JP3501625B2 - 検知装置及びそれを用いたシリンダ装置 - Google Patents

検知装置及びそれを用いたシリンダ装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検知装置及びそれ
を用いたシリンダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来において、シリンダ装置のピストン
位置を検出するために、ピストンに取り付けられた永久
磁石の磁界を検出する検知装置が用いられる。
【0003】従来の検知装置においては、ピストンに設
けられた永久磁石の磁界がシリンダチューブを貫通して
外部に出る必要があるために、シリンダチューブに非磁
性材料を用いる必要があった。そのため、シリンダチュ
ーブに磁性材料である鋼材を用いることができず、シリ
ンダチューブの肉厚及び外径が大きくなり、シリンダ装
置が大型化するという問題があった。
【0004】また、シリンダチューブの肉厚が大きくな
ると、外部に出る磁界が弱くなり、検知装置による検知
が難しくなるという問題があった。これらの問題を解決
するために、シリンダチューブに磁性材料を用い、高透
磁率材料からなる2つの磁気伝導体を、それぞれの一端
がシリンダチューブに近接するように、且つそれぞれの
他端の間に空隙を形成するように取り付け、2つの磁気
伝導体の空隙に磁気センサを取り付けた検知装置が提案
されている(特公平7−76682号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来の
検知装置によると、磁気センサが2つの磁気伝導体の空
隙に取り付けられるので、空隙の寸法が磁気センサの大
きさに依存することになる。
【0006】したがって、磁気センサが大きい場合には
空隙も大きくなってしまうので、使用できる磁気センサ
の形状及び寸法に制限があり、空隙の大きさを最適値に
設計することが困難である。また、使用可能な磁気セン
サの種類も限られることとなる。
【0007】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたも
ので、磁性材料からなるシリンダチューブを使用するこ
とができ、しかも、使用可能な磁気センサの形状寸法の
範囲を広げることができ、且つ空隙の大きさを最適値に
設計することのできる検知装置及びそれを用いたシリン
ダ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る装
置は、磁性材料からなる壁部材の一方の表面に取り付け
られ、前記壁部材の他方の表面に沿うように移動する磁
石の磁界を検知するための検知装置であって、高透磁率
材料からなる2つの磁気バイパス部材が、それぞれの一
端が前記壁部材に近接又は当接し且つそれぞれの他端が
クリアランスを有して互いに対向するように、全体とし
て前記磁石の両磁極の方向に沿って配置されるように支
持板の一方の面に取り付けられ、磁界を検出する磁気セ
ンサを保持する基板が、前記磁気センサが前記磁気バイ
パス部材のそれぞれの他端の対向部の周辺の近接位置
に、前記磁気バイパス部材の延びる方向において前記磁
気バイパス部材と位置が重なるように、前記支持板の他
の一方の面に取り付けられ、てなる。
【0009】
【0010】 請求項の発明に係る装置は、磁性材料
からなるシリンダチューブ、前記シリンダチューブ内を
摺動するピストン、前記ピストンに設けられた永久磁
石、及び、前記シリンダチューブの外側の表面に取り付
けられ、前記永久磁石の磁界を検知するための検知装
置、を有し、前記検知装置は、高透磁率材料からなる2
つの磁気バイパス部材が、それぞれの一端が前記壁部材
に近接又は当接し且つそれぞれの他端がクリアランスを
有して互いに対向するように、全体として前記磁石の両
磁極の方向に沿って配置されるように支持板の一方の面
に取り付けられ、磁界を検出する磁気センサを保持する
基板が、前記磁気センサが前記磁気バイパス部材のそれ
ぞれの他端の対向部の周辺の近接位置に、前記磁気バイ
パス部材の延びる方向において前記磁気バイパス部材と
位置が重なるように、前記支持板の他の一方の面に取り
付けられ、てなる。
【0011】磁気バイパス部材の材料として、パーマロ
イ、ケイ素鋼、鉄コバルト合金、鉄ニッケル合金、及び
パーマロイクラッドステンレスなどが用いられる。磁気
センサとして、ホール素子、ホールIC、磁気抵抗効果
