JP3499084B2 - 脆性き裂伝播停止特性に優れた建築用低降伏比高張力鋼材及びその製造方法 - Google Patents
脆性き裂伝播停止特性に優れた建築用低降伏比高張力鋼材及びその製造方法Info
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Description
物に用いられる低降伏比高張力鋼材に関し、特に、地震
等で万一脆性破壊が発生しても構造物全体が崩壊する前
に脆性き裂を停止できる安全な鋼材及びその製造方法に
関するものである。
えばこの方法で製造した鋼材は海洋構造物、圧力容器、
造船、橋梁、ラインパイプなどの溶接鋼構造物一般に用
いることができる。また、鋼材の形態としては特に問わ
ないが、構造部材として用いられ、低温靱性が要求され
る鋼板、特に厚板、鋼管素材、あるいは形鋼で特に有用
である。
化等に見られるように構造物は大型化の傾向にあり、該
用途に使用される鋼材には、地震、台風等による構造物
の崩壊防止のための性能確保が重要な課題となってい
る。特に、阪神大震災の経験から、設計、施工上の特段
の配慮無しに構造物の安全性を鋼材の性能によって確保
しようとすると、延性破壊、脆性破壊の両面で安全性の
高い鋼材が必要であることが認識されつつある。
慮した低降伏比鋼(低YR鋼)や高一様伸び鋼の使用が
検討されつつある。低降伏比特性については、地震、台
風等によるエネルギーを吸収する能力に優れ、また、構
造物の局所的な崩壊を抑制する上で有用であることが認
識されてきている。
の手段については数多く提案されている。例えば、C量
の増加等の化学組成の調整による方法、結晶粒を粗大化
させる方法、焼入れと焼戻し熱処理の間にフェライト
(α)+オーステナイト(γ)二相域に加熱する中間熱
処理を施す方法(以降、QLT処理)に代表されるよう
に、軟質相としてのαと硬質相としてのベイナイトある
いはマルテンサイトを混在させる方法等がある。
ための製造方法として、特開昭53−23817号公報
には鋼板を再加熱焼入れした後、Ac1 変態点とAc3
変態点の間に再加熱して、γとαの二相としてから空冷
する方法が示されており、また、特開平4−31482
4号公報には、同様に二相域に再加熱した後、焼入れる
方法が開示されている。また、再加熱処理を施さずにオ
ンラインで製造する方法として、例えば特開昭63−2
86517号公報には、γ域から二相域にかけて熱間圧
延を施した後、Ar3 変態点より20〜100℃低い温
度まで空冷してα相を生成させ、その後急冷する方法が
開示されている。
平5−140644号公報に開示されているように、M
oを含有する鋼をα−γ二相共存域に再加熱して固溶C
濃度を極端に低下させた上で、圧延を加えることにより
圧延方向の一様伸びを向上させる方法がある。
産性を阻害することなく生成できるが、加熱温度が通常
の鋼片加熱温度に比べて極端に低いため、加熱炉によっ
ては操業が難しい場合もあり、また均一加熱に時間を要
したり、溶体化が不十分となる恐れがある。また、材質
の異方性も生じ易いと考えられる。
超高張力鋼において、特開平4−74846号公報に示
されるような、時効析出強化による一様伸びの向上方法
が示されているが、強度が80kgf/mm2 以下の鋼に対し
ては一般的な手段とは言い難い。
鋼に代表される高延性鋼は、構造物の終局の崩壊にいた
るまで延性破壊で破壊するのであれば、構造物の安全性
を高める上で非常に有用である。
同士が接合されるため、必ず溶接継手部を有し、継手接
合部は溶接欠陥等の初期欠陥と溶接金属、溶接熱影響部
(HAZ)等の材質劣化部を不可避的に含むため、外部
応力が負荷された場合に脆性破壊を生じやすい。脆性破
壊が一旦生じてしまえば、脆性破壊が急速に進展するた
め、高延性鋼を用いる意味がなくなる。
る。また、初期欠陥がある状態で脆性破壊の発生を完全
に抑制するためには、HAZの靱性を極端に高めた高価
な鋼を用いる必要がある上、たとえそのような高価な鋼
材を用いても初期欠陥が大きければ、脆性破壊が発生す
る可能性は依然として残る。従って、大地震時のような
非常に厳しい条件の外力が負荷された場合にも、構造物
の安全性を確保することが鋼材に課せられた重要な課題
になると考えられる。
R化により延性を確保しつつ、脆性破壊による構造物の
崩壊を防止するための手段として、鋼材の製造工程にお
ける組織制御により、母材の脆性破壊の伝播停止特性を
高めることで、脆性破壊に対する安全性が確実に確保で
きると考えた。即ち、脆性破壊の発生を、いかなる初期
欠陥、溶接条件に対しても完全に抑制することは非常に
困難であるが、脆性破壊の発生は許容した上で、発生し
た脆性き裂が母材を伝播する段階で早期に脆性き裂を停
止できれば、溶接継手の状態に依存しない確実な対策に
なる。
R化によりエネルギー吸収を図り、脆性破壊に対しては
脆性き裂の伝播停止特性の向上により対処することが、
より安全性の高い建築用高張力鋼材としての必要特性と
考え、両特性を同時に達成することが可能な手段を検討
した結果、本発明を完成するに至った。
に硬質のマルテンサイト相を適正に分散させることであ
り、脆性き裂伝播停止特性に対しては鋼組成の調整によ
らずに製造工程において表層部に超細粒組織を形成せし
めることであり、かつ、表層部の超細粒組織を損なうこ
となくマルテンサイト相の分散を図ることにある。
に示す通りである。 (1)質量%で、C:0.01〜0.20%、Si:
0.01〜1.0%、Mn:0.1〜2.0%、Al:
0.001〜0.1%、N:0.001〜0.010%
を含有し、不純物としてのP,Sの含有量が、P:0.
