JP3498848B2 - 中空巻芯つきコイル、および板の巻取り方法 - Google Patents

中空巻芯つきコイル、および板の巻取り方法

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JP3498848B2 JP2001222855A JP2001222855A JP3498848B2 JP 3498848 B2 JP3498848 B2 JP 3498848B2 JP 2001222855 A JP2001222855 A JP 2001222855A JP 2001222855 A JP2001222855 A JP 2001222855A JP 3498848 B2 JP3498848 B2 JP 3498848B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項に係る発明は、金属板
をはじめとする各種の板が中空巻芯の外側に巻かれてな
る中空巻芯つきコイル、および、中空巻芯の外側に板を
巻き取ってコイルを作るための板の巻取り方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】帯状に長く連続した薄い金属板(たとえ
ば薄鋼板)は、所定の加工が終わった段階でコイルとし
て巻き取られるのが一般的である。そのような金属板の
巻取りは、従来、図6または図7のように巻取りドラム
(リコイラドラム)Dを用いて行われている。巻取りド
ラムDは、モータ等の回転手段(図示省略)により駆動
され水平状態で回転するもので、回転にともなってその
周面上に金属板5を巻き取ることができる。巻き取って
できたコイルが抜き出せるように、ドラムDは、内蔵さ
れたクサビ機構やその動作手段(いずれも図示省略)な
どの作用により直径の拡大および縮小が可能である。ま
た、通常、ドラムDの周面上には、チャックと呼ばれる
開閉可能な溝が設けられている。
【0003】図6に示す巻取り方法は、巻き取ろうとす
る金属板5の先端(コイルにおいて内周端となる部分)
5aを巻取りドラムDにおけるチャックDcに挿入して
保持させたうえ、そのドラムDを回転させて金属板5を
巻き取るものである。ドラムDの直径は、巻取りの前に
太くしておき、巻取りの終了後は、コイルを抜き取る際
に縮小する。
【0004】一方、図7の巻取り方法は、巻取りドラム
Dの周面上に紙管(中空巻芯)4をはめ、その外周上に
金属板5を巻き取るものである。巻取り前には、紙管4
の挿入後にドラムDの直径を太くして紙管4をドラムD
上に固定し、金属板5の先端部(内周端部)5aは、前
記のようにチャックに保持させるのではなく粘着テープ
6によって紙管4の外周上に留める。なお、紙管4は、
巻き取る金属板5と幅(軸方向の寸法)が一致するもの
を選んで使用する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図6・図7に示した従
来の金属板の巻取り方法にはつぎのような課題がある。
まず、図6の方法によると、巻かれてできたコイルに
おいて内周部(巻取りドラムに接していた中心部の中空
部分)に金属板5が露出した状態になるので、当該内周
部付近の金属板5が傷つきやすい。傷つきやすいのは、
たとえば、移動する際、吊り上げのための部材(図2に
示す吊り具20の横棒20aなど)がその内周部に差し
入れられることが多いからである。また、そのコイルを
次工程の加工のために巻出しドラム(図8に示すアンコ
イラEなど)に差し入れたとき、やはり直径が拡大する
その巻出しドラムから局部的な力を受けることがあるか
らでもある。こうして傷つきまたは変形した部分は使用
されずに処分されるため、金属板の歩留まりを悪くする
ことになる。
【0006】図7の方法では、内周部に紙管4を備える
コイルができ上がるため、傷や変形による金属板5の歩
