JP3508133B2 - 系統連系用電力変換装置及びその制御方法 - Google Patents

系統連系用電力変換装置及びその制御方法

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JP3508133B2
JP3508133B2 JP2001273614A JP2001273614A JP3508133B2 JP 3508133 B2 JP3508133 B2 JP 3508133B2 JP 2001273614 A JP2001273614 A JP 2001273614A JP 2001273614 A JP2001273614 A JP 2001273614A JP 3508133 B2 JP3508133 B2 JP 3508133B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は系統連系用電力変換
装置に関し、詳しくは、太陽電池や燃料電池などの分散
電源を電力系統に連系させるため、分散電源と系統電源
間に複数台のインバータを並列接続した系統連系用電力
変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、太陽電池や燃料電池などの分散
電源を電力系統に連系させる系統連系システムでは、分
散電源の直流電力を交流電力に変換するインバータを並
列多重接続する場合がある。図12〜図16は複数台
(例えば二台)の三相インバータINV1,INV2を並
列接続した電力変換装置の構成例を示す。
【0003】図12〜図16に示す電力変換装置はイン
バータINV1,INV2を並列多重接続した構成を具備
し、両インバータINV1,INV2の直流側を分散電源
Bに共通して接続すると共に、その交流側を連系トラン
スTRを介して三相交流の系統電源Vsに接続すること
によりシステム構成されている。
【0004】インバータINV1,INV2はフルブリッ
ジ構成のスイッチング素子S1〜S6を備え、その直流側
に電解コンデンサC、交流側に出力フィルタ用三相リア
クトルFLがそれぞれ接続され、その交流側に設けられ
た変流器CTにより検出された出力電流Iに基づくPW
M制御によりスイッチング素子S1〜S6を点弧させるた
めのゲートパルスGを生成する制御部Eを具備する。
【0005】この電力変換装置では、分散電源Bから出
力される直流電力を電解コンデンサCに充電し、その充
電電力をインバータINV1,INV2のスイッチングに
より交流変換し、その交流電力を電力系統の負荷(図示
せず)に供給するようにしている。インバータIN
1,INV2を並列多重接続した電力変換装置では、そ
れぞれのインバータINV1,INV2の制御部EでPW
M制御によりスイッチング素子S1〜S6を点弧させるゲ
ートパルスGを独自に生成するようにしている。
【0006】このようにインバータINV1,INV2
制御部Eで独自のPWM制御によりゲートパルスGを生
成していることから、それぞれのインバータINV1
INV2でゲートパルスGの位相ずれが発生することが
ある。このゲートパルスGの位相ずれによりインバータ
INV1とINV2間でスイッチング素子S1〜S6の点弧
タイミングにずれが生じ、図17に示すようにインバー
タINV1とINV2間で横流と称される零相電流I0
流れるという不具合が発生する。
【0007】そこで、従来の電力変換装置では、以下の
ような〜の手段によりインバータINV1とINV2
間で流れる零相電流I0を抑制するようにしていた。
【0008】インバータINV1,INV2の制御部E
間で、ゲートパルスGの点弧タイミングおよびパルス幅
を一致させるための同期信号Dの送受信を行う(図12
参照)。この同期信号Dによりそれぞれの制御部Eから
出力されるゲートパルスGの点弧タイミングおよびパル
ス幅を完全に一致させることが実現可能となる。
【0009】インバータINV1,INV2の交流側に
絶縁トランスTをそれぞれ設ける(図13参照)。この
絶縁トランスTにより、インバータINV1とINV2
の零相インピーダンスが原理的に無限大となるため、両
制御部Eにおいてスイッチング周波数レベルで零相電圧
を発生していても、インバータINV1とINV2間で零
相電流I0が流れることはない。
【0010】インバータINV1,INV2の直流側
に、零相電流I0が流れる場合にのみ高インピーダンス
となるインダクタンス(例えばコモンモードチョークコ
イルと称されるフィルタF)を挿入する(図14参
照)。このインダクタンスが発揮するブロッキング(フ
ィルタリング)効果により、インバータINV1とIN
2間で零相電流I0が流れることを抑止できる。
【0011】インバータINV1,INV2の交流側に
設けられた出力フィルタ用三相リアクトルFL(図12
〜図14参照)に代えて三台の単相リアクトルFLu,
FLv,FLwをインバータINV1,INV2の交流側
にそれぞれ設ける(図15参照)。三相リアクトルFL
の場合、インバータINV1とINV2間の零相インピー
ダンスが極めて小さくなるため、インバータINV1
INV2から発生する零相電圧に対してはブロッキング
(フィルタリング)効果がないことから、前記で
述べたような零相電流I0を抑止する手段が別途必要で
ある。これに対して、単相リアクトルFLu,FLv,
FLwの場合、インバータINV1,INV2から発生す
る零相電圧に対してブロッキング(フィルタリング)効
果を発揮させ得るインダクタンスが確保されるため、単
相リアクトル自体で零相電流I0を抑止することができ
る。
【0012】インバータINV1,INV2の交流側に
LCLのπ型フィルタFL1,FC,FL2を設ける(図
