JP3506793B2 - 樹脂組成物およびそれから形成されたフィルム - Google Patents

樹脂組成物およびそれから形成されたフィルム

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JP3506793B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂組成物及びその樹
脂組成物から形成された気体選択透過性に優れたフィル
ムに関する。より詳しくはポリアクリル酸類と特定アミ
ンとの反応混合物から形成された樹脂組成物、及びその
樹脂組成物から形成され、炭酸ガス透過度と酸素ガス透
過度との比(炭酸ガス透過度/酸素ガス透過度、以下同
様。)が大きい気体選択透過性に優れたフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】炭酸ガスの効果的分離及び分離材料に関
する技術は、火力発電所からの燃焼排ガス中の炭酸ガス
の分離、天然ガス中の炭酸ガス分離等の大量の気体に混
在する炭酸ガスの分離技術に関連し、各種の技術開発が
すすめられている。
【0003】炭酸ガスの分離方法として吸収法は古くか
ら知られている。例えば、化学吸収法の一つとして各種
アミンと炭酸ガスの可逆反応を利用して炭酸ガスを結合
・解離させる方法が知られている。また、炭酸ガスに対
する選択透過性の高い膜としては、Journal o
f Membrane Science(ジャーナル
オブ メンブレン サイエンス),6(1980),3
39−343頁ではポリ4フッ化エチレンの幹ポリマー
にポリスチレンをグラフトしスルホン酸基を導入した陽
イオン交換膜に、炭酸ガスキャリヤーとして1価に陽イ
オン化したエチレンジアミンを静電作用により保持した
炭酸ガス透過度と窒素ガス透過度との比が大きい膜が示
されている。又、膜シンポジウムNo.5(1993)
京都,講演要旨集,73−75頁には固定キャリヤーと
して第3級アミンを有するメタクリル酸2−(N,N−
ジメチルアミノ)エチルを選び、コモノマーとしてアク
リルニトリル及びメタクリル酸2−エチルヘキシルを用
いラジカル共重合することにより膜素材を得て、この膜
素材の酸素ガスおよび窒素ガス透過度と炭酸ガス透過度
との比較により、これらの高分子膜が炭酸ガスを選択的
に透過することが報告されている。
【0004】また、食品包装の分野においても炭酸ガス
を選択的に分離するフィルムの技術開発がすすめられて
いる。特開平5−222215号公報にはポリビニルア
ルコール樹脂とアルキレングリコール、ヒドロキシ酸の
単量体及びそれらの重合体の群から選ばれかつ炭酸ガス
と酸素ガスの溶解度比が30以上である化合物との組成
物からなる食品包装用成形物の発明が開示されている。
この成形物から得られるフィルムは炭酸ガスの発生が多
く、酸素との接触を嫌う食品、例えばチーズ製品、コー
ヒー豆等を包装するのに適していることが記載されてい
る。このように炭酸ガスを選択的に透過する膜、特に合
成高分子膜は多くの分野で要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
樹脂組成物、それから形成される炭酸ガス透過度と酸素
ガス透過度の比が大きい気体選択透過性を有するフィル
ムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアク
リル酸類(A)と脂肪族第1級ジアミン(B)との特定
割合の反応混合物から形成された樹脂組成物が新規であ
り、該樹脂組成物から形成されたフィルムが炭酸ガス透
過度と酸素ガス透過度との比が大きい気体選択透過性を
有することを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】すなわち本発明の第1によれば、ポリアク
リル酸、ポリメタクリル酸、これらの混合物、アクリル
酸とメタクリル酸のコポリマーの群から選ばれるポリア
クリル酸類(A)とポリアクリル酸類(A)の全カルボ
キシル基当り0.3〜1.0モル当量の脂肪族第1級ジ
アミン(B)との反応混合物から構成された樹脂組成物
が提供される。また本発明の第2によれば、脂肪族第1
級ジアミン(B)がエチレンジアミン、トリメチレンジ
アミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミンの群から選ばれた少なくとも一種のジアミンである
本発明の第1記載の樹脂組成物が提供される。また本発
明の第3によれば、本発明の第1又は2のいずれかに記
載の樹脂組成物から形成されたフィルムが提供される。
また本発明の第4によれば、本発明の第3に記載のフィ