留まり低下を防止できるものの、内周端部5aを紙管4
に留めるべく使用した粘着テープ6に関連して新たな課
題が生じる。粘着テープ6を金属板5に付けたままにし
ておくと、そのテープ6や付属の粘着剤が、後の工程で
の円滑な金属加工を妨げるのである。つまり、図7のよ
うにして金属板5を巻き取ると、図8のように、できた
コイル10をアンコイラEに取り付けてその金属板5を
次工程の加工機械(プレス機やフォーミング装置など)
Fに送り、加工ずみ部品を受け台G上に集めることにな
るが、コイル10の内周端部に付けられている粘着テー
プ6が加工機械Fの内部に巻き込まれると、機械Fの機
能や加工精度が低下し、その運転を停止せざるを得ない
場合がある。コイル10から事前に粘着テープ6を取り
除いておけばそのような問題はないが、紙管4と金属板
5との間にはさまれた状態にある粘着テープ6を取り除
くことは不可能である。そこで、加工機械Fでのトラブ
ルを避けるために、金属板5の末端(内周端部)がアン
コイラEから巻き出されるときに一旦アンコイラEの回
転を止め、作業員がコイル10に近づいたうえ粘着テー
プ6を取り外している。しかし、連続的な運転を妨げて
作業員にも手作業を強いるこのような処理は、生産能率
やコストの点で好ましくない。
【0007】そのほか、図7のように金属板を巻き取る
場合には紙管の取扱いが容易でないという課題もある。
取扱いが容易でないのは、第一には、用途に応じて異な
る金属板の幅に一致する多種類の紙管を準備・保管する
必要があるからである。第二には、紙管は一般に、金属
板の保護のために厚さが10mm以上あり、金属板に合
わせて幅も1m前後あることが珍しくないことから、重
く、したがって紙管の持ち運びやドラムDへの付け外し
が作業員の負担となるからである。
【0008】なお、特開平7−206234号公報に
は、外周面上に再剥離性粘着剤層を形成した紙管を用
い、フィルムの端部(内周端部)を当該紙管の外周上に
貼り付けることにより、粘着テープを使用することなく
紙管上にフィルムを巻き取る方法が記載されている。し
かし、軟らかくまたはしなやかさのあるフィルムなどと
は異なり、金属板などのように剛性があって容易には曲
がらない板は、紙管等の外周面上に広く添わせて密着さ
せることが難しいため、そのような方法で板の内周端部
を紙管等の外周上に留めることは困難である。粘着剤層
の接着力をかなり強くすれば、広く密着させることなく
金属板などを紙管上に留めることも可能であるが、そう
すると、コイルの巻き出しの際、粘着剤層が金属板に着
いたまま加工機械に送られて当該機械に悪影響を及ぼす
可能性も生じてしまう。
【0009】請求項に記載した発明は、金属板をはじめ
とする板の巻き取りに関し、内周端部付近の板が傷つく
のを防止するとともに後の加工の際に粘着テープの除去
処理を不要にする等の特徴をもつ、中空巻芯つきコイル
および板の巻取り方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した中空
巻芯付きコイルは、中空巻芯(紙管、または金属・樹脂
その他の材料からなる筒)の外側に板(金属や樹脂・ゴ
ム等の板であって一定の幅をもつ帯状のもの)が巻かれ
てなる中空巻芯つきコイルであって、内周部において一
部で板が露出するよう板よりも幅のせまい中空巻芯が装
着され、かつ、板の内周端部と中空巻芯とをつなぐ粘着
または接着の手段(粘着テープや粘着剤層、または他の
留め具類)が付属していないことを特徴とする。
【0011】請求項3に記載した板の巻取り方法は、巻
取りドラム(前述のように回転機能や直径の拡大・縮小
機能をもつものをいう)を用い、板を中空巻芯の外周上
に巻き取る板の巻取り方法であって、下記1)〜3)の手順
にて行うものである。 1) 板幅のうちに中空巻芯を介さずに巻かれる部分(つ
まり内周部に板が露出する部分)ができるよう、板より
