JP3500251B2 - 脱酸素剤及びその製造方法 - Google Patents

脱酸素剤及びその製造方法

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JP3500251B2
JP3500251B2 JP18945696A JP18945696A JP3500251B2 JP 3500251 B2 JP3500251 B2 JP 3500251B2 JP 18945696 A JP18945696 A JP 18945696A JP 18945696 A JP18945696 A JP 18945696A JP 3500251 B2 JP3500251 B2 JP 3500251B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱酸素剤およびそ
の製造方法に関するものであり、特に使用済みの磁気記
録媒体あるいは磁気記録媒体の廃材を再利用した脱酸素
剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】非磁性支持体上に、強磁性金属粉末と結
合剤を主体とする磁性層が形成されて構成される、いわ
ゆる塗布型の磁気記録媒体は、オーディオ信号、ビデオ
信号、データ信号の記録に広く用いられている。この磁
気記録媒体では、微細な強磁性金属粉末を用いることか
ら、従来より、この金属粉末の酸化に対する安定性につ
いて懸念されていたが、強磁性金属粉末に酸化安定化処
理を施す等、数々の検討がなされ、実用上問題のないこ
とが立証されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、この強磁性金属
粉末を用いた磁気記録媒体は、高記録密度、高出力が得
られることから、生産量、使用量ともに伸びている。こ
の生産量、使用量の増大に伴い、使用済みの磁気記録媒
体や製造工程で発生する磁気記録媒体の廃材の処理が問
題になってきている。
【0004】すなわち、従来、使用済みの磁気記録媒体
や磁気記録媒体の廃材は、殆どの場合、焼却、埋設など
により廃棄されている。しかしながら、地球資源の問題
や地球環境保護の点を考えると、この使用済み磁気記録
媒体や磁気記録媒体の廃材を再利用できることが望まし
く、環境負荷を低減させ得る再利用法の技術開発が要請
されている。
【0005】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、使用済みの磁気記録媒体
や磁気記録媒体の廃材を再利用できる脱酸素剤及びその
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、塗布型の磁
気記録媒体から剥離された磁性層形成物が、脱酸素剤と
して再利用できるとの知見を得るに至った。
【0007】本発明はこのような知見に基づいて完成さ
れたものである。すなわち、本発明の脱酸素剤は、基材
上に強磁性金属粉末と結合剤を主体とする磁性層が形成
された磁気記録媒体から分離された磁性層形成物を主体
とすることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の脱酸素剤は、基材上に強磁
性金属粉末と結合剤を主体とする磁性層が形成された磁
気記録媒体から磁性層を分離することによって、脱酸素
剤を製造することを特徴とするものである。
【0009】強磁性金属粉末を用いる塗布型の磁気記録
媒体において、基材と磁性層形成物を分離すると、磁性
層形成物への酸素の拡散が促進され、当該磁性層形成物
が脱酸素剤として有効に働くようになる。
【0010】これにより、これまで焼却や埋設などによ
り廃棄されていた、製造工程で発生する廃材や使用済み
の磁気記録媒体を脱酸素剤として再利用することが可能
になるので、環境負荷の低減が図れる。
【0011】また、この脱酸素剤は、材料として人体に
有害なものを含まないので安全であり、食品等の脱酸素
剤として用いることも可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施の形態に
ついて説明する。
【0013】本発明の脱酸素剤は、ポリエチレンテレフ
タレート等からなる基材(ベースフィルム)上に、強磁
性金属粉末と結合剤を主体とする磁性層が形成されてな
る、いわゆる塗布型の磁気記録媒体を、分離処理して得
られる磁性層形成物を再利用して得られるものである。
【0014】この塗布型の磁気記録媒体で用いられる強
磁性金属粉末は、鉄、コバルト、ニッケル等の金属ある
いは合金を主体とするものであり、これらの金属粉末は
それだけであるときには非常に酸化され易い。本発明
は、この強磁性金属粉末の被酸化性を利用して脱酸素剤
を実現するものである。
【0015】しかし、磁気記録媒体で実際に用いられる
強磁性金属粉末は、結合剤によってベースフィルム上で
担持されいることから外気と接触する可能性が非常に小
さい。また、この強磁性金属粉末は、耐酸化性を付与す
る目的で、上記金属あるいは合金をコア部とし、このコ
ア部の表面を金属酸化物の耐酸化保護膜が被覆した形に
なっている。このため、磁気記録媒体は、そのままでは
脱酸素剤として用いることができない。
【0016】そこで、本発明では、この磁気記録媒体に
分離処理を施すことで、基材から磁性層を剥離し、この
