JP3509865B2 - 冷却可能な前縁領域を有するエアフォイル - Google Patents
冷却可能な前縁領域を有するエアフォイルInfo
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Description
アフォイルに関する。特に、フィルム冷却によって冷却
される前縁領域を有するエアフォイルに関する。本発明
は、タービンベーン(turbine vane)とタービンブレー
ド(turbine blade)の両方に適用可能である。
部が含まれる。タービン部にはロータアセンブリが含ま
れ、ロータアセンブリはロータディスクと、ロータディ
スクから径方向外向きに延在する複数のロータブレード
を有する。作動媒体ガスの流路は、ロータアセンブリを
通って軸方向に延在し、ロータアセンブリのロータブレ
ード間を通る。最近のガスタービンエンジンでは、作動
媒体ガスの温度は、タービン入口に於いて1370℃(2500
゜F)近くに達し得る。
ォイル部を有する。エアフォイル部はロータアセンブリ
から径方向外向きに作動媒体ガスの流路へと延在する。
スパン方向に延在する軸の周りに配置された複数のエア
フォイル部によってエアフォイルが形成される。エアフ
ォイルによってロータブレードは高温の作動媒体ガスか
らエネルギーを引き出すことができ、ロータアセンブリ
は回転軸を中心として回転する。従って、各ロータブレ
ードは高温の作動媒体ガス中に浸され、ガスから熱を受
け取る。ロータブレードが加熱されるとエアフォイルに
熱応力が発生し、これが回転軸を中心としたブレードの
回転による機械的な応力と合わさると、エアフォイルの
構造を劣化させ疲労寿命を縮めてしまう。
フォイルの構造が損なわれず疲労寿命が保全されるよう
に冷却可能となっている。冷却空気はロータブレードの
内部の通路を通してエアフォイルへと流れ、エアフォイ
ルから熱を取り除く。冷却空気はエアフォイルの下流端
に於いて開口から放出されるとともに、エアフォイル表
面の予め定められた位置に於いてエアフォイル表面を貫
通するフィルム冷却用孔(film cooling holes)からも
放出される。冷却空気が開口を通って流れるとき、エア
フォイルの壁に対し対流冷却作用が生じる。エアフォイ
ルの表面に於いて、冷却空気孔(通常“フィルム冷却用
孔”と呼ばれる)からも冷却空気が放出される。この冷
却空気はエアフォイルの重要な部分を覆うようにフィル
ム状に広がり、高温の作動媒体ガスがエアフォイル表面
に接触するのを防ぎ、エアフォイルの重要部分への熱の
伝達を低減する。
放出されるようなエアフォイルの一例が、Pazderに付与
された“Coolable Airfoil for a Rotary Machine"とい
うタイトルの米国特許第4,474,532号明細書に開示され
ている。この特許明細書では、エアフォイルは前縁34及
び後縁36、負圧面38、正圧面42を有し、これらの面は前
縁領域及び後縁領域に於いて接合されている。前縁領域
に於いて、冷却空気孔が内側から外側へと延在してお
り、エアフォイルのその領域に於いて冷却空気が放出さ
れるようになっている。
Nested Cooling Channels"というタイトルの米国特許第
4,753,575号明細書に開示されている。この特許明細書
では、エアフォイルの最前方部は、3つまたはそれ以上
の冷却空気孔を有し得る。その様子は、第2図及び第6
図に示されている。第2図は第1図のライン2−2に沿
って取られた断面に対応する図であり(3つの冷却空気
孔)、第6図は第5図のライン6−6に沿って取られた
断面に対応する図である(4つの冷却空気孔)。
れるフィルム冷却用孔は、通常、予測されるガス流の淀
み点に対して配置される。ある動作条件に於けるエアフ
ォイル部に対する淀み点とは、作動媒体ガスがエアフォ