素子(MR素子)、磁気トランジスタ、リードスイッ
チ、近接センサ、及びコイルなどが用いられる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るシリンダ装置
1の要部を示す断面図、図2は検知装置15の断面正面
図、図3は検知装置15の断面平面図、図4は検知装置
15の断面側面図である。
【0013】図1において、シリンダ装置1は、シリン
ダチューブ11、ピストン12、ピストンロッド13、
永久磁石14、検知装置15、及び図示しないシリンダ
カバーなどから構成されている。
【0014】シリンダチューブ11は、磁性材料である
炭素鋼鋼管などからなる。ピストン12は、アルミニウ
ム合金、ステンレスなどの非磁性材料からなり、外周に
設けられた環状の溝に永久磁石14が装着されている。
ピストン12には、シリンダチューブ11との間のシー
ルのために、図示しないパッキンが設けられている。ピ
ストンロッド13は、鋼材などからなり、その先端部に
設けられたネジなどによりピストン12と一体に連結さ
れている。
【0015】永久磁石14は、環状であり、ピストンロ
ッド13の軸方向に沿った方向に、N極及びS極が設け
られている。検知装置15は、永久磁石14の磁界を検
知し、これによってピストン12の位置を検出するため
のものである。
【0016】図2及び図3をも参照して、検知装置15
は、ケーシング30、磁気バイパス部材31,32、結
合部材33、磁気センサ34、支持板35、基板36、
及びケーブル37などから構成されている。
【0017】ケーシング30は、合成樹脂などからな
り、内部に磁気バイパス部材31,32などの部品を収
納する。磁気バイパス部材31,32は、高透磁率材料
からなり、略L字形に形成されている。各磁気バイパス
部材31,32は、それぞれの一端部311,321が
幅広に形成され、その外端面がシリンダチューブ11に
近接して、好ましくはシリンダチューブ11に接した状
態で配置されるように、ケーシング30の外面と同じ面
に露出している。したがって、一端部311,321の
外端面の形状は、平面でも差し支えはないが、シリンダ
チューブ11の周面に沿った曲面とするのが好ましい。
磁気バイパス部材31,32の他端部312,322
は、クリアランスGPを有して互いに対向し、その間に
塗布された接着剤などからなる結合部材33が設けられ
ている。クリアランスGPの大きさは、例えば0.1〜
0.5mm程度である。結合部材33は、当然、非磁性
体である。磁気バイパス部材31,32は、全体として
永久磁石14の両磁極の方向に沿って配置される。
【0018】磁気バイパス部材31,32の材料とし
て、例えば、パーマロイ、ケイ素鋼、鉄コバルト合金、
鉄ニッケル合金、パーマロイクラッドステンレスなどが
用いられる。これらの材料は、磁気シールドや磁気へッ
ドコアなどに使用される材料であり、最大比透磁率が1
0000以上と大きい。また、保磁力が小さく、したが
って軟磁性体でもある。また、磁気バイパス部材31,
32に用いられる材料は、シリンダチューブ11の材料
よりも飽和磁束密度が小さい。
【0019】磁気センサ34として、ホール素子、ホー
ルIC、磁気抵抗効果素子(MR素子)、磁気トランジ
スタ、リードスイッチ、近接センサなどが用いられる。
磁気センサ34の配置位置は、結合部材33の周辺の近
接位置であって、且つ磁気バイパス部材31,32の延
びる方向において磁気バイパス部材31,32と位置が
重なるような位置である。図に示す例では、磁気バイパ
ス部材31,32の上側であって、磁気センサ34の中
央部が結合部材33の真上に位置するように配置されて
いる。なお、磁気センサ34の磁気を感知する部分が他
端部312,322の間に位置することが好ましい。
【0020】このように、磁気センサ34は、磁気バイ
パス部材31,32の周辺に配置されるので、磁気バイ
パス部材31,32の対向部のクリアランスGPの大き
さを磁気センサ34の大きさに依存させる必要がなく、
クリアランスGPの大きさを最適値に設計することがで
きる。しかも、磁気センサ34の配置位置の自由度が高
いので、種々の形状寸法の磁気センサ34を適切な位置
に配置することができ、検知装置15の最適設計を行う
ことが可能である。
【0021】支持板35の一方の面には基板36が取り
付けられ、他方の面には磁気バイパス部材31,32が
