JP3498611B2 - 方向性結合器、アンテナ装置および送受信装置 - Google Patents

方向性結合器、アンテナ装置および送受信装置

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JP3498611B2
JP3498611B2 JP37380898A JP37380898A JP3498611B2 JP 3498611 B2 JP3498611 B2 JP 3498611B2 JP 37380898 A JP37380898 A JP 37380898A JP 37380898 A JP37380898 A JP 37380898A JP 3498611 B2 JP3498611 B2 JP 3498611B2
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P5/00Coupling devices of the waveguide type
    • H01P5/12Coupling devices having more than two ports
    • H01P5/16Conjugate devices, i.e. devices having at least one port decoupled from one other port
    • H01P5/18Conjugate devices, i.e. devices having at least one port decoupled from one other port consisting of two coupled guides, e.g. directional couplers
    • H01P5/188Conjugate devices, i.e. devices having at least one port decoupled from one other port consisting of two coupled guides, e.g. directional couplers the guides being dielectric waveguides

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、誘電体線路を用
いた方向性結合器、その方向性結合器を用いたアンテナ
装置および送受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ミリ波帯等における伝送線路とし
て、2つの導体板の間に誘電体ストリップを配してなる
誘電体線路が用いられている。このような誘電体線路を
用いてミリ波回路を構成する場合、2つの誘電体線路に
電力分配を行う部分に方向性結合器が用いられている。
【0003】誘電体線路を用いた従来の方向性結合器
は、2つの導体板の間に所定距離隔てて2つの直線部と
曲線部とから成る誘電体ストリップを近接配置し、その
近接配置した部分で誘電体線路間を結合させるようにし
ている。
【0004】上記誘電体線路を用いたミリ波回路の例と
してミリ波レーダを挙げることができる。ミリ波レーダ
に用いられるアンテナ装置は誘電体レンズとその誘電体
レンズの焦点位置に1次放射器を配置することによって
構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のミリ
波レーダにおいては、アンテナの指向方向が固定である
ため、次に述べるように、条件によっては目的通りの探
知や計測が行われない場合が生じる。たとえば図22に
示すように複数車線の道路を車両が走行している場合
に、前方に存在する他の車両から反射する電波を受信す
るだけでは、その車両が自車が現在走行している車線上
に存在するのか否かが直ちには判定できない。すなわち
図22において自車CmからB2で示す放射ビームで電
波を送波した場合に、前方を走行する車両Caからの反
射波とともに対向車線を走行する車両Cbからの反射波
も受波することになる。また図23に示す例では、自車
CmがB1で示す放射ビームで前方に電波を送波して
も、車線に沿って前方を走行している車両Caを探知す
ることはできない。さらに図24に示すように、起伏の
ある道路を走行中に、自車Cmが前方にB1で示す放射
ビームで電波の送波を行っても前方の車両Caを探知す
ることはできない。
【0006】そこで、1次放射器と誘電体レンズとを組
み合わせたアンテナ装置において、1次放射器の位置を
変位させることによって、ビームの指向方向をチルトさ
せる構成が考えられる。1次放射器の位置を変位させる
ためには、1次放射器につながる誘電体線路と回路につ
ながるもう一つの誘電体線路とを低損失で結合させたま
ま、その2つの誘電体線路を相対的に変位可能な構造と
すればよい。そのために、誘電体線路による上記方向性
結合器の構造を採り、且つ2つの誘電体線路を相対的に
変位可能な構造とすればよい。
【0007】ところが、方向性結合器を構成する2つの
誘電体線路の分離位置(分離面)は近接配置した2つの
誘電体ストリップにそれぞれ平行な面となる。この構造
によれば、誘電体ストリップを挟む導体板の端面が2つ
の誘電体線路の電磁波伝搬方向に平行な方向に形成され
るため、その導体板の端面部分で、導体板を流れる電流
の電流経路が絶たれ、反射が生じることになる。その結
果、伝送モード以外の不要なモードが生じるなどして損
失が増大し、また所定の方向性結合器としての特性が得
られないという問題が生じる。
【0008】上述の例では、方向性結合器部分で2つの
誘電体線路を相対変位させる場合について説明したが、
たとえば誘電体線路を用いた回路モジュールを組み合わ
せて1つの装置を構成するような場合に、回路モジュー
ル間で誘電体線路同士を結合させるために、方向性結合
器を構成することができる。このような場合にも、回路
モジュール間で、導体板を流れる電流の電流経路が絶た
れ、反射が生じる。その結果、損失が増大し、回路モジ
