JP3507752B2 - 鉄鋼廃材の再利用方法 - Google Patents

鉄鋼廃材の再利用方法

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JP3507752B2 JP2000052393A JP2000052393A JP3507752B2 JP 3507752 B2 JP3507752 B2 JP 3507752B2 JP 2000052393 A JP2000052393 A JP 2000052393A JP 2000052393 A JP2000052393 A JP 2000052393A JP 3507752 B2 JP3507752 B2 JP 3507752B2
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  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄鋼廃材の再利用方
法に関し、詳細にはSnを主体とするSn系メッキ層が
形成された鉄鋼廃材からSn系メッキ層を除去した後、
上記鉄鋼廃材を溶解して精錬することにより再生鉄鋼材
を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Sn系メッキが施された鋼材は、表面に
安定な酸化皮膜が形成されることにより美しい光沢を有
することから、食品類の容器や飲料缶として汎用されて
いる。特に飲料缶に関しては、資源の有効利用という観
点からリサイクルが進んでおり、再利用が図られてい
る。鉄鋼廃材を再利用するにあたっては、まず溶解炉に
投入して溶解し、フラックスを添加することにより不純
物元素をスラグとして捕捉し除去する方法が一般的であ
る。しかしながら、Snは現状の製鋼操業では除去し難
い元素であり、溶鋼中に残り易い。Snが鋼中に存在す
ると、鋼品質を劣化させるのみならず、鉄鋼製造時にお
いて、圧延の加熱時にSnが結晶粒界へ偏析して鋼の熱
間加工性を著しく阻害し、量によっては製造ができなく
なってしまう。従ってSnが許容範囲を超えて溶鋼中に
存在する場合には、Sn含有量の少ない溶鋼を用いてS
nの許容含有量まで希釈する方法が採用されている。
【0003】そこで、鉄鋼廃材を溶解する前にSn系メ
ッキ層を除去する方法が検討されている。例えば、鉄鋼
廃材をアルカリ水溶液中に浸漬し電位を与えてFeの不
働態化とSnの溶解促進を行なうアルカリ電解法が提案
されている。ところがこの方法は効率が悪く、その上コ
ストがかかるという問題がある。
【0004】また、特開平10−237558には、鉄
鋼溶融炉から排出される高温酸化性ガスによりSnメッ
キ層を酸化し、固体のSn酸化物として機械的に剥離除
去する方法が開示されている。この方法は、これまで溶
解工程で利用されることなく系外に排出されていた熱エ
ネルギーをうまく再利用するものであり、当該熱エネル
ギーにより、鉄鋼廃材を加熱すると共にSn系メッキ層
を酸化して効率よく除去できる点で、極めて合理的な方
法である。しかしながら、この方法では、生成した固体
のSn酸化物を鉄鋼廃材から効率よく除去する為、ロー
タリーキルン内に鉄鋼廃材と共に、厚板等の重量屑とい
った衝撃材を混合することが必要である。ところが重量
屑は一般に高価であり、また、重量屑をロータリーキル
ン内に装入できるサイズに切断する為のコストが別途必
要である等、経済性等の点で改善の余地があった。更に
剥離したSn酸化物を排ガスと共に系外に排出する為に
は排ガス流の流速を適切に制御することが必要であり、
鉄鋼溶融炉の操業上の理由により排ガス発生量が少なく
なったときは、Sn酸化物を充分系外に排出することが
できず、鉄鋼廃材と共に鉄鋼溶融炉内に入ってしまうこ
とがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、その目的は、Sn系メッ
キが施された鉄鋼廃材を再利用するに当たり、溶解工程
で排出される熱エネルギーを有効利用しながら、特別の
原料を用いることなく、しかも排ガス流速等の操業制約
も無しで高度のSn除去率を達成し得る新規な鉄鋼廃材