取り付けられている。基板36には、検知装置15の機
能を果たすための回路パターンが設けられ、その回路パ
ターンに、図示しない電源回路、増幅回路、出力回路、
表示回路、及び磁気センサ34が実装されている。磁気
センサ34は、基板36によって保持されている。
【0022】ケーブル37は、基板36への電源の供
給、磁気センサ34の動作に基づく出力信号の取り出し
などを行うためのものであり、通常、電源の供給と出力
とを共通で行う場合には2本の電線が、それらを別個に
行う場合には3本の電線が、それぞれ用いられる。
【0023】次に、上述のシリンダ装置1の動作につい
て説明する。図1において、永久磁石14のN極から出
た磁力線は、大部分がシリンダチューブ11を通ってS
極へ戻る。シリンダチューブ11に入った磁力線の一部
は、一端部311から磁気バイパス部材31に入り、磁
気バイパス部材31、磁気バイパス部材32を通って一
端部321からシリンダチューブ11に戻る。磁気バイ
パス部材31,32の対向部分においては、磁力線の一
部は結合部材33を通り、他の一部は磁気センサ34を
通る。
【0024】磁気バイパス部材31,32の比透磁率は
10000以上であり、シリンダチューブ11の比透磁
率は数百程度であるので、磁気バイパス部材31,32
はシリンダチューブ11と比較して透磁率が数十倍以上
と桁違いに大きく、一端部311の近辺の磁力線のほと
んどが磁気バイパス部材31に流れ込む。つまり、磁気
バイパス部材31,32は、シリンダチューブ11に流
れる磁力線をバイパスする作用を有する。
【0025】磁気バイパス部材31に流れ込んだ磁力線
は、結合部材33の近辺において、磁気バイパス部材3
1,32の外部を通るので、その周辺に配置された磁気
センサ34により検知される。
【0026】磁気センサ34を通過する磁力線の数、つ
まり磁界の強さが一定値以上になると、検知装置15
は、検知信号を出力するとともに、表示回路の表示素子
が点灯する。検知信号は、外部の負荷をオンするための
スイッチング信号である。しかし、検知信号を、検知し
た磁界の強さに応じた信号とすることもできる。
【0027】このシリンダ装置1によると、シリンダチ
ューブ11の材料として炭素鋼鋼管を用いることができ
るので、シリンダチューブ11の肉厚を薄くすることが
でき、外径を小さくし、シリンダ装置1の全体を小型化
することができる。また、シリンダチューブ11の肉厚
が薄くなるので、材料費の低減及び軽量化を図ることが
できる。
【0028】しかも、種々の形状寸法の磁気センサ34
を適切な位置に配置し、またクリアランスGPを最適値
に設定することができるなど、検知装置15の最適設計
を行うことが可能である。
【0029】上述の実施形態において、磁気バイパス部
材31,32の断面形状が長方形となっているが、正方
形であってもよい。また、円形、楕円形、三角形、5角
形などでもよい。
【0030】次に、磁気バイパス部材31,32の他端
部312,322の形状の他の例について説明する。図
5は磁気バイパス部材の他端部の形状の他の例を示す図
である。
【0031】図5(A)に示す磁気バイパス部材31
A,32Aでは、他端部312A,322Aがテーパ面
になっており、磁力線が磁気センサ34Aの方へ集まる
ようになっている。
【0032】図5(B)に示す磁気バイパス部材31
B,32Bでは、他端部312B,322Bが他の部分
よりも細くなっており、やはり磁力線が磁気センサ34
Bの方へ集まるようになっている。
【0033】次に、他の例の検知装置について説明す
る。図6は他の例の検知装置15Cを示す図である。図
1の検知装置15では2つの磁気バイパス部材31,3
2が設けられているのに対して、図6の検知装置15C
では、1つの磁気バイパス部材41が設けられている。
磁気センサ34Cは、磁気バイパス部材41を通る磁力
線の変化を検知するために磁気バイパス部材41の周囲
に巻かれたコイルである。つまり、ピストン12の移動
にともなって磁気バイパス部材41を通る磁力線の数が
変化するので、磁力線の変化によって磁気センサ34C
に誘導電流が誘起される。
【0034】検知装置15Cにおいて、磁気センサ34
から出力される誘導電流を増幅し、それが所定値を超え
た場合に検知信号を出力する。図7はさらに他の例の検
知装置15Dを示す図である。
【0035】この検知装置15Dにおいても、1つの磁
気バイパス部材42が設けられている。磁気センサ34
