JP3502083B2 - 分析機器ノズル - Google Patents

分析機器ノズル

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は分析機器に装着して使用
されるノズルに関し、詳しくは、血液分析装置等の分析
機器の一部として取り付けられ、密封容器内の液体試料
を吸引採取するための試料吸引管及びエアー通気管を有
する分析機器ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】血液分析装置等の分析機器に装着され、
ゴム栓等により密封された容器から液体試料を吸引する
ためのノズルは、先端部の針状の刃先でゴム栓等を穿孔
し、吸引動作により試料を吸引すものであるが、正確な
定量採取のためには、始めの容器内の圧を大気圧状態に
する必要があり、また、吸引中容器内部を一定の大気圧
状態に保つため、容器内にエアーを通気して、容器内の
試料とエアーを置き換えながら吸引する必要があるた
め、試料吸引管とは別にエアー通気管を容器内に挿入す
ることが必要となる。
【0003】従来このような用途で用いられる分析機器
ノズルとしては、実公平7−14894のように、試料
を吸引するための試料用細管と、通気を行うための通気
用細管の2本のパイプを並列に保持して、先端各々に刃
と、ゴム栓のカス等が細管に詰まらないように先端近傍
に横孔状の開口(サイドホール)を穿設した試料用吸引
細管や、これを改良した特開平9−250972のよう
に、並列に密着させた2本のパイプを溶接し、一体化し
てあたかも1本の管のように構成した試料吸引管、ある
いは特開昭58−76765のように、内外管に隙間を
設けた同軸の二重管構造として、内管内部を試料吸引通
路とし、内管と外管の隙間を通気路として、外管先端部
で内管外周部と気密させた、内管の先端に刃先と、各々
の管の先端近傍部にサイドホールを設けた試料供給装置
のノズルが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の2本の
管を並列に設けるのは、1本の管径が細くなるため容器
のゴム栓等へ穿刺するさいに、針管に無理な力がかかり
管に歪みが生じるなどにより穿刺性が悪くなることや、
同じ理由による耐久性の低下が危惧される。また、並列
な2本の管を一体化したものでは、ノズル全体の断面形
状が楕円状となり、かつ刃先形状も真に鋭利なポイント
とすることは困難であることが予想され、真円状の鋭利
な刃先を有する針管に比較して穿刺性が劣ることが懸念
される。また、このようなノズルでは、2本の管の一体
化や刃先加工等において、製造や加工が明らかに面倒と
なり製造コストがかさみ、製品が高価なものとなってし
まうことが懸念される。
【0005】一方、同軸状に2重管としたものでは、内
管(試料吸引管)と外管(通気管)の外径が異なるた
め、内外管の遷移部(外管の先端部)で段差が生じてし
まうため、先端で穿刺した後に穿刺孔を更に拡張しなが
ら容器内へノズルを押し込むことになるため、容器のゴ
ム栓やノズルそのものに負担がかかるといった問題があ
る。
【0006】以上の問題点に鑑み、本発明は試料吸引管
とエアー管を備えた分析機器ノズルにおいて、密閉容器
のゴム栓等に対して穿刺性が特に優れ、かつ製造容易な
分析機器ノズルを提供することを課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の分析機器ノズル
は、中空管の先端に刃先と、先端近傍部の側面に試料用
通路となる管内腔と連通する試料吸引用開孔(サイドホ
ール)を有し、管径を中途より減径し、基部側の管の径
を先端部側の管の径より細径とした試料吸引管と、前記
試料吸引管と同一外径の中空管の先端近傍部側面に、エ
アー用通路と連通するエアー通気用開孔(サイドホー
ル)を有し、前記試料吸引管と同軸上であって、該試料
吸引管の減径された部分の外周囲に、エアー用通路とな
る隙間を形成して、試料吸引管の減径開始部位と管先端
の当接部を気密的に封止固設したエアー通気管と、前記
試料吸引管及びエアー通気管各々の基端部に設ける基部
よりなり、ノズル部は、先端刃先部及び開孔部を除き、
先端部より基端部に亘り凹凸がなく外径をほぼ一定とし
て構成する。
【0008】前記試料供給管の先端に設ける刃先は、該
試料吸引管の先端部を減径し内腔を閉塞した後に、該先
端閉塞部分に形成する。
【0009】あるいは、前記先端の刃先は、ダイヤモン
ド、サファイア、超硬合金等の耐摩耗性に優れた材料で
形成して、該形成した刃先を試料吸引管の先端に挿着し
て形成する。
【0010】
【作用】本手段の分析機器ノズルによれば、試料吸引管
とエアー通気管の2本の管を構成するのに同軸状の2重
