部71b、71bとを有する平面視H形状のもの
である。一対の大幅部71b、71bは、幅方向両端が
大梁6から外に突出しており、大梁6から突出した部分
の下面中央に垂直板72が垂下され、大梁6の両側にお
いて、それぞれ一対の垂直板72が対向している。 【0016】また、大梁6の両側の垂直板72は、大梁
6を挟んで対称位置にある。大梁6の各側の垂直板7
2、72の下端間には、水平な受板73が渡されてお
り、一対の垂直板72、72と、垂直板72、72の下
端に接合された受板73とで、小梁8を受けるための凹
部74が形成されている。この凹部74の上方は、H形
の上板71の小幅部71aに対応しているため、開放し
ている。 【0017】また、受板73の両端は、垂直板72の位
置よりも食み出しており、その食み出した部分がフラン
ジ76とされ、フランジ76にはボルト通し孔76cが
開けられている。これらフランジ76には、大梁6の下
側から小梁浮き上がり防止用の底板79のフランジ79
bが合わせられるようになっている。底板79は、一対
のフランジ79b、79b間に、大梁6の下部に嵌まる
コ字形部79aを有しており、重ねたフランジ76、7
9bのボルト通し孔76c、79cに、ボルトを通して
締め付けることにより、大梁6を、上下から接続金物7
と底板79とで挟み込むようになっている。 【0018】そして、この鞍形の接続金物7の凹部74
に、コンクリート82の充填されていない小梁8の端部
を落とし込み、必要に応じて側方の開口を塞いだ状態
で、接続金物7の凹部74内に、充填材としてコンクリ
ート101を充填することにより、図2、図3、図5に
示すように、小梁8を鞍形の接続金物7を介して大梁6
に接合させる。なお、図2、図3は大梁6の両側に小梁
8を接合する場合を示すが、図4に示すように片側のみ
に小梁8を接合してもよい。その場合は、反対側の凹部
74にもコンクリート101を充填するのがよい。次
に、大梁6と小梁8を接合した後で、その上にPC床版
を敷設して各階の床を構成する。 【0019】上記の大梁6と小梁8の接合構造では、小
梁8に加わる荷重により、図6、図7中矢印で示すよう
に応力伝達が行われる。図6は下向き荷重の場合の応
力、図7はガス爆発時等の上向き荷重の場合の応力を示
す。上向き荷重がかかる場合、底板79を設けたことに
より、力は有効に大梁6に伝わることになる。いずれの
場合も、受板73や上板71、および小梁8を構成する
H形鋼のフランジが有効な応力伝達機能を果たす。 【0020】このような鞍形の接続金物7を用いて小梁
8を大梁6に接合した場合、凹部74内にて小梁8を位
置調整できるから、寸法誤差の調整が容易で、施工が早
くできる。また、溶接やボルト締めが不要であり、且つ
小梁8を鞍形の接続金物7の凹部74に落とし込むだけ
で建て方が終了するので、熟練を要する鍛冶工がいらな
くなり、現場作業の省力化になる。また、コンクリート
62、82を充填したH形鋼よりなる大梁6、小梁8を
用いたので、大梁6との接合部を含めて耐火被覆が不要
となり、耐火被覆工事がいらなくなる分、労務の省力化
や工期短縮ができる。 【0021】また、同じ理由で解体が容易になる。解体
時には、最初にPC床版を取り除くが、その際、大梁6
と小梁8の上面にコンクリートが露出していないので、
PC床版の分離が容易で、分離の際に大梁6、小梁8を
無損傷な状態とすることができる。次いで、小梁浮上が
り防止用の底板79を取り外すと共に、鞍形の接続金物
7を切断して、小梁8を大梁6から分離し、小梁8をク
レーンで吊り降ろし、破断した接続金物7の一部を地上
で小梁6から分離する。従って、小梁8と大梁6の双方
をほぼ無損傷で再部材化することができる。そして、小
梁8と大梁6の再利用が可能となるので、建設廃棄物が
少なくなるとともに、地球環境維持保全に役立つ。さら
に、耐火被覆がなくなるので、解体時に耐火被覆に伴う
工事や産業廃棄物がなくなる。なお、鞍形の接続金物7
は切断解体後に「再資源化」される。また、コンクリー
ト101等の破砕解体物はコンクリートガラとして埋め
立て用等に転用される。 【0022】また、この実施形態の接合構造では、大梁
6と小梁8の接合部に、コンクリートの充填で接合力を
得る形式の鞍形の接続金物7を用いたので、鞍形の接続
金物7の凹部74内に確保できる間隙により、柱スパン
の変化に対応して梁長さを調整することができる。例え
ば、リサイクル効率、構造強度等を勘案しても、梁寸法
の10%程度の現打コンクリート充填部分をとることが
できるので、これによって10%程度のスパン変化を吸
収することが可能となる。 【0023】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ビル架構の主要構造部材である梁のリサイクル利用が可
能であり、しかも地球資源を最も節減し且つエネルギー
消費の最も少ない「再部材化」の形で再利用することが
できる。また、耐火被覆が不要であるから、その点でも
省資源化が図れ、リサイクルの容易化を図ることができ
る。 【0024】また、本発明によれば、小梁受用凹部を備
