JP3500967B2 - 応力測定方法及び近似関数の特定方法 - Google Patents

応力測定方法及び近似関数の特定方法

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JP3500967B2 JP16867698A JP16867698A JP3500967B2 JP 3500967 B2 JP3500967 B2 JP 3500967B2 JP 16867698 A JP16867698 A JP 16867698A JP 16867698 A JP16867698 A JP 16867698A JP 3500967 B2 JP3500967 B2 JP 3500967B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁歪センサを用い
て被測定物に作用している応力を測定する応力測定方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、鉄鋼材料などの強磁性体は、
磁化されるとその方向に長さが伸縮する(磁歪効果)。
また、これとは逆に、被測定物に応力が作用すると当該
被測定物の磁気的性質が変化する(磁歪効果の逆効
果)。
【0003】従来より、この磁歪効果の逆効果を利用し
て、被測定物に作用している応力を測定する方法が用い
られている。特に、特開昭62−121325号公報、
実開平1−135338号公報、特開平7−11027
0号公報等に開示されている技術では、磁歪効果の逆効
果によって生じる磁気異方性を利用して鋼構造物や機械
部品に負荷されている応力を非破壊で比較的簡単に測定
できる点で有効である。
【0004】上記の方法は、以下のような原理に基づい
ている。図14は、磁気異方性を利用する応力測定方法
における磁歪センサの配置例を示す斜視図である。
【0005】磁歪センサ1は、励磁用コイル2を巻いた
コの字型の励磁用ヨーク3と、検出用コイル4を巻いた
コの字型の検出用ヨーク5とが互いにヨーク鞍部の中央
部で直交するように配置されて構成される。
【0006】この励磁用コイル2には、交流電流を流し
て磁性材料である被測定物6を励磁するための交流電源
7が備えられている。さらに、検出用コイル4には、誘
起される起電力を測定して被測定物6を流れる磁束を検
出するための電圧計8が備えられている。また、図14
の矢印は、磁束の方向を示している。
【0007】いま、被測定物6のX方向に引っ張り応力
σX が作用したとする。このときの被測定物6のX方向
の透磁率をμX とする。また、X方向と垂直なY方向の
被測定物6の透磁率をμY とする。
【0008】この場合、この透磁率μX 、μY は、応力
σX による磁歪効果の逆効果により下記の(1)式の関
係、すなわち磁気異方性が生じる。 μX > μY …(2) このような磁気異方性が生じている状態にある被測定物
6に上記の磁歪センサ1の両ヨーク3、4の開口部側を
接近させ、この磁歪センサ1の励磁用ヨーク3に巻かれ
た励磁用コイル2に交流電源7によって交流電流を流し
て被測定物を励磁すると、励磁用ヨーク3の一方の開口
端3aから出た磁束の大部分は直接励磁用ヨーク3の他
方の開口端3bへ向かう。
【0009】しかし、被測定物6には引っ張り応力σX
により(2)式のような磁気異方性が生じているため、
磁束の一部は検出用ヨーク5を経由して励磁用ヨーク3
の開口端3bに流れる。
【0010】このため、検出用ヨーク5に巻かれた検出
用コイル4に取付けられた電圧計8には、下記の(3)
式に示す起電力が誘起され、この起電力が出力される。 V=M0 ・(μX −μY )・COS[ 2・(θ−π/4)] …(3) ここで、Vは検出用コイル4に誘起される交流起電力の
整流値である。また、M0 は励磁条件やコイル、被測定
物6の磁気的特性などによって定まる値である。さら
に、COS[ 2・(θ−π/4)] は余弦関数であり、
θは検出用ヨーク5の一方の開口端5aと他方の開口端
5bとを結ぶ直線とX軸のなす角度である。