16参照)。つまり、三相リアクトルを構成する第一の
フィルタリアクトルFL1とフィルタコンデンサFCと
連系用の第二のフィルタリアクトルFL2とで構成す
る。この第一のフィルタリアクトルFL1とフィルタコ
ンデンサFCとで構成したLCフィルタによりインバー
タINV1,INV2から発生するスイッチング周波数レ
ベルの電圧成分を除去しているので、スイッチングレベ
ルでの零相電圧が発生しないことから零相電流I0を抑
止できる。第二のフィルタリアクトルFL2には、イン
バータINV1とINV2間あるいはインバータと電力系
統間の連系インピーダンスの機能を持たせ、交流電源同
士の並列運転に近いシステム構成となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うにインバータINV1とINV2間で流れる零相電流I
0を抑制する〜の手段を備えた従来の電力変換装置
では、ハードウェア面での対策を講じなければならず、
それぞれ以下のような問題があった。
【0014】インバータINV1,INV2の制御部E
間で、ゲートパルスGを同期させるための同期信号Dの
送受信を行う手段(図12参照)を採用した場合、この
同期信号Dには、ゲートパルスGの点弧タイミングとパ
ルス幅の情報を含めなければならない。ここで、スイッ
チング周波数は例えば10kHz〜20kHzで1周期
20μ秒〜100μ秒程度である。
【0015】例えば、信号送信側(マスター側)のイン
バータINV1の制御部Eでは、同期信号Dの情報、つ
まり、ゲートパルスGの点弧タイミングおよびパルス幅
を演算処理する必要がある。この演算処理後に同期信号
Dを信号受信側(スレーブ側)のインバータINV2
制御部Eに伝送することになるが、信号送信側と信号受
信側の両インバータINV1,INV2における制御時間
が短すぎるために、同期信号Dの送受信を実行すること
が困難となる。
【0016】また、ゲートパルスGを信号送信側から信
号受信側へ直接に伝送するパルス伝達方式が考えられる
が、両インバータINV1,INV2の制御部Eを絶縁す
る必要性から、送受信パルスの絶縁回路部(例えば光信
号を採用)を設けなければならない。これら信号伝達手
段は、インバータINV1,INV2の並列多重数により
変更されるため、電力変換装置の標準化が困難となる。
【0017】インバータINV1,INV2の交流側に
絶縁トランスTをそれぞれ設ける手段(図13参照)を
採用した場合、インバータINV1,INV2の交流側に
それぞれ設けた絶縁トランスTの定格周波数は系統周波
数であるため、その絶縁トランスTは大型および大重量
のものが必要であり、電力変換装置の大型化およびコス
トアップを招来する。
【0018】インバータINV1,INV2の直流側
に、零相電流I0が流れる場合にのみ高インピーダンス
となるインダクタンスを有するフィルタF(例えばコモ
ンモードチョークコイル)を挿入する手段(図14参
照)を採用した場合、前記のケースと同様、インバー
タINV1,INV2の直流側にそれぞれ設けたフィルタ
Fが大型および大重量であるため、電力変換装置の大型
化およびコストアップを招来する。
【0019】三台の単相リアクトルFLu,FLv,
FLwをインバータINV1,INV2の交流側にそれぞ
れ設ける手段(図15参照)を採用した場合、一台の三
相リアクトルFLの場合と比較しても、コストや大きさ
が二倍、取り付け工数が三倍となり、低コスト化が必要
な汎用の電力変換装置にとっては不適である。
【0020】インバータINV1,INV2の交流側に
LCLのπ型フィルタFL1,FC,FL2を設ける手段
(図16参照)を採用した場合、前述したのケース
と同様、フィルタが大型および大重量となるため、電力
変換装置の大型化およびコストアップを招来する。
【0021】そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案
されたもので、その目的とするところは、インバータ間
でハードウェア面での対策を施すことなく、簡便な手段
によりインバータ間で零相電流が流れることを抑止し得
る系統連系用電力変換装置およびその制御方法を提供す
ることにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の技術的手段として、本発明は、PWM制御の方式(三
角波比較方式、ヒステリシスコンパレータ方式、ベクト
ル方式)の観点から以下の点を特徴とする。ここで、P
WM制御の方式のうちで、三角波比較方式とは、時間に
対して直線的に変化するキャリア(搬送)信号(例えば
三角波または鋸波)と変調信号(例えば正弦波)との比
較によってPWM波形(スイッチング素子駆動波形)出
力を得る方式を意味し、ヒステリシスコンパレータ方式
とは、インバータの出力と指令値の誤差信号をヒステリ
シス幅を持つコンパレータに入力し、誤差がコンパレー
タのしきい値以内になるように振動的に追従させる方式
を意味し、ベクトル方式とは、インバータが発生する8
個の電圧ベクトルに基づき、ある時間の電圧ベクトルの
平均値が電圧指令ベクトルに一致するようにパルス幅信
号に変換する方式を意味する。前記いずれの方式を採用
した場合も、本発明は、インバータ間でハードウェア面
での対策を施すことなく、前記方式によるPWM制御で
インバータ間での零相電流の抑止が図れる。
【0023】(1)三角波比較方式 本発明装置は、直流側に分散電源が共通して接続される
と共に交流側に連系トランスを介して系統電源が接続さ
れ、かつ、スイッチング素子を点弧させて分散電源の直
流電力を交流電力に変換する複数台のインバータを並列
接続し、三角波比較方式のPWM制御に基づくゲートパ
