JP3508385B2 - ローディングカム装置の保持器及びその製造方法 - Google Patents

ローディングカム装置の保持器及びその製造方法

Info

Publication number
JP3508385B2
JP3508385B2 JP11313096A JP11313096A JP3508385B2 JP 3508385 B2 JP3508385 B2 JP 3508385B2 JP 11313096 A JP11313096 A JP 11313096A JP 11313096 A JP11313096 A JP 11313096A JP 3508385 B2 JP3508385 B2 JP 3508385B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cam surface
cage
pocket
cam
metal plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11313096A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09280342A (ja
Inventor
潔 大久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP11313096A priority Critical patent/JP3508385B2/ja
Publication of JPH09280342A publication Critical patent/JPH09280342A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3508385B2 publication Critical patent/JP3508385B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gears, Cams (AREA)
  • Friction Gearing (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明に係るローディングカ
ム装置は、例えば自動車用変速機として利用されるトロ
イダル形無段変速機に組み込んだ状態で使用される。本
発明はかかるローディングカム装置を構成する保持器及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車用変速機として、従来図1
0に略示する様なトロイダル形無段変速機を使用するこ
とが研究されている。このトロイダル形無段変速機は、
例えば実開昭62−71465号公報に開示されている
様に、入力軸1の端部に入力側ディスク2を、出力軸3
の端部に出力側ディスク4をそれぞれ支持すると共に、
傾斜角度を調節自在に設けられた変位軸5、5に回転自
在に支持されたパワーローラ6、6を入力側ディスク2
及び出力側ディスク4の間で挟持することで構成されて
いる。
【0003】入力側ディスク2及び出力側ディスク4の
互いに対向する内側面2a及び4aは、それぞれ断面が
円弧形の凹面とし、各パワーローラ6、6の周面6a、
6aと内側面2a、4aとを当接させている。又、入力
軸1と入力側ディスク2との間には、入力側ディスク2
を出力側ディスク4に向けて軸方向に押圧しながら回転
させる押圧装置であるローディングカム装置7を設けて
いる。このローディングカム装置7は入力軸1に係合
し、入力軸1と共に回転する入力円板8の片面(図10
の右側面)に、円周方向に亘る凹凸として形成された第
一のカム面9と、入力側ディスク2の外側面(図10の
左側面)に、円周方向に亘る凹凸として形成された第二
のカム面10と、円輪状の保持器11に転動自在に保持
された状態で第一のカム面9と第二のカム面10との間
に挟持された複数のころ12、12とを備えている。
【0004】ころ12は、例えば特開平1−29935
8号公報に開示されたものを使用する。この公報に記載
されているころ12は、図11に示すように幅が狭く、
一端面中央部に小径の突部13を形成した素子14を図
12に示すように直列に組み合わせること(本例では3
連)で構成される。この様な複数の素子14を組み合わ
せて成るころ12は、保持器11の円周方向の複数箇所
に形成された矩形の各ポケット15の内側に転動自在に
保持した状態で使用されるが、使用状態において各素子
14は互いに独立して回転する。これは、内周側と外周
側との速度差を吸収するためである。
【0005】このように構成されたローディングカム装
置7を組み込んだトロイダル形無段変速機の場合、入力
軸1により入力円板8を回転させると、第一のカム面9
によって複数のころ12が第二のカム面10に押し付け
られる。この結果、入力側ディスク2が出力側ディスク
4に向けて押圧され、両ディスク2、4の各内側面2
a、4aと各パワーローラ6、6の周面6a、6aとが
強く当接する。又、各ころ12と第二のカム面10の凸
部との押圧に基づいて入力側ディスク2が回転し、入力
側ディスク2の回転が各パワーローラ6、6を介して出
力側ディスク4に伝達され、出力側ディスク4を固定し
た出力軸3が入力軸1と逆方向に回転する。尚、第一の
カム面9及び第二のカム面10ところ12との間には、
押付け時の焼き付きを防止するために潤滑油が供給され
るようになっている。
【0006】この様にして入力軸1から出力軸3に回転
