JP3495317B2 - ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、並びに、ポリイミド管状物 - Google Patents
ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、並びに、ポリイミド管状物Info
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Description
ミド樹脂(特に電子写真複写機あるいはレーザービーム
プリンター等の中間転写ベルトや熱定着ベルト等に使用
されるポリイミド管状物)の製造に好適なポリイミド前
駆体溶液及びその製造方法、並びに、該ポリイミド前駆
体溶液によって製造されたポリイミド管状物に関し、詳
しくは、カーボンブラックを含有するポリイミド前駆体
溶液及びその製造方法、並びに、ポリイミド管状物に関
するものである。
耐熱性および化学的特性を有しており、従来、例えば、
該ポリイミド樹脂が管状に成形されたポリイミド管状物
は、電子写真複写機やレーザービームプリンター等のト
ナー画像の中間転写ベルトや熱定着ベルト等として多種
の用途に使用されている。ここでは、これらのポリイミ
ド樹脂、特に、ポリイミド管状物として、電子写真複写
機やレーザービームプリンターなどのトナー画像の中間
転写ベルトを例に取って以下に説明する。
ザープリンター、あるいはカラー複写機などの画像成形
においては、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの
基本色のトナーを用い感光ドラム表面に画像を形成させ
た後、個々のトナー画像を転写ドラムに固定させた複写
紙上に転写させトナー像を熱定着させる方法(転写ドラ
ム方式)が取られていたが、近年、転写ドラム方式に変
わって、中間転写ベルトを用いたカラー画像の形成方
法、即ち、感光ドラムに形成されたトナー画像を一度中
間転写ベルト上に静電気的に転写させその後、複写紙に
再転写し熱定着ののちカラー画像を得る方法が開発され
ている。
は、機械的特性、耐熱性、ベルトの寸法安定性や表面の
平滑性などの特性も必要であり、上述の如く、ポリイミ
ド樹脂製のものが使用されている。
の転写において、この中間転写ベルトとしては、静電気
が用いられることからその表面に電荷を印加してトナー
像を静電的に転写することが可能であること及び転写ベ
ルトに発生する静電気を容易に除去できること(即ち、
絶縁材料と導電材料との中間的な特性を備えているこ
と)、更に、ベルト各部における体積抵抗率等のバラツ
キが小さいことが必要である。従って、このような中間
転写ベルトとして、導電剤が分散混入された種々のもの
が提案されている。
ーボンブラックを含有し表面抵抗率(Ω/□)が107
から1015の範囲にある芳香族ポリイミドフィルムから
なる中間転写ベルトが提案されている。このような表面
抵抗率の中間転写ベルトは、確かにベルトに発生する静
電気を除去するのに有効である。また、特開平5−77
252号公報には、導電性微粉末を含有し、体積抵抗率
が1〜1013Ω・cm、体積抵抗率の最大値が最小値の
1〜10倍の中間転写ベルトが提案されている。
者らが上記提案の転写ベルトについて試験したところ、
導電性微粒子を含有するベルトの表面抵抗率や体積抵抗
率が、驚くべきことに印加電圧によって大きく変化する
ことが判明した。更に、高電圧を印加すると、これらの
抵抗率が低下するという問題があることが明らかとなっ
た。
理由によるものと推測される。即ち、前述のように中間
転写ベルトは適度の表面抵抗率と体積抵抗率を具備する
ことにより、静電気的にトナー像をベルト上に転写でき
ると同時に、発生した静電気を容易に除去できることが
必要であるが、このような性能を発揮するためには、絶
縁材料と導電材料の中間的な特性を有する材料、すなわ
ち半導体的な特性を有することが必要である。転写ベル
トに要求されるこのような特性は、前記したように絶縁