025%以下、S:0.015%以下で、残部鉄及び不
可避不純物からなる鋼材であって、鋼材体積に占めるマ
ルテンサイト割合が10〜60%であり、さらに、該鋼
材を構成する外表面のうち少なくとも2つの外表面に関
して、表層から全厚みの10〜33%の範囲内の平均フ
ェライト粒径が3μm以下の超細粒組織であることを特
徴とする脆性き裂伝播停止特性に優れた建築用低降伏比
高張力鋼材。
0.020%、Zr:0.003〜0.10%、Nb:
0.002〜0.050%、Ta:0.005〜0.2
0%、V:0.005〜0.20%、B:0.0002
〜0.003%、の1種または2種以上を含有すること
を特徴とする前記(1)記載の脆性き裂伝播停止特性に
優れた建築用低降伏比高張力鋼材。
0%、Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜
4.0%、Cu:0.01〜2.0%、W:0.01〜
2.0%、の1種または2種以上を含有することを特徴
とする前記(1)または(2)記載の脆性き裂伝播停止
特性に優れた建築用低降伏比高張力鋼材。
0.01%、Ca:0.0005〜0.01%、RE
M:0.005〜0.10%、のうち1種または2種以
上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のい
ずれか1項に記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた建築
用低降伏比高張力鋼材。
記載の成分の鋼片をAc3 変態点以上、1250℃以下
の温度に加熱し、通常の粗圧延をし、または粗圧延を省
略し、熱間圧延の開始前あるいは熱間圧延の途中段階
で、その段階での鋼片厚みの10〜33%に対応する少
なくとも2つの外表面の表層部領域をAr3 変態点以上
の温度から2〜40℃/sの冷却速度で冷却を開始し、A
r3 変態点以下で冷却を停止して復熱させることを1回
以上経由させる過程で、前記冷却の開始から最後の冷却
後の復熱が終了するまでの間に累積圧下率が20〜90
%の仕上げ圧延を完了させた後、該圧延完了後の鋼材の
前記表層域を(Ac1 変態点一50℃)〜(Ac3 変態
点+50℃)の範囲に復熱させ、さらに復熱終了後の鋼
材を0.2〜2℃/sの冷却速度で(該冷却速度における
変態開始温度(Ar3 )−50℃)〜500℃の範囲に
冷却した後、5〜40℃/sの冷却速度で20〜300℃
まで冷却して、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記
載の鋼材を製造することを特徴とする脆性き裂伝播停止
特性に優れた建築用低降伏比高張力鋼材の製造方法。
記載の成分の鋼片をAr3 変態点以上、1250℃以下
の温度に加熱し、通常の粗圧延をし、または粗圧延を省
略し、熱間圧延の開始前あるいは熱間圧延の途中段階
で、その段階での鋼片厚みの10〜33%に対応する少
なくとも2つの外表面の表層部領域をAr3 変態点以上
の温度から2〜40℃/sの冷却速度で冷却を開始し、A
r3 変態点以下で冷却を停止して復熱させることを1回
以上経由させる過程で、前記冷却の開始から最後の冷却
後の復熱が終了するまでの間に累積圧下率が20〜90
%の仕上げ圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼材の前記
表層域を(Ac1 変態点−50℃)〜(Ac3 変態点+
50℃)の範囲に復熱させて、復熱終了後の鋼材を放冷
するかあるいは復熱終了後の鋼材を5〜40℃/sの冷却
速度で20〜650℃まで冷却した後、さらに0.1〜
50℃/sの昇温速度で(Ac1 変態点十10℃)〜(A
c3 変態点−30℃)の範囲に加熱した後、該温度範囲
で1〜60s保持した後、0.5〜50℃/sで冷却する
二相域熱処理を施して、前記(1)〜(4)のいずれか
1項に記載の鋼材を製造することを特徴とする脆性き裂
伝播停止特性に優れた建築用低降伏比高張力鋼材の製造
方法。
とを特徴とする前記(5)または(6)記載の脆性き裂
伝播停止特性に優れた建築用低降伏比高張力鋼材の製造
方法。なお、ここで言う高張力鋼材とは高張力鋼板(厚
板)のみならず、形鋼、管材をも含む鋼材を指すもので
ある。
伝播停止特性に対しては鋼組成の調整によらずに製造工
程において表層部に超細粒組織を形成せしめることであ
り、低降伏比化に対しては鋼組織中に硬質のマルテンサ
イト相を適正に分散させることであり、かつ、表層部の
超細粒組織を損なうことなくマルテンサイト相の分散を
図ることにある。
後述する成分限定を前提とした上で、鋼材の少なくとも
2つの面の表層部において、平均フェライト粒径が3μ
m以下の超細粒組織を表層から板厚の10〜33%の厚
さにわたって存在させることが必要となる。
って、脆性き裂の進展中に、表層部に延性破壊であるシ
アリップが形成され、脆性き裂伝播停止特性が向上す
る。本方法によれば、Ni添加等、合金成分の添加、調
整によらずに脆性き裂伝播停止特性が向上できる点で有
利である。
アリップを確実に生成させるためには、表層部の脆性破
壊の発生及び伝播停止特性を鋼板の要求靱性よりも顕著
に向上させる必要があり、そのためには該表層部のフェ
ライト粒径を顕著に微細化させることが必須条件とな
る。
るほど好ましいが、シアリップの形成が確実で、製造工
程に過大な負荷をかけない範囲として、本発明において
は、該表層部の平均フェライト粒径を3μm以下に限定
する。なお、該表層部のフェライト粒組織は結晶粒径に
ばらつきの少ない整粒であることが好ましいが、平均粒
径の2倍超の粗大粒が存在してもその存在割合が該表層
