JP3502760B2 - 焼きばめ作業性に優れたヒートシュリンクバンド用鋼板 - Google Patents

焼きばめ作業性に優れたヒートシュリンクバンド用鋼板

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JP3502760B2 JP02631598A JP2631598A JP3502760B2 JP 3502760 B2 JP3502760 B2 JP 3502760B2 JP 02631598 A JP02631598 A JP 02631598A JP 2631598 A JP2631598 A JP 2631598A JP 3502760 B2 JP3502760 B2 JP 3502760B2
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康幸 高田
紀隆 高橋
長八 佐藤
輝夫 竹内
一郎 齋藤
広明 加藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明ばテレビ等のカラー陰
極線管において、パネル部周囲を緊締するヒートシュリ
ンクバンドに適用される鋼板に関し、特に焼きばめ作業
性に優れたヒートシュリンクバンド用鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー陰極線管では、管体内が1.0×
10-7Torrの高真空状態であることから、パネル面
の変形防止および管体の内爆防止といった観点から、バ
ンド状に成形した鋼板からなるヒートシュリンクバンド
をパネル部の周囲に設け、これにより張力を付与するこ
とによってパネル面の変形を補正している。
【0003】さらに、このようなヒートシュリンクバン
ドは、内部磁気シールドと同様、地磁気のシールドを行
う機能も有しており、地磁気による電子ビームの蛍光面
に対する着弾位置のずれ、すなわち色ずれが生じるのを
防止する機能を有している。
【0004】従来、このようなヒートシュリンクバンド
は、高周波加熱によって一定の温度まで加熱後、パネル
部に装着しているが、所定の長さまでバンドを広げない
と装着することができないため、焼きばめのための加熱
温度が高温になること、および、焼きばめのための熱処
理時間が長く、バンドを構成する鋼板の表面が酸化しや
すいなどの問題が生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みてなされたものであり、焼きばめ作業時の加熱時
間の短時間化、または焼きばめ温度を低下させることが
可能であり、焼きばめ作業を容易に行うことができる、
焼きばめ作業性に優れたヒートシュリンクバンド用鋼板
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく研究を重ねた結果、以下の知見を得た。 (1)バンド用鋼板の電気抵抗値を20μΩcm以上と
すると、高周波焼きばめ熱処理のための加熱時間が半分
となり、バンド表面の酸化を抑えることができること。
そしてSi+Al+(Mn+Cu)/2が0.5%以上
であればこのような値を達成することができること。 (2)さらにSi+Alを1%以上とした場合、500
℃までの平均熱膨張係数が12×10−6/℃以上とな
り、焼きばめのための加熱温度を低下、または、焼きば
め時のパネルとバンドの余裕が増加すること。 (3)C:0.005%以下、Si:0.1%以上、M
n+Cu:1%以下であれば23.9A/mの磁界にお
ける透磁率が従来材と同等以上となること。
【0007】
【0008】 本発明は、このような知見に基づいて完
成されたものであり、第1に、重量%で、C:0.00
5%以下、Si:0.1%以上4%以下(2.0%以上
は除く)、sol.Al:1.5%以下、Mn+Cu:
1%以下、Si+Al+(Mn+Cu)/2:0.5%
以上であり、23.9A/mの磁界における透磁率が5
40以上、室温の電気抵抗が20μΩcm以上であるこ
とを特徴とする、焼きばめ作業性に優れたヒートシュリ
ンクバンド用鋼板を提供するものである。
【0009】
【0010】 第2に、重量%で、C:0.005%以
下、Si:0.1%以上4%以下(2.0%以上は除
く)、sol.Al:1.5%以下、Mn+Cu:1%
以下、Si+Al:1.0%以上であり、23.9A/
の磁界における透磁率が540以上、室温の電気抵抗
が20μΩcm以上、500℃までの平均熱膨張係数が
12×10−6/℃以上であることを特徴とする、焼き
ばめ作業性に優れたヒートシュリンクバンド用鋼板を提
供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。まず、本発明に至った経緯について詳細に説明
する。 1.高周波焼きばめ熱処理時間と鋼中のSi、Al、M
n、Cu量との関係 図1は、高周波やきばめ加熱温度を500℃とした際
の、加熱に要する時間とバンド用鋼板の電気低抗率との
関係を示したものである。図に示すように、高周波加熱
に要する時間は、電気抵抗率と強い関係を有しており、
電気低抗率が20μΩcm以上となると、目標温度に到
達するまでに要する加熱時間が従来鋼と比べて短縮され
るようになる。なお、図1の縦軸は、従来鋼の500℃
までの加熱時間を1とした場合の相対値で示すものであ
る。
【0012】図2は、バンド用鋼板の電気抵抗率と鋼中
のSi+Al+(Mn+Cu)/2量の関係を示したも
のである。電気低抗率は鋼中のSi+Al+(Mn+C
u)/2量の増加に伴って増加し、Si+Al+(Mn
+Cu)/2が0.5以上で電気低抗率が20μΩcm
以上となる。
【0013】2.高周波焼きばめ時のパンド周長とバン
ド熱膨張率 通常ヒートシュリンクバンドでは、安定的に設計張力を
付与する目的で、パネル周長に対して0.4%程度の歪
みを加えるように、室温でのバンド長さがパネル周長よ
り短く設計されている。
【0014】このようなバンド材を、高周波加熱によっ
て加熱後、パネル部に装着するわけであるが、従来鋼の
場合、作業性の観点から、焼きばめ温度を500℃まで
高め、充分にパネルとの間に隙間ができるようにしてか
ら装着をおこなっている。このような作業性からみた際
の焼きばめ時のバンド長は、軟鋼の場合、平均熱膨張係
数が11×10-6/℃であることから、室温を20℃と
すると、パネル周長に対して(11×10-6)×(50
0−20)×100−0.4、すなわち0.13(%)
程度の余裕が必要となっている。
【0015】一方、バンド鋼板の熱膨張率が12×10
-6/℃の場合、同一の余裕をもった長さを確保するため
の温度差は(0.13+0.4)÷100÷(12×1
-6)、すなわち440℃程度となり、加熱温度を50
