JP3510241B2 - 病原性カンジダ酵母の検出に用いる核酸プローブおよび方法 - Google Patents

病原性カンジダ酵母の検出に用いる核酸プローブおよび方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はカンジダ属(Candida)に属する酵母の検出
に関する。より詳細には本発明はカンジダ酵母の特異的
検出に用いる核酸プローブおよび組成物ならびにそれら
の使用法に関する。
(従来の技術および発明が解決すべき課題) カンジダ属の菌種は酵母であり、1文献によれば(オ
ッズ(Odds),F.C.,Candida and Candidosis,第2版、
W.D.サンダース、ロンドン、1988)これは主に単細胞形
の発生を示す菌類である。。同文献によれば″カンジダ
属全体として150種以上からなり、それらの主な一般的
特徴は性的形態がないことである″。それは″欠乏型
(default)″属であり、従って病原性の、医学的に重
要な種は極めて異種の分類群の小集合をなす。下記のリ
ストから明らかなように、同一種を表すのにこの群の分
類群は数種の異なる名称を用いる。
10種のカンジダ酵母はすべてのヒト真菌感染症の著し
い部分の原因になると一般に認められている: カンジダ・アルビカンス(C.albicans)(カンジダ・
ステラトイダ(C.stellatoidea)を含む) カンジダ・トロピカリス(C.tropicalis)(カンジダ
・パラトロピカリス(C.paratropicalis)を含む) トロルプシス(Torulopsis)(カンジダ)グラブラタ
(glabrata) カンジダ・パラプシロシス(C.parapsilosis) カンジダ・ルシタニア(C.lusitaniae) カンジダ・クルセイ(C.krusei) カンジダ・ギリエルモンディ(C.guilliermondii) カンジダ・ケフィル(C.kefyr)(シュードトロピカ
リス(pseudotropicalis) カンジダ・ヴィスワナスィ(C.viswanathii) ヤロウィア(Yarrowia)(カンジダ)リポリティカ
(lipolytica) カンジダ・アルビカンスは数量的な支配性および病原
性の双方において極めて重要な病原性真菌である。カン
ジダ・アルビカンスに次いで最も重要な病原性種はカン
ジダ・トロピカリス、カンジダ・パラプシロシスおよび
トロルプシス・グラブラタである。
実質的にあらゆる組織のカンジダ感染症(″カンジダ
症(candidosis、candidiasis)″または″カンジダ真
菌症″とも呼ばれる)が報告されている。粘膜表面の表
在性感染症、すなわち口腔カンジダ症が最も一般的な型
である。しかし最も重篤であり生命を脅かすものは全身
性および深部組織の感染症である。
カンジダ属は日和見感染症の病原体であると考えられ
る。これらの生物は自然界に広く分布する。エイズ/HIV
感染個体および癌患者を含む免疫低下した集団は、特に
カンジダ感染症に感染しやすい。カンジダ感染症が全身
的に起こった場合、致死率が高い。従って真菌性敗血症
(真菌血症、fungemia)の早期検出および抗真菌性化学
療法薬、たとえばアンフォテリシンBの速やかな投与が
極めて重要である。
現在受け入れられているカンジダ酵母診断法は、培養
ののち生化学的に解明して個々の種を同定することによ
る。たとえばコロニーをデュポン・アイソレーターによ
り血液試料から増殖させる。精製したコロニーをたとえ
ばアナリタブ・プロダクツAPI 20C酵母同定システムに
より同定する。この操作全体に一般に約7日を必要とす
る。
本発明の一観点はカンジダ酵母病原体に付随する独特
の核酸に対し相補的な核酸プローブを提供することであ
る。
本発明の他の観点は臨床試料中のカンジダ酵母の存在
を評価するための、核酸プローブを用いた迅速診断アッ
セイ法を提供することである。
本発明のさらに他の観点は、普通のアッセイ条件下で
プローブに到達しうる状態になしうるターゲツト領域に
ハイブリダイズしうるプローブを提供することである。
コーン(Kohne)ら(Biophysical Journal 8:1104−1
118,1968)はrRNA配列に対するプローブの製法について
論じているが、彼らはカンジダ酵母プローブまたは菌類
を検出するための他のプローブの調製に必要な教示を与
えていない。
ペース(Pace)およびキヤンベル(Campbell)(Jour
nal of Bacteriology 107:543−547,1971)は多様な細