ュール間で所定の信号の伝送特性が得られないという問
題が生じる。
【0009】この発明の目的は、上記反射や損失の問題
を解消した、2つの誘電体線路が分離された構造の方向
性結合器を提供することにある。
【0010】ところで、方向性結合器を構成する2つの
誘電体線路の誘電体ストリップは、所定領域のみを近接
させるために、その方向性結合器につながる誘電体線路
部分にはベンドを設ける必要がある。しかし、たとえば
LSMモードからLSEモードへのモード変換による損
失を抑えるためには、ベンドの曲率半径を大きくせざる
を得なかった。その結果、装置全体が大型化し、またア
ンテナ装置を構成した際、可動部が軽量化できずに、ビ
ームの高速偏向が困難となる。一方、誘電体ストリップ
を挟む2つの導体板の対向面の間隔を狭くした、LSM
01モードの単一モードを伝送する誘電体線路を用いれ
ば、ベンドの曲率半径を自由に設定できるが、結合部で
の十分な結合を得るために結合部の長さを長くしなけれ
ばならず、やはり装置全体が大型化し、可動部の軽量化
が困難となる。結合部の誘電体ストリップ同士の間隔を
非常に狭くすれば、結合を強くすることも可能である
が、方向性結合器としての特性が、分離されている2つ
の誘電体線路間の相対位置精度に大きく依存することに
なる。
【0011】この発明の他の目的は方向性結合器および
方向性結合器を用いた装置全体を容易に小型化できるよ
うにし、また可動部の質量をより小さくできるようにし
て、ビームの指向方向を高速に偏向できるようにするこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明では、それぞれ
2つの導体板の間に誘電体ストリップを配して第1・第
2の誘電体線路を構成し、その各々の導体板の端面同士
を接触状態または非接触状態に配置し、第1・第2の誘
電体線路の誘電体ストリップを導体板の端面付近にほぼ
平行に配置することによって構造的に分離された第1と
第2の誘電体線路からなる方向性結合器を構成する。そ
して、第1または第2の誘電体線路の導体板の端面に、
誘電体ストリップを挟む対向面である電極面から伝送波
の半波長の略整数倍だけ離れた位置を短絡面とする溝を
形成する。
【0013】この構造により、第1・第2の誘電体線路
の導体板の端面同士の突き合わせ部分における電極面が
等価的に連続したものとして作用する。したがって、2
つの誘電体線路間が導体板部分で分離されているにも拘
らず、その間隙部分で損失が殆ど生じない。また、間隙
部分における反射が殆どないため、反射に伴うスプリア
スモードが発生しない。
【0014】 また、この発明では、前記誘電体線路を
伝搬する伝送波の伝送方向に、前記誘電体線路を伝搬す
る伝送波の位相定数と等しい波数ベクトル成分を持つよ
うに向きを定められた伝送波の半波長の略整数倍だけ前
記電極面より離れた位置を短絡面とする。
【0015】 第1・第2の誘電体線路の導体板の端面
同士の突き合わせ部分を伝搬する伝送波は、その大きさ
と、前記誘電体線路の長手方向に伝搬する伝送波の大き
さとにより決定される方向をもつ。すなわち、上記伝送
の大きさ(波数k)は決まっていて、その伝送波を誘
電体線路の伝送波伝搬方向に投影したときに、その波が
誘電体線路を伝搬する伝送波の位相定数に一致するよう
な方向(θ)に伝送波が進行する。したがって、その方
向に電極面から上記伝送波の半波長の略整数倍だけ離れ
た位置が短絡面となるように溝を設ければ、上記反射問
題の回避が最適化される。
【0016】 また、この発明では、略平行に配置した
誘電体ストリップ部分と前記電極面とによりノーマルN
RDガイドを構成し、前記略平行に配置した誘電体スト
リップ部分以外の前記電極面間の間隔を、前記略平行に
配置した誘電体ストリップ部分の高さより狭くして、前
記略平行に配置した誘電体ストリップ部分以外の誘電体
ストリップ部分と前記電極面とにより、LSM01モー
ドの単一モードを伝送するハイパーNRDガイドを構成
する。そして、ノーマルNRDガイドハイパーNRD
ガイドとの間にノーマルNRDガイドとハイパーNRD
ガイドとの線路変換部を設ける。これによりノーマルN
RDガイド部分では、平行配置した誘電体ストリップ部
分の長さを長くしなくても、また誘電体ストリップ間の
間隔を極端に狭めなくても容易に結合をとることがで
き、かつハイパーNRDガイド部分では曲率半径の小さ
なベンドを形成してもLSEモードへのモード変換が行
われないので、伝送損失が増大することなく、全体に容
易に小型化できる。
【0017】 また、この発明では上記方向性結合器の
第1の誘電体線路に1次放射器を結合させ、この1次放
射器を略焦点位置とする誘電体レンズを固定位置に設け
る。この構造により、第1の誘電体線路を第2の誘電体
線路に対して相対変位させれば、誘電体レンズの焦点面
内を1次放射器が変位することになり、ビームの指向方
向がチルトする。しかも、方向性結合器部分での損失が
小さく、また第1の誘電体線路側にノーマルNRDガイ
ドとハイパーNRDガイドを設けることによって可動部
を小型で低質量なものとすることができる。また第2の
誘電体線路にノーマルNRDガイドとハイパーNRDガ
イドを設けることによって、全体に小型化されたアンテ
ナ装置が得られる。
【0018】 上記方向性結合器部分における第1の誘
電体線路と第2の誘電体線路とによる結合線路が、当該
結合線路の偶モードの位相定数をβe、奇モードの位相
定数をβoとし、Δβ=|βe−βo| と置いたと
き、 (Δβz/2)=nπ+π/2〔 n:0,1,2 ... 〕を満た
ように方向性結合器を構成すれば、送信信号および受
信信号を可動部と固定部間で最も効率的に電力伝送で
き、アンテナとしての効率が高まる。
【0019】また、この発明では上記第2の誘電体線路
へ送信部から送信信号を伝送し、かつ第2の誘電体線路
からの受信信号を受信部へ伝送するサーキュレータを第
2の誘電体線路に接続する。この構造により単一の1次
放射器および単一の方向性結合器を用いてビームの方向