ルスによりスイッチング素子を点弧させてインバータの
出力電流を制御する系統連系用電力変換装置において、
前記インバータの出力電流の零相分を検出し、その零相
電流の極性および大きさに基づいて、前記零相電流が流
れるスイッチング素子のゲートパルスを生成するための
三角波信号を基準位相から移相させる制御部をそれぞれ
のインバータについて具備したことを特徴とする。
【0024】それぞれのインバータの前記制御部は、イ
ンバータの出力電流の零相分を検出する零相電流検出部
と、その零相電流の極性および大きさを演算する演算部
と、その零相電流の極性および大きさに基づいて、前記
零相電流が流れるスイッチング素子のゲートパルスを、
三角波信号を基準位相から移相させて生成するパルス発
生部とを備えた構成とすることが可能である。
【0025】本発明方法は、複数台のインバータを並列
接続して系統電源に連系させ、三角波比較方式のPWM
制御に基づくゲートパルスによりスイッチング素子を点
弧させてインバータの出力電流を制御することにより、
各インバータに共通して設けられた分散電源の直流電力
を交流電力に変換する系統連系用電力変換装置の制御方
法において、それぞれのインバータの制御部にて、前記
インバータの出力電流の零相分を検出し、その零相電流
の極性および大きさに基づいて、前記零相電流が流れる
スイッチング素子のゲートパルスを生成するための三角
波信号を基準位相から移相させることを特徴とする。
【0026】本発明では、三角波比較方式のPWM制御
に基づいて、インバータに発生した零相電流の極性およ
び大きさに応じて三角波信号を基準位相から補正値分だ
け移相させることにより、各インバータ間のゲートパル
スの位相ずれを補正することができ、その結果、各イン
バータにおけるスイッチング素子のスイッチングタイミ
ングを完全に一致させて同期をとることができる。
【0027】(2)ヒステリシスコンパレータ方式 本発明装置は、直流側に分散電源が共通して接続される
と共に交流側に連系トランスを介して系統電源が接続さ
れ、かつ、スイッチング素子を点弧させて分散電源の直
流電力を交流電力に変換する複数台のインバータを並列
接続し、ヒステリシスコンパレータ方式のPWM制御に
基づくゲートパルスによりスイッチング素子を点弧させ
てインバータの出力電流を制御する系統連系用電力変換
装置において、前記インバータの出力電流の零相分を検
出し、その零相電流の極性および大きさに基づいて、前
記零相電流が流れるスイッチング素子のゲートパルスを
生成するためのヒステリシス幅をインバータの出力電流
基準値に対して調整する制御部をそれぞれのインバータ
について具備したことを特徴とする。
【0028】それぞれのインバータの前記制御部は、イ
ンバータの出力電流の零相分を検出する零相電流検出部
と、その零相電流の極性および大きさに応じてインバー
タの出力電流基準値に対するヒステリシス幅を調整する
ヒステリシス幅決定部と、そのヒステリシス幅を調整す
るインバータのスイッチング素子を選択する補正対象選
択部とを備えた構成とすることが可能である。
【0029】本発明方法は、複数台のインバータを並列
接続して系統電源に連系させ、ヒステリシスコンパレー
タ方式のPWM制御に基づくゲートパルスによりスイッ
チング素子を点弧させてインバータの出力電流を制御す
ることにより、各インバータに共通して設けられた分散
電源の直流電力を交流電力に変換する系統連系用電力変
換装置の制御方法において、それぞれのインバータの制
御部にて、前記インバータの出力電流の零相分を検出
し、その零相電流の極性および大きさに基づいて、前記
零相電流が流れるスイッチング素子のゲートパルスを生
成するためのヒステリシス幅をインバータの出力電流基
準値に対して調整することを特徴とする。
【0030】本発明では、ヒステリシスコンパレータ方
式のPWM制御に基づいて、インバータに発生した零相
電流の極性および大きさに応じて、インバータの出力電
流基準値に対するヒステリシス幅を補正値分だけ増減す
ることにより、零相電流の極性に基づいて選択した所望
のスイッチング素子のゲートパルスを補正することがで
き、その結果、各インバータにおけるスイッチング素子
のスイッチングタイミングを完全に一致させて同期をと
ることができる。
【0031】(3)ベクトル方式 本発明装置は、直流側に分散電源が共通して接続される
と共に交流側に連系トランスを介して系統電源が接続さ
れ、かつ、スイッチング素子を点弧させて分散電源の直
流電力を交流電力に変換する複数台のインバータを並列
接続し、ベクトル方式のPWM制御に基づくゲートパル
スによりスイッチング素子を点弧させてインバータの出
力電流を制御する系統連系用電力変換装置において、前
記インバータの出力電流の零相分を検出し、その零相電
流の極性および大きさに基づいて零相電流が流れるスイ
ッチング素子のいずれかを選択し、その選択されたスイ
ッチング素子をOFFさせる出力電圧ベクトルを決定す
る制御部をそれぞれのインバータについて具備したこと
を特徴とする。
【0032】それぞれのインバータの前記制御部は、イ
ンバータの出力電流の零相分を検出する零相電流検出部
と、その零相電流の極性および大きさに基づいて零相電
流が流れるスイッチング素子のいずれかを選択し、その
選択されたスイッチング素子をOFFさせる出力電圧ベ
クトルを決定するベクトル決定部とを備えた構成とする
ことが可能である。
【0033】本発明方法は、複数台のインバータを並列
接続して系統電源に連系させ、ベクトル方式のPWM制
御に基づくゲートパルスによりスイッチング素子を点弧
させてインバータの出力電流を制御することにより、各