も幅のせまい中空巻芯を巻取りドラムの周面上にはめ付
ける。これはたとえば、図1にしたがって中空巻芯であ
る紙管1を巻取りドラムD上に通し、ドラムDの径を拡
大してタイトに保持させることにより行えばよい。 2) 中空巻芯を介さずに巻かれる部分において板の内周
端部の内側面(コイルの中心寄りの面)とドラムの周面
との間を粘着テープでつないだうえ板の巻取りを開始す
る。たとえば図1のように、板(鋼板)5の内周端部5
aとドラムDとの間に粘着テープ6を使用するとよい。
粘着テープ6は、それが片面粘着型の通常のものであれ
ば、図1のように一箇所でねじったうえ上記の二面に貼
り付けることになる。 3) 巻取り完了後にドラムから抜き出されたコイルにつ
いて、内周部より上記の粘着テープを取り除く。たとえ
ば、巻取りの終わった図2のコイル10において、板5
の内周端部に付着していて抜き出し時にドラムDの周面
からはがれた粘着テープ6を、コイル10の内周部(中
空部)に手を入れるなどして引きはがせばよい。粘着テ
ープ6は、板5の内周端部の内側面に付いていて、板の
間などにはさまれてはいないため、容易に取り除くこと
ができる。
【0012】また請求項4に記載した板の巻取り方法
は、請求項3の巻取り方法における上記2)・3)の一部
を、下記2)’および3)’のように行うものである。 2)’ 巻取りドラムの周面上にあるチャックに小片(巻
き取ろうとする板の小片または他の板状の小片)を保持
させ、この小片に粘着テープを使用する(つまり板の内
周端部と小片との間に粘着テープを貼り渡す)ことによ
り板の内周端部の内側面とドラムとの間をつなぐ。これ
にはたとえば、図3のようにチャックDcや小片7、粘
着テープ6などを使用すればよい。このようにすれば、
片面粘着型の粘着テープ6であっても、それをねじるこ
となく使用することができる。 3)’ 巻取りの完了後、ドラムからコイルを抜き出す際
にチャックによる保持を解いて小片をも抜き出し(チャ
ックを解除した状態でドラムからコイルを抜き出せば、
小片および粘着テープがコイルとともにスムーズに抜き
出される)、その後、コイルの内周部より粘着テープと
ともに小片を取り除く。
【0013】これらの発明のうち、まず請求項1の中空
巻芯つきコイルには、つぎのような作用がある。第一
に、内周部に中空巻芯を有するコイルであるため、内周
部付近の板にも傷がつきにくく、したがって板のうち多
くの部分を有効に利用して製品にすることが可能にな
る。内周部において一部では板が露出するが、露出部分
が板幅のうち一方の側に偏ることを避け、中空巻芯に十
分な厚さを与えるなどすれば、搬送や巻出しの際に内周
部付近に傷がつくことは効果的に防止できる。
【0014】第二に、板の内周端部と中空巻芯とをつな
ぐ粘着等の手段が付属していないことから、このコイル
によれば、後の板加工がつねに円滑に行える。つまり、
後の工程においてこのコイルの板を加工する際、板の末
端が巻き出されるときにも巻出しの停止や粘着テープ等
の除去といった作業を行う必要がなく、粘着テープや粘
着剤・留め具のために加工機械の機能や加工精度が低下
する恐れもない。
【0015】そしてこのようなコイルは、たとえば請求
項3または請求項4の巻取り方法にしたがって板を巻き
取ることにより、容易に製造することができる。
【0016】請求項3または4に記載した巻取り方法
は、板よりも幅のせまい中空巻芯を使用することによ
り、請求項1に記載した好ましいコイルの製造を可能に
する。とくに請求項4の方法なら、前述のように、粘着
テープの貼り付けや除去をスムーズに行うことができ
る。
【0017】請求項2に記載の中空巻芯つきコイルは、
請求項1のコイルの特徴に加え、各中空巻芯が全幅に及
ぶスリットを周上の一箇所に有することをも特徴とす
る。
【0018】請求項5に記載した板の巻取り方法は、
求項3または4の巻取り方法における前記1)の一部を、