イルに衝当し速度が最小(理論的にはゼロ)となる点で
ある。翼弦方向に関して淀み点の一方の側に於いてエア
フォイルに衝当する作動媒体ガスは、エアフォイルの負
圧サイドに於いてエアフォイルの後縁へと流れる。翼弦
方向に関して淀み点の他方の側に於いてエアフォイルに
衝当する作動媒体ガスは、エアフォイルの正圧サイドに
於いてエアフォイルの後縁へと流れる。一連の淀み点を
スパン方向に結ぶラインは、エアフォイルの空力的前縁
を形成する。理解されるように、空力的な淀み点は、近
づいてくる流れの迎え角の関数である。エンジンの様々
な動作条件によって迎え角は変化し、空力的前縁(aero
dynamic leading edge)の位置を変える。空力的前縁の
位置は、通常物理的淀み点(mechanical stagnation po
int)と呼ばれるエアフォイル部の最前方部とは異な
る。エアフォイルの物理的淀み点を結ぶラインは、エア
フォイルの物理的前縁(通常単に“前縁”と呼ばれる)
を形成する。この前縁の位置は変化しない。近年のエア
フォイルは向かってくる流れ内の圧力及び温度変化に遭
遇するため、またエアフォイルの前縁は半径ラインに対
し幾分かスパン方向に角度を有しているため、空力的前
縁は前縁についてS字形に曲がる傾向がある。
フィルム冷却用孔の列を、最も問題の多い空力的淀み点
(aerodynamic stagnation points)のラインを避ける
ように配列することが開示されている。これらの点を結
ぶこのような空力的前縁は、ガス経路に於ける温度が最
も高くなるようなタービンの動作条件(海面からの離
陸、気温の高い日など)に於いて発生する。従来は、前
縁の孔の列は、典型的には、この空力的前縁の位置に対
し平行に、各列が空力的前縁から翼弦方向に等距離だけ
離れるように配列されていた。これによって、動的な速
度圧(風圧)が静圧に大量に変換される点にフィルム冷
却用孔が位置するのが避けられる。もしこのようなこと
がフィルム冷却用孔の列に対し起こると、高い静圧によ
って冷却空気がフィルム冷却用孔を通って外側に流れる
のが妨げられてしまう。このような技術の一例が、EP−
A−0562944号明細書に開示されている。独立請求項1
の二部品形態はこれに基づいている。前縁領域内に、2
列の冷却空気孔が前縁領域の中心線の各側に配置されて
いる。
問題を処理して適合させるべくステータベーンやロータ
ブレードを再調整することにより、タービンの空力的特
性が変化することがある。そのような場合に、ロータブ
レードのルート部の角度をエンジンの回転軸に関して若
干変えて、エアフォイルの迎え角を流れに対して変える
ことは簡単なことである。これによって、空力的前縁が
翼弦方向にシフトしてフィルム冷却用孔の列と位置が合
い、冷却空気の流れが阻止される可能性がある。そうな
ると、フィルム冷却用孔が空力的前縁から離れるよう
に、冷却に関する設計をやり直す必要が生じる。このよ
うな変更を行うには、設計及び加工に大量の作業が必要
である。この作業は、前縁領域に於いて内部衝当冷却
(internal impingement cooling)を有するエアフォイ
ルに対しては一層複雑となる。内部冷却のために、エア
フォイルを貫通する孔の位置が制限されるからである。
は、エアフォイルの前縁領域に対する新たな冷却技術を
開発するべく努めてきた。この冷却技術では、タービン
の空力的な仕様の変化やエンジンの動作条件の変化によ
って発生する空力的前縁の変化によりよく適応すること
ができる。
る。即ち、(1)エアフォイルの空力的前縁はある動作
条件下では物理的前縁と交差し得るが、物理的前縁と全
く一致することはなく、また、(2)この現象を、
(3)互い違いに配列されスパン方向及び翼弦方向に間
隔を有するスパン方向に延びる少なくとも4列のフィル
ム冷却用孔の列を有し、孔の直径に関しては、直径が0.