管の構造をとりながらも、先端部から基端部まで凹凸が
なく外径がほぼ一定となり、真円形の1本の管と同じ形
態とすることができるため、従来の段差付きの2重管や
2本を並列したノズルに比較して、穿刺のさいの抵抗を
低くすることができ、また、2重管構造となっているた
め容器のゴム栓を穿刺するさいの剛性も十分で、ノズル
管そのものにもゴム栓にも穿刺による負担をかけること
がない。更に、刃先をダイヤモンド、サファイア、超硬
合金等の耐摩耗性に優れた材料とすることで先端の強度
高まり、繰り返し使用しても刃先が変形することがな
い。
【0011】更に、刃先とサイドホールを設けた絞りパ
イプの試料吸引管(内管)の絞り部外周囲に、同じ外径
のサイドホールを設けたエアー通気管(外管)を取り付
け、エアー通気管先端部の試料吸引管との当接部を溶接
等により封止接合し、各々の基端部に基部を接続したの
みの構造であり、製造が容易で加工も一般的なものであ
るため、従来の、並列に2本を一体化したものと比較し
て製造や加工に大きなコストを必要としない。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の分析機器ノズルの実施の
形態を図面を参考にして詳細に説明する。
【0013】図1は本発明の一例の分析機器ノズルの先
端側の断面図を示し、図2は基部側の断面の模式図を示
す。本例の分析機器ノズルは、ステンレスパイプの先端
部に刃先13と、先端近傍に試料通路12と連通する試
料用開孔11を設け、管中途より管の径を減径した試料
吸引管10と、前記試料吸引管と同一外径のステンレス
パイプの先端部近傍に、エアー通路22と連通するエア
ー用開孔21を設け、前記試料吸引管10と同軸上の前
記減径された部分の外周囲にエアー通路22となる隙間
を設けて装着し、試料吸引管10と2重管構造となるエ
アー通気管20と、前記試料吸引管10の基端部を接続
し、試料通路12を貫通して設ける吸引管基5と、前記
エアー通気管20の基端部を接続し、エアー通路22を
貫通して設ける通気管基6とで基本構成される。
【0014】更に、各部を詳細に説明すると、試料吸引
管10は、外径約1.4mmステンレスパイプの一方端
部(先端側)を減径加工して内腔を完全に閉塞し、該閉
塞部14に鋭利な刃先13(斜めカット、三角錐、円錐
等)を形成し、また先端近傍の側面に放電加工等によ
りサイドホールを開け、試料通路12となる試料吸引管
内腔と連通した試料用開孔11として形成し、一方、他
端側(基端側)も先端の刃先より5mm程度の位置か
ら、試料通路12となる内腔を保持し、かつ後記するエ
アー通気管20内周面と隙間を生じるような径に減径加
工されて形成される。
【0015】エアー通気管20は、前記試料吸引管10
と同じ外径約1.4mmのステンレスパイプの一方端部
(先端側)の近傍部側面にサイドホールを開けて、エア
ー通路22となるエアー通気管20の内腔と連通したエ
アー用開孔21とし、前記した試料吸引管10の基端側
の減径加工された部分の同軸上外周に、試料吸引管10
の外周面とエアー通気管20の内周面との隙間がエアー
通路22を形成するように装着した2重管構造として、
該試料吸引管10の減径加工開始部とエアー通気管20
の先端部の当接部3を、レーザー溶接等により溶着固設
し一体化してノズル管を形成する。尚、溶着部3は、ノ
ズル管と凹凸がないように研磨され、ノズル管は、刃先
部13、14及び開孔部11、21を除き先端より基端
まで凹凸なく外径をほぼ一定として形成される。
【0016】吸引管基5は、樹脂により成形され、先端
側に試料吸引管10との接続部を設けて、接着等により
試料吸引管10の基端部を接続し、該試料吸引管10の
内腔より連通する試料通路12が吸引管基5後端まで貫
通している。更に、試料通路12は、定量装置7及び吸
引装置8に連通され、容器内の試料を定量的に吸引採取
できるようになっている。これらの基部、装置関係及び
吸引採取手段等は、従来の構成及び手段によれば良く、
特に詳細な説明をしない。
【0017】通気管基6は、吸引管基5と同様に樹脂に
より成形され、先端側にエアー通気管20との接続部を
設けて、接着等によりエアー通気管20の基端部を接続
し、該エアー通気管20の内周面と試料吸引管10の外
周面との隙間より連通するエアー通路22が通気管基6
の側面部の通気孔61まで貫通している。更に、エアー
通路22は、エアー圧源9に連通され、容器内の圧を大
気圧状態に保持できるようになっている。また、通気管
基6は、試料吸引管10を挿通させるため、後端部まで
貫通した構造をとり、該通気管基6後端部と吸引管基5
の先端部とが接続され一体化するように形成されてい
る。これらの基部及びエアー圧源9は、従来の構成及び
手段に因れば良く、特に詳細に説明をしない。
