JP3509819B2 - シアン化水素の製造法 - Google Patents
シアン化水素の製造法Info
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Description
てシアン化水素を製造する方法に関する。シアン化水素
は、主としてメタクリル酸エステルや乳酸、その他各種
有機合成原料として、あるいは冶金、鉱業用に欠かせな
い基礎化学品であり、また最近では医薬品や農薬等の合
成原料用途も増加している。
は、ホルムアミドの熱分解やメタンのアンモ酸化などに
よる方法が行なわれ、またプロピレンをアンモ酸化して
アクリロニトリルを製造する際の副生物としても多量に
製造される。ホルムアミドの熱分解によるシアン化水素
の製造は、ホルムアミド1モルからシアン化水素と水が
各1モル生成する下記の(1)式で表される。また、こ
の際にホルムアミドからアンモニアと一酸化炭素が生成
する(2)式で示される反応が併発する。 HCONH2 → HCN + H2 O (1) HCONH2 → NH3 + CO (2) ホルムアミドから効率よくシアン化水素を製造するため
には、上記(1)式に示す反応を速やかに進行せしめる
とともに、(2)式の反応を出来る限り抑制しなければ
ならず、このため従来より(1)式の反応に対して高い
活性と選択性を有する触媒の開発研究が行われてきた。
例えば、米国特許第2,086,507 号には溶融マンガン酸化
物がホルムアミドからシアン化水素を製造する触媒とし
て有効であることが記載されている。また、米国特許第
2,534,000号には触媒としてマンガン酸化物を使い、し
かも真空下で効率よくホルムアミドを蒸発させることに
よりシアン化水素を選択性良く製造する方法が記載され
ている。
より用いられているこれらの触媒は、活性は高いがシア
ン化水素への選択性はそれほど高くなく、アンモニアが
10%前後副生するという問題がある。アンモニアの副
生は、シアン化水素の収率を低下させるのみならず、液
体状態のシアン化水素の重合を促進する作用があること
から、シアン化水素を単離するに際し、予め反応ガスを
硫酸等で洗浄しアンモニアを除去しなければならない。
硫酸とアンモニアから生成する硫安は、化学工業におい
て副生物として多量に排出されているが、肥料向けには
土壌の酸性化のために最近では歓迎されず、環境保護運
動が高まる中でその処理の問題が回避できない。このよ
うにアンモニアの副生は、シアン化水素製造コストの悪
化と硫安の処理問題を引き起こすことになる。そのため
アンモニア、一酸化炭素の副生を抑制し、シアン化水素
を選択性良く製造できる触媒の開発が望まれている。
如き従来の方法における欠点を解消し、ホルムアミドを
熱分解し高収率でシアン化水素を製造する方法に関し、
鋭意検討を重ねた結果、アルカリ金属を含有するマンガ
ン酸化物の存在下、ホルムアミドを250〜550℃で
接触熱分解することにより目的が達成されることを見出
し、本発明を完成した。即ち本発明の目的は、比較的温
和な条件下、高収率でシアン化水素を製造し得る方法を
提供することにあり、その骨子は、アルカリ金属を含有
するマンガン酸化物の存在下に、ホルムアミドを250
〜550℃で接触熱分解することを特徴とするシアン化
水素の製造方法にある。
する。本発明に用いられる触媒はアルカリ金属を含有す
るマンガン酸化物であり、アルカリ金属のマンガン酸化
物に対するモル比の値は、0.001〜0.2、より好
ましくは0.01〜0.15の範囲である。 アルカリ
金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Frがあ
るが、その中で特にNa、K、Rb、Csが好ましい。
アルカリ金属を含有するマンガン酸化物は、その調製方
法に特に制限はないが通常、アルカリ金属塩とマンガン
塩との混合物を焼成し調製する。アルカリ金属塩および
マンガン塩は、焼成により酸化物に変わり得るものであ
ればよく、特に硝酸塩、炭酸塩、有機カルボン酸塩が用
いられる。焼成温度は、アルカリ金属塩とマンガン塩が
それぞれ熱分解し酸化物に変化する温度以上であれば良
く、一般に300〜1000℃、特に350〜800℃
の温度範囲である。また、本発明に用いられるマンガン
酸化物は、MnOが主体であり、従ってMnOの酸化を
防ぐために、焼成は還元雰囲気下で実施するのが好まし
い。
有するマンガン酸化物は通常固定床触媒として使用され
るが、工業的規模で実施する場合には圧力損失を小さく
するために、必要により触媒を適当な形状と大きさに成
型して用いることも可能である。本発明での反応温度
は、250〜550℃、好ましくは300〜500℃の
範囲である。これより低い温度では反応速度が小さくな
り、またこれより高い温度ではシアン化水素への選択率
が低下する。本発明において、反応圧力は常圧乃至真空
下で実施されるが、ホルムアミドをガス化する際の分解
を抑制したり、反応時のシアン化水素への選択性を向上
させるためにはホルムアミドの分圧が低いほうが好まし
く、従って真空下、特に10〜300mmHgの圧力範
囲が好適である。また、反応にはホルムアミドを不活性
なガスで希釈してホルムアミド分圧を下げることも効果
的である。希釈用のガスとしてはヘリウム、アルゴン、
窒素、二酸化炭素などを上げることができる。さらに、
酸素、或いは酸素を不活性なガスに混合したものを用い
ることにより、微量副生するカーボンやタール状有機物
を燃焼させそれらが触媒表面に付着するのを抑制し、触
媒活性を長期間維持できる効果もある。
含有するマンガン酸化物触媒を使用することによって、
副生するアンモニアを極力抑制し、ホルムアミドから高