38乃至0.55mmの範囲にある、フィルム冷却用孔パターン
と組み合わせた場合、前縁領域が空力的前縁の位置シフ
トの影響をあまり受けないようにするのに用いることが
できる。
ム冷却用孔のアレイは少なくとも4つの互い違いに配列
された列を有しており、これらの列は、エアフォイルの
物理的前縁に対して平行に配列されるとともに、フィル
ム冷却用孔の直径に関し予め定められた態様で互いにス
パン方向及び翼弦方向に離隔されており、空力的前縁の
シフトによって複数の孔の一部しか阻止されず、エアフ
ォイルの効果的な冷却が損なわれないようになってい
る。
mmの範囲から選択された値に等しく、翼弦方向の間隔C
は孔の直径の3倍(3x)乃至5倍(5x)の範囲にあり、
スパン方向の間隔Sは孔の直径の8倍(8x)乃至12倍
(12x)にある。
イドに於いてスパン方向に延在する冷却空気孔の列を有
し、この列は、前縁領域に於いて最も後方に位置する冷
却空気孔の列から距離Cgだけ翼弦方向に離隔して設けら
れる。距離Cgは表面上で測定されたとき距離Cの3倍以
下である。
方の冷却空気孔は前縁領域と負圧面との境界から、距離
Cの3倍に等しい距離Cbだけ前方に距離を置いて設けら
れる。
なくとも4列の冷却孔の列を有し、そのうち3列は物理
的前縁に平行であり、4つめの列は物理的前縁に平行ま
たは物理的前縁と一致していることである。別の特徴
は、スパン方向及び翼弦方向への孔の間隔にある。これ
らの間隔は、フィルム冷却用孔の直径に関連する予め定
められた最大値と最小値の間にある。更に別の特徴がフ
ィルム冷却用孔の直径にある。この直径は0.38乃至0.55
mmの範囲から選択された直径に等しい。ある詳細実施態
様では空力的前縁の位置に主要な特徴がある。即ち、空
力的前縁の位置は、最も苛酷なエンジン動作条件に於い
て、少なくとも2列のフィルム冷却用孔が空力的前縁の
負圧側にあり、少なくとも1列のフィルム冷却用孔が正
圧側にあるような位置となっている。
り前縁領域に於ける熱応力が低下することによってエア
フォイル部の熱疲労寿命が改善されることである。別の
利点は、空力的前縁がフィルム冷却用孔の列と交差する
場合であっても十分な冷却空気が供給されるような隣接
する冷却空気孔の特性によって熱疲労寿命が改善される
ことである。更に別の利点は、フィルム冷却用孔パター
ン内での空力的前縁の位置変化に対しエアフォイルの冷
却効果が影響を受けにくくなることによって、タービン
に対して空力的な変更を加える上での柔軟性が向上する
ことである。
完全に、一部は断面として表したものである。
イルの正立面図であり、冷却空気孔のスパン方向の配置
を示したものである。
から見た拡大図である。
第1図に示したエアフォイルの拡大断面図であり、エア
フォイルの後方部分は除去されている。
正面図を模式的に表した図であり、空力的前縁に対する
冷却空気孔の列の関係を示したものである。
し、孔の直径に対するエアフォイルの前縁領域の正規化
された金属温度を表すグラフである。
回転機器用のロータアセンブリ10の側面図であり、一部
は完全に、一部は断面として表したものである。このロ
ータアセンブリは回転軸Arを有する。ロータアセンブリ
には、リム領域14を有するロータディスク12が含まれ
る。複数のロータブレード(単一のロータブレード16で
代表している)がロータディスクのリム領域から外向き
に延在している。作動媒体ガスの流路17は、ロータブレ
ードを通過して軸方向に延びる。
ーム20、及びルート22を含む。複数のブレード取付けス
ロット(ブレード取付けスロット24で代表している)が
リム領域14に設けられている。各ブレード取付けスロッ