をチルトさせることのできる送受共用のアンテナ装置が
得られる。
【0020】また、この発明では上記サーキュレータの
入力ポートに送信回路、出力ポートに受信回路をそれぞ
れ接続して送受信装置を構成する。
【0021】
【発明の実施の形態】この発明の第1の実施形態に係る
方向性結合器およびアンテナ装置の構成を図1〜図11
を参照して説明する。
【0022】図1は方向性結合器部分の構成と1次放射
器および誘電体レンズとの関係を示す図である。図1の
(A)は上部の導体板を取り除いた状態での上面図、
(B)は1次放射器部分を通る断面図である。図1の
(A)において32は固定部、31は可動部であり、可
動部31は固定部32に対して相対的に矢印方向に変位
する。可動部31において14は下部の導体板、11は
誘電体ストリップであり、下部の導体板14と上部の導
体板との間に、この誘電体ストリップ11を設けて第1
の非放射性誘電体線路(以下「NRDガイド」とい
う。)を構成している。固定部32において16は下部
の導体板、12は誘電体ストリップであり、下部の導体
板16と上部の導体板との間に、この誘電体ストリップ
12を設けて第2のNRDガイドを構成している。
【0023】この第1と第2のNRDガイドの各々の導
体板の端面同士は所定の間隙を隔てて非接触状態に配置
している。第1と第2のNRDガイドの誘電体ストリッ
プ11,12は導体板14,16の端面付近に平行に配
置して、互いに近接させている。この構造により、第1
と第2のNRDガイドから成る方向性結合器を構成して
いる。
【0024】図1において11′,12′部分で示す誘
電体線ストリップおよびそれを挟む上下の導体板とによ
ってLSM01モードの単一モードを伝送するNRDガ
イド(以下、「ハイパーNRDガイド」という。)をそ
れぞれ構成している。
【0025】可動部31側の誘電体ストリップ11′の
端部には円柱形状の誘電体共振器からなる1次放射器1
3を設けている。図1の(B)に示すように、上部の導
体板15には、1次放射器13部分に同軸関係にあるホ
ーン状のテーパー部分を有する開口部を形成している。
そして、1次放射器13と開口部との間に、導電体板に
スリットを形成したスリット板を図に示すように挟み込
んでいる。これにより誘電体ストリップ11′の長手方
向に直角で導体板14,15に平行な方向に電界成分を
持ち、導体板14,15に垂直な方向に磁界成分を持つ
LSMモードで、誘電体ストリップ11′内を電磁波が
伝搬する。そして、誘電体ストリップ11′と1次放射
器13とが電磁界結合し、1次放射器13内に誘電体ス
トリップ11′の電界と同一方向の電界成分を持つHE
111モードが発生する。そして、直線偏波の電磁波が
上記開口部を介して導体板14に垂直な方向に放射され
る。誘電体レンズ18はこれを収束させて所定のビーム
を形成する。逆に、誘電体レンズを介して開口部から電
磁波が入射されると、1次放射器13はHE111モー
ドで励振し、これと結合する誘電体ストリップ11′に
LSMモードで電磁波が伝搬することになる。
【0026】固定部側32の誘電体ストリップ12′の
一方の端部には終端器20を設けている。以上に構成に
より、他方の誘電体ストリップ12′によるハイパーN
RDガイドに送信信号が入力され、受信信号が出力され
ることになる。
【0027】図2は上記1次放射器の変位によるビーム
の指向方向の変化を示す図である。このように1次放射
器13を誘電体レンズ18の略焦点面に配置し、その焦
点面内を変位させることにより(図1に示した可動部3
1を固定部32に対して相対的に変位させることによ
り)、送受波ビームBは図2に示すように左右方向に偏
向することになる。
【0028】図3は図1におけるA−A部分の断面図で
ある。可動部側の第1のNRDガイドは上下の導体板1
4,15とその間の誘電体ストリップ11とから構成
し、固定部32側の第2のNRDガイドは上下の導体板
16,17およびその間の誘電体ストリップ12とから
構成している。そして、この第1と第2のNRDガイド
の導体板の端面同士を所定の間隙を隔てて対向配置させ
るとともに、導体板16,17の端面に、この導体板1
6,17に平行方向に延びる所定の溝を形成している。
【0029】図4は上記溝の構造を示す2つの例であ
る。(A)の例では、電極面(上下の導体板の対向面)
からh0離れた位置に深さd0、幅g0の溝を形成して
いる。ここでg0は、導体板15と17との間隙gに等
しい。またh0=d0であり、これらの長さを、間隙を
伝搬する電磁波の1/4波長の奇数倍の長さとしてい
る。溝の端部P3は短絡端であるので、そこからd0離
れたP2点は等価的に開放点、そこからさらにh0離れ
たP1点は等価的に短絡点(短絡面)となる。したがっ
て導体板15と17の電極面は等価的に連続したものと
なる。
【0030】図4の(B)に示す例では、溝の幅g1を
導体板15,17の間隙gより広くしている。このよう
な構造においても、短絡面であるP3から見てP1の位
置が等価的に短絡面となるように、溝の形成位置、深さ
および幅を定めればよい。通常は、溝の幅g1が広くな
るに伴い、電極面から溝までの距離h1を短くすること
によって、2つの導体板間の間隙位置P2部分を等価的
に開放点とすることができる。このように2つの導体板
の間隙部分を開放端とすることによって、導体板に電流
が流れることがなく、電流による導体損失を抑えること
ができる。
【0031】このように可動部と固定部の2つのNRD
ガイド間が導体板部分で分離されているにも拘らず、両
者の電極面が等価的に連続したものとして作用するた
め、間隙があることによる損失が殆ど生じない。また、
間隙部分における反射が殆どないため、反射に伴うスプ
リアスモードが発生しない。
【0032】図5は2つのNRDガイドの結合部分の他
の構成を示す断面図である。図3に示した例では上下の
それぞれの導体板の端面に溝を形成したが、この溝は固
定部側に限らず図5の(A)のように可動部側に形成し