【0011】さらに、透磁率の差(μX −μY )は応力
の差(σX −σY )に比例するため、(3)式は下記の
(4)式に書き換え可能である。 V=M・(σX −σY )・COS[ 2・(θ−π/4)] …(4) ここで、Mは励磁条件やコイルの条件、被測定物6の磁
気的特性などによって定まる値である。
【0012】したがって、電圧Vを測定し、(4)式を
用いることにより、被測定物6に作用している応力の差
を求めることができる。また、ここでは応力がX方向に
作用している場合を示しているので、この応力差から応
力を求めることができる。
【0013】図15は、被測定物6の応力と磁歪センサ
1の出力Vとの関係を示す図である。この図15に示さ
れているように、応力と磁歪センサの出力Vは、所定の
線形範囲T1 ではほぼ線形関係を有する。
【0014】したがって、(4)式の係数M(以下、
「磁歪感度」という)は、所定の線形範囲T1 では定数
として定義可能である。ゆえに、この所定の線形範囲T
1 における磁歪感度Mは、例えば最小二乗近似などの統
計的手法によって図15の特性を直線に回帰させること
で定義することができる。
【0015】しかしながら、この磁歪感度Mは、磁歪セ
ンサ1と被測定物6との距離(以下、「リフトオフ」と
いう)に影響を受けて変化する。一般的に、被測定物6
である鋼構造物や機械部品などには防食のために塗装等
が施されているが、この塗装の厚さは厳密ではなく、ば
らつきを有する。
【0016】このため、測定時のリフトオフを厳密に規
定することは困難である。また、たとえこのような防食
対策が施されていない場合であっても、測定を自動化、
高速化して非接触測定を行う場合等には、リフトオフを
厳密に規定することが困難である。
【0017】このようなリフトオフによる影響を防ぐた
めに、磁歪センサ1と被測定物6によるリフトオフを検
出して利用する方法が、特開平9−257598号公報
に開示されている。
【0018】この応力測定方法においては、まず、図1
6に示すようなリフトオフとパラメータAの関係が求め
られる。ここで、図16(a)は、リフトオフに対する
リフトオフ電圧VL の変化の状態を示す概念図である。
【0019】また、図16(b)は、被測定物6として
SM490を適用した場合の具体例を示す図である。次
に、この応力測定方法では、図17に示すようなリフト
オフと磁歪感度Mの関係が求められる。
【0020】そして、求められた図16と図17とか
ら、図18に示すパラメータAと磁歪感度Mの関係が求
められる。ゆえに、被測定物6に作用している応力の測
定時には、まずパラメータAが測定される。
【0021】次に、この測定されたパラメータAと先で
求めた図18とを用いて、リフトオフによる影響が補正
された磁歪感度Mが求められる。そして、測定された磁
歪センサ出力V及び磁歪感度Mが(4)式に代入され、
応力が求められる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の応力測定方法では、例えば図15のよう
に、応力により発生する磁歪センサの出力特性を線形と
して扱っていることから、被測定物6の応力状態が大き
い場合又は小さい場合の磁歪センサ1の出力特性が非線
形な範囲T2 、T3 では、実際の磁歪感度に比べて評価
に用いる磁歪感度が大きくなり、応力が結果的に小さく
求められることになる。
【0023】これでは、構造物や機械部品に実際に作用
している応力が危険なレベルであっても、測定した応力
が危険レベルに到達していないと判断される場合が発生
する。すなわち、構造物や機械部品に作用している応力
をその破壊に対する安全性の観点で評価する場合に危険
側の結果となってしまう。
【0024】このような問題の対策として、例えば、図
15に示すような応力に対する磁歪センサ1の出力特性
を近似する際に、その非線形性を考慮して高次の多項式
に近似することが考えられる。
【0025】しかし、この場合には、前述したリフトオ
フに対する補正の数学的処理が非常に複雑になり、実用
上困難となる。本発明は、以上のような実状に鑑みてな
