JP3499278B2 - 耐火鋳鋼 - Google Patents
耐火鋳鋼Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築、土木及び海洋構造
物等の分野における、各種鋼構造物において耐火鋼材の
接合に用いる接合部品もしくは接合部を含む部材(以
下、接合部品・部材という)用の耐火性と溶接性の優れ
た耐火鋳鋼に関するものである。
物等の分野における、各種鋼構造物において耐火鋼材の
接合に用いる接合部品もしくは接合部を含む部材(以
下、接合部品・部材という)用の耐火性と溶接性の優れ
た耐火鋳鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】構造物、特に建築構造物では、火災時に
鉄骨が高温にさらされると強度が下がり、建築構造物と
しての耐力が低下するため、従来、建築基準法により鉄
骨の耐火被覆施工が義務づけられていた。しかし、平成
元年に追加された「新耐火設計法」では、高温耐力の優
れた鋼材(以下耐火鋼材という)を使用することによ
り、耐火被覆材の削減、もしくは、その用途・構造形態
によっては耐火被覆なしの構造が認められるようになっ
ている。上記新しい基準では、耐火鋼材は従来の鋼材が
350℃で有する耐力を600℃でも保持することが要
求されている。例えば、耐火鋼材は600℃における耐
力が、常温における降伏強度の規格下限値の2/3以上
を有することが必要とされている。
鉄骨が高温にさらされると強度が下がり、建築構造物と
しての耐力が低下するため、従来、建築基準法により鉄
骨の耐火被覆施工が義務づけられていた。しかし、平成
元年に追加された「新耐火設計法」では、高温耐力の優
れた鋼材(以下耐火鋼材という)を使用することによ
り、耐火被覆材の削減、もしくは、その用途・構造形態
によっては耐火被覆なしの構造が認められるようになっ
ている。上記新しい基準では、耐火鋼材は従来の鋼材が
350℃で有する耐力を600℃でも保持することが要
求されている。例えば、耐火鋼材は600℃における耐
力が、常温における降伏強度の規格下限値の2/3以上
を有することが必要とされている。
【0003】そこで、新しい耐火鋼材が開発され(例え
ば特開平2-170943号公報)、更にはかかる構造物に使用
できる耐火性のある耐火ボルト(例えば特開平2-247355
号公報)も開発されている。しかし、上記鋼構造物は上
記耐火鋼材や耐火ボルト以外に、柱と柱、または、はり
を接合する仕口部やトラス部材の節点等において、構造
強度上並びに美観上の要求から鋳鋼製の接合部品・部
材、例えば、ダイヤフラムあるいは立体トラス用接合金
物等が必要である。これらの接合部品・部材は、通常上
記耐火鋼材と溶接により接合される。
ば特開平2-170943号公報)、更にはかかる構造物に使用
できる耐火性のある耐火ボルト(例えば特開平2-247355
号公報)も開発されている。しかし、上記鋼構造物は上
記耐火鋼材や耐火ボルト以外に、柱と柱、または、はり
を接合する仕口部やトラス部材の節点等において、構造
強度上並びに美観上の要求から鋳鋼製の接合部品・部
材、例えば、ダイヤフラムあるいは立体トラス用接合金
物等が必要である。これらの接合部品・部材は、通常上
記耐火鋼材と溶接により接合される。
【0004】上記の耐火鋼材は鋼板、H型鋼等の圧延鋼
材として供給されものであって、これらの成分組成の鋼
種を本発明の目的である上記接合部品・部材用の鋳鋼に
転用はできない。一般に圧延鋼材と鋳鋼の成分組成が同
一であると、後者の強度は前者の強度より劣るためであ
る。上記耐火鋼材としては、常温における強度がJISG 3
106に規定するSM400,及びSM490 に相当し、かつ、6
00 ℃における耐力が常温における降伏強度の規格下限
値の2/3以上を有する鋼材が比較的多く使用されてい
る。
材として供給されものであって、これらの成分組成の鋼
種を本発明の目的である上記接合部品・部材用の鋳鋼に