菌種からのリボソームリボ核酸の相同性、およびこれら
の相同性水準を定量するためのハイブリダイゼーション
法について述べている。同様にソージン(Sogin)、ソ
ージンおよびベーゼ(Woese)は、Journal of Molecula
r Evolution 1:173−184,1972において、種々のリボソ
ームRNA分子の一次構造解明を系統発生関係の評価に用
いることの理論的および実際的観点につき論じている。
フォックス(Fox)、ペヒマン(Pechman)およびベーゼ
は、International Journal of Systematic Bacteriolo
gy 27:44−57,1977において、原核細胞系統学の研究法
としての16SリボソームRNA比較対照について述べてい
る。しかしこれらの文献は菌類に関するコーン法の欠陥
を解決し得ず、特にカンジダ性真菌血症またはその病原
体カンジダ属の検出に有用な特異的プローブを提供しな
い。
リボソームは、生体の主要な構造および触媒要素であ
る細胞蛋白質に遺伝情報を翻訳する既知の唯一の媒体と
して作用するので、すべての生物にとって極めて重要で
ある。これが重要であることの明瞭な証拠はすべての細
胞がリボソームをもつという所見である。
細菌のリボソームは3種の異なるRNA分子を含み、こ
れらは少なくとも大腸菌(Escherichia coli)におい
ては5S、16Sおよび23S rRNAと呼ばれる。真核生物にお
いては4種の異なるrRNAがあり、一般に5S、18S、28Sお
よび5.8Sと呼ばれる。これらの名称は歴史的にそれらの
沈降速度により測定したRNA分子の大きさに関連する。
しかし実際にはリボソームRNA分子の大きさは生物間で
実質的に異なる。それにもかかわらず5S、18S、28Sおよ
び5.8S rRNAがいずれの真核生物においても相同RNA分
子に対する総称として用いられており、この取り決めを
ここでも続行する。
ここで用いるプローブは、合成により、または生物に
より形成された核酸(DNAまたはRNA)であって、それら
を特定のあらかじめ定められたストリンジェンシーにお
いて特異的に(即ち優先的に;次の節を参照されたい)
ターゲット核酸配列にハイブリダイズさせる特異的なヌ
クレオチド配列を設計または選択により含むものであ
る。プローブはそれらのハイブリダイゼーション性のほ
か、特定のアッセイ条件下での適切なまたは最適な機能
に関与する特定の成分をも含みうる。たとえば、ヌクレ
アーゼ分解に対するプローブの抵抗性を改良するために
(たとえば末端キャッピングにより)、検出リガンド
(たとえばフルオレセイン、32−P、ビオチンなど)を
保有するために、または固体支持体へのそれらの捕獲を
促進するために(たとえばポリデオキシアデノシン”テ
イル”)、プローブを改質することができる。これらの
改質は、ターゲット生物と非ターゲット生物をハイブリ
ダイゼーションアッセイにおいて有効に区別しうるとい
う基本的なプローブの機能を補足するものである。
ハイブリダイゼーションとはあらかじめ定められた反
応条件下で2本の部分的または完全に相補的な核酸鎖
が、核酸塩基は互いに対合するということに関連する明
瞭な規則に従って逆平行に(一方は5′から3′へ、他
方は3′から5′へ配向)合わさって特異的かつ安定な
水素結合により2本鎖核酸を形成する過程であると伝統
的に理解されている。プローブの高特異性は、それらの
個々の確率の積により示されるように、独自の配列がラ
ンダムに生じる統計的確率が低いことによる。これらの
概念は当業者に十分理解されている。
特定の1組のハイブリダイゼーション条件のストリン
ジェンシーはプローブ/ターゲット−デュプレックスの
塩基組成により、ならびに2個の核酸の間の対合誤りの
程度および幾何学的状態により定められる。
ストリンジェンシーはハイブリダイゼーション溶液中
に存在する物質種の濃度および種類、存在する変性剤の
種類および濃度、ならびにハイブリダイゼーションの温
度などの反応パラメーターによっても支配される。安定
なハイブリッドを形成したい場合、一般にハイブリダイ
ゼーション条件がストリンジェントになるほど、より長
いプローブが好ましい。結論としてハイブリダイゼーシ
ョンを行う条件(たとえば実施されるアッセイの種類に
基づく)のストリンジェンシーは使用すべき好ましいプ
ローブのある種の特性を支配するであろう。これらの関
係は当業者によって十分に理解され、容易に操作され
る。
一般にプローブの長さに応じてストリンジェント条件
