JP3505055B2 - シャドウマスク用鋼板、シャドウマスク及び受像管 - Google Patents

シャドウマスク用鋼板、シャドウマスク及び受像管

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JP3505055B2 JP03693097A JP3693097A JP3505055B2 JP 3505055 B2 JP3505055 B2 JP 3505055B2 JP 03693097 A JP03693097 A JP 03693097A JP 3693097 A JP3693097 A JP 3693097A JP 3505055 B2 JP3505055 B2 JP 3505055B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカラー受像管のシャ
ドウマスクに用いられる鋼板、シャドウマスク及びそれ
を組み込んだカラー受像管に関する。より詳細にはシャ
ドウマスクのドット孔を加工する際のエッチング性に優
れるとともに、フラットマスクにプレス成形加工する際
にストレッチャーストレインの発生を防止することがで
きるプレス成形加工性にも優れた、アルミキルド鋼から
なるシャドウマスク用鋼板、シャドウマスク及びそれを
組み込んだカラー受像管に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】カラー受像管(以下C
RTという)に使用されるシャドウマスク用素材として
は、インバー合金またはアルミキルド鋼からなる薄板材
が用いられている。アルミキルド鋼からなるシャドウマ
スク用素材は、アルミキルド鋼を熱間圧後、酸洗を施し
てスケールを除去した後、焼鈍し、次いで一次冷間圧延
し、脱炭焼鈍後仕上げ冷間圧延する一連の工程を経て製
造される。このようにして得られたアルミキルド鋼の薄
板材に、フォトエッチング法を用いてドット孔を穿孔加
工することによりフラットマスクが得られる。このフラ
ットマスクを焼鈍し、所望の形状にプレス成形加工した
後、黒化処理し、次いでCRT内に組み込まれる。
【0003】シャドウマスクは、電圧を印加して電子線
を発生する陽極としての役割と、ドット孔を通過した電
子線を、前面のパネル上に塗布された蛍光塗料のドット
に当てる際の絞りとしての役割を併せ持っている。後者
の役割としては、CRT上に写し出される画像の鮮明
さ、色にじみ、および輝度むらに直接影響するため、ド
ット孔は極めて高い寸法精度が要求される。ドット孔
は、薄板状のマスク板の陰極側に面した面では口径が小
さい部分(以下小ドットという)、パネル側に面した面
では口径が大きい部分(以下大ドットという)、および
小ドットと大ドットを結ぶ出会い部分である孔(Break
Through Hole、以下 Br Th孔という)からなる構造を有
している。電子線の絞りとしてのシャドウマスクの役割
は実際は BrTh孔が果たしている。
【0004】シャドウマスク用鋼板のエッチング加工
は、次のようにして行われる。まず鋼板に脱脂等の前処
理を施し、両面にレジストを塗布し乾燥する。次いで、
ドット孔のマスターパターンを露光し、現像してドット
孔に相当する部分のみに鋼板が露出したマスターパター
ンを焼き付けた後、塩化第二鉄液をスプレーし、ドット
孔に相当する部分の鋼板部分をエッチングし穿孔する。
通常、シャドウマスク用鋼板の板厚は 100〜250μm程度
であり、上記の Br Th孔は小ドットから板厚方向に15〜
25μm 程度大ドット寄りに位置し、その直径は高精細用
シャドウマスクで120μm、中精細用シャドウマスクで14
0μm程度である。この Br Th孔は一枚のシャドウマスク
に数十万個以上穿孔され、かつそれらの位置、直径、真
円度等の寸法精度は厳しく管理されなければならない。
従って、正確、かつばらつきの少ない孔の形状を得るた
めには、エッチング加工の諸工程において、塩化第二鉄
液濃度等、工程を厳しく管理することはもちろんのこ
と、シャドウマスク用鋼板自体のエッチング特性の改善
が不可欠である。シャドウマスク用アルミキルド鋼板の
エッチング特性を改善する方法として、これまでに例え
ば特開昭58-81926号、特開平6-330167号、特開昭63-286