【0018】図3は、本発明の別の一例の分析機器ノズ
ルの先端側の断面図を示す。本例の分析機器ノズルは、
前記の例と試料吸引管10の刃先13等の先端部のみが
異なるもので、その他の構成及び構造は前記形態の通り
であるため他の部分については特に説明しない。
【0019】本例の試料吸引管10の先端部は、前例の
ように減径加工をすることなく、軸に垂直に設けた切断
面として、ノズル先端部40は、別途、ダイヤモンド、
サファイア、ルビー、超硬合金等の耐摩耗性に優れる材
料に、先端部に鋭利な刃先41(斜めカット、三角錐、
円錐 等)を形成し、一方、後端部に前記試料吸引管1
0先端切断部の内腔に嵌合するような形状を形成して、
該ノズル先端部40の後端部を接着等により試料吸引管
10の先端に固設してノズル管とした。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、前述した構成の通り、
2重管でかつ先端から基端まで凹凸なくほぼ一定の外径
のノズル管とすることができ、前述した作用のとおり、
穿刺抵抗を低く抑え、かつ穿刺のさいにゴム栓にもノズ
ルにも大きな負担をかけることがないため、穿刺性に優
れ、頻回の使用に耐える耐久性の高い分析機器ノズルを
提供することができる。更に、刃先に耐摩耗性の材料を
用いると、一層前記効果が向上される。
【0021】更に、前述したように構造が比較的容易
で、製造、加工工程も一般的とすることができる作用に
より、前述したような効果を有して高性能でありなが
ら、比較的安価な分析機器ノズルを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の分析機器ノズル先端部
を示す断面図
【図2】 本発明の実施の形態の分析機器ノズル基部を
示す模式図
【図3】 本発明の別の実施の形態の分析機器ノズル先
端部を示す断面図
【符号の説明】
10. 試料(用)吸引管 11. 試料用開孔 12. 試料(用)通路 13. 刃先 14. 閉塞部 20. エアー(通気)管 21. エアー用開孔 22. エアー(用)通路 3. 当接部(溶着部) 40. ノズル先端部 41. 刃先 5. 吸引管基 6. 通気管基 61. 通気孔 7. 定量装置 8. 吸引装置 9. エアー圧源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−76765(JP,A) 特開 平9−250972(JP,A) 特開 昭55−43489(JP,A) 特開 平9−304400(JP,A) 特開 平9−171023(JP,A) 特開 昭59−203941(JP,A) 特開 平7−83938(JP,A) 実開 昭62−178347(JP,U) 実開 昭60−183846(JP,U) 実開 昭57−107546(JP,U) 実開 昭56−28338(JP,U) 実公 平7−14894(JP,Y2) 実公 平7−45008(JP,Y2) 特表2001−507134(JP,A) 特表 平4−500732(JP,A) 特表 平5−509170(JP,A) 登録実用新案3009385(JP,U) 実用新案登録2546260(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 1/00 - 1/44 G01N 35/00 - 35/10 B01L 3/00 - 3/18 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空管の先端に刃先と、先端近傍部側面
    に試料用通路と連通する試料吸引用開孔部を有して、管
    径を中途より減径した試料吸引管と、前記試料吸引管と
    同一外径の中空管の先端近傍部に、エアー用通路と連通
    するエアー通気用開孔部を有して、前記試料吸引管と同
    軸上の減径部外周囲に、エアー用通路となる隙間を設け
    て装着し、先端部を該試料吸引管と気密的に固設するエ
    アー通気管と、前記試料吸引管及びエアー通気管各々の
    基端部に設ける基部より構成し、先端刃先部及び開孔部
    を除き、先端部より基端部に亘り凹凸がなく外径をほぼ
    一定としたことを特徴とする分析機器ノズル。
  2. 【請求項2】 前記先端の刃先は、試料吸引管の先端部
    を減径し内腔を閉塞した先端に形成する請求項1の分析
    機器ノズル。
  3. 【請求項3】 前記先端の刃先は、ダイヤモンド、サフ
    ァイア、超硬合金等の耐摩耗性に優れる材料を試料吸引
    管の先端に挿着して形成する請求項1の分析機器ノズ
    ル。
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