JP3499952B2 - Co2 ガス用センサ - Google Patents

Co2 ガス用センサ

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JP3499952B2 JP05709095A JP5709095A JP3499952B2 JP 3499952 B2 JP3499952 B2 JP 3499952B2 JP 05709095 A JP05709095 A JP 05709095A JP 5709095 A JP5709095 A JP 5709095A JP 3499952 B2 JP3499952 B2 JP 3499952B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広範囲濃度のCO2
スを簡便な方法で迅速に検知できるCO2 ガス用セン
サ、その製造方法及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CO2 ガスは大気中に約0.03vol %
含まれているが、近年、化石燃料の使用等により、その
含有量が増加の一途をたどっており、それが地球温暖化
という深刻な問題を引き起こしている。したがって、C
2 ガスの排出量を抑制しようとする試みがなされてお
り、その過程において、CO2 ガス濃度を迅速かつ簡便
に測定できるセンサが求められている。
【0003】また、閉鎖的な作業環境においては、CO
2 ガス濃度の増加により、作業員の健康、生命にかかわ
る場合も考えられ(人体への許容濃度は0.5vol
%)、快適な作業環境の維持を確保するためにも、上記
したセンサの開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、迅速性及び簡便
性の点、更に、広範囲の濃度測定に精度よく対応できる
CO2 ガス用センサは実用化されていない。そこで本発
明は、かかる課題を達成できるCO2 ガス用センサ、そ
の製造方法及びその使用方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するべく研究の結果、Sbイオンを添加した斜方晶
系ラムスデライト構造を有する三チタン酸リチウム焼
結体が、それに通電した場合、外部雰囲気のCO2 ガス
濃度の変化に応じて電気抵抗値を変化させるというセン
サとしての特性を有することを見出し、本発明を完成し
た。
【0006】 本発明は、Sbイオンを含有する斜方晶
系ラムスデライト構造を有する三チタン酸リチウム焼
結体を含む基板と、前記基板の同一面上又は対向する面
上に隔離して配置された二つの電極とを有することを特
徴とするCO2 ガス用センサを提供する。
【0007】 また、本発明は、炭酸リチウム19.8
〜31.9mol %、二酸化チタン61.2〜77.8mo
l %及び酸化アンチモン0.2〜10.0mol %を乾式
混合し又は湿式混合したのち乾燥し、1300℃以上で
加熱溶融する工程、次に、大気中又は水中で急冷してS
bイオンを含有する斜方晶系ラムスデライト構造を有
する三チタン酸リチウムを得たのち、粉砕し、所望形状
に加圧下で成形する工程、その後、940℃以上で3時
間以上焼成することにより、Sbイオンを含有する斜方
晶系ラムスデライト構造を有する三チタン酸リチウム
焼結体からなる基板を得る工程、次に、前工程で得られ
た基板の同一又は対向する面上に、二つの電極を隔離し
て形成する工程、を具備することを特徴とするCO2
ス用センサの製造方法を提供する。
【0008】更に、本発明は、前記CO2 ガス用センサ
を構成する基板を、予め50〜500℃に加熱したの
ち、被測定環境に置くことを特徴とするCO2 ガス用セ
ンサの使用方法を提供する。
【0009】 まず、本発明のCO2 ガス用センサにつ
いて、図1に基づいて説明する。CO2 ガス用センサ1
を構成する基板2は、Sbイオンを含有する斜方晶系ラ
ムスデライト構造を有する三チタン酸リチウム焼結体
(以下、単に「Sbイオン含有三チタン酸リチウム焼結
体」という)から形成されるものである。このような有
Sbイオン含有三チタン酸リチウム焼結体からなる基板
2の形状、大きさなどは特に制限されるものではなく、
平板状、立方体状、直方体状、円柱状など、CO2 ガス
用センサの設置場所などに応じ、所望形状にすることが
できる。
【0010】基板を構成するSbイオン含有三チタン酸
リチウム焼結体は、その製造原料として、炭酸リチウム
を好ましくは19.8〜31.9mol %、特に好ましく
は25.7〜30.7mol %含有し、二酸化チタンを好
ましくは61.2〜77.8mol %、特に好ましくは6
5.6〜72.3mol %含有し、Sbイオン源としての
酸化アンチモンを好ましくは0.2〜10.0mol %、
特に好ましくは1.0〜5.0mol %含有するものであ
る。
【0011】また、本発明のCO2 ガス用センサを構成
する二つの電極3a及び3bは、基板の同一面上に隔離
して形成されているものであるが、そのほか、二つの電