転用はできない。一般に圧延鋼材と鋳鋼の成分組成が同
一であると、後者の強度は前者の強度より劣るためであ
る。上記耐火鋼材としては、常温における強度がJISG 3
106に規定するSM400,及びSM490 に相当し、かつ、6
00 ℃における耐力が常温における降伏強度の規格下限
値の2/3以上を有する鋼材が比較的多く使用されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、接合部品・部
材、例えば、ダイヤフラム(鋳造ダイヤフラム)は、図
2に示すように複雑な形状であるため鋳鋼品であるが、
その材料としてJIS G 5101(炭素鋼鋳鋼品)に規定する
SC 450 又はJIS G 5102(溶接構造用鋳鋼品)に規定す
る SCW 480等が使用されている。
材、例えば、ダイヤフラム(鋳造ダイヤフラム)は、図
2に示すように複雑な形状であるため鋳鋼品であるが、
その材料としてJIS G 5101(炭素鋼鋳鋼品)に規定する
SC 450 又はJIS G 5102(溶接構造用鋳鋼品)に規定す
る SCW 480等が使用されている。
【0006】これらの鋳鋼品の600 ℃の耐力は常温の降
伏点又は耐力の約1/3であり、耐火鋳鋼としては使用
できない。他方、高温耐力に優れた鋳鋼としては、クロ
ム−モリブデン鋳鋼(JIS G 5151)がある。本鋳鋼品は60
0 ℃の耐力が常温の耐力の約2/3(例えばSCPH 21 の
焼鈍材では190 N/mm2 以上)を有するが、溶接割れ
感受性が高いために、耐溶接割れ性が悪く、予熱、又は
後熱を行うなど溶接施工に難点がある。そこで、構造物
の耐火被覆施工の低減あるいは省略を図るために、高い
高温耐力を有するとともに、優れた溶接性並びに母材特
性を有し、あらゆるデザインに対応できる種々の形状を
有する鋼構造物の接合部品・部材用の耐火鋳鋼が必要で
ある。
伏点又は耐力の約1/3であり、耐火鋳鋼としては使用
できない。他方、高温耐力に優れた鋳鋼としては、クロ
ム−モリブデン鋳鋼(JIS G 5151)がある。本鋳鋼品は60
0 ℃の耐力が常温の耐力の約2/3(例えばSCPH 21 の
焼鈍材では190 N/mm2 以上)を有するが、溶接割れ
感受性が高いために、耐溶接割れ性が悪く、予熱、又は
後熱を行うなど溶接施工に難点がある。そこで、構造物
の耐火被覆施工の低減あるいは省略を図るために、高い
高温耐力を有するとともに、優れた溶接性並びに母材特
性を有し、あらゆるデザインに対応できる種々の形状を
有する鋼構造物の接合部品・部材用の耐火鋳鋼が必要で
ある。
【0007】そこで、本発明においては、鋳造物として
上記鋼材と同等な強度、即ち、常温における強度がJIS
G 3106に規定するSM490 に相当し、かつ、600 ℃にお
ける耐力が常温における降伏強度または耐力の規格下限
値の2/3以上を有する鋳造用の耐火鋳鋼を目的とす
る。
上記鋼材と同等な強度、即ち、常温における強度がJIS
G 3106に規定するSM490 に相当し、かつ、600 ℃にお
ける耐力が常温における降伏強度または耐力の規格下限
値の2/3以上を有する鋳造用の耐火鋳鋼を目的とす
る。
【0008】また、大型の鋳鋼の接合部品・部材用の耐
火鋳鋼を目的とするため、機械的性質は、SM490 相当
の耐火鋳鋼として、常温の降伏強度または耐力が約315
N/mm2 以上で、600 ℃の耐力が約217 N/mm2 以
上を有する耐火鋳鋼を発明の課題とする。また、大型の
鋳鋼の接合部品・部材用の耐火鋳鋼を目的とするため、
熱処理法としては空冷処理で上記の機械的性能を確保す
ることを課題とする。
火鋳鋼を目的とするため、機械的性質は、SM490 相当
の耐火鋳鋼として、常温の降伏強度または耐力が約315
N/mm2 以上で、600 ℃の耐力が約217 N/mm2 以
上を有する耐火鋳鋼を発明の課題とする。また、大型の
鋳鋼の接合部品・部材用の耐火鋳鋼を目的とするため、