剥離された磁性層形成物を脱酸素剤として用いることと
する。磁性層を基材から剥離すると、基材上に保持され
ている状態に比べて、磁性層への酸素の拡散が促進され
る。その結果、金属磁性粉末の被酸化性が有効に発揮さ
れ、脱酸素活性が得られることになる。
【0017】磁性層を基材から分離するには、例えば使
用済みの磁気テープや磁気テープの廃材を、まず10〜
50mm程度の長さ(または直径)に切断した後(切断
工程)、基材から磁性層を剥離する(剥離工程)。そし
て、基材と磁性層形成物の混合体から磁性層のみを磁気
吸着させて分別するか、あるいは基材と磁性層の比重の
差を利用して分別する(分別工程)。これらの工程を行
うための装置としては、例えばターボカッター(ターボ
工業社製、商品名C600×500型)、ターボミル
(ターボ工業社製、商品名T800−4J型)及びター
ボスクリーナ(ターボ工業社製、商品名TS−25型)
が用いられる。これら装置の構成を図1〜図4を参照し
ながら説明する。
【0018】まず、ターボカッターの構成を図1に示
す。
【0019】このターボカッターは磁気テープを10〜
50mm程度の大きさに切断するものであり、テープ切
断室1と、これと連結されたテープ投入用パイプ2によ
り構成されている。
【0020】テープ切断室1は、円筒状の室であり、そ
の内部の一側面に4枚の回転刃3を有する回転カッター
4が取り付けられるとともに、その内周面に4枚の固定
刃5が等間隔に取り付けられている。上記回転カッター
4は、外部に設けられた駆動モータによって回転駆動さ
れるようになっており、これによって、内周面に対して
若干の余裕を有する程度の長さとされた4枚の回転刃3
がこのテープ切断室内1を360rpm程度の回転数で
回動されるようになっている。
【0021】また、このテープ切断室1の底部には、磁
気テープ切片を外部で回収するための排出口6が設けら
れている。この排出口6には、スクリーン7が張設され
ており、ある程度の大きさにまで細かく切断された磁気
テープ切片のみがこのスクリーン7を通過して回収され
るようになっている。
【0022】一方、テープ投入用パイプ2は上記テープ
切断室1の頭部に連結されており、途中で2股に分岐し
たかたちになっている。この分岐した一方のパイプ(第
1のパイプ)2aは磁気テープを投入するための投入口
となるものである。また、分岐した他の一方のパイプ
(第2のパイプ)2bは、当該テープ投入用パイプ2の
連結部から垂直に延在されており、その内部にはピスト
ン8が挿入されている。このピストン8は、第1のパイ
プ2aから投入され、第1のパイプ2aと第2のパイプ
2bが合流する地点にまで落下した磁気テープをテープ
切断室1にまで押し出すためのものである。
【0023】このようなターボカッターによって磁気テ
ープを切断するには、第1のパイプ2aから磁気テープ
を投入し、この磁気テープをテープ切断室1にピストン
8によって押し出す。テープ切断室1に押し出された磁
気テープは、回転刃3の回動によって生じる空気流によ
ってテープ切断室1内を浮遊しながら、回転刃3と固定
刃5によって切断される。切断によってある程度小さく
なった磁気テープ切片は、このテープ切断室1の底部に
張設されたスクリーン7を通過し、回収されることにな
る。
【0024】なお、このターボカッターの具体的な装置
条件を以下にまとめて示す。
【0025】テープ切断室の寸法:外径640mm×円
筒高さ505mm 回転刃数:4枚 固定刃数:4枚 スクリーンの孔径:25mm 回転カッターの主軸回転数:360rpm 最大粉砕量:700〜800kg/時間 粉砕物粒度:10〜50mm(長さあるいは直径)
【0026】次に、ターボミルの構成について、図2及
び図3を参照しながら説明する。なお、図2はターボミ
ルの側面図であり、図3(a)は図2のターボミルの内
部を図中左側から見た模式図であり、図3(b)は粉砕
室の内周面近傍を一部拡大したものである。
【0027】このターボミルでは、ターボカッターで切
断された磁気テープ切片から磁性層を剥離するものであ
り、円筒状の空間を有する粉砕室9内に、基材から磁性
層を剥離するための剥離装置10を有して構成されてい
る。
【0028】上記粉砕室9の一側面には、磁気テープ切
片を投入するための投入口11が形成されている。ま
た、他の一側面側では、この粉砕室9の接線方向に排出
口12が設けられることでサイクロンが構成され、剥離
・粉砕作用を経た基材と磁性層形成物が空気流によって
このサイクロンを通過し、排出口12から排出されるよ
うになっている。そして、この粉砕室9の内周面には、
図3(b)の拡大図で示すように、凸条部13が円筒軸
と平行に多数の形成されている。
【0029】この粉砕室9内には、剥離装置10が設置
されている。この剥離装置10は、図3(b)に示すよ
うに、周面に50枚の回転刃14が回転軸と平行に取り
付けられた円筒状の回転子15が4つ並列して構成され
ている。このそれぞれの回転子15は、粉砕室9の内径
よりも若干小径となされており、その周面に取り付けら
れた回転刃14と、粉砕室9の内壁に形成された凸条部
13との間に僅かに空間が形成されるようになってい
る。そして、この剥離装置を構成する回転子15のう
ち、投入口側の回転子15の一側面には凹部が形成さ