が約0.9Mの塩溶液中で約35−65℃を意味することは、当
業者に理解される。
(課題を解決するための手段) 本発明の種々の原理および観点によれば、特定の条件
下で病原性カンジダ酵母のリボソームRNA分子(rRNA)
またはrRNA遺伝子(rDNA)にハイブリダイズするが、同
一の条件下で被験試料中に存在する可能性のあるヒト、
植物、他の菌類または細菌のrRNAまたはrDNAにはハイブ
リダイズしないデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核
酸(RNA)配列からなる核酸プローブおよび1組のプロ
ーブが提供される。本発明のプローブはカンジダ性真菌
血症またはその病原体を特異的に検出するための価値あ
る核酸ハイブリダイゼーションアッセイの開発および提
供を可能にした。このアッセイは患者または被験動物か
らの血液、尿、髄液、皮膚バイオプシー、唾液、滑液、
痰、気管支洗液(bronical wash、bronical lavage)ま
たは他の組織もしくは液体試料などの臨床試料を試験す
るために有利に用いられる。
核酸ハイブリダイゼーションに基づくアッセイは、被
験試料中の細菌の検出のために現在行われている大部分
の微生物学的または免疫学的方法に関して性能向上の可
能性をもたらすことが見出された。これには下記のもの
が含まれる: a)感度の増大:特定の試料中の上記酵母をより高頻度
で検出しうる; b)安価な試薬の使用および労働の削減によりアッセイ
費用を著しく削減しうる可能性; c)生物学的に異例なターゲット菌株、または著しく異
なる抗原性をもつ分離体ですら正確に同定しうる; d)酵母の存在を直接にアッセイし、これにより病原体
を定量しうる; e)直接試験によって抗真菌療法の効果を監視すること
ができる;ならびに f)実験技術者が感染物質を含む体液検体に暴露される
可能性が著しく減少する。
本発明のプローブをrRNAに対して用いることにより得
られる他の利点には、検出されるrRNAが細胞質の重要な
成分であるという事実が含まれることが見出された。細
胞のリボソーム含量の推定値は異なるが、活発に増殖し
ているカンジダ酵母は細胞当たり100,000以上のリボソ
ーム、従って100,000コピー以上の各rRNA(リボソーム
中に1:1:1:1:の化学量論的量で存在する)を含むであろ
う。これに対し可能性のある他の細胞内ターゲット分
子、たとえば遺伝子またはそのRNA転写体は存在量がよ
り少ないのでこれほど理想的ではない。さらに予想外の
利点は、rRNA(およびそれらを表す遺伝子)が同時に存
在する生物間で横方向に伝達されないと考えられること
である。従ってrRNA一次構造は、たとえば同時に存在す
る生物間で横方向に伝達される可能性のあるプラスミド
性遺伝子またはその産生物の場合のような遺伝子特異性
ターゲットではなく、生物特異性分子ターゲットを提供
する。
カンジダ性真菌血症の病原体の検出に関して本発明の
著しい包括性および排他性を備えたプローブが得られる
という知見は予想外かつ意外であった。
ここに記載した文献はすべて参考として全体を引用す
る。
後記の第1および2表は臨床上代表的なカンジダ菌種
および他の菌種、ヒト、コムギ、糞便RNAならびに2種
の広在性細菌種のパネルに対するプローブのハイブリダ
イゼーション挙動を示す。パネル中の各種はすべて100n
gの精製された変性RNAを表す。プローブは32−P標識さ
れ、標準的条件下でパネルにハイブリダイズされ、オー
トラジオグラフィー評価された。″+″は3時間の暴露
後に強いハイブリダイゼーション信号を示し、″+−″
は弱い信号を示し、″+−−″は信号を実質的に示さ
ず、″−″はターゲットに対するプローブのハイブリダ
イゼーションがないことを示す。
プローブ開発方法 下記のカンジダ種の基準菌株からの18S rRNA配列を
当業者に既知の実験室標準法により調べた: カンジダ・アルビカンス(ATCC 18804) カンジダ・トロピカリス(ATCC 750) トルロプシス(カンジダ)グラブラタ(ATCC 2001) カンジダ・パラプシロシス(ATCC 22019) カンジダ・ルシタニア(ATCC 42720) カンジダ・クルセイ(ATCC 6258) カンジダ・ギリエルモンディ(ATCC 6260) カンジダ・ケフィル(シュードトロピカリス)(ATCC
4135) カンジダ・ヴィスワナスィ(ATCC 22981) ヤロウィア(カンジダ)リポリティカ(ATCC 18942) かっこ内の数字はアメリカン・タイプ・カルチャー・コ