とくに下記1)’のように行うものである。 1)’ 中空巻芯として、全幅に及ぶスリットを周上の一
箇所に有するものを使用し、スリットを開かせた状態で
(つまり閉じようとする弾力がドラムの周面上に及ぶよ
うにして)その中空巻芯を巻取りドラムの周面上にはめ
付ける。このはめ付けはたとえば、直径を縮小した状態
の巻取りドラム上にスリットつきの中空巻芯を通し、そ
ののち、スリットが僅かに開くまでドラムの直径を拡大
することにより行えばよい。
【0019】また請求項6に記載した巻取り方法は、
求項5の方法においてとくに、1)’の一部を下記1)”の
ように行うことを特徴とする。 1)” スリットを有する上記の中空巻芯を巻取りドラム
の周面上にはめ付ける際、スリットを有しない中空補助
巻芯を同じドラムの周面上の他の部分(スリットつきの
中空巻芯を付けない部分)にはめ付ける。ただしその中
空補助巻芯としては、上記中空巻芯よりも外径が小さ
く、かつ、上記中空巻芯のスリットが適当量だけ開いた
状態で内周がドラムの外周に密着するものを使用する。
たとえば図4のように、スリットつき紙管2と補助紙管
3(中空補助巻芯)とを巻取りドラムDに対して使用す
る場合が、この請求項6の方法に含まれる。
【0020】中空巻芯を使用して請求項3の方法で板を
巻き取った場合、巻取り後のコイル(請求項1に記載の
ような中空巻芯つきコイル)において、内周部付近の巻
き状態がやや緩めである場合がある。板の内周端部は、
図6のようにチャックを利用して巻取りドラムに保持さ
せるのでなく、また図7のように広い範囲で中空巻芯に
留めるのでもなく、中空巻芯のない限られた範囲で粘着
テープによりドラムの周面上につなぐにすぎないからで
ある。巻取りの完了後にはその粘着テープも取り除いて
しまうのであるから、そのコイルでは、緩めの内周端部
と中空巻芯との間でスリップが起きることがあり、板の
巻出しを円滑には行いがたい場合もある。
【0021】しかし、請求項2に記載した中空巻芯つき
コイルなら、内周端部付近の板について巻き状態がルー
ズであっても、巻出しドラムに保持されたとき中空巻芯
とその内周端部との間をタイトに密着させ、板と中空巻
芯との間がスリップする等の不都合を防止することがで
きる。各中空巻芯が上記のようにスリットを有するた
め、このコイルを巻出しドラムに通したうえそのドラム
の直径を拡大することにより、中空巻芯を膨らませてコ
イルの内側に強く押し付けることが可能だからである。
しかも請求項2のコイルは、スリット付きの中空巻芯を
使用し、請求項5または6の巻取り方法にしたがって板
を巻き取ることにより容易に得ることができる。請求項
に記載の特徴を有することから、このコイルでも、内
周部付近の板に傷がつきにくく、後の工程において粘着
テープ等に関連した課題が発生することがない。
【0022】そして請求項5または6の巻取り方法は、
スリット付きの中空巻芯などを用いることによる請求項
のコイルの製造を可能にする。請求項5の巻取り方法
は、スリットを開かせた弾力の生じる状態で中空巻芯を
巻取りドラムの周面上に保持させるのであるから、板を
巻き取る際に中空巻芯がドラム上で空回りするといった
不都合も生じない。請求項6の方法は、スリットが適当
量だけ開いたときドラムの外周に密着してそれ以上スリ
ットが開くのを止め得るように中空補助巻芯を使用する
ので、この方法によれば、特別なコントロールをしなく
とも巻取りドラムの直径の拡大量を適切に設定できる。
中空補助巻芯はスリットつきの中空巻芯よりも外径が小
さいので、板は、外径の大きいスリットつきの中空巻芯
上に巻き付けられる。巻取り終了後にドラムからコイル
を抜き出した際、その中空補助巻芯はコイルの内周部よ
り取り外しておくとよい。請求項5または6の方法にて
得られるコイルでは、巻取りドラムから抜き出された状
態でスリットが閉じる結果、中空巻芯の直径が小さくな
ってコイルの内周部から離れ、移動しやすい状態になる