材料であるポリイミド樹脂に導電性微粒子を分散させる
ことにより取得できるが、元々このような特性は電気抵
抗的に準安定領域に相当するものであると考えられる。
そして、この結果、上述のように例えば体積抵抗率が印
加電圧によって大きく変化したり、高電圧を印加するこ
とによって抵抗率が大きく変化するような挙動が起こる
ものと推測される。
品質の転写画像を再現性良く取得することは困難である
という問題が残る。
ームプリンターに使用される中間転写ベルト以外でも、
印加された電圧によって抵抗率が大きく変化するような
ものでは、種々の問題が発生し得ると推測される。
点に鑑み、絶縁材料と導電材料との中間的な特性を備え
且つ部分的な抵抗率のバラツキが少なく、しかも、印加
電圧に対して抵抗率の変化が少ないポリイミド樹脂、特
にポリイミド管状物を提供することにある。
に鑑み鋭意検討した結果、所定のカーボンブラックを使
用することにより、上記課題が解決されることを見出
し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、DB
P吸収量が40cm3以上90cm3以下、比表面積10
0m2/g当りの揮発分が2.5重量%以上の酸性カー
ボンブラックが、イミド転化してなるポリイミド樹脂1
00重量部に対して5〜30重量部となるように含有さ
れてなり、メジアン径100nm以下に粉砕されて分散
してなることを特徴とするポリイミド前駆体溶液に係る
(請求項1)。 また、本発明は、DBP吸収量が40cm3以上90c
m3以下、比表面積100m2/g当りの揮発分が2.5
重量%以上の酸性カーボンブラックを、イミド転化して
なるポリイミド樹脂100重量部に対して5〜30重量
部となるように含有させ、直径が0.3mm以上2.0
mm以下、真比重が5.0以上9.0以下の媒体を用い
た媒体攪拌式湿式微粉砕機によって、ポリイミド前駆体
を含有する溶液中でメジアン径100nm以下に粉砕す
ることを特徴とするポリイミド前駆体溶液の製造方法に
係る(請求項3)。 さらに、本発明は、請求項1又は2記載のポリイミド前
駆体溶液がイミド転化してなるポリイミド樹脂が、管状
に成形されているこを特徴とするポリイミド管状物に係
る(請求項4)。
する。本発明において用いられる酸性カーボンブラック
としては、例えば、ファーネスブラック法で製造される
カーボンブラック等を使用することができ、DBP吸収
量が40cm3以上90cm3以下であることを要する。
ここで、DBP吸収量とは、カーボンブラック100g
に対するジブチルフタレートの吸収量のことであり、該
吸収量は、JIS K6217に従って測定される。
m3を超えるものは、各部における抵抗率のバラツキが
少なく、しかも、印加電圧に対する抵抗率の変化が小さ
いポリイミド樹脂(例えば、ポリイミド管状物)を製造
することは困難である。即ち、DBP吸収量が小さくな
ると、該カーボンブラックの微粉砕が難しくなり、40
cm3未満のカーボンブラックを使用すると、製造され
たポリイミド樹脂の各部における抵抗率のバラツキが大
きくなる。一方、DBP吸収量が大きくなると微粉砕に
は有利であるが、製造されたポリイミド樹脂の印加電圧
に対する体積抵抗率の変化が大きくなり、DBP吸収量
が90cm3を超えるカーボンブラックは適さない。
ることを要する。酸性カーボンブラックは、通常、カー
ボンブラックを酸化処理することにより得られ、ヒドロ
キシ基やカルボキシ基等を有している。このような極性
基の量が多いほど揮発分が多くなり、比表面積100m
2/g当りの揮発分が2.5重量%以上の場合には、ポ
リイミド前駆体溶液中で略均一に分散し易くなる。一
方、揮発分が2.5重量%未満のものは、後記する微粉
砕機を使用しても微細に粉砕して、略均一に分散させる
ことが難しい。ここで、カーボンブラックの比表面積は
JIS K6217で規定されている低温窒素吸着法に
より測定される。また揮発分は予め105℃で吸着水分
などを乾燥除去したカーボンブラックを950℃で7分
間加熱した時の減量から、該減量が全体の何重量%かで