レクション(マリーランド州ロックフィル)により示さ
れる菌株番号を表す。次いで他の真菌18S rRNAと比較
することにより18S rRNA内の価値あるターゲット配列
の探索がかなり狭められることが見出された。重要なタ
ーゲット配列は他の既知の、新たに決定された非カンジ
ダーリボソーム配列と比べて一群の対合誤りを含むもの
であることが分かった。プローブはプローブと非カンジ
ダrRNA間の対合誤りの分布が最適なものになるように設
計された。他の重要な真菌血症原因菌からの18S rRNA
配列の評価もさらに最終的なプローブ設計に寄与した。
プローブの物理的記載 上記のプローブ選択法により試料中のカンジダ酵母を
アッセイおよび同定するのに有用な16プローブが得ら
れ、これらには下記の好ましいオリゴヌクレオチドプロ
ーブが含まれる: 上記のものと共に有用な他のオリゴヌクレオチドには下
記のものが含まれる: プローブ/プライマー936はカンジダ酵母18S rRNAに相
補的な18S rRNA遺伝子鎖にハイブリダイズすべく設計
されている。オリゴヌクレオチド935および936はカンジ
ダ酵母および関連菌のほとんどすべての18S rRNA遺伝
子(rDNA)をポリメラーゼ連鎖反応法により増幅するア
ッセイ用として設計されている。これらのプローブに関
する考察はさらに同一出願人による出願中の米国特許出
願明細書(ワイスバーグら、名称″菌類を検出するため
の核酸プローブおよび方法″)および例4を参照しなが
らなされるであろう。
ハイブリダイゼーションの際のプローブの挙動 例1の方法を実施するために用いた場合、好ましいプ
ローブの特異性は下記により示される: 種特異性プローブ プローブ1349:カンジダ・アルビカンスに対し100%包括
的および特異的 プローブ1350:トルロプシス・グラブラタに対し100%包
括的および特異的 プローブ1353:カンジダ・ケフィルに対し100%包括的お
よび特異的。試験した若干のトルロプシス・グラブラタ
と交叉反応性 プローブ1351:カンジダ・クルセイに対し100%包括的お
よび特異的 プローブ1355:カンジダ・ルシタニアに対し100%包括的
および特異的(ごく弱いハイブリダイザー) プローブ1421:カンジダ・ギリエルモンディに対し100%
包括的および特異的 プローブ1453:ヤロウィア・リポリティカに対し100%包
括的および特異的 グループ特異性プローブ プローブ1346:カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ト
ロピカリス、およびカンジダ・ヴィスワナスィよりなる
群に対し100%包括的。カンジダ・ルシタニアと弱い交
叉反応性 プローブ1354:カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ト
ロピカリス、カンジダ・ヴィスワナスィ、およびカンジ
ダ・パラプシロシスに対し100%包括的 プローブ1358:カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ト
ロピカリス、カンジダ・ヴィスワナスィ、およびカンジ
ダ・パラプシロシスに対し100%包括的 プローブ1529:カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ト
ロピカリス、カンジダ・ヴィスワナスィ、およびカンジ
ダ・パラプシロシスに対し100%包括的 プローブ1536:カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ト
ロピカリス、カンジダ・ヴィスワナスィ、およびカンジ
ダ・パラプシロシスに対し100%包括的 プローブ1534:カンジダ・トロピカリス、カンジダ・ヴ
ィスワナスィ、およびカンジダ・パラプシロシスに対し
100%包括的 プローブ1535:カンジダ・トロピカリス、カンジダ・ヴ
ィスワナスィ、およびカンジダ・パラプシロシスに対し
100%包括的 汎属性プローブ プローブ1530:大部分のプローブにハイブリダイズする プローブ1537:大部分のプローブにハイブリダイズする 例 1:ハイブリダイゼーション挙動のドット・ブロット
分析 ドット・ブロット分析は周知の方法により核酸または
核酸集団をフィルター、たとえばニトロセルロース、ナ
イロン、またはこの目的のために特に誘導された、市場
で容易に入手される他のメンブレン上に固定化すること