が、たとえば図5(c)のように中空巻芯とともにコイ
ルをバンド11等で束ねたり、またはスリットに何らか
の充填物(クサビ状の物など)を詰めてスリットを開い
た状態に保ったりすると、移動を止めることができる。
なお、請求項5・6の巻取り方法にも請求項3または4
に記載した作用があることは言うまでもない。
【0023】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態についていくつ
かの例を図1〜図5に紹介する。図1は、巻取りドラム
Dを用いて鋼板5をコイル状に巻き取るに関し、その巻
き始めの状態を示す斜視図であり、図2は、そうして巻
き取りを終えて巻取りドラムDから抜き出された状態の
コイル10を示す正面図である。図3は、図1と異なる
他の方法により鋼板5を巻き取る場合の巻取りドラムD
等の状態を示す斜視図である。図4は、さらに他の方法
により鋼板5を巻き取る場合の巻取りドラムD等を示す
側面図であり、図5(a)・(b)・(c)・(d)の
それぞれは、図4の方法をとる場合の巻取りドラムDや
コイル10について、巻取り開始時、巻取り終了時、コ
イルの製造完了時、コイルの巻出し時の各状態を示す正
面図である。
【0024】まず、図1および図2のそれぞれは、鋼板
5よりも幅のせまい紙管1を用いる基本的な巻取り方法
と、それによってできるコイル10とを示している。図
1の方法による場合、鋼板5を巻き取ることによるコイ
ル10の製造はつぎのように行うことができる。なお、
一例として、鋼板5は幅700mmで厚さ0.6mmで
あるとし、巻取りドラムDとしては、外径(直径)が約
500mmであり概ね±10mm(490mm〜510
mm)の範囲で拡大・縮小が可能であるものを使用す
る。
【0025】1) まず、直径が縮小した状態の巻取りド
ラムDの外側に、二つの紙管1を挿入する。紙管として
は、たとえば内径約500mm、厚さ10mm、幅25
0mmのものを使用する。
【0026】2) 鋼板5の幅に合わせて二つ紙管1の位
置を定めたうえ、巻取りドラムDの直径を拡大してそれ
ら紙管1をドラムDの周面上に固定する。紙管1の位置
は、間に200mm(=700mm−(250mm×
2))の間隔をあけ、各紙管1の離れ合った側の端部上
に鋼板5の幅方向の各端部が巻かれるように定める。な
お、巻取りドラムDは、紙管1が周面上に密着してドラ
ムDに一定の反力を及ぼすようになった時点で(たとえ
ば外径が502mmになったとき)その拡大を自動停止
する。
【0027】3) 巻き取ろうとする鋼板5の先端部(す
なわち内周端部5a)を紙管1の外周上に重ねるととも
に、紙管1のない部分において、その内周端部5aの内
側面(巻取りドラムDに近い側の面)とドラムDの周面
上との間を粘着テープ6でつなぐ。片面型の粘着テープ
6を鋼板5の内側面とドラムDの外側面との間に貼り付
けることから、そのテープ6は中間部分で一度ねじる必
要がある。
【0028】4) 図中の白抜き矢印の向きに巻取りドラ
ムDを回転させ、鋼板5に適度な張力を持たせながら紙
管1上に鋼板5を巻き付ける
【0029】5) 巻取りが終わってできたコイルは、鋼
板5の外周端部を粘着テープ等の手段(図示省略)で留
めたうえ、巻取りドラムDの径を縮小し、その下に配置
された台車(図示省略。昇降および水平移動が可能)に
よりドラムDから抜き出す。抜き出したコイル10は図
2に示す状態になっており、鋼板5の内周部に、幅方向
に間隔をおいて二つの紙管1が付けられていて、それら
紙管1の間では、鋼板5の内周端部5aの内側面に粘着
テープ6が付着している。
【0030】6) 内周部に付着したその粘着テープ6
を、作業員が、一方の紙管1の内側から手を入れること
により剥がし取る。
【0031】以上の1)〜6)により、図1および図2の段
階を経て鋼板5のコイル10ができ上がる。できたコイ