の再利用方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明に係る鉄鋼廃材の再利用方法とは、Sn系メッキ層を
有する鉄鋼廃材から該Sn系メッキ層を加熱しながら除
去し、上記Sn系メッキ層を除去した後の鋼材を鉄鋼溶
融炉で溶解することにより精錬を行う鉄鋼廃材の再利用
方法であって、上記鉄鋼溶融炉から排出される高温排ガ
スを、Sn系メッキ層を有する上記鉄鋼廃材に接触させ
て上記Sn系メッキ層を主としてSn化合物としてガス
化すると共に、該ガス化されたSn化合物を該高温排ガ
ス流によって上記鉄鋼廃材から除去した後、上記Sn化
合物が除去された後の鋼材を上記鉄鋼溶融炉に投入して
溶解するところに要旨を有するものである。
【0007】尚、上記再利用方法を実施するに当たって
は、前記鉄鋼溶融炉から排出される高温排ガスの放出口
にロータリーキルン又はシャフト炉の排出部を連設し、
Sn系メッキ層が施された鉄鋼廃材の加熱を前記高温排
ガスにより該ロータリーキルン内又はシャフト炉におい
て行うと共に、上記ロータリーキルン内又はシャフト炉
のガス化されたSn化合物を上記高温排ガス流によって
排出すればよい。また、上記高温排ガスの温度を600
℃以上に高めたり;Sn系メッキ層を有する鉄鋼廃材か
ら該Snメッキ層を加熱しながら除去するにあたり、上
記鉄鋼廃材にコークスを混合したり、或いは、上記鉄鋼
溶融炉から排出される高温排ガスに酸素または空気を導
入したりすることは、脱Sn率の向上に極めて有用であ
る。
【0008】以上の様な鉄鋼廃材の再利用方法を用いれ
ば、Sn除去率を高めることができ、Sn含有率の少な
い再生鉄鋼材を製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態および実施例】本発明者らは、先に
出願された特開平10−237558の優れた技術的思
想を踏襲しつつ、上記公報の如くSn系メッキ層を固体
のSn化合物として除去するのではなく、ガス成分とし
て除去する新たな方法を見出し、本発明を完成した。
【0010】上記公報に記載の方法は、「脱Sn工程と
溶解工程を直結することにより鉄鋼溶解炉から排出され
る熱エネルギーをうまく有効利用する」という優れた技
術的思想のもと、Sn系メッキ層を固体のSn酸化物と
して機械的に剥離除去するというものであるが、上記方
法によれば、脱Sn率を高める為に、ロータリーキル
ン内に鉄鋼廃材と共に、重量屑等の高価な衝撃材を混合
することが推奨され、重量屑を切断する為のコストが別
途必要である等コストが上昇する;更に剥離したSn
酸化物を排ガスと共に系外に排出する為に、排ガス流の
流速を適切に制御する必要があり、排ガス発生量が少な
くなったときはSn酸化物を充分系外に排出することが
できず、鉄鋼廃材と共に鉄鋼溶融炉内に入ってしまう、
等の問題があった。
【0011】これに対し、本発明は、Sn系メッキ層を
固体のSn化合物としてではなくガス成分として除去す
るものであるから、固体物として除去したことに伴う上
記問題点を全て解決することができるのみならず、Sn
のガス化に伴う排ガス処理といった、従来懸念されてい
た弊害も、本発明法を採用する限り、問題とならないこ
とが明らかになった。即ち、本発明法の如くSn系メッ
キ層をガス化することにより、Sn酸化物を鉄鋼廃材か
ら剥離する為の衝撃材は不要となり、排ガス流速が小さ
い場合でもガス化されたSn化合物を系外に排出するこ
とができるので排ガス流速の影響を受けず、優れたSn
除去率を確保できる点で、本発明は極めて有用である。
一方、従来においてもSnをガス成分として蒸発させる
方法は知られているが、かかる方法に比べても、本発明
法は生産効率、脱Sn率、排ガス処理等の点で優れてい
る。例えばSnをガス化する方法として、溶解炉内を真
空状態とし、沸点の低いSnをガス成分として蒸発させ
ることにより溶鋼からSnを分離する方法が知られてい
るが、溶鋼を真空状態におくことは生産効率が悪く、実
操業には不向きである。また、硫黄存在下でSnメッキ
鋼板を硫化することによりSnを固体のSnSとして分
離する硫化法も提案されているが、この方法は、反応系
に硫黄を多量に添加するものであるから、排ガス中に含
まれる硫黄の処理等の問題を抱えており、実用化されて
いない。これに対し、本発明の方法は、鉄鋼溶融炉から