れ、この凹部の中にスクリュー羽が設けられている。こ
のスクリュー羽は、投入口11から投入された磁気テー
プ切片を粉砕室9の内周面側に風送し、さらにサイクロ
ンに風力を与えるための空気流を生じさせるためのもの
である。
【0030】このようなターボミルによって基材から磁
性層を剥離するには、磁気テープ切片を投入口11から
投入する。投入された磁気テープ切片は、スクリュー羽
によって生じた空気流によって粉砕室9の内周面側に風
送され、さらにサイクロンに送り出される。このとき、
磁気テープ切片は、この投入口11側から排出口12側
に至るまでの行程で、粉砕室9内周面に設けられた凸条
部13と回転子15に取り付けられた回転刃14に当た
ることによって粉砕されつつ、基材から磁性層が剥離さ
れる。そして、このような剥離・粉砕作用を受けながら
サイクロンにまで風送された基材と磁性層形成物は、サ
イクロンを通過して排出口12から排出される。
【0031】なお、このターボミルの具体的な装置条件
を以下にまとめて示す。
【0032】回転子寸法:外径790mm×高さ100
mm 回転子数:4個 粉砕室内径:800mm 回転子の主軸回転数:2800rpm 粉砕量:180kg/時間 吐出風量:30m3/分 続いて、ターボスクリーナについて図4を参照しながら
説明する。
【0033】このターボスクリーナは、基材と磁性層形
成物の混合体から磁性層形成物を分別するものであり、
円筒状の空間を有する分離室16内に、回転軸に螺旋状
の羽根が取り付けられたスクリュー17を有して構成さ
れる。
【0034】上記分離室16は、剥離・粉砕処理を経た
基材と磁性層形成物の混合体を投入するための投入口1
8が設けられるとともに、その底部に磁性層形成物を回
収するための磁性層排出口19と、基材を回収するため
の基材排出口20とが形成されている。磁性層排出口1
9は、基材排出口20よりも投入口18側に位置してお
り、スクリュー17の直下に開口して形成されている。
一方、基材排出口20は、磁性層排出口19よりも投入
口18から遠い位置に管として形成されている。
【0035】また、上記スクリュー17の周りにはスク
リーン21が張設されており、ある程度の大きさにまで
粉砕された磁性層形成物のみがこのスクリーン21を通
過して磁性層排出口19から排出されるようになってい
る。
【0036】このようなターボスクリーナでは、基材と
磁性層形成物の混合体を投入口18から投入すると、ス
クリュー17によって生じる空気流によって比重の小さ
い基材は浮上し、比重の大きい磁性層形成物は落下す
る。浮上した基材は、基材排出口20側にまで風送さ
れ、この基材排出口20から排出される。また、落下し
た磁性層形成物は、そのうち微細な磁性層形成物のみが
スクリーン21を通過して磁性層排出口19から排出さ
れ、回収される。
【0037】なお、このターボスクリーナの具体的な装
置条件を以下にまとめて示す。
【0038】分離室の外形寸法:幅600mm×長さ1
700mm×高さ700mm 回転ロータの寸法:外径250mm×長さ600mm 回転ロータの回転数:500rpm スクリーン寸法:外径250mm×長さ300mm×2
本 スクリーンの網目:目開き1.02mm,線径0.32
mm
【0039】ここで、このターボスクリーナによる処理
の前工程として行われるターボミルによる処理では、磁
性層の剥離が不完全であることがあるので、このターボ
スクリーナの基材排出口から回収された試料を、再びタ
ーボミル及びターボスクリーナにかけ基材から磁性層形
成物をさらに剥離させることができる。
【0040】なお、上記例示以外に、磁性層を剥離する
手法として多様なものが考えられる。本発明において
は、当然、これら手法も用いることができる。
【0041】このようにして分離された磁性層形成物は
基材から分離されていることから酸素拡散性に優れ、そ
のままで脱酸素剤として使用できるが、さらにこの後、
加熱処理を施すようにすると、強磁性金属粉末の不働態
化した表面層とコア部で相互にイオンが拡散し、酸化さ
れやすい状態となり、脱酸素活性が高まる。
【0042】この加熱処理の温度は、60℃以上、好ま
しくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上とする
のが良い。この温度域で熱処理を行うことにより、強磁
性金属粉末の表面層による酸化安定化効果がくずれ、脱
酸素効果が顕著に発揮されるようになる。一方、加熱処
理温度の上限は250℃である。加熱処理の温度が25
0℃を越えると、高分子結合剤の溶解、分解等が著しく
なり、好ましくない。
【0043】なお、この加熱処理は、非酸化性雰囲気で
行うことが好ましい。これにより、常温に冷却したとき
に、脱酸素効果が顕著に発揮されるようになる。
【0044】ここで、磁気記録媒体に用いられる強磁性
金属粉末は、高密度記録化、短波長記録化の目的のた
め、粒子サイズが微細化しており、それに伴い比表面積
が増大している。このため、強磁性金属粉末を直接加熱
した場合には、酸化の発熱反応が連鎖的に進み、赤熱状
態となり危険である。一方、磁性層内にある強磁性金属
粉末は高分子結合剤によってほぼ粒子単位で隔離された
状態にあるので、熱処理を行っても、粒子の回りの高分
子結合剤によって熱吸収されるとともに、粒子間の熱伝
達が阻害される。したがって、連鎖的な発熱状態になる