熱処理法としては空冷処理で上記の機械的性能を確保す
ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の問題点に鑑み、本
発明者らが鋭意研究を行った結果、化学成分はMn−C
r−Mo系を基本成分として、更にVによる熱間強度の
強化とNi含有させて特に焼入れ処理を省略しても、溶
接性を損なわずに、高温耐力を大幅に改善することが可
能であるという知見を得て完成させた発明である。
発明者らが鋭意研究を行った結果、化学成分はMn−C
r−Mo系を基本成分として、更にVによる熱間強度の
強化とNi含有させて特に焼入れ処理を省略しても、溶
接性を損なわずに、高温耐力を大幅に改善することが可
能であるという知見を得て完成させた発明である。
【0010】(1)請求項1の発明は下記の特徴(成分
組成はwt%である)を備えた耐火性と溶接性に優れた
耐火鋳鋼である。 (a)主成分として、 C :0.09〜0.15%、 Si:0.2 〜0.8 %、 Mn:0.6 〜1.4 %、 Cr:0.2 〜0 3 % Mo:0.3 超え0.7 %以下、 V:0.01〜0.1 % Ni:0.6 〜1.3% を含有し残部がFe及び不可避的不純物からなり、 (b)CE(炭素当量)が0.45%以下である。
組成はwt%である)を備えた耐火性と溶接性に優れた
耐火鋳鋼である。 (a)主成分として、 C :0.09〜0.15%、 Si:0.2 〜0.8 %、 Mn:0.6 〜1.4 %、 Cr:0.2 〜0 3 % Mo:0.3 超え0.7 %以下、 V:0.01〜0.1 % Ni:0.6 〜1.3% を含有し残部がFe及び不可避的不純物からなり、 (b)CE(炭素当量)が0.45%以下である。
【0011】(2)請求項2の発明は、前記成分組成の
鋳鋼を900 〜1000℃に加熱後、空冷し、その後600 〜70
0 ℃で焼き戻したことを特徴とする耐火性と溶接性に優
れた請求項1記載の耐火鋳鋼である。
鋳鋼を900 〜1000℃に加熱後、空冷し、その後600 〜70
0 ℃で焼き戻したことを特徴とする耐火性と溶接性に優
れた請求項1記載の耐火鋳鋼である。
【0012】(3)請求項3の発明は、前記耐火鋳鋼に
より鋳造された溶接のための鋼構造物用接合部品・部材
である。
より鋳造された溶接のための鋼構造物用接合部品・部材
である。
【0013】
【作用】以下に、本発明における化学成分の限定理由に
ついて説明する。Cは強度上昇に寄与する元素である
が、0.09%未満では強度を確保することは困難であり、
また、0.15%を超えて多量に添加するときは、溶接性及
び靱性を劣化させる。したがって、その含有量は0.09〜
0.15%の範囲とする。
ついて説明する。Cは強度上昇に寄与する元素である
が、0.09%未満では強度を確保することは困難であり、
また、0.15%を超えて多量に添加するときは、溶接性及
び靱性を劣化させる。したがって、その含有量は0.09〜
0.15%の範囲とする。
【0014】Siは、脱酸効果と鋳造性を確保するため
の必須の元素であり、0.2 %未満では脱酸効果が少な
く、鋳造性を確保する点から多い方が望ましいが、0.8
%を超えて過多に添加すると、溶接性を劣化させる。こ
のため、その添加量は 0.2〜0.8 %の範囲とする。
の必須の元素であり、0.2 %未満では脱酸効果が少な
く、鋳造性を確保する点から多い方が望ましいが、0.8
%を超えて過多に添加すると、溶接性を劣化させる。こ
のため、その添加量は 0.2〜0.8 %の範囲とする。
【0015】Mnは、その脱酸効果と鋳造性の確保、並
びに強度及び靱性を確保するために必要な元素である
が、0.6 %未満ではこのような効果は少なく、また、1.
4 %を超えて多量に添加すると溶接性を劣化させ、か
つ、靱性を劣化させる。そこで、0.6 %〜1.4 %とす
る。
びに強度及び靱性を確保するために必要な元素である
が、0.6 %未満ではこのような効果は少なく、また、1.