ルム層を少なくとも1層含む他のフィルム基材との積層
フィルムが提供される。また本発明の第5によれば、本
発明の第4記載の積層フィルムにおいて、前記樹脂組成
物から形成されたフィルム層が少なくとも1つの中間層
を構成し、他のフィルム基材が両最外層を構成する積層
フィルムが提供される。さらに本発明の第6によれば、
本発明の第4又は5のいずれかに記載の積層フィルムで
あり、かつ温度23℃、相対湿度80%における炭酸ガ
ス透過度と酸素ガス透過度の比(炭酸ガス透過度/酸素
ガス透過度)が20以上である気体選択透過性フィルム
が提供される。
【0008】以下、本発明の第1及び第2の態様である
ポリアクリル酸類と脂肪族第1級ジアミンとの反応混合
物から得られる樹脂組成物について詳述する。本発明で
使用されるポリアクリル酸類(A)とはポリアクリル酸
(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)あるいはこれ
らの混合物であって分子中に2個以上のカルボキシル基
を有する化合物を含む。好ましい例としてはアクリル
酸、メタクリル酸のホモポリマーやそれらのモノマーの
コポリマーが挙げられる。ポリアクリル酸類の質量平均
分子量(以下「平均分子量」と略す。)は1,500か
ら450,000の範囲のものが好ましい。また温度2
3℃、相対湿度80%のような高湿度下での樹脂組成物
膜の形状保持性の点では平均分子量50,000以上が
好ましく、また水溶液の粘度の点から満足な操作性を得
るには、450,000を越えないことが好ましい。
【0009】本発明で使用する脂肪族ジアミンは、好ま
しくは、脂肪族第1級ジアミンの群より選択された少な
くとも1種のジアミンである。好ましい脂肪族第1級ジ
アミンとしては、炭素鎖の両端に2個のアミノ基を有す
る化合物である。脂肪族第1級ジアミンを構成する炭素
鎖(分岐していてもよい)の炭素原子数は2個以上8個
以下が好ましく、更に好ましくは2個以上6個以下であ
る。エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラ
メチレジアミンおよびヘキサメチレンジアミンが好まし
い例として挙げられる。ここで脂肪族第1級ジアミンの
代りにモノメチルアミン、モノエチルアミン、モノ−n
−ヘキシルアミンのような分子内に1個のアミノ基をも
つ脂肪族モノアミンを用いると、ポリアクリル酸類
(A)との反応生成物にゲルを生じたり、反応生成物か
ら原料アミンの臭気が消えないなどの点があるので、
記脂肪族第1級ジアミンを用いることが好ましい。また
m−アミノフェノールのような芳香族アミンを用いた場
合は、得られるフィルムの炭酸ガス透過度と酸素ガス透
過度との比が小さく、本発明の効果が認められない。
【0010】本発明において脂肪族第1級ジアミンの使
用量は、ポリアクリル酸類(A)の全カルボキシル基当
り0.3モル当量以上、1.0モル当量以下、好ましく
は0.35モル当量以上、1.0モル当量以下含むよう
にする。ポリアクリル酸類に対する脂肪族第1級ジアミ
ン(B)の使用量が少ないと、反応生成物に不溶部が生
成することがあるので好ましくない。
【0011】PAA等のポリアクリル酸類(A)は通常
水溶液の状態で用いられる。例えばPAAの10質量%
水溶液に本発明で規定されたPAAの全カルボキシル基
当り0.3から1.0モル当量の脂肪族第1級ジアミン
溶液を加える。反応は室温で進行し、発熱を伴うので撹
拌を行う。得られた混合液には本発明の第1または第2
の樹脂組成物が含まれるが、これを基材に塗布し水分を
蒸発させると、本発明の第1または第2に係る樹脂組成
物からなる本発明の第3に係る乾燥皮膜(フィルム)が
得られる。
【0012】この樹脂組成物には、必要により本発明の
効果を阻害しない範囲で各種安定剤、滑剤、着色剤、充
填剤等が含まれていても構わない。
【0013】本発明の第3は、前記ポリアクリル酸類と
前記脂肪族第1級ジアミンとの反応混合物から得られる
樹脂組成物からなるフィルムである。
【0014】前記ポリアクリル酸類と前記脂肪族第1級
ジアミンとの反応混合物(樹脂組成物)から得られるフ
ィルムの厚さに付いては特に制限はないが、後記する積
層フィルムに要求される炭素ガス透過度を考慮して決め
られる。通常用いられるフィルムの厚さは2から3,0
00μm、好ましくは2から2,500μmの範囲であ
る。
【0015】本発明の第4は、前記第3の発明に係る樹
脂組成物から形成されたフィルムを少なくとも1層含
み、耐水性のある他のフィルム基材と積層されたフィル
ムである。特に好ましくは、前記他のフィルム基材が両
最外層を構成し、前記樹脂組成物から形成されたフィル