インバータに共通して設けられた分散電源の直流電力を
交流電力に変換する系統連系用電力変換装置の制御方法
において、それぞれのインバータの制御部にて、前記イ
ンバータの出力電流の零相分を検出し、その零相電流の
極性および大きさに基づいて、零相電流が流れるスイッ
チング素子のいずれかを選択し、その選択されたスイッ
チング素子をOFFさせる出力電圧ベクトルを決定する
ことを特徴とする。
【0034】本発明では、ベクトル方式のPWM制御に
基づいて、インバータに発生した零相電流の極性および
大きさに基づいて零相電流が流れるスイッチング素子の
いずれかを選択し、その選択されたスイッチング素子を
OFFさせる出力電圧ベクトルを決定することにより、
各インバータ間のゲートパルスを補正することができ、
その結果、各インバータ間の零相電流を抑制することが
できる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の第1〜第3の実施形態を
以下に詳述する。第1の実施形態は三角波比較方式のP
WM制御を用いた場合、第2の実施形態はヒステリシス
コンパレータ方式のPWM制御を用いた場合、第3の実
施形態はベクトル方式のPWM制御を用いた場合で、第
1〜第3の実施形態ではPWM制御の方式が異なり、ハ
ードウェア構成については共通する。
【0036】図1は第1〜第3の実施形態で共通する系
統連系用電力変換装置のハードウェア構成を示す。同図
に示す電力変換装置は、例えば、太陽電池や燃料電池な
どの分散電源Bを電力系統に連系させる系統連系システ
ムに設置されるもので、複数台(例えば二台)の三相イ
ンバータINV1,INV2を並列接続した構成を具備
し、両インバータINV1,INV2の直流側を分散電源
Bに共通して接続すると共に、その交流側を連系トラン
スTRを介して三相交流系統電源Vsに接続することに
よりシステム構成されている。
【0037】インバータINV1,INV2はフルブリッ
ジ構成のスイッチング素子S1〜S6を備え、その直流側
に電解コンデンサC、交流側に出力フィルタ用三相リア
クトルFLがそれぞれ接続され、その交流側に設けられ
た変流器CTにより検出された出力電流Iに基づくPW
M制御によりスイッチング素子S1〜S6を点弧させるた
めのゲートパルスGを生成する制御部Eを具備し、分散
電源Bから出力される直流電力を電解コンデンサCに充
電し、その充電電力をインバータINV1,INV2のス
イッチングにより交流変換し、その交流電力を電力系統
の負荷(図示せず)に供給するようにしている。
【0038】ところで、インバータINV1,INV2
並列多重接続した電力変換装置では、それぞれのインバ
ータINV1,INV2の制御部EでPWM制御によりス
イッチング素子S1〜S6を点弧させるゲートパルスGを
生成するようにしている。このようにインバータINV
1,INV2の制御部Eで独自のPWM制御によりゲート
パルスGを生成していることから、それぞれのインバー
タINV1,INV2でゲートパルスGの位相ずれが発生
することがある。このゲートパルスGの位相ずれにより
インバータINV1とINV2間でスイッチング素子S1
〜S6の点弧タイミングにずれが生じ、インバータIN
1とINV2間で零相電流I0が流れる(図17参照)
という不具合が発生する。
【0039】(第1の実施形態)この零相電流I0が流
れるという不具合を防止するため、第1の実施形態で
は、制御部Eにおいて三角波比較方式によるPWM制御
に基づいてインバータINV1とINV2間でのゲートパ
ルスGの位相ずれを補正する。
【0040】この第1の実施形態の電力変換装置は、図
2に示すようにインバータINV1,INV2の出力電流
の零相分を検出する零相電流検出部1と、その零相電流
0の極性および大きさをPI制御により演算する演算
部2と、その零相電流I0の極性および大きさに基づい
て、零相電流I0が流れるスイッチング素子S1〜S6
ゲートパルスGを生成するための三角波信号を基準位相
から移相させてそのスイッチング素子S1〜S6のゲート
パルスGを出力するパルス発生部3とで構成された制御
部Eを具備する。
【0041】一般的に、三角波比較方式のPWM制御で
は、図3に示すように制御部Eで生成された基準正弦波
信号Iと三角波信号IIとを比較することによりインバー
タINV1,INV2のスイッチング素子S1〜S6を点弧
させるためのゲートパルスGを生成する。ここで、イン
バータINV1,INV2に発生した零相電流I0の極性
および大きさを零相電流検出部1で検出し、その零相電
流I0の極性および大きさを基準値=0と比較した上で
零相電流I0の極性および大きさに基づいて演算部2で
PI制御によりバイアス値(補正値)αを算出する。パ
ルス発生部3では、このバイアス値αに基づいて三角波
信号IIを基準位相から移相させることにより補正する。
【0042】すなわち、図4に示すようにバイアス値α
がプラスになれば(図中鎖線で示す三角波信号II’)、
ゲートパルスGの点弧タイミングが早まるように三角波
信号IIを基準位相から移相させることによりそのゲート
パルスGの位相ずれを補正する(図中鎖線で示すゲート
パルスG’)。逆に、バイアス値αがマイナスになれば
(図中破線で示す三角波信号II’’)、ゲートパルスG
の点弧タイミングが遅れるように三角波信号IIを基準位
相から移相させることによりそのゲートパルスGの位相
ずれを補正する(図中破線で示すゲートパルス
G’’)。
【0043】この第1の実施形態では、三角波比較方式
のPWM制御に基づいて、インバータINV1,INV2
に発生した零相電流I0の極性および大きさに応じて三
角波信号IIを基準位相からバイアス値αだけ移相させる