されたもので、応力に対する磁歪センサの起電力の非線
形性を考慮し、またリフトオフに対する磁歪センサの出
力特性の補正を実現する応力測定方法を提供することを
目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下のような手段を講じた。本発明は、励
磁用コイルを巻いたコの字型のヨークと検出用コイルを
巻いたコの字型のヨークを、互いにヨーク鞍部の中央部
で直交するように配置してなる磁歪センサを用いて被測
定物に作用している応力を測定する方法に関するもので
ある。
【0027】この発明を具体的に説明すると、まず両コ
の字型ヨークの開口端側を被測定物に接近させる。次
に、励磁用コイルに交流電流を流して磁歪センサを回転
させる。これにより検出用コイルに誘起される起電力の
出力波形を下記の(1)式であらわし、各パラメータ
A、B、Cの値であるAs 、Bs 、Cs を求める。次
に、パラメータ値As と、パラメータAと無次元化に利
用する値との関係を示す関数とを用いて、パラメータ値
s を無次元化する。そして、無次元化されたパラメー
タ値Bs と、応力と無次元化された磁歪センサの起電力
との関係を示す関数とに基づいて、被測定物に作用して
いる応力を測定する。
【0028】 V=A+B・COS[ 2・(θ−C)] …(1) V:磁歪センサに誘起される交流起電力の整流値 θ:両コの字型ヨークの開口端を結んだ直線がなす角度
の二等分線と、被測定物の基準軸とのなす角度 A、B、C:パラメータ ここで、上記において利用される関数は、予め較正試験
の結果に基づいて設定されている。本発明において利用
される関数は、予め較正試験の結果に基づいて設定され
ている。
【0029】この上記の方法で応力を測定することで、
任意のリフトオフに対して磁歪センサの非線形性の特性
の影響を受けることなく、簡易にかつ精度よく応力を測
定することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る応
力測定方法では、予め較正試験を実行してデータを収集
し、このデータを解析して応力測定に必要な近似関数
φ、ρを特定する関数特定処理を実行しておく。そし
て、この近似関数φ、ρを用いて被測定物に作用してい
る応力を測定する応力測定処理を実行する。
【0031】なお、以下において、先に述べた図14乃
至図18と同一のものに対しては、同一の符号を付して
その説明を省略する。まず、関数特定処理について説明
する。
【0032】図1は、この関数特定処理の流れを示すフ
ローチャートである。この処理では、まず、被測定物と
同種あるいは同規格の材料から製造された較正試験片が
準備される(s1)。
【0033】図2は、この較正試験片の一例を示す上面
図である。この較正試験片9には、試験時の負荷応力を
検出可能とするためのひずみゲージ10a、10bが取
り付けられている。また、磁歪センサ1の設置位置11
が指定されている。さらに、ここでは較正試験片9の長
手方向をX方向、幅方向をY方向とし、このX方向とな
す角度がθとされる。
【0034】次に、関数特定処理においては、この較正
試験片9が荷重負荷装置にセットされる(s2)。この
荷重負荷装置は、較正試験片9に応力となる荷重を負荷
させる装置である。この荷重負荷装置としては、例えば
較正試験片9に引っ張り応力及び圧縮応力の双方を負荷
可能な4点曲げ載荷試験装置が用いられる。
【0035】次に、磁歪センサ1が較正試験片9のセン
サ設置位置11上に任意のリフトオフを有する状態で配
置される(s3)。このように磁歪センサ1を較正試験
片9から浮かせてリフトオフを確保することで、磁歪セ
ンサ1の軸を回転軸とし、この回転軸を較正試験片9の
法線とほぼ平行に回転可能となる。
【0036】次に、荷重負荷装置によって較正試験片9
に任意の応力がX方向に負荷される(s4)。次に、磁
歪センサ1の軸を回転軸とし、当該回転軸が較正試験片
9の法線と平行になるように、磁歪センサ1を回転機構
によって回転させる(s5)。
【0037】図3は、磁歪センサ1を回転させる回転機