求められる。
は、メジアン径が100nm以下であることを要し、特
に、最大粒子径が1000nm以下のものが好ましい。
係る粒径に粉砕することにより、カーボンブラックがポ
リイミド前駆体溶液に略均一に分散して、部分的な抵抗
率のバラツキの少ないポリイミド樹脂(例えば、ポリイ
ミド管状物)とすることができる。カーボンブラック
は、通常一次粒子径が10nm〜50nm程度の粒子が
使用されるが、これらの一次粒子は二次凝集して粗大化
する。本発明でいうメジアン径および最大粒子径は、通
常、二次凝集粒子の粒子径を意味するものである。この
粒子径は、例えば島津製作所製のレーザー回折式粒度測
定装置SALD−2100や堀場製作所製のレーザ回折
/散乱式粒度分布測定装置LA−920を使用して測定
することができる。
前記カーボンブラックの含有割合は、イミド転化してな
るポリイミド樹脂100重量部に対して、5〜30重量
部となるように設定されてなるものが好ましく、特に、
10〜20重量部が好ましい。
ミド転化させてポリイミド樹脂となる物質で、例えば、
テトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、ジアミ
ン化合物とを有機極性溶媒中で反応させて得ることがで
きる。テトラカルボン酸無水物としては、ピロメリット
酸二無水物、3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物、3、3’、4、4’−ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸二無水物或いはこれらのテトラカル
ボン酸エステルやテトラカルボン酸類の混合物を挙げる
ことができる。前記芳香族ジアミン成分としては、パラ
フェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4、
4’−ジアミノジフェニルエーテル、4、4’−ジアミ
ノジフェニルメタン等を挙げることができる。前記有機
極性溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホ
ルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、フェノール
類などを挙げることができる。これらの有機極性溶媒に
はキシレン、ヘキサン、トルエンなどの炭化水素類など
を混合することもできる。
の製造方法としては、DBP吸収量が40cm3以上9
0cm3以下、比表面積100m2/g当りの揮発分が
2.5重量%以上の酸性カーボンブラックを、直径が
0.3mm以上2.0mm以下、真比重が5.0以上
9.0以下の媒体を用いた媒体攪拌式湿式微粉砕機によ
って、ポリイミド前駆体を含有する溶液中でメジアン径
100nm以下に粉砕する方法を採用することができ
る。係る方法によれば、酸性カーボンブラックが略均一
に分散したポリイミド前駆体溶液を容易に製造すること
ができる。
説明する。先ず、ポリイミド前駆体を含有する溶液を準
備する。次いで、前記酸性カーボンブラックを前記溶液
の中で微粉砕する。微粉砕は、媒体撹拌式湿式微粉砕機
を用いて行なう。この微粉砕機としては、例えば、撹拌
用のディスクやピンを備えた容器内に球状媒体が容器体
積の約70〜85%程度充填されたものを使用できる。
この微粉砕機によれば、前記容器内に前記溶液とカーボ
ンブラックとを混合したスラリーを送入し高速で撹拌す
ることにより、媒体間の高いせん断力によりカーボンブ
ラックを微粉砕・分散させることができる。この微粉砕
機としては、アシザワ株式会社製のLMZや株式会社シ
ンマルエンタープライズ製のダイノーミル等を例示でき
る。
としては、ガラス、各種セラミックスおよび各種金属を
使用できるが、ポリイミド前駆体を含有する溶液中で前
記酸性カーボンブラックを微粉砕するためには、直径が
0.3mm以上2.0mm以下、真比重が5.0以上
8.0以下の媒体を用いることを要し、特に、直径が
0.3mm以上1.0mm以下、真比重が5.0以上
7.0以下のものが好ましい。係る媒体を使用すること
により、カーボンブラックが極めて微細に粉砕され略均
一に分散したポリイミド前駆体溶液を製造することがで
きる。
で運動する媒体相互の衝突に伴って粉砕されるが、直径
が0.3mm未満、真比重が5・0未満の媒体は、媒体
の運動エネルギーが高くないという理由から、十分な微
粉砕に適さない。また、ポリイミド前駆体溶液として、
通常10〜50ポアズ程度の高粘度のポリイミド前駆体
を含有する溶液を使用するが、真比重の小さい媒体は、
粘性に抗して十分激しく運動することができないという
理由からも、カーボンブラックの微粉砕に適さないと考
えられる。
比重が8.0を超える媒体を使用すると、ポリイミド前
駆体を含有する溶液の温度が高くなり、安定した運転が
不可能になる。この原因は定かでないが媒体相互の過度
の衝突エネルギーにより、ポリイミド前駆体を含有する
溶液の発熱が大きくなるためと思われる。同様の理由か
ら媒体の真比重が5.0以上7.0以下の場合に、より
安定した状態でポリイミド前駆体溶液の製造が可能であ
る。
リイミド前駆体溶液がイミド転化してなるポリイミド樹
脂が、管状に成形されてなるものである。係る構成から
なるポリイミド管状物は、ポリイミド樹脂にカーボンブ
ラックが含まれることから絶縁材料と導電材料との中間
的な特性を備えるとともに、該カーボンブラックがメジ
アン径100nm以下で分散した状態となって、部分的
な抵抗率のバラツキも少なく、しかも、印加電圧に対し
て抵抗率の変化が少ないという効果を奏する。
が1000nm以下であれば、より上記効果に優れたも
のとなる。
ルトとして使用する場合、印加電圧100Vでの体積抵
抗率が108〜1013Ω・cm程度、好ましくは109〜
1012Ω・cmで、500Vにおける体積抵抗率が10
7Ω・cm以上がトナー像の転写および転写ベルトの静
電気除電に好適である。
トに発生した静電気の除電が難しくなり、一方、抵抗率
がこれより小さくなると適度の静電気帯電ができなくな
り、トナー画像のベルト上への転写が不可能になる。
尚、体積抵抗率は、JIS C2151の方法に従っ
て、アドヴァンテスト社製のデジタル超高抵抗/微少電
流計R8340/R8340Aを使用し、印加時間30
秒で測定できる。
としては、前記ポリイミド管状物の溶液を金型等の型の
表面に塗布し、イミド転化させる方法を採用することが
できる。係る方法によれば、管状に成形されたポリイミ
ド管状物を容易に製造することができる。
説明する。先ず、円筒状の金型の外表面にカーボンブラ
ックを含有するポリイミド前駆体溶液を塗布した後、こ
れを加熱オーブンに入れ加熱乾燥処理する。この加熱乾
燥処理によってポリイミド前駆体溶液の溶媒が揮発する
とともに、ポリアミド酸の分子内縮合反応によりイミド
転化反応が起こる。この加熱乾燥処理条件は、ポリイミ
ド前駆体溶液の溶媒の種類、溶液の塗布厚みなどによっ
て変わるが、急激に加熱温度を上げるよりも、段階的に
昇温・加熱する方法が適している。
先ず、約100〜150℃の温度範囲で、数十分から数
時間かけて加熱処理する。次いで、第2段階の加熱乾燥
処理として、200℃前後〜400℃前後まで数時間か
けて段階的に昇温し、イミド転化反応を完結させる。こ
の第2段階の加熱処理に先立って、金型を一度冷却して
被処理体(ポリイミド前駆体とポリイミド樹脂との中間
体)を金型から部分的に剥離させてもよい。この剥離に
より、第2段階における溶媒やイミド転化反応により生
成する縮合水の揮発が容易になり、膨れなどの少ない寸
法の略均一なベルトを製造することができる。そして、
第2段階の加熱処理の後、金型を加熱処理炉から取り出
し冷却してから、被処理体をポリイミド管状物として金
型から抜き取る。
物とp−フェニレンジアミンからなるポリアミック酸の
N−メチル−2−ピロリドン溶液に酸性カーボンブラッ
ク(DBP吸収量:70cm3、比表面積100m2/g
当りの揮発分:2.6重量%)を添加・混合して、ポリ
アミック酸含有量が16重量%で、カーボンブラック含