ことがなく、極めて安全である。
【0045】なお、磁気記録媒体では、このように強磁
性金属粉末の間に高分子結合剤が介在していることか
ら、この高分子結合剤が強磁性金属粉末の酸化、すなわ
ち周辺環境に対する脱酸素反応を阻害していることが懸
念される。しかし、強磁性金属粉末そのものを特定雰囲
気下に直接置いた場合と、強磁性金属粉末の間に高分子
結合剤が介在する状態、すなわち磁性層とした状態で同
一環境下に置いた場合とで反応速度を比較すると、後者
の反応速度は前者の反応速度の1/2〜1/3程度であ
る。つまり、高分子結合剤による脱酸素反応の阻害は僅
かなものであり、磁性層は、かなり気体透過性を潜在さ
せているものと考えられる。むしろ、高分子結合剤は、
ベースフィルム上に微細な強磁性金属粉末を繋ぎ止めて
おく機能を有し、脱酸素剤としての形状を保つ上で必要
である。
【0046】ただし、磁性層内には、低分子量の有機
物、例えば低分子量の結合剤、反応不完全な架橋剤、潤
滑剤や分散剤等の低分子量の各種有機添加剤等が存在
し、これらは空気中の酸素が磁性層内に拡散するのを阻
害する。したがって、磁性層内の気体の拡散を良好にす
るには、磁気記録媒体を溶剤で洗浄し、これらの低分子
量の有機物を抽出除去しておくのが望ましい。
【0047】この溶剤としては、ヘキサン,ヘプタン,
オクタン,シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶剤、ア
セトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケト
ン,ジイソブチルケチン,シクロヘキサノン等のケトン
系溶剤、メタノール,エタノール,プロパノール,ブタ
ノール,イソプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸
メチル,酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル系溶剤、
ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素系溶
剤等の、比較的乾燥が容易な有機溶剤が使用される。こ
のうち飽和炭化水素系の溶剤は、目的とする低分子量の
有機物のみを選択的に溶解することができ、好ましい。
【0048】さらに、磁性層形成物に電解質を保持させ
るようにしても良い。磁性層に電解質を保持させると、
当該電解質のイオンが金属磁性粉末の酸化を促進するよ
うに作用し、これにより脱酸素の活性が高められる。
【0049】電解質としては、無機電解質や有機酸塩等
が用いられる。
【0050】無機電解質としては、ハロゲン化物、水酸
化物、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、硫酸塩、硝酸塩、第三燐
酸塩、第二燐酸塩、ポリ燐酸塩、炭酸塩等が用いられ
る。これらと塩を形成する金属は、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、遷移金属等である。
【0051】具体的に例示すると、ハロゲン化物として
は、塩化ナトリウム,塩化カリウム等のアルカリ金属の
塩化物、塩化マグネシウム,塩化カルシウム等のアルカ
リ土類金属の塩化物、塩化アルミニウム,塩化第一鉄、
塩化第二鉄等の各種塩化物、また臭化ナトリウム,臭化
カリウム等のアルカリ金属の臭化物、臭化マグネシウ
ム,臭化カルシウム等のアルカリ土類金属の臭化物、臭
化鉄,臭化ニッケル等の各種臭化物が挙げられる。さら
に、沃化ナトリウム,沃化カリウム等のアルカリ金属の
沃化物、沃化マグネシウム,沃化カルシウム等のアルカ
リ土類金属の沃化物、沃化鉄等の各種沃化物等がある。
また、水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙
げられる。亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム,亜硫
酸カリウム等が挙げられ、チオ硫酸塩としては、チオ硫
酸ナトリウム,チオ硫酸カリウム等がある。硫酸塩とし
ては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウ
ム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸錫、硫酸第一
鉄、硫酸第二鉄等がある。硝酸塩としては、硝酸ナトリ
ウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム等が挙げられ、燐
酸塩としては、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸ナトリウ
ム、第三燐酸カリウム、第二燐酸カリウム等が挙げられ
る。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等
が挙げられる。
【0052】有機酸塩としては、クエン酸ナトリウム、
コハク酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、フマル
酸ナトリウム等が挙げられる。
【0053】これら無機電解質、有機酸塩の中では、人
体への安全衛生性の見地から金属塩化物が好ましく、塩