構を示す概念図である。この回転機構12のハウジング
13内には、ピニオンギア14とリングギア15を介し
て、磁歪センサ1が回転可能に設けられている。また、
このハウジング13内には、エンコーダを備えたDCサ
ーボモータ16が設けられている。Cリング17はDC
サーボモータ16による磁歪センサ1の回転位置を保つ
作用を有する。ボールベアリング18はDCサーボモー
タ16による磁歪センサ1の回転を円滑に行う作用を有
する。さらに、リングスペーサ19は、磁歪センサ1と
較正試験片9又は被測定物との間に配置されるものであ
り、ある程度のリフトオフを確保する作用を有する。こ
のようにリングスペーサ19によってリフトオフを確保
することで、リフトオフが非常に小さくなった場合に発
生する磁歪センサ1の起電力の飽和を防止することが可
能となる。
【0038】次に、関数特定処理においては、回転角θ
毎に磁歪センサ1の検出用コイル4に誘起される磁歪セ
ンサ1の起電力の出力値Vが測定される(s6)。図4
は、回転角θに対する磁歪センサ出力Vの変化を示す図
である。
【0039】この図4に示すように、磁歪センサ1を回
転させて検出した起電力Vの変化は(1)式と同様のも
のとなる。 V=A+B・COS[ 2・(θ−C)] …(1) ここで、Vは検出コイル4に誘起される交流起電力の整
数値であり、θは両ヨークの開口端を結んだ直線がなす
角度の二等分線が、較正試験片9の基準方向となす角度
である。また、COS[ 2・(θ−C)] は余弦関数で
ある。さらに、A、B、Cはパラメータである。
【0040】したがって、関数特定処理においては、回
転角θに対する磁歪センサ出力Vの変化が(1)式によ
って近似される(s7)。ここで、近似により定められ
たパラメータBは、較正試験片9に作用されている主応
力差に相当する電圧値、すなわち主応力相当電圧値であ
る。また、パラメータB、Cから、較正試験片9に作用
されている応力の主方向を特定可能である。
【0041】定められたパラメータA、B、Cは、現状
のリフトオフ及び応力と関係付けされて保持される。次
に、このパラメータB、Cを用いて、下記の(5)式に
より、応力の主方向(ここではX方向)における磁歪セ
ンサ出力Va が求められる(s8)。すなわち、このV
aは、磁歪センサ出力Vの主応力方向成分である。
【0042】Va =B・COS(2C) …(5) また、(5)式を適用することで、主応力差相当電圧を
示すパラメータBに符号がもたされることにもなってい
る。
【0043】次に、この起電力Va測定時における較正
試験片9の負荷応力がひずみゲージによって求められる
(s9)。上記のようなパラメータA、B、C、及び磁
歪センサ出力Vの主応力方向成分Va を求める処理は、
較正試験片9に作用させる任意の応力を適当なピッチで
変化させながら順次実行される。これにより、様々な応
力に対する磁歪センサ出力Vの主応力方向成分Va が求
められる(s10)。
【0044】図5は、応力を変化させた場合における磁
歪センサ出力Vの主応力方向成分Va の変化を示す図で
ある。また、現状のリフトオフにおいて、十分な数の応
力に対して磁歪センサ出力Vの主応力方向成分Va を測
定した場合には、現状のリフトオフを他の状態に変化さ
せる(s11)。
【0045】そして、変化後の新規のリフトオフに対す
るパラメータA、B、Cが上記の処理と同様に応力を変
化させながら測定され、これにより各リフトオフにおけ
る磁歪センサ出力Vの主応力方向成分Va と負荷応力の
関係が求められる(s12)。
【0046】図6は、種々のリフトオフにおける磁歪セ
ンサ出力Vの主応力方向成分Va と負荷応力の関係を示
す図である。ここで、図6(a)は、3種のリフトオフ
1 〜L3 において、応力を変化させた場合の磁歪セン
サ出力の主応力方向成分Va の変化(リフトオフ毎の較
正曲線)を示した概念図である。
【0047】また、図6(b)は、較正試験片9として
厚さ20mmのSM490を用いた場合の具体的変化を
示している。この図6(b)では、リフトオフが1.0