極を対向する面上に隔離して形成することもできる。こ
の電極材料としてはイオンブロック効果の高いものであ
れば特に制限されるものではなく、通常は白金を用いる
ことができる。
【0012】次に、その製造方法を説明しながら、あわ
せてCO2 ガス用センサの詳細な構成についても説明す
る。
【0013】まず、炭酸リチウム(Li2 CO3 )、二
酸化チタン(TiO2 )及びSbイオン源としての酸化
アンチモン、即ち、三酸化二アンチモン(Sb
2 3 )、四酸化二アンチモン(Sb2 4 )又は五酸
化二アンチモン(Sb2 5 )を、乾式又は湿式混合し
たのち(湿式混合の場合は、乾燥処理を要する)、白金
容器中に入れ(好ましくは押し固めた状態で入れる)、
1300℃以上で加熱溶融する。
【0014】この工程における炭酸リチウムと二酸化チ
タンの混合割合は、三チタン酸リチウムの生成率を高め
てCO2 ガスセンサとしての特性を十分に発現させるた
め、炭酸リチウムの配合量が19.8〜31.9mol %
であることが好ましく、特に25.7〜30.7mol %
であることが好ましい。また、同様の理由から、ニ酸化
チタンの配合量が61.2〜77.8mol %であること
が好ましく、特に65.6〜72.3mol %であること
が好ましい。さらに、Sbイオン源である酸化アンチモ
ンの混合割合は、三チタン酸リチウムの熱安定性を高
め、CO2 ガスセンサとしての特性をより安定かつ十分
に発現させるため、酸化アンチモンの配合量が0.2〜
10.0mol %であることが好ましく、特に1.0〜
5.0mol %であることが好ましい。
【0015】 次に、大気中又は水中において急冷する
ことにより、Sbイオンを含有する斜方晶系ラムスデラ
イト構造を有する三チタン酸リチウム(Li2 Ti3
7 )を得たのち、粉砕し、所望形状に加圧下で成形す
る。
【0016】その後、前工程で得られた三チタン酸リチ
ウムを、940℃以上で3時間以上、好ましくは110
0℃で5時間焼成したのち、大気中又は水中において急
冷することにより、Sbイオン含有三チタン酸リチウム
焼結体を得ることができる。
【0017】次に、Sbイオン含有三チタン酸リチウム
焼結体を基板とし、その同一又は対向する面上に、常法
により二つの電極を隔離して形成する。
【0018】このように、基板をSbイオン含有三チタ
ン酸リチウム焼結体により形成することにより、次の利
点を有する。三チタン酸リチウム焼結体は、室温では準
安定相として存在するため、温度に対しては不安定とな
る。したがって、380℃以上の温度雰囲気に長時間置
かれると六方晶系に相転移し、絶縁体化するとともにセ
ンサ機能が消失してしまう。しかし、Sbイオンを含有
させることにより、900℃以上の高温においても安定
に存在させることができる。更に、センサ特性としての
電気抵抗値も、Sbイオンを含有していない三チタン酸
リチウム焼結体に比べると大幅に低下するため、測定が
容易になる。
【0019】次に、本発明のCO2 ガス用センサの使用
方法を、図2に基づいて説明する。図2は、CO2 ガス
用センサを組み込んだ測定回路の概略平面図である。電
極3a,3bは、導体5を介して交流電源に接続されて
いる。この測定回路には、CO2 ガス用センサの電気抵
抗の変化を計測するためのLCRメーターが組み込まれ
ている。
【0020】まず、CO2 ガス用センサ1を所望の測定
環境に置く。次に、電源より通電すると、基板2を構成
するSbイオン含有三チタン酸リチウム焼結体は、CO
2 ガス濃度の変化に応じてその電気抵抗が変化するとい
うセンサ特性を有しているため、測定時及びその後のC
2 ガス濃度変化に応じた電気抵抗値を示す。したがっ
て、それらをLCRメーターにより読み取り、予め作成
した検量線に基づいて、CO2 ガス濃度を求めることが
できる。なお、このとき、CO2 ガスの検知能力及び電
気抵抗値復元能力をより高めるため、基板2を予め50
〜500℃、特に100〜300℃に加熱したのち、C
2 ガス用センサ1を所望の測定環境に置くことが好ま
しい。
【0021】本発明のCO2 ガス用センサは、使用後、
そのまま大気中に放置することにより、電気抵抗値は短
時間で通電前の初期値に復元し、再度の測定に提供する
ことができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらにより限定されるものではな
い。
【0023】実施例1 次の製造方法で、図1に示すような形状のCO2 ガス用
センサを製造した。まず、炭酸リチウム(キシダ化学社
製;特級試薬)、二酸化チタン(キシダ化学社製;特級
試薬;ルチル100%,)及びSbイオン源としての五
酸化二アンチモン(Sb2 5 )を、モル分率(mol
%)28.1/68.9/3.0となるように計量した
のち乾式混合し、所定の白金容器中に入れて押し固め、
1350℃、1時間の条件で電気炉を用いて加熱溶融し
た。
【0024】 次に、電気炉から取り出し、大気中に放
置して室温まで急冷することにより、Sbイオンを含有