ことにより、インバータINV1とINV2間のゲートパ
ルスGの位相ずれを補正することができ、その結果、両
インバータINV1,INV2におけるスイッチング素子
1〜S6のスイッチングタイミングを完全に一致させて
同期をとることができ、インバータINV1とINV2
で零相電流I0が流れなくなる。
【0044】なお、このゲートパルスの位相ずれの補正
は、二台のインバータINV1,INV2のいずれか一方
のインバータ(例えばINV1)を基準として、他方の
インバータ(例えばINV2)について三角波比較方式
のPWM制御で三角波信号IIを基準位相からバイアス値
αだけ移相させるようにすればよい。この三角波比較方
式のPWM制御の場合、ゲートパルスGの位相ずれの補
正は、U相、V相、W相の各相ごとに行われる。
【0045】(第2の実施形態)第2の実施形態では、
前述した零相電流I0が流れるという不具合を防止する
ため、制御部Eにおいてヒステリシスコンパレータ方式
によるPWM制御に基づいてインバータINV1とIN
2間でのゲートパルスGを補正する。
【0046】一般的に、ヒステリシスコンパレータ方式
のPWM制御は、制御部Eにおいて、図5に示すように
インバータINV1,INV2の出力電流基準値I
ref(U相電流基準値Iuref、V相電流基準値I
ref、W相電流基準値Iwref)およびその出力電流基
準値Irefに対するヒステリシス幅ΔI(固定)を予め
設定し、インバータINV1,INV2の出力電流I(U
相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iw)を検出しな
がら、その出力電流Iが出力電流基準値Iref±ヒステ
リシス幅ΔIの範囲(図6参照)内に入るようにインバ
ータINV1,INV2のスイッチング素子S1〜S6を点
弧するゲートパルスG(U相、V相、W相ゲートパルス
Gu,Gv,Gw)を生成する。
【0047】なお、図5および図7中で「上ON」「上
OFF」と表記しているのは、図1のインバータINV
1,INV2のP側に接続されたスイッチング素子S1
3,S5を点弧させることを意味し、逆に、「下ON」
「下OFF」はインバータINV1,INV2のN側に接
続されたスイッチング素子S2,S4,S6を点弧させる
ことを意味している。
【0048】この第2の実施形態の電力変換装置は、図
8に示すようにインバータINV1,INV2の出力電流
Iの零相分を検出する零相電流検出部5と、その零相電
流I0の極性および大きさに応じてインバータINV1
INV2の出力電流基準値Irefに対するヒステリシス幅
ΔIを調整するヒステリシス幅決定部6と、そのヒステ
リシス幅ΔIを調整すべきインバータINV1,INV2
のスイッチング素子S1〜S6を選択する補正対象選択部
7とを前述のパルス発生部4に付加した制御部Eを具備
する。
【0049】ヒステリシスコンパレータ方式のPWM制
御では、前述したようにインバータINV1,INV2
出力電流Iが出力電流基準値Iref±ヒステリシス幅Δ
Iの範囲(図6参照)内に入るようにインバータINV
1,INV2のスイッチング素子S1〜S6を点弧するゲー
トパルスGを生成する。
【0050】つまり、インバータINV1,INV2に発
生した零相電流I0の極性および大きさを零相電流検出
部5で検出し、その零相電流I0の極性および大きさに
応じた補正値αを、固定のヒステリシス幅ΔIに対して
加減算することによりヒステリシス幅決定部6で調整す
る。このヒステリシス幅ΔIを調整すべきインバータI
NV1,INV2のスイッチング素子S1〜S6を補正対象
選択部7で選択し、そのスイッチング素子S1〜S6に対
する補正信号H(U相、V相、W相補正信号Hu,H
v,Hw)によりゲートパルスG(U相、V相、W相ゲ
ートパルスGu,Gv,Gw)を補正する。なお、補正
値αは、零相電流I0に対して一定のゲインkを乗算す
ることにより、その零相電流I0に比例して可変するも
のである。
【0051】前記ヒステリシス幅決定部7での調整は、
零相電流I0の極性がプラスであれば、インバータIN
1,INV2のP側に接続されたスイッチング素子
1,S3,S5のスイッチング時間を短くするように上
側ヒステリシス幅を固定のヒステリシス幅ΔIから補正
値αだけ小さくする。逆に、零相電流I0の極性がマイ
ナスであれば、インバータINV1,INV2のN側に接
続されたスイッチング素子S2,S4,S6のスイッチン
グ時間を短くするように下側ヒステリシス幅を固定のヒ
ステリシス幅ΔIから補正値αだけ小さくする。
【0052】図7は、例えば後者の場合を具体的に例示
したもので、零相電流I0の極性がマイナスであり、イ
ンバータINV1,INV2のN側に接続されたスイッチ
ング素子S2,S4,S6のスイッチング時間を短くする
ように下側ヒステリシス幅を固定のヒステリシス幅ΔI
から補正値αだけ小さくしている。図中点線は補正前の
インバータINV1,INV2の出力電流I、実線は補正
後のインバータINV 1,INV2の出力電流I’をそれ
ぞれ示している。
【0053】この第2の実施形態では、ヒステリシスコ
ンパレータ方式のPWM制御に基づいて、インバータI
NV1,INV2に発生した零相電流I0の極性および大
きさに応じて、インバータINV1,INV2の出力電流
基準値Irefに対するヒステリシス幅ΔIを補正値α分
だけ増減することにより、零相電流I0の極性に基づい
て選択した所望のスイッチング素子S1〜S6のゲートパ
ルスGを補正することができ、その結果、両インバータ
INV1,INV2におけるスイッチング素子S 1〜S6
スイッチングタイミングを完全に一致させて同期をとる