mm、1.5mm、2.0mmの場合を例示している。
【0048】通常、磁歪効果の逆効果を考慮すると、較
正試験片9に作用している応力がゼロの場合には、磁歪
センサ1を回転させて得られる起電力Vの出力波形の振
幅Bもゼロになるため、この起電力Vの主応力方向成分
a はゼロとなると考えられる。
【0049】しかしながら、図6では、負荷応力が+Δ
Xのときに、磁歪センサ出力Vの主応力方向成分Va
ゼロとなっている。すなわち、この図6より、較正試験
片9の残留応力は−ΔXとなることが分かる。
【0050】したがって、この関数特定処理において
は、磁歪センサ出力Vの主応力方向成分Va と応力(=
σX −σY )の特性(較正曲線)を残留応力の分だけ応
力の負方向にシフトさせることで、絶対的な応力(絶対
応力)に対する磁歪センサ出力Vの主応力方向成分Va
の特性が求められる(s13)。
【0051】図7は、磁歪センサ出力Vの主応力方向成
分Va と絶対応力との関係を示す図であり、3種のリフ
トオフL1 〜L3 に関して示している。ここで、図8を
用いて、磁歪センサ出力Vの主応力方向成分Va と、絶
対応力の特性を説明する。なお、この図8では、説明を
簡略化させるために1つのリフトオフL1 における場合
の特性のみを例示している。
【0052】この図8中の応力σmax には、例えば被測
定物の材料の降伏応力や設計許容応力のような実在する
応力のレベルが用いられる。絶対応力に対する磁歪セン
サ出力Vの主応力方向成分Va の特性は、磁歪センサ1
の動作原理により、原点において点対称となる。すなわ
ち、絶対応力の絶対値が等しく符号が異なる場合には、
磁歪センサ出力Vの主応力方向成分Va も絶対値が等し
く符号が異なる関係を有する。例えば、絶対応力σmax
に対する磁歪センサ出力の主応力方向成分Va がVmax
となる場合には、絶対応力−σmax に対する磁歪センサ
出力Vの主応力方向成分Va は−Vmax となる。
【0053】同様に、絶対応力σ1 〜σ3 における磁歪
センサ出力Vの主応力方向成分VがV 〜V3 の場
合には、絶対応力−σ1 〜−σ3 における磁歪センサ出
力Vの主応力方向成分Va は、−V1 〜−V3 となる。
【0054】次に、この関数特定処理においては、絶対
応力に対する磁歪センサ出力Vの主応力方向成分Va
特性が、Vmax によって無次元化(正規化)される(s
14)。
【0055】図9は、絶対応力に対する無次元化された
磁歪センサ出力Pの特性を示す図である。この図9中に
おけるPmax 、P3 〜P1 、−P1 〜−P3 、−Pmax
は、先の図8に示す磁歪センサ出力Vの主応力方向成分
max 、V3 〜V1 、−V1 〜−V3 、−Vmax を無次
元化した値であり、以下の(6)〜(13)式から求ま
る。
【0056】Pmax =Vmax /Vmax …(6) P3 =V3 /Vmax …(7) P2 =V2 /Vmax …(8) P1 =V1 /Vmax …(9) −P1 =(−V1 )/Vmax …(10) −P2 =(−V2 )/Vmax …(11) −P3 =(−V3 )/Vmax …(12) −Pmax =(−Vmax )/Vmax …(13) この図9で示す無次元化された磁歪センサ出力Pの特性
は、図8の場合と異なり、磁歪センサ1のリフトオフに
関係なく一義的に定義される。
【0057】次に、この無次元化された磁歪センサ出力
Pと絶対応力との関係を示す図9のx軸、y軸が入れ替
えられて、図10が得られる(s15)。ここで、この
図10(a)は、無次元化された磁歪センサ出力Pをx
軸とし、絶対応力をy軸とした概念図である。
【0058】一方、図10(b)は、較正試験片9とし
て厚さ20mmのSM490を用いた場合の具体的変化
を示している。すなわち、この図10(b)は、図6
(b)の特性(リフトオフが1.0mm、1.5mm、
2.0mmの場合)をシフトし、無次元化し、x軸及び
y軸を入れ替えたものである。
【0059】次に、この図10に示す無次元化された磁
歪センサ出力Pと絶対応力の関係を高次の多項式によっ