部全体に対して10%以内であれば、表層部の脆性破壊
特性に対して実質的に悪影響を及ぼさないため、許容さ
れる。
生し、伝播に至っても、表層部が確実に延性破壊してシ
アリップとなるためには、上記フェライト粒径の限定が
必須条件となるが、脆性き裂の伝播停止特性の向上に対
してはさらに該表層超細粒層の厚みも重要な要件とな
る。
止させるためには、シアリップ部でその伝播エネルギー
を吸収する必要があるが、シアリップの厚みが不十分で
あると、たとえシアリップが形成されても脆性き裂の停
止に至らない場合が生じる。脆性き裂の伝播を確実に停
止するには、シアリップはある程度の厚みが必要とな
る。
き裂の停止効果が大となるが、必要以上の超細粒層の厚
みを確保しようとすると、製造工程に過大な負荷をかけ
たり、製造条件によっては母材の延性や鋼板の形状、表
面性状等の劣化につながる。
明においては平均フェライト粒径が3μm以下の表層超
細粒組織の厚みを表裏面各々について、下限を表層から
板厚の10%、上限を表層から極厚の33%と限定す
る。該表層超細粒層は鋼材の全ての表面に付与すること
が好ましいが、上記条件を満足すれば、最低限2つの表
面に該超細粒層を付与することにより脆性き裂の停止に
有効である。
接熱影響部内で溶接ビード直近の1300℃以上に再加
熱される様な領域では完全に消滅するが、より低温に加
熱されている熱影響部では、超細粒組織は消滅するもの
の変態前の超細粒組織の影響が残存して該溶接熱影響部
の組織を微細化する効果があるため、溶接熱影響部の靱
性向上に対しても効果がある。
上のために化学組成の限定、鋼材表層部の超細粒化が重
要ではあるが、耐震等、建築用途としての安全性確保の
ためには、前提として鋼材の低降伏比化が図られていな
ければならない。
の伝播停止特性を向上させた鋼においては、低降伏比特
性を得るための手段としては、組織中に適正量のマルテ
ンサイト相を組織中に分散させる手段が最も好ましい。
即ち、低降伏比特性を得るための手段は種々考えられる
が、表層に超細粒組織が存在する場合には、マルテンサ
イトのような脆い硬質相が分散しても靱性劣化が抑制さ
れるため、鋼成分の制限が比較的少ないマルテンサイト
の分散による低降伏比化を用いる場合に最も適してい
る。
Mo等の添加による第二相の増加では、合金コストの上
昇を招き、かつ溶接性等への悪影響の懸念があり、ま
た、表層部を除く内部の結晶粒径を粗大化して鋼材全体
としての低降伏比化を図る方法では、内部の靱性劣化が
避けられない。
めの組織要件は、硬質相であるマルテンサイト相の鋼材
体積に対する割合を10〜60%とすることである。即
ち、低降伏比化のためには母相中に母相に比べて十分強
度の高い第二相を分散させることによって、引張強度を
高めて降伏比(降伏応力/引張強度)を低下させる手段
が最も有効である。
質相としてはマルテンサイト相が最も好ましく、その割
合としては鋼板体積中の平均として10〜60%の範囲
が、低降伏比化と他の材質特性との両立の点で最も好ま
しいことを見いだした。マルテンサイト相の割合が10
%未満であると、硬質相による引張強度の向上効果が得
られないため、低降伏比化が図られない。
であると、マルテンサイトへのCの濃化が十分でないた
めにマルテンサイトの硬さが低下して母相の硬さとの差
が小さくなるためと、硬資相であるマルテンサイト相の
降伏応力への形響が生じ始めるため、降伏応力の上昇と
引張強度の低下のために降伏比が高くなる。
ではマルテンサイトの粗大化が生じて、延性や靱性が劣
化するため好ましくない。なお、ここでのマルテンサイ
ト相には一部残留オーステナイト相が含まれたM−A相
(Martensite-Austenite Constituent)も含んでいる。
得る手段としては、特開昭53−23817号公報等に
開示されているように、熱処理により一旦二相域温度に
再加熱してオーステナイト(γ)相を再析出させた後、
放冷あるいは急冷により冷却中にγ相をマルテンサイト
相に変態させる方法が代表的である。
同時に表層部に超細粒組織を有し、これによって脆性き
裂の伝播停止特性の向上を図る必要があるが、超細粒組
織は熱的に不安定であるため、該超細粒組織のフェライ
ト粒径の粗大化あるいは超細粒組織の消滅が生じないよ
うに、製造方法に対する工夫が必須となる。
により、他の材質特性との関係や製造の簡便さ、製造へ
の負荷の観点から、表層部の超細粒組織と低降伏比化に
必要な割合のマルテンサイト相の導入とを両立させる製
造方法として、以下の二つの方法が最も適当であるとの
結論に至った。
せるために、鋼片をAc3 変態点以上、1250℃以下
の温度に加熱し、熱間圧延の開始前あるいは熱間圧延の
途中段階で、その段階での鋼片厚みの10〜33%に対
応する少なくとも2つの外表面の表層部領域をAr3 変
態点以上の温度から2〜40℃/sの冷却速度で冷却を開
始し、Ar3 変態点以下で冷却を停止して復熱させるこ
とを1回以上経由させる過程で、最後の冷却後の復熱が
終了するまでの間に累積圧下率が20〜90%の仕上げ
圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼材の前記表層域を
(Ac1 変態点−50℃)〜(Ac3 変態点+50℃)
の範囲に復熱させる。
却速度で冷却し、(該冷却速度における変態開始温度
(Ar3 )−50℃)〜500℃の範囲に冷却した後、
5〜40℃/sの冷却速度で20〜300℃まで冷却する
ことによって、所定量のマルテンサイト相を形成させ
る。
相、ベイナイト相、及びこれらの組織の混合相からなる
母相にマルテンサイト相を導入するが、そのためにはフ