運動を伝達する場合、図10に示すように各パワーロー
ラ6、6の周面6a、6aが入力側ディスク2の内側面
2aの外周より部分と、出力側ディスク4の内側面4a
の中心より部分とにそれぞれ当接する様に各変位軸5、
5を傾斜させると、入力軸1と出力軸3との間で増速が
行なわれる。反対に、各パワーローラ6、6の周面6
a、6aが入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部
分と、出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分と
にそれぞれ当接する様に各変位軸5、5を傾斜させる
と、入力軸1と出力軸3との間で減速が行なわれる。そ
して、各変位軸5、5の傾斜角度を中間にすれば、入力
軸1と出力軸3との間で中間の変速比を得ることができ
る。
【0007】ところで、上述の様に構成され作用するト
ロイダル形無段変速機に組み込んで使用されるローディ
ングカム装置7を実用化する場合には、次に述べるよう
な点を改良する必要がある。即ち、ローディングカム装
置7の非作動時、入力円板8から入力側ディスク2への
回転運動伝達が行なわれていない状態では、図13に示
すように第一のカム面9と第二のカム面10とが互いに
近づいた状態となって、保持器11がその厚さ方向(図
13の上下方向)に亘って大きく変位することはない。
このため、この保持器11の各ポケット15、15内に
保持されているころ12、12が、各ポケット15、1
5内で上下方向に大きく変位することはない。一方、ロ
ーディングカム装置7の作動時で、入力円板8から入力
側ディスク2への回転運動伝達が行なわれている状態で
は、図14に示すように第一のカム面9と第二のカム面
10とが互いに離れる傾向となる。この結果、保持器1
1がその厚さ方向に大きく変位することが可能となっ
て、各ポケット15、15内に保持されているころ1
2、12が各ポケット15、15から抜け出る傾向とな
り易い。
【0008】ローディングカム装置7を介して伝達され
るトルクの変動が小さい場合には特に問題となることは
ないが、入力円板8に急激に大きなトルクが加えられた
ような場合には、第一のカム面9と第二のカム面10と
の距離が大きく離れ、ころ12、12がポケット15、
15内から大きく食み出すことが考えられる。この様に
ころ12、12がポケット15、15から大きく食み出
すと、ころ12、12の転がり面12a、12aにそれ
ぞれポケット15、15の縁部15a、15aが当り、
転がり面12a、12aの耐久性を損ねる可能性があ
る。又第一のカム面9及び第二のカム面10のころ1
2、12との間の潤滑に偏りが生じる。更に、ころ1
2、12を構成する素子14、14の端面に突起13、
13が形成されている場合には、これら突部13、13
とポケット15、15の端縁とが噛み合ったりすると、
第一のカム面9と第二のカム面10との距離が縮まろう
とした場合にも、ころ12、12がポケット15、15
内に戻らなくなってしまう不都合がある。
【0009】このような不都合を解消するために実開平
5−75551号公報には、例えば図15に示すような
構造を有するローディングカム装置7′が示されてい
る。この従来構造では、第一のカム面9と第二のカム面
10との間部分に装着した円輪状の保持器11に形成し
たポケット15、15の両端開口部を各ポケット15、
15の内側に向けてかしめて、庇状の突出部16、16
としている。そして、互いに対向して形成された突出部
16、16の端縁同士の距離である各ポケット15、1
5の開口部の幅寸法wを、各ポケット15、15内に保
持したころ12、12の外径寸法Dよりも小さくしてい
る。又、表裏の突出部16、16に挟まれた各ポケット
15の中間部の幅寸法Wを、ころ12、12の外径寸法
Dよりも大きくしている。即ち、次の数1のようにして
いる。
【0010】
【数1】w<D<W 上述のように構成された従来のローディングカム装置
7′では、各ポケット15の開口部の幅寸法wがころ1
2の外径寸法Dよりも小さいため、各ころ12が各ポケ
ット15の内側から抜け出てしまうことはない。従っ
て、このように構成されたローディングカム装置7′を
トロイダル形無段変速機に組み込み、第一のカム面9を
形成した入力円板8と第二のカム面10を形成した入力
側ディスク2との間で回転力の伝達を行なえば、図14
に示すように第一のカム面9と第二のカム面10とが大
きく離れた場合でも、保持器11の位置がこれら両カム
面9及び10のほぼ中間部に規制されたまま、各ころ1
2が保持器11の各ポケット15から大きく抜け出すこ
とはない。
【0011】この結果、ころ12の転がり面12aにポ
ケット15の縁部が当たることがなくなる。又、第一の
カム面9及び第二のカム面10ところ12、12との間
の潤滑の偏りもなくなる。更に各ころ12、12を構成
する素子14、14の端面に形成した突部13、13が
ポケット15の端縁と噛み合うこともなくなり、各ころ
12、12がポケット15、15の内側に戻らなくなる
こともなくなる。
【0012】尚、ここでは図示は省略しているが、前記
実開平5−75551号公報には図15に示す構造のほ
かにも、次の〜の様な構造が示されている。
【0013】各ポケットの表裏両端開口部に押えバネ
を装着して、各ポケットからのころの脱落防止を図った
構造。
【0014】保持器の表裏を、第一のカム面と第二の
カム面との形状にほぼ合致する凹凸形状とし、この保持