て近似し、近似関数φが定義される(s16)。以上の
ような処理により、無次元化された磁歪センサ出力Pか
ら応力を求める近似関数φが求められる。
【0060】続いて、近似関数ρを求めるための処理で
は、先に示した図7の絶対応力に対する磁歪センサ出力
Vの主応力方向成分Va の特性と、図8のおいて説明し
たσmax とから、リフトオフ毎のVmax が求められる
(s17)。
【0061】図11は、このリフトオフ毎のVmax の状
態を示す概念図である。また、先で求められたパラメー
タAとリフトオフ毎のVmax の関係が求められる(s1
8)。
【0062】図12は、このパラメータAとリフトオフ
毎のVmax の絶対値との関係を示す図である。ここで、
図12(a)は、概念図を示しており、図12(b)
は、較正試験片9として厚さ20mmのSM490を用
いた場合の具体例を示している。
【0063】次に、この図12に示すパラメータAとリ
フトオフ毎のmaxの絶対値の特性が適当な式によって
近似され、これにより近似関数ρが定義される(S1
)。この近似関数ρを用いると、任意のリフトオフに
おけるVmaxを推定することが可能となる。
【0064】そして、得られた近似関数φ、ρは、磁歪
センサ1の出力特性としてデータベース化される(S2
)。以上のように、関数特定処理においては、パラメ
ータAから無次元化に用いるための値Vmaxを求めるた
めの近似関数ρ、及び無次元化された磁歪センサ出力か
ら応力を求めるための近似関数φが求められる。
【0065】次に、この近似関数ρ及び近似関数φを用
いて、実際に被測定物の応力を求める応力測定処理につ
いて説明する。図13は、この応力測定処理の流れを示
すフローチャートである。
【0066】まず、被測定物の任意の観測点Sにおい
て、磁歪センサ1が回転され(t1)、この回転により
得られる起電力Vの出力波形が()式に近似されてパ
ラメータA、B、Cが求められる(t2)。
【0067】ここで、この求められたパラメータA、
B、CはそれぞれAs 、Bs 、Cs であるとする。この
とき、下記の(14)式に示すように、パラメータAと
max の関係を示す近似関数ρに、求められたパラメー
タAの値であるAs が代入されて、観測点SにおけるV
max である(Vmaxs が求められる(t3)。
【0068】(Vmaxs =ρ(As ) …(14) 次に、下記の(15)式、Bs 、(Vmaxs を用い
て、観測点Sにおける無次元化された磁歪センサ出力P
s が求められる(t4)。
【0069】Ps =Bs /(Vmaxs …(15) 次に、下記の(16)式に示すように、無次元化された
磁歪センサ出力Pから絶対応力を求める近似関数φに、
求められた磁歪センサPs が代入され、観測点Sの絶対
応力差(σ1 −σ2s が求められ、この応力差により
応力が測定される(t5)。
【0070】(σ1 −σ2s =φ(Ps )…(16) なお、この絶対応力差(σ1 −σ2s が得られる応力
方向はCs で示される。
【0071】したがって、被測定物の主応力方向成分の
応力(σx −σys は、下記の(17)式によって求
められる。 (σx −σys =(σ1 −σ2s ・COS(2Cs )…(17) 以上説明したように、本実施の形態に係る応力測定方法
においては、まず関数特定処理によって、パラメータA
からVmax を求める近似関数ρ、及び無次元化された磁
歪センサ出力Pから応力を求める近似関数φが求められ
る。
【0072】そして、応力測定処理によって、磁歪セン
サ1を回転させて得られる磁歪センサ出力の特性、パラ
メータA、B、C、及び近似関数φ、ρとから応力が求
められる。
【0073】この上記の方法を適用すると、任意のリフ
トオフに対して、磁歪センサの起電力出力に発生する非
線形の特性に影響されることなく、簡易にかつ正確に応
力を測定することができる。
【0074】なお、本実施の形態において、較正試験片
の具体例として用いたSM490は、炭素を0.20重
量%以下、ケイ素を0.55重量%以下、マンガンを