ことができる。
【0054】なお、このゲートパルスGの補正は、二台
のインバータINV1,INV2のいずれか一方のインバ
ータ(例えばINV1)を基準として、他方のインバー
タ(例えばINV2)についてヒステリシスコンパレー
タ方式のPWM制御でヒステリシス幅ΔIを補正値α分
だけ増減させるようにすればよい。このヒステリシスコ
ンパレータ方式のPWM制御の場合、ゲートパルスGの
補正は、U相、V相、W相の各相ごとに行われる。
【0055】(第3の実施形態)この第3の実施形態で
は、前述した零相電流I0が流れるという不具合を防止
するため、制御部Eにおいてベクトル方式によるPWM
制御に基づいて両インバータINV1,INV2間でのゲ
ートパルスGを補正する。
【0056】ここで、インバータINV1,INV2が発
生できる出力電圧ベクトルV0〜V7は、図9(a)
(b)に示すようにスイッチング素子S1〜S6の8つの
点弧パターンからなり、ベクトル方式のPWM制御にお
いては、前記出力電圧ベクトルV 0〜V7の選択とその発
生時間を制御するようにしている。なお、図9(b)の
スイッチング素子S1〜S6の点弧パターンにおいて、ス
イッチング素子S1とS2、S3とS4、S5とS6とはそれ
ぞれ反対に点弧される。
【0057】この8つの出力電圧ベクトルV0〜V7を基
準として(以下、基準出力電圧ベクトルと称す)、この
基準出力電圧ベクトルV0〜V7に対して図10に示すよ
うな補正出力電圧ベクトルVN1k〜VN6kを新たに定義
する。補正出力電圧ベクトルVN1k〜VN6kにおいて、
図10中で表記したNはインバータINV1,INV2
P側に接続されたスイッチング素子S1,S3,S5とN
側に接続されたスイッチング素子S2,S4,S6の両方
をOFFすることを意味している。また、kは零相電流
0が流れている相のスイッチング素子S1〜S6を選択
することを意味し、U相の場合にはk=1、V相の場合
にはk=2、W相の場合にはk=3となる。
【0058】この第3の実施形態の電力変換装置は、図
11に示すようにインバータINV 1,INV2の出力電
流Iの零相分を検出する零相電流検出部8と、その零相
電流I0の極性および大きさに基づいて零相電流I0が流
れるスイッチング素子S1〜S6のいずれかを選択し、そ
の選択されたスイッチング素子S1〜S6をOFFさせる
出力電圧ベクトルを決定するベクトル決定部9とを出力
電流制御部10に付加した制御部Eを具備する。
【0059】このベクトル方式のPWM制御では、イン
バータINV1,INV2間で発生した零相電流I0が流
れている相のスイッチング素子、つまり、インバータI
NV1,INV2のP側に接続されたスイッチング素子S
1,S3,S5またはN側に接続されたスイッチング素子
2,S4,S6の少なくともいずれか一方をOFFさせ
る出力電圧ベクトルを基準出力電圧ベクトルV0〜V7
補正出力電圧ベクトルVN1k〜VN6kのうちから選択
し、これによりインバータINV1,INV2のスイッチ
ング素子S1〜S6を点弧するゲートパルスGを生成す
る。
【0060】すなわち、インバータINV1,INV2
発生した零相電流I0の極性および大きさを零相電流検
出部8で検出する。ここで、零相電流I0を検出するに
際しては、不感帯βを予め設定することにより、インバ
ータINV1,INV2のスイッチング素子S1〜S6にお
ける過度のハンチングが発生することを防止している。
従って、前記零相電流I0が不感帯βの範囲内であれ
ば、基準出力電圧ベクトルV0〜V7による通常のベクト
ル制御を実行する。零相電流I0が不感帯βの範囲外で
あれば、その零相電流I0の流れ方向の違いにより、基
準出力電圧ベクトルV0〜V7と補正出力電圧ベクトルV
1k〜VN6kのうちから所望の出力電圧ベクトルを選択
する以下のようなベクトル制御を実行する。
【0061】零相電流I0が不感帯+βよりも大きい
と、通常の出力電圧ベクトルV1,V2,V4(各インバ
ータINV1,INV2のP側に接続されたスイッチング
素子S1,S3,S5のいずれか1つのみがON)につい
ては、基準出力電圧ベクトルV0を選択し、その他の通
常の出力電圧ベクトルV3,V5,V6については、補正
出力電圧ベクトルVN3k,VN5k,VN6kを選択する。
逆に、零相電流I0が不感帯−βよりも小さいと、通常
の出力電圧ベクトルV3,V5,V6(各インバータIN
1,INV2のN側に接続されたスイッチング素子
2,S4,S6のいずれか1つのみがON)について
は、基準出力電圧ベクトルV7を選択し、その他の通常
の出力電圧ベクトルV1,V2,V4については、補正出
力電圧ベクトルVN1 k,VN2k,VN4kを選択する。
【0062】このように第3の実施形態では、ベクトル
方式のPWM制御に基づいて、インバータINV1,I
NV2間で発生した零相電流I0が流れている相のスイッ
チング素子、つまり、インバータINV1,INV2のP
側に接続されたスイッチング素子S1,S3,S5または
N側に接続されたスイッチング素子S2,S4,S6の少
なくともいずれか一方をOFFさせる出力電圧ベクトル
を基準出力電圧ベクトルV0〜V7と補正出力電圧ベクト
ルVN1k〜VN6kのうちから選択することにより、各イ
ンバータINV1,INV2間のゲートパルスGを補正す
ることができ、その結果、両インバータINV1,IN
2間の零相電流I0を抑制することができる。
【0063】なお、このゲートパルスGの補正は、二台
のインバータINV1,INV2のいずれか一方のインバ
ータ(例えばINV1)を基準として、他方のインバー
タ(例えばINV2)についてベクトル方式のPWM制
御で零相電流I0が流れるスイッチング素子S1〜S6