ム層が少なくとも一つの中間層を構成する本発明の第5
に係る積層フィルムである。
【0016】積層フィルムの層構成は特に制限されない
が、前記樹脂組成物から形成されたフィルム層と他のフ
ィルム基材との2層、或いは前記樹脂組成物から形成さ
れたフィルム層の両側に他のフィルム基材を積層した3
層或いはそれ以上の多層でも構わない。積層フィルムの
片面にヒートシール性の層を設けて積層フィルム同士或
いは他の熱可塑性樹脂フィルムとの熱溶着ができるよう
にしてもよい。また前記樹脂組成物から形成されたフィ
ルム層を複数層使っても構わない。必要であれば各層間
または特定の層間に後記のような接着層を設けてもよ
い。積層フィルムにすることにより実用強度、撥水性、
ヒートシール性等を付与することが出来る。
【0017】前記樹脂組成物からなる層に積層すべき他
のフィルム基材としては、積層フィルムとして温度23
℃、相対湿度80%における炭ガス透過度と酸素ガス透
過度の比が20以上、好ましくは28以上であることを
損なわない限り、非熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂及び金
属から選ばれた少なくとも1種からなるフィルム基材、
例えば合成紙、不織布、熱可塑性樹脂多孔膜、熱可塑性
樹脂成形物、熱可塑性樹脂延伸または未延伸フィルム、
金属多孔膜等を用いることが出来る。本発明の第4また
は第5に係る積層フィルムの炭酸ガス透過度と酸素ガス
透過度の比は、用途により20以下であっても構わない
が、気体選択透過性膜としては20以上であることが好
ましい。透過度比が20以上である本発明の第6に係る
気体選択透過性フィルムを利用することにより、従来の
食品包装用選択透過性膜の透過度比を越える包装材料を
提供することができる。
【0018】積層フィルム全体の厚さについては特に制
限はないが、20から5000μm、好ましくは30か
ら3000μmの範囲である。積層フィルムを構成する
前記ポリアクリル酸類と前記脂肪族第1級ジアミンとか
ら形成された樹脂組成物から形成されたフィルム層の厚
さに付いては、前記のように2から3000μm、好ま
しくは2から2500μmの範囲で、積層フィルムとし
て要求される炭酸ガス透過度を考慮して決める。
【0019】本発明の積層フィルムの積層は、ポリアク
リル酸類と脂肪族第1級ジアミンの反応混合物から構成
された樹脂組成物を通常水溶液でキャスト法、塗工法な
ど、あるいは水溶液でない場合は混練押出法などによ
り、中でも特に好ましくは塗工法により製膜した後、ド
ライラミネーション法やルーダーラミネーション法等に
よりフィルム基材と貼り合わせることにより製造するこ
とが出来る。また、必要に応じて各層間の接着力を十分
確保する目的でポリエチレン(線状低密度ポリエチレ
ン、超低密度ポリエチレンを含む)、ポリプロピレン、
ポリブテンまたはこれらを構成するモノマー相互の共重
合体などのポリオレフィン類をマレイン酸、フマール
酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸またはそれらの
酸無水物でグラフト変性したポリオレフィン類、あるい
はこれらの不飽和カルボン酸とオレフィン類との共重合
体、未変性ポリオレフィン類と前記グラフト変性したポ
リオレフィン類もしくは共重合体の混合物、あるいはウ
レタン結合を持つポリエステル等の接着剤またはアンカ
ー剤を使用してもよい。
【0020】本発明で提供される樹脂組成物及び気体選
択透過性フィルムは炭酸ガス透過度と酸素ガス透過度と
の比が大きいので、工業的には炭酸ガスを含む燃焼排ガ
スからの炭酸ガスの分離、天然ガスからの炭酸ガスの分
離に適しているし、さらに食品工業の面では炭酸ガスを
発生する食品の包装材料等に適している。以下実施例に
より本発明を具体的に説明するが、本願発明はこれらの
実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0021】(酸素ガス透過度の測定) 積層フィルムのガス透過度の測定方法は以下の通りであ
る。酸素ガス透過度は酸素ガス透過度測定装置(Mod
ern Control社製 Ox−tran 2/2
0)を用い温度23℃、相対湿度80%の条件で測定
し、以下に示す式(1)に従って本発明の積層フィルム
の酸素ガス透過度を求めた。
【0022】(炭酸ガス透過度の測定)炭酸 ガス透過度は二酸化炭素透過度測定装置(Mode
rn Control社製 PERMATRAN C−
IV)を用い、温度23℃、相対湿度80%の条件で測
定し、以下に示す式(1)に従って本発明の積層フィル
ムの炭酸ガス透過度を求めた。