524号 等において各種の技術が提案されているが、シャ
ドウマスク用鋼板自体のエッチング特性の改善を具体的
に教示する技術は見当たらない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、CRT
用シャドウマスクの製造における技術的問題点は、シャ
ドウマス用鋼板のエッチング特性の改善である。シャド
ウマス用のアルミキルド鋼板のエッチング特性を阻害す
る鋼中に含まれるの元素としてはSがよく知られてお
り、その含有量を限定した技術は開示されている。通
常、Sは製銑、製鋼工程における脱硫処理で除去される
が、シャドウマスク用のアルミキルド鋼の製鋼作業にお
いては、Sの低減を優先するために溶湯の歩留まりを犠
牲にしており、素材コストを引き上げる結果になってい
る。従って、単にS含有量を低減する製造法では、エッ
チング特性が改善された安価なシャドウマスク用のアル
ミキルド鋼板を供給することは不可能である。
【0006】以上より、本発明の課題は安価でかつ安定
したエッチング特性を有するシャドウマスク用アルミキ
ルド鋼板を提供することである。より具体的には、エッ
チング特性を阻害するSの低減は、脱硫工程における溶
湯歩留まりを材料コストを圧迫しない通常レベルに維持
しつつ、残留するSの有害性を他の安価な合金元素を添
加して無害化することにより、上記課題の目的を達成す
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のシャドウ
マスク用鋼板は、0.051〜1.0重量%のCu、
0.025重量%以下のS、Cu−S≧0.02重量%、
および残部がFeから成るアルミキルド鋼を用い、か
つ、(エッチ深さ)/(サイドエッチ)で定義されるエ
ッチファクター値が2.89以上であることを特徴とす
る。請求項2記載のシャドウマスクは、前記請求項1の
シャドウマスク用鋼板を用いることを特徴とする。請求
項3記載のカラー受像管は、前記請求項2記載のシャド
ウマスクを組み込んだことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、アルミキルド鋼
中にCuを均一に固溶させた鋼板を用いることにより、
塩化第二鉄水溶液をスプレーした際のエッチング特性が
著しく改善される。Cuを固溶した効果は、鋼中のS含
有量が通常のアルミキルド鋼における0.025重量%以下の
範囲であれば、Sのエッチング阻害性を補い、さらにS
の阻害性を上回る改善効果が得られ、その結果、安定し
たエッチング特性が得られる。また、S含有量が0.025
重量%以下の場合、Cu添加量がS含有量に対して0.02
重量%以上上回る量であれば、Cu添加によるエッチン
グ特性の改善効果がさらに明確になる。このような事実
を定量的に評価するため、エッチング特性を評価する手
段として、エッチファクター値を測定する方法がよく知
られており、本発明においてはエッチファクター値を用
いてエッチング特性を評価した。エッチファクター値の
測定方法は、鋼板の片面をエッチングし、エッチ深さお
よびサイドエッチの比で示される。 エッチファクター =(エッチ深さ)/(サイドエッチ) … (1) 上記の式 (1)に示されるように、エッチング特性に優れ
る材料は、深さ方向(板厚方向)のエッチされる量に対
し、サイド方向(面方向)にエッチされる量が少なくな
るので、エッチファクター値が大きい値を示す。逆に、
エッチング特性に劣る材料はサイドエッチの量が多いの
で、エッチファクター値は小さい値を示す。すなわち、
エッチファクター値の高い材料では、ドット孔の口径が
一定になるような条件でエッチングした際に、より深い
ドット孔が得られ、穿孔性に優れるばかりでなく、各ド
ット孔間のピッチが狭小化した高精細シャドウマスクに
対応することが可能となる。さらに、エッチファクター
はCRTの画像画質に最も重要なBr Th孔の形状に影響
を及ぼし、エッチファクター値が大である時、Br Th孔
はより真円に近くなり、鮮明な高画質が得られる傾向を
示す。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。まず、製
造方法について説明する。本発明のCRT用シャドウマ