いずれかを選択し、その選択されたスイッチング素子S
1〜S6をOFFさせる出力電圧ベクトルを決定すればよ
い。このベクトル方式のPWM制御の場合、ゲートパル
スGの補正は、U相、V相、W相で一括して行われる。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、三角波比較方式のP
WM制御に基づいて、インバータに発生した零相電流の
極性および大きさに応じて三角波を基準位相から補正値
分だけ移相させる手段、ヒステリシスコンパレータ方
式のPWM制御に基づいて、インバータに発生した零相
電流の極性および大きさに応じて、インバータの出力電
流基準値に対するヒステリシス幅を補正値分だけ増減す
る手段、ベクトル方式のPWM制御に基づいて、イン
バータに発生した零相電流の極性および大きさに基づい
て零相電流が流れるスイッチング素子のいずれかを選択
し、その選択されたスイッチング素子をOFFさせる出
力電圧ベクトルを決定する手段のいずれかにより、イン
バータ間でハードウェア面での対策を施すことなく、簡
便な手段によりインバータ間で零相電流が流れることを
抑止することができ、その結果、製品のコスト低減化お
よび小型化を図ることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態で、系統連系用電力変換装置
のハードウェア構成を示す回路図である。
【図2】図1の電力変換装置において、三角波比較方式
のPWM制御による制御部の構成を示すブロック図であ
る。
【図3】三角波比較方式のPWM制御において、三角波
信号と正弦波信号との比較でゲートパルスを生成する要
領を説明するための波形図である。
【図4】三角波比較方式のPWM制御において、三角波
信号を移相してゲートパルスを補正する要領を説明する
ための波形図である。
【図5】ヒステリシスコンパレータ方式のPWM制御に
おいて、インバータの出力電流基準値に対するヒステリ
シス幅を設定してゲートパルスを生成する要領を説明す
るための構成を示すブロック図である。
【図6】ヒステリシスコンパレータ方式のPWM制御に
おいて、インバータの出力電流基準値に対するヒステリ
シス幅を設定することにより得られた出力電流を示す波
形図である。
【図7】ヒステリシスコンパレータ方式のPWM制御に
おいて、ヒステリシス幅の調整によりゲートパルスを補
正する要領を説明するための波形図である。
【図8】図1の電力変換装置において、ヒステリシスコ
ンパレータ方式のPWM制御による制御部の構成を示す
ブロック図である。
【図9】ベクトル方式のPWM制御において、インバー
タが発生できる基準出力電圧ベクトルで、(a)はベク
トル図、(b)はベクトル表である。
【図10】ベクトル方式のPWM制御において、新たに
定義した補正出力電圧ベクトルを示す一覧表である。
【図11】図1の電力変換装置において、ベクトル方式
のPWM制御による制御部の構成を示すブロック図であ
る。
【図12】系統連系用電力変換装置の従来例1を示す回
路図である。
【図13】系統連系用電力変換装置の従来例2を示す回
路図である。
【図14】系統連系用電力変換装置の従来例3を示す回
路図である。
【図15】系統連系用電力変換装置の従来例4を示す回
路図である。
【図16】系統連系用電力変換装置の従来例5を示す回
路図である。
【図17】インバータ間で零相電流が流れるメカニズム
を説明するための部分回路図である。
【符号の説明】
B 分散電源 S1〜S6 スイッチング素子 TR 連系トランス Vs 系統電源 INV1,INV2 インバータ E 制御部 I0 零相電流 I 出力電流 G ゲートパルス Iref 出力電流基準値 ΔI ヒステリシス幅 V0〜V7 出力電圧ベクトル(基準出力電圧ベクトル) VN1k〜VN6k 出力電圧ベクトル(補正出力電圧ベク
トル) 1 零相電流検出部 2 演算部 3 パルス発生部 5 零相電流検出部 6 ヒステリシス幅決定部 7 補正対象選択部 8 零相電流検出部 9 ベクトル決定部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−41811(JP,A) 特開2001−157383(JP,A) 特開 昭63−287371(JP,A) 特開 平7−222455(JP,A) 特開 平4−117137(JP,A) 国際公開95/024069(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/48 H02J 3/38

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流側に分散電源が共通して接続される
    と共に交流側に連系トランスを介して系統電源が接続さ
    れ、かつ、スイッチング素子を点弧させて分散電源の直
    流電力を交流電力に変換する複数台のインバータを並列
    接続し、三角波比較方式のPWM制御に基づくゲートパ
    ルスによりスイッチング素子を点弧させてインバータの
    出力電流を制御する系統連系用電力変換装置において、
    前記インバータの出力電流の零相分を検出し、その零相
    電流の極性および大きさに基づいて、前記零相電流が流
    れるスイッチング素子のゲートパルスを生成するための
    三角波信号を基準位相から移相させる制御部をそれぞれ
    のインバータについて具備したことを特徴とする系統連
    系用電力変換装置。
  2. 【請求項2】 それぞれのインバータの前記制御部は、
    インバータの出力電流の零相分を検出する零相電流検出
    部と、その零相電流の極性および大きさを演算する演算