ェライト/オーステナイト二相域の適切な温度域まで冷
却した後、オーステナイト相をマルテンサイトに変態さ
せるために急冷する。このような製造方法によって、表
層部の超細粒組織の形態を損なうことなく所定量のマル
テンサイト組織を導入することが可能となる。
1250℃以下の温度に加熱し、熱間圧延の開始前ある
いは熱間圧延の途中段階で、その段階での鋼片厚みの1
0〜33%に対応する少なくとも2つの外表面の表層部
領域をAr3 変態点以上の温度から2〜40℃/sの冷却
速度で冷却を開始し、Ar3 変態点以下で冷却を停止し
て復熱させることを1回以上経由させる過程で、最後の
冷却後の復熱が終了するまでの間に累積圧下率が20〜
90%の仕上げ圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼材の
前記表層域を(Ac1 変態点−50℃)〜(Ac3 変態
点+50℃)の範囲に復熱させて、復熱終了後の鋼材を
放冷するか、あるいは復熱終了後の鋼材を5〜40℃/s
の冷却速度で20〜650℃まで冷却することによっ
て、表層部に超細粒層を形成した鋼材に以下の特殊な二
相域熱処理を施す方法である。
トの形成のための二相域熱処理を施すと、表層部の超細
粒組織は完全に、あるいは一部その形態が損なわれるた
め、採用できないが、二相域温度まで加熱するまでの昇
温速度を高め、かつ加熱温度での保持時間を短時間に限
定することによって、表層超細粒組織の機能を損なうこ
となく、組織中に低降伏比化に有効なマルテンサイト相
を導入することが可能となる。
(Ac1 変態点+10℃)〜(Ac3 変態点−30℃)
の範囲に加熱した後、該温度範囲での滞在時間を1〜6
0sとする必要がある。加熱保持後の冷却は急冷の方が
マルテンサイト形成には好ましいが、0.5〜50℃/s
の範囲であれば良い。以上のマルテンサイト相導入のた
めの製造条件の、具体的な限定理由については後述す
る。
れた建築用低降伏比高張力鋼材の要件であるが、個々の
化学成分についても下記に述べる理由により、各々限定
する必要がある。
て含有するもので、0.01%未満では構造用鋼に必要
な強度の確保が困難であるが、0.20%を超える過剰
の含有は延性破壊特性の劣化により、本発明が目的とし
ている耐破壊性能の低下を招く。また、靱性や耐溶接割
れ性なども低下させるので、0.01〜0.20%の範
囲とした。
保に有効な元素であるが、0.01%未満の含有では脱
酸が不十分となり、また強度確保に不利である。逆に
1.0%を超える過剰の含有は粗大な酸化物を形成して
延性や靱性の劣化を招く。そこで、Siの範囲は0.0
1〜1.0%とした。
素であり、最低限0.l%以上含有する必要があるが、
溶接部の靱性、割れ性など材質上許容できる範囲で上限
を2.0%とした。
有効な元素であり、かつ脱酸、γ粒径の細粒化等に有効
な元素であるが、効果を発揮するためには0.001%
以上含有する必要がある。一方、0.1%を超えて過剰
に含有すると、粗大な酸化物を形成して延性を極端に劣
化させるため、0.001〜0.1%の範囲に限定する
必要がある。
劣化が生じるため、その含有量を適正化する必要があ
る。即ち、NはAlやTiと結びついてγ粒微細化に有
効に働くため、微量であれば機械的特性に有効に働く。
また、工業的に鋼中のNを完全に除去することは不可能
であり、必要以上に低減することは製造工程に過大な負
荷をかけるため好ましくない。そのため、工業的に御御
が可能で、製造工程への負荷が許容できる範囲として下
限を0.001%とする。過剰に含有すると、固溶Nが
増加し、延性や靱性に悪影響を及ぼす可能性があるた
め、許容できる範囲として上限を0.010%とする。
させる元素であり、極力低減することが好ましいが、材
質劣化が大きくなく、許容できる量として、Pの上限を
0.025%、Sの上限を0.015%に限定する。
であるが、本発明においては、強度・靱性の調整のため
に、必要に応じて、Ti,Zr,Nb,Ta,V,B,
Cr,Mo,Ni,Cu,Wの1種または2種以上を含
有することができる。
するとともに、TiNの形成により加熱γ粒径微細化に
も有効な元素であり、靱性向上にも有効な元素である
が、効果を発揮するためには0.003%以上の含有が
必要である。一方、0.02%を超えると、粗大な析出
物、介在物を形成して靱性や延性を劣化させるため、上
限を0.02%とする。
と同様の効果を有するが、その効果を発揮するためには
0.003%以上の含有が必要である。一方、0.10
%を超えると、Tiと同様、粗大な析出物、介在物を形
成して靱性や延性を劣化させるため、0.003〜0.
10%の範囲に限定する。
るが、過剰の含有では析出脆化により靱性が劣化する。
従って、靱性の劣化を招かずに効果を発揮できる範囲と
して、0.002〜0.05%の範囲に限定する。
るが、効果を発揮するためには0.005%以上の含有
が必要である。一方、0.20%を超えると、析出脆化
や粗大な析出物、介在物による靱性劣化を生じるため、
上限を0.20%とする。
であるが、Nbと同様に過剰の含有では析出脆化により
靱性が劣化する。従って、靱性の大きな劣化を招かず
に、効果を発揮できる範囲として、0.005〜0.2
0%の範囲に限定する。
N固定により靱性向上や、焼入性向上による強度・靱性
向上に有効な元素であるが、効果を発揮するためには
0.0002%以上必要である。一方、0.003%を
超えて過剰に含有するとBNが粗大となり、延性や靱性
に悪影響を及ぼす。また溶接性も劣化させるため、上限
を0.003%とする。
有効な元素であるが、明瞭な効果を生じるためには0.