トは隣接するスロットから周方向に間隔を於いて配置さ
れ、対応するロータブレードがロータディスクに取り付
けられるようになっている。
軸方向にロータブレード16に対して設けられており、ロ
ータブレードをロータディスク上に確保するように働
く。これらのサイドプレートをロータディスクに軸方向
に固定する手段(リベット30として示されている)によ
って、フロントサイドプレートは軸方向下流向きにロー
タディスクに押しつけられ、リアサイドプレートは軸方
向上流向きにロータディスクに押しつけられる。
えばディスクの導管または孔32のような冷却空気源から
冷却空気がロータブレードのルートに供給される。ロー
タブレードは、ブレード内部をルート22からエアフォイ
ル18へと延在し冷却空気をロータブレードのエアフォイ
ルへと流すための通路(図示せず)を有する。エアフォ
イルは、第4図に通路34として示されているように、ス
パン方向に延在する通路によって、ルートと連通するよ
うに適合されている。複数のフィルム冷却用孔または冷
却空気孔が、エアフォイル18の表面へと延在するフィル
ム冷却用孔36及び38aによって示されているように、エ
アフォイルの外側へとエアフォイルを貫通している。
と呼ばれる)と物理的後縁44によって画定されている。
物理的前縁はエアフォイルの最前方部を表し、前縁領域
46内に位置する。前縁領域は、典型的には、円形はまた
は楕円形の形状をしている。物理的負圧面48は前縁領域
に接し、前縁領域から後縁領域へと後方に延在する。エ
アフォイルの逆側にある物理的正圧面52も前縁領域に接
し、前縁領域から後縁領域へとその側に於いて延在す
る。
図である。前縁領域46は、フィルム冷却式孔38a、38bに
よって示されているようなフィルム冷却用孔を4列有し
ている。付加的なフィルム冷却用孔36の列が負圧面に設
けられている。これらの孔は通常ギルホール(gill hol
e)と呼ばれる。ブレード取付けスロット24はエンジン
の軸に対して傾きを有している。孔38aの列は組立状態
に於いてエアフォイルの前縁42と一致するようになって
いる。フィルム冷却用孔38のスパン方向アレイはエアフ
ォイルの翼端及びプラットフォーム20からエアフォイル
のスパン方向長さSの約10%だけ離隔している。また、
前縁領域のフィルム冷却用孔38aの列に対し、前縁領域
のフィルム冷却用孔38の他の列の各々は平行になってい
る。
から見た拡大図であり、孔38aの他の孔に対する相対的
な位置を示している。他の冷却空気孔38b、38c、38dか
らなる列も、孔38aの列及び物理的前縁に対して平行に
延在する。各孔の直径は、孔の軸に垂直に測定したと
き、同じ値Dを有する。例えば微小なドリルのような機
械的な穿孔手段によって孔が明けられる場合、これらの
孔は円形となり、直径Dは0.38乃至0.55mmの範囲から選
択される。一実施例では、直径Dは0.38mmに等しい。孔
がレーザによって明けられる場合、これらの孔は内側に
若干テーパ状となる。孔の直径は、孔がエアフォイルの
内側面と交差する点で最小となり、直径Dとなる。
孔の直径Dの8倍(8x)乃至12倍(12x)にあり、一実
施例では孔の直径Dの10倍(10x)である。孔の軸は径
方向に傾いており、第3図に示されているように、孔と
エアフォイル表面の交差は楕円形状となる。隣接する列
は、ある列の各孔が隣接する列の孔の中心線からスパン
方向距離Hの半分だけ離隔するように、スパン方向に互
い違いに配列されている。スパン方向に離隔させること
及び互い違いに配列させることは、孔の製造がより容易
になるようになされる。傾けられていることによって、
孔は軸方向に重なりを有する。作業に許容誤差が与えら