器の厚さ寸法を各ポケットの近傍位置で大きくした構
造。 保持器の表裏両面でポケットを円周方向に亘って両側
から挟む位置、或いはポケットを直径方向に亘って両側
から挟む位置に、カム面に干渉しないような突片を形成
することで、ポケットの近傍位置における保持器の厚さ
寸法をころの外径よりも少しだけ小さい程度とし、各ポ
ケットから離れた部分の厚さ寸法を上記近傍位置の厚さ
寸法よりも十分に小さくした構造。
【0015】保持器の表裏面で、隣り合うポケットの
間部分と、第一のカム面及び第二のカム面との間に板バ
ネを設け、この板バネによって保持器を第一のカム面或
いは第二のカム面から離隔させる方向に押圧する構造。
【0016】これら構造〜は、何れも図15に示す
構造と同様に第一のカム面9と第二のカム面10とが大
きく離れた場合でも、保持器11の位置がこれら両カム
面9及び10のほぼ中間部に規制される。このため、こ
ろ12が保持器7のポケット15から大きく抜け出すこ
とがなく、ころ12の転がり面にポケット15の縁部が
当たることがなくなる。又、ころ12とカム面9、10
との間の潤滑の偏りもなくなる。更に、ころ12に突部
を設けても、ころ12がポケット15の内側に戻らなく
なることがなくなる。
【0017】又、特願平7−7377号公報の図1〜図
7に示される様に、保持器11は金属板で造られてお
り、円周方向に隣り合うポケット15同士の間に存在す
る複数の板部のうちの一部の板部には少なくとも金属板
の片面側に突出する第一の突出部が、残りの板部には少
なくとも金属板の他面側に突出部が、それぞれ金属板に
プレス加工を施すことで形成されており、第一の突出部
と第二の突出部とは、それぞれ円周方向に亘ってほぼ均
等に配置されている構造とし、保持器11の加工を簡素
化し、ローディングカム装置の製造コストを安価にして
いる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところが、実開平5−
75551号公報に示されている構造は、ころがポケッ
トから抜け出ることを有効に防止できるが、保持器の加
工が面倒であったり(図15の構造、の場合)、或
いは保持器にバネを装着する作業が必要で、組立作業が
面倒であったり(図15の構造、の場合)してロー
ディングカム装置の製造コストを高くする原因となって
いた。
【0019】又、特願平7−7377号公報に示されて
いる装置は、保持器の加工及び組立作業が簡単で安価に
製造できるが、対向するカム面が作動中に開いたとき
に、保持器がカム面に対してがたつく余地があるため、
保持器がその板厚方向に亘って動き、ころ12がポケッ
ト15から食み出すと、ころ12の転がり面12aにポ
ケット15の縁部15aが当り、転がり面12aの耐久
性を損ねる可能性がある。又、第一のカム面9及び第二
のカム面10ところ12、12との間の潤滑に隔たりが
生じてしまう(図16)。尚、図16において、18は
第一の突出部であり、19は第二の突出部である。
【0020】本発明は上述のような事情よりなされたも
のであり、本発明の目的は、製造コストの低廉化及び動
作の安定を図るようにしたローディングカム装置の保持
器及びその製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、円周方向に亘
る凹凸として形成された第一のカム面と、円周方向に亘
る凹凸として形成され、前記第一のカム面に軸方向に亘
って対向する第二のカム面と、前記第一のカム面及び第
二のカム面の間に装着された円輪状の保持器と、前記保
持器の円周方向複数箇所に形成されたポケットと、前記
各ポケットの内側に転動自在に保持された状態で前記第
一のカム面及び第二のカム面に当接する複数の転動体と
から成るローディングカム装置の保持器に関するもの
で、本発明の上記目的は、前記保持器が金属板で造られ
ており、前記各ポケットの内縁側には前記金属板の片側
に突出する第一の突出部が、前記各ポケットの外縁側に
は前記金属板の他面側に突出する第二の突出部が、それ
ぞれ前記金属板にプレス加工を施すことで形成されてお
り、前記第一の突出部及び第二の突出部はそれぞれ円周
方向に亘って前記第一のカム面及び第二のカム面の空隙
に沿って配置されていることにより達成される。又、前
記金属板を、プレスにより局部的に形成させて突出部を
作り出すようにすることによって、保持器を製造するこ
とができる。
【0022】
【発明の実施の形態】上述の様に構成される本発明のロ
ーディングカム装置をトロイダル形無段変速機に組み込
むことにより、入力側ディスクを軸方向に押圧しなが
ら、入力軸から入力側ディスクに回転運動を伝達する際
の作用自体は、前述した従来のトロイダル形無段変速機
に組み込まれたローディングカム装置の場合と同様に可
能である。しかも、本発明のローディングカム装置の場
合、第一のカム面と第二のカム面とが大きく離れた場合
でも、これら両カム面に対する第一の突出部及び第二の
突出部の存在に基づき、保持器の位置がこれら両カム面
の中央部からずれることなく保持される。このため、転
動体が保持器のポケットから全く抜け出すことはなく、
転動体の転がり面にポケットの縁部が当たることがなく
なる。又、転動体と各カム面との間の潤滑の偏りもなく
なる。更に転動体に突出部を設けても、この転動体がポ
ケットの内側に戻らなくなることがなくなる。
【0023】以下に本発明の実施例を、図面を参照して
説明する。
【0024】図1〜図5は本発明の第一実施例を示して