01%以上必要であり、一方、2.0%を超えて添加す
ると、靱性及び溶接性が劣化する傾向を有するため、各
々0.01〜2.0%の範囲とする。
き、非常に有効な元素であるが、効果を発揮させるため
には0.01%以上含有させる必要がある。含有量が多
くなると強度、靱性は向上するが4.0%を超えて添加
しても効果が飽和する一方で、溶接性が劣化するため、
上限を4.0%とする。
2.0%超では熱間加工性に問題を生じるため、0.0
1〜2.0%の範囲に限定する。Wは固溶強化及び析出
強化により母材強度の上昇に有効であるが、効果を発揮
するためには0.01%以上必要である。一方、2.0
%を超えて過剰に含有すると、靱性劣化が顕著となるた
め、上限を2.0%とする。
めに、必要に応じて、Mg,Ca,REMの1種または
2種以上を含有することができる。Mg,Ca,REM
はいずれも硫化物の熱間圧延中の展伸を抑制して延性特
性向上に有効である。酸化物を微細化させて継手靱性の
向上にも有効に働く。その効果を発揮するための下限の
含有量は、Mg及びCaは0.0005%、REMは
0.005%である。一方、過剰に含有すると、硫化物
や酸化物の粗大化を生じ、延性、靱性の劣化を招くた
め、上限を各々、Mg,Caは0.01%、REMは
0.10%とする。
れた建築用低降伏比高温力鋼材の製造に際しての限定理
由を述べる。上記理由により限定した化学成分を有する
鋼において、脆性き裂伝播停止特性の向上のために、鋼
材の少なくとも2つの面の表層部において、平均フェラ
イト粒径が3μm以下の超細粒組織を表層から板厚の1
0〜33%の厚さにわたって存在させる必要がある。本
発明で限定する特徴を有する表層超細粒層は以下に示す
ように製造条件を限定することによって形成させること
ができる。
るいは熱間圧延途中で表層部の適当な厚みの領域を水冷
等の手段により、Ar3 変態点よりも低い温度まで一旦
冷却して内部と温度差を付けた後、温度差のついたまま
の状態からさらに熱間圧延を行うと、Ar3 変態点より
も低い温度まで一旦冷却された領域は、復熱及びその過
程の加工によりフェライト主体組織となる。
表層部は、内部の顕熱により復熱されながら加工を受け
ることになり、この復熱中の加工条件を適正化すること
により表層部のフェライト結晶粒が顕著に細粒化する。
従って、最終的な鋼材における表層超細粒層の割合は、
表層を一旦冷却した際にAr3 変態点まで低下した領域
の割合とほぼ一致することになる。
うな条件を満足することによって超細粒化が達成され
る。先ず、鋼片をオーステナイト域に再加熱するが、こ
の場合の温度としてはAc3 変態点以上、1250℃以
下が好ましい。即ち、Ac3 変態点未満ではオーステナ
イト単相にならず、フェライト相が残存し、該フェライ
ト相が残存すると後の工程の如何によらず、表層に均一
な超細粒組織を形成することができない。また、内部も
二相域加工されるため、鋼材の異方性が増大する問題も
生じる。
ト粒径が極端に粗大となるため、後の圧延によっても粒
径の微細化ができず、板厚中心部の靱性確保ができな
い。従って、本発明では鋼片の加熱温度をAc3 変態点
〜1250℃に限定する。
減、表層超細粒層を得るための復熱後の必要圧下率の確
保の観点から判断して、鋼片を加熱後、鋼片ままか、粗
圧延により鋼片厚みを適当な厚みに減厚した後、該鋼材
の超細粒層とすべき表層部を水冷等の手段により冷却
し、該鋼材の水冷前の熱間圧延時点での板厚の10〜3
3%に対応する各表層部の領域をAr3 変態点以下まで
冷却するとともに、表層部と内部に温度差をつけるが、
その際、該鋼材の水冷前の熱間圧延時点での板厚の10
〜33%に対応する各表層部の領域の冷却速度は、2℃
/s以上にする必要がある。
前の熱間圧延によりオーステナイトを微細化しておいて
も冷却後の変態組織が粗大となり、その後の復熱中の圧
延で均一な超微細フェライト組織を得ることが困難とな
るためである。冷却速度は大きい方が組織微細化の観点
からは好ましいが、40℃/sを超えて急冷しても効果が
飽和する上に、過剰に急冷することは鋼板の形状維持の
ためには好ましくないため、上限を40℃/sとする。
開始する。これは、単相オーステナイトから冷却するこ
とで表層超細粒層を均一に形成させるためである。即
ち、該表層部が強制冷却前にAr3 変態点未満となる
と、フェライトが一部粗大に生成し、その部分での超細
粒化が阻害されるためである。
必要に応じて行う鋼片厚み調整のための粗圧延の条件
は、特に規定するものではないが、内部組織の微細化の
ためにはγの未再結晶域での圧延を行う方が有利であ
る。
に低温圧延となり、生産性の低下、表層部の復熱のため
の内部の顕熱の減少等の悪影響も生ずる。生産性の極端
な低下を招かず、表層超細粒層の形成に不利にならない
条件として、γの未再結晶域での圧延を行う場合の累積
圧下率は50%以下が好ましい。
圧延時点での板厚の10〜33%に対応する各表層部の
領域を、2℃/s〜40℃/sの冷却速度でAr3 変態点以
下まで冷却し、その後仕上げ圧延を行う際、内部の顕熱
によるか、及び/または外部からの加熱を利用して板厚
の10〜33%に対応する各表層部の領域を昇温中に圧
延を施すことにより、該領域の組織が超微細化し、脆性
き裂伝播停止特性向上に寄与できるようになる。
回もしくは2回以上繰り返してもよいが、最後の冷却後
の復熱過程での圧延後の復熱温度は、(Ac1 変態点−
50℃)〜(Ac3 変態点+50℃)の範囲にする必要
がある。即ち、該最終復熱温度が(Ac1 変態点−50
℃)よりも低いと、加工後の加工フェライトの回復・再
結晶が十分でないため、超細粒化が不十分で、脆性き裂
伝播停止特性が向上しない。
50℃)よりも高いと、加工により超細粒化したフェラ
イトの一部が再度オーステナイトに逆変態することによ
って消失してしまい、その割合が無視できないほど多く
なって靱性及び脆性き裂伝播停止特性を損なう。従っ
て、本発明においては、最後の冷却後の復熱過程での圧
延後の復熱温度は、(Ac1 変態点−50℃)〜(Ac
3 変態点+50℃)の範囲に限定する。
の加工工程は1回でも良いが、複数回繰り返すことによ
り効果が重畳するため、2回以上繰り返しても所望の微
細組織を得ることが可能である。その場合、各復熱段階
の最高温度あるいは最低温度は任意であっても、本発明
の温度条件に従えば超細粒化する。ただし、好ましくは
途中の復熱温度の上限は(Ac3 変態点+100℃)以
下とする方が、細粒化の効果が確実に重畳する点で好ま
しい。
圧延としての仕上げ圧延の累積圧下率は、大きい方が均
一かつ安定に超細粒組織を得られる。そのためには、仕
上げ圧延の累積圧下率は最低限20%必要である。圧下
率は大きいほど超細粒化には有利であるが、圧下率が9
0%を超えるような圧延は効果が飽和し、生産性を極端
に阻害するため好ましくない。従って、本発明では仕上
げ圧延の累積圧下率は20〜90%に限定する。
層部に超細粒層を付与することが可能であるが、さらに
低降伏比化のために、圧延終丁象の冷却条件あるいは鋼
材製造後の熱処理条件を下記に示すように限定する必要
がある。
テンサイト相を導入する方法においては、復熱終了後の
鋼材を0.2〜2℃/sの冷却速度で(該冷却速度におけ
る変態開始温度(Ar3 )−50℃)〜500℃の範囲
に冷却した後、5〜40℃/sの冷却速度で20〜300
℃まで冷却する。
冷却するが、その際の冷却速度が0.2℃/s未満では冷
却速度が遅すぎるため、変態により生成するフェライト
あるいはベイナイト、あるいはこれらの混合相である母
相組織が粗大化するため、靱性の劣化を生じるためと、
前段階で形成された超細粒層の結晶粒径が粗大化して脆
性き裂伝播停止特性を劣化させる可能性があるため、好
ましくない。
始温度が低くなりすぎるため、変態相とオーステナイト
相との二相組織とすることが困難となったり、母相とマ
ルテンサイトとの硬さの差が小さくなって低降伏比化で
きない等の問題が生じるため好ましくない。
の復熱から(該冷却速度における変態開始温度(A
r3 )−50℃)〜500℃までの冷却速度の範囲を
0.2〜2℃/sに限定する。
まで冷却して変態により生じた母相と未変態のオーステ
ナイト相の割合を適正化した後、未変態のオーステナイ
トをマルテンサイト相に変態させるために急冷する。そ
の際、0.2〜2℃/sでの冷却を停止する温度として
は、(該冷却速度における変態開始温度(Ar3 )−5
0℃)〜500℃の範囲とする必要がある。
ンサイト相を安定して組織中に形成させるためには、オ
ーステナイト中にCが一定以上濃縮する必要があるが、
そのためには二相域に入るまでの冷却速度での変態開始
温度(Ar3 変態点)よりも50℃以上低くする必要が
ある。
の後の急冷段階の前に変態が生じてしまい、Cの濃化し
た硬いマルテンサイトではなく、母相との硬さの差の小
さいベイナイト相が生成する可能性が高くなる。実験結
果によれば、10〜60%のマルテンサイトの割合を確
保するための下限温度は500℃となる。そのため、本
発明における急冷前の冷却停止温度は、(該冷却速度に
おける変態開始温度(Ar3 )−50℃)〜500℃の
範囲に限定する。
変態のオーステナイトをマルテンサイト相に変態させる
が、マルテンサイト変態のためには冷却速度は速ければ
速いほど有利であるが、Cの濃縮したオーステナイトか
らの変態であることを考慮すれば、冷却速度の下限は5
℃/sとする必要がある。
ト変態のためには有利であるが、製造コストの上昇を招
き、鋼材に残留応力が残って鋼材の変形を生じる問題も
あるため、マルテンサイト生成に十分で、前記の問題点
の生じない範囲として、冷却速度の上限は40℃/sとす
る。5〜40℃/sで冷却してマルテンサイト変態を生じ
た後は、残留応力の軽減や材質の向上を目的として途中
で冷却を停止することが可能である。
ては、20℃を超えて低温まで冷却することはマルテン
サイトの特性になんら影響を及ぼさないため無意味であ
り、また300℃超の高温で急冷を停止すると、まだマ
ルテンサイト変態が完了しておらず、未変態のオーステ
ナイトがベイナイト相へ変態して必要量のマルテンサイ
トが確保できない恐れがあるため、該急冷停止温度は2
0〜800℃の範囲に限定する。
マルテンサイト相を生成させる場合は、復熱終了後の鋼
材を放冷するか、あるいは復熱終了後の綱材を5〜40
℃/sの冷却述度で20〜650℃まで冷却した後、さら
に0.1〜50℃/sの昇温速度で(Ac1 変態点+10
℃)〜(Ac3 変態点−30℃)の範囲に加熱した後、
該温度範囲で1〜60s保持した後、0.5〜50℃/s
で冷却する。
含む熱間圧延を施して表層部に超細粒組織を形成させた
後は、その後の粒成長を抑制できる程度の冷却速度で変
態が実質的に終了する温度まで冷却すればよい。鋼材の
最も厚い断面の板厚が100mm以下の場合は放冷でも十
分である。
して急冷することも当然可能であり、その場合の冷却条
件を、本発明では5〜40℃/sの冷却速度で20〜65
0℃まで冷却することとする。冷却速度を5〜40℃/s
に限定するのは、5℃/s未満では強度調整に効果がない
ためであり、40℃/s超では強度上昇効果や組織制御効
果が飽和する一方で、鋼材の変形や残留応力が大となる
傾向があり、実用上これ以上冷却速度を高めても意味が
ないためである。
は20〜650℃の範囲とするが、これは、急速冷却を
20℃未満まで行っても材質や組織制御に対して全く効
果がない一方で、製造コストの上昇や鋼材形状の劣化を
生じる懸念があるためと、急速冷却停止温度が650℃
超では、板厚中心近傍の変態がまだ進行中のため、組織
の粗大化や高温変態生成物の増加により所望の材質が得
られなくなり、材質制御を目的とした急速冷却の意図が
全く失われてしまうためである。
再加熱して、マルテンサイト相を必要量生成させる。そ
の熱処理の要件は0.1〜50℃/sの昇温速度で(Ac
1 変態点+10℃)〜(Ac3 変態点−30℃)の範囲
に加熱した後、該温度範囲で1〜60s保持した後、
0.5〜50℃/sで冷却することにある。二相域熱処理
を行う場合に問題となるのは、圧延工程で形成された表
層部の超細粒組織をいかに保存するかにある。
た熱履歴によって形成された組織であるため、変態温度
を超える温度はもちろん、高温に焼き戻し処理を受けた
だけでも、再結晶、粒成長等により、その特異な超細粒
組織が損なわれる可能性が高くなる。該超細粒組織を保
有しつつ、マルテンサイトを導入するための熱処理とし
ては、急速加熱かつ短時間保持の二相域熱処理が必須と
なる。
組織がその熱を駆動力として変化する前に二相域温度ま
で到達することが可能であり、同様に、短時間保持によ
り保持段階での超細粒組織の粒成長を抑制することが可
能となる。その場合、昇温速度は0.1〜50℃/sの範
囲とする必要がある。
効果がなく、超細粒部の粒成長を抑制することが難し
い。一方、50℃/s超では、超細粒部の粒成長の抑制に
は有効ではあるものの、保持温度がオーバーシュートし
やすく、工業的に安定した制御が難しくなるため、本発
明では上限を50℃/sに限定した。
昇温速度範囲内に制御されることが好ましいが、500
℃から保持温度までの平均の昇温速度が本発明の範囲内
にあれば、表層部の超細粒組織を損なうことなく二相成
熱処理が可能となる。
範囲内において加熱温度を適正化して、熱処理後に鋼材
中のマルテンサイト相の割合が、低降伏比化に適した1
0〜60%の範囲となるように制御する。そのために
は、(Ac1 変態点+10℃)〜(Ac3 変態点−30
℃)の範囲の二相域温度に加熱する必要がある。
であると、加熱時に形成されるオーステナイト相の割合
が少ないため、冷却中の変態により形成されるマルテン
サイト相の割合が10%以上確保できない。
超であると、加熱時に形成されたオーステナイト相中へ
のCの濃化が十分でなく、化学組成によらないオーステ
ナイトの焼入性が確保されないため、加熱保持後の冷却
中のオーステナイトからマルテンサイトヘの変態が確実
でなくなり、安定して必要量のマルテンサイト量を得る
ことが困難になるためと、加熱温度が高くなると表層部
の超細粒組織の形態が崩れる危険性が増加する。
0.5〜50℃/sで該加熱温度での保持時間が1〜60
sであることを前提とした場合に、安定して必要量のマ
ルテンサイト量を確保でき、かつ表層部の超細粒組織の
形態を損なわないために、二相域熱処理の加熱温度は
(Ac1 変態点+10℃)〜(Ac3 変態点−30℃)
の範囲に限定する。
するのは、昇温速度を高めるのと同様、表層部の超細粒
組織の形態を損なわないためである。保持時間が1s未
満では工業的に制御が困難であり、60s超では表層部
の超細粒組織の再結晶、粒成長が開始する。
度での保持時間を短時間に限定することは、表層部の組
織保存に効果があると同時に、二相域熱処理時のマルテ
ンサイト相の微細化にも補足的に効果があり、靱性向上
に対しても有効である。
点−30℃)に1〜60s保持した後の冷却条件は、冷
却変態時に必要量のマルテンサイト相が形成される範囲
内であればよい。本発明においては、冷却速度が0.5
℃/s未満であるとマルテンサイト相の形成が確実でな
く、冷却速度は速ければ速いほど有利ではあるが、50
℃/s超では二相域熱処理時のマルテンサイト相の形成に
対して効果が飽和する一方、鋼材の形状やコスト面での
デメリットも生じるため、冷却速度は0.5〜50℃/s
の範囲に限定する。
させた後、ただちに二相域温度から急速冷却する製造方
法、あるいは、請求項6に示した急速加熱、短時間保持
を特徴とする二相域熱処理による製造方法で製造された
鋼材に対して、強度調整、靱性向上、形状改善の目的
で、さらに焼戻し処理を施すことも可能である。その場
合には、表層部に形成された超細粒組織を損なわないこ
とが必須条件となる。
の範囲に限定するが、これは、450℃未満では焼戻し
の効果が明確ではなく、650℃超では表層部の超細粒
組織の形態を損なう恐れがあるためである。なお、該焼
戻し温度範囲であれば、焼き戻しの加熱保持時間は任意
であるが、表層部の超細粒組織保存の観点からは、保持
時間は5h以内であることが好ましい。
に示す製造条件で製造した板厚50mmあるいは70mmの
厚鋼板について、母材の引張特性及びシャルピー試験に
よる靱性(破面遷移温度vTrs)、ESSO試験による
脆性き裂伝播停止特性(Kca値が400 kgf・mm-3/2と
なる温度)を表3に示す。
験方向が圧延方向と直角となるようにして採取した平行
部直径が6mmで評点間距離が25mmの丸棒試験片により
実施した。母材のシャルピー衝撃特性も引張試験片と同
一の位置、方向で採取し、破面遷移温度(vTrs)を求
めた。
板は本発明の範囲内の化学成分及び表層超細粒組織さら
にマルテンサイト体積分率を有するため、降伏比が8
0%未満の良好な低YR特性を示す、シャルピー衝撃
特性の破面遷移温度が、表層部で−100℃以下、中心
部でも−50℃以下の良好な靱性が得られる、脆性き
裂の伝播停止特性の指標であるESSO試験により求め
られたKca値が400kgf・mm-3/2となる温度が全て−
70℃以下と良好であり、良好な低Y性特性と靱性、脆
性き裂伝播停止特性が同時に達成きれていることが明白
である。
本発明の要件を満足していないために、表3に示した特
性のいずれかが本発明の鋼に比べて劣っている。即ち、
鋼番B1はN量が過剰であるため、表層超細粒層が形成
されていても、シャルピー特性、脆性き裂伝播停止特性
が不十分である。鋼番B2はP量が過剰であるため、同
様にシャルピー特性、脆性き裂伝播停止特性が本発明鋼
に比べて劣る。
ピー特性、脆性き裂伝播停止特性が本発明鋼に比べて劣
る。鋼番B4はCが過剰であるため、シャルピー特性、
脆性き裂伝播停止特性がともに顕著に劣化している。鋼
番B5は化学成分としては本発明鋼の範囲内であるが、
通常のTMCPプロセスにより製造されているため、表
層部の超細粒組織を有しておらず、脆性き裂伝播停止特
性が顕著に劣化している。
るが、最終復熱過程の復熱温度が高くなりすぎたため
に、表層部の平均粒径が3μm超となり、本発明鋼に比
べた場合、十分な表層シャルピー特性、脆性き裂伝播停
止特性が得られていると言い難い。
変態点以下に冷却された部分の厚みが不十分であるた