れる場合、孔が交わることがないような間隔が必要であ
る。
図に示したエアフォイルの一部の断面図であり、エアフ
ォイル部の一部を示すものである。各孔の中心線または
軸Asは、表面に接しエアフォイル断面の面内にある直線
に対し、この接線と穿孔されていない孔とが交わる点に
於いて、垂直な角度で表面と交差する。前縁領域46の表
面形状は楕円形または円形である。第3図及び第4図に
示されているように、孔の列と列の間の翼弦方向間隔
は、中心線から中心線までの間隔で測ったとき、孔の直
径の約3倍(3x)乃至約5倍(5x)の範囲にある。この
間隔は、エアフォイルがフィルム冷却用孔のために過度
に弱くなることがないように構造上の理由で選択され
る。示されている実施例では、翼弦方向間隔Cは孔の直
径の3+1/3倍(3.33x)である。この実施例では、この
間隔は、前縁領域の孔に対して翼弦方向に1.27mmであ
り、スパン方向に0.38mmである。孔38dの列は、これら
の孔の中心が前縁領域の物理的正圧面側境界に位置する
ように配置されている。孔38bの列は、前縁領域の境界
から間隔を置いて、前縁領域から孔の直径Dの3倍(3
x)乃至5倍(5x)(3D乃至5D)の距離に配置されてい
る。負圧面に設けられた孔36は、負圧面の孔38bから後
方に前縁領域の孔の隣接する列と列の間隔Cの3倍(3
x)以下の距離だけ離隔して配置されている。
高温作動媒体ガスはロータブレード16のエアフォイルを
通過して流れる。これらのガスによってロータアセンブ
リは回転軸Arの周りを回転し、回転及び熱応力がロータ
ブレードに発生する。高温作動媒体ガスがエアフォイル
の各部の前縁領域に当たるとき、エアフォイル部の表面
に関してガスの淀み点が生じる。淀み点、即ち力学的な
風圧が静圧に最も変換される点は、通常、エアフォイル
の空力的前縁Eと呼ばれる。
沿って移動し、更に負圧面に沿ってエアフォイルの後縁
へと流れる。この面は、通常、エアフォイルの空力的負
圧面または負圧サイドと呼ばれ、エアフォイルの物理的
正圧面の一部を含み得る。空力的前縁の他方の側の流れ
は、エアフォイルの表面に沿って流れ、エアフォイルの
正圧面52に沿って後縁へ向かう。この面は、通常、空力
的正圧面または正圧サイドと呼ばれる。
縁領域内の点Eによって示されている。これは、ロータ
アセンブリの海面離陸(暑い日)の動作条件に対応した
ものである。他の動作条件によって、淀み点は点Eから
翼弦方向に若干シフトされ得るが、そのような動作条件
によって同じレベルの熱応力は生じない。フィルム冷却
用孔を、空力的負圧面には少なくとも2列、空力的正圧
面には少なくとも1列設けることが推奨される。少なく
とも、1列の冷却用孔が空力的負圧面に設けられ、1列
の冷却用孔が空力的正圧面に設けられるべきである。
淀み点を結ぶライン)とフィルム冷却式孔のアレイの関
係を示している。スパン方向に延在する空力的前縁はS
字形のカーブを描いており、前縁領域に於いてスパン方
向に平行に延在する冷却空気孔38a、38b、38c、38dの列
と1または複数箇所で交差する。冷却空気孔の大きさ、
スパン方向及び翼弦方向間隔によって、孔の列と空力的
前縁とが交差して1または複数の孔がブロックされて
も、前縁領域に於いて十分な対流による熱伝達及びフィ
ルム冷却が得られる。空力的前縁はどのフィルム冷却用
孔の列とも平行ではなく、多数のフィルム冷却用孔が塞
がれることはない。従って、エンジンの改造でエアフォ
イルの再設計または再配置がなされることにより空力的
前縁が翼弦方向にシフトしてもよく、エンジンを改造し
て出力を向上したり、予想されなかった空力的問題に対