スク用鋼板であるアルミキルド鋼板は、通常の製銑、製
鋼工程を経た溶湯、あるいは鋼材スクラッップ等を用い
電炉溶解で得られた溶湯を取鍋精錬および真空脱ガスプ
ロセス等を経て、Al脱酸したアルミキルド鋼である。
凝固後、鋼中に含有する元素成分は、Cuを0.015重量%
以上含有し、残部がFeおよびその他の不可避的元素か
ら成るように合金組成を調整するか、あるいはCu含有
量がS含有量より0.02重量%多く含まれ、残部がFeお
よびその他の不可避的元素から成るように合金組成を調
整する。通常の連続鋳造法またはインゴット鋳造法によ
り凝固成形した、連鋳スラブまたはインゴットを熱間圧
延し、熱延鋼板を得る。この熱延鋼板は脱スケール処理
後、冷間圧延で所定の板厚とし、コイル状に巻き取る際
に重なる鋼板面同士が接触しないようにオープンコイル
状に巻き取り、箱形式焼鈍炉を用い、脱炭焼鈍処理す
る。ただし、焼鈍炉は箱形炉に限定するものではなく、
同様な処理能力を有すれば、連続式焼鈍炉を用いること
を妨げない。脱炭焼鈍は、露点調整された非酸化性雰囲
気において、通常(630〜700)℃×(5〜20)時間+(700〜8
60)℃×(5〜10)時間の熱履歴で実施する。脱炭焼鈍後に
おいて、C含有量は0.001重量%以下に低減する必要があ
る。ついで、冷間圧延により所定のシャドウマスク用鋼
板の板厚に仕上げ加工する。同時に、鋼板表面はその上
に塗布するレジスト膜の密着性を考慮した面粗度に仕上
げる。以下に、本発明のCRT用シャドウマスクに用い
るアルミキルド鋼板中に添加される元素および不純物等
の不可避的元素、さらにその添加量あるいは含有量の限
定理由について説明する。
【0010】Cuは鋼中に均一固溶することにより、エ
ッチング特性を著しく向上する効果を有する。特に、エ
ッチング速度をマクロ的及びミクロ的に均一化させする
作用があるので、エッチング面が平坦でかつ肌理細かい
面性状を呈するようになる。この効果はCuの添加量に
依存し、添加量が増すとともにエッチング面粗度、たと
えばRa値は著しく小さい数値を示し、鋼板表面が肌理
細かい面を呈するようになる。従って、Cuの添加量は
0.015重量%以上に限定する。Cuの添加量が0.015重量%
未満ではその効果が少ないので、下限を0.015重量%とす
る。より好ましくは0.018重量%以上であり、さらに望ま
しい範囲は0.020重量%以上である。上限は特に限定しな
いが、1.0重量%を越えた場合、エッチング液の劣化の主
な原因となり、エッチング速度の低下を招く。よって、
あえてCu含有量の上限値を限定する必要があれば、1.
0重量%とする。より好ましくは 0.95重量%以下であり、
さらに、望ましい範囲は 0.90重量%以下である。さら
に、Cuの添加により、Sのエッチング特性を阻害する
効果が補償されるので、CuはS含有量を上回る量で添
加する。具体的には、Cu含有添加量とS含有量の差が
0.02重量%以上となるようにCuを添加する。好ましい
含有量の差は0.022重量%以上である。さらに望ましくは
0.023重量%以上である。
【0011】Sは鋼中に残存してエッチング面を粗くす
るので、エッチング性を阻害する元素である。さらに、
Sは鋼材を脆化し、機械的特性を低下するので、S含有
量は可能な限り少ない方が望ましい。S含有量を限定す
る必要があれば、S含有量は0.030重量%以下に限定す
る。より好ましくは0.028重量%以下であり、さらに望ま
しい範囲は0.025重量%以下である。
【0012】その他の不可避的元素としては、C、S
i、Mn、P、N、Al等の鉄鋼材料中に通常微量含ま
れる元素、および溶解原料の一部に使用される鉄スクラ
ップに含まれるCr、Ni、Mo、Ti、V、Nb、W
等の鉄鋼材料の合金元素が含まれる。Cはシャドウマス
ク用のアルミキルド鋼板を製造する際の脱炭焼鈍工程に
おいて脱炭されるので、その含有量は通常0.001重量%以
下となる。C含有量を限定する必要があれば、0.001重
量%以下とする。Cは鋼中に侵入型に固溶し、フラット
マスクのプレス成形時にストレッチャーストレインが発
生する主原因となり、これによって不均一伸びが生じる
ことになるので、その含有量は厳しく管理されなければ
ならない。Mnは製鋼工程で脱酸材として添加される。