ル10は、たとえば、側面から見た形が「コ」の字状に
なっていて下部の横棒20aを内周の中空部に挿入する
吊り具20により吊られて移動することが多いが、コイ
ル10の内周部には二箇所に紙管1があり、しかもそれ
らが上記横棒20aなどに最も接触しやすい幅方向の両
端部に位置しているため、内周部の鋼板5が傷ついたり
変形したりする恐れがほとんどない。また、内部に粘着
テープ6等が付着していないので、後の加工工程で鋼板
5を巻き出す際にそのテープ6等の処理に関する特別な
処置が必要ないという利点もある。
【0032】なお、上記した鋼板5とは幅の異なるもの
をコイルにする場合にも、紙管1は上記と同一のものを
使用することができる。二つの紙管1の間隔を調整すれ
ば、図1と同様に鋼板の幅方向両端部に紙管1を配置で
きるからである。鋼板の幅が格別に大きい場合には、幅
を大きく設定した別の紙管を使用するのもよいが、上記
で使用した紙管1を三つまたはそれ以上、同時に使用す
るのもよい。
【0033】図3は、図1の場合と同じ紙管1を使用し
ながらも、鋼板5の内周端部5aを別の方法で巻取りド
ラムDに留める巻取り方法を示している。この方法で
は、上記3)の際、ドラムDのチャックDcに鋼板の小片
7をつかませ、粘着テープ6は、鋼板5の内周端部5a
の内側面とこの小片7の内側面との間に貼り渡す。こう
して使用する小片7は、上記5)にしたがってコイルを抜
き出すときチャックDcを開放してドラムDから抜き出
し、上記6)のように粘着テープ6を剥がすとき同時にコ
イルから取り除く。つまり、図3にしたがうこの方法に
よっても、図2と同じコイル10(粘着テープ6を取り
除いたもの)を得ることができ、内周部の鋼板5の保護
がはかられるとともに粘着テープ等に関する特別な処置
が不要であるというメリットを享受できることになる。
【0034】図4は、図1・図3とは異なる形式の紙管
2を用いる鋼板5の巻取り方法を示している。すなわち
図4の方法では、紙管2として、全幅に及ぶスリット2
aを周上の一箇所に有するものを二つ使用する。ただ
し、スリット2aつきの紙管2のみを使用した場合に
は、前記2)のように巻取りドラムDの直径を拡大すると
き、拡大量を適切に設定しないとスリット2aが過剰に
開いてしまうことがあるので、図のように両紙管2の幅
方向外側に補助紙管3を二つはめる。補助紙管3の外径
は紙管2よりも小さく、その内径は、ドラムDの直径が
拡大してスリット2aが15mmほど開いたときドラム
Dの外周に密着して締め付け力を及ぼすことによりその
拡大を停止するように設定してある。スリット2aつき
の紙管2と補助紙管3とを使用するこの巻取り方法で
は、鋼板5の巻取りとそれによるコイルの取扱いとをつ
ぎのように行うことができる。
【0035】1) 直径を縮小した状態の巻取りドラムD
に紙管2と補助紙管3とを二つずつはめ、二つの紙管2
の両外側に補助紙管3が一つずつ位置するようにする。
紙管2と補助紙管3とについて、寸法はたとえばつぎの
ようにする。まず紙管2は、スリット2aが閉じた状態
で内径が約500mmとし、厚さは20mm、幅は25
0mmとする。補助紙管3は、内径を紙管2と同じく約
500mmとし、厚さを10mm、幅を150mmとす
る。補助紙管3の外径は紙管2よりも20mmだけ小さ
いことになる。
【0036】2) 鋼板5の幅よりもやや内側に紙管2が
位置するように紙管2と補助紙管3の位置を定めたう
え、巻取りドラムDの直径を拡大する。紙管2はスリッ
ト2aが15mmほど開くが、補助紙管3がドラムDの
外周に密着して反力を及ぼすので、ドラムDは直径が5
05mm程度になった時点で拡大を自動停止する。
【0037】3) 巻き取ろうとする鋼板5の先端部(す
なわち内周端部5a)を紙管2の外周上に重ねるととも
に、紙管2および補助紙管3のない部分において、その
内周端部5aの内側面とドラムDの周面上との間を粘着