Dは、磁気バイパス部材42に流れている磁力線を読み
取って出力する。検知装置15Dは、磁気センサ34D
からの出力を増幅し、それが所定値を超えた場合に検知
信号を出力する。シリンダチューブ11及び磁気バイパ
ス部材42の比透磁率及び寸法形状は、磁気センサ34
Dによる検知出力ができるだけ大きくなるように選ばれ
る。
【0036】上述の実施形態において、永久磁石14の
形状、材質、寸法、個数は、種々のものとすることがで
きる。永久磁石ではなく電磁石を用いることも可能であ
る。1つのシリンダ装置1に複数個の検知装置15,1
5C,15Dを取り付けることができる。検知装置1
5,15C,15D及びシリンダ装置1の構造、形状、
寸法などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することが
できる。
【0037】本発明の検知装置は、シリンダ装置1以外
の種々の装置、例えば磁性材料で製造されたタンク内の
フローテイングの位置の検出などにも適用することがで
きる。
【0038】
【発明の効果】本発明によると、磁性材料からなるシリ
ンダチューブを使用することができ、しかも、使用可能
な磁気センサの形状寸法の範囲を広げることができ、且
つ空隙の大きさを最適値に設計することができる。
【0039】 請求項の発明によると、ピストン位置
の検知が可能な小型、軽量のシリンダ装置を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダ装置の要部を示す断面図
である。
【図2】検知装置の断面正面図である。
【図3】検知装置の断面平面図である。
【図4】検知装置の断面側面図である。
【図5】磁気バイパス部材の他端部の形状の他の例を示
す図である。
【図6】他の例の検知装置を示す図である。
【図7】他の例の検知装置を示す図である。
【符号の説明】
1 シリンダ装置 11 シリンダチューブ(壁部材) 12 ピストン 14 永久磁石(磁石) 15 検知装置 15C,15D 検知装置 31,32 磁気バイパス部材 31A,32A 磁気バイパス部材 31B,32B 磁気バイパス部材 311,321 一端部(一端) 312,322 他端部(他端) 34 磁気センサ 34A,34B,34C,34D 磁気センサ35 支持板 36 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性材料からなる壁部材の一方の表面に取
    り付けられ、前記壁部材の他方の表面に沿うように移動
    する磁石の磁界を検知するための検知装置であって、 高透磁率材料からなる2つの磁気バイパス部材が、それ
    ぞれの一端が前記壁部材に近接又は当接し且つそれぞれ
    の他端がクリアランスを有して互いに対向するように、
    全体として前記磁石の両磁極の方向に沿って配置される
    ように支持板の一方の面に取り付けられ、 磁界を検出する磁気センサを保持する基板が、前記磁気
    センサが前記磁気バイパス部材のそれぞれの他端の対向
    部の周辺の近接位置に、前記磁気バイパス部材の延びる
    方向において前記磁気バイパス部材と位置が重なるよう
    に、前記支持板の他の一方の面に取り付けられ、 てなることを特徴とする検知装置。
  2. 【請求項2】磁性材料からなるシリンダチューブ、 前記シリンダチューブ内を摺動するピストン、 前記ピストンに設けられた永久磁石、及び、 前記シリンダチューブの外側の表面に取り付けられ、前
    記永久磁石の磁界を検知するための検知装置、 を有し、 前記検知装置は、 高透磁率材料からなる2つの磁気バイパス部材が、それ
    ぞれの一端が前記壁部材に近接又は当接し且つそれぞれ
    の他端がクリアランスを有して互いに対向するように、
    全体として前記磁石の両磁極の方向に沿って配置される
    ように支持板の一方の面に取り付けられ、 磁界を検出する磁気センサを保持する基板が、前記磁気
    センサが前記磁気バイパス部材のそれぞれの他端の対向
    部の周辺の近接位置に、前記磁気バイパス部材の延びる
    方向において前記磁気バイパス部材と位置が重なるよう
    に、前記支持板の他の一方の面に取り付けられ、 てなることを特徴とするシリンダ装置。
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