する斜方晶系ラムスデライト構造を有する三チタン酸
リチウム(Li2 Ti37 )の塊を得た。その後、そ
の塊をアルミナ乳鉢により粉砕し、その粉砕物を加圧下
(20MPa )で平板状に成形した。
【0025】その後、前工程で得られた三チタン酸リチ
ウムを、1100℃で5時間焼成したのち、大気中で放
置して室温まで急冷することにより、Sbイオン含有三
チタン酸リチウム焼結体からなる基板を得た。
【0026】次に、前工程で得られた基板の同一面上
に、白金からなる二つの電極を隔離して形成し、CO2
ガス用センサを得た。
【0027】実施例2 実施例1で得たCO2 ガス用センサを図2に示すような
測定回路に組み込み、CO2 ガスを10〜105vol ppm
まで変化させ、その場合の電気抵抗値(Ω)の変化をL
CRメーターで読み取ることにより、検量線を作成し
た。測定は、CO 2 ガス用センサのみを密閉系内に放置
し、外部雰囲気との電源(交流100v)等と導体によ
り接続して行った。なお、基板は、予め300℃に加熱
しておいた。結果を図3に示す。
【0028】図3から明らかなとおり、10〜103VOL
ppmまでのCO2 ガス濃度の変化に対し、700〜78
3Ωまでの直線的な電気抵抗値の変化を示した。この結
果から、10〜103vol ppmまでのCO2 ガス濃度範囲
において、本発明のCO2 ガス用センサの測定信頼性が
確認された。
【0029】また、測定終了後、CO2 ガス用センサを
大気中でそのまま約10分間放置することにより、電気
抵抗値が初期値に戻ったことを確認した。
【0030】実施例3 実施例1のCO2 ガス用センサにより、炉を使用する一
般的な作業所内のCO 2 ガス濃度を測定したところ、電
気抵抗値が772Ωを示し、これからCO2 ガス濃度が
0.1ppm であることがわかった。また、この同作業所
内のCO2 ガス濃度を、汎用されている赤外線型CO2
メータにより測定した結果、同一の測定値が得られた。
【0031】
【発明の効果】本発明のCO2 ガス用センサは、基板と
してSbイオン含有三チタン酸リチウム焼結体を用いて
いる。このSbイオン含有三チタン酸リチウム焼結体
は、CO 2 ガスの濃度変化に応じて電気抵抗を変化させ
るというガスセンサとしての特性を有しているため、測
定環境のCO2 ガス濃度を、簡便な測定方法により、迅
速にかつ高い信頼性で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスセンサの一実施例の斜視図であ
る。
【図2】本発明のガスセンサを組み込んだ、測定回路の
概略平面図である。
【図3】本発明のガスセンサによるCO2 ガス濃度の測
定結果を説明するための図である。
【符号の説明】
1…ガスセンサ 2…基板 3a,3b…電極 5…導体
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/12 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Sbイオンを含有する斜方晶系ラムスデ
    ライト構造を有する三チタン酸リチウム焼結体を含む
    基板と、前記基板の同一面上又は対向する面上に隔離し
    て形成された二つの電極とを有することを特徴とするC
    2 ガス用センサ。
  2. 【請求項2】 前記Sbイオンを含有する斜方晶系ラム
    スデライト構造を有する三チタン酸リチウム焼結体
    が、製造原料として、炭酸リチウム19.831.9mo
    l %、二酸化チタン61.2〜77.8mol %及びSb
    イオン源としての酸化アンチモン0.2〜10.0mol
    %を含有するものである請求項1記載のCO2 ガス用セ
    ンサ。
  3. 【請求項3】 炭酸リチウム19.8〜31.9mol
    %、二酸化チタン61.2〜77.8mol %及び酸化ア
    ンチモン0.2〜10.0mol %を乾式混合し又は湿式
    混合したのち乾燥し、1300℃以上で加熱溶融する工
    程、 次に、大気中又は水中で急冷してSbイオンを含有する
    斜方晶系ラムスデライト構造を有する三チタン酸リチ
    ウムを得たのち、粉砕し、所望形状に加圧下で成形する
    工程、 その後、940℃以上で3時間以上焼成することによ
    り、Sbイオンを含有する斜方晶系ラムスデライト
    造を有する三チタン酸リチウム焼結体からなる基板を得
    る工程、 次に、前工程で得られた基板の同一又は対向する面上
    に、二つの電極を隔離して形成する工程、 を具備することを特徴とするCO2 ガス用センサの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のCO2 ガス用センサを構
    成する基板を、予め50〜500℃に加熱したのち、被
    測定環境に置くことを特徴とするCO2 ガス用センサの
    使用方法。
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