テープ6でつなぐ。図3のような小片を使用しない場合
には、テープ6をねじって使用する。
【0038】4) 図5(a)における白抜き矢印の向き
に巻取りドラムDを回転させ、鋼板5に適度な張力を持
たせながら紙管2上に鋼板5を巻き付ける
【0039】5) 巻取りが完了すると、図5(b)のよ
うに、巻取りドラムDの径を縮小したうえ、コイル10
をそのドラムDから抜き出す。ドラムDの径を約490
mmにまで縮小すると、図のように紙管2のスリット2
aが閉じるが、紙管2とドラムDとの間に隙間ができる
のでコイル10(紙管2つき)の抜き出しは容易であ
る。
【0040】6) 抜き出したコイル10より、補助紙管
3を取り出すとともに粘着テープ6を取り外す。また、
スリット2aが閉じることにより鋼板5の内周部から締
め付け力を受けなくなっている二つの紙管2をコイル1
0の幅方向の各端部まで移動させたうえ、図5(c)の
ようにコイル10の内外周面および両端面を巻いてスチ
ールバンド11を掛け、コイル10を完成する。
【0041】7) 鋼板5を他の加工工程に供給する場合
には、コイル10を図5(d)のように巻出しドラムE
に取り付けて白抜き矢印の向きに鋼板5を送る。当該ド
ラムEにコイル10を保持させる際には、直径を縮小し
た状態のドラムEにコイル10を通し、そののちドラム
Eの直径を拡大する。図5(a)の段階での巻取りドラ
ムDよりも直径を大きく(たとえば507mm程度に)
すれば、紙スリット2aが大きめに開き、紙管2が十分
に膨らんで鋼板5の内周部に強く押し付けられるため、
紙管2と鋼板5との間のスリップ等が発生しなくなる。
【0042】
【発明の効果】請求項1の中空巻芯つきコイルには、つ
ぎの効果がある。 ・ 内周部に中空巻芯を有するため、内周部付近の板に
傷がつきにくく、使用できる板の範囲が広くて歩留まり
が高い。 ・ 板の内周端部と中空巻芯とをつなぐ粘着テープ等が
付属していないため、当該テープ等を除去しなくとも後
の板加工を円滑に行うことができ、生産能率やコストを
改善できる。 ・ 中空巻芯を用い、請求項3または4の巻取り方法に
したがって板を巻き取ることにより、特別な設備も過大
な作業負担も必要とすることなく製造することができ
る。
【0043】請求項2に記載した中空巻芯つきコイルな
らさらに、 ・ 後の工程において巻出しドラムに保持されたとき、
中空巻芯と板の内周端部との間をタイトに密着させ、両
者間でスリップが生じること等を防止することができ
る。 ・ たとえばスリット付きの中空巻芯を用い、請求項5
または6の巻取り方法にしたがって板を巻き取ることに
より、やはり特別な設備・作業負担を要することなく製
造することができる。
【0044】請求項3に記載した巻取り方法によれば、 ・ 請求項1に係る、生産上のメリットの高いコイルを
円滑に製造できる。
【0045】請求項4の方法によればさらに、 ・ 粘着テープの貼り付けや除去をとくにスムーズに行
うことができる。
【0046】そして請求項5の巻取り方法によると、 ・ 請求項2に係る好ましいコイルの製造を円滑に行え
る。
【0047】請求項6の方法ならとくに、 ・ 中空補助巻芯を使用するため、スリットつきの中空
巻芯を巻取りドラム上にはめ付ける際、特別なコントロ
ールをしなくとも当該ドラムの直径の拡大量を適切に設
定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態について一例を示す図面であ
り、巻取りドラムDを用いて鋼板5をコイル状に巻き取
る際の巻き始めの状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1等の方法で巻き取られて巻取りド
ラムから抜き出された状態のコイル10を示す正面図で
ある。
【図3】図1と異なる他の方法により鋼板5を巻き取る
例について、巻き始めにおける巻取りドラムD等の状態