1.60重量%以下、リンを0.035重量%以下、硫
黄を0.035重量%以下含有する鋼材である。
【0075】
【発明の効果】以上詳記したように本発明の応力測定方
法においては、磁歪センサを回転させることによって誘
起される起電力の出力波形をあらわすパラメータを測定
し、磁歪センサの出力特性を無次元化して応力を測定す
る。
【0076】この本発明の応力測定方法を適用すること
により、磁歪センサの出力特性の非線形性や、被測定物
と磁歪センサの間の距離であるリフトオフに影響を受け
ることなく、応力を測定することができる。ゆえに、容
易に、かつ精度よく応力を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る関数特定処理の流れ
を示すフローチャート。
【図2】較正試験片の一例を示す上面図。
【図3】磁歪センサを回転させる回転機構を示す概念
図。
【図4】回転角θに対する磁歪センサ出力Vの変化を示
す図。
【図5】応力と磁歪センサの起電力Vの主応力方向成分
a の関係を示す図。
【図6】種々のリフトオフにおける磁歪センサの起電力
Vの主応力方向成分Va と負荷応力の関係を示す図。
【図7】種々のリフトオフにおける磁歪センサの起電力
Vの主応力方向成分Va と絶対応力との関係を示す図。
【図8】磁歪センサの起電力Vの主応力方向成分Va
絶対応力との具体的関係を示す図。
【図9】絶対応力と無次元化された磁歪センサの起電力
Pとの関係を示す図。
【図10】x軸、y軸を入れ替えた絶対応力と無次元化
された磁歪センサの起電力Pとの関係を示す図。
【図11】リフトオフ毎のVmax の状態を示す概念図。
【図12】パラメータAの値とVmax の絶対値との関係
を示す図。
【図13】本発明の実施の形態に係る応力測定処理の流
れを示すフローチャート。
【図14】磁気異方性を利用する応力測定方法における
磁歪センサの配置例を示す斜視図。
【図15】被測定物の応力と磁歪センサの出力Vとの関
係を示す図。
【図16】リフトオフとリフトオフ検出用コイルの起電
力VL の関係を示す図。
【図17】リフトオフと磁歪感度Mの関係を示す図。
【図18】リフトオフ検出用コイルの起電力VL と磁歪
感度Mの関係を示す図。
【符号の説明】
1…磁歪センサ 2…励磁用コイル 3…励磁用ヨーク 4…検出用コイル 5…検出用ヨーク 6…被測定物 7…交流電源 8…電圧計 9…較正試験片 10a、10b…ひずみゲージ 11…センサ設置位置 12…回転機構 13…ハウジング 14…ピニオンギア 15…リングギア 16…DCサーボモータ 17…Cリング 18…ボールベアリング 19…リングスペーサ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励磁用コイルを巻いたコの字型のヨーク
    と、検出用コイルを巻いたコの字型のヨークとを、互い
    にヨーク鞍部の中央部で直交するように配置してなる磁
    歪センサを用いて被測定物に作用している応力を測定す
    る方法において、 前記両コの字型ヨークの開口端側をリフトオフだけ離し
    て前記被測定物に接近させ、 前記励磁用コイルに交流電流を流して前記磁歪センサを
    回転させた際に前記検出用コイルに誘起される起電力V
    の出力波形を、前記両コの字型のヨークの開口端を結ん
    だ直線がなす角度の二等分線と前記被測定物の基準軸と
    のなす角度をθと定義してV=A+B・COS[2・
    (θ−C)]で表した場合の各パラメータA、B、Cの
    値As、Bs、Csを求め、 前記パラメータ値Asを用い、前記パラメータAとリフ
    トオフ毎の前記被測定物の許容応力に対する前記磁歪セ
    ンサの起電力の主応力方向成分Vmaxとの関係を示す予
    め保存した近似関数ρ(A)=Vmaxに基づいて、前記
    被測定物の許容応力に対する前記磁歪センサの起電力の
    主応力方向成分(Vmaxs=ρ(As)を求め、 得られた起電力の主応力方向成分(Vmaxsにより、前