    部と、その零相電流の極性および大きさに基づいて、前
    記零相電流が流れるスイッチング素子のゲートパルス
    を、三角波信号を基準位相から移相させて生成するパル
    ス発生部とを備えていることを特徴とする請求項1に記
    載の系統連系用電力変換装置。
  3. 【請求項3】 複数台のインバータを並列接続して系統
    電源に連系させ、三角波比較方式のPWM制御に基づく
    ゲートパルスによりスイッチング素子を点弧させてイン
    バータの出力電流を制御することにより、各インバータ
    に共通して設けられた分散電源の直流電力を交流電力に
    変換する系統連系用電力変換装置の制御方法において、
    それぞれのインバータの制御部にて、前記インバータの
    出力電流の零相分を検出し、その零相電流の極性および
    大きさに基づいて、前記零相電流が流れるスイッチング
    素子のゲートパルスを生成するための三角波信号を基準
    位相から移相させることを特徴とする系統連系用電力変
    換装置の制御方法。
  4. 【請求項4】 直流側に分散電源が共通して接続される
    と共に交流側に連系トランスを介して系統電源が接続さ
    れ、かつ、スイッチング素子を点弧させて分散電源の直
    流電力を交流電力に変換する複数台のインバータを並列
    接続し、ヒステリシスコンパレータ方式のPWM制御に
    基づくゲートパルスによりスイッチング素子を点弧させ
    てインバータの出力電流を制御する系統連系用電力変換
    装置において、前記インバータの出力電流の零相分を検
    出し、その零相電流の極性および大きさに基づいて、前
    記零相電流が流れるスイッチング素子のゲートパルスを
    生成するためのヒステリシス幅をインバータの出力電流
    基準値に対して調整する制御部をそれぞれのインバータ
    について具備したことを特徴とする系統連系用電力変換
    装置。
  5. 【請求項5】 それぞれのインバータの前記制御部は、
    インバータの出力電流の零相分を検出する零相電流検出
    部と、その零相電流の極性および大きさに応じてインバ
    ータの出力電流基準値に対するヒステリシス幅を調整す
    るヒステリシス幅決定部と、そのヒステリシス幅を調整
    するインバータのスイッチング素子を選択する補正対象
    選択部とを備えていることを特徴とする請求項4に記載
    の系統連系用電力変換装置。
  6. 【請求項6】 複数台のインバータを並列接続して系統
    電源に連系させ、ヒステリシスコンパレータ方式のPW
    M制御に基づくゲートパルスによりスイッチング素子を
    点弧させてインバータの出力電流を制御することによ
    り、各インバータに共通して設けられた分散電源の直流
    電力を交流電力に変換する系統連系用電力変換装置の制
    御方法において、それぞれのインバータの制御部にて、
    前記インバータの出力電流の零相分を検出し、その零相
    電流の極性および大きさに基づいて、前記零相電流が流
    れるスイッチング素子のゲートパルスを生成するための
    ヒステリシス幅をインバータの出力電流基準値に対して
    調整することを特徴とする系統連系用電力変換装置の制
    御方法。
  7. 【請求項7】 直流側に分散電源が共通して接続される
    と共に交流側に連系トランスを介して系統電源が接続さ
    れ、かつ、スイッチング素子を点弧させて分散電源の直
    流電力を交流電力に変換する複数台のインバータを並列
    接続し、ベクトル方式のPWM制御に基づくゲートパル
    スによりスイッチング素子を点弧させてインバータの出
    力電流を制御する系統連系用電力変換装置において、前
    記インバータの出力電流の零相分を検出し、その零相電
    流の極性および大きさに基づいて零相電流が流れるスイ
    ッチング素子のいずれかを選択し、その選択されたスイ
    ッチング素子をOFFさせる出力電圧ベクトルを決定す
    る制御部をそれぞれのインバータについて具備したこと
    を特徴とする系統連系用電力変換装置。
  8. 【請求項8】 それぞれのインバータの前記制御部は、
    インバータの出力電流の零相分を検出する零相電流検出
    部と、その零相電流の極性および大きさに基づいて零相
    電流が流れるスイッチング素子のいずれかを選択し、そ
    の選択されたスイッチング素子をOFFさせる出力電圧
    ベクトルを決定するベクトル決定部とを備えていること
    を特徴とする請求項7に記載の系統連系用電力変換装
    置。
  9. 【請求項9】 複数台のインバータを並列接続して系統
    電源に連系させ、ベクトル方式のPWM制御に基づくゲ
    ートパルスによりスイッチング素子を点弧させてインバ
    ータの出力電流を制御することにより、各インバータに
    共通して設けられた分散電源の直流電力を交流電力に変
    換する系統連系用電力変換装置の制御方法において、
    れぞれのインバータの制御部にて、前記インバータの出
    力電流の零相分を検出し、その零相電流の極性および大
    きさに基づいて、零相電流が流れるスイッチング素子の
    いずれかを選択し、その選択されたスイッチング素子を
    OFFさせる出力電圧ベクトルを決定することを特徴と
    する系統連系用電力変換装置の制御方法。
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