【0023】 1/P(total) = 1/P(film) + 1/P(sub) (1)
【0024】但し、P(total)は本発明の樹脂組成物
溶液がフィルム基材に塗布され形成された積層フィルム
としてのガス透過度であり、P(film)は本発明の樹脂
組成物からなるフィルムの単層のガス透過度であり、P
(sub)はフィルム基材のガス透過度である。
【0025】[実施例1〜5] 平均分子量の異なる5種類のPAAを用いて脂肪族第1
級ジアミンと反応させた。すなわち平均分子量2,00
0のPAA粉末(和光純薬工業(株)製)(実施例
)、平均分子量50,000のPAA(POLYSC
IENCES INC製、25質量%水溶液)(実施例
)、平均分子量90,000のPAA(POLYSC
IENCES INC製、25質量%水溶液)(実施例
)、平均分子量150,000のPAA(和光純薬工
業(株)製、25質量%水溶液)(実施例4)、平均分
子量450,000のPAA粉末(和光純薬工業(株)
製)(実施例5)を使用し、ジアミン溶液としてエチレ
ンジアミン(和光純薬工業(株)製)溶液を用いた。平
均分子量50,000(実施例2)、90,000(
施例3)及び150,000(実施例4)の25質量%
PAA水溶液は、水を加えて10質量%になるように調
製した。平均分子量が2,000のPAA粉末(実施例
)は、水を加えて50質量%PAAになるように調製
した。平均分子量が450,000のPAA粉末(実施
例5)は、水を加えて3質量%PAAになるように調製
した。各PAA水溶液にPAAのカルボキシル基と等モ
ル当量になるように上記のエチレンジアミン溶液を添加
し、ガラス棒で撹拌した後、反応混合溶液を得た。
【0026】この混合溶液をコロナ処理を行ったポリ4
−メチル−1−ペンテンフィルム(厚さ25 μmのTP
X(商品名)フィルム)上にメイヤーバーを用いてコー
テイングし、次いで、ドライヤーを用いて水を蒸発させ
て、厚さ40μmの乾燥皮膜を得た。得られたコーティ
ングフィルム(合計厚さ65μm)の酸素ガス透過度、
炭酸ガス透過度{基材フィルムであるTPXフィルムと
乾燥皮膜との積層フィルムでP( total )に相当}及び
炭酸ガスと酸素ガスの透過度の比を表−1に示した。こ
のフィルム基材に用いたTPXフィルムの酸素ガス透過
度は温度23℃、相対湿度80%条件下において66,
120 cm 3 cm 2 ・MPa・s(厚さ25μm)、また炭
酸ガス透過度は同条件下において250,800 cm 3 c
m 2 ・MPa・s(厚さ25μm)であった。従って、表
−1には前記式(1)に従って、基材フィルムを除いた
乾燥皮膜のみの酸素ガス透過度と炭酸ガスの透過度の計
算値も記載した。
【0027】[比較例1〜2] 実施例4で用いたPAA(数平均分子量150,00
0)の10%質量水溶液を、実施例1〜5と同様にし
て、TPXフィルム(厚さ25μm)上で厚さ40μm
の乾燥皮膜を作製したところ、温度23℃、相対湿度8
0%における炭酸ガス/酸素ガス選択透過度の比が13
のPAAフィルムが得られた(比較例1)。比較例1で
使用したPAAの10質量%水溶液と芳香族一級アミン
であるm−アミノフェノールをPAAのカルボキシル基
と等モル当量になる量混合し、実施例1〜5と同様にし
て、TPXフィルム(厚さ25μm)上で厚さ40μm
の乾燥皮膜を作製したところ、温度23℃、相対湿度8
0%における炭酸ガス/酸素ガス透過度の比が14のフ
ィルムが得られた(比較例2)。それぞれの皮膜につい
て得られたガス透過度等の測定値および計算値を表−1
に示した。
【0028】[比較例3] 比較例1で用いたのと同方法でエチレンジアミン溶液を
TPXフィルム(厚さ25μm)上に塗布したところ、
塗れ性に乏しく、またエチレンジアミンは常温(20〜
30℃)で液状であり固体化しないため、乾燥皮膜を得
ることは出来なかった。
【0029】
【表1】
【0030】[実施例6〜8実施例4で用いた PAAとメチレン基数の異なる一級ジ
アミンを用い皮膜を作製し、一級ジアミンにはエチレン
ジアミン(実施例4、前出)、トリメチレンジアミン
実施例6)、テトラメチレンジアミン(実施例7)、
ヘキサメチレンジアミン(実施例8)の4種類を用い
た。これらはすべて和光純薬工業(株)社製の試薬であ
った。25質量%PAA水溶液は水を加えて10質量%
になるように調製した。PAAのカルボキシル基と等モ
ル当量になるように上記の一級ジアミンをそれぞれ10
質量%PAA水溶液に添加し、ガラス棒で撹拌した後、
反応混合溶液を得た。
【0031】この混合溶液をコロナ処理を行ったTPX
フィルム(厚さ25μm)上に塗布し、実施例1〜5
同様にして厚さ40μmの乾燥皮膜を形成させた。実施