    記パラメータ値Bsを正規化し、 当該正規化により得られたPs(=Bs/(Vmaxs)を
    用い、応力差(σ1−σ2)と前記正規化により得られる
    値Pとの関係を示す予め保存した近似関数φ(P)=
    (σ1−σ2)に基づいて、応力差(σ1−σ2s=φ
    (Ps)を求め、得られた応力差(σ1−σ2sと前記パ
    ラメータ値Csとを用いて、前記被測定物に作用してい
    る応力を求めることを特徴とする応力測定方法。
  2. 【請求項2】 励磁用コイルを巻いたコの字型のヨーク
    と、検出用コイルを巻いたコの字型のヨークとを、互い
    にヨーク鞍部の中央部で直交するように配置した磁歪セ
    ンサを用いて、前記両コの字型ヨークの開口端側を前記
    被測定物に接近させ、前記励磁用コイルに交流電流を流
    して前記被測定物を励磁し、前記検出用コイルに誘起さ
    れる起電力を測定し、前記被測定物に作用する応力を測
    定するために用いられる近似関数の特定方法であって、 較正試験片から任意のリフトオフを有する状態で前記磁
    歪センサを配置して前記較正試験片に任意の応力を負荷
    し、 前記磁歪センサを回転させて前記検出用コイルに誘起さ
    れる前記磁歪センサの起電力出力Vの波形を、前記両コ
    の字型のヨークの開口端を結んだ直線がなす角度の二等
    分線と前記被測定物の基準軸とのなす角度をθと定義し
    第1式で表した場合のパラメーA,B,Cの値を求
    め、 前記パラメータB,Cの値と第2式とより、前記磁歪セ
    ンサの起電力Vの主応力方向成分Vaを求め、 前記任意のリフトオフについての前記任意の応力と前記
    起電力Vの主応力方向成分Vaの特性を残留応力の分だ
    けシフトし、前記任意のリフトオフについての絶対応力
    に対する前記起電力Vの主応力方向成分Vaの特性を求
    め、 前記被測定物の許容応力σmaxに対する前記起電力Vの
    主応力方向成分Vmaxによって前記起電力Vの主応力方
    向成分Vaを割って無次元化し、絶対応力に対する無次
    元化された起電力出力Pの特性を求め、この特性を近似
    して前記磁歪センサの無次元化された起電力出力から応
    力を求めるための近似関数φを求めるとともに、前記任
    意のリフトオフ毎の絶対応力に対する前記起電力Vの主
    応力方向成分Vaから、前記任意のリフトオフ毎に前記
    許容応力σmaxに対応する前記起電力Vの主応力方向成
    分Vmaxを求め、前記パラメータAの値と前記任意のリ
    フトオフ毎のVmaxの絶対値との関係から、前記パラメ
    ータAの値からVmaxを求めるための近似関数ρを求め
    ることを特徴とする近似関数の特定方法。 V=A+B・COS[2・(θ−C)]…第1式 Va=B・COS(2C)…第2式
  3. 【請求項3】 請求項2記載の近似関数の特定方法によ
    って得られた近似関数を用いた応力測定方法であって、 前記被測定物の観測点で前記磁歪センサを回転させて測
    定した前記磁歪センサの起電力出力の波形を前記第1式
    で表した場合のパラメータA,B,Cの値As,Bs,C
    sを求め、 前記近似関数ρに前記Asが代入され、前記観測点にお
    けるVmaxの値である(Vmaxsを求め、 前記Bs,前記(Vmaxsと第3式とにより、前記観測
    点における無次元化された磁歪センサの出力Psを求
    め、 前記近似関数φに前記Ps を代入して前記観測点の絶対
    応力差(σ1−σ2sを求め、 前記絶対応力差(σ1−σ2sと前記Csと第4式に基づ
    いて、前記被測定物の主応力方向成分の応力差(σx
    σysを求め、前記被測定物に作用している応力を測定
    することを特徴とする応力測定方法。 Ps=Bs/(Vmaxs…第3式 (σx−σys=(σ1−σ2s・COS(2Cs)…第4式
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