4 %を超えて多量に添加すると溶接性を劣化させ、か
つ、靱性を劣化させる。そこで、0.6 %〜1.4 %とす
る。
【0016】Crは、高温強度の向上に有効な元素であ
るが、0.2 %未満ではこのような効果は得られず、ま
た、0.3 %を超えて添加すると溶接性を損なう。したが
って、その添加量は0.2 〜0.3 %とする。
るが、0.2 %未満ではこのような効果は得られず、ま
た、0.3 %を超えて添加すると溶接性を損なう。したが
って、その添加量は0.2 〜0.3 %とする。
【0017】Moは、高温強度を確保するために不可欠
な元素である。特に、Moは600 ℃における焼き戻し軟
化抵抗が他の元素と比較して著しく高いので、必要な元
素である。その含有量は、0.3 %以下ではこのような効
果は得られず、また、0.7 %を超えて添加すると溶接性
を損なう。したがって、その添加量は0.3 超え0.7 %以
下とする。
な元素である。特に、Moは600 ℃における焼き戻し軟
化抵抗が他の元素と比較して著しく高いので、必要な元
素である。その含有量は、0.3 %以下ではこのような効
果は得られず、また、0.7 %を超えて添加すると溶接性
を損なう。したがって、その添加量は0.3 超え0.7 %以
下とする。
【0018】Vは、析出硬化による強度上昇に有効な元
素であるが、0.01%未満ではこのような硬化は殆ど期待
できず、また、0.1 %を超えて過多に添加するときは溶
接性が劣化する。したがって、その添加量は0.01〜0.1
%の範囲とする。
素であるが、0.01%未満ではこのような硬化は殆ど期待
できず、また、0.1 %を超えて過多に添加するときは溶
接性が劣化する。したがって、その添加量は0.01〜0.1
%の範囲とする。
【0019】Niは、通常含有量が多い程焼入れ性を向
上させるが、研究の結果次の点が判明した。他の成分組
成を一定とし、Ni含有量を0 から1.5 %まで変化させ
て常温の降伏強度または耐力と600 ℃における耐力を調
査した結果を図1に示す。この図から、Niが0.6 〜1.
3 %の範囲で600 ℃における耐力が本発明の課題とした
217 N/mm2 以上となった。なお、常温の耐力はNi
0.1 〜1.5 %の範囲で本発明の課題とした315 N/mm
2 以上が得られた。そこで、Ni含有量は0.6〜1.3 %
とする。また、上記範囲では後述する溶接性、熱影響部
の靱性に悪影響を及ぼすことなく母材の強度と靱性を向
上させることができる。また、本発明に係る鋳鋼の性質
を変更しない限り、不純物元素やその他の元素を微量含
有させてもよい。
上させるが、研究の結果次の点が判明した。他の成分組
成を一定とし、Ni含有量を0 から1.5 %まで変化させ
て常温の降伏強度または耐力と600 ℃における耐力を調
査した結果を図1に示す。この図から、Niが0.6 〜1.
3 %の範囲で600 ℃における耐力が本発明の課題とした
217 N/mm2 以上となった。なお、常温の耐力はNi
0.1 〜1.5 %の範囲で本発明の課題とした315 N/mm
2 以上が得られた。そこで、Ni含有量は0.6〜1.3 %
とする。また、上記範囲では後述する溶接性、熱影響部
の靱性に悪影響を及ぼすことなく母材の強度と靱性を向
上させることができる。また、本発明に係る鋳鋼の性質
を変更しない限り、不純物元素やその他の元素を微量含
有させてもよい。
【0020】また、溶接時の低温割れ等の溶接欠陥を防
止するために、溶接熱影響部の最高硬さHvを350以
下に抑える必要がある。この最高硬さは主に炭素当量
(CE)をある限度以下にすることにより達成すること
が出来る。ここで、炭素当量(CE)は下式による。 CE(wt%)=C+Mn/6+Si/24+Ni/4
0+Cr/5+Mo/4+V/14 溶接時の低温割れ等の溶接欠陥は種々の溶接条件に左右
されるので、発明の目的とする接合部品・部材を溶接す
る条件において溶接熱影響部の最高硬さ試験を行った。
止するために、溶接熱影響部の最高硬さHvを350以
下に抑える必要がある。この最高硬さは主に炭素当量
(CE)をある限度以下にすることにより達成すること
が出来る。ここで、炭素当量(CE)は下式による。 CE(wt%)=C+Mn/6+Si/24+Ni/4
0+Cr/5+Mo/4+V/14 溶接時の低温割れ等の溶接欠陥は種々の溶接条件に左右
されるので、発明の目的とする接合部品・部材を溶接す
る条件において溶接熱影響部の最高硬さ試験を行った。
【0021】この溶接条件は下記の通りである。
試験方法:JIS Z3101
溶接条件:
溶接材料;神鋼 LB−490FR 4mmφ
予熱温度;常温(予熱なし)
溶接条件;170A−25V−15cm/min.
