JP3498972B2 - 化学吸着累積膜の製造方法 - Google Patents

化学吸着累積膜の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】従来の化学吸着累積膜の製造方法として
は、ラングミュアー第6巻851ページ(K.Ogaw
a et al.,Langmuir,6,851(1
990).)やジャーナル オブ コロイド アンド
インターフェース サイエンスの第101巻201ペー
ジ(J.Gun et al.,J.ColloidI
nterface Sci.,101,201(198
4).)等に掲載されている累積方法がある。これらの
方法は、一端にクロロシリル基をまた他端に不飽和結合
を有する直鎖状炭化水素分子を化学吸着剤として、基体
表面に露出した基、例えば水酸基が前記化学吸着剤のク
ロロシリル基と脱塩化水素反応を起こすことで単分子膜
を形成し、その後過マンガン酸カリウム等の酸化剤で処
理するか、または電子線を照射することにより不飽和結
合部を修飾し活性な水素原子をつくり、同様の工程を繰
り返すことにより累積ができるという方法である。ま
た、不飽和結合を含む高分子膜も窒素雰囲気で電子線を
照射することにより、その不飽和結合をアミノ基に修飾
し反応活性な水素原子をつくることができ、同様にして
累積ができる。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
の累積方法では電子線を利用するために大がかりな装置
を必要とした上に、コストもかかるという課題があっ
た。また、電子線の照射強度の微妙な変化で膜が破壊さ
れる可能性もあった。その上、操作上も非常な危険性を
伴っていた。
【0003】一方、酸化剤で処理する方法では、単分子
膜の表面(すなわち、化学吸着剤の基体とは反応しない
側の末端)に不飽和結合が存在する場合には、酸化はさ
れにくく、しかも、強い酸化剤を使用する場合にはSi
−C結合が切断され易いという課題があった。
【0004】そこで本発明では、前記従来技術の課題を
解決するため、化学吸着膜の破壊をすることなく、反応
操作が容易でコストも低くかつ安全である化学吸着累積
膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の化学吸着累積膜の製造方法は、 単分子膜
が2層以上累積した化学吸着累積膜の製造方法であっ
て、活性水素若しくはアルカリ金属を有するか若しくは
付与した基材表面に、化学吸着法によって分子末端にハ
ロゲンを有する化学吸着膜を形成し、次いで前記化学吸
着膜の表面のハロゲンをアルカリ金属またはグリニャー
ル基に変化させ、しかる後、分子末端に前記一般式(化
1)〜(化5)で示される官能基、及びシアノ基から選
ばれる少なくとも1つの官能基と、主鎖に炭化水素また
はフルオロカーボン鎖を含む分子を膜表面に接触反応さ
、前記アルカリ金属またはグリニャール基と、前記官
能基との間でハロゲン化アルカリ金属若しくはアルカリ
金属アルコキシドの脱離を伴う縮合反応により化学吸着
膜を累積することを特徴とする。
【0006】 前記構成においては、前記化学吸着膜の
構成分子が、基材と直接若しくは間接的にSi,Ge,
Sn,Ti,Zr,C及びSから選ばれる少なくとも1
つの原子を介して化学結合で固定されていることが好ま
しい。
【0007】 また前記構成においては、前記化学吸着
膜の構成分子が、主鎖に不飽和官能基を含むことが好ま
しい。
【0008】
【0009】
【0010】また前記構成においては、化学吸着膜の表
面のハロゲン原子をアルカリ金属原子に置換するかまた
はグリニア化する反応を、液相で行うことが好ましい。
【0011】
【作用】前記本発明の化学吸着累積膜の製造方法の構成
によれば、ハロゲン原子を表面に有する化学吸着膜のハ
ロゲン原子を、アルカリ金属置換またはグリニア化する
工程を経て化学吸着累積膜を形成するので、化学吸着膜
の膜構成分子を破壊することなく、反応操作が容易でコ
ストも低く安全である。そして、電子線の使用が不可欠
という従来の方法に比べて極めて簡単な反応装置でよ
く、反応系からの水分の除去以外はとりたてて注意する
点はない。
【0012】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。本発明の化学吸着累積膜の製造方法は、まず
水酸基、カルボキシル基、スルフォン酸基、スルフィン
酸基、リン酸基、亜リン酸基、第四級アンモニウム基、
第四級ホスフォニウム基、チオール基、アミノ基等の活