を示す斜視図である。
【図4】さらに他の方法により鋼板5を巻き取る例につ
いて、巻き始めにおける巻取りドラムD等を示す側面図
である。
【図5】図5(a)・(b)・(c)・(d)のそれぞ
れは、図4の方法をとる場合の巻取りドラムDやコイル
10について、巻取り開始時、巻取り終了時、コイル製
造完了時、コイル巻出し時の各状態を示す正面図(また
は正面の側から見た断面図)である。なお、図5(a)
は、図4におけるV−V断面図でもある。
【図6】従来の巻取り方法について、巻取りドラムに対
する板の巻き始めの状態を示す斜視図である。
【図7】図6とは異なる従来の巻取り方法について、巻
取りドラムに対する板の巻き始めの状態を示す斜視図で
ある。
【図8】巻き取ったコイルから板を巻き出して加工する
工程につき、概要を示す模式図である。
【符号の説明】
1・2 紙管(中空巻芯) 2a スリット 3 補助紙管(中空補助巻芯) 5 鋼板(板) 5a 内周端部 6 粘着テープ 7 小片 10 コイル D 巻取りドラム Dc チャック E 巻出しドラム F 加工機械
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65H 75/10 B65H 19/28

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空巻芯の外側に板が巻かれてなる中空
    巻芯つきコイルであって、 内周部において一部で板が露出するよう板よりも幅のせ
    まい中空巻芯が装着され、かつ、板の内周端部と中空巻
    芯とをつなぐ粘着または接着の手段が付属していないこ
    とを特徴とする中空巻芯つきコイル。
  2. 【請求項2】 上記の各中空巻芯が、全幅に及ぶスリッ
    トを周上の一箇所に有することを特徴とする請求項1
    記載の中空巻芯つきコイル。
  3. 【請求項3】 巻取りドラムを用い、板を中空巻芯の外
    周上に巻き取る板の巻取り方法であって、 板幅のうちに中空巻芯を介さずに巻かれる部分ができる
    よう、板よりも幅のせまい中空巻芯を巻取りドラムの周
    面上にはめ付け、 中空巻芯を介さずに巻かれる部分において板の内周端部
    の内側面とドラムの周面との間を粘着テープでつないだ
    うえ板の巻取りを開始し、 巻取り完了後にドラムから抜き出されたコイルについ
    て、内周部より上記の粘着テープを取り除くことを特徴
    とする板の巻取り方法。
  4. 【請求項4】 巻取りドラムの周面上にあるチャックに
    小片を保持させ、この小片に粘着テープを使用すること
    により板の内周端部の内側面とドラムとの間をつなぎ、 巻取り完了後、ドラムからコイルを抜き出す際にチャッ
    クによる保持を解いて小片をも抜き出し、コイルの内周
    部より粘着テープとともに小片を取り除くことを特徴と
    する請求項3に記載の板の巻取り方法。
  5. 【請求項5】 上記の中空巻芯として、全幅に及ぶスリ
    ットを周上の一箇所に有するものを使用し、スリットを
    開かせた状態でその中空巻芯を巻取りドラムの周面上に
    はめ付けることを特徴とする請求項3または4に記載し
    た板の巻取り方法。
  6. 【請求項6】 スリットを有する上記の中空巻芯を巻取
    りドラムの周面上にはめ付ける際、スリットを有しない
    中空補助巻芯を同じドラムの周面上の他の部分にはめ付
    けることとし、その中空補助巻芯は、上記中空巻芯より
    も外径が小さく、かつ、上記中空巻芯のスリットが適当
    量だけ開いた状態で内周がドラムの外周に密着するもの
    であることを特徴とする請求項5に記載した板の巻取り
    方法。
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