応したりすることができる。
した冷却空気孔のアレイを有する前縁領域に対し、孔の
直径が金属温度に与える影響を表したグラフである。こ
のアレイでは、冷却空気孔のスパン方向間隔は10Dであ
り、翼弦方向間隔は3.33Dである。また、孔38dは前縁領
域の境界上に配置され、孔38bは前縁領域の境界から3
直径以内に配置されている。第5図に示されているよう
に、明らかに、孔の直径が0.55mmをいったん越えると金
属温度が急激に上昇し始める。許容誤差のため穿孔プロ
セスに於いて孔の大きさにばらつきが生じ得るため、孔
の直径の上限として0.50mmを用いることが推奨される。
孔の直径の僅かな増加によって金属温度が大きく変化す
る結果となり得る。微小ドリルのような従来手段によっ
て、完全な円筒形の孔を形成することができる。レーザ
プロセスを用いて形成される孔は若干テーパ状となり、
そのような孔に対する直径Dは断面積が最小となる点
(通常エアフォイルの壁の内側面となる)に於いて測ら
れる。
却用孔の直径Dは、より大きな直径の孔を使用する他の
構造と比べて、より優れた熱伝達が得られるように選択
される。隣接するフィルム冷却用孔の列によって、対流
による熱伝達とフィルム冷却の両方が、十分に、エアフ
ォイルの空力的淀み点に遭遇し得る箇所に確実に供給さ
れる。例えば、空力的淀み点が、列の一つの冷却空気孔
と交差するとすると、隣接する列によって、隣接する列
及びそれらの冷却空気孔への伝導及び対流を通じて十分
且つ効果的な冷却がなされる。列が互い違いになってい
るこのような構造では、ブロックされた孔の極めて近傍
を隣接する孔によってフィルム冷却することができる。
その結果、たとえ設計変更されて空力的淀み点の位置が
ずれても、ガスタービンエンジンの苛酷な環境に於いて
エアフォイルは十分に機能することができる。
当業者には理解されるように、形態や詳細部に関する様
々な変更が本発明の思想及び範囲を逸脱することなく可
能である。
Claims (11)
- 【請求項1】回転軸Arを有する回転機器用の冷却可能な
エアフォイルであって、当該エアフォイル(18)は、ス
パン方向及び翼弦方向と、前縁領域(46)と、前記前縁
領域(46)内に位置する物理的前縁(42)及び空力的前
縁(E)と、後縁(44)と、前記前縁領域(46)から前
記後縁(44)へと延在する物理的負圧面(48)及び前記
前縁領域(46)から前記後縁(44)へと延在する物理的
正圧面(52)と、当該エアフォイル(18)の内部をスパ
ン方向に延在する冷却空気用通路(34)とを有し、 更に、当該エアフォイルは、前記前縁領域に設けられた
少なくとも4列の冷却空気孔(38a、b、c、d)の列
であって、それらのうち少なくとも3列は前記物理的前
縁(42)と平行にスパン方向に延在しているような冷却
空気孔列を有しており、 前記冷却空気孔(38a、b、c、d)の各々は対称軸As
を有するとともに、該軸に垂直に測定されたとき最小直
径Dを有し、前記孔の軸Asが前記面に於ける列と列の間
の翼弦方向距離及び孔と孔の間のスパン方向距離の測定
に対する基準となっており、 各列の前記冷却空気孔(38a、b、c、d)が前記面に
於いて隣接する孔の軸Asから距離Hだけスパン方向に離
隔するとともに、隣接する列の孔がスパン方向に互い違
いとなるような距離だけ隣接する列の孔からスパン方向
に離隔しており、 前記冷却空気孔(38a、b、c、d)の各列が前記面に
於いて隣接する列から翼弦方向に距離Cだけ離隔してお
り、 所与のロータアセンブリの動作条件に対し空力的前縁
(E)が前記物理的前縁(42)と平行ではなく、 前記空力的前縁(E)によって前記エアフォイルが各々