排出される高温排ガスをうまく再利用するものであり、
排ガスの温度やガス組成を適切に制御したり、更にはコ
ークスを添加してコークス中のSによりSnを主にSn
Sガスとして除去するものであるから、従来のSnガス
化法による問題は発生することなく極めて優れた脱Sn
率が得られる点で極めて有用である。
【0012】以下、本発明法について詳述する。
【0013】上述した通り、本発明の方法は、Sn系メ
ッキ層を有する鉄鋼廃材から該Sn系メッキ層を加熱し
ながら除去し、上記Sn系メッキ層を除去した後の鋼材
を鉄鋼溶融炉で溶解することにより精錬を行う鉄鋼廃材
の再利用方法であって、上記鉄鋼溶融炉から排出される
高温排ガスを、Sn系メッキ層を有する上記鉄鋼廃材に
接触させて上記Sn系メッキ層を主としてSn化合物と
してガス化すると共に、該ガス化されたSn化合物を該
高温排ガス流によって上記鉄鋼廃材から除去した後、上
記Sn化合物が除去された後の鋼材を前記鉄鋼溶融炉に
投入して溶解するところに特徴を有するものである。
【0014】上記方法を実施するに当たっては、鉄鋼溶
融炉から排出される高温排ガスの放出口にロータリーキ
ルン又はシャフト炉の排出部を連設し、Sn系メッキ層
が施された鉄鋼廃材の加熱を前記高温排ガスにより該ロ
ータリーキルン内又はシャフト炉において行うと共に、
上記ロータリーキルン内又はシャフト炉のガス化された
Sn化合物を上記高温排ガス流によって排出すればよ
い。本発明では、Sn系メッキ層を加熱しながらガス化
して除去する為に、ロータリーキルンやシャフト炉を使
用するものであり、これらは単独で使用しても良いし、
併用して用いても構わない。例えばシャフト炉とロータ
リーキルンを直列に設置し、これを鉄鋼溶融炉に直結し
ても良い。
【0015】尚、Sn系メッキ層を有する鉄鋼廃材から
該Snメッキ層を加熱しながら除去するに当たっては、
鉄鋼廃材と共にコークスを投入することにより、Sn系
メッキ層のガス化は一層促進され、当該Sn系メッキ層
の脱Sn率を更に高めることができる。コークス添加に
よる脱Sn率が更に向上する理由は、コークス中に含ま
れるSにより、高蒸気圧下では、Snは主に、ガス化し
易いSnSとして除去されるためと考えられる。コーク
スの添加量は、使用する鉄鋼廃材中のSn含有量等によ
っても異なり、所望の脱Sn率が得られる様適宜適切な
添加量を選択することができるが、概ね、Sn系メッキ
層を有する鉄鋼廃材1t当たり100〜400kg(よ
り好ましくは200〜400kg)の範囲に制御するこ
とが推奨される。
【0016】また、排ガスの温度を600℃以上とし、
ロータリーキルン内やシャフト炉内の加熱温度を高くす
ることによりSn系メッキ層のガス化は一層促進され、
脱Sn率を一層向上させることができる(後記する図9
を参照)。図9より、排ガス温度は高い程脱Sn率は向
上する傾向にある。本発明の目標レベルである脱Sn率
20%以上を達成する為には概ね600℃以上、本発明
の最大目標レベルである脱Sn率30%以上を達成する
為には更により好ましくは概ね800℃以上に制御する
ことが推奨される。但し、シャフト炉を用いるときは、
加熱温度をあまり高くし過ぎるとシャフト炉内で鉄鋼廃
材の融着現象が生じ、シャフト炉内から鉄鋼廃材を排出
するのが困難であることを考慮すれば、鉄鋼廃材の加熱
温度はスクラップの融着を生じない温度以下(概ね80
0℃以下)に制御することが推奨される。
【0017】また、脱Sn率の更なる向上を目指して、
ロータリーキルンやシャフト炉に、酸素や空気等の支燃
性ガスを導入し、鉄鋼溶融炉から排出される高温排ガス
を燃焼して炉内温度を更に高めることが推奨される。そ
の際、鉄鋼廃材と共にコークスを投入しておけば、酸素
や空気等の酸化性ガスを導入しても、炉内の還元性雰囲
気は維持され、Sn系メッキ層のガス化は阻害されな
い。一般に酸素等の酸化性ガスを導入した場合には、S
n系メッキ層中のSnは通常固体のSnO2になるが、
この様にコークス共存下で上記酸化性ガスを導入した場
合には、コークス中のSにより、固体のSnO2ではな
く所望のSnSガスが生成すると考えられる。
【0018】以下、本発明に想到した実験経緯を通じ、
更に本発明法について詳述する。