溶接入熱;16.3kJ/cm
被溶接材;本発明の鋳鋼(表1のA 〜E ),120 ×200 ×
35 mm の供試材を950 ℃に加熱後、空冷し、600 ℃で焼
き戻し後、機械切削し試験材を作成した。
35 mm の供試材を950 ℃に加熱後、空冷し、600 ℃で焼
き戻し後、機械切削し試験材を作成した。
【0022】試験結果:( 後述する表3参照)
A(CE;0.44%); Hv304
B(CE;0.45%); Hv298
C(CE;0.44%); Hv286
D(CE;0.45%); Hv295
E(CE;0.43%); Hv298
上記試験結果、いずれも熱影響部の最高硬さは、Hv3
50以下であり、溶接性は良好であった。そこで、CE
を0.45%とした。
50以下であり、溶接性は良好であった。そこで、CE
を0.45%とした。
【0023】次に、本発明における熱処理条件の限定に
ついて説明する。本発明においては、熱処理前の組織が
鋳造組織であることを考慮し、900 〜1000℃に加熱後、
空冷を行う。この場合には、フェライト−ベイナイト組
織が得られる。熱処理を空冷としたのは、本発明の鋳鋼
は比較的大型の鋳鋼品である接合部品・部材を目的とし
ているため工程が油焼入れ等より簡単な空冷としたため
である。なお、空冷に代えて油冷とすることは上記のと
おり若干製造工程が複雑となるが、本発明の目的とする
強度を得る点からは何ら差し支えはない。この場合の金
属組織は、空冷の場合と同様にフェライト−ベイナイト
組織が得られる。
ついて説明する。本発明においては、熱処理前の組織が
鋳造組織であることを考慮し、900 〜1000℃に加熱後、
空冷を行う。この場合には、フェライト−ベイナイト組
織が得られる。熱処理を空冷としたのは、本発明の鋳鋼
は比較的大型の鋳鋼品である接合部品・部材を目的とし
ているため工程が油焼入れ等より簡単な空冷としたため
である。なお、空冷に代えて油冷とすることは上記のと
おり若干製造工程が複雑となるが、本発明の目的とする
強度を得る点からは何ら差し支えはない。この場合の金
属組織は、空冷の場合と同様にフェライト−ベイナイト
組織が得られる。
【0024】また、焼戻温度を600 〜700 ℃に限定する
理由は、Mo,Ni,Cr,Si等による焼き戻し硬化
の効果が最大になるからである。したがって、600 ℃未
満の温度では靱性に欠ける製品となるおそれが多く、70
0 ℃を超えると強度が低くなりすぎるためである。
理由は、Mo,Ni,Cr,Si等による焼き戻し硬化
の効果が最大になるからである。したがって、600 ℃未
満の温度では靱性に欠ける製品となるおそれが多く、70
0 ℃を超えると強度が低くなりすぎるためである。
【0025】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明について説明
する。高周波電気炉により、表1に示す化学組成の供試
材を溶解し、炭酸ガス鋳型を用いて、120 ×200 ×35
mm及び120 ×200 ×60mmの供試材を鋳造し、950
℃に加熱後、空冷し、650 ℃で焼戻処理を行なった。こ
れらの供試材から試験片を採取し、常温引張試験、およ
び、500 ℃、600 ℃、700 ℃で高温引張試験を行った。
する。高周波電気炉により、表1に示す化学組成の供試
材を溶解し、炭酸ガス鋳型を用いて、120 ×200 ×35
mm及び120 ×200 ×60mmの供試材を鋳造し、950
℃に加熱後、空冷し、650 ℃で焼戻処理を行なった。こ
れらの供試材から試験片を採取し、常温引張試験、およ
び、500 ℃、600 ℃、700 ℃で高温引張試験を行った。
【0026】表1に本発明材A〜E及び比較材F〜Lの
化学成分を示す。表2には比較材および本発明に係る耐
火鋳鋼の強度を示す。常温では315 N/mm2 以上の降
伏強度が、600 ℃では目標とする217 N/mm2 以上の
耐力が得られている。比較材のうち、F、G、HはNi
含有量が低すぎるかまたは高すぎるため600 ℃での耐力
が目標とする217 N/mm2 に達しない。I,J,K,
LはNi,Cr,Mo,Vのいずれか一つ以上が発明の
範囲を外れているため目標を達成していない。また、表
3には、本発明に係る耐火鋳鋼の溶接熱影響部の最高硬
さ試験を行った結果を示した。
化学成分を示す。表2には比較材および本発明に係る耐
火鋳鋼の強度を示す。常温では315 N/mm2 以上の降
伏強度が、600 ℃では目標とする217 N/mm2 以上の
耐力が得られている。比較材のうち、F、G、HはNi
含有量が低すぎるかまたは高すぎるため600 ℃での耐力
が目標とする217 N/mm2 に達しない。I,J,K,