前記空力的前縁(E)から前記後縁(44)へと後ろ向き
に延在する空力的負圧サイドと空力的正圧サイドとに分
けられ、 各冷却空気孔(38a、b、c、d)の前記最小直径D
は、0.38乃至0.55mmの範囲内にある直径に等しく、 各列に於ける前記冷却空気孔(38a、b、c、d)間の
距離Hは、前記直径Dの8倍(8x)乃至前記直径Dの12
倍(12x)の範囲内にある距離に等しく(8D≦H≦12
D)、 前記冷却空気孔(38a、b、c、d)の列間の距離C
は、前記エアフォイルの前記面上で測定されたとき前記
直径Dの3倍(3x)乃至前記直径Dの5倍(5x)の範囲
内にある距離に等しく(3≦C≦5D)、 翼弦方向に測定したとき、前記冷却空気孔(38a、b、
c、d)の列が前記空力的前縁(E)に対して、前記前
縁領域(46)内に於いて前記物理的前縁(42)に平行な
少なくとも一列の冷却空気孔(38a、b、c、d)の列
が前記空力的負圧サイドにあり、前記物理的前縁(42)
に平行な少なくとも一列の冷却空気孔の列が前記空力的
前縁(E)の前記空力的正圧サイドにあるように配置さ
れていることを特徴とする冷却可能なエアフォイル。 - 【請求項2】前記前縁領域(46)が楕円形状であること
を特徴とする請求項1に記載の冷却可能なエアフォイ
ル。 - 【請求項3】前記前縁領域(46)が円形状であることを
特徴とする請求項1に記載の冷却可能なエアフォイル。 - 【請求項4】各孔(38a、b、c、d)の最小直径D
が、0.50mmに等しいことを特徴とする請求項1に記載の
冷却可能なエアフォイル。 - 【請求項5】各孔(38a、b、c、d)が前記エアフォ
イル(18)の内部に向かって内側にテーパ状となってお
り、各孔の直径が前記冷却空気の通路(34)の近傍で最
小となることを特徴とする請求項4に記載の冷却可能な
エアフォイル。 - 【請求項6】各孔(38a、b、c、d)が円筒形状であ
り、軸Asについて一定の直径を有することを特徴とする
請求項4に記載の冷却可能エアフォイル。 - 【請求項7】前記冷却空気孔(38a、b、c、d)の列
の一つが、前記物理的前縁(42)と一致していることを
特徴とする請求項4に記載の冷却可能なエアフォイル。 - 【請求項8】前記エアフォイル(18)が前記負圧面(4
8)に於いてスパン方向に延在する冷却空気孔(36)の
列を有しており、該列が前記前縁領域(46)に於ける最
も後方の前記冷却空気孔(38b)の列から距離Cgだけ翼
弦方向に間隔を於いて配置され、前記距離Cgが前記面上
で測定されたとき前記距離Cの3倍(3x)以下であるこ
とを特徴とする請求項7に記載の冷却可能なエアフォイ
ル。 - 【請求項9】各列に於ける前記冷却空気孔(38a、b、
c、d)のスパン方向間隔である前記距離Hが前記直径
Dの10倍(10x)に等しく(H=10D)、各列の孔が、隣
接する列の孔からスパン方向にHの半分の距離だけ離隔
していることを特徴とする請求項1に記載の冷却可能な
エアフォイル。 - 【請求項10】前記列間の翼弦方向間隔である距離C
が、前記エアフォイルの前記面上で測定されたとき前記
直径Dの3+1/3倍に等しい(C=3.33D)ことを特徴と
する請求項1に記載の冷却可能なエアフォイル。 - 【請求項11】前記前縁領域(42)の前記最も後方の冷
却空気孔(38b)の列が、前記負圧面(48)と前記前縁
領域(42)の境界から距離Cbだけ前方に離隔されてお
り、前記距離Cbが前記距離Cの3倍(3x)に等しいこと
を特徴とする請求項1に記載の冷却可能なエアフォイ
ル。
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