JP3497605B2 - 放電灯および放電灯点灯装置ならびに照明装置 - Google Patents

放電灯および放電灯点灯装置ならびに照明装置

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JP3497605B2
JP3497605B2 JP11822395A JP11822395A JP3497605B2 JP 3497605 B2 JP3497605 B2 JP 3497605B2 JP 11822395 A JP11822395 A JP 11822395A JP 11822395 A JP11822395 A JP 11822395A JP 3497605 B2 JP3497605 B2 JP 3497605B2
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  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水銀ランプ、メタルハ
ライドランプまたは高圧ナトリウムランプなどの放電灯
および放電灯点灯装置ならびにこれを用いた照明装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に高圧金属蒸気放電灯の発光管は、
透光性に優れ、耐熱性、耐薬品性および加工性などの観
点からその材質が選択されており、高圧水銀ランプやメ
タルハライドランプの場合は石英からなる発光管が使用
されており、また高圧ナトリウムランプの場合は透光性
セラミックス、例えばアルミナ(Al2 O3 )セラミッ
クスからなる発光管が使用されている。
【0003】しかしながら、このような放電灯は、上記
のような発光管材料を選択しても、依然として長期の使
用により光束が低下するという問題がある。
【0004】光束が低下する原因は種々あるが、その1
つに、発光管に封入した放電媒体と発光管材料とが反応
することが挙げられる。
【0005】例えばメタルハライドランプの場合、石英
からなる発光管に封入してある金属ハロゲン化物あるい
はこの金属ハロゲン化物から解離した発光金属が石英と
反応することにより、石英の失透を招き、このため光の
透過性が低下する。また発光金属が減少することからも
光束の低下をもたらす。この結果、光束維持率が低下す
る。
【0006】また、高圧ナトリウムランプの場合は、ア
ルミナセラミックスからなる発光管に封入してあるナト
リウムまたはナトリウムイオンが発光管と反応して反応
物を生成し、いわゆるナトリウム消失を生じ、このため
放電電圧の上昇あるいは光束の低下を招く。
【0007】さらに、中圧水銀ランプの場合は、石英か
らなる発光管に封入してある水銀が石英に打ち込まれ、
発光管が黒化する。
【0008】このような不具合を解消するため、特公昭
57−44208号公報には、発光管の内面に窒化珪素
(Si3 N4 )からなる被膜をコーティングする技術が
提案されている。発光管の内面に、上記公報に記載され
ている窒化珪素の被膜を形成した場合は、窒化珪素の被
膜が発光金属と発光管材料の反応を軽減し、かつ放電媒
体の抜けを阻止し、よって光束の低下を防止して光束を
高く維持することができるものと考えられる。
【0009】また、特開昭62−262358号公報に
は、アルミナ発光管の内面に窒化アルミニウムコーティ
ングを施してこの発光管の中央部の温度を下げ、これに
よりナトリウム消失を軽減させる技術が開示されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
公報に示された手段はいずれも、発光管の気密容器の内
面にこの気密容器の管壁の材料とは別種類の材料である
窒化珪素の被膜や窒化アルミニウムの被膜を形成した構
造であるから、発光管材料とこれら被膜との熱膨張差が
異なることに起因して、窒化珪素の被膜や窒化アルミニ
ウムの被膜にひび割れや、剥離、脱落などを発生する心
配がある。
【0011】この点について、上記後者の公報には窒化
アルミニウムの被膜の膜厚を5μm以下にすればよいと
開示されているが、膜厚を5μm以下にしてもひび割れ
などが発生することがあり、充分に効果のある被膜を形
成することが難しく、このような被膜は現在に至っても
実用化されていない。
【0012】本発明の目的とするところは、発光管の気
密容器の表面に化学的、物理的に安定した窒化改質層を
形成し、放電媒体と発光管の気密容器の材料との反応
や、放電媒体の抜けなどを防止して光束維持率を高く保
ち、しかもひび割れや剥離、脱落などの不具合のない放
電灯およびこの点灯装置ならびに照明装置を提供しよう
とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、酸化
物材料からなる管壁を有しこの管壁の少なくとも内側の
表面近傍の部分には窒化物が含まれ、窒化物の含有量が
管壁の肉厚の深さ方向に向かって連続して滑らかに減少
し、窒化物の含有量がこの窒化改質層の表面の窒化物の
含有量の50%まで減少する部分の深さが、表面から1
n m以上の深さである窒化改質層が形成されている気
密容器およびこの気密容器内に封入された放電媒体から
構成される発光管と、この発光管内に放電を発生させる
手段と、を具備していることを特徴とする放電灯であ
る。
【0014】ここで、発光管内に放電を発生させる手段
とは、気密容器内部に封装された電極の他、気密容器外
表面に配設された電極、電磁誘導形コイルなどを含む。
【0015】また、上記の窒化改質層の内部の窒化物の
含有量が肉厚の深さ方向にわたって「連続的して滑らか
に減少」という表現は、数学的な表現に対応するもので
あり、「滑らかに」とは深さ方向に対する窒化物の含有
量の減少の特性曲線が連続的に微分できるという意味で
ある。これは、この窒化物の含有量の深さ方向にわたる
減少の特性曲線が連続的に滑らかであるとともに、その
含有量の変化率すなわちこの特性曲線の傾斜も深さ方向
にわたって連続して変化していることを意味する。
【0016】 請求項2の発明は、請求項1に記載の放
電灯であって、上記の気密容器には貫通孔が形成され、
上記の放電手段となる導電体がこの貫通孔内に挿通され
無機接着剤で封止された発光管を有するものにおいて、
少なくとも上記の貫通孔の内面の上記の窒化改質層は、
その窒化物の含有量がこの窒化改質層の表面の窒化物の
含有量の50%まで減少する部分の深さが表面から10
0μm以下の深さであることを特徴とする。
【0017】 請求項3の発明は、請求項1記載の放電
灯であって、上記の発光管は、上記の気密容器に電極を
封止した後にこの気密容器の表面の近傍の部分に上記の
窒化改質層が形成されたものであることを特徴とする
【0018】 請求項4の発明は、請求項1ないし3の
いずれか一に記載の放電灯と、この放電灯を発光させる
手段に接続されて点灯を維持する点灯回路とを具備した
ことを特徴とする放電灯点灯装置である。
【0019】 請求項5の発明は、請求項1ないし3の
いずれか一に記載の放電灯と、この放電灯を収容した器
具本体とを具備したことを特徴とする照明装置である
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【作用】請求項1の発明は、気密容器内面に窒化物を含
む窒化改質層が形成されているので、この化学的に安定
した窒化物によって放電媒体と発光管の気密容器の管壁
の材料との反応や、放電媒体の抜けまたはイオン化した
放電媒体が管壁の内面に打ち込まれることが防止され
る。
【0027】 また、この窒化改質層は、管壁の肉厚の
深さ方向にわたる窒化物の含有量の減少の特性曲線が連
続的で滑らかであるとともに、その減少率すなわちこの
特性曲線の傾斜の変化も連続的に変化し、窒化改質層
を、その窒化物の含有量がこの窒化改質層の表面の窒化
物の含有量の50%まで減少する部分の深さが表面から
10 n m以上の深さとしたので、窒化物の減少率が小さ
く、熱応力をより軽減してこの窒化改質層の割れや剥が
れをより確実にするとともに、気密容器の管壁の面方向
の熱伝導率を向上させる。よって、この気密容器の中央
部と端部との間等の面方向の熱の不均一が軽減され、熱
応力が軽減される。
【0028】このような窒化改質層は、その組成が深さ
方向にわたって連続的に変化しているので、深さ方向に
わたる熱膨脹率の変化も連続的であり、この窒化改質層
の割れや剥がれを防止する。さらに、放電灯では発光管
内部の放電により発生した熱が気密容器の管壁を伝わっ
て外部に放出され、この管壁内の肉厚方向に大きな熱流
束で熱が流れる。このような場合には、この窒化改質層
の窒化物の減少率すなわち特性曲線の傾斜の変化に不連
続な部分があると、この不連続な部分に大きな熱応力が
発生するが、この窒化改質層はその窒化物の減少率すな
わち特性曲線の傾斜も深さ方向にわたって連続している
から、このような熱応力の集中が発生せず窒化改質層に
割れや剥がれを生じることがない。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】 請求項の発明は、上記の気密容器には
貫通孔が形成され、上記の放電手段の導電体がこの貫通
孔内に挿通され無機接着剤で封止された発光管を有する
ものにおいて、少なくとも上記の貫通孔の内面の上記の
窒化改質層は、その窒化物の含有量がこの窒化改質層の
表面の窒化物の含有量の50%まで減少する部分の深さ
が表面から100μm以下の深さとしたものである。し
たがって、この無機接着剤とこの貫通孔の内表面近傍と
の間の熱膨脹の差が小さくなり、確実な封止ができる。
【0037】 請求項の発明は、気密容器に電極を封
止した後にこの気密容器の表面に上記の窒化改質層を形
成したものである。したがって、この電極の封止部の気
密が損なわれることがない。
【0038】 請求項の発明は、請求項1ないし請求
のいずれか一の放電灯と、この放電灯を発光させる
手段に接続されて点灯を維持する点灯回路とを具備した
放電灯点灯装置が提供できる。
【0039】 請求項の発明は、請求項1ないし請求
のいずれか一の放電灯と、この放電灯を収容した器
具本体とを具備した照明装置が提供できる。
【0040】
【実施例】以下、本発明について、図1ないし図3に示
す第1の実施例にもとづき説明する。
【0041】図1はメタルハライドランプの発光管の構
成を示す図、図2はメタルハライドランプの全体の構成
を示す図、図3は上記メタルハライドランプを光源とし
た照明装置の断面図を示す。
【0042】図2の全体の構成図において、10は硬質
ガラスからなる外管であり、この外管10内は窒素ガス
雰囲気に保たれており、この外管10内には発光管1が
収容されている。
【0043】 発光管1は、図1の(A)に示す通り、
石英ガラスからなる気密容器2の両端部に圧潰封止部
4,4を形成してある。気密容器2の内側の表面の近傍
には、例えば全面に亘り窒化改質層3が形成されてい
る。この窒化改質層3は、この発光管1の気密容器2の
管壁の材料である酸化物たとえば石英SiO2 の中の酸
素原子が、窒素原子と置換されて形成された窒化物、こ
の実施例の場合には窒化けい素を含む表面層である。
【0044】このような窒化改質層3は、気密容器2内
をアンモニア(NH3 )の雰囲気にして高温に加熱する
と、たとえば下記「化1」に示すような反応が生じて形
成され、このような反応により石英SiO2 の酸素原子
が窒素原子と置換されて窒化けい素となり、この気密容
器の管壁に上記の窒化改質層3が形成される。
【0045】
【化1】 ●上記のように構成された気密容器2の両端に形成され
た上記封止部4,4にはそれぞれ主電極5a,5bが封
装されており、かつ一方の主電極5aの近傍には始動用
の補助電極6が封装されている。
【0046】主電極5a,5bは、タングステンWまた
はトリウムThを含有したタングステンからなる電極軸
51に、タングステンからなる電極コイル52を巻装し
て構成されており、電極コイル52には図示しない酸化
ジスプロシウムDy2 O3 、酸化スカンジムSc2 O3
などからなる電子放射物質(エミッタ)が塗布されてい
る。また、補助電極6はタングステンワイヤにより形成
されている。
【0047】これら主電極5a,5bおよび補助電極6
は、封止部4,4に封着されたモリブデンMoなどの金
属箔導体7…を介して外部リード線8…に接続されてい
る。このような気密容器2内には、所定量の水銀Hg
と、金属ハロゲン化物、例えばヨウ化スカンジウムSc
I3 とヨウ化ナトリウムNaI、および始動用の希ガス
としてアルゴンArが封入されている。
【0048】このような構成の発光管1は、図2に示す
ように、上記外管10内に収容されている。すなわち、
発光管1の両端封止部4,4は、ホルダ−11a,11
bを介してサポート12a,12bに支持されている。
一方のサポート12aは、ステム13に封止した一方の
導電線14aに溶接されているとともに、他方のサポー
ト12bは、外管10の頂部に係着されている。
【0049】発光管1の一方の主電極5aは、上記一方
のサポート12aに電気的に接続されている。発光管1
の他方の主電極5bはリード線15を介して、ステム1
3に封止した他方の導電線14bに接続されている。
【0050】また、発光管1の補助電極6は、始動用抵
抗18を介して前記他方の導電線14bに接続されてい
る。
【0051】上記一方の導電線14aは、外管10の端
部に被着した口金16に接続されているとともに、他方
の導電線14bは、上記口金16の外部端子17に接続
されている。
【0052】次に、上記の発光管1の気密容器2の管壁
の内側の表面に形成された上記の窒化改質層3について
詳述する。
【0053】図10は、気密容器管壁の内表面から深さ
方向の窒化けい素の含有量分布をSIMS(2次イオン
質量分析法)によって測定した結果を示す図である。縦
軸に窒化けい素の含有量、横軸に内表面からの深さを示
す。
【0054】このような窒化改質層3は、図10に示す
ように、その内部の窒化物の含有量すなわち窒化けい素
の含有量cが気密容器2の内側の表面から気密容器の管
壁の肉厚の深さdの方向に向かって連続的にかつ滑らか
に減少しており、明確な境界はない。この窒化改質層3
は、たとえばその表面の極めて近傍では上記の窒化けい
素の分子の含有率が分子の数で約60%程度であり、ま
たこの気密容器2の管壁の深さdに対する窒化物すなわ
ち窒化けい素の含有量Cの減少の特性は概略上記の図1
0に示すような特性となっている。
【0055】この図10に示すような窒化けい素の含有
量Cの減少の特性は、上記のようにこの気密容器3の管
壁の石英材料中に上記のアンモニアガス中の窒素原子が
拡散して石英の酸素原子と置換する原子レベルの挙動の
基づいており、その窒化物(窒化けい素)の含有率の減
少の特性曲線はこの図10に示すように連続して滑らか
に減少している。
【0056】なお、上記の「連続して滑らか」という表
現は、数学的な意味であり、「滑らか」とはこの図10
に示すような特性曲線の関数またはこのような特性曲線
に近似する曲線の関数が連続して微分可能であることを
意味する。
【0057】このような窒化改質層3は、その表面のご
く近傍の部分、すなわち放電媒体に接触する部分におい
て窒化けい素等の窒化物が高い割合で含有されているの
で、この化学的に安定した窒化物によって放電媒体と発
光管の気密容器2の管壁の材料との反応や、放電媒体の
抜けまたはイオン化した放電媒体が管壁の内面に打ち込
まれることが防止される。
【0058】また、このような窒化改質層3は、その組
成が深さd方向にわたって連続的に変化しているので、
深さd方向にわたる熱膨脹率の変化も連続的であり、熱
応力が軽減されてこの窒化改質層3の割れや剥がれを防
止する。さらに、放電灯では発光管内部の放電により発
生した熱が気密容器2の管壁を伝わって外部に放出さ
れ、この管壁内の肉厚方向に大きな熱流速で熱が流れ
る。このような場合には、この窒化改質層3の窒化物の
減少率すなわち特性曲線の傾斜の変化に不連続な部分が
あると、この不連続な部分に大きな熱応力が発生する
が、この窒化改質層3はその窒化物の減少率すなわち特
性曲線の傾斜も深さ方向にわたって連続しているから、
このような熱流速によってもこの窒化改質層3に割れや
剥がれを生じることがない。
【0059】 またこの場合に、好ましくはこの窒化改
質層3中の窒化物の含有量Cがこの窒化改質層の表面の
窒化物の含有量の50%の含有率になる部分の深さs
(以下、単に深さsと称する)は10nm以上、例えば
80nm程度となるように形成されている。
【0060】このような窒化改質層3によれば、窒化物
の減少率が小さく、熱応力をより軽減してこの窒化改質
層の割れや剥がれをより確実にする。また、一般に窒化
物の熱伝導率は酸化物の熱伝導率より大きい。したがっ
て、上記のように厚い窒化改質層3であると、この気密
容器2の管壁の面方向の熱伝導率を向上させる。発光管
は、その気密容器2の中央部で温度が高く、両端部で温
度が低くなり、この気密容器2の管壁の面方向に温度の
不均一が生じるが、上記のような窒化改質層であれば、
この気密容器の中央部と端部との間等、管壁の面方向へ
の熱伝導が向上し、この管壁の面方向の熱の不均一が軽
減され、熱応力が軽減される。
【0061】上記のような構成のメタルハライドランプ
は、例えば図3に示すように、照明装置の光源として用
いられる。図3において、30は照明器具本体を示し、
内面に反射面31を有するとともに、下面または一側面
が開口されたハウジング構造をなしている。この照明器
具本体30の開口部には前面カバー32が取り付けられ
ている。この照明器具本体30の側壁にはソケット33
が取り付けられており、図2に示したメタルハライドラ
ンプはその口金16がソケット33にねじ込まれて上記
器具本体30に取り付けられている。
【0062】上記ソケット33は、器具本体30に取り
付けられた、または器具本体30の外部に設置された安
定器を含む点灯回路35を介して商用電源36に接続さ
れるようになっている。
【0063】このような構成の照明装置は、メタルハラ
イドランプを商用電源36に接続すると、安定器を含む
点灯回路35から始動用のパルス電圧が、補助電極6と
これに近接する一方の主電極5aとの間、および主電極
5a,5bの間に印加される。このため、補助電極6と
これに近接する一方の主電極5aとの間に補助放電が始
まり、この補助放電が主電極5a,5b間の主放電へと
移行し、よって発光管1が放電する。この放電により、
発光管1内に封入した金属ハロゲン化物、例えばヨウ化
スカンジウムScI3 とヨウ化ナトリウムNaIが発光
する。
【0064】このようなメタルハライドランプから放出
された光は、器具本体30の内面に形成した反射面31
で反射され、開口部の前面カバー32を通じて外に照射
される。
【0065】上記光源として用いられたメタルハライド
ランプは、発光管1の気密容器の内表面に上述のような
窒化改質層3を形成してあるから、発光管1に封入され
ている金属ハロゲン化物あるいはこの金属ハロゲン化物
から解離したスカンジウムScやナトリウムNaなどの
発光金属が石英と接触するのが阻止され、かつ金属ハロ
ゲン化物またはスカンジウムScやナトリウムNaなど
の発光金属が石英と反応するのが防止される。このため
石英の耐蝕性が向上し、変色が防止されるとともに、発
光管1から発光金属が減少するのも防止されるから、光
束の低下が少なくなり、光束維持率を高くすることがで
きる。
【0066】 例えば、発光管1の内径が10.5mm、
電極間距離が18mmの100W定格入力のメタルハライ
ドランプで、ヨウ化スカンジウムScI3 とヨウ化ナト
リウムNaIを重量比で1:5として総量10mgを封入
した場合、発光管1の内表面に窒化改質層3を形成しな
い従来のランプでは、6000時間点灯後の光束維持率
は50%であるのに対し、発光管1の内表面に深さsが
80nmの窒化改質層3を形成した本発明のランプは、
6000時間点灯後の光束維持率は70%となり、窒化
物層3を形成することによる効果が確認されている。
【0067】上記窒化物層3は、発光管1を構成する酸
化珪素SiO2 のなかの酸素O2 成分と窒素N2 とが置
換された反応構造からなる層であるから、上記のように
この窒化改質層3のひび割れや剥離、脱落などの発生す
る心配がない。
【0068】 窒化物層3の深さsは10nm以上であ
れば、石英の耐蝕性の向上に有効であり、80nm程度
であれば充分に効果を発揮する。
【0069】このようなメタルハライドランプを光源と
する点灯装置および照明装置は、光束維持率に優れた装
置となる。
【0070】なお、上記第1の実施例のメタルハライド
ランプでは、金属ハロゲン化物としてヨウ化スカンジウ
ムScI3 とヨウ化ナトリウムNaIを用いた例を説明
したが、金属ハロゲン化物はこれらに限らず、希土類金
属のハロゲン化物やアルカリ金属のハロゲン化物、その
他インジウム、タリウム等のハロゲン化物であってもよ
い。
【0071】次に、第2の実施例について説明する。本
実施例は一般照明用の水銀ランプの場合である。一般照
明用の水銀ランプは、その構成が図1ないし図3に示す
第1の実施例の構造と略同様のものであり、その構造に
ついては上記の図1ないし図3を代用し、その説明は省
略する。
【0072】この水銀ランプは、発光管1内に、水銀H
gとアルゴンArなどの始動用希ガスを封入してある点
でメタルハライドランプと異なるが、水銀ランプは、水
銀イオンHg+ が石英に打ち込まれることにより、発光
管の黒化が発生する。すなわち、石英の表面には微細な
空隙があり、ガラス内部のOH- やガラス表面の負の電
荷により上記水銀イオンHg+ が上記石英表面の微細な
空隙に引き込まれて打ち込みがなされる。このため石英
の黒化が促される。
【0073】これに対し、本実施例では、図1に示すよ
うな前述の第1の実施例と同様の窒化改質層3が形成さ
れており、発光管1に封入されている水銀が石英と接触
するのが阻止され、かつ水銀イオンHg+ が石英表面の
微細な空隙に引き込まれるのが防止されるので石英の黒
化が防止されるようになる。
【0074】次に、第3の実施例について、図4ないし
図6にもとづき説明する。この実施例は、本発明を高圧
ナトリウムランプに適用した例を示す。
【0075】図4は高圧ナトリウムランプの全体を示す
もので、符号110は外管である。外管110は、硬質
ガラスにより形成されており、中央部に膨出部を備え、
図示上部に小径なトップ部111を有するとともに図示
下部には小径なネック部112を有し、いわゆるBT形
をなしている。このネック部112の端部には口金11
3が被着されている。なお、外管110内は真空に保た
れている。
【0076】上記外管110内には発光管101が収容
されている。発光管101の構造は後述する。発光管1
01は、外管110内において、サポ−トワイヤ114
にて支持されている。サポートワイヤ114はステンレ
スのような導電性ワイヤを四角の枠状に形成したもので
あり、上部が弾性片115を介して外管110のトップ
部111に係止されているとともに、下部はステム11
6に封着した一方の封着線117aに溶接されている。
【0077】発光管101の上端から導出された一方の
導電体105は、導電線を兼用する導電性ホルダー11
8を介して上記サポートワイヤ114に電気的および機
械的に接続されている。発光管101の下端から導出さ
れた他方の導電体105は絶縁体119aを介して他の
ホルダー119に機械的に支持されており、このホルダ
ー119はサポートワイヤ114に機械的に取付けられ
ている。よって、発光管101は上下端部でホルダ−1
18および119に支持され、これらホルダ−118お
よび119を介してサポートワイヤ114に支持されて
いる。
【0078】発光管101の下端から導出された導電体
105は、リード線125を介して、ステム116に封
着した他の封着線117bに電気的に接続されている。
封着線117a,117bは口金113のシェル113
aおよび外部端子113bに接続されている。
【0079】発光管101の外面には始動補助のための
近接導体120が接近して配置されている。この近接導
体120は、例えばモリブデン、タングステン、タンタ
ル、ニオビウム、鉄、ニッケル等の少なくとも1種から
なる高融点金属からなり、一端がバイメタル片121に
支持されているとともに、他端は上記ホルダー118に
形成した係止部122に回動自在に支持されている。上
記バイメタル片121の基端はサポートワイヤ114に
固定されている。
【0080】ランプを始動する前には、発光管101お
よび周囲の温度が低いのでバイメタル片121の変形に
より近接導体120は発光管101の外面に接触してい
る。ランプを電源に接続すると、近接導体120と一方
の電極106との間に電位差が生じ、これら近接導体1
20と一方の電極106との間で、発光管101内に始
動放電が発生し、この始動放電は電極106,106間
の主放電に移行する。これにより始動が容易になる。そ
して、ランプが点灯すると発光管101からの熱を受け
てバイメタル片121が熱変形し、よって近接導体12
0が発光管101の外面から遠ざけられるように移動さ
れる。このため近接導体120が発光管101から放出
される光を遮るのを防止する。なお、126はゲッタで
ある。
【0081】上記発光管101の構成について、図5お
よび図6にもとづき説明する。発光管101は、多結晶
または単結晶のアルミナやサファイヤなどのような透光
性セラミックス、本例では透光性アルミナ(Al2 O3
)のチュ−ブ102により形成されている。この透光
性セラミックチュ−ブ102の両端部には貫通孔10
4,104が形成されており、これら貫通孔104,1
04にはニオビウムNbまたはニオビウムNbとジルコ
ニウムZnの合金からなる導電体105,105が貫通
されており、この導電体105,105はガラス封着剤
109,109により透光性セラミックチュ−ブ102
の両端部に気密に接合されている。
【0082】上記導電体105,105には電極10
8,108が溶接されている。電極108は、タングス
テンからなる電極軸108aの先端部にタングステンか
らなる電極コイル108bを複数回巻回して構成されて
おり、この電極コイル108bには、例えばBaO−C
aO−WO3 などのような電子放射物質(エミッタ)が
塗布されている。
【0083】このような構成の発光管101には、所定
量の水銀Hg、ナトリウムNa、および始動用希ガスと
してのキセノンXeガスが封入されている。
【0084】そして、本例の場合、発光管101の気密
容器たとえば透光性アルミナ(Al2 O3 )チュ−ブ1
02の内表面および外表面にそれぞれ、図6に示すよう
な窒化改質層103、104が形成されている。これら
窒化改質層103、104は、発光管1を構成するアル
ミナAl2 O3 のなかの酸素原子と窒素原子とが置換さ
れた反応構造からなる層である。
【0085】この実施例における窒化改質層103,1
04は、前述した第1の実施例の場合と同様にして形成
されたもので、前記の第1の実施例の窒化けい素が窒化
アルミニウムである点を除いて略同様の構成であり、ま
たこの窒化アルミニウム(窒化物)の肉厚深さ方向に対
する含有量の減少の特性も前述の第1の実施例の場合と
略同様で、深さ方向に連続して滑らかに減少している。
【0086】また、この実施例のものは、透光性セラミ
ックチュ−ブ101の貫通孔104,104に導電体1
05,105がガラス封着剤109,109等の無機接
着剤により封着されているので、これら導電体105,
105の封着前にこの透光性セラミックチュ−ブ101
の全表面に窒化改質層を形成した場合には、これらの貫
通孔104,104の内面の窒化改質層によって、この
ガラス接着剤との封着性が損なわれる場合がある。この
ような場合には、上記の窒化改質層の深さsは100μ
m以下にすることが好ましい。
【0087】 このような構成の高圧ナトリウムランプ
の場合、発光管101の内表面に窒化改質層103が形
成されているから、この窒化改質層103がナトリウム
NaとアルミナAl2 O3 との反応を防止して針状結晶
などの結晶が成長するを防止し、かつナトリウムの消
失を防止する。このため光束の低下が抑止され、光束維
持率を高くすることができる。
【0088】また、上記窒化改質層103は窒化物の含
有量が深さ方向に連続的に減少した構造となっているか
ら、表面から内部に向かって熱膨脹率も連続的に変化
し、ひび割れ、剥離、脱落などの不具合が発生しないば
かりでなく、むしろ熱伝導性が向上し、熱衝撃に強くな
る。このため、発光管の中央部と端部との温度差が低減
され、耐久性が向上する。このことから、発光管101
を構成するアルミナチューブ102の肉厚を薄くして光
透過率を向上させることもできる。
【0089】一方、上記構成の高圧ナトリウムランプ
は、始動を容易にするために始動補助用の近接導体12
0を使用している。近接導体120は、ランプの始動時
に発光管101の外面に密着しており、発光管101の
温度が所定温度以上に達するまでは発光管101の外面
に密着したままである。このような状態では、発光管1
01の管壁温度は、近接導体120が密着している部分
で局部的に高温になり、昇華や溶融、または消灯の心配
があるとともに、近接導体120が存在しない部分とで
温度差が生じ、発光管101の透光性アルミナチューブ
102に熱歪が生じてクラックの発生原因になる。
【0090】これに対し、本実施例の場合は、発光管1
01の透光性アルミナチューブ102の外表面に窒化改
質層104を形成してあるから、この窒化改質層104
は上記したように熱伝導性を向上させる性質があり、し
たがって局部的に高温になる部分の熱を他の温度の低い
部分に効果的に逃がすようになるから、局部的に昇華や
溶融が発生することがなく、また熱歪の発生がなくな
り、破損を防止することができる。この点から発光管1
01の耐久性が向上することになる。
【0091】なお、上記実施例の場合、発光管101の
透光性アルミナチューブ102の内表面と外表面の両面
に窒化改質層103および104を形成したが、これら
窒化改質層103および104の作用はそれぞれ異なる
ことから、いずれか一方の表面のみに窒化改質層103
または104を形成する場合であっても実施可能であ
る。そして、発光管101の内表面に窒化改質層103
を形成する場合は請求項4の発明に相当し、発光管10
1の外表面に窒化改質層104を形成する場合は請求項
6の発明に相当するものである。
【0092】なお、発光管101がアルミナチューブ1
02により構成されたセラミック放電灯の場合、発光金
属としてナトリウムに代わり、金属ハロゲン化物を封入
した場合も上記の効果と同様の効果が得られる。
【0093】このようなランプにおいては、発光管は例
えば特開平5−205701号公報に開示されているよ
うに、予め排気管と電気導入体を兼ねたモリブデンMo
またはタングステンWのチューブをアルミナチューブに
一体に焼成したいわゆるフリットレス封着した未排気発
光管材の内表面を窒化改質することにより、封入ハロゲ
ンと封止剤109との反応も同時に防止することができ
る。
【0094】次に、第4の実施例について、図7および
図8にもとづき説明する。この実施例は、紫外線照射用
の水銀ランプに適用した例である。
【0095】図において200は紫外線照射用水銀ラン
プの発光管であり、石英ガラスにより形成されている。
この発光管200の両端部には封止部201,201が
形成されている。これら封止部201,201には、そ
れぞれ電極202,202が封装されている。電極20
2,202は、タングステンWからなる電極軸203
に、タングステンからなる電極コイル204を巻装して
構成されている。
【0096】これら電極202,202の電極軸20
3、203は、上記封止部201,201に封着された
モリブデンMoなどの金属箔導体205、205を介し
て外部リード線206,206に接続されている。
【0097】このような発光管200には、所定量の水
銀Hgと、始動用の希ガスとしてアルゴンArが封入さ
れている。
【0098】上記発光管200の内表面および外表面に
は、図8に示すように、全面に亘り窒化改質層210お
よび220が形成されている。これら窒化改質層21
0、220は、発光管材料である石英を形成するシリカ
SiO2 のなかの酸素原子が、窒素原子と置換されて形
成された表面層である。
【0099】このような窒化改質層210、220も、
図8に示すように、窒化物の含有量が管200の表面か
らバルブ壁の深さ方向に向かい連続的に減少して変化し
ており、明確な境界はないが、深さsは10nm以上、
例えば80nm程度となるように形成されている。
【0100】このような紫外線照射用水銀ランプは、例
えば水処理の大腸菌殺菌用ランプとして使用されるが、
発光管の内径20mm、有効発光長350mm、定格入力1
600Wのランプの場合、ランプ電圧410V、ランプ
電流4.4A、点灯中の推定水銀蒸気圧は66.6KP
aとされている。
【0101】このような紫外線照射用水銀ランプを点灯
した場合、第2の実施例で説明した一般照明用水銀ラン
プの場合と同様に、水銀イオンHg+ が石英に打ち込ま
れることにより、発光管の黒化が発生する。すなわち、
石英の表面には微細な空隙があり、ガラス内部のOH-
やガラス表面の負の電荷により上記水銀イオンHg+が
上記石英表面の微細な空隙に引き込まれて打ち込みがな
される。このため石英の黒化が促される。
【0102】これに対し、本実施例では、図8に示すよ
うに石英の内表面に窒化改質層210を形成してあるか
ら、この窒化改質層210が発光管200に封入されて
いる水銀と石英との接触が阻止され、かつ水銀イオンH
g+ が石英表面の微細な空隙に引き込まれるのが防止さ
れる。このため石英の黒化が防止されることになり、光
束維持率が向上する。
【0103】ちなみに、本実施例の窒化改質層210を
形成した紫外線照射用水銀ランプは、窒化改質層210
を持たない従来の紫外線照射用水銀ランプに対し、紫外
線254nmの出力で1.2倍の向上が認められ、また光
束維持率は10000時間点灯時で従来の紫外線照射用
水銀ランプに比べて5%以上の向上が認められ、75%
以上の維持率を保つことが確認された。
【0104】一方、上記のような紫外線照射用水銀ラン
プは、紫外線硬化形インクの乾燥用光源として使用され
る場合がある。すなわち、紫外線硬化形インクを用いた
印刷装置は、印刷後に紫外線照射用水銀ランプから紫外
線を照射することにより直ちにインクを乾燥させること
ができ、自然乾燥式の印刷装置に比べて、乾燥時間の待
機のためのスペースが省略でき、かつ乾燥速度が早いな
どの利点がある。しかし、現状のインクでは、水銀ラン
プからの紫外線の照射のみでは充分に乾燥しない色があ
り、紫外線の照射後の直ちに印刷用紙を重ねると未乾燥
のインク部の印刷が乱れるという問題がある。これを解
消するため、印刷面にデンプン粉(炭水化物)を薄く塗
布し、印刷の乱れを防止している。
【0105】このような炭水化物系の粉末は、紫外線照
射用水銀ランプの照射雰囲気で浮遊しており、したがっ
て炭水化物系の粉末が紫外線照射用水銀ランプの表面に
付着することがある。上記紫外線照射用水銀ランプの発
光管は石英にて形成されており、点灯中は700〜80
0℃の高温度に達する。このため、石英の表面に付着し
た炭水化物系の粉末(デンプン粉)が石英を失透させ、
白濁化させることがある。
【0106】そこで、本実施例では、図8に示すよう
に、石英からなる発光管200の外表面に窒化改質層2
20を形成した。この窒化改質層220は、炭水化物系
の粉末(デンプン粉)が発光管材料の石英と接触するの
を阻止する。このため石英の失透が防止されることにな
り、光束維持率が向上する。
【0107】ちなみに、管外径27mm、有効発光長10
00mm、定格入力8000Wの紫外線照射用水銀ランプ
の場合、発光管200の外表面に窒化改質層220を形
成すると点灯1000時間を過ぎても白濁化が見られな
かった。これに対し、発光管200の外表面に窒化改質
層220を形成しない従来の紫外線照射用水銀ランプの
場合、点灯500時間でも白濁化を生じたランプがあ
る。
【0108】なお、図7および図8に示す紫外線照射用
のランプは、水銀ランプに限らず、発光管内に水銀と金
属ハロゲン化物を封入したメタルハライドランプであっ
ても、紫外線照射用の光源として使用できる。
【0109】そして、上記実施例の場合も、発光管20
0の内表面と外表面の両面に窒化改質層210および2
20を形成したが、これら窒化改質層210および22
0はそれぞれ作用が異なることから、いずれか一方の表
面のみに窒化改質層210または220を形成する場合
であっても実施可能である。そして、発光管200の内
表面に窒化改質層210を形成する場合は、前記第2の
実施例と同様に、請求項3の発明に相当し、発光管20
0の外表面に窒化改質層220を形成する場合は請求項
5の発明に相当するものである。
【0110】次に、第5の実施例について、図9にもと
づき説明する。この実施例は、無電極放電灯とも称され
ているランプに適用した例である。
【0111】図9において符号300は、磁界誘導結合
型無電極放電灯の発光管を示し、この発光管300は、
透光性アルミナやサファイヤまたはガーネットなどのよ
うな単結晶または多結晶の透光性セラミック材料または
石英により構成されており、外形がほぼ偏平な球形をな
している。この発光管300内に形成された放電空間3
11には、ドーナツ形に発生されるプラズマ放電312
によって発光する発光物質、例えばヨウ化スカンジウム
ScI3 とヨウ化ナトリウムNaIなどの金属ハロゲン
化物と、アルゴン、キセノン、クリプトン、ネオンなど
のガスの少なくとも1種からなる始動用希ガスが封入さ
れている。
【0112】上記発光管300の一端には、突出筒部3
14が一体に形成されている。この突出筒部314は、
一端が主放電空間311に連通しているとともに、他端
は後述する始動用プローブ315により閉塞されてい
る。
【0113】上記発光管300の内表面には、窒化改質
層313が形成されている。この窒化改質層313は、
発光管材料である透光性セラミック、例えばアルミナA
l2O3 のなかの酸素原子が、窒素原子と置換されて形
成された表面層であり、このような窒化改質層313
も、窒化物の含有量がバルブ壁の深さ方向に連続的に減
少して変化しており、その深さsは10nm以上、例え
ば80nm程度となるように形成されている。
【0114】上記突出筒部314には始動用プローブ3
15が挿入されている。この始動用プローブ315は細
径のセラミックチューブからなり、上記突出筒部314
に挿入される内端部は閉塞壁316で閉塞されており、
この閉塞壁316は上記主放電空間311に臨まされて
いる。
【0115】この始動用プローブ315の他端は、始動
用電極317により気密に閉止されている。始動用電極
317は、ニオビウムNbやステンレスまたは銅Cuな
どのような導電性金属からなり、この始動用電極317
はプローブ315の他端にガラス接着剤318を介して
気密に接合されている。
【0116】この始動用電極317は、始動回路326
を介して高周波発振回路325に接続されている。
【0117】上記プローブ315内には、始動放電空間
319が形成されており、この始動放電空間319に
は、電界結合により放電する希ガス、例えばアルゴン、
キセノン、クリプトン、ネオンなどのガスの少なくとも
1種が封入されている。
【0118】上記のような構成の始動用プローブ315
は、上記した発光管300に突設された突出筒部314
に挿入されており、この突出筒部314の外端部と始動
用プローブ315の外端部は他のガラス接着剤320に
より気密に接合されている。発光管300の周囲には高
周波励起コイル330が配置されている。この励起コイ
ル330は、コイル素線に相当する導体が、高純度アル
ミニウム、または銅、もしくは銀などの導電性に優れた
一対の環形金属円板331、331により構成されてい
る。これら一対の環形円板331、331は、コイル軸
方向に沿って対向して配置されており、内周部の一部を
互いに溶接して接続することにより全体で螺旋形の通電
経路を形成してある。すなわち、これら一対の環形円板
331、331はそれぞれ周方向に連続するものではな
く、周方向の一部で分離されており、一方の環形円板3
31の内周部と他方の環形円板331の内周部とが相互
に部分的に接続されており、全体として螺旋形の通電経
路を形成している。
【0119】このような一対の環形円板331、331
からなる高周波励起コイル330は、上記高周波発振回
路325に接続されており、この高周波発振回路325
から例えば13.56MHz程度の高周波電流が流され
るようになっている。このような高周波電流により、励
起コイル330内にコイル軸方向に沿って磁界が発生
し、この磁界によりコイル330の中心部空間に収容さ
れた発光管300内に、コイル軸を取巻くようにしてド
ーナツ形のプラズマが発生し、このため磁界結合のプラ
ズマ放電312が発生する。このプラズマ放電312に
より発光媒体が電離および励起されて光を発し、この光
が発光管300の管壁を透過して外部に放射される。
【0120】このような構成の誘導結合型無電極放電灯
を始動させる場合は、高周波発振回路325から始動回
路326を通じて始動用電極317に始動電圧を供給
し、同時に励起コイル330に高周波電流を流し、発光
管300内の主放電空間311に高周波磁界による電界
を発生させる。すると、始動用電極317と発光管30
0内の電界との間で電位差が生じ、このためプローブ3
15内の始動放電空間319に封入した希ガスがグロー
放電を発する。
【0121】このグロー放電は、発光管300内の電界
との間に電界勾配を発生するようになるから、この始動
放電が主放電空間311内にプラズマ放電を誘起し、し
たがってドーナツ形の放電312が発生する。
【0122】このようにして主放電空間311内にドー
ナツ形のプラズマ放電312が発生すると、主放電空間
311内の発光物質が電離および励起されて発光する。
この発光は発光管300の管壁から外部に放出される。
【0123】このような作動をなす誘導結合型無電極放
電灯においては、発光管300の内表面に窒化改質層3
13を形成してあるから、発光金属が透光性セラミック
と反応したり、発光金属のイオンが透光性セラミックに
打ち込まれることが防止され、発光管300の失透や黒
化が防止される。このため光束維持率が向上する。
【0124】なお、本発明の気密容器の表面に形成され
る窒化改質層を形成する方法は、前述したようにこの気
密容器をアンモニアガス雰囲気中で加熱されるものには
限定されず、窒素イオンを気密容器の管壁の表面に注入
する等、その他の方法がある。
【0125】また、図11に示すように、完成した発光
管200内に発光金属や始動用ガス等の放電媒体を封入
する前に、排気管210を介してこの発光管200内に
アンモニアガス、その他のガスを封入し、この発光管2
00を加熱したり、またはこの発光管200内で放電を
発生させ、この発光管200の気密容器の管壁の内面に
窒化改質層を形成してもよい。このようにすれば、この
窒化改質層により封止部201において金属箔導体20
5,205のなじみが低下するようなことが防止でき
る。
【0126】また、気密容器の管壁の表面に窒化物から
なる薄い被膜を形成し、この後にこの気密容器を所定時
間加熱する等の手段により、この窒化物層中の窒素原子
と気密容器の管壁の酸化物材料中の酸素原子とを相互に
拡散させて相互に置換させて窒化改質層を形成してもよ
い。このような方法でも、これら窒素原子と酸素原子と
は材料中を原子レベルの挙動で拡散するものであるか
ら、この窒化改質層はその窒化物の含有量が肉厚の深さ
方向に連続して滑らかに減少するような特性が得られ
る。
【0127】なお、本発明は上記各実施例の構成に制約
されるものではなく、請求の範囲に記載された技術思想
の範囲で種々の変形が可能である。
【0128】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、気密容器内面
に窒化物を含む窒化改質層が形成されているので、この
化学的に安定した窒化物によって放電媒体と発光管の気
密容器の管壁の材料との反応や、放電媒体の抜けまたは
イオン化した放電媒体が管壁の内面に打ち込まれること
が防止される。
【0129】 また、このような窒化改質層は、その組
成が深さ方向にわたって連続的に変化し、窒化改質層の
深さsを10 n m以上の深さとしたので、深さ方向にわ
たる熱膨脹率の変化も連続的であり、この窒化改質層の
割れや剥がれを防止する。さらに、放電灯では発光管内
部の放電により発生した熱が気密容器の管壁を伝わって
外部に放出され、この管壁内の肉厚方向に大きな熱流束
で熱が流れる。このような場合には、この窒化改質層の
窒化物の減少率すなわち特性曲線の傾斜の変化に不連続
な部分があると、この不連続な部分に大きな熱応力が発
生するが、この窒化改質層はその窒化物の減少率すなわ
ち特性曲線の傾斜も深さ方向にわたって連続しているか
ら、このような熱流束によってもこの窒化改質層に割れ
や剥がれを生じることがない。
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】 請求項の発明によれば、上記の気密容
器には貫通孔が形成され、上記の放電手段の導電体がこ
の貫通孔内に挿通され無機接着剤で封止された発光管を
有するものにおいて、少なくとも上記の貫通孔の内面の
上記の窒化改質層は、その深さsを100μm以下の深
さとしたものである。したがって、この無機接着剤とこ
の貫通孔の内表面近傍との間の熱膨脹の差が小さくな
り、確実な封止ができる。
【0138】 請求項の発明によれば、気密容器に電
極を封止した後にこの気密容器の表面に上記の窒化改質
層を形成したものである。したがって、この電極の封止
部の気密が損なわれることがない。
【0139】 請求項の発明によれば、請求項1ない
し請求項のいずれか一の放電灯と、この放電灯を発光
させる手段に接続されて点灯を維持する点灯回路とを具
備した放電灯点灯装置が提供できる。
【0140】 請求項の発明によれば、請求項1ない
し請求項のいずれか一の放電灯と、この放電灯を収容
した器具本体とを具備した照明装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示し、(A)図はメタ
ルハライドランプの発光管の断面図、(B)図は(A)
図中のBで示す部分の断面図であり、窒化改質層を模式
的に示す図。
【図2】同実施例のメタルハライドランプの全体を示す
構成図。
【図3】同実施例のメタルハライドランプを光源とした
照明装置および点灯装置を示す図。
【図4】本発明の第2の実施例を示し、高圧ナトリウム
ランプの全体を示す構成図。
【図5】同実施例の高圧ナトリウムランプの発光管を示
す断面図。
【図6】同実施例の高圧ナトリウムランプの窒化改質層
を模式的に示す図。
【図7】本発明の第3の実施例を示し、紫外線照射用水
銀ランプの発光管の断面図。
【図8】同実施例の窒化改質層を模式的に示す図。
【図9】本発明の第4の実施例を示し、磁界誘導結合型
無電極放電灯の発光管を示す断面図。
【図10】窒化改質層の窒化物の深さ方向の減少特性を
示す線図。
【図11】窒化改質層を形成する方法の例を示す断面
図。
【符号の説明】
1…メタルハライドランプの発光管 3……窒
化改質層 5a、5b…電極 10…外
管 30…照明器具本体 35…点
灯回路 101…高圧ナトリウムランプの発光管 103、
104……窒化改質層 108…電極 110…
外管 120…近接導体 200…紫外線照射用水銀ランプの発光管 202…電極 210、22
0…窒化改質層 300…磁界誘導結合型無電極放電灯の発光管 313…窒化改質層 330…高周波励起コイル 325…高周波発振
回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀧田 和雄 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 西沢 誠 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 伊藤 彰 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 岡村 和好 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 内田 一生 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 青木 貴之 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 吉川 和彦 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 米沢 昭弘 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (72)発明者 佐々木 博基 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東 芝ライテック株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−144052(JP,A) 特開 平4−337241(JP,A) 特開 平7−134971(JP,A) 特開 平7−153370(JP,A) 特開 昭47−40876(JP,A) 特開 昭56−22041(JP,A) 特公 昭48−12145(JP,B1) 特公 昭49−42751(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 61/35

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物材料からなる管壁を有しこの管壁の
    少なくとも内側の表面近傍の部分には窒化物が含まれ、
    窒化物の含有量が管壁の肉厚の深さ方向に向かって連続
    して滑らかに減少し、窒化物の含有量がこの窒化改質層
    の表面の窒化物の含有量の50%まで減少する部分の深
    さが、表面から10 n m以上の深さである窒化改質層が
    形成されている気密容器およびこの気密容器内に封入さ
    れた放電媒体から構成される発光管と、この発光管内に
    放電を発生させる手段と、を具備していることを特徴と
    する放電灯。
  2. 【請求項2】上記の気密容器には貫通孔が形成され、上
    記の放電手段となる導電体がこの貫通孔内に挿通され無
    機接着剤で封止された発光管を有するものにおいて、少
    なくとも上記の貫通孔の内面の上記の窒化改質層は、そ
    の窒化物の含有量がこの窒化改質層の表面の窒化物の含
    有量の50%まで減少する部分の深さが表面から100
    μm以下の深さであることを特徴とする請求項1に記載
    の放電灯。
  3. 【請求項3】上記の発光管は、上記の気密容器に電極を
    封止した後にこの気密容器の表面の近傍の部分に上記の
    窒化改質層が形成されたものであることを特徴とする請
    求項1記載の放電灯。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか一に記載の放
    電灯と、この放電灯を発光させる手段に接続されて点灯
    を維持する点灯回路とを具備したことを特徴とする放電
    灯点灯装置。
  5. 【請求項5】請求項1ないし3のいずれか一に記載の放
    電灯と、この放電灯を収容した器具本体とを具備したこ
    とを特徴とする照明装置
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