を伴う。RNAまたはDNAはいずれもこれらのフィルター上
に容易に固定化され、次いで各種条件(たとえばストリ
ンジェンシー)のいずれかにおける目的の核酸配列また
はプローブとのハイブリダイゼーションにつき証明また
は試験することができる。ストリンジェンシー条件下で
は、そのヌクレオチド配列がターゲットに対してより高
い相補性をもつプローブほど、相補性の低いプローブよ
り高い水準のハイブリダイゼーションを示すであろう。
本発明のプローブをドット・ブロット法により試験し
た。フェノール抽出およびセシウムトリフルオロアセテ
ート濃度勾配中での遠心により精製したターゲットRNA1
00ngを変性し、ナイロンメンブレン上にスポットした。
プローブは、オリゴヌクレオチドの5′末端に32−P部
分を付加することにより同位体標識された。プローブの
ハイブリダイゼーションは60℃の温度で、1.08M塩化ナ
トリウム、60mMリン酸ナトリウムおよび6mMエチレンジ
アミン四酢酸の存在下にpH7.4において行われた。ハイ
ブリダイゼーション条件の1/3の塩濃度で洗浄すること
により、ハイブリダイズしていないプローブを除去し
た。フィルターをX線フィルムに対し露光し、3時間の
露光後にハイブリダイゼーション信号の強度を評価し
た。第1および2表にこれらのプローブの挙動をまと
め、以上にまとめた特異性を証明する。
例 2:二重プローブハイブリダイゼーション 実際には、これらの用途の多くは図面に示すように″
キャプチャー(capture)″プローブと″ディテクター
(detector)″プローブの″サンドイッチ″ハイブリダ
イゼーションにおいて1対のプローブを同時に使用す
る。キャプチャープローブ12は理想的には、高いターゲ
ット特異性をもつプローブにホモポリマー型3′テイル
を付加することにより製造された二官能性ポリヌクレオ
チドである。このテイルは固体支持体10、たとえばガラ
スビーズまたはフィルターディスク上の相補的ホモポリ
マー11にハイブリダイズする。ターゲット15(この場合
カンジダ酵母18S rRNA)にキャプチャープローブ12が
ハイブリダイズすると、ターゲット15は固体支持体10と
複合体を形成する。有利には同様にある程度の特異性を
もつディテクタープローブ13は、放射能、蛍光、化学ル
ミネセンス、色などによる好ましい検出方式の一部をな
し(検出部分14)、これによりハイブリダイゼーション
複合体全体の存在が表示される。
カンジダ感染症の一次病原体であるカンジダの特異的
検出にはたとえばプローブ1349および1529の組み合わせ
が、一方をディテクタープローブとし、他方をキャプチ
ャープローブとして誘導して用いられる。
例 3:ヒトの血液、痰または脳脊髄液試料からのカンジ
ダ感染症の臨床診断−−主な病原菌種のスクリーニング カンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリス、
カンジダ・パラプシロシス、およびトルロプシス(カン
ジダ)グラブラタは合わせて全カンジダ感染症の95%以
上を占める。この例においてはプローブ1350+プローブ
1358(またはプローブ1529もしくは1536)をキャプチャ
ープローブとして、すなわちそれらをポリAテイルによ
り誘導体化して用いる。プローブ1530またはプローブ15
37はディテクターオリゴヌクレオチドとして機能すべく
タグ処理(tag)される。
臨床試料は好ましくは、超音波処理、ガラスビーズを
用いたボルテックス処理(vortexing)、SDSなどを用い
た界面活性剤細胞溶解、または薬品処理により全核酸含
量を得るべく処理される。あるいは酵母細胞をたとえば
デュポン・アイソレーターシステムにより部分精製した
のち細胞溶解することもできる。破壊されたカンジダ細
胞を含む試料を次いでキャプチャープローブ、ディテク
タープローブ、および理想的には磁性粒子ビーズ−−チ
ャオトロピック(chaotropic)緩衝液、たとえばグアニ
ジウムイソチオシアネート中でオリゴーチミジン(例2
を参照されたい)により誘導体化されたもの−−の存在
下でインキュベートする。
ターゲット分子(上記4種のカンジダ酵母18S rRN
A)が存在する場合、ビーズ+キャプチャープローブ+
ターゲット+ディテクタープローブのハイブリダイゼー
ション複合体が形成される。反応チューブの底付近の外
側に磁石が存在すると、磁性粒子−ハイブリダイゼーシ
ョン複合体がチューブの内側に付着し、これにより未反
応成分、たとえば試料マトリックス、非結合プローブな