0℃から440+20=460℃まで約40℃低下させ
ることができる。逆に、加熱温度を、従来鋼と同じ50
0℃まで高めた際には、(12×10-6)×(500−
20)×100−0.4、すなわち0.18(%)程度
となり、取り付けのための余裕が3割以上増加する。
【0016】このように、バンドの熱膨張率を高めるこ
とは、焼きばめ作業性を高める効果が高い。鋼中のSi
+Al量と20℃〜500℃の平均熱膨張係数の関係を
図3に示す。Si+Alが増加すると、熱膨張係数が大
きくなることが分かる。特に、Si+Alが1%以上と
なると熱膨張係数が12×10-6/℃以上となりその効
果が大きい。
【0017】このように、本発明では、焼きばめ作業性
を優れたものにするために、室温の電気抵抗を20μΩ
cm以上と規定し、これを満たす範囲としてSi+Al
+(Mn+Cu)/2が0.5%以上とし、さらに電気
抵抗20μΩcm以上かつ500℃までの平均熱膨張係
数12×10-6/℃以上と規定し、これを満たす範囲と
してSi+Alを1%以上としているが、他の鋼成分の
好ましい範囲として、重量%で、C:0.005%以
下、Si:0.1%以上4%以下、sol.Al:1.
5%以下、Mn+Cu:1%以下と規定する。
【0018】以下、成分をこのように限定した理由につ
いて説明する。C:Cは透磁率にとって好ましくなく、
その透磁率に対する悪影響を防ぐためには、その量を
0.005%以下とする必要がある。
【0019】Mn、Cu:Mn、Cuは電気低抗率を増
加させる働きがあるため重要である。ただし、Mn+C
uが1%を超えると加工性が低下するため、Mn+Cu
を1.0%以下に規制する。
【0020】Si:Siは透磁率、電気低抗率、熱膨張
率をともに高めるために極めて重要な元素である。そし
て、透磁率を従来鋼と同程度とするためには、その量を
0.1%以上とする必要がある。一方、Siが4%を超
えて含まれると、加工性が著しく低下する。このため、
Si含有量を0.1%以上4%以下とする。
【0021】sol.Al:sol.Alもまた、電気
抵抗率、熱膨張率をともに高めるため重要である。ただ
し、1.5%を超えて含まれると加工性が著しく低下す
る。そのためその含有量を1.5%以下とする。
【0022】
【実施例】表1の供試鋼を溶製後、1200℃に再加熟
し、仕上温度820℃、巻取温度680℃にて板厚3.
2mmに熱間圧延した。得られた熱延板を酸洗し、板厚
1.2mmまで冷間圧延した後、種々の温度で90秒間
焼鈍した。このようにして製造された鋼板の室温の電気
低抗率および500℃までの平均熱膨張係数を測定し
た。さらに、これらの鋼板をヒートシュリンク相当の5
00℃、5秒間の加熱を施し、室温まで空冷した後、直
流磁気特性(23.9A/mにおける透磁率と0.5T
まで励磁したときの保磁力)を測定した。その結果を表
2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】供試鋼成分が本発明範囲にある本発明鋼に
あっては、電気抵抗率が20μΩcm以上であり、焼き
ばめ作業性に優れる特性となることが確認された。ま
た、これらは透磁率も良好であった。さらに、Si+A
lが1%以上の場合は、500℃までの平均熱膨張係数
が12×l0-6/℃以上であり、さらに焼きばめ作業性
が向上する特性となった。一方、供試鋼成分が本発明範
囲を外れた比較鋼にあっては、電気抵抗率が適正値を外
れており、やきばめ作業性の改善が認められなかった。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
焼きばめ作業性に優れたヒートシュリンクバンド用鋼板
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】室温での電気抵抗率と500℃までの加熱時間
との関係を示す図。
【図2】Si+Al+(Mn+Cu)/2の値と室温で
の電気低抗率との関係を示す図。
【図3】Si+Al量と20〜500℃の平均熱膨張係
数との関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾田 善彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 高田 康幸 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 高橋 紀隆 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐藤 長八 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 竹内 輝夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 齋藤 一郎 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 加藤 広明 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−214578(JP,A) 特開 平11−158549(JP,A) 特開 平11−158548(JP,A) 特開 平11−140601(JP,A) 特開 平5−89797(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/87 C22C 38/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.005%以下、S
    i:0.1%以上4%以下(2.0%以上は除く)、s
    ol.Al:1.5%以下、Mn+Cu:1%以下、S
    i+Al+(Mn+Cu)/2:0.5%以上であり、
    23.9A/mの磁界における透磁率が540以上、室
    温の電気抵抗が20μΩcm以上であることを特徴とす
    る、焼きばめ作業性に優れたヒートシュリンクバンド用
    鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.005%以下、S
    i:0.1%以上4%以下(2.0%以上は除く)、s
    ol.Al:1.5%以下、Mn+Cu:1%以下、S
    i+Al:1.0%以上であり、23.9A/mの磁界
    における透磁率が540以上、室温の電気抵抗が20μ
    Ωcm以上、500℃までの平均熱膨張係数が12×1
    −6/℃以上であることを特徴とする、焼きばめ作業
    性に優れたヒートシュリンクバンド用鋼板。
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