てもよい。また(B)のように固定部と可動部の上下の
導体板のうち、反対部分にそれぞれ溝を形成してもよ
い。また(C)のように溝同士を向かい合わせに形成し
てもよい。また、可動部と固定部側とで導体板の厚み寸
法は必ずしも一致している必要はなく、異なる場合に
は、(D)のように互いの導体板の端面の対向部分の厚
み寸法を揃えるようにしてもよい。なお、このように可
動部側の導体板14,15の全体の厚みを薄くすること
によって、可動部全体を小型軽量化することができ、低
トルクのモータでも高速に変位させることが容易とな
る。さらには図5の(E)のように、上下の導体板のう
ち一方にのみ溝を形成しても所定の効果を奏する。
【0033】図4に示した例において、60GHz帯で
あればg=g0=0.2mm、h0=d0=1.2mm
とする。また図4の(B)の場合g=0.2mm、g1
=1.0mm、h1=0.96mm、d1=1.5mm
とする。なお、この例では溝の端部P3から電極面P1
までの距離を伝送波の半波長としたが、この距離は、波
長をλとして、nλ/2 (nは1以上の整数)とすれ
ばよい。また電極面P1または溝の端部P3から中間点
P2までの距離を(2m−1)λ/4 (mは1以上の
整数)とすればよい。ただしP1点からP3点までの距
離が長くなる程、P1点が等価的に短絡面としてみなせ
る周波数帯域の幅が狭くなるので、広帯域にわたって上
記の効果を得るためには、P1点またはP3点から中間
点P2までの距離を略λ/4とするのがよい。
【0034】図6は上記方向性結合器とその電力分配比
との関係を示す図である。今、誘電体ストリップ11,
12による結合線路の偶モードの位相定数をβe、奇モ
ードの位相定数をβoとし、Δβ=|βe−βo| と
置くと、ポート#1から入力される電磁波に対するポー
ト#2へ出力される電磁波の電力比は P2/P1=1
−sin2 (Δβz/2)で表され、ポート#1から入
力される電磁波に対するポート#4へ出力される電磁波
の電力比は P4/P1=sin2 (Δβz/2)で表
される。したがって、(Δβz/2)=nπ+π/2
〔n:0,1,2 ... 〕の関係とすれば、ポート#1からの入
力は全てポート#4へ出力されることになり、0dB方
向性結合器が構成される。
【0035】図7は図1に示した方向性結合器における
ハイパーNRDガイドとノーマルNRDガイド部分の断
面構造を示す図である。(A)は図1のA−A部分にお
けるNRDガイド12部分の断面図、(B)は図1にお
けるB−B部分の断面図である。ノーマルNRDガイド
は、(A)に示すように導体板16,17の電極面間の
間隔Dhを誘電体ストリップ12の高さと等しくしてい
る。ハイパーNRDガイドは(B)のように導体板1
6,17に深さGhの溝を形成して、導体板16,17
の電極面間の間隔Ehを誘電体ストリップ12′の高さ
寸法Dhより狭くしている。このように溝を形成すると
ともに、誘電体ストリップによる伝搬域と誘電体ストリ
ップのない非伝搬域の導電体板の間隔および誘電体スト
リップの誘電率を定めて、LSM01モードの遮断周波
数がLSE01モードの遮断周波数より低くなるよう
に、またLSE01モードの遮断周波数が使用する周波
数より高くなるように設定する。この構造により、誘電
体ストリップのベンド部の曲率半径等に関わらず、常に
LSM01モードの単一モードで伝送を行うことが可能
となる。これにより全体に小型化し、かつ低損失化を図
ることができる。
【0036】同一周波数帯の信号を伝搬させる場合、ハ
イパーNRDガイドの誘電体ストリップ12′の幅DH
wはノーマルNRDガイドの誘電体ストリップ12の幅
DNwより小さくなる。たとえば60GHz帯の場合、
誘電体ストリップの比誘電体率εrを2.04とすれ
ば、Dh=2.2mm、DNw=3.0mm、Gh=
0.5mm、Eh=1.2mm、DHw=1.8mmで
ある。
【0037】図8はノーマルNRDガイドとハイパーN
RDガイドとの線路変換器部分の構造を示す斜視図、図
9はその上面図および断面図である。但し図8および図
9では上部の導体板を取り除いた状態として示してい
る。これらの図に示すように、ハイパーNRDガイドと
ノーマルNRDガイドとの変換部では、両者の誘電体ス
トリップの幅方向の寸法の違いを徐々に解消するために
テーパー状としている。また上下の導体板16,17の
電極面間の間隔は変換部において段階的に変化させてい
る。すなわちハイパーNRDガイドと変換部との境界位
置からw1まではハイパーNRDガイドの電極面間の間
隔を保ち、一方、ノーマルNRDガイドと変換部との境
界位置からw2まではノーマルNRDガイドの電極面間
の間隔を保ち、w1とw2の中間部分ではハイパーNR
DガイドとノーマルNRDガイドの電極面間の間隔の中
間値としている。たとえばw1=w2=0.75mm、
wo=3.0mm、gh1=0.13mm、gh2=
0.37mmとする。ここでw3は伝送波の略1/4波
長に相当する。これにより電極面間の間隔の段差部分で
生じる反射波1と反射波2とが逆相で合成されて、反射
波が打ち消される。これにより反射を生じさせることな
くハイパーNRDガイドとノーマルNRDガイドとの線
路変換を行う。
【0038】なお、上述の例では固定部側のハイパーN
RDガイドとノーマルNRDガイドの構成および両者の
線路変換部の構成を示したが、可動部についても同様で
ある。
【0039】図10は上記方向性結合器を0dB方向性
結合器とした場合の各部の寸法例を示す図、図11はそ
の場合の特性を示す図である。図10において各部の寸
法はmm単位で示している。同図の(A)は上部の導体
板を取り除いた状態での上面図、(B)は(A)におけ
るA−A部分の断面図、(C)はノーマルNRDガイド
とハイパーNRDガイドとの線路変換部の上面図および
その付近の断面図である。また、(D)は可動部の原点
位置を示す図である。
【0040】図11は可動部を−8mm,0mm,+8
mmの3つの位置に変位させたときの方向性結合器の透