どを有利に除去することができる。ビーズ−プローブ−
ターゲット複合体を反復して再水和および変性すること
によりバックグラウンドを有意に低下させることができ
る(より詳細にはコリンズら、米国特許出願第922,155
号、欧州特許出願第87309308.2号明細書に記載され
る)。この例では最終検出はビーズをメンブレン上にス
ポットし、オートラジオグラフィーでアッセすることに
より行われる。
例 4:菌類rRNAのポリメラーゼ連鎖反応増幅法を用い
る、ヒト試料からのカンジダ感染症の臨床診断 試料処理法を、DNAを得るために企画する。プローブ
/プライマー936およびプローブ/プライマー935を臨床
試料と共にポリメラーゼ連鎖反応に用いる。得られた材
料を次いで″サッドイッチ″ハイブリダイゼーション法
(例2)により、そこに記載したいずれかのプライマー
を用いて適宜アッセイする。ポリメラーゼ連鎖反応自体
はたとえばプローブ/プライマー936をプローブ/1346と
共に用いることによって高特異性となる。検出は有利に
はキャプチャー用にプローブ1349およびディテクター用
にプローブ1529を用いて行われる。
例 5:細胞染色としてのインサイチュー(in situ)ハ
イブリダイゼーション 本発明のプローブは細胞染色試薬としても有利に用い
られる。たとえば痰試料を顕微鏡スライドに施す。適宜
な固定および細胞溶解ののち、本発明のプローブとのハ
イブリダイゼーションをインサイチューで行う。この方
法において、プローブ1349を蛍光標識し、スライドを蛍
光顕微鏡下に検査することにより、検体中のカンジダ・
アルビカンスを見ることができる。
例 6:培養によるカンジダ真菌血症の確認 バックテック(Bactec)、ロッシュ・セプティ−チェ
ク(Roche Septi−Chek)またはデュポン・アイソレー
ター(Dupont Isolator)を用いる標準培養工程によ
り、コロニーまたは液体培養物を例2に記載の方法でプ
ローブ1350および1530を用いてたとえばトルロプシス・
グラブラタにつき試験した。極めて有利な点は純粋な培
養物を必要としないことである。
本発明の精神および範囲から逸脱することなくここに
示した方法またはプローブを種に変更しうることは当業
者に明らかであろう。特にたとえば末端ヌクレオチド1
個または2個以上を除去することによりプローブを変更
し、これに伴ってハイブリダイゼーション条件を調整す
ることは均等であるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
図面は二重プローブ型キャプチャー/ディテクターアッ
セイ法を模式的に示すものであり、記号は下記のものを
表す。 10:固体支持体 11:相補的ホモポリマー 12:キャプチャープローブ 13:ディテクタープローブ 14:検出部分 15:ターゲット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デービッド・ジェイ・レーン アメリカ合衆国マサチューセッツ州 01757,ミルフォード,オリオール・ド ライブ 9 (72)発明者 ジェフリー・エフ・レモント アメリカ合衆国マサチューセッツ州 02165,ウエスト・ニュートン,フェア ウェイ・ドライブ 165 (56)参考文献 欧州特許出願公開335633(EP,A 1) J.Protozool.,Vol. 36(1),p.145−165(1989) Can.J.Microbiol., VOl.29,p.546−551(1983) J.Clin.Chem.Clin. Biochem.,VOl.25(9), p.573(1987) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 C12Q 1/68 G01N 33/53 C12R 1:72 GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq CA/REGISTRY/BIOSIS/ MEDLINE/WPIDS(STN)

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)以下の のいずれか一つの核酸配列、またはこれらの相補的な配
    列にあらかじめ定められたストリンジェンシー条件下で
    ハイブリダイズする核酸断片であって、上記条件下で単
    一の病原性カンジダ酵母種のrRNAまたはrDNAにハイブリ
    ダイズするが、細菌、ヒト又は当該病原性カンジダ酵母