また、鋼中に残存するMnは固溶強化の効果を有する。
さらに、Sによる熱間脆性を防止する効果がある。従っ
て、Mn添加量を限定する必要があれば、その含有量は
0.025〜0.35重量%の範囲に限定する。下限値を0.025
重量%としたのは、まず機械的特性の劣化防止に必要な
MnSを形成させるためには、S含有量の上限が 0.025
重量%である場合、少なくともSと同量の含有量を必要
とするためである。上限値を 0.35重量%としたのは、
固溶硬化によりシャドウマスクを成形する際の生産性を
阻害するからである。Siはエッチング液と反応して、
塩化第二鉄水溶液の劣化を招く。また、Siは鋼中に固
溶し鋼を脆化するので、含有量は少ない程好ましい。S
i含有量が0.04重量%以上になると、上記の影響は著し
くなる。従って、Si含有量は0.04重量%以下に限定す
る。Pは鋼を著しく脆化する元素であり、その含有量は
厳しく管理されなければならない。通常の製鋼工程にお
いては、Pの含有量は0.015重量%以下の鋼が得られる。
従って、Pの含有量を限定する必要があれば、0.015重
量%以下に限定する。NはCと同様の影響を及ぼすの
で、その含有量は厳しく管理されなければならない。通
常の製鋼工程において、Nの含有量は0.009重量%以下が
確実に得られるので、N含有量を限定する必要があれ
ば、0.009重量%以下に限定する。Alは脱酸材として製
鋼工程において用いられ、鋼の清浄度を向上させる効果
を有する。さらに、鋼中に残存するAlはNと結合し
て、AlNを形成し、Nによる不均一伸びを防止する効
果がある。しかしながら、多量に含有すると、固溶硬化
による脆化を生じるうえ、エッチング特性を劣化する。
Al含有量は通常の製鋼工程を経た場合、0.1重量%以下
が確実に得られるので、Al含有量を限定する必要があ
れば、0.1重量%以下に限定する。
【0013】Cr、Ni、Mo、Ti、V、Nb、およ
びWは、いずれも積極的に添加する元素ではなく、アル
ミキルド鋼板の溶解原料として使用されるスクラップ等
の中に含まれたものが残存する程度である。これらの元
素は鋼中に固溶することにより固溶硬化するので、鋼の
強度を向上する効果を有する。従って、含有量を限定す
る必要があれば、いずれの元素も 0.5重量%以下に限定
する。より好ましくは0.3重量%以下とする。
【0014】以下に、本発明のシャドウマスク用アルミ
キルド鋼板の製造方法について、若干の補足説明を加え
る。オープンコイル焼鈍の熱履歴としては、(630〜700)
℃×(5〜20)時間+(700〜860)℃×(5〜10)時間を用いる
が、その理由は次のとおりである。一段目の焼鈍におけ
る焼鈍温度(630〜700)℃は、主に脱炭を目的とし、二段
目の焼鈍における焼鈍温度(700〜860)℃は、偏析元素の
拡散分散を目的とする。630℃以下では脱炭反応速度が
遅く、860℃以上では鋼板の変形により、鋼板相互の密
着が生じやすくなるので、上限を 860℃とする。しか
し、焼鈍時の生産性を向上させるために、一段式焼鈍を
採用することを妨げるものではない。熱延鋼板中のC含
有量が0.04重量%程度であれば、(600〜830)℃の範囲で
鋼はほぼ全量α-Feになるので、熱履歴は (600〜830)
℃×(5〜20)時間のような一段式脱炭焼鈍のみによっ
て、脱炭および偏析の拡散が充分可能である。
【0015】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に
説明する。表1に示す化学組成を有するアルミキルド鋼
板を、溶解、精錬、連続鋳造、熱間圧延、一次冷間圧
延、脱炭焼鈍および二次冷間圧延の一連の工程を経て製
作した。精錬工程において、S含有量の調整、真空脱ガ
ス処理、およびAl脱酸処理を実施した。熱間圧延後の
板厚は2.0mmとし、一次冷間圧延により板厚を0.6mmとし
た。脱炭焼鈍条件は、650℃×10時間+750℃× 6時間に
設定し、仕上げの二次冷間圧延で、板厚をいずれも0.12
4〜0.126mmの範囲にそろえた。得られた表1に示すアル
ミキルド鋼板は試料番号1〜が本発明の範囲にSおよ
びCu含有量を調整しており、比較材は試料番号8〜11
で示す。表2は、表1に示す供試材について測定したエ