過特性を示す図であり、(A)は各周波数における透過
特性、(B)は1次放射器への透過特性の拡大図、
(C)は59.5GHzにおける可動部の位置に対する
透過特性の変化を示している。このように比較的広い周
波数範囲にわたって可動部を移動させても電力分配を略
0dBで行うことができる。なお完全に0dBとならな
いのは、電力分配のずれ以外に線路損失および伝送損失
が存在するためである。
【0041】次に、他の方向性結合器の構造例を図12
〜図14を参照して説明する。図12の(A)は上部の
導体板を取り除いた状態での上面図、(B)は(A)に
おけるA−A部分の断面図である。(C)はその比較例
としての断面図である。図1に示した場合と異なり、こ
の例では、可動部側のNRDガイドの誘電体ストリップ
11の一方11′部分をハイパーNRDガイドとし、他
方の端部11″部分もハイパーNRDガイドとしてい
る。この構造により、誘電体ストリップ11の両端の横
幅が狭まることになるので、誘電体ストリップ11の軸
方向への位置決めが確実となる。しかもこの方向性結合
器が0dB方向性結合器である場合、1次放射器13の
反対側の誘電体ストリップ11″によるハイパーNRD
ガイドには、ポート#1からの送信信号が殆ど現れない
ので、抵抗終端させる必要がなく、そのまま開放端また
は短絡端としておけばよい。
【0042】しかし、このように、固定部側のノーマル
NRDガイドの誘電体ストリップ12に近接させてハイ
パーNRDガイドを構成すると、図12の(C)に示す
ように○印で示すような壁(電気壁)が誘電体ストリッ
プ12に近接することになるので、LSM01モードか
らLSEモードへの結合を引き起こしてしまう。そこ
で、図12の(B)のように、固定部側の導体板16,
17の端面に対向する部分の導体板14,15の電極面
の間隔を導体板16,17の電極面の間隔に等しくす
る。なお、1次放射器13に結合する誘電体ストリップ
11′によるハイパーNRDガイド部分についても固定
部側のノーマルNRDガイドに近接して電気壁が生じる
ことになるが、0dB方向性結合器の場合、この部分を
伝搬する電磁波は殆どないので、上記LSEモードへの
結合の問題は生じない。
【0043】なお、ノーマルNRDガイドに平行なハイ
パーNRDガイドを図12の(C)に示したように、通
常の左右対称構造とする場合には、図13に示すよう
に、ハイパーNRDガイドに比較的近接するノーマルN
RDガイドの誘電体ストリップ12の内部にLSEモー
ドサプレッサを設ければよい。図13の(B)は誘電体
ストリップ12の中央部の縦方向の部分断面図、(C)
は(A)のA−A部分の断面図である。LSEモードサ
プレッサは基本的に電極面に垂直で且つ伝送波伝搬方向
に沿った方向に配置した導体部材であり、LSEモード
をこの部分で阻止する。また、その導体部材の高さ方向
の寸法を同図に示すように交互に変えてフィルタ回路を
構成することによってTEMモードとの結合が生じない
ようにしている。図中の各部の寸法の単位はmmであ
り、60GHz帯における例である。
【0044】図13に示す例では、可動部側の誘電体ス
トリップ11″部分のハイパーNRDガイドに終端器2
0を設けている。このようにハイパーNRDガイドに変
換して終端器20を設ければ、方向性結合器の結合バラ
ンスが多少ずれていて、ポート#3からの反射が生じる
場合であっても、その影響を低減することができる。
【0045】また、同図に示すように、ハイパーNRD
ガイドにして終端器を設けることにより、この終端器部
分が固定部側のノーマルNRDガイドの誘電体ストリッ
プ12から遠ざかり、両者間の結合が殆ど生じない。そ
のため終端器部分を固定部側のNRDガイドから遠ざけ
るためのベンドを設けることなく終端器を配置すること
ができる。
【0046】なお、図12,図13における誘電体スト
リップ11″によるNRDガイドのポートは他の目的で
利用してもよい。たとえばポート#2およびポート#3
に出力端子を設けて、ポート#2からはたとえば送信信
号のパワーおよび周波数等をモニターし、ポート#3か
らはアンテナ端での反射をモニターするようにしてもよ
い。
【0047】図14は方向性結合器の更に他の構成例を
示す図である。以上に示した幾つかの例では、可動部側
の1次放射器13と結合するハイパーNRDガイドにベ
ンドを設けたが、図14の(A)に示すようにベンドを
設けずに1次放射器13を配置してもよい。この場合、
1次放射器13による電磁波の偏波面は可動部31の移
動方向に沿った向きとなる。先に示した例のように、ベ
ンドを設けて1次放射器13を45°方向で結合させれ
ば電磁波の偏波面は45°に傾くことになる。したがっ
て目的に応じてベンド部分を構成すればよい。
【0048】また、図14の(B)に示すように、可動
部31側のNRDガイドの全体をノーマルNRDガイド
としてもよい。この場合、可動部31のサイズは通常大
型化するが、ベンドの曲率半径はモード変換に伴う伝送
損失が最も小さくなるように設計すればよい。
【0049】図15は方向性結合器の可動部側の他の構
成例を示す断面図である。この例では、合成樹脂板の外
面に金属膜をメッキして上下の導体板14,15を形成
している。可動部側に溝を形成する場合には、樹脂基材
の状態で予め形成しておき、溝の内面を含めて樹脂基材
の外面の全体に金属メッキを施せばよい。なお、NRD
ガイドとして作用する電極膜は誘電体ストリップ11を
挟む面であるので、外面には必ずしも電極膜を形成しな
くてもよい。
【0050】図16は可動部の他の構成例を示す図であ
り、上部の導体板を取り除いた状態での上面図である。
この例では、可動部31に設ける誘電体ストリップ1
1,11′および1次放射器13の配置位置以外の領域
における導体板の存在範囲(面積)を極力縮小化したも
のである。そのために、A,Bに示すような切欠部分を
形成し、またCに示すように孔を設ける。ただしNRD
ガイドおよび1次放射器としての特性に影響を与えない
範囲に留めるべきである。たとえばハイパーNRDガイ