め、最終的な表層超細粒層の厚みも必要量に達しておら
ず、良好な表層シャルピー特性、脆性き裂伝播停止特性
が得られていない。
速冷却がなく、二相域への急速加熱焼戻し処理も施され
ていないため、組織中のマルテンサイト割合が過小とな
り、降伏比が建築用低降伏比鋼としては不十分である。
鋼番B9は逆に二相域焼戻しの加熱温度が高すぎてマル
テンサイト割合が遇剰なため、シャルピー特性、脆性き
裂伝播停止特性ともに顕著に劣化している。
く、保持時間も過剰なため、一旦形成された表層部の超
細粒層の形態がくずれ、平均粒径が粗大化したため、脆
性き裂伝播停止特性の向上が認められない。以上の実施
例から、本発明によれば、低YR特性と靱性、脆性き裂
伝播停止特性がともに良好な鋼材を製造可能であること
が明白である。
れる低降伏比高張力鋼材に関し、低降伏比特性を具備し
つつ、万一破壊が発生した場合でもその脆性き裂を停止
できる高い脆性き裂伝播停止特性を合わせ持つ、安全性
の非常に大きな構造物用鋼材を特殊な合金成分を用いる
ことなく、通常の鋼材の製造プロセスにおいて可能にし
たものであり、その産業上の効果は極めて大きい。
Claims (7)
- 【請求項1】 質量%で、 C :0.01〜0.20% Si:0.01〜1.0% Mn:0.1〜2.0% Al:0.001〜0.1% N :0.001〜0.010%を含有し、 不純物としてのP,Sの含有量が P :0.025%以下 S :0.015%以下で、 残部鉄及び不可避不純物からなる鋼材であって、鋼材体
積に占めるマルテンサイト割合が10〜60%であり、
さらに、該鋼材を構成する外表面のうち少なくとも2つ
の外表面に関して、表層から全厚みの10〜33%の範
囲内の平均フェライト粒径が3μm以下の超細粒組織で
あることを特徴とする脆性き裂伝播停止特性に優れた建
築用低降伏比高張力鋼材。 - 【請求項2】 質量%で、 Ti:0.003〜0.020% Zr:0.003〜0.10% Nb:0.002〜0.050% Ta:0.005〜0.20% V :0.005〜0.20% B :0.0002〜0.003% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
項1記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた建築用低降伏
比高張力鋼材。 - 【請求項3】 質量%で、 Cr:0.01〜2.0% Mo:0.01〜2.0% Ni:0.01〜4.0% Cu:0.01〜2.0% W :0.01〜2.0% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
項1または2項記載の脆性き裂伝播停止特性に優れた建
築用低降伏比高張力鋼材。 - 【請求項4】 質量%で、 Mg:0.0005〜0.01% Ca:0.0005〜0.01% REM:0.005〜0.10% のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の脆性き裂伝播停止
特性に優れた建築用低降伏比高張力鋼材。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の成分の
鋼片をAc3 変態点以上、1250℃以下の温度に加熱
し、通常の粗圧延をし、または粗圧延を省略し、熱間圧
延の開始前あるいは熱間圧延の途中段階で、その段階で
の鋼片厚みの10〜33%に対応する少なくとも2つの
外表面の表層部領域をAr3 変態点以上の温度から2〜
40℃/sの冷却速度で冷却を開始し、Ar3 変態点以下
で冷却を停止して復熱させることを1回以上経由させる
過程で、前記冷却の開始から最後の冷却後の復熱が終了
するまでの間に累積圧下率が20〜90%の仕上げ圧延
を完了させた後、該圧延完了後の鋼材の前記表層域を
(Ac1 変態点一50℃)〜(Ac3 変態点+50℃)
の範囲に復熱させ、さらに復熱終了後の鋼材を0.2〜
2℃/sの冷却速度で(該冷却速度における変態開始温度
(Ar3 )−50℃)〜500℃の範囲に冷却した後、
5〜40℃/sの冷却速度で20〜300℃まで冷却し
て、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼材を製造す
ることを特徴とする脆性き裂伝播停止特性に優れた建築
用低降伏比高張力鋼材の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の成分の
鋼片をAr3 変態点以上、1250℃以下の温度に加熱
し、通常の粗圧延をし、または粗圧延を省略し、熱間圧
延の開始前あるいは熱間圧延の途中段階で、その段階で
の鋼片厚みの10〜33%に対応する少なくとも2つの
外表面の表層部領域をAr3 変態点以上の温度から2〜
40℃/sの冷却速度で冷却を開始し、Ar3 変態点以下
で冷却を停止して復熱させることを1回以上経由させる
過程で、前記冷却の開始から最後の冷却後の復熱が終了
するまでの間に累積圧下率が20〜90%の仕上げ圧延
を完了させ、該圧延完了後の鋼材の前記表層域を(Ac
1 変態点−50℃)〜(Ac3 変態点+50℃)の範囲
に復熱させて、復熱終了後の鋼材を放冷するか、あるい
は復熱終了後の鋼材を5〜40℃/sの冷却速度で20〜
650℃まで冷却した後、さらに0.1〜50℃/sの昇
温速度で(Ac1 変態点十10℃)〜(Ac3 変態点−
30℃)の範囲に加熱した後、該温度範囲で1〜60s
保持した後、0.5〜50℃/sで冷却する二相域熱処理
を施して、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼材を
製造することを特徴とする脆性き裂伝播停止特性に優れ
た建築用低降伏比高張力鋼材の製造方法。 - 【請求項7】 450〜650℃で焼戻しを行うことを
特徴とする請求項5または6記載の脆性き裂伝播停止特
性に優れた建築用低降伏比高張力鋼材の製造方法。
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