いる。尚、本発明の特徴は、第一のカム面9と第二のカ
ム面10とが大きく離れた場合にも、転動体であるころ
12が保持器のポケット15から全く抜け出ないように
するための保持器の形状にあり、その他部分の構成及び
作用は前述した従来のローディングカム装置と同様であ
るため、図示並びに説明を省略する。
【0025】本発明のローディングカム装置を構成する
保持器11aは、軟鋼板、アルミニウム合金などの金属
板で造られている。素材となるこの金属板は、保持すべ
き転動体であるころ12の直径Dの1/4〜1/3の厚
さ寸法t(t=D/4〜D/3)を有している。保持器
11aはこのような金属板にプレス加工を施すことによ
り全体を略円輪状に形成されており、円周方向の複数箇
所(図示の例では4箇所)に矩形のポケット15を形成
している。そして、これら各ポケット15の内側にそれ
ぞれ転動体であるころ12を転動自在に保持している。
【0026】各ポケット15の内径側に存在するそれぞ
れが円弧状である複数(図示の例では4箇所)の板部1
7aには、ほぼその全長に亘って金属板の片面側(図1
の表面側、図2の下側)に突出する第一の突出部18が
それぞれ金属板にプレス加工を施すことで形成されてい
る。又、各ポケット15の外側に存在するそれぞれが円
弧状である複数(図示の例では4箇所)の板部17bに
は、ほぼその全長に亘って金属板の他面側(図1の裏面
側、図2の上側)に突出する第二の突出部19がそれぞ
れ金属板にプレス加工を施すことで同様に形成されてい
る。これら第一の突出部18及び第二の突出部19の突
出量t′は、それぞれ金属板の厚さ寸法tと同程度(t
=t′)としている。従って、第一の突出部18の先端
縁から第二の突出部19の先端縁までの距離である保持
器11aの全厚さ寸法Tは、上記突出量t′の2倍と金
属板の厚さ寸法tとの和となる。
【0027】
【数2】T=t+2t′ この様な保持器11aは、次のような第一工程〜第四工
程により形成するが、これら各工程は全てプレス加工に
より行なう。 (1)第一工程(粗抜き工程) 図6及び図7に第一工程のワーク形状を示す。この第一
工程で、雄型と雌型との間で、素材である金属板にプレ
ス加工を施し、円輪形の保持器11bを打ち抜き形成す
る。打ち抜き形成された保持器11bの内径寸法及び外
径寸法は完成後の保持器11aに合わせるが、ポケット
部15の4箇所については内周側及び外周側のそれぞれ
に、突出部18及び19に相当する容積分だけ張り出し
た形状にする。即ち、内周側に第一の張り出し部21
を、外周側に第二の張り出し部22を設ける。尚、図中
の一点鎖線は完成品の輪郭を示している。 (2)第二工程(張り出し成形) 図8は張り出し成形の加工原理を示す図で、図中の左半
分は成形前の状態、右半分は成形後の状態を示す。この
第二工程では、別の雄型(パンチ24)と雌型(ダイ2
5)との間で、上記第一工程で打抜かれた保持器11b
の内周縁4箇所と外周縁4箇所に第一の突出部18及び
第二の突出部19を張り出し成形により形成する。即
ち、上記第一工程で打抜かれた保持器11bをワーク支
持板23及び23′で挟持し、保持器11bの内円にパ
ンチ24を挿入すると共に、外周縁部にダイ25を配設
し、パンチ25をX方向、ダイ25をY方向に押圧する
ことにより、内周縁に第一の突出部18及び外周縁に第
二の突出部19をそれぞれ張り出し成形することができ
る。この時の張り出しは、ポケット15の外周側又は内
周側のどちらか一方はポケット15の縁から離して成形
する方が良い。このことにより、次の第三工程及び第四
工程での雌型が保持器を十分支持することが可能にな
り、精度のよいプレス加工を達成できる。図中右半分の
一点鎖線はポケット15の形状を示している。 (3)第三工程(ポケット粗抜き工程) この第三工程では、別の雄型と雌型との間で、上記第二
工程で張り出し成形された保持器のポケット15部をプ
レスにより打ち抜き形成する。このとき、ポケット15
の内寸は完成後の内寸より小さくする。 (4)第四工程(ポケット仕上げ抜き) この第四工程では、更に別の雄型と雌型との間で、上記
第一工程で打ち抜かれたポケットの円周縁部をシェービ
ング加工して、各ポケット15の内寸を所定値にする。
【0028】上述のような第一工程〜第四工程を経て製
造される保持器11aを具備して構成される本発明のロ
ーディングカム装置の場合、第一のカム面9と第二のカ
ム面10とが大きく離れた場合でも、これら両カム面9
及び10に対向する第一の突出部18及び第二の突出部
19の存在に基づき、保持器11aの位置がこれら両カ
ム面9及び10の中間部から全くずれることがない。即
ち、保持器11aをローディングカム装置に組み込み、
この保持器11aのポケット15に保持されたころ12
を各カム面9及び10の凹部に整合させた状態では、第
一の突出部18の先端縁は第一のカム面9の凹部に、第
二の突出部19の先端縁は第二のカム面10の凹部にそ
れぞれ対向する。従って、保持器11aは厚さ寸法tの
金属板により形成させているにも拘わらず、厚さ寸法が
T(=t+2t′)の金属板により形成させている如く
軸方向(図1の表裏方向、図2、図4、図5の上下方
向)に亘る変位を制限される。
【0029】このため、ころ12が保持器11aのポケ
ット15から抜け出すことはなく、ころ12の転がり面
12aにポケット15の縁部15aが当たることがなく
なる。又、ころ12と第一のカム面9及び第二のカム面
10との間の潤滑の偏りも少なくなる。更に、ころ1