えた鞍形の接続金物を載せ、小梁をその凹部に落とし込
み、凹部にコンクリートを充填する構造であるから、柱
スパンの変更に対応しながら、容易に梁の接合部を構成
することができ、また再部材化を可能にした解体ができ
るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるコンクリート充填梁の
接合構造を示す斜視図である。 【図2】前記大梁と小梁の接合構造の平面図である。 【図3】図2のD−D矢視断面図である。 【図4】図3の片側に小梁がない場合の断面図である。 【図5】図2のE−E矢視断面図である。 【図6】図1に示す大梁と小梁の接合部分に下向き荷重
が作用した際の応力の伝達の仕方を示す図5相当の断面
図である。 【図7】図1に示す大梁と小梁の接合部分に上向き荷重
が作用した際の応力の伝達の仕方を示す図5相当の断面
図である。 【符号の説明】 6 大梁(コンクリート充填梁) 61 H形鋼 61a 上フランジ 61b 下フランジ 61c ウェブ 62 コンクリート 7 鞍形の接続金物 74 凹部 8 小梁(コンクリート充填梁) 81a 上フランジ 81b 下フランジ 81c ウェブ 82 コンクリート 101 コンクリート(充填材)
接合構造を示す斜視図である。 【図2】前記大梁と小梁の接合構造の平面図である。 【図3】図2のD−D矢視断面図である。 【図4】図3の片側に小梁がない場合の断面図である。 【図5】図2のE−E矢視断面図である。 【図6】図1に示す大梁と小梁の接合部分に下向き荷重
が作用した際の応力の伝達の仕方を示す図5相当の断面
図である。 【図7】図1に示す大梁と小梁の接合部分に上向き荷重
が作用した際の応力の伝達の仕方を示す図5相当の断面
図である。 【符号の説明】 6 大梁(コンクリート充填梁) 61 H形鋼 61a 上フランジ 61b 下フランジ 61c ウェブ 62 コンクリート 7 鞍形の接続金物 74 凹部 8 小梁(コンクリート充填梁) 81a 上フランジ 81b 下フランジ 81c ウェブ 82 コンクリート 101 コンクリート(充填材)
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フロントページの続き
(72)発明者 田中 秀光
東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建
設株式会社内
(72)発明者 大山 俊雄
東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建
設株式会社内
(72)発明者 菊地 孝真
東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建
設株式会社内
(72)発明者 山本 力
東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建
設株式会社内
(72)発明者 高木 史人
東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建
設株式会社内
(56)参考文献 特開 平1−290857(JP,A)
特開 平5−287844(JP,A)
特開 昭63−75231(JP,A)
特開 昭57−40041(JP,A)
特開 平5−311747(JP,A)
実開 平3−84301(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
E04B 1/58 506
E04B 1/30
E04C 3/293
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 上下フランジとウェブからなるH形鋼の
上下フランジ間の両側面の凹所にコンクリートを充填し
たコンクリート充填梁からなる大梁の側部に、同じく上
下フランジとウェブからなるH形鋼の上下フランジ間の
両側面の凹所にコンクリートを充填したコンクリート充
填梁からなる小梁の端部を接合するための接合構造であ
って、両端に小梁受用の凹部を有した鞍形の接続金物を
大梁に跨がり状態で載せ、その接合金物の凹部に、端部
にはコンクリートが充填されていない小梁の端部を落と
し込んでその凹部内にコンクリートを充填したことを特
徴とするコンクリート充填梁の接合構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34424695A JP3511153B2 (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | コンクリート充填梁の接合構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34424695A JP3511153B2 (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | コンクリート充填梁の接合構造 |
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