性水素を有する官能基、または水酸基、カルボキシル
基、スルフォン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、亜リ
ン酸基、第四級アンモニウム基、第四級ホスフォニウム
基、チオール基、アミノ基のHがアルカリ金属に置換さ
れて活性アルカリ金属を有する官能基を有するかまたは
付与した基体に、化学吸着法によって分子末端にハロゲ
ンを有する化学吸着膜を形成する。基体表面に前記した
官能基がないかもしくは少ない場合には、UV照射、酸
化処理などを行って表面改質を施し、前記官能基を作り
出すか増やすと効果的である。この化学吸着膜は、例え
ば一方の分子末端に前記一般式(化1)で示される官能
基、一般式(化2)で示される官能基、一般式(化3)
で示されるハロゲン化スルフォニル基、一般式(化4)
で示されるハロゲン化スルフィニル基、一般式(化5)
で示される官能基、及びシアノ基から選ばれる少なくと
も1つの官能基を有し、他の分子末端にハロゲンを有す
る化学吸着剤を非プロトン系溶媒に溶解した吸着溶液を
調整し、この吸着溶液に基体を例えば浸漬する。この浸
漬により、基体の活性水素またはアルカリ金属と化学吸
着剤の一般式(化1)〜(化5)で示される官能基、ま
たはシアノ基との反応が起こる。次いで非プロトン系溶
媒を用いて未反応吸着剤を除去し、その後水と反応させ
ることにより化学吸着膜を形成できる。
【0013】次に、前記化学吸着膜の表面にあるハロゲ
ンをアルカリ金属に置換またはグリニア化した後、前記
一般式(化1)〜(化5)で示される官能基、及びシア
ノ基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化学
吸着剤を反応させ、それを前記の化学吸着膜上に固定す
ることによって、化学吸着累積膜を形成できる。
【0014】膜表面のハロゲン原子をアルカリ金属に置
換した後、前記一般式(化1)〜(化5)で示される官
能基選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化学吸着
剤を接触させると、ハロゲン化アルカリ金属もしくはア
ルカリ金属アルコキシドが脱離することによって、膜上
にその化学吸着剤を共有結合により固定することができ
る。同様に、膜表面のハロゲン原子をグリニア化した
後、前記一般式(化1)〜(化5)で示される官能基か
ら選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化学吸着剤
を接触させると、XMgX’(但しXおよびX’はハロ
ゲン)が脱離することによって、膜上にその化学吸着剤
を共有結合により固定することができる。
【0015】本発明の化学吸着を受ける側の膜上のハロ
ゲン原子は、Cl、BrまたはIが挙げられるが、反応
性の点ではIが好ましいが、ClやBrであっても同様
な化学吸着累積膜が得られる。また、化学吸着剤のハロ
ゲン原子は、Cl、BrまたはIが挙げられるが、反応
性の点ではClが好ましいが、BrやIであっても同様
な化学吸着累積膜が得られる。
【0016】なお、累積後未反応の化学吸着剤を除去す
るという洗浄過程を加えることによって単分子膜を累積
することが可能となり、実用上では単分子膜の累積で充
分な機能を発揮できる場合が多く、むしろその方が有用
な場合もある。また、化学吸着させるには液相法と気相
法とがあるが、吸着分子の密度の点および操作の簡便さ
の点から液相法の方が一般的に有利である。しかし、液
相法においても吸着剤のアルキル部の炭素数が25程度
以上になると融点が80から90℃以上となってしま
う。その場合には、吸着剤を例えばヘキサデカン−クロ
ロホルムという非水系溶媒に溶かして溶液として共すれ
ばよい。
【0017】また、吸着剤のアルキル部の水素原子一部
が例えばフッ素原子で置換した場合では膜に撥水撥油性
を付与でき、例えばC=C結合等の不飽和結合を有する
場合には吸着膜を重合させる工程を経ることにより、よ
り強固な化学吸着累積膜を形成でき、また不飽和結合が
例えば炭素−炭素の三重結合、または炭素−窒素の三重
結合を有する場合では重合させる工程を経ることによ
り、強固になる上に導電性を付与できるなど、アルキル
部の機能により本発明の化学吸着累積膜は多機能を付与
できる。
【0018】以下に、本発明の化学吸着累積膜の具体的
製造方法について説明する。 実施例1 図1に示したように、親水性基板としてガラス基板1を
用い、有機溶剤で洗浄し乾燥させた後、ヘキサデカンと