2、12に図11に示す様な突出部13を設けても、こ
の突出部13が縁部15a、15aに噛み合うことがな
くなり、上記ころ12がポケット15の内側に戻らなく
なることもなくなる。特に、本発明のローディングカム
装置の場合には、ポケット15並びに第一の突出部18
及び第二の突出部19を有する保持器11aを、第一工
程〜第四工程からなる簡単なプレス加工のみで形成でき
る。従って、この保持器11a並びに保持器11aを組
み込んだローディングカム装置の製造コストの低廉化を
図ることが可能である。
【0030】次に図9は本発明の第二実施例を示してい
る。本実施例の場合には、金属板製の保持器11cの各
ポケット15の内周縁及び外周縁に、交互に表裏の突出
部18a、18b及び19a、19bを形成している。
【0031】この様な保持器11cをローディングカム
装置に組込み、この保持器11cのポケット15に保持
されたころ12を上記各カム面9及び10の凹部に整合
させた状態では、図5に示すのと同様に、第二の突出部
19a及び19bの先端縁が上記第一のカム面9及び第
二のカム面10の各凹部に、第一の突出部18a及び1
8bの先端縁が第一のカム面9及び第二のカム面10の
各凹部に交互に対向する。従って、前述した第一の実施
例の場合と同様の作用効果を奏する。このようにするこ
とにより、ポケットの数が偶数の場合には保持器の表裏
の区別がなくなり、回転バランスをより一層確保でき
る。
【0032】尚、上述の説明から明らかな通り、保持器
を構成する金属板の厚さ寸法を大きくすれば、本発明の
場合のような第一及び第二の突出部を形成しなくても、
保持器の軸方向に亘る変位を制限し、この保持器のポケ
ットからころが抜け出ることを防止できる。但し、上記
金属板の厚さ寸法を大きくしたのでは、ポケットを打ち
抜き加工するために大きな力を要し、大型のプレス加工
機を必要とするなど設備費が嵩むだけでなく、保持器の
重量並びに材料費が嵩む。保持器の重量増大は、単位ト
ロイダル型無段変速機の重量増大を招くだけでなく、慣
性モーメントの増大による性能低下の原因となるため好
ましくない。本発明のように、比較的薄肉の金属板に第
一及び第二の突出部を形成する構造を採用すれば、この
様な問題を生じない。
【0033】又、本発明は上述した第一及び第二の実施
例に限定されるものではなく、例えば転動体としてのこ
ろ12は突部13が形成されていないものでも良い。
又、転動体がころ12の変わり玉であり、第一のカム面
9及び第二のカム面10に玉の転動する溝が形成されて
いる場合でも全く同様に作用する。
【0034】
【発明の効果】本発明のローディングカム装置は、以上
に述べた通り構成され作用するため、転動体が保持器の
ポケットから抜け出すことに基づく作動不良の発生を確
実に防止して、トロイダル形無段変速機の動作を安定さ
せることができる。又、保持器を軽量で且つ容易に加工
できるので、性能の良いトロイダル形無段変速機を安価
に製造できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す保持器の平面図であ
る。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1に示す保持器の斜視図である。
【図4】本発明の実施例の使用状態を、ローディングカ
ム装置の一部を円周方向に亘って切断した状態で示す断
面図である。
【図5】本発明の実施例の作動時の状態を示す断面図で
ある。
【図6】本発明の実施例に用いられる保持器のブランク
の平面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】本発明の保持器をブランクから作り出すための
加工原理図である。
【図9】本発明の第二の実施例を示す斜視図である。
【図10】トロイダル型無段変速機の基本的構成を最大
増速時の状態で示す側面図である。
【図11】ころを構成する素子を示す正面図である。
【図12】ころを保持器に保持した状態を示す正面図で
ある。
【図13】偏り防止を考慮していない保持器を組み込ん
だローディングカム装置の非作動時の状態を示す図4と
同様の断面図である。
【図14】図13の作動時の状態を示す断面図である。
【図15】偏り防止を考慮した保持器を組み込んだ従来
のローディングカム装置に非作動時の状態を示す図4と
同様の断面図である。
【図16】特願平7−7377号記載の装置における不
具合状態を表す原理図である。
【符号の説明】 1 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力側 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 変位軸 6 パワーローラ 6a 周面 7 ローディングカム装置 8 入力円板 9 第一のカム面 10 第二のカム面 11、11a 保持器 12 ころ 12a 転がり面 13 突部 14 素子 15 ポケット 15a 縁部 16 突出部 17 板部 18、18a 第一の突出部 19、19a 第二の突出部 20 加工基準穴 21 第一の張り出し部 22 第二の張り出し部 23、23′ ワーク支持板 24 パンチ 25 ダイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 13/00 - 15/56 F16H 51/00 - 55/30 F16C 19/00 - 19/56 F16C 33/30 - 33/66