ド部分については、誘電体ストリップ11′から幅方向
に2mm以上離れた位置に切欠部や孔を形成し、また1
次放射器13については半径8mm以上離れた箇所に切
欠部や孔を形成する。図中の破線はその確保範囲を示し
ている。
【0051】さて、次にアンテナ装置および送受信装置
の構成例を図17〜図21を参照して説明する。
【0052】図17は上部の導体板部分を取り除いた状
態での上面図である。可動部31と固定部32部分にお
ける方向性結合器の構造は図1に示したものと同様であ
る。ここでは、方向性結合器の信号入出力部となるポー
ト#1にサーキュレータ19を接続し、サーキュレータ
19の入力ポートに誘電体ストリップ21によるハイパ
ーNRDガイドを接続し、サーキュレータ19の出力ポ
ートに、誘電体ストリップ23によるハイパーNRDガ
イドを接続している。誘電体ストリップ21によるハイ
パーNRDガイドにはオシレータを接続し、誘電体スト
リップ23によるハイパーNRDガイドにはミキサを接
続している。誘電体ストリップ21と23の間にはそれ
ぞれの誘電体ストリップによるハイパーNRDガイドと
結合して方向性結合器を構成する誘電体ストリップ22
を配置している。この誘電体ストリップ22の両端部に
は終端器20を設けている。ここで、ミキサおよびオシ
レータ部分は、バラクタダイオードやガンダイオードを
設けて、これらに対するバイアス電圧印加用の回路を設
けるために、基板を介在させたハイパーNRDガイドで
構成している。
【0053】このように構成することによって、オシレ
ータの発振信号は誘電体ストリップ21→サーキュレー
タ19→誘電体ストリップ12→誘電体ストリップ11
→1次放射器13の経路で伝搬されて、1次放射器13
の軸方向に電磁波が放射される。逆に、1次放射器13
に入射した電磁波は誘電体ストリップ11→誘電体スト
リップ12→サーキュレータ19→誘電体ストリップ2
3の経路でミキサに入力される。また誘電体ストリップ
21,22,23により構成される2つの方向性結合器
を介して発振信号の一部がローカル信号として、受信信
号とともにミキサに与えられる。これによりミキサは送
信信号と受信信号の差の周波数成分を中間周波信号とし
て生成する。
【0054】図18は送受信装置全体の構成を示す分解
斜視図である。同図において42は後述する可動部駆動
ユニットであり、可動部31を変位させる。43はホー
ンであり、可動部31の1次放射器が変位する方向に長
孔の開口を有している。「0dBカプラ」は可動部31
とともに方向性結合器を構成する。「RF」は上記ミキ
サを含む回路部分、「VCO」は上記オシレータを含む
回路部分である。また「制御回路」は可動部駆動ユニッ
ト42の制御および中間周波信号を基に探知物体までの
距離、角度および相対速度の情報を抽出して、外部装置
へそれらのデータを出力する。これらを組み立てる場
合、各ユニットをケース41の内部に配置し、ホーン4
3を装着し、Oリング44を挟んで誘電体レンズ18を
被せ、誘電体レンズ18側に4つのナットを配置し、ケ
ース41の下面から4つのネジでネジ止めする。
【0055】図19は上記可動部駆動ユニットの構成を
示す斜視図である。同図において54は送りネジであ
り、その一端を軸受けを介して回転自在にフレームに取
り付けている。送りネジ54の他端はフレームにネジ止
め固定したパルスモータ55の軸に接続している。フレ
ームには送りネジ54に平行に送りガイド51を設けて
いて、送りネジ54に螺合するナット部が送りガイド5
1に摺動可能な状態に設けている。1次放射器を有する
可動部31は上記ナット部にネジ止め固定している。ま
た上記ナット部には遮光板52を取り付けている。フレ
ームにはフォトインタラプタ53を形成していて、その
光軸を上記遮光板53が過るように配置している。
【0056】この送りネジ方式では、パルスモータ55
に与えるパルス数によって可動部31を所定位置へ変位
させるので、基本的にオープンループ制御となる。すな
わち、パルスモータのパルス制御を行うCPUが所定数
のパルスをパルスモータへ与えることによって、可動部
の位置制御を行い、同時に、現在の可動部の位置を表す
パルス数をメモリやレジスタでカウントすることによっ
て、可動部の位置を間接的に検知する。但し、パルスモ
ータが脱調した場合や電源投入直後には可動部31の位
置が不明であるので、上記遮光板52とフォトインタラ
プタ53を用いる。
【0057】上述の例では、回転運動するモータを用い
て可動部を変位させるようにしたが、直線運動するモー
タを用いて可動部を変位させるようにしてもよい。図2
0はその場合の可動部駆動ユニットの構造を示してい
る。(A)は斜視図、(B)は可動部の変位方向に垂直
な面での断面図である。この図において46,47は外
部ヨーク、45は内部ヨークであり、外部ヨーク46,
47の内面にマグネット48,49を取り付けて磁気回
路を構成している。外部ヨーク47には内部ヨーク45
に平行な2本のガイドピン51,51を固定している。
50は可動コイルであり、ガイドピン51,51に沿っ
て摺動する可動ブッシュ部と一体化している。同時に、
内部ヨーク45は可動コイル50と一定の間隔を保って
可動コイル50を貫通している。一方、1次放射器を設
けた可動部31は上記可動ブッシュ部にネジ止め固定し
ている。可動ブッシュ部には遮光板52を取り付けてい
て、菱形状の窓を設けている。外部ヨーク47には2組
のフォトインタラプタ53a,53bを取り付けてい
て、その光軸が菱形状の窓を通過するように配置してい
る。
【0058】上記ボイスコイルモータ方式の場合、2組
のフォトインタラプタ53a,53bの受光量の差に応
じて可動部31の位置を検出し、所定位置に可動部31
が位置するようにモータを駆動する。
【0059】図21は、以上に示したアンテナ装置およ
び送受信装置を用いて構成したミリ波レーダ全体の構成
を示すブロック図である。同図において信号処理装置内
の信号処理部は送受信装置を用いて、たとえば前方を走