クロロホルムを重量比で4対1の割合で混合した混合溶
媒に3重量%の濃度で(8−ブロモオクチル)トリクロ
ロシランを溶かした溶液に室温で1.5時間浸漬させ
た。この処理により、まず(化6)という結合ができ化
学吸着膜をガラス基板1上に形成した。
【0019】
【化6】
【0020】次に15分間の非水系溶媒のクロロホルム
洗浄を行い、その後15分間の水洗を行うと基板表面全
面の(化6)が(化7)に変わり、図2に示したような
化学吸着単分子膜2が形成された。この単分子膜は、強
固に基板と固定されており、かつ極めて撥水性に富んで
いた。
【0021】
【化7】
【0022】なお、これはフーリエ変換赤外吸収スペク
トル(FTIR)測定で図3に示す通り2920,28
60(帰属:−CH2 −)、1470(帰属:−CH2
−)、1440(帰属:Br−C)、1240(帰属:
Si−C)、1080(帰属:Si−O)cm-1にこの
構造に特徴的なシグナルを得たことで、膜形成を確認で
きた。
【0023】次にこの単分子膜のできた基板を室温、乾
燥窒素雰囲気下でn−ヘキサンに浸漬し、そこへ粉末リ
チウムを加え1時間反応させた。その後そこへ先の(8
−ブロモオクチル)トリクロロシランの10重量%クロ
ロホルム−ヘキサデカン溶液を加え、室温で1.5時間
反応させた。以上の処理により、単分子膜上のBr原子
がまずLi原子と置換され、そのLi原子が続いて(8
−ブロモオクチル)トリクロロシランのSi−Clと反
応することによりLiClが脱離して、(化8)という
結合ができ化学吸着膜を単分子膜2上に形成した。
【0024】
【化8】
【0025】次に15分間のクロロホルム洗浄と15分
間の水洗を行うと基板表面が全面にわたり(化9)に変
わり図4に示したような表面にBr原子を有する化学吸
着単分子膜を累積できた。この累積膜3は、強固に基板
と固定されており、かつ極めて撥水性に富んでいた。
【0026】
【化9】
【0027】なお、これはフーリエ変換赤外吸収スペク
トル(FT−IR)測定により、図5に示す通り292
0,2860(帰属:−CH2 −)、1470(帰属:
−CH2 −)、1240(帰属:Si−C)、1080
(帰属:Si−O)cm-1の各シグナルが約2倍になっ
ており、膜累積を確認できた。
【0028】実施例2 親水性基板として実施例1のガラス基板1を用い、実施
例1と同様にして単分子膜3を形成した。
【0029】なお、これはフーリエ変換赤外吸収スペク
トル(FTIR)測定により実施例1と同様のシグナル
を得たことで、膜形成を確認できた。次にこの単分子膜
のできた基板を室温、乾燥窒素雰囲気下で乾燥エーテル
に浸漬し、そこへ粉末マグネシウムを加え1時間反応さ
せた。その後そこへヘキサデカンとクロロホルムを重量
比で4対1の割合で混合した混合溶媒に3重量%の濃度
で(8−ブロモオクチル)トリクロロシランを溶かした
溶液を加え、室温で1.5時間反応させた。以上の処理
により、単分子膜上でグリニア反応が起こりBr原子が
MgBrになり、そのMgBrが続いて(8−ブロモオ
クチル)トリクロロシランのSi−Clと反応すること
によりClMgBrが脱離して、(化10)という結合
ができ化学吸着膜を単分子膜2上に形成した。
【0030】
【化10】
【0031】次に15分間の非水系溶媒のクロロホルム
洗浄と15分間の水洗を行うと基板表面全面の(化1
0)が(化11)に変わり、図4に示したのと同様な表
面にBr原子を有する化学吸着単分子膜を累積できた。
この累積膜3は、強固に基板と固定されており、かつ極
めて撥水性に富んでいた。
【0032】
【化11】
【0033】なお、これはフーリエ変換赤外吸収スペク
トル(FTIR)測定により図5に示すのと同様に29
20,2860(帰属:−CH2 −)、1470(帰
属:−CH2 −)、1240(帰属:Si−C)、10
80(帰属:Si−O)cm-1の各シグナルが約2倍に
なっており、膜累積を確認できた。
【0034】実施例3 親水性基板として実施例1のガラス基板1を用い、実施
例1と同様にして単分子膜3を形成した。
【0035】なお、これはフーリエ変換赤外吸収スペク
トル(FTIR)測定により実施例1と同様のシグナル
を得たことで、膜形成を確認できた。次にこの単分子膜
のできた基板を室温、乾燥窒素雰囲気下で乾燥n−ヘキ
サンに浸漬し、そこへ粉末リチウムを加え1時間反応さ
せた。その後そこへエタンスルフィニルクロライドを加
え、40℃で10分間反応させた。以上の処理により、
(化12)という結合ができ化学吸着膜を単分子膜2上