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円周方向に亘る凹凸として形成された第
    一のカム面と、円周方向に亘る凹凸として形成され、前
    記第一のカム面に軸方向に亘って対向する第二のカム面
    と、前記第一のカム面及び第二のカム面の間に装着され
    た円輪状の保持器と、前記保持器の円周方向複数箇所に
    形成されたポケットと、前記各ポケットの内側に転動自
    在に保持された状態で前記第一のカム面及び第二のカム
    面に当接する複数の転動体とから成るローディングカム
    装置において、前記保持器は金属板で造られており、前
    記各ポケットの内縁側には前記金属板の片側に突出する
    第一の突出部が、前記各ポケットの外縁側には前記金属
    板の他面側に突出する第二の突出部が、それぞれ前記金
    属板にプレス加工を施すことで形成されており、前記第
    一の突出部及び第二の突出部はそれぞれ円周方向に亘っ
    て前記第一のカム面及び第二のカム面の空隙に沿って配
    置されていることを特徴とするローディングカム装置の
    保持器。
  2. 【請求項2】 請求項1の金属板を、プレスにより局部
    的に形成させて前記突出部を作り出すようにしたローデ
    ィングカム装置の保持器の製造方法。
JP11313096A 1996-04-10 1996-04-10 ローディングカム装置の保持器及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3508385B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11313096A JP3508385B2 (ja) 1996-04-10 1996-04-10 ローディングカム装置の保持器及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11313096A JP3508385B2 (ja) 1996-04-10 1996-04-10 ローディングカム装置の保持器及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09280342A JPH09280342A (ja) 1997-10-28
JP3508385B2 true JP3508385B2 (ja) 2004-03-22