収率でシアン化水素を製造することを可能ならしめる方
法を提供するもので、その工業的価値は極めて大きい。
説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を
限定されるものではない。比較例1 1)触媒調製:炭酸マンガン(中央電気工業製 SPグ
レード Mn44.3%)80g(0.645モル)を
電気炉に入れ、水素気流下、450℃で8時間加熱し
た。ここで得られた酸化マンガンを破砕し10〜20メ
ッシュに揃えた。2)反応:上述の方法で得た酸化マン
ガン3.0gを、温度計鞘管が中心部軸方向にある内径
10φ×30cm石英管に充填し、触媒層下部の温度を
400℃に維持するように加熱した。また、触媒層の上
部15cmには3〜2φ×3mm石英ラシヒリングを充
填し、100〜400℃に加熱してホルムアミドの蒸発
部とした。反応管内を100mmHgに保ちながら、ホ
ルムアミドを10g/時間を240ml/時間の割合で
反応管頭頂部から系内に導入した。
冷却し、3方向ボールバルブを介して10%NaOH水
溶液を入れた吸収瓶、10%硫酸を入れた吸収瓶を経て
真空コントロール部に導入した。サンプリングライン
は、3方向ボールバルブで切替え、水150mlの入っ
た吸収瓶、10%NaOH水溶液150mlの入った吸
収瓶を経て真空コントロール部に繋いだ。反応開始後5
時間目で反応ガスを1時間サンプリングした。水、Na
OH水溶液に溶解したシアン化水素は、硝酸銀滴定で定
量した。また、水に溶解したアンモニアはイオンクロマ
トグラフで、未反応ホルムアミドはガスクロマトグラフ
でそれぞれ定量した。その結果、ホルムアミド反応率9
9.5%、シアン化水素収率89.3%、アンモニア収
率10.2%であった。
溶解した炭酸ナトリウム(和光純薬)0.88gを加
え、1時間混練した。その後、110℃で15時間乾燥
し、10%水素−窒素気流中450℃で5時間焼成して
から、破砕して10〜20メッシュに揃えたものを30
g得た。 2)反応:上記触媒を充填した以外は、比較例1と同様
にしてホルムアミド分解反応を実施した。その結果、ホ
ルムアミド反応率98.9%、シアン化水素収率93.
0%、アンモニア収率5.5%であった。
ガン酸化物を触媒として使用した以外は、実施例1と同
様にしてホルムアミド分解反応を行った。その結果を比
較例1、実施例1の結果と合わせて表1に示す。
Claims (3)
- 【請求項1】アルカリ金属を含有するマンガン酸化物の
存在下、ホルムアミドを250〜550℃で接触熱分解
することを特徴とするシアン化水素の製造法。 - 【請求項2】アルカリ金属が、Na、K、Rb、Csで
ある請求項1記載の方法。 - 【請求項3】アルカリ金属のマンガン酸化物に対するモ
ル比の値が0.001〜0.2である特許請求の範囲第
1項記載の方法。
Priority Applications (7)
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JP30522293A JP3509819B2 (ja) | 1993-12-06 | 1993-12-06 | シアン化水素の製造法 |
US08/330,202 US5439661A (en) | 1993-12-06 | 1994-10-27 | Process for producing hydrogen cyanide |
DE69416648T DE69416648T2 (de) | 1993-12-06 | 1994-11-04 | Verfahren zur Herstellung von Cyanwasserstoffsäure |
EP94117415A EP0657384B1 (en) | 1993-12-06 | 1994-11-04 | Process for producing hydrogen cyanide |
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JP30522293A JP3509819B2 (ja) | 1993-12-06 | 1993-12-06 | シアン化水素の製造法 |
Publications (2)
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JPH07157309A JPH07157309A (ja) | 1995-06-20 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP30522293A Expired - Lifetime JP3509819B2 (ja) | 1993-12-06 | 1993-12-06 | シアン化水素の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3509819B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016508481A (ja) * | 2013-03-01 | 2016-03-22 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | ホルムアミドを充填した後方反応器からシアン化水素酸を合成する方法 |
-
1993
- 1993-12-06 JP JP30522293A patent/JP3509819B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH07157309A (ja) | 1995-06-20 |
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