に形成した。
【0036】
【化12】
【0037】次に5分間の非水系溶媒のクロロホルム洗
浄と5分間の水洗を行うと基板表面全面が(化12)に
なり、図6に示したような化学吸着単分子膜を累積でき
た。この累積膜4は、強固に基板と固定されており、か
つ極めて撥水性に富んでいた。
【0038】なお、これはフーリエ変換赤外吸収スペク
トル(FTIR)測定によれば、1090(帰属:S=
O)cm-1の新たな大きなシグナルが出現したことが確
認できたので、膜累積を確認できた。
【0039】実施例4 親水性基板として実施例1のガラス基板1を用い、実施
例1と同様にして単分子膜3を形成した。
【0040】なお、これはフーリエ変換赤外吸収スペク
トル(FTIR)測定により実施例1と同様のシグナル
を得たことで、膜形成を確認できた。次にこの単分子膜
のできた基板を室温、乾燥窒素雰囲気下で乾燥エーテル
に浸漬し、そこへ粉末マグネシウムを加え1時間反応さ
せた。その後そこへエタンスルフォニルクロライドを加
え、40℃で10分間反応させた。以上の処理により、
単分子膜上のBr原子がまずLi原子と置換され、その
Li原子が続いてエタンスルフィニルクロライドのS−
Clと反応することによりLiClが脱離して、(化1
3)という結合ができ化学吸着膜を単分子膜2上に形成
した。
【0041】
【化13】
【0042】次に5分間の非水系溶媒のクロロホルム洗
浄と5分間の水洗を行うと基板表面全面が(化13)に
なり、図6のと同様の化学吸着単分子膜を累積できた。
この累積膜4は、強固に基板と固定されており、かつ極
めて撥水性に富んでいた。
【0043】なお、これはフーリエ変換赤外吸収スペク
トル(FTIR)測定によれば、やはり1090(帰
属:S=O)cm-1の新たな大きなシグナルが出現した
のが確認できたので、膜累積を確認できた。
【0044】実施例5 親水性基板として実施例1のガラス基板1を用い、実施
例1と同様にして単分子膜3を形成した。
【0045】なお、これはフーリエ変換赤外吸収スペク
トル(FTIR)測定により実施例1と同様のシグナル
を得たことで、膜形成を確認できた。次にこの単分子膜
のできた基板を室温、乾燥窒素雰囲気下で乾燥n−ヘキ
サンに浸漬し、そこへ粉末リチウムを加え1時間反応さ
せた。その後そこへイソプロピルトリイソステアロイル
チタネート((C1735COO)3 TiOCH(C
3 2 )を加え、室温で1時間反応させた。以上の処
理により、単分子膜上のBr原子がまずLi原子と置換
され、そのLi原子が続いてイソプロピルトリイソステ
アロイルチタネートのTiOCH(CH3 2 と反応す
ることによりLiOCH(CH3 2 が脱離して、(化
14)という結合ができ化学吸着膜を単分子膜2上に形
成した。
【0046】
【化14】
【0047】次に5分間の非水系溶媒のクロロホルム洗
浄を行うと基板表面全面が(化14)になり、図8に示
したような化学吸着単分子膜を累積できた。この累積膜
5は、強固に基板と固定されており、かつ極めて撥水性
に富んでいた。
【0048】なお、フーリエ変換赤外吸収スペクトル
(FTIR)測定によれば、2930−2840(帰
属:−CH2 −)、1470(帰属:−CH2 −)、c
-1の各シグナルが約7倍になっており、また1750
(帰属:C=O)cm-1に新たにシグナルが現れている
のを確認できたので、膜累積を確認できた。
【0049】比較例1 厚さ50μmの硬質ポリ塩化ビニルのフィルム6を窒素
雰囲気室温で乾燥n−ヘキサンに浸漬し、そこへ粉末リ
チウムを加え2時間反応させた。その後そこへ先の(8
−ブロモオクチル)トリクロロシランの3重量%クロロ
ホルム−ヘキサデカン溶液を加え、室温で1.5時間反
応させた。次に15分間のクロロホルム洗浄と15分間
の水洗を行った。以上の処理により、実施例5までと同
様に表面にBr原子を有する化学吸着単分子膜を累積で
きたはずであったが、ESCAで分析したところ、Si
によるスペクトルがほんの僅かしかみられなかったこと
から単分子膜はフィルム上にほとんどるいせきできてい
なかったことが確認できた。なお、吸着反応時間を15
時間にして再度ESCAで分析してもほとんど変化なか
った。
【0050】この例から吸着される側の膜としては、高
分子膜よりも化学吸着膜の方が適していると言える。以
上説明した通り本発明の実施例によれば、吸着処理雰囲
気の水分の除去のみを条件とするために、極めて簡便で
ほとんど危険性がなく低コストで行える汎用性のある方
法であることが確認できた。