    種以外の酵母のrRNAまたはrDNAにはハイブリダイズしな
    い核酸断片、並びに (b)所望により、検出部分、固体支持体への核酸プロ
    ーブの結合を可能にするためのヌクレオチドテイル、あ
    るいはヌクレアーゼ分解に対する核酸プローブの耐性を
    高めるための部分、からなる成分 からなる核酸プローブ。
  2. 【請求項2】核酸断片がプローブ1349と同一または相補
    的である、請求項1に記載の核酸プローブ。
  3. 【請求項3】核酸断片がプローブ1350と同一または相補
    的である、請求項1に記載の核酸プローブ。
  4. 【請求項4】核酸断片がプローブ1351と同一または相補
    的である、請求項1に記載の核酸プローブ。
  5. 【請求項5】核酸断片がプローブ1355と同一または相補
    的である、請求項1に記載の核酸プローブ。
  6. 【請求項6】核酸断片がプローブ1421と同一または相補
    的である、請求項1に記載の核酸プローブ。
  7. 【請求項7】核酸断片がプローブ1453と同一または相補
    的である、請求項1に記載の核酸プローブ。
  8. 【請求項8】少なくとも第1の核酸及び第2の核酸を含
    むプローブのセットであって、ここにおいて、前記第1
    の核酸は請求項1の核酸プローブであり、そして前記第
    2の核酸は第1の核酸とは異なっており、 のいずれか1つと同一又は相補的である、前記プローブ
    のセット。
  9. 【請求項9】請求項1の核酸プローブの核酸断片が、プ
    ローブ1349、プローブ1350、プローブ1351、プローブ13
    55、プローブ1421、又はプローブ1453と同一であるか、
    又は相補的である、請求項8に記載のプローブのセッ
    ト。
  10. 【請求項10】少なくとも第1の核酸及び第2の核酸を
    含むプローブのセットであって、ここにおいて、これら
    の核酸はそれぞれ請求項1の核酸プローブであるが、第
    2の核酸は第1の核酸と異なるものである、前記プロー
    ブのセット。
  11. 【請求項11】請求項1の核酸プローブの核酸断片が、
    プローブ1349、プローブ1350、プローブ1351、プローブ
    1355、プローブ1421、又はプローブ1453と同一である
    か、又は相補的である、請求項10に記載のプローブのセ
    ット。
  12. 【請求項12】試料中の単一の病原性カンジダ酵母種を
    検出する方法であって、 (a)前記試料を少なくとも1種の請求項1の核酸プロ
    ーブと、前記単一の病原性カンジダ酵母種のrRNAまたは
    rDNAが前記試料中に存在する場合にはそれらに前記核酸
    断片がハイブリダイズするような条件下で接触させて、
    これによって核酸複合体を形成させ;そして (b)当該核酸複合体を前記単一の病原性カンジダ酵母
    種の存在の指標として検出する ことを含む前記方法。
  13. 【請求項13】試料中の単一の病原性カンジダ酵母種を
    検出する方法であって、 (a)当該試料を以下の を含む核酸断片と、カンジダ酵母のrRNA又はrDNAが前記
    試料中に存在する場合にはそれらに前記第一の核酸断片
    がハイブリダイズするような条件下で接触させて、これ
    によって核酸複合体を形成させ;そして (b)上記試料をさらに、請求項1の核酸プローブと接
    触させることによって、当該核酸複合体を前記単一の病
    原性カンジダ酵母種の存在の指標として検出する ことを含む前記方法。
  14. 【請求項14】さらに、前記単一の病原性カンジダ酵母
    種の18S rRNAまたは18S rRNA遺伝子配列を複製連鎖反
    応によって増幅する工程を含む、請求項13の方法。
  15. 【請求項15】検出部分が放射活性、蛍光、化学ルミネ
    センス又は色によって検出可能である、請求項1の核酸
    プローブ。
  16. 【請求項16】固体支持体への核酸プローブの結合を可
    能にするためのヌクレオチドテイルがポリデオキシアデ
    ノシンテイルである、請求項1の核酸プローブ。
  17. 【請求項17】ヌクレアーゼ分解に対する核酸プローブ
    の耐性を高めるための部分が、末端キャッピングであ
    る、請求項1の核酸プローブ。
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