1〜5と同様にして、得られた積層フィルムのガス透
過度を測定し、表−2に示した。表から分かるように、
メチレン数が2つであるエチレンジアミンとPAAとか
ら成る膜は、実施例4でも示したように、選択透過度の
比110を有する優れた炭素ガス/酸素ガス選択透過性
を示し、メチレン基数の増加に伴い透過度比の低下が見
られた。
【0032】
【表2】
【0033】[実施例9〜11実施例4で用いた PAAに水を加えて10質量%PAA
水溶液を調製した後、実施例4で用いたエチレンジアミ
ンをPAAのカルボキシル基と等モル当量になるように
添加し混合水溶液を得た。この混合溶液をPTFE(ポ
リテトラフルオロエチレン)製のシートの上で60℃で
24時間乾燥させキャストフィルムを得た。このフィル
ムを剥がし、多孔膜でサンドイッチした後、ガス透過度
を測定した。得られたキャストフィルムの厚さは1,8
00μm、780μm、1,000μmの3種類であっ
た。1800μmのキャストフィルムには多孔膜として
濾紙(実施例)、780μmのキャストフィルムには
PTFE(実施例10)、1000μmのキャストフィ
ルムにはPVDF(ポリビニリデンフロライド)(実施
11)を用いた。用いた多孔膜は、東洋濾紙(株)社
製の多孔質濾紙(厚さ220μm、保留粒子径1μm)
及び、同社製のPTFE多孔膜(厚さ55μm、平均孔
径0.2μm、多孔度74%)、およびMILLIPO
RE社製のPVDF(ポリビニリデンフロライド)多孔
膜(厚さ110μm、平均孔径0.22μm、多孔度7
5%)の3種類である。各積層体の全体の厚さは、濾紙
を用いた系で2,240μm、PTFEを用いた系で8
90μm、PVDFを用いた系で1,220μmであっ
た。得られた積層体のガス透過度を実施例1〜5と同様
にして測定し、結果を表−3に示した。
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物から得られるフィル
ム層を少なくとも1層含む積層フィルムは炭酸ガス透過
度と酸素ガス透過度の比が大きく改善されており、炭酸
ガスが混在する気体から炭酸ガスを分離するのに適した
素材となり得る。また、積層フィルムとして膜の厚さを
調整することにより、炭酸ガスを発生しやすく、酸素と
の接触を嫌う食品の包装材料としても適した素材とな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 33/02 B01D 71/06 B32B 27/18 B32B 27/30

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、こ
    れらの混合物、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー
    の群から選ばれるポリアクリル酸類(A)とポリアクリ
    ル酸類(A)の全カルボキシル基当り0.3〜1.0モ
    ル当量の脂肪族第1級ジアミン(B)との反応混合物か
    ら構成された樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 脂肪族第1級ジアミン(B)がエチレン
    ジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジア
    ミン、ヘキサメチレンジアミンの群から選ばれた少なく
    とも一種のジアミンである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2のいずれかに記載の樹脂
    組成物から形成されたフィルム。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のフィルム層を少なくと
    も1層含む他のフィルム基材との積層フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の積層フィルムにおいて、
    前記樹脂組成物から形成されたフィルム層が少なくとも
    1つの中間層を構成し、他のフィルム基材が両最外層を
    構成する請求項4記載の積層フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5のいずれかに記載の積層
    フィルムであり、かつ温度23℃、相対湿度80%にお
    ける炭酸ガス透過度と酸素ガス透過度の比(炭酸ガス透
    過度/酸素ガス透過度)が20以上である気体選択透過
    性フィルム。
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