【0051】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、ハロ
ゲンを表面に有する化学吸着膜のハロゲンを、アルカリ
金属置換またはグリニア化する工程を経て化学吸着累積
膜を形成するので、化学吸着膜構成分子を破壊すること
なく、反応操作が容易でコストも低くかつ安全であると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の基板表面の分子レベルの要
部拡大図
【図2】本発明の一実施例の化学吸着単分子膜の分子レ
ベルの要部拡大図
【図3】本発明の一実施例の化学吸着単分子膜のフーリ
エ変換赤外吸収スペクトル図
【図4】本発明の別の実施例の化学吸着累積膜の分子レ
ベルの要部拡大図
【図5】本発明の別の実施例の化学吸着単分子膜のフー
リエ変換赤外吸収スペクトル図
【図6】本発明の他の実施例の化学吸着累積膜の分子レ
ベルの要部拡大図
【図7】本発明の他の実施例の化学吸着累積膜の分子レ
ベルの要部拡大図
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 水酸基 3 化学吸着単分子膜 4 化学吸着累積膜 5 化学吸着累積膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 101:00 C08L 101:00 (56)参考文献 特開 平1−305094(JP,A) 特開 平2−138286(JP,A) 特開 平2−214738(JP,A) 特開 平2−232232(JP,A) 特開 平4−367721(JP,A) 特開 平5−16287(JP,A) 特開 平5−307179(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 B01J 19/00 C03C 17/28 C08J 7/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単分子膜が2層以上累積した化学吸着累積
    膜の製造方法であって、 活性水素若しくはアルカリ金属を有するか若しくは付与
    した基材表面に、化学吸着法によって分子末端にハロゲ
    ンを有する化学吸着膜を形成し、 次いで前記化学吸着膜の表面のハロゲンをアルカリ金属
    またはグリニャール基に変化させ、 しかる後、分子末端に一般式(化1)で示される官能
    基、一般式(化2)で示される官能基、一般式(化3)
    で示されるハロゲン化スルフォニル基、一般式(化4)
    で示されるハロゲン化スルフィニル基、一般式(化5)
    で示される官能基、及びシアノ基から選ばれる少なくと
    も1つの官能基と、主鎖に炭化水素またはフルオロカー
    ボン鎖を含む分子を膜表面に接触反応させ、前記アルカ
    リ金属またはグリニャール基と、前記官能基との間でハ
    ロゲン化アルカリ金属若しくはアルカリ金属アルコキシ
    ドの脱離を伴う縮合反応により化学吸着膜を累積するこ
    とを特徴とする化学吸着累積膜の製造方法。 【化1】 (但し、Xはハロゲン、AはSi,Ge,Sn,Ti,
    またはZr、nは1,2又は3) 【化2】 (但し、ORはアルコキシル基、A'はC,Si,G
    e,Sn,Ti,またはZr、mは1,2又は3) 【化3】 (但し、Xはハロゲンを示す。) 【化4】 (但し、Xはハロゲンを示す。) 【化5】 (但し、BはOを示す。)
  2. 【請求項2】前記化学吸着膜の構成分子が、基材と直接
    若しくは間接的にSi,Ge,Sn,Ti,Zr,C及
    びSから選ばれる少なくとも1つの原子を介して化学結
    合で固定されている請求項1に記載の化学吸着累積膜の
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記化学吸着膜の構成分子が、主鎖に不飽
    和官能基を含む請求項1に記載の化学吸着累積膜の製造
    方法。
  4. 【請求項4】化学吸着膜を形成した後、非プロトン系溶
    液を用いて未反応物を洗浄する請求項1に記載の化学吸
    着累積膜の製造方法。
  5. 【請求項5】化学吸着膜の表面のハロゲン原子をアルカ
    リ金属原子に置換するかまたはグリニア化する反応を、
    液相で行う請求項1に記載の化学吸着累積膜の製造方
    法。
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