化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩
化第一鉄、塩化第二鉄等が特に好ましい。
【0054】電解質としては、このような無機電解質、
有機酸塩等が用いられるが、これらの電解質は一種単独
で用いても、異なる種類の電解質を組み合わせて用いて
も良い。
【0055】また、さらに、磁性層形成物に含水性高分
子材料を保持させると、それに含まれる水分や、この含
水性高分子材料が電解質の担持効果を有することから磁
性層形成物の脱酸素効果が向上する。
【0056】含水性高分子材料としては、例えばヒドロ
キシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセル
ロース、プロピルセルロース、澱粉、多価アルコール
類、糖類、ポリビニルアルコール、トラガントゴム、ポ
リオキシエチレン等が挙げられる。また、アクリル酸、
メタクリル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン
酸、スチレン燐酸、グルタミン酸等を単量体成分とする
重合体、あるいはこれら単量体を含む共重合体よりなる
酸性高分子、これらの酸性高分子の塩が例示できる。こ
れら塩の対カチオンとしては、アンモニウムイオンや、
リチウム,ナトリウム,カリウム等のアルカリ金属のイ
オン等が例示できる。また、ビニルアミン、エチレンイ
ミン、リシン、ビニルピリジン等を単量体成分とする重
合体、あるいはこれら単量体を含む共重合体よりなる塩
基性高分子、これら塩基性高分子の塩が例示できる。さ
らには、カルボキシメチルセルロース,カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム塩等のセルロース系誘導体、ア
ルギン酸、アルギン酸ナトリウム等が例示できる。
【0057】これら含水性高分子材料の分子量は500
0〜500000が好ましく、10000〜30000
0であるのがより好ましい。分子量がこの範囲を下回る
場合には、含水性高分子層の凝集力が低下するとともに
接着性が低下し、含水性高分子材料が磁性層形成物から
脱落し易くなる。また、分子量がこの範囲を上回ると。
含水性高分子材料の溶解度が低下するとともに溶液とし
たときに粘度が高くなり、製造工程上不都合が生じる。
【0058】これら電解質及び含水性高分子材料を磁性
層形成物に保持させる量は、磁性層形成物100重量部
に対して0.1〜100重量部であるのが好ましく、
0.5〜50重量部であるのがより好ましい。このうち
電解質の量が、この範囲より少ない場合には電解質添加
による有為な効果が得られない。また、電解質の量がこ
の範囲よりも多いと、電解質の結晶あるいは潮解物が磁
性層の表面に析出し、周囲の汚染原因になる虞れがあ
る。また、含水性高分子材料の量が、この範囲より少な
い場合には、含水性高分子材料の水分や電解質を担持す
る効果が十分に得られない。逆に、含水性高分子材料の
量が、この範囲よりも多い場合は、磁性層形成物内への
気体の拡散を阻害する虞れがある。
【0059】電解質や含水性高分子材料を磁性層形成物
に保持させるには、電解質及び/又は含水性高分子材料
の溶液あるいは微細粒子の懸濁液を磁性層形成物に噴霧
することで電解質及び/又は含水性高分子材料を被着さ
せるか、この溶液または懸濁液と磁性層形成物とを混合
し、攪拌させることで電解質及び/又は含水性高分子材
料を磁性層形成物に含浸させる。そして、余剰の液分を
乾燥等によって揮発除去する。
【0060】このとき電解質や含水性高分子材料を溶解
または懸濁させる溶剤としては、水あるいは水にエタノ
ール等の極性溶媒を混合した溶剤が用いられる。この溶
剤には、最後に揮発除去することを考慮して揮発性の高
いものを用いるのが好ましい。また、溶液あるいは懸濁
液中での電解質の含有量は、粘度が格別高まらない範囲
内で多いことが望ましい。これも、最後に溶剤を揮発除
去させるのが容易になるからである。
【0061】なお、電解質と含水性高分子材料とは溶剤
中に一緒に添加し、同時に処理を行うようにしても良
く、別個の溶剤に溶解あるいは懸濁させ、別々の操作で
処理を行うようにしても構わない。ただし、電解質と含
水性高分子材料で溶剤を共用できるのであれば、これら
を溶剤中に一緒に混合し、一度の操作で磁性層形成物に
保持させる方が便利である。
【0062】このような有機溶剤による処理や加熱処
理、さらには電解質による処理、含水性高分子材料によ
る処理を施す場合、有機溶剤による洗浄処理は、これら
の処理に先行して行うのが望ましいが、この他の処理の
順番は特に制限されず、適宜選択することができる。例
えば、電解質や含水性高分子材料による処理を先に行
い、その後加熱処理を行ってもよく、この逆の順番であ
っても構わない。また、電解質による処理と含水性高分
子材料による処理を別工程で行う場合、いずれの操作が
先に行われてもよく、例えば加熱処理を挟んで相前後し
て電解質による処理と含水性高分子材料による処理を行
うようにしても構わない。
【0063】このような処理が施された磁性層形成物
は、例えば通気性を有する袋状容器に充填して使用され
る。この脱酸素剤パックを、例えば密封包装等に入れて
おくと、包装内部の酸素含有量が低下し、あるいは低下
した状態を維持することができる。