行する車両までの距離と相対速度を数値情報として抽出
し、制御・警報部では、自車の走行速度と車間距離との
関係から、たとえば予め定めた条件を満たす時に警報を
発したり、前方車両との相対速度が予め定めたしきい値
を超えた時に警報を発する。
【0060】
【実施例】第1・第2の誘電体線路の導体板の端面同士
の突き合わせ部分における透過および反射の特性を最適
化する例を次に示す。
【0061】 図25は上部の2つの導体板の突き合わ
せ部分の構造を示す部分斜視図である。図においては、
電極面に対して垂直方向(x方向)に伝搬する伝送波の
みを、空間を伝搬する伝送波と考えるのではなく、誘電
体線路の長手方向(z方向)に伝搬するNRDガイドの
主モードであるLSMモードも考慮している。すなわ
ち、誘電体線路の長手方向に伝搬するLSMモードの位
相定数βと空間中を伝搬する伝送波の波数kで決定され
るθ(=cos-1(β/k))の向きに伝送波が伝搬す
るものとし、この伝搬ベクトルをもつ伝送波の進行方向
に沿って半波長の略整数倍だけ電極面から離れた位置を
短絡面とする溝を形成する。
【0062】 図25において、p1点から伝搬する
送波はp2点で溝のy方向に伝搬し、p3点で反射し、
p4点まで伝搬する。その後更にp5点まで伝搬する。
ここで、図25において点p1,p5は図4に示した点
P1に、点p2,p4は図4に示した点P2に、点p3
は図4に示した点P3にそれぞれ対応している。
【0063】 上記伝送波の波数kは、k=ω√(ε
μ)で与えられる。ここで、ω:対象周波数、ε:溝部
の誘電率、μ:溝部の透磁率である。特に、空気の場
合、k=ω√(εo μo )となる。導体板の突き合わせ
部分における誘電体ストリップの寸法および位置を図2
6に示すようにした場合、76GHz帯での、図25に
おける各部の寸法は、g=0.2mm、g2=1.0m
m、h2=1.07mm、d2=1.6mm、とする。
【0064】次に、このときの方向性結合器の特性測定
結果を図28に示す。ここで、方向性結合器のポートの
定義は図27に示すとおりである。なお、誘電体材料に
は比誘電率2.04のフッ素樹脂を用いた。このよう
に、76GHzを中心とする幅広い周波数帯に亘って、
低損失で安定した透過特性が得られる。因みに、図29
の(A)は溝を設けない場合の透過特性を示している。
このように、溝を全く設けないと、透過特性が非常に悪
い。また、(B)は、電極面に対して垂直方向(x方
向)に伝搬する伝送波のみを考慮して、溝の寸法を、g
=0.2mm、g2=1.0mm、h2=0.7mm、
d2=1.22mm、と定めた場合の透過特性を示して
いる。このように、溝の寸法が適当でなければ、或る周
波数(図の例では略73GHz,75GHz,77GH
z,79GHz,81GHz)でLSMモードからLS
Eモードへのモード変換が生じて、急峻な損失が生じ
る。
【0065】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、第1・第
2の誘電体線路の導体板の端面同士の突き合わせ部分が
分離されているにも拘らず両導体板の電極面が等価的に
連続したものとして作用するため、間隙部分での損失が
殆ど生じない。また、間隙部分における反射が殆どない
ため、反射に伴うスプリアスモードが発生しない。
【0066】 請求項2に係る発明によれば、第1・第
2の誘電体線路の導体板の端面同士の突き合わせ部分を
伝搬する伝送波の伝搬方向に応じて短絡面の位置が最適
化されるため、導体板の突き合わせ部分における反射を
最も効果的に抑制することができる。
【0067】 請求項3に係る発明によれば、ノーマル
NRDガイド部分では、誘電体ストリップ間の間隔を極
端に狭めなくても容易に結合をとることができ、かつ
イパーNRDガイド部分では曲率半径の小さなベンドを
形成してもLSMモードからLSEモードへのモード変
換が行われないので、伝送損失が増大することなく、全
体に容易に小型化できる。
【0068】 請求項4に係る発明によれば、第1の誘
電体線路を第2の誘電体線路に対して相対変位させるこ
とによってビームの指向方向がチルトする、方向性結合
器部分での損失が小さいアンテナ装置が得られる。しか
も、第1の誘電体線路側にノーマルNRDガイドとハイ
パーNRDガイドを設けることによって、可動部を小型
で低質量なものとすることができ、低トルクのモータを
用いてもビームを高速にチルトさせることが可能とな
る。また第2の誘電体線路にノーマルNRDガイドとハ
イパーNRDガイドを設けることによって、全体に小型
化されたアンテナ装置が得られる。
【0069】請求項5に係る発明によれば、送信信号お
よび受信信号を可動部と固定部間で最も効率的に電力伝
送でき、アンテナとしての効率が高まる。
【0070】請求項6に係る発明によれば、単一の1次
放射器および単一の方向性結合器を用いてビームの方向
をチルトさせることのできる送受共用の小型のアンテナ
装置が得られる。
【0071】請求項7に係る発明によれば、小型で低損
失な送受信装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る方向性結合器およびアン
テナ装置の構成を示す図
【図2】誘電体レンズと1次放射器の相対位置とビーム
の指向方向との関係を示す図
【図3】方向性結合器部分の断面図
【図4】方向性結合器の導体板の端面の構造を示す部分
断面図
【図5】方向性結合器の各種構成例を示す断面図
【図6】方向性結合器の構造とその特性との関係を示す
【図7】二種の誘電体線路の断面構造を示す図
【図8】線路変換器部分の構成を示す斜視図
【図9】同線路変換器部分の構成を示す上面図および断
面図
【図10】方向性結合器の各部の寸法例を示す図
【図11】同方向性結合器の特性図
【図12】第2の実施形態に係る方向性結合器の構成を
示す図
【図13】他の方向性結合器の構成例を示す図
【図14】可動部側の構成の異なる他の方向性結合器の
構成を示す図