Family

ID=14604314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11313096A Expired - Fee Related JP3508385B2 (ja) 1996-04-10 1996-04-10 ローディングカム装置の保持器及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3508385B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10309501B2 (en) 2014-05-23 2019-06-04 Nsk Ltd. Friction roller-type transmission

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3775660B2 (ja) * 2002-01-17 2006-05-17 日本精工株式会社 トロイダル型無段変速機のローディングカム装置の保持器
JP6398271B2 (ja) * 2013-10-28 2018-10-03 日本精工株式会社 摩擦ローラ式減速機
US10167932B2 (en) 2014-09-26 2019-01-01 Nsk Ltd. Loading cam device and friction roller-type speed reducer
TWI663347B (zh) * 2018-02-23 2019-06-21 摩特動力工業股份有限公司 無段變速器之雙向坡道式動力傳輸機構
JP7099243B2 (ja) * 2018-10-17 2022-07-12 スズキ株式会社 ダンパ装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0137249Y2 (ja) * 1985-10-24 1989-11-10
JP2604422B2 (ja) * 1988-05-24 1997-04-30 日産自動車 株式会社 トロイダル式無段変速機のローディングガム装置
JP2578448Y2 (ja) * 1992-03-13 1998-08-13 日産自動車株式会社 ローディングカム装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10309501B2 (en) 2014-05-23 2019-06-04 Nsk Ltd. Friction roller-type transmission

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09280342A (ja) 1997-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2578448Y2 (ja) ローディングカム装置
US5947245A (en) Combined stator and ratchet clutch assembly
US6261004B1 (en) Main shaft gear mechanism for automobile speed changers, and tapered roller bearing used therefor
CN101196215B (zh) 用于转动体的支承结构
EP2423524B1 (en) Thrust roller bearing and method of manufacturing thrust race thereof
KR100914902B1 (ko) 단방향 클러치 제조방법
JP3508385B2 (ja) ローディングカム装置の保持器及びその製造方法
EP0923680B1 (en) Ratchet one-way clutch assembly
JP4568962B2 (ja) クラッチのドラム及び内歯部材の成形装置
US5720689A (en) Trunnion arrangement for a toroidal type continuously variable transmission
JP3500923B2 (ja) ローディングカム装置の保持器及びその製造方法
JP4806827B2 (ja) 円錐形ディスク式巻掛け伝動装置および突起付きリング
JP3432453B2 (ja) 油圧クラッチのキャンセラ構造
JPH08200463A (ja) ローディングカム装置
JP2003322138A (ja) コンロッドおよび軸受付きコンロッド
JP3060775B2 (ja) フライホイール
JP3520620B2 (ja) トロイダル型無段変速機の入力軸の外周面にボールスプライン溝を形成する方法
JP3656363B2 (ja) トロイダル型無段変速機のローディングカム装置
JP3395465B2 (ja) トロイダル型無段変速機
US6520888B1 (en) Loading cam apparatus for toroidal type continuously variable transmission
US6705445B2 (en) One-way clutch
JP4110645B2 (ja) トロイダル型無段変速機
WO2022124234A1 (ja) 摩擦ローラ減速機
JPH0454534B2 (ja)
JPH0835550A (ja) トロイダル型無段変速機

Legal Events

Date Code Title Description
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20031215

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090109

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100109

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100109

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110109

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140109

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees