JP3496013B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ

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JP3496013B2
JP3496013B2 JP2002071831A JP2002071831A JP3496013B2 JP 3496013 B2 JP3496013 B2 JP 3496013B2 JP 2002071831 A JP2002071831 A JP 2002071831A JP 2002071831 A JP2002071831 A JP 2002071831A JP 3496013 B2 JP3496013 B2 JP 3496013B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陽極としてアルミ
ニウムやタンタルなどの弁金属を用い、陰極として導電
性高分子層を用いた電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウムやタンタルなどの弁
金属を用いた電解コンデンサは、弁金属を陽極層とし、
該弁金属の酸化物皮膜を誘電体層とし、陰極には電解質
溶液や無機固体電解質を用い、それぞれ陽極、陰極に接
続するリード部を設け、外装に封入されていた。
【0003】陽極弁金属は、酸化皮膜の形成のために、
アルミニウム箔の表面が粗面化され、陽極酸化されて、
アルミニウム陽極体素子とされる。タンタルコンデンサ
においては、粉体から作られた成形体が焼成され、表面
が陽極酸化されて、タンタル陽極体素子を得る。他方の
陰極については、従来のアルミニウム電解コンデンサ
は、有機酸を含む有機溶媒等を陰極に用い、タンタル電
解コンデンサでは二酸化マンガンを用いていた。
【0004】昨今、回路のディジタル化に対応して電子
部品の高周波応答性が要求されるので、電解コンデンサ
においても低抵抗化による高周波応答性の向上が要求さ
れている。このような市場からの要求に対し、電気伝導
度の高い導電性高分子を電解コンデンサの陰極用固体電
解質として用いることが検討され、開発されてきてい
る。
【0005】導電性高分子を陰極用の固体電解質として
用いる電解コンデンサにおいては、弁金属上の酸化皮膜
の誘電体が、導電性高分子層で密着して覆われている。
このような導電性高分子を利用する電解コンデンサは、
例えば、特許公開公報平6−168885号で知られて
いる。
【0006】陰極用の導電性高分子を形成するには、化
学重合法が知られている。この方法は、この陽極体素子
を、酸化剤を含むモノマー溶液に浸漬して、酸化剤を重
合開始剤としてモノマーを重合化させる。これにより導
電性の高分子層が陽極表面の酸化皮膜上に形成される。
【0007】電解酸化重合法も知られている。これは、
誘電体酸化皮膜上に若干の導電性を有する電解のための
第一導電層を作り、この導電層を更なる重合化の起点に
利用して電解的に酸化重合を開始させ、必要とする厚み
に導電性高分子層を形成する。この第1の導電層は、予
め、酸化皮膜上に付着した二酸化マンガンか、或いは、
又は、前記化学重合法により極薄く形成した導電性高分
子層を利用していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
方法で導電性高分子層の形成には、いくつかの問題があ
った。導電性高分子層を誘電体酸化皮膜表面全体に均一
かつ十分厚く形成することが困難であり、これに起因し
て最終製品の電解コンデンサの容量を、陽極酸化された
弁金属から予測される設計値に対して十分確保されてい
なかった。さらに、容量を高めるため、従来の技術にお
いては、重合反応が遅いので、上記の化学重合法が数回
から数十回繰り返えされなければならなかった。
【0009】従来の電解重合法は、二酸化マンガンや化
学重合法により極薄く形成した導電性高分子層を第一の
導電層として利用するので、電解のための供給電流が電
気抵抗が比較的高い第一導電層を通り、これのために、
誘電体酸化皮膜表面全体に導電性高分子を形成させるに
は、比較的長い重合時間を必要とした。
【0010】また、従来、陽極箔の表裏に導電性高分子
層を電解的に形成するために、重合は、始めに陽極箔の
片面の一部より開始し、その後に反対面へ廻りこませて
進める方法を採っていた。この従来の方法では、比較的
大きな面積の陽極箔の表裏に導電性高分子層を電解重合
形成しようとした場合、重合形成に長時間を必要とすし
た。さらに重合開始箇所と、終了箇所との形成される導
電性高分子層の厚みに差が生じた。この導電性高分子層
の厚みの差は、重合開始箇所と、重合終了箇所とで重合
時間が違うことに起因するものである。したがって、よ
り厚みが比較的均一な導電性高分子層を得るためには、
重合時間の差による影響をできるだけ小さくするよう
に、重合速度をさらに遅くする必要があり、さらに重合
形成工程が長時間化する結果をもたらす。
【0011】上記の理由に起因して、例えば特開昭63
−239917号公報の実施例のように、実際は、この
方法は、最終製品の形状に合わせた比較的小さい陽極箔
に対してしか、導電性高分層を形成できなかった。いず
れの場合においても最終製品として必要十分な導電性高
分子層を形成するためには、製造工程が複雑かつ長時間
なものとなり、高い製造コストを必要とする。
【0012】本発明の目的は、導電性高分子層が誘電体
酸化皮膜表面全体に均一かつ簡単に形成された、設計容
量に十分近い大きな容量を有する電解コンデンサを提供
することである。本発明の別の目的は、電解コンデンサ
に、導電性高分子層が誘電体酸化皮膜表面全体に均一か
つ簡単に形成する方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の電解コンデンサ
は、貫通孔を持ち表面を粗面化され、その表面の一部形
成した酸化皮膜の誘電体層を備えた陽極用弁金属箔と、
酸化皮膜層上の導電性高分子の陰極層とを含み、陰極層
が、酸化皮膜層上に形成されている電解形成導電性高分
子層を含むものである。
【0014】また、陰極層は、陽極層の片面側に形成さ
れた陰極用導電性高分子層を含んでもよく、この場合、
誘電体層上に形成された電解形成導電性高分子層が、こ
の陰極用導電性高分子層に電気的に接続されている。ま
た、電解コンデンサは、集電体を含み、集電体は、陽極
層の片面側上の陰極用導電性高分子層上に形成された金
属シートが好ましい。陰極用集電体は、陰極リードに接
続されるのに使用される。
【0015】本発明は、貫通孔を持ち表面を粗面化さ
れ、その表面の一部形成した酸化皮膜の誘電体層を備え
た陽極用弁金属箔と、酸化皮膜層上の導電性高分子の陰
極層とを含む電解コンデンサの製造方法を含む。この製
造方法では、電解重合法を使用して、弁金属箔上に形成
した電解用電極とモノマー溶液中の別体の電極との間で
電解させ、電解重合による導電性高分子を弁金属箔の表
面に形成し、これを電解コンデンサの陰極層に使用す
る。
【0016】詳しくは、製造方法は、陽極用弁金属箔の
片面上に電解用電極を形成すること、別体の電解用電極
を配置した導電性モノマー液中に陽極用弁金属箔を浸漬
すること、ついで、前記金属箔上の電解用電極と該液中
に別体に配置した電解用電極との間で電解して、モノマ
ーを電解酸化重合させて電解形成導電性高分子層を陽極
用弁金属箔の酸化皮膜表面に陰極層として形成すること
から成っている。
【0017】重合工程では、弁金属箔上の正電極として
の電解用電極と、溶液中の負電極としての別体の電解用
電極との間で電流を流す過程で、正電極とこれに接する
弁金属箔上に、モノマーが電解酸化重合により重合され
る。これにより、導電性高分子層が、誘電体層の酸化皮
膜の表面上に一様な厚みで形成される。
【0018】この電解重合の過程は、電解のための正電
極である電解用電極の表面で、モノマーの重合が開始
し、その重合体は、成長を続けて、弁金属箔の多数の貫
通孔を通り、さらに、弁金属箔の反対面側に回り込ん
で、溶液浸漬された弁金属箔全面を被覆して、電解形成
導電性高分子層を形成する。このように電解で形成され
た導電性高分子層は、金属箔の酸化皮膜の誘電体層に接
着する。
【0019】本発明の製造方法は、電解用金属シート、
導電性高分子層、又はこれらの組み合わせを利用するこ
とができる。重合工程後は、電解用電極は、特に、単一
の金属シート又は金属箔であるときは、除去される。然
しながら、製造方法では、電解用電極は、弁金属箔の誘
電体層上に予め形成した電解用の導電性高分子層(以
下、陰極側導電性高分子層という)を含むこともでき
る。重合工程に先立って、陰極側導電性高分子層が、弁
金属箔上に予め形成され、重合工程後には、そのまま残
されて、電解形成導電性高分子層と共に、コンデンサの
陰極層として利用される。
【0020】さらに、電解用電極は、弁金属箔上の陰極
側導電性高分子層と、この陰極側導電性高分子層上の金
属シートと、から成るものとすることもできる。電解重
合後、陰極側導電性高分子層は、陰極層として利用さ
れ、金属シートは、陰極用集電体として利用される。
【0021】本発明の電解重合法は、電解用電極による
電解重合の起点として、金属箔、陰極用導電性高分子層
もしくは陰極用金属箔に具備された陰極用導電性高分子
層の何れを選択した場合においても、その導電率を高く
することができ、電解電流が大きくでき、導電性高分子
層の形成速度が大きく、導電性高分子層の形成が容易に
なる。さらに、本発明における電解重合法は、成長しつ
つある重合体が、金属箔の貫通孔を通って陽極用弁金属
箔の厚み方向に、一斉に形成されるので、弁金属箔の大
きさに左右されず、溶液に浸漬された金属箔の表面を短
時間でかつ均一に被覆することができる。従って、導電
性高分子層は、このようにして短時間かつ容易に形成す
ることが可能となり、設計容量に十分近い大きな容量を
取り出せる電解コンデンサを容易に得ることが可能とな
る。
【0022】本発明の製造方法は、重合工程の前に、さ
らに、誘電体層の全面又は一部に接触して陰極層として
利用できるように、予め導電層を形成することも含む。
そのように形成した導電層は、成長しつつある高分子層
と接触し、モノマーの重合のための陽極性の反応開始点
となるものである。こうして、予め形成された導電層
は、電解重合の成長方向での重合速度を加速し、高分子
の領域を陽極層上に拡大し、さらに、厚みを増加させ
る。誘電体層上の導体層は、導電性高分子層が利用で
き、特に、化学的重合された高分子でよく、また二酸化
マンガンなどの酸化物皮膜が利用できる。この導体層の
存在は、電解重合による電解形成導電性高分子層の形成
に有用である。誘電体層は、こうして、電解形成導電性
高分子層により完全に覆うことができる。
【0023】本発明は、さらに、上記の電解コンデンサ
から組立てた積層型、又は捲回型の電解コンデンサを含
む。積層体は、弁金属に接続された陽極リードと、陰極
側導電性高分子層又は集電体に接続された陰極リードを
含む。複数の電解コンデンサユニットは、各々が十分な
容量を持って、積層され、一体化されるので、容量が大
きく寸法の小さい積層型の電解コンデンサが容易に得ら
れる。さらに、捲回型の電解コンデンサは、電解コンデ
ンサユニットが、高容量に比して小さい寸法を有するの
で、十分に大きな容量を得ることができる。電解コンデ
ンサユニットの長さを調整することにより、捲回型電解
コンデンサの容量を自由に調整することができる。
【0024】また本発明の積層型の電解コンデンサの製
造方法においては、数個の電解コンデンサを積層して、
陽極用弁金属箔中の金属表面部を電気的に接続し一体化
した後、一体化した金属表面部以外の陽極用弁金属箔の
一部分を再陽極酸化する工程を含む。その後に、陰極用
導電性高分子層もしくは電解形成導電性高分子層を電気
的に接続する。
【0025】この製造方法により、積層し金属表面部を
一体化する工程において発生する機械的歪みに起因した
酸化皮膜の誘電体層の部分的損傷を、修復することが可
能となり、得られる電解コンデンサはさらに信頼性が高
いものとなる。
【0026】また本発明の捲回型の電解コンデンサの製
造方法は、巻き取った電解コンデンサを、陽極用弁金属
箔の一部分を再陽極酸化する工程とを含めてもよい。電
解コンデンサを巻き取る工程において発生する機械的ス
トレスに起因した酸化皮膜の誘電体層の部分的損傷を、
修復することが可能となり、得られる電解コンデンサは
さらに信頼性が高いものとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサおいて
は、陽極層2に用られる弁金属箔1は、図1(A)に示
すように、表面に多数の細かい貫通孔20を有し、箔の
表面が粗面化されている。陽極用弁金属箔1は、表面を
酸化させて酸化皮膜層が形成されており、これが非常に
薄い誘電体層3として利用される。
【0028】酸化皮膜の誘電体層3上には、図1(B)
には、この誘電体層3の殆ど全面が、電解形成導電性高
分子層4で、被覆し形成される。導電性高分子層4は、
多数の貫通孔の内部にも浸透して、誘電体層3の酸化皮
膜に密着した緻密な導電層を形成する。この電解コンデ
ンサにおいて、酸化皮膜の誘電体層3を挟んで、陽極の
金属箔と、電解形成導電性高分子層4との間で電解型の
コンデンサを形成する。この電解形成高分子層が酸化皮
膜の誘電体層上3の広い領域に形成されて陰極層として
機能し、容量を十分高めることができる。
【0029】本発明において、陽極用弁金属箔1を構成
する金属2は、表面に安定な酸化皮膜を形成し、その酸
化皮膜の絶縁性と誘電率が高い材料が利用され、このよ
うな金属には、アルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁
作用金属が用いられる。弁金属箔は、コストおよび加工
の容易さ等の理由によりアルミニウムがより好ましい。
【0030】陽極用弁金属箔1に形成された多数の貫通
孔20は、電解重合の過程で、重合体を通過させて成長
させるためであるが、貫通孔の半径は、陽極用弁金属箔
1の厚み以下であることが好ましい。貫通孔は弁金属箔
の主面の面積を減少させる。他方、貫通孔は、貫通孔側
面に新たな面積を生じさせる。この貫通孔をせん孔する
ことによって減少する弁金属箔の主面の面積と、せん孔
したことによって生じた貫通孔側面の面積とを比較しし
た場合、前記条件、すなわち貫通孔の半径が、弁作用金
属箔の厚み以下であれば、貫通孔による面積の減少がな
いからである。
【0031】また、貫通孔の表面上の密度、ないし占有
面積は、該金属箔の表面の面積の10%以下であること
が好ましい。あまり多くの貫通孔を形成すると陽極用弁
金属箔の機械的強度が低下し、製造上不都合が生じるか
らである。
【0032】本発明においては、陰極用導電性高分子層
5と電解形成導電性高分子層4に、モノマーから重合さ
せたポリマー自体が導電性を発現するポリマーが利用さ
れる。これら高分子層4、5は、好ましくは、電導度の
高さ、入手容易さ、および化学的物理的安定性の理由に
より、複素環式5員環化合物、例えば、ピロール、チオ
フェン、3−アルキルチオフェン、イソチアナフテンの
モノマーの重合体が利用される。
【0033】(実施の形態1)本発明において、このよ
うな導電性高分子層4は、上記モノマーを電解的に酸化
重合させる方法により形成される。この製造方法は、陽
極用弁金属箔の片側面に予め電解用電極9aを形成もし
くは配置し、これらを正電極として電流を流して電解重
合反応の起点にする。
【0034】この実施形態は、電解用金属シート90、
例えば、ニッケルの、シート又は箔が、電解用電極9a
に広く利用される。尤も、他の金属や無機材料も、もし
モノマー溶液中で、腐食も不動態化もしないで、正電極
として利用できれば、使用することができる。
【0035】電解用電極と弁金属箔とは、互いに接続さ
れて、モノマー溶液中に浸漬される。弁金属に接触した
電解用電極と、溶液中に配置した別体の電解用電極との
間に電流が流され、電解的な重合反応が、その電解用電
極の表面上で陽極酸化により生じる。電解を続けると生
成した重合体の界面でさらに重合反応が連続的に生じ
る。重合体は、金属箔表面に達し、さらに、貫通孔を充
填または貫通孔内部を伝って、金属箔の他の表面側に出
て、弁金属箔を覆いながらの厚み方向に一体的かつ連続
的に成長し、緻密で均一な高分子層が金属箔全面に形成
される。
【0036】この結果、従来の方法に比較して短時間に
必要十分な導電性高分子層を形成することが可能とな
り、製造工程を簡素化でき、製造コストを低減させるこ
とが可能となる。
【0037】このように形成した電解コンデンサには、
弁金属箔2と、電解形成導電性高分子層4とに、それぞ
れ、陽極引出し用および陰極引出し用として別の導電性
物質例えば金属製コムを接続し、さらに全体を樹脂でモ
ールドして最終製品とする。
【0038】本発明の電解コンデンサの製造方法を以下
にさらに詳細に説明する。 (a)まず、陽極用弁金属箔1に、貫通孔20を形成
し、箔表面を粗面化する。この工程では、貫通孔20
は、好ましくは、内径が0.05〜0.5mm程度の範
囲で、箔表面内に均一に多数が形成される。これら貫通
孔は、電解重合の過程で、重合体を貫通させて成長させ
るためである。貫通孔の半径は、上述の如く、陽極用弁
金属箔の厚み以下であることがより好ましい。貫通孔2
0は、金属箔にパンチングマシーンやドリルによる機械
的な穿孔や化学的エッチングによる方法およびこれらを
組み合わせた方法により多数形成される。
【0039】陽極用の弁金属箔の表面を粗面化には、電
解液中での交流エッチング、直流エッチングの方法、サ
ンドブラスト法等のように機械的に表面を粗面化する方
法およびこれら方法を組み合わせた方法を利用すること
が可能である。
【0040】(b)陽極用弁金属箔の表面を陽極酸化し
て酸化皮膜の誘電体層を形成する。この工程は、アルミ
箔の場合には、陽極酸化液中で表面の陽極酸化処理を行
ってアルミニウム箔表面に酸化皮膜層3としての酸化ア
ルミニウム層を形成する。酸化皮膜層を形成する手段と
して、陽極酸化液中での定電圧陽極酸化や定電流陽極酸
化などの従来の方法が使用される。
【0041】(c)次に、陽極用弁金属箔の表面の一部
に金属表面部を形成する。アルミニウム箔表面の酸化ア
ルミニウム層の一部を研磨剥離し又は切断して、金属表
面部6としての金属アルミニウムが露出させられる。別
の露出方法には、上記(b)の酸化皮膜の誘電体層を形
成する工程に先立って、陽極用金属箔の金属表面の一部
を塗料や粘着テープ等でマスキングし、陽極酸化後にマ
スキングを除いて金属表面露出させることもできる。
【0042】(d)次に、陽極用弁金属箔の片側面に電
解用電極9aを配置する。この工程において、電解用電
極9aは、電解用金属シート90が利用され、電解用金
属シート90は、酸化皮膜層3が接触するように弁金属
箔を取着する。一例は、重合用に電解用電極9aとして
電解用金属シート90(例えば、ニッケルシート12)
が、図3(A)に示したように、酸化皮膜誘電体層3に
接触させることができる。
【0043】(e)次に弁金属箔の誘電体層3上に、電
解重合により電解形成導電性高分子層4を形成する。こ
の電解重合工程では、図3(B)に示すように、先の工
程で電解用電極9a(ニッケルシート)に担持させた弁
金属箔2が、導電性ポリマーへ重合するモノマー溶液1
1(例えば、ピロール溶液)中に浸漬され、該電解用電
極9aを正電極にし、溶液中に配置した別の電極9bを
陰極にして電解処理されて、弁金属箔表面に導電性高分
子層を形成する。
【0044】電解用の電解用電極9a(ニッケルシー
ト)に対して、別の電極9bは(同程度の面積を有する
ニッケルシートを好ましく利用するが)、弁金属箔に対
して電解用の電解用電極9a(ニッケルシート)の反対
側に配置される。これにより、容器10に満たしたモノ
マー溶液11(例えば、ピロール溶液)中に対向させ
て、電流を流すと、電流が多数の貫通孔20を流れるよ
うに配置することが重要である。
【0045】電解重合により、電解用電極9aとしての
電解用金属シート90を起点にして溶液中のモノマーを
重合させながら、ポリマーを、弁金属箔1に接着させ、
さらに、ポリマーを貫通孔20に充填し且つ通過させる
ように、(主に図4に示すように矢印の方向に)成長さ
せる。一定時間電流を流して、金属箔の他面側にも、ポ
リマーを形成し、こうして電解形成による導電性高分子
層4が形成される。次に電解用電極9aとしての電解用
金属シート90のニッケルシート12から弁金属箔1を
剥離する。
【0046】(f)さらに、前記(d)の工程と同様な
方法で、剥離した弁金属箔1の反対面に電解用電極9a
を配置し、引き続き前記(e)と同様な方法により、電
解形成導電性高分子層4を酸化皮膜の誘電体層3上に形
成する。上記工程により、最終的に電解用電極9aを剥
離すると、図1(A)および(B)、図2(A)および
(B)に示したような電解コンデンサが得られる。
【0047】本発明の方法は、陽極用弁金属箔の片側面
に配置した電解用電極を起点にして、一斉に主に陽極用
弁金属箔の厚み方向にこの電解形成導電性高分子層を一
体的かつ連続的に形成することが可能となる。そこで、
従来の方法に比較して短時間かつ容易に導電性高分子層
を形成することが可能となり、製造工程を簡素化でき、
製造コストを低減させることが可能となる。
【0048】上記電解重合工程に先立って、事前に導電
層が酸化皮膜上に形成され、その後電解酸化重合法によ
り電解形成導電性高分子層4が形成されてもよい。導電
層としては、硝酸マンガンの熱分解によって形成された
二酸化マンガンや、化学重合法による導電性高分子層が
好ましい。電解重合の工程では、上記の電解用電極を起
点にして電解重合が開始され、導電性の重合体が、酸化
皮膜上の導電層に達して接触すると、導電層が重合の起
点として、さらにモノマーの重合を促進して導電性重合
体を形成し成長させる。従って、電解形成導電性高分子
層が、緻密に酸化皮膜を覆うと共に、導電性高分子層の
形成を促進することができる。
【0049】(実施の形態2)この実施形態の電解コン
デンサは、酸化皮膜の誘電体層3上には、図5に示すよ
うに、上記の陽極用弁金属箔1の片側面に陰極用導電性
高分子層5が形成され、電解形成導電性高分子層4が、
酸化皮膜の誘電体層3の殆ど全面を被覆し且つ、貫通孔
内部も充填されている。陰極用導電性高分子層5は電解
形成導電性高分子層4に電気的に接続されて、電解コン
デンサとされている。
【0050】この電解コンデンサにおいて、酸化皮膜の
誘電体層3を挟んで、陽極の弁金属箔1と、電解形成導
電性高分子層4との間で電解型のコンデンサを形成し、
この電解形成高分子層4が酸化皮膜の誘電体層上3の広
い領域に形成されて陰極として機能し、容量を十分高め
ることができる。
【0051】このような電解形成導電性高分子層4は、
上記モノマーを電解的に酸化重合させる方法により形成
される。この実施例では、陰極用導電性高分子層5が電
解用電極9aの一部として利用される。電解用金属シー
ト90が、その陰極用導電性高分子層5の表面に予め形
成される。即ち、この実施例は、電解用電極9aが、電
解用金属シート90と陰極用導電性高分子層5とから成
っている。
【0052】電解用電極9aを正電極にし、溶液中の別
の電極9bを負電極にして、電流を流すと、電解重合反
応が、正電極としての陰極用導電性高分子層5上で起こ
る。電解を続けると、生成した重合体の界面でさらに重
合反応が連続的に生じる。重合体は、弁金属箔1表面に
達し、さらに、貫通孔20を充填若しくは被覆して、弁
金属箔1の他の表面側に出て、金属箔1を覆いながらの
厚み方向に一体的かつ連続的に成長し、緻密で均一な高
分子層が金属箔全面に形成される。
【0053】弁金属2と陰極用導電性高分子層5および
電解形成導電性高分子層4の少なくとも一方の少なくと
も一部分にそれぞれ、陽極引出し用および陰極引出し用
として別の導電性物質例えば金属製コムを接続し、さら
に全体を樹脂等でモールドして最終製品とする。
【0054】この実施形態の電解コンデンサの製造方法
が以下に説明される。実施の形態1と同様にして(a)
金属箔が作られ、(b)陽極用弁金属箔の表面を陽極酸
化して酸化皮膜の誘電体層が形成され、(c)陽極用弁
金属箔の表面の一部に金属表面部が形成される。
【0055】この実施形態では、(d)電解重合のため
に、電解用電極9aとして、陽極用弁金属箔1の片側面
に陰極用導電性高分子層5が形成される。この工程にお
いて、電解用金属シート90に導電性高分子層を予め形
成又は取着し、この導電性高分子層5に、酸化皮膜層3
が接触するように弁金属箔を取着する。
【0056】電解用電極9aとして電解用金属シート9
0(例えば、ニッケルシート)を使用して、このニッケ
ルシートには、陰極用導電性高分子層5を取着又は形成
する。例えば、電解用金属シート90の片側表面に重合
可能な導電性モノマー、例えば、ピロールから、電解酸
化重合法によりポリマー、例えば、ポリピロールの層に
より導電性高分子層5を形成することもできる。電解用
電極9aの電解用金属シート90上に上記導電性高分子
層5を事前に機械的に圧着しても良い。
【0057】電解用電極上の陰極用導電性高分子層5に
弁金属箔1を密着させて、図7(A)に示したように、
酸化皮膜層3を高分子層5に接触させる。高分子層5が
酸化皮膜層3と機械的に圧着させて、弁金属箔1に固着
させることもできる。
【0058】(e)次に金属箔の酸化皮膜の誘電体層上
に、陰極用導電性高分子層と電気的に接続した電解形成
導電性高分子層を形成する。図7(B)に示すように、
先の工程で電解用電極9aに担持させた弁金属箔1は、
導電性モノマー溶液中に浸漬され、該電極9aを正電極
にして電解処理されて、弁金属箔表面に電解形成導電性
高分子層を形成する。この電解重合工程では、電解用電
極9aを正電極とし、その対極となる別の電解用電極9
bとして同等面積のニッケルシートを負電極として、容
器10に満たしたモノマー溶液11(例えば、ピロール
溶液)中に対向させて、電流を流す。電解により陰極用
導電性高分子層5を起点にして新しい高分子が生成して
弁金属箔1の貫通孔2を充填若しくは被覆しながら、主
に図8(A)に示すように電解形成導電性高分子層4を
形成する。所定時間電流を流して電解形成導電性高分子
層4を形成する。
【0059】上記工程により、最終的に電解用金属シー
ト90としてのニッケルシートを陰極用導電性高分子層
5との界面から剥離すると、図1(A)、(B)と図6
(A)、(B)に示したような電解コンデンサが得られ
る。
【0060】上記工程(d)(e)において、陰極用電
極9aとしては、陰極用導電性高分子層5が十分厚く、
電気抵抗が十分低いものであれば電解用金属シート90
は必ずしも必要でない。この電解工程として、図8
(B)に示したように、陰極用の導電性高分子層5と対
極9bの間に電流を流して電解する方法を採ることもで
きる。
【0061】この実施形態においても、上記工程(e)
において、誘電体酸化皮膜3上に事前に導電層を形成
し、電解形成導電性高分子層4が、その後電解酸化重合
法により形成され得ることは、上記の通りである。
【0062】この製造方法により、陰極用導電性高分子
層と電気的に接続した電解形成導電性高分子層を誘電体
酸化皮膜上に容易に形成することが可能となり、しかる
に設計容量に十分近い大きな容量を取り出せる電解コン
デンサを容易に得ることが可能となる。
【0063】本発明の方法は、陽極用弁金属箔の片側面
に形成もしくは配置した陰極用導電性高分子層を起点に
して、一斉に主に陽極用弁金属箔の厚み方向にこの電解
形成導電性高分子層を一体的かつ連続的に形成すること
が可能となるので、従来の方法に比較して短時間かつ容
易に導電性高分子層を形成することが可能となり、製造
工程を簡素化でき、製造コストを低減させることが可能
となる。
【0064】(実施の形態3)この形態は、酸化皮膜の
誘電体層3上には、図9には、陽極用弁金属箔1の片側
面に陰極用導電性高分子層5が形成され、酸化皮膜の誘
電体層3の殆ど全面を、電解形成導電性高分子層4が被
覆し、高分子層4は貫通孔内も含んでいる。陰極用集電
体13は、陰極用導電性高分子層5を介して、電解形成
導電性高分子層4に電気的に接続されて、電解コンデン
サとされている。この電解形成高分子層が酸化皮膜の誘
電体層上3の広い領域に形成されて陰極として機能し、
容量を十分高めることができる。さらに、該電解形成導
電性高分子層4に電気的に接続した陰極用金属箔13が
形成されており、陰極用金属箔13がリード取り出しに
利用される。
【0065】弁金属2と陰極用集電体13にそれぞれ、
陽極引出し用および陰極引出し用として別の導電性物質
例えば金属製コムを接続し、さらに全体を樹脂等でモー
ルドして最終製品とする。
【0066】本発明の電解コンデンサの製造方法を以下
に示す。この実施の形態の製造法において、陽極用の弁
金属箔に貫通孔を形成し箔表面を粗面化する工程、陽極
用弁金属箔の表面を陽極酸化して酸化皮膜の誘電体層を
形成するこの工程、および陽極用弁金属箔の表面の一部
に金属表面部を形成する工程については、前述で述べた
製造方法の(a)〜(c)と同様な工程を行う。
【0067】(d)次に、陽極用弁金属箔の片側面に陰
極用導電性高分子層を形成もしくは配置する。この工程
において、陰極用集電体13となる金属箔に導電性高分
子層を形成又は取着し、この導電性高分子層に、酸化皮
膜層3が接触するように弁金属箔を取着する。
【0068】この工程の一例は、まず電解用電極シート
90として、陰極用集電体13を兼ねて、金属箔又はシ
ート(例えば、ニッケルシート)を使用して、このニッ
ケルシートの片側表面に重合可能な導電性モノマー、例
えば、ピロールから、電解酸化重合法によりポリマー層
により導電性高分子層5を形成する。この工程において
は、電解用電極シート90上に上記導電性高分子層5を
事前に機械的に圧着しても良い。
【0069】次に陰極用導電性高分子層5の上に弁金属
箔1を配置して、図11(A)に示したように、酸化皮
膜層3を高分子層5に接触させる。高分子層5が酸化皮
膜層3と機械的に圧着させて、弁金属箔1に固着させる
こともできる。 (e)次に弁金属箔の酸化皮膜の誘電体層上に、陰極用
導電性高分子層と電気的に接続した電解形成導電性高分
子層を形成する。
【0070】図11(B)に示すように、先の工程で電
解用電極シート90(陰極用集電体13(ニッケルシー
ト))に担持させた弁金属箔1は、導電性モノマー溶液
中に浸漬され、該電解用電極シート90を正電極にして
電解処理されて、弁金属箔表面に電解形成導電性高分子
層を形成する。この電解重合工程では、電解用電極シー
ト90(陰極用集電体13)と陰極用導電性高分子層と
を電解用電極9aの正電極とし、その対極9bとして同
等面積のニッケルシートを負電極として、容器10に満
たしたモノマー溶液11(例えば、ピロール溶液)中に
対向させて、電流を流す。
【0071】電解により陰極用集電体13上の陰極用導
電性高分子層5を起点にして主に図12に示すように矢
印の方向に電解形成導電性高分子層4としてのポリピロ
ールを重合させながらその重合体を成長させ、一定時間
電流を流して電解形成導電性高分子層4を形成する。上
記工程により、図9と、図10(A)、(B)に示した
ような電解コンデンサが得られる。この電解コンデンサ
は、陰極用集電体13を具備して、容量の取出しの容易
な電解コンデンサを得ることができる。
【0072】(実施の形態4)この実施形態の電解コン
デンサは、陽極用弁金属箔と陰極用導電性高分子層とを
含む単位電解コンデンサを積層して、多層体構造とす
る。図13に示す積層型の電解コンデンサでは、図5に
示した複数の電解コンデンサが、その主面側を交互に重
積して、積層されている。陽極引出し電極7が、個々の
単位コンデンサ全ての弁金属2、金属表面部6と電気的
に接続され、陰極用導電性高分子層5および電解形成導
電性高分子層4とは電気的に絶縁されている。
【0073】陰極引出し電極8が、個々の陰極用導電性
高分子層5および個々の電解形成導電性高分子層4と電
気的に接続され、金属表面部6とは電気的に絶縁されて
いる。このようなコンデンサの積層体は、さらに全体を
封入用の樹脂でモールドされ、電解コンデンサ最終成形
体とされる。この例の電解コンデンサは、単位コンデン
サ自体が大きい容量を有し、この単位コンデンサを、複
数個積層し一体化して、小型大容量の電解コンデンサを
容易に得ることができる。
【0074】このような積層型の電解コンデンサは、以
下のような方法で製造することができる。 (a)複数個の電解コンデンサを積層する工程として、
図5(A)、(B)に示したような電解コンデンサを単
位コンデンサとし、この例では、4個の単位コンデンサ
が、図13のように各単位コンデンサの金属表面部6が
同じ位置になるように積み重ねられている。
【0075】(b)これらの単位コンデンサは、陽極用
弁金属箔の金属表面部において電気的に接続されて、1
つのコンデンサに一体化される。積層した個々の電解コ
ンデンサの金属表面部6を物理的に固定し、かつ電気的
に導通している状態にされる。この工程には、陽極用電
極7としてのニッケルシートを導電性接着剤で貼着する
方法、金具等で圧着する方法、溶接する方法、およびこ
れらの方法を組み合わせた方法など適当な方法を採るこ
とができる。一体化させるための材料についても、先の
要件を満たせば金属、樹脂が用いられる。
【0076】(c)これらの陽極用弁金属箔の陰極用導
電性高分子層を電気的に接続し一体化する。積層した個
々の電解コンデンサは、陰極用導電性高分子層5もしく
は電解形成導電性高分子層4において物理的に固定され
も、かつ電気的に導通されている。一体化する具体的方
法には、陰極用引出し電極8としての金属、例えば、ニ
ッケルシート、を導電性接着剤で貼り付ける方法、金具
等で圧着する方法、さらに導電性高分子を化学重合法や
電解酸化重合法により形成させ一体化する方法が利用で
き、さらに一体化させるための材料には、先の要件を満
たせば金属、樹脂が利用される。上記(b)の工程と、
(c)の工程とは、先後を替えてもよい。
【0077】上記工程を順次経て、図13に示したよう
な電解コンデンサが得られる。さらに、全体を樹脂等で
モールドして最終製品とするのがよい。
【0078】この製造方法により、個々に設計値に対し
て容量が十分取り出せるコンデンサユニットを複数個積
層し一体化した結果、小型大容量の電解コンデンサを容
易に得ることが可能となる。積層した電解コンデンサの
数については、最終電解コンデンサの寸法と静電容量に
あわせて適宜調整される。本発明の電解コンデンサは、
陽極用弁金属箔と陰極用導電性高分子層とを含む単位電
解コンデンサを積層して、多層体構造とすることを特徴
としている。この例は、積層する単位電解コンデンサと
して、図5に示した電解コンデンサを用い、積層多層体
構造としたが、これ以外にも図1および図9に示した電
解コンデンサを単位電解コンデンサとして積層した場合
でも、同様な効果作用を得られる。
【0079】(実施の形態5)本発明の電解コンデンサ
の製造方法においては、さらに、陽極用弁金属箔の一部
分を再陽極酸化する工程を含むこともできる。この場
合、(a)単位電解コンデンサを積層して、(b)陽極
用弁金属箔の金属表面部を電気的に接続し一体化したあ
と、(c)陽極用弁金属箔の一部分を再陽極酸化され
る。再陽極酸化の工程は、積層した電解コンデンサの金
属表面部以外の陽極用弁金属箔部分に対して、再び陽極
酸化液中で陽極酸化を行って、酸化アルミニウム層を形
成する。この工程において、酸化する手段として、陽極
酸化液中での定電流式、又は定電圧陽極酸化の従来の方
法が利用できる。さらに、陽極酸化処理後は、陰極用導
電性高分子層を電気的に接続し一体化する。
【0080】この製造方法によれば、積層工程や金属表
面部を一体化する工程において発生する機械的ストレス
に起因した酸化皮膜の誘電体層の部分的損傷を、後工程
(c)により、修復することが可能となる。その結果、
得られる電解コンデンサはさらに信頼性が高いものとな
る。
【0081】(実施の形態6)この実施形態は、巻回型
の電解コンデンサを含み、陽極用弁金属箔と陰極用導電
性高分子層とを含む単位電解コンデンサをコイル状に巻
回して多層構造とするものである。巻回型の電解コンデ
ンサの例を図14(A)、(B)とに示す。
【0082】図14(A)は、先ず、図1(B)もしく
は図5に示すような単位電解コンデンサを長尺の陽極用
弁金属箔2から形成し、弁金属箔1の一端部に金属表面
6を露出させ、この長尺の単位電解コンデンサを他端側
から巻き込んで、コイル状にし、当該一端部の表面金属
部6をコイルの外周面に形成してある。表面金属部6か
ら陽極用リードを取付け、陰極用導電性高分子層5およ
び電解形成導電性高分子層4の少なくとも一方の少なく
とも一部に陰極用リードを取りつけて、コンデンサとす
ることができ、小型大容量の電解コンデンサを得ること
が可能となる。巻回型は、電解コンデンサの長さを変え
るだけで、静電容量を容易に変更することが可能であ
り、製造を容易にすることが可能となる。
【0083】図14(B)は、別の巻回型の電解コンデ
ンサであり、単位電解コンデンサを長尺の陽極用弁金属
箔1から形成し、弁金属箔1の側縁部に表面金属6を形
成し、単位電解コンデンサを端部側から巻き込んで、当
該側縁部の表面金属部6を、形成したコイルの端部に形
成してある。
【0084】弁金属2に陽極用のリードとしては、他の
導電性材料、例えば、金属製コムが接続される。さらに
陰極用導電性高分子層5および電解形成導電性高分子層
4の少なくとも一方の一部分に陰極用に別の導電性材
料、例えば金属製コム、を接続した後、全体を樹脂等で
モールドして最終形態の電解コンデンサとすることもで
きる。
【0085】巻き取った後、固定する方法としては、金
属表面部6と陰極用導電性高分子層5とが電気的に絶縁
されている要件を満足すれば、エポキシ樹脂などの樹脂
で接着する方法も利用できる。
【0086】また、最終製品を得るためには、陰極用導
電性高分子層5および電解形成導電性高分子層4と電気
的に絶縁をしつつ、かつ弁金属2からなる金属表面部6
と電気的に接続している陽極引出し電極(不図示)と、
金属表面部6と電気的に絶縁しつつ、かつ陰極用導電性
高分子層5および電解形成導電性高分子層4と電気的に
接続された陰極引出し電極(不図示)とを形成し、全体
をモールド用樹脂(不図示)で外装を施す。
【0087】(実施の形態7)巻回型の電解コンデンサ
の製造においても、再陽極酸化する工程が採用できる。
ロール状に巻回した電解コンデンサついて、接続のため
の金属表面部を除いて、陽極用弁金属箔が再陽極酸化さ
れる。この工程は、巻き取った電解コンデンサの陽極用
弁金属箔、再び陽極酸化液中で陽極酸化処理を行って、
酸化アルミニウム層を形成する。この工程では、陽極酸
化液中での定電圧陽極酸化または定電流陽極酸化の従来
方法が採用される。
【0088】この再陽極酸化は、単位電解コンデンサを
巻き取る工程において発生する機械的ストレスに起因し
た酸化皮膜の誘電体層の部分的損傷を、修復することが
可能となる。その結果、得られる電解コンデンサはさら
に信頼性が高いものとなる。
【0089】
【実施例】(実施例1) (a)まず貫通孔を具備し、表面を粗面化した陽極用弁
金属箔1を準備した。純度99. 98%以上で厚み10
0μm、幅5mm、長さ13mmのアルミニウム箔(軟
質材)を準備した。次に陽極用弁金属箔に貫通孔を形成
する手段として、上記アルミニウム箔の表面にパンチン
グマシーンを用いて0. 2mm径の貫通孔を50個/c
2 の密度で形成した。さらに陽極用弁金属箔1の表面
を粗面化する手段として、貫通孔を形成した上記アルミ
ニウム箔に対し、濃度10wt%、液温30℃の塩酸溶
液を電解液とし、電流密度0. 2A/cm2 、周波数2
0Hzで交流エッチングを行った。
【0090】(b)次に陽極用弁金属箔1の表面を酸化
して酸化皮膜の誘電体層3を形成する工程として、液温
が60℃で、濃度が5wt%のアジピン酸アンモニウム
の水溶液を陽極酸化液として、陽極酸化電圧20Vで定
電圧陽極酸化を行い、陽極用弁金属箔表面に酸化皮膜の
誘電体層3としての酸化アルミニウムを形成した。
【0091】(c)次に陽極用弁金属箔1の表面の一部
に金属表面部6を形成する工程として、陽極用弁金属箔
1表面の酸化アルミニウムの一部(陽極用弁金属箔1の
端部、幅5mm×長さ2mm)をサンドペーパーで研磨
剥離して、金属表面部6としての露出したアルミニウム
表面を形成した。上記工程より得られたアルミニウム箔
上の誘電体酸化皮膜全体の静電容量を導電率が50mS
/cmのホウ酸アンモニウム水溶液中、10Hzで測定
した結果(以下、箔容量と記す)、平均28.2μFで
あった。
【0092】(d)次に金属表面部6を除いて、陽極用
弁金属箔1の片側に電解用電極9aを配置した。電解用
金属シート90として幅10mm、長さ20mm、厚み
50μmのニッケルシートを準備した。このニッケルシ
ート上に先の陽極用弁金属箔1としてのアルミニウム箔
を金属表面部6がニッケルシートに接しないように注意
しながら配置し、酸化皮膜層3を電解用電極シート90
に接触させた。
【0093】(e)次に酸化皮膜の誘電体層3上に、電
解形成導電性高分子層4を以下のように形成した。モノ
マー溶液は、モノマーとしてのピロールを1mol/l
と、電解質としてのアーリルスルホン酸ナトリウムを2
wt%を含む10%イソプロピルアルコール水溶液を使
用した。
【0094】このモノマー溶液11を20℃に調整した
後、液中に、上記の電解用電極9aに配置した弁金属箔
1を浸漬し、図3(B)と図4に示しすように、別に電
解用電極9bとして、幅10mm、長さ20mm、厚み
50μmのニッケルシートを、試料に対向して1cmの
間隔をもって配置した。
【0095】電解用電極9aを正電極とし、10Vの電
圧を5分間印可して電解形成導電性高分子層4としての
ポリピロールを電解的に重合形成した。その後、剥離し
た電解用電極9aとしてのニッケルシートを弁金属箔1
から剥離した。
【0096】(f)さらに、剥離した電解用電極シート
90としてのニッケルシートを、上記(d)工程と同様
の方法により、陽極用弁金属箔1の先ほどとは反対の面
に配置した。引き続き、このニッケルシートを正電極と
し、上記(e)工程と同様な方法により、5分間電流を
流して、さらに誘電体酸化皮膜3上に電解形成導電性高
分子層4を形成した。本実施例における電解形成導電性
高分子層4は、合計10分間の電流を流したことによっ
て、重合形成(電解酸化重合法)されたものである。以
上の工程を経て、図1(B)に示したような構成の電解
コンデンサを得た。
【0097】(g)上記の工程を順次経て選られた電解
コンデンサの電解形成導電性高分子層4としてのポリピ
ロール上にカーボンを含む導電性接着剤(不図示)およ
び銀ペースト(不図示)を用いて陰極引出し電極8とし
てのL字型ニッケルシートを、図15に示すように、電
解コンデンサの端部に接着固定した。さらにもう一方の
端部には、陽極引出し電極7としてのL字型ニッケルシ
ートを金属表面部6に溶接し、固定した。つづいて、陽
極引出し電極7としてのニッケルシートと陰極引出し電
極8としてのニッケルシートとを担持させた電解コンデ
ンサ全体をエポキシ樹脂(不図示)を用いてモールド
し、最終的に両端部を研磨することにより、陽極引出し
電極7としてのニッケルシートの表面と陰極引出し電極
8としてのニッケルシートの表面を露出させ素子とし
た。
【0098】(実施例2)この実施例2においては、ま
ず前述の(実施例1)における(a)、(b)および
(c)と同様な工程を経て、陽極用弁金属箔1を得た。
【0099】(d)次に金属表面部6以外でかつ陽極用
弁金属箔1の片側に陰極用導電性高分子層5を形成し
た。まず、電極9aとして、幅10mm、長さ20m
m、厚み50μmのニッケルシートを準備した。このニ
ッケルシートの片側表面に電解酸化重合法により陰極用
導電性高分子層5としてのポリピロールを幅5mm×長
さ9mm×厚み20μmで形成した。
【0100】このニッケルシート表面のポリピロール上
に、アルミニウムの弁金属箔を金属表面部6がポリピロ
ールに接しないように、配置し、プレス機により10k
g/cm の圧力をかけて仮圧着して、図7(A)に
示したような試料を作った。
【0101】(e)試料は、実施例1のモノマー溶液1
1中で電解重合して電解形成導電性高分子層を形成し
た。このモノマー溶液11中に、上記の試料を浸漬し、
図7(B)と図8(A)に示しすように、他方の電極9
bとして、幅10mm、長さ20mm、厚み50μmの
ニッケルシートを、試料に対向して1cmの間隔をもっ
て配置した。
【0102】試料を仮圧着したほうの電解用電極9bの
ニッケルシートを正電極とし、10Vの電圧を10分間
印可して電解形成導電性高分子層4としてのポリピロー
ルを重合形成(電解酸化重合法)した。重合後に、電解
用電極9bを陰極用導電性高分子層5から剥離して、電
解コンデンサを得た。
【0103】(f)上記の工程を順次経て選られた電解
コンデンサには、ポリピロールの陰極用導電性高分子層
5上に、カーボンを含む導電性接着剤(不図示)および
銀ペースト(不図示)を用いて陰極引出し電極8を形成
した。
【0104】陰極引出し電極8は、L字型ニッケルシー
ト用いて、図16に示すように、電解コンデンサの端部
に接着固定した。さらにもう一方の端部には、陽極引出
し電極7としてのL字型ニッケルシートを金属表面部6
に溶接し、固定した。つづいて、陽極引出し電極7とし
てのニッケルシートと陰極引出し電極8としてのニッケ
ルシートとを担持させた電解コンデンサ全体をエポキシ
樹脂(不図示)を用いてモールドし、最終的に両端部を
研磨することにより、陽極引出し電極7としてのニッケ
ルシートの表面と陰極引出し電極8としてのニッケルシ
ートの表面を露出させ素子とした。
【0105】(実施例3)この実施例においては、まず
前述の実施例1の陽極用弁金属箔が利用された。 (d)金属表面部6以外でかつ陽極用弁金属箔1の片側
に陰極用導電性高分子層5を次のように形成した。陰極
用金属箔13として、幅5mm、長さ20mm、厚み3
0μmのニッケル箔を使用して、その片側表面に電解酸
化重合法により陰極用導電性高分子層5としてのポリピ
ロールを幅5mm×長さ9mm×厚み20μmで形成し
た。
【0106】このニッケル箔表面のポリピロール上に先
の陽極用弁金属箔1としてのアルミニウム箔を実施例2
と同様に配置し、プレス機により同様の圧力で、仮圧着
して図11(A)に示したような試料を作った。
【0107】(e)次に酸化皮膜の誘電体層3上に、陰
極用導電性高分子層5に電気的に接続した電解形成導電
性高分子層を形成する工程として、以下のようにした。
実施例1で調整したモノマー溶液11中に、上記の試料
を浸漬し、図11(B)と図12に示しすように、他方
の電極9bとして、幅10mm、長さ20mm、厚み5
0μmのニッケルシートを、試料に対向して1cmの間
隔をもって配置したあと、同様に電解重合してポリピロ
ールを重合形成した。その後、余分なポリピロールが重
合しないようにするために施した塗装を剥離し、図9に
示したような構成の電解コンデンサを得た。
【0108】(f)上記の工程を順次経て得られた電解
コンデンサの陰極用金属箔13をL字型に折り曲げ、余
分な部分を切除した。さらにもう一方の端部には、陽極
引出し電極7としてのL字型ニッケルシートを金属表面
部6に溶接し、固定し、図17に示したような電解コン
デンサを得た。つづいて、陽極引出し電極7としてのニ
ッケルシートと陰極用金属箔13としてのニッケル箔と
を担持させた電解コンデンサ全体をエポキシ樹脂(不図
示)を用いてモールドし、最終的に両端部を研磨するこ
とにより、陽極引出し電極7としてのニッケルシートの
表面と陰極用金属箔13としてのニッケル箔の表面を露
出させ素子とした。
【0109】(実施例4〜6)ここで以下に述べる実施
例4、5および実施例6は、電解形成導電性高分子層4
を電解酸化重合法により形成する工程の前に、導電層と
して二酸化マンガン層(不図示)を酸化皮膜上に直接形
成したこと以外は、それぞれ、先に述べた実施例1〜3
と構成および製造方法を同一とした。すなわち、これら
の実施例4〜6による陽極素子は、それぞれ、先に述べ
た実施例1〜3と比較して、各実施例の素子は、事前に
形成された導電層上に、その後電解酸化重合法により形
成された電解形成導電性高分子層が構成されている点が
相違する。
【0110】各実施例における導電層の形成は以下の方
法によった。前述実施例1における(a)〜(c)工程に
よる陽極用弁金属箔を硝酸マンガンに5分間浸漬し、そ
の後、250℃−10分の熱処理を施すことで、該硝酸
マンガンを熱分解し、酸化皮膜の誘電体層3上に二酸化
マンガン層(不図示)を形成した。
【0111】導電層形成後、引き続き、上記導電層の形
成工程以外の工程について、それぞれ実施例1、実施例
2および実施例3と同じ工程により、各素子が製作さ
れ、それぞれ実施例4、実施例5および実施例6とし
た。
【0112】(比較例) (a)表面を粗面化した陽極用弁金属箔を準備する工程
として、純度99. 98%以上で厚み100μm、幅5
mm、長さ13mmのアルミニウム箔(軟質材)を準備
し、貫通孔を有しない点を除いて、実施例1(a)と同
様の工程により、表面が粗面化され、陽極酸化処理され
てた陽極用弁金属箔を得た。得られたアルミニウム箔上
の誘電体酸化皮膜全体の箔容量は、先の実施例1と同様
な測定方法により測定した結果、28.4μF(10H
z)であった。
【0113】(d)上記の工程によって得られた陽極用
弁金属箔としての貫通孔を持たないアルミニウム箔上の
酸化アルミニウム表面に硝酸マンガンの熱分解により二
酸化マンガン層を形成し、この二酸化マンガン層を電極
とした。具体的には、硝酸マンガンに5分間浸漬し、そ
の後、250℃−10分の熱処理を施すことで、該硝酸
マンガンを熱分解し、酸化皮膜の誘電体層3上に二酸化
マンガン層(不図示)を形成した。
【0114】さらに、実施例1と同様な方法により、上
記のモノマー溶液を利用して陰極用の導電性高分子層を
形成した。このモノマー溶液11中に、電極9としての
幅10mm×長さ20mm×厚み50μmのニッケルシ
ートと前述の二酸化マンガンを形成したアルミニウム箔
とを1cmの間隔をもって対向させ担持させた。次にモ
ノマー溶液11の液温を20℃に調整した後、二酸化マ
ンガン層側を+極とし、10Vの電圧を前述(実施例
1)と同様に10分間印可してポリピロールを重合形成
(電解酸化重合法)した。
【0115】(e)上記の工程を順次経て選られた電解
コンデンサに対し、実施例1(f)と同様な方法で陽極
引出し電極としてのニッケルシートと陰極引出し電極と
してのニッケルシートとを固定し、全体をエポキシ樹脂
でモールドした後、両端部を研磨することで素子を得
た。
【0116】実施例1〜6および比較例により得られた
各10個の電解コンデンサの容量(以下、素子容量と記
す)の測定を行った。その容量測定の結果を表1に示
す。表中の値は各試料10個に対して測定を行った結果
の平均値である。
【0117】
【表1】
【0118】表1から明らかなように、本発明による実
施例1〜6の電解コンデンサは、従来の方法による比較
例のアルミニウム固体電解コンデンサに比べ設計値に対
する容量達成率において優れたものである。比較例は、
容量達成率が著しく低い。電解酸化重合法による導電性
高分子としてのポリピロールの形成が10分間では不十
分であることに起因すると考えられる。
【0119】一方本発明による実施例1の場合、陽極用
弁金属箔の片側面に配置した電解用電極を起点にして一
斉に、主に陽極用弁金属箔の厚み方向にこの電解形成導
電性高分子層を一体的かつ連続的に形成することが可能
となった結果、従来の方法に比較して短時間(本実施例
1においては合計10分間)に導電性高分子層を形成で
き、十分な容量達成率を得ることが可能となったと考え
られる。
【0120】また、本発明による実施例2および3の場
合も同様に、陽極用弁金属箔の片側面に形成もしくは配
置した陰極用導電性高分子層を起点にして一斉に、主に
陽極用弁金属箔の厚み方向にこの電解形成導電性高分子
層を一体的かつ連続的に形成することが可能となった結
果、従来の方法に比較して短時間(本実施例においては
10分間)に導電性高分子層を形成でき、十分な容量達
成率を得ることが可能となったと考えられる。
【0121】さらに、本発明による実施例3〜6は、本
発明による実施例1〜3に比較して、容量の達成率がさ
らに優れたものである。これら本発明による実施例3〜
6については、前述実施例1〜3の効果に加え、事前に
導電層を形成したことによって、同じ重合時間(本実施
例においては10分間)で形成された電解形成導電性高
分子層による酸化皮膜の誘電体層の被覆がより完全なも
のとなった結果であるといえる。すなわち、酸化皮膜上
に導電層の形成により、より効率的な製造が可能となる
といえる。
【0122】(実施例7)実施例2の(a)〜(b)の
工程と同様にして、電解コンデンサを製造した。電解コ
ンデンサに使用したアルミニウム箔の箔容量は、同様に
50mS/cmのホウ酸アンモニウム水溶液中、10H
zで測定して28.2μFであった。
【0123】(f)次に複数個の電解コンデンサを積層
する工程として、上記の工程を順次経て選られた電解コ
ンデンサを4個、図13に示すように、各単位コンデン
サの向きを揃えて積層した。
【0124】(g)次に陽極用弁金属箔の金属表面部を
一体化する工程として、個々の電解コンデンサの金属表
面部6と陽極引出し電極7としてのニッケルシートとを
溶接により接合させ一体化した。
【0125】(h)次に陰極用導電性高分子層を一体化
する工程として、電解コンデンサの陰極用導電性高分子
層5としてのポリピロール上にカーボンを含む導電性接
着剤(不図示)および銀ペースト(不図示)を用いて陰
極引出し電極8としてのL字型ニッケルシートを、図1
8に示したように電解コンデンサの端部に接着固定し
た。
【0126】最後に陽極引出し電極7としてのニッケル
シートと陰極引出し電極8としてのニッケルシートとを
担持させた電解コンデンサ全体をエポキシ樹脂(不図
示)を用いてモールドし、最終的に両端部を研磨するこ
とにより、陽極引出し電極7としてのニッケルシートの
表面と陰極引出し電極8としてのニッケルシートの表面
を露出させ電解コンデンサ素子とした。
【0127】以上の工程により得られた電解コンデンサ
の容量(以下、素子容量と記す)の評価を行った。容量
測定の結果を表2に示す。なお、表中の値は試料10個
に対して測定を行った結果の平均値である。また箔容量
の欄には上記箔容量(28.2μF)の4倍(単位電解
コンデンサ4層分)の値を記載する。
【0128】
【表2】
【0129】表2より明らかなように積層を行ったこと
に起因した容量の著しい低下は認められなかった。すな
わち個々に設計値に対して容量が十分取り出せる単位コ
ンデンサを複数個積層し一体化した結果、小型大容量の
電解コンデンサを容易に得ることが可能となった。
【0130】
【発明の効果】以上のように本発明による電解コンデン
サは、貫通孔を有し表面を粗面化した陽極用弁金属箔
と、陽極用弁金属箔の表面の一部を酸化して形成した酸
化皮膜の誘電体層と、電解形成導電性高分子層の陰極層
とを有するので、陽極用弁金属箔からの容量設計値に近
い十分に高い容量が取り出せる電解コンデンサを容易に
得ることが可能となる。
【0131】また、本発明による電解コンデンサは、貫
通孔を有し表面を粗面化した陽極用弁金属箔と、陽極用
弁金属箔の表面の一部を酸化して形成した酸化皮膜の誘
電体層と、金属箔のすくなくとも片側に陰極用導電性高
分子層と、酸化皮膜の誘電体層上に陰極用導電性高分子
層と電気的に接続した電解形成導電性高分子層とを具備
した構成により、設計値に対しての容量が十分取り出せ
る電解コンデンサを容易に得ることが可能となる。
【0132】さらに電解コンデンサを積層もしくは巻き
取り構造とすることにより小型大容量化した電解コンデ
ンサを容易に得ることができる。
【0133】本発明の電解コンデンサの製造方法は、導
電性高分子層の電解重合による形成の際に、多数の貫通
孔を有する陽極用弁金属箔の片面に形成もしくは配置し
た電解用電極を電解重合の起点にして、モノマーを重合
する方法であるので、生成した高分子層は、電極表面か
ら、貫通孔を経由して、陽極用弁金属箔の反対面に伸
び、さらにこの面を被覆することができ、さらに、一斉
に主に陽極用弁金属箔の厚み方向にこの電解形成導電性
高分子層を緻密で連続的に形成することが可能となる。
これにより、本発明の製造方法は、従来の電解方法に比
較して短時間かつ容易に導電性高分子層を形成すること
が可能となり、製造工程を簡素化でき、製造コストを低
減させることが可能となる。
【0134】本発明の製造方法は、電解用電極として、
弁金属箔の片面側に予め形成された陰極用導電性高分子
層とすれば、弁金属箔の反対側に形成されて酸化皮膜誘
電体層に接する電解形成導電性高分子層と共に電解用電
極を、陰極層として利用することができる。これによ
り、電解重合処理を、弁金属箔の片面側だけ、電解形成
導電性高分子層を形成すれば、弁金属箔の両面側に、陰
極層としての導電性高分子層が形成できる。
【0135】本発明の製造方法は、電解用電極として、
弁金属箔の片面側に予め形成された陰極用導電性高分子
層と、陰極用導電性高分子層上に形成した電極金属シー
トとを利用すれば、電解重合工程では、電極金属シート
が弁金属箔のための担持体として利用され、陰極用導電
性高分子層が、電解形成導電性高分子層の形成のための
陽極として利用できる。これにより、電解形成導電性高
分子層と共に電解用電極を、電解コンデンサの陰極層と
して利用でき、電極金属シートを陰極層に接する陰極用
集電体としてそのまま利用することができる利点があ
る。
【0136】さらに、電解重合の前に、予め誘電体層に
接して導電層が形成されておれば、導電層が新たな高分
子層の重合反応の起点として利用できるので、電解形成
導電性高分子層の成長を促進し、さらに、電解重合処理
時間を短縮することができる。
【0137】本発明においては、上記の電解コンデンサ
を単位電解コンデンサとして、多数の単位電解コンデン
サを重積して積層型電解コンデンサに調製することがで
き、これにより、さらにコンデンサ容量が大きく、形状
寸法の小さな電解コンデンサとすることができる。さら
に、単位電解コンデンサをコイル状に捲回した捲回型電
解コンデンサに調製することもでき、同様に、さらにコ
ンデンサ容量が大きく、形状寸法の小さな電解コンデン
サとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る陽極用弁金属箔の模
式的斜視図(A)と、本発明の電解コンデンサの模式的
斜視図(B)と、を示す。
【図2】 本発明の実施形態に係る電解コンデンサの模
式的断面図(A)と、(A)に示した電解コンデンサの
断面の部分拡大図(B)と、を示す。
【図3】 本発明の電解コンデンサの製造過程における
陽極用弁金属箔の片側に電解用電極を配置した模式的断
面図(A)と、電解重合処理のために陽極用弁金属箔と
電極の配置を示す電解槽の模式的な斜視図(B)と、を
示す。
【図4】 本発明の電解コンデンサの電解酸化重合過程
における重合体形成の挙動を示す電解槽の模式的断面図
断面図を示す。
【図5】 本発明の別の実施形態の電解コンデンサの模
式的斜視図を示す。
【図6】 本発明の別の実施形態の電解コンデンサの図
2(A)と(B)の同様図(A)(B)を、それぞれ示
す。
【図7】 本発明の別の実施形態の図3(A)と(B)
の同様図(A)と(B)を、それぞれ示す。
【図8】 本発明の別の実施形態の電解コンデンサの電
解酸化重合過程における重合体形成の挙動を示す電解槽
の模式的断面図(A)、(B)を示す。
【図9】 本発明のさらに別の実施形態の電解コンデン
サの模式的斜視図を示す。
【図10】 本発明のさらに別の実施形態の図2(A)
と(B)の同様図(A)と(B)を、それぞれ示す。
【図11】 本発明のさらに別の実施形態の図3(A)
と(B)の同様図(A)と(B)を、それぞれ示す。
【図12】 さらに本発明の別の実施形態の図4同様図
を示す。
【図13】 本発明の別の実施形態の積層型電解コンデ
ンサの模式的斜視図を示す。
【図14】 本発明の別の実施形態による巻回型電解コ
ンデンサの模式的斜視図(A)、(B)を示す。
【図15】 本発明のさらに別の実施形態による電解コ
ンデンサの模式的斜視図を示す。
【図16】 本発明の実施形態による電解コンデンサの
模式的斜視図を示す。
【図17】 本発明のさらに別の実施形態による電解コ
ンデンサの模式的斜視図である。
【図18】 本発明の別の実施形態による積層型の電解
コンデンサの模式的斜視図を示す。
【符号の説明】
1 陽極用弁金属箔 2 陽極層 3 酸化皮膜の誘電体層 4 電解形成導電性高分子層 5 陰極用導電性高分子層 6 金属表面部 7 陽極引出し電極 8 陰極引出し電極 9a 電解用電極 9b 電解用電極 90 電極金属シート 11 モノマー溶液 13 陰極用集電体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−168855(JP,A) 特開 平4−119624(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/028 H01G 9/012 H01G 9/04 H01G 9/04 304

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貫通孔を有し表面が粗面化された弁金属
    箔の陽極層と、弁金属箔表面の一部を陽極酸化して成る
    酸化皮膜の誘電体層と、該誘電体層上の陰極層と、から
    成る電解コンデンサにおいて、 陰極層が、酸化皮膜の誘電体層に接して形成された二層
    から成る電解形成導電性高分子層を有することを特徴と
    する電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 貫通孔を有し表面が粗面化された弁金属
    箔の陽極層と、弁金属箔表面の一部を陽極酸化して成る
    酸化皮膜の誘電体層と、該誘電体層上の陰極層と、から
    成る電解コンデンサにおいて、 陰極用導電性高分子層が前記弁金属箔の片面側に形成さ
    れ、 電解形成導電性高分子層が前記弁金属箔の前記誘電体層
    上に形成されて、且つ前記陰極用導電性高分子層に電気
    的に接続されていることを特徴とする電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 電解コンデンサが集電体を含み、集電体
    が、弁金属箔表面上の陰極用導電性高分子層を介して、
    陽極用弁金属箔の片側に形成された金属シートであるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 陰極層が、さらに誘電体層に接して形成
    された導電層を含み、且つ、該電解形成導電性高分子層
    が、導電層を包含し且つ酸化皮膜上に形成されているこ
    とを特徴とする請求項1ないし3に記載の電解コンデン
    サ。
  5. 【請求項5】 陽極用弁金属箔の一部には電極用の金属
    表面部が形成されている請求項1ないし3の何れかに記
    載の電解コンデンサ。
  6. 【請求項6】 貫通孔の半径が、前記陽極用弁金属箔の
    厚み以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の電
    解コンデンサ。
  7. 【請求項7】 前記貫通孔は、陽極用弁金属箔の主表面
    に対する貫通孔の面積比が10%以下である請求項1な
    いし3の何れかに記載の電解コンデンサ。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の電解コンデンサが複数
    層に積層されて積層体とされ、 積層体は、各金属箔の一部に金属表面が露出した該金属
    表面部に電気的に接続した陽極引出し電極と、電解形成
    導電性高分子層に直接もしくは間接的に電気的に接続し
    た陰極引出し電極とを具備した電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし3の何れかに記載の電解
    コンデンサを巻回して積層体とした電解コンデンサ。
  10. 【請求項10】 陽極用弁金属箔が、アルミニウムであ
    る請求項1ないし3の何れかに記載の電解コンデンサ。
  11. 【請求項11】 電解形成導電性高分子が、複素環式5
    員環化合物のポリマーを主成分とする導電性高分子層で
    ある請求項1ないし3の何れかに記載の電解コンデン
    サ。
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