【図15】可動部側の誘電体線路の構成を示す断面図
【図16】他の方向性結合器の構成例を示す上面図
【図17】送受信装置の構成を示す図
【図18】アンテナ装置および送受信装置の構成を示す
分解斜視図
【図19】送りネジ方式の構成例を示す斜視図
【図20】ボイスコイルモータの構成例を示す図
【図21】車載用ミリ波レーダの構成を示すブロック図
【図22】車載用レーダにおいて放射ビームを水平方向
にチルトさせた様子を示す図
【図23】車載用レーダにおいて放射ビームを水平方向
にチルトさせた様子を示す図
【図24】車載用レーダにおいて放射ビームを鉛直方向
にチルトさせた様子を示す図
【図25】上部の2つの導体板の突き合わせ部分の構造
を示す部分斜視図
【図26】導体板の突き合わせ部分の構造を示す断面図
【図27】方向性結合器のポートの定義を示す図
【図28】方向性結合器の透過特性の測定結果を示す図
【図29】比較例としての方向性結合器の透過特性の測
定結果を示す図
【符号の説明】
11,12−誘電体ストリップ 13−1次放射器 14,15,16,17−導体板 18−誘電体レンズ 19−サーキュレータ 20−終端器 21,22,23−誘電体ストリップ 31−可動部 32−固定部 41−ケース 42−可動部駆動ユニット 43−ホーン 44−Oリング 45−内部ヨーク 46,47−外部ヨーク 48,49−マグネット 50−可動コイル 51−送りガイド 52−遮光板 53a,53b−フォトインタラプタ 54−送りネジ 55−モータ
フロントページの続き (72)発明者 斉藤 篤 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (72)発明者 西山 大洋 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (72)発明者 近藤 靖浩 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (72)発明者 北森 宣匡 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (56)参考文献 特開 平11−195910(JP,A) 特開 平11−127001(JP,A) 特開 平10−22701(JP,A) 特開 平8−8621(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 5/18 H01P 5/08 H01Q 3/08 H01Q 19/06 H01Q 13/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ2つの導体板の間に誘電体スト
    リップを配して前記2つの導体板の対向面を電極面とす
    る第1・第2の誘電体線路を構成し、当該第1・第2の
    誘電体線路を、その各々の導体板の端面同士を接触状態
    または非接触状態に配置し、第1・第2の誘電体線路の
    誘電体ストリップを前記導体板の端面付近に略平行に配
    置するとともに、第1または第2の誘電体線路の前記導
    体板の端面に、前記電極面から伝送波の半波長の略整数
    倍だけ離れた位置を短絡面とする溝を形成したことを特
    徴とする方向性結合器。
  2. 【請求項2】 前記伝送波の半波長の略整数倍だけ離れ
    た位置は、前記誘電体線路を伝搬する伝送波の伝送方向
    に、前記誘電体線路を伝搬する伝送波の位相定数と等し
    い波数ベクトル成分を持つように向きを定められた伝送
    の半波長の略整数倍だけ前記電極面より離れた位置で
    ある請求項1に記載の方向性結合器。
  3. 【請求項3】 前記略平行に配置した誘電体ストリップ
    部分と前記電極面とによりノーマルNRDガイドを構成
    し、前記略平行に配置した誘電体ストリップ部分以外の
    前記電極面間の間隔を、前記略平行に配置した誘電体ス
    トリップ部分の高さより狭くして、前記略平行に配置し
    た誘電体ストリップ部分以外の誘電体ストリップ部分と
    前記電極面とにより、LSM01モードの単一モードを
    伝送するハイパーNRDガイドを構成し、ノーマルNR
    DガイドハイパーNRDガイドとの間にノーマルNR
    DガイドハイパーNRDガイドとの線路変換部を設け
    たことを特徴とする請求項1または2に記載の方向性結
    合器。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の方向性結
    合器と、当該方向性結合器の第1の誘電体線路に結合す
    る1次放射器と、該1次放射器を略焦点位置とし前記方
    向性結合器の第2の誘電体線路とともに固定された誘電
    体レンズとを設けて成るアンテナ装置。
  5. 【請求項5】 前記第1の誘電体線路と前記第2の誘電
    体線路とによる結合線路が、当該結合線路の偶モードの
    位相定数をβe、奇モードの位相定数をβoとし、Δβ
    =|βe−βo| と置いたとき、 (Δβz/2)=nπ+π/2〔 n:0,1,2 ... 〕を満た
    ことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
  6. 【請求項6】 送信部から前記第2の誘電体線路へ送信
    信号を伝送し、且つ前記第2の誘電体線路から受信信号
    を受信部へ伝送するサーキュレータの入出力ポートを前
    記第2の誘電体線路に接続したことを特徴とする請求項
    4または5に記載のアンテナ装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のアンテナ装置における
    サーキュレータの入力ポートに送信回路、出力ポートに
    受信回路をそれぞれ接続して成る送受信装置。
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