【0019】まず、本発明者らは、Sn系メッキ層を効
率よくガス化させる為の至適条件を明らかにすべく、図
1に示す装置を用い、以下の予備実験を行った。図1
中、1はSnメッキ鋼板の試料、2は熱電対、3はサン
プルホルダー、4は試料冷却用チャンバー、5は排ガス
のダストフィルター、6はシリコニット炉である。
【0020】本発明に用いられる鉄鋼炉としては転炉、
電気炉、溶銑予備処理炉等が挙げられるが、これらの溶
融炉から排出される排ガスはCO及びCO2が主成分で
あることから、まず、CO及びCO2のガス雰囲気下に
おける脱Sn率を測定し、当該雰囲気ガスの塑性が脱S
n率に及ぼす影響について検討した。具体的には、用い
た試料は図1に示す通り、50×25mm,Sn濃度
0.56%のSnメッキ鋼板であり、ガス流速は、1L
/min及び2L/minの二段階に変化させて行っ
た。上記試料を1200℃で15分間保持し、冷却した
後のSn濃度を測定し、脱Sn率を算出した。得られた
結果を図2に示す。
【0021】図2より、Snメッキ鋼板を、1200℃
という高温の[CO+CO2]混合ガスに接触させるこ
とにより、メッキ層中のSn率は除去され、PCO2/P
COを10〜1000の範囲に制御すると脱Sn率は20
%以上に上昇した。尚、メッキ層中のSnがガスとなっ
て除去されていることは、反応管出口に設置したフィル
ターで捕捉されたダストを分析し、Snを検出すること
により確認している。更に図2より、導入した[CO+
CO2]混合ガスの流量を変化させても脱Sn率は変化
しないことから、本発明法を用いればガス流速に関係な
く高い脱Sn率が得られることも明らかになった。
【0022】次に、[CO+CO2]混合ガスの流量を
2L/minの一定条件とし、加熱温度が脱Sn率に及
ぼす影響を調べた。その結果を図3に示す。
【0023】図3より、加熱温度が800℃では炉内に
1時間保持したとしても脱Sn率は4%以下と低かった
のに対し、加熱温度を1000℃以上に高めると10%
以上の脱Sn率が得られた。更に加熱温度を高めて12
00℃以上にすると、15分程度の短時間で20%以上
の高脱Sn率を達成できた。従って、Snメッキ層を高
温排ガスでガス化する本発明法では、脱Sn率は加熱温
度に大きく依存することが分かる。
【0024】尚、Snメッキ層を高温でガス化したとき
のガス種としては、一般にSnガスまたはSnOガスが
考えられるが、図2に示す通り、CO2濃度の高いガス
組成で処理すると脱Sn率が向上していたことから、本
発明では、主にSnOガスにより脱Sn化されたと推定
される。
【0025】以上の実験はコークス無添加で実施したも
のであるが、更に脱Sn率を高めるべく、コークスを添
加した系で実験を行った。前述した通り、コークス中に
はSが含まれている為、Sn系メッキ層をSnSガスと
して効率よく除去できる可能性が高いからである。
【0026】そこで図4に示す装置を用い、以下の予備
実験を行った。図4中、1〜6は前述した通りであり、
7はガスサンプリングプローブである。
【0027】図4に示す通り、内径16mmの磁性管内
に、35×15mm,Sn濃度0.56%のSnメッキ
鋼板、及びS濃度0.5%で粒径2〜3μmのコークス
を充填し、所定温度に加熱された反応管内にこれらを装
入した。その後、直ちに磁性管内に所定組成のガスを導
入し、所定時間加熱してから試料を取出し、Sn濃度を
分析した。
【0028】図5は、コークス共存下、雰囲気ガス組成
を種々変化させた場合における脱Sn率の挙動を示すグ
ラフである。加熱条件は1300℃,10分間とし、ガ
ス流速は1L/min及び2L/minの二段階に変化
させて実施した。
【0029】図5より、Snメッキ鋼板をコークス共存
下、1300℃という高温の[CO+CO2]混合ガス
に接触させることにより、PCO2/PCOが0.001〜
10という非常に広いガス組成下においても、少なくと
も30%以上の高い脱Sn率が安定して得られることが
分かる。尚、ガス流速については、導入した[CO+C
2]混合ガスの流量を変化させても脱Sn率は変化し
ないことから、本発明法を用いればガス流速に関係なく
高い脱Sn率が得られることも明らかになった。
【0030】次に、[CO+CO2]混合ガスの流量を
2L/minの一定条件とし、加熱温度が図Sn率に及
ぼす影響を調べた。その結果を図6に示す。
【0031】図6より、コークス共存下では、加熱温度
が800℃の場合、炉内に1時間保持したとしても脱S
n率は20%以下であるが、加熱温度を1000℃以上
に高めると30%以上の高い脱Sn率が得られた。更に
加熱温度を高めて1300℃以上にすると、10分程度
の短時間で40%以上の非常に高い脱Sn率を達成でき
た。従って、コークス共存下でSnメッキ層をガス化さ
せる場合にも、脱Sn率は加熱温度に大きく依存するこ
とが分かった。
【0032】この様にSnメッキ鋼板にコークスを共存
させたときには、CO2濃度の高低にかかわらず130
0℃で加熱すると40%以上の高い脱Sn率が得られた
ことを考慮すれば、酸化性雰囲気下でも高い脱Sn率が
得られることが充分予想される。そこで、より酸化性雰
囲気下における脱Sn率を測定すべく、Snメッキ鋼板
にコークスを共存させた状態で、[N2+O2] 混合ガス
中のO2濃度を種々変化させたときの脱Sn率を調べ
た。得られた結果を図7に示す。
【0033】図7より、O2を7%配合することにより
約60%という非常に高い脱Sn率が得られることが分
かる。このときの排ガス組成を分析したところ、125
ppmのCOSが検出された。従って、本実験の如く
[N2+O2] 混合ガスを用いた場合であっても、[CO
+CO2]混合ガスを用いた場合と同様、COSガスと
Snとの反応によりSnSガスが生成し、Snが除去さ
れることが判明した。この結果により、鉄鋼廃材にコー
クスを共存させたときには、ロータリーキルン等の鉄鋼
廃材加熱炉内における予熱効率の向上を目的として、空
気や酸素等の酸化性ガスを導入したとしても脱Sn率は
低下せず、むしろ向上することが確認された。
【0034】以上の予備実験を踏まえ、実機レベルの実
験を下記要領で行った。
【0035】図8は本発明の代表的な装置構成を示す概
略説明図である。図中、11は酸素上吹きランスを有す
るスクラップ溶解炉、12はロータリーキルンである。
この装置を用いた鉄鋼廃材の再利用方法は、基本的に
Sn系メッキ層を有するスクラップをロータリーキルン
12へ連続的に投入し、ロータリーキルン12内のス
クラップを、スクラップ溶解炉11から排出される高温
の排ガスで予熱すると共に脱Snした後、スクラップ
溶解炉11内へ投入する、というものである。
【0036】具体的には、溶解炉11内に溶融状態の溶
銑が3〜10T存在する状態で、予めSn濃度を分析し
ておいたブリキ屑若しくは空缶屑約1Tを、コークス2
00〜400kgと共にロータリーキルン12内に投入
した。スクラップ溶解炉11から発生する排ガスは、C
O,CO2,N2が主成分であるが、ロータリーキルン1
2内での予熱効率を高めるべく、図8に示す如くロータ
リーキルン12内へ空気及び酸素を吹込み、COガスを
燃焼させて雰囲気温度を高くしておいた。このときのロ
ータリーキルン内のスクラップ温度と脱Sn率の関係を
図9に示す。
【0037】図9の結果は予備実験で得られた実験結果
を裏付けるものであり、スクラップ予熱温度(排ガス温
度)を600℃とすることにより20%以上の高い脱S
n率が得られた。尚、図9には、同一加熱温度でロータ
リーキルン内での滞留時間が異なる系の実験結果も示し
ている為、滞留時間の相違により脱Sn率は異なるが、
概ね40%以上の非常に高い脱Sn率が得られた。
【0038】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、Sn系メッキが施された鉄鋼廃材を再利用するに当
たり、溶解工程で排出される熱エネルギーを有効利用し
ながら、特別の原料を用いることなく、しかも排ガス流
速等の操業制約も無しで高度のSn除去率を達成し得る
新規な鉄鋼廃材の再利用方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る予備実験装置を示す概略説明図で
ある。
【図2】雰囲気ガスの組成及びガス風速と、脱Sn率と
の関係を示すグラフである。
【図3】加熱温度と脱Sn率との関係を示すグラフであ
る。
【図4】コークス共存下における、本発明に係る予備実
験装置を示す概略説明図である。
【図5】コークス共存下における、雰囲気ガスの組成及
びガス風速と、脱Sn率との関係を示すグラフである。
【図6】コークス共存下における、加熱温度と脱Sn率
との関係を示すグラフである。
【図7】コークス共存下における、酸素濃度と脱Sn率
との関係を示すグラフである。
【図8】本発明に係る実験装置を示す概略説明図であ
る。
【図9】ロータリーキルン内のスクラップ温度と脱Sn
率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 Snメッキ鋼板の試料 2 熱電対 3 サンプルホルダー 4 試料冷却用チャンバー 5 排ガスのダストフィルター 6 シリコニット炉 7 ガスサンプリングプローブ 11 酸素上吹きランスを有するスクラップ溶解炉 12 ロータリーキルン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22B 25/06 B09B 3/00 303A (56)参考文献 特開 平7−252545(JP,A) 特開 平6−33158(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22B 1/00 - 61/00 B09B 3/00 C21C 5/38

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Sn系メッキ層を有する鉄鋼廃材から該
    Sn系メッキ層を加熱しながら除去し、上記Sn系メッ
    キ層を除去した後の鋼材を鉄鋼溶融炉で溶解することに
    より精錬を行う鉄鋼廃材の再利用方法であって、 上記鉄鋼溶融炉から排出される600℃以上のCO及び
    CO 2 含有高温排ガスを、Sn系メッキ層を有する上記
    鉄鋼廃材に接触させて上記Sn系メッキ層をSnOガス
    またはSnSガスとしてガス化すると共に、該SnOガ
    スまたはSnSガスを該高温排ガス流によって上記鉄鋼
    廃材から除去した後、上記SnOガスまたはSnSガス
    が除去された後の鋼材を前記鉄鋼溶融炉に投入して溶解
    することを特徴とする鉄鋼廃材の再利用方法。
  2. 【請求項2】 前記鉄鋼溶融炉から排出される高温排ガ
    スの放出口にロータリーキルン又はシャフト炉の排出部
    を連設し、Sn系メッキ層が施された鉄鋼廃材の加熱及
    びSn系メッキ層のガス化を該ロータリーキルン内又は
    シャフト炉内において行うと共に、上記ロータリーキル
    ン内又はシャフト炉内のSnOガスまたはSnSガス
    前記高温排ガス流によって排出する請求項1に記載の鉄
    鋼廃材の再利用方法。
  3. 【請求項3】 Sn系メッキ層を有する鉄鋼廃材から該
    Snメッキ層を加熱しながら除去するにあたり、上記
    鉄鋼廃材にコークスを混合するものである請求項1また
    は2に記載の鉄鋼廃材の再利用方法。
  4. 【請求項4】 Sn系メッキ層を有する鉄鋼廃材から該
    Snメッキ層を加熱しながら除去するにあたり、上記
    鉄鋼溶融炉から排出される600℃以上のCO及びCO
    2 含有高温排ガスに、酸素または空気を導入するもので
    ある請求項1〜のいずれかに記載の鉄鋼廃材の再利用
    方法。
  5. 【請求項5】 Sn系メッキ層を有する鉄鋼廃材から該
    Sn系メッキ層を加熱しながら除去するにあたり、上記
    Sn系メッキ層を除去した後の鋼材を鉄鋼溶融炉で溶解
    して精錬を行うことにより再生鉄鋼材を製造する方法で
    あって、 上記鉄鋼溶融炉から排出される600℃以上のCO及び
    CO 2 含有高温排ガスを、Sn系メッキ層を有する上記
    鉄鋼廃材に接触させて上記Sn系メッキ層をSnOガス
    またはSnSガスとしてガス化すると共に、該SnOガ
    スまたはSnSガスを該高温排ガス流によって上記鉄鋼
    廃材から除去した後、上記SnOガスまたはSnSガス
    が除去された後の鋼材を前記鉄鋼溶融炉に投入して溶解
    することを特徴とする再生鉄鋼材の製造方法。
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