【0064】以上のようにして脱酸素剤として再利用さ
れる塗布型の磁気記録媒体としては、強磁性金属粉末を
用いているものであれば特に制限されず、通常のもので
あればいずれもが使用可能である。
【0065】この塗布型の磁気記録媒体において、例え
ば、強磁性金属粉末としては、針状の純鉄あるいは鉄を
主成分とする合金(Fe−Co、Fe−Ni、Fe−N
i−Co等)の粉末が用いられる。
【0066】これら金属あるいは合金の粒子は、上記金
属元素の酸化物、含水酸化物、水酸化物、無機塩、有機
酸塩を還元性気体で気相中還元する方法、あるいはこれ
らを湿式還元する方法により生成される。そして、この
還元された粒子は、引き続き酸化安定化処理がなされ、
磁気記録媒体の磁性粉末として使用される。この処理法
としては、有機溶剤を含浸させ乾燥させる方法、有機溶
剤に浸漬させ酸化性ガスを吹き込み乾燥させる方法、有
機溶剤を用いず分圧を調整した酸化性ガスを吹き込む方
法等がある。粒子に、このような表面酸化安定化処理が
施されると、表面に薄い酸化膜が形成され、酸化安定性
が付与される。なお、この表面の酸化物は、上記金属あ
るいは合金の構成元素のみならず、Al、Si、Ca、
Mg、Sr、Ba、B、S、Ti、Zn、Na、Zr、
K、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Ge、
Sn、Ga等を含有していてもよい。
【0067】高分子結合剤としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、マレ
イン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル
酸、メタクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロ
ニトリル、メタアクリロニトリル、スチレン、メチルス
チレン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセタール、ビ
ニルブチラール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン等
を構成単位として含む重合体あるいは共重合体が挙げら
れる。さらに、ニトロセルロース,セルロースアセテー
ト等のセルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メ
ラミン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
アミド樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
【0068】この高分子結合剤と強磁性金属粉末の混合
比は、高分子結合剤1重量部に対して強磁性金属粉末が
1重量部〜10重量部であるのが好ましく、3重量部〜
9重量部であるのがより好ましい。強磁性金属粉末の量
がこの範囲よりも少ないと、脱酸素活性が十分に得られ
ない。また、強磁性金属粉末がこの範囲よりも多い場合
には、磁性層の強度低下に伴う強磁性金属粉末の脱落等
の問題が生じる。
【0069】塗布型の磁性層には、このような強磁性金
属粉末や結合剤の他、潤滑剤や研磨剤等の各種添加剤が
添加されていても良い。
【0070】潤滑剤としては、炭素数10〜40のアル
キル基を有するモノカルボン酸及びこれらカルボン酸の
金属塩、これらカルボン酸と炭素数10〜40のアルコ
ールのモノエステル、これらカルボン酸と多価アルコー
ルの多価エステルが用いられる。さらには炭素数10〜
40のアルキル基を有するアミド、アミン、アルコール
の他、シリコンオイル、パラフィンオイルあるいは前記
化合物のフッ素化物等が挙げられる。
【0071】研磨剤としては、酸化アルミニウム、炭化
珪素、酸化クロム、酸化鉄、コランダム、ダイヤモン
ド、窒化珪素、炭化チタン、酸化チタン、窒化ほう素等
が用いられる。
【0072】さらに、帯電防止や塗膜強度向上のために
カーボンブラックを添加したり、分散剤として各種界面
活性剤やカップリング剤を使用するようにしても良い。
【0073】また、磁性層には硬化剤を添加することが
できる。この硬化剤としては、ポリイソシアネート化合
物が使用される。このポリイソシアネート化合物として
は、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシ
レンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート等の2官能イソシアネー
ト、ならびにこれら2官能イソシアネートの重合体さら
には多価アルコールとの反応物等が挙げられる。
【0074】このような磁性層は、これらの各種材料を
溶剤とともに混練分散させて磁性塗料を調製し、この磁
性塗料をベースフィルム上に塗布することで形成され
る。
【0075】この塗料化のための溶剤としては、アセト
ン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,ジ
イソブチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン系溶
剤、メタノール,エタノール,プロパノール,ブタノー