LはNi,Cr,Mo,Vのいずれか一つ以上が発明の
範囲を外れているため目標を達成していない。また、表
3には、本発明に係る耐火鋳鋼の溶接熱影響部の最高硬
さ試験を行った結果を示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】本発明の耐火鋳鋼は、前述ように高温特
性が非常に優れており、また常温特性も極めて良好であ
るため、建築、土木及び海洋構造物等の分野における各
種構造物に用いられている耐火鋼材の接合に使用する接
合部品・部材に適用できる。そのため、鋼板、H型を用
いた鋼構造物であっても、ユニークなデザインを設計・
製作出来る。
性が非常に優れており、また常温特性も極めて良好であ
るため、建築、土木及び海洋構造物等の分野における各
種構造物に用いられている耐火鋼材の接合に使用する接
合部品・部材に適用できる。そのため、鋼板、H型を用
いた鋼構造物であっても、ユニークなデザインを設計・
製作出来る。
【図1】本発明に係る耐火鋳鋼におけるNi含有量と常
温強度または600 ℃における耐力との関係を示す図であ
る。
温強度または600 ℃における耐力との関係を示す図であ
る。
【図2】本発明に係る耐火鋳鋼が適用される接合部品・
部材の一例としてダイヤフラムの形状を示す図である。
部材の一例としてダイヤフラムの形状を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 君島 昭男
川崎市川崎区白石町2番1号 日本鋳造
株式会社内
(56)参考文献 特開 平5−230593(JP,A)
特開 平2−170943(JP,A)
特開 平2−247355(JP,A)
特開 平4−6245(JP,A)
特開 平5−171264(JP,A)
特開 平4−279247(JP,A)
特開 平4−83821(JP,A)
特開 平3−126816(JP,A)
特開 平3−271342(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C22C 38/00 301
C21D 6/00
Claims (2)
- 【請求項1】 成分組成が(成分組成はwt%である)
C:0.09〜0.15%、Si:0.2〜0.8%、
Mn:0.6〜1.4%、Cr:0.2〜0.3%、M
o:0.3超え0.7%以下、V:0.01〜0.1
%、Ni:0.6〜1.3%、残部がFe及び不可避的
不純物であり、CE(炭素当量)が0.45%以下とな
るように、溶解、鋳造した鋳鋼を、900〜1000℃
に加熱後、空冷し、その後600〜700℃で焼戻した
ことを特徴とする耐火性と溶接性に優れた耐火鋳鋼。 - 【請求項2】 請求項1に記載の耐火性と溶接性に優れ
た耐火鋳鋼により鋳造された溶接のための鋼構造物用接
合部品・部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP34949693A JP3499278B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 耐火鋳鋼 |
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JP34949693A JP3499278B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 耐火鋳鋼 |
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JPH07188835A JPH07188835A (ja) | 1995-07-25 |
JP3499278B2 true JP3499278B2 (ja) | 2004-02-23 |
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JP34949693A Expired - Fee Related JP3499278B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 耐火鋳鋼 |
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JP (1) | JP3499278B2 (ja) |
-
1993
- 1993-12-28 JP JP34949693A patent/JP3499278B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH07188835A (ja) | 1995-07-25 |
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