ッチファクター、そのばらつき状態、およびCuとSの
含有量差(Cu−S)重量%を示す。エッチング条件は、
供試材であるアルミキルド鋼板表面のフォトレジストパ
ターンの孔径を110μmとし、エッチング液として塩化第
二鉄水溶液を使用し、濃度48゜Be(ボーメ度)、液温
70℃に調整した後、スプレー圧0.3MPaで100秒間エッ
チングした。エッチファクターは各供試材当たり 300孔
測定し、平均値およびばらつき(σ値)を求めた。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】試料番号1〜は、S含有量を0.025重量%
以下とし、かつCu添加量を0.051〜0.978重量%となる
ように調整した。試料番号8〜11は、SまたはCu含有
量が本発明の合金組成の範囲から外れた供試材としてい
る。表2より、本発明の合金組成を有する材料は、いず
れも2.89を上回るエッチファクター値を示し、またばら
つきも0.12〜0.14程度に収まっており、エッチング特性
に優れることが分かる。試料番号8〜11はいずれもCu
含有量が0.011重量%以下であり、Cuの効果は認めら
れない範囲である。この場合、S含有量が減少するとと
もにエッチファクターは改善されているが、S含有量の
低減化を目的とする供試材番号11(S含有量0.0051重量
%)でもエッチファクターは2.80程度に過ぎない。これ
らの結果より、S含有量の低減化によるエッチング特性
の改善効果には限界があることが判明した。また、S含
有量を0.0051重量%まで低減化するには高度な精錬技術
を必要とし、さらに溶湯の歩留まり低下を免れない。従
って、シャドウマスク用アルミキルド鋼板のエッチング
特性を安価でかつ安定的に改善する方法としては、S含
有量を通常のレベルとし、Cuを適正量添加することで
あることが明確になった。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の鋼板
は、0.051〜1.0重量%のCu、0.025重量%
以下のS、Cu−S≧0.02重量%、および残部がF
eから成るアルミキルド鋼を用い、かつ、(エッチ深
さ)/(サイドエッチ)で定義されるエッチファクター
値が2.89以上であるシャドウマスク用鋼板を用いて
いるので、エッチング特性に優れ、フラットマスク製造
工程のエッチング加工時のドット孔の穿孔性に優れてい
る。また、これらの鋼板は、エッチファクター値が高
く、サイドエッチが少なく、エッチ深さが深いので、各
ドット間のピッチが狭小化した高精細シャドウマスクの
製造に対応できる。さらに、これらの鋼板を用いたシャ
ドウマスクは、ドット孔内の Br Th孔の品位が良好でか
つばらつきが少なく、このシャドウマスクを組み込んだ
受像管は、高品位の画像が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 重政 進 山口県下松市東豊井1296番地の1 東洋 鋼鈑株式会社技術研究所内 (72)発明者 田原 泰夫 山口県下松市東豊井1296番地の1 東洋 鋼鈑株式会社技術研究所内 (72)発明者 藤重 寛 山口県下松市東豊井1302番地 東洋鋼鈑 株式会社 下松工場内 (72)発明者 池田 章 東京都千代田区霞が関一丁目4番3号 東洋鋼鈑株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−149782(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.051〜1.0重量%のCu、0.0
    25重量%以下のS、Cu−S≧0.02重量%、および
    残部がFeから成るアルミキルド鋼を用い、かつ、(エ
    ッチ深さ)/(サイドエッチ)で定義されるエッチファ
    クター値が2.89以上であるシャドウマスク用鋼板。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のシャドウマスク用鋼板を
    用いたシャドウマスク。
  3. 【請求項3】請求項2に記載のシャドウマスクを組み込
    んだカラー受像管。
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