ル,イソプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸メチ
ル,酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ベン
ゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等
が挙げられる。
【0076】磁性層の厚みは、乾燥厚で0.1μm〜5
0μmであるのが好ましく、1.0μm〜30μmであ
るのがより好ましい。
【0077】また、ベースフィルムとしては、ポリエチ
レンテレフターレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド等
よりなる高分子フィルムが挙げられる。これらベースフ
ィルムの厚みは、1.0μm〜100μmであるのが好
ましく、2.0μm〜70μmであるのがより好まし
い。
【0078】このような磁気記録媒体の製造工程で生じ
る廃材や、使用済みになった磁気記録媒体は、これまで
焼却や埋設等の廃棄処理にそのまま回されている。これ
に対して、磁気記録媒体から磁性層を分離し、この磁性
層形成物に有機溶剤による洗浄処理、加熱処理、電解質
や親水性高分子による処理を施すと、この磁性層形成物
を脱酸素剤として再利用することが可能となる。これに
より、環境負荷の低減に多いに貢献できる。
【0079】また、この脱酸素剤は、材料として人体に
有害なものを含まないので安全であり、食品等の脱酸素
剤として用いることも可能である。
【0080】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない
ことは言うまでもない。
【0081】実施例1 まず、次の組成に基づいて磁性塗料の各種組成物を計り
とった。
【0082】 磁性塗料の組成 磁気記録媒体用針状金属鉄磁性粒子 100重量部 (比表面積53.9cm2/g、保磁力Hc=1580Oe、飽和磁化σs= 1 20emu/g) 熱可塑性ポリウレタン樹脂 17重量部 (平均分子量20000) カーボン 5重量部 (平均粒径150nm) α−アルミナ 5重量部 (平均粒径200nm) オリーブ油 3重量部 混合溶剤 220重量部 (メチルエチルケトン:メチルイソブチルケトン:トルエン=2:1:1)
【0083】この組成物をボールミルに投入して48時
間混合した後、ポリイソシアネート硬化剤を3.5重量
部添加し、さらに30分間混合することで磁性塗料を調
製した。そして、この磁性塗料を、12μm厚のポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に、乾燥後の厚みが
6.5μmになるように塗布、乾燥した。この工程に際
して、広幅ロールの移送中に皺になったロール最外部を
切り落として採取するとともに、この広幅ロールのスリ
ット時に切り落としたシート両端を採取した。
【0084】この採取したシートを、ターボカッターに
よって10〜50mmの大きさに切断した後、ターボミ
ルによって基材から磁性層形成物を剥離し、さらに基材
と磁性層形成物をターボスクリーナによって分別した。
【0085】このようにして得られた磁性層形成物の破
砕分100重量部に、塩化マグネシウム10重量部を水
20重量部に溶解した電解質溶液を注ぎ、室温、窒素気
流下で混合した後、乾燥した。
【0086】そして、この磁性層形成物を、通気性のよ
い和紙の袋に入れ、封じることによって脱酸素剤パック
を製造した。
【0087】次に、この脱酸素剤パックを、窒素パージ
したポリエチレンテレフタレート(外側)/アルミニウ
ム蒸着/ポリエチレン(内側)の積層フィルムの袋の中
に入れ、密封した。
【0088】そして、約6カ月後に、積層フィルムの袋
を開封して脱酸素剤パックを取り出し、さらに、この脱
酸素剤パックを、光沢の良い銅箔とともに気密性の高い
金属缶の中に入れ、密封した。
【0089】また、比較として、脱酸素剤パックを入れ
ずに銅箔のみを金属缶の中に入れ、密封した。
【0090】約6カ月経過後、金属缶を開封し、銅箔の
光沢を比較したところ、金属缶の中に脱酸素剤パックを
一緒に入れておいた銅箔は殆ど劣化が見い出せなかっ
た。これに対して、金属缶の中に脱酸素剤パックを入れ
ていない銅箔は、黒ずんでいることが確認された。
【0091】実施例2 実施例1で得られた磁性層形成物の破砕分100重量部
に、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム5重量部、塩化
ナトリウム10重量部を水40重量部に溶解した含水性
高分子/電解質溶液を注ぎ、室温、窒素気流下で混合
し、乾燥した。
【0092】次いで、この磁性層形成物を通気性のよい
和紙の袋に入れ、封じた。次に、この磁性層形成物が収
容された和紙の袋を、真空乾燥器内に入れ、室温で真空
脱気した後、大気圧になるまで純窒素を注入した。次い
で、乾燥器内を100℃に昇温して30分間保持し、そ
のまま窒素雰囲気下で室温に冷却することによって脱酸
素剤パックを製造した。
【0093】この脱酸素剤パックを、窒素パージしたポ
リエチレンテレフタレート/アルミニウム蒸着/ポリエ
チレンの積層フィルムの袋に入れ、密封した。
【0094】そして、約2カ月後に、積層フィルムの袋
を開封して脱酸素剤パックを取り出し、さらにこの脱酸
素剤パックを、食パンの袋の中に入れ、封じた。
【0095】また、比較として、脱酸素剤パックを入れ
ていない食パンの袋を用意した。
【0096】食パンのカビの発生状況を観察したとこ
ろ、袋の中に脱酸素剤パック入れていない食パンは4日
後にカビの発生が認められた。これに対して、袋の中に
脱酸素剤パックを一緒に入れておいた食パンは10日以
上経過してもカビの発生がみられなかった。
【0097】実施例3 実施例1で得られた磁性層形成物の破砕分100重量部
に、ポリメタクリル酸6重量部、塩化ナトリウム5重量
部を水30重量部に溶解した含水性高分子/電解質溶液
を注ぎ、室温、窒素気流下で混合し、乾燥した。そし
て、この磁性層形成物を通気性の良い和紙の袋に入れ、
封じることで脱酸素剤パックを製造した。
【0098】この脱酸素剤パックを、窒素パージしたポ
リエチレンテレフタレート/アルミニウム蒸着/ポリエ
チレンの積層フィルムの袋に入れ、密封した。
【0099】約2カ月後に、積層フィルムの袋を開封し
て脱酸素剤パックを取り出し、さらにこの脱酸素剤パッ
クを、銅箔積層プリント基板と一緒にデシケータの中に
入れ、封じた。
【0100】また、比較として、脱酸素剤パックを入れ
ずに銅箔積層プリント基板のみをデシケータの中に入
れ、封じた。
【0101】約2カ月後、銅箔積層プリント基板を取り
出し、ハンダ付け性を比較したところ、デシケータの中
に脱酸素剤パックを一緒に入れておいた銅箔積層プリン
ト基板は、ハンダの濡れが良好であった。これに対し
て、デシケータの中に脱酸素剤パックを入れていない銅
箔積層プリント基板では、ハンダの濡れが悪く、ハンダ
付け不良が生じた。
【0102】以上の実施例1〜実施例3の結果から、塗
布型の磁気記録媒体から分離した磁性層形成物は、金属
の腐食や食品のカビを防止する脱酸素剤として使用でき
ることが確認された。
【0103】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、強磁性金属粉末を用いる塗布型の磁気記録媒体
の磁性層を脱酸素剤として再利用するので、安全性の高
い脱酸素剤を安価に提供することができ、また環境負荷
の低減に多いに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体を切断するための装置を示す模式
図である。
【図2】基材から磁性層を剥離するための装置を示す側
面図である。
【図3】図2に示す装置の粉砕室内の構成を示すもので
あり(a)は粉砕室内の模式図、(b)は粉砕室の内周
面近傍を示す拡大図である。
【図4】基材と磁性層形成物の混合体から、基材と磁性
層形成物を分別するための装置を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久源 良明 宮城県柴田郡村田町大字村田字西ヶ丘12 −1 三丸化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−253481(JP,A) 特開 平9−75716(JP,A) 特開 昭62−244444(JP,A) 特開 平6−103568(JP,A) 実開 平4−964(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/00 - 20/34 A23L 3/3436

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に強磁性金属粉末と結合剤を主体
    とする磁性層が形成された磁気記録媒体から分離された
    磁性層形成物を主体とすることを特徴とする脱酸素剤。
  2. 【請求項2】 磁気記録媒体から分離された磁性層形成
    物に、電解質が保持されていることを特徴とする請求項
    1記載の脱酸素剤。
  3. 【請求項3】 磁気記録媒体から分離された磁性層形成
    物に、含水性高分子が保持されていることを特徴とする
    請求項1記載の脱酸素剤。
  4. 【請求項4】 基材上に強磁性金属粉末と結合剤を主体
    とする磁性層が形成された磁気記録媒体から磁性層を分
    離することによって、脱酸素剤を製造することを特徴と
    する脱酸素剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 基材から分離した磁性層に、有機溶剤に
    よる洗浄処理を施すことを特徴とする請求項4記載の脱
    酸素剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 基材から分離した磁性層に、加熱処理を
    施すことを特徴とする請求項4記載の脱酸素剤の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 基材から分離した磁性層に、電解質を保
    持させることを特徴とする請求項4記載の脱酸素剤の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 基材から分離した磁性層に、含水性高分
    子を保持させることを特徴とする請求項4記載の脱酸素
    剤の製造方法。
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