有量(ポリアミック酸とカーボンブラックの合計に対す
るカーボンブラックの濃度)が19重量%のスラリーを
4kg調製した。次に、媒体攪拌式湿式微粉砕機(ビー
ズミル)のベッセル(粉砕室)内に直径1.0mm、真
比重6.0のジルコニア製媒体を充填率80%になるよ
うに充填した。そして、この媒体攪拌式湿式微粉砕機に
連結したスラリー供給タンクに、前記スラリー全量を仕
込み、移液ポンプによりスラリーをベッセル内に供給し
た。ベッセル内をローター回転速度6m/秒の高速で撹
拌しながら、カーボンブラックをポリアミック酸溶液中
で微粉砕させた。このときベッセルの周囲を水で冷却し
て高速撹拌によるスラリー液の温度上昇が40℃以下に
なるようにした。また、ベッセル内でのスラリーの平均
滞留時間が30分になるように運転した。以上の操作に
より、カーボンブラックが略均一に分散した溶液3.1
kgを製造した。仕込み量との差0.9kgは、媒体攪
拌式湿式微粉砕機装置内に残ったものである。次に、製
造された溶液3.0kgを撹拌機付き容器に移し、室温
で撹拌しながらピロメリット酸無水物6gを徐々に添加
して反応させ、粘度870ポアズの高粘度のポリイミド
前駆体溶液を調製した。このポリイミド前駆体溶液につ
いて、カーボンブラックの粉砕された程度を堀場製作所
製のレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920
を使用して測定した結果、メジアン径は88nmで最大
粒子径は230nmであった。
250mm、長さ500mmのアルミニウム製金型の表
面に実施例1で調製したポリイミド前駆体溶液を塗布し
た後、内径252mmのリング状ダイスを前記金型に外
嵌して金型の表面にポリイミド前駆体溶液を塗布した。
次いで、この金型を横型回転装置に取り付け、400r
pmの回転数で回転させながら、温度を常温から30分
間で100℃まで昇温し、更に100℃で1時間保持し
た。その後、熱風オーブンの中に入れ、120℃で1時
間、200℃で1時間加熱乾燥した。次いで、金型をオ
ーブンから取り出し常温まで冷却した後、被処理体(ポ
リイミド前駆体とポリイミド樹脂との中間体)を金型か
ら分離して内径250mm、長さ400mmの管状膜を
得た。この管状膜に外径249mm、長さ500mm、
表面粗さRz1μmに研磨加工したアルミ製金型を挿入
して、250℃に加熱した熱風オーブンの中に入れた。
次いで熱風オーブンの温度を1時間かけて250℃から
350℃に昇温し、更に350℃で1時間加熱処理し、
その後、オーブンから取り出し冷却した。冷却後、管状
膜をアルミ製金型から分離し、内径250mm、長さ4
00mm、平均厚み80μmのポリイミド管状物を得
た。このポリイミド管状物の電気抵抗をデジタル超高抵
抗/微少電流計で測定した結果、印加電圧100vにお
ける体積抵抗率は3.8×1011Ω・cmであった。ま
た、印加電圧500vにおける体積抵抗率は1.1×1
08Ω・cmであり、高電圧下でも安定した抵抗値を有
するものであった。このベルトをレーザービームカラー
プリンターに組み込み中間転写ベルトとして使用した結
果、トナー画像転写時のトナーの飛散がなく、鮮明なカ
ラー画像を得ることができた。また、連続して100回
の印刷を行なった場合も、画像の欠陥は見られなかっ
た。
ク(DBP吸収量:100cm3、比表面積100m2/
g当りの揮発分:1.4重量%)を使用し、ポリアミッ
ク酸含有量が16重量%で、カーボンブラック含有量が
11重量%のスラリー4kgを調製した。このスラリー
を媒体攪拌式湿式微粉砕機に仕込んで、媒体として直径
0.6mm、真比重7.9のクロム合金鋼を使用する以
外は実施例1と同様にしてカーボンブラックが微粉砕さ
れた溶液を調製した。この溶液にピロメリット酸無水物
6gを徐々に添加・反応させて、粘度750ポアズの高
粘度のポリイミド前駆体溶液を調製した。このポリイミ
ド前駆体溶液について、カーボンブラックの粉砕された
程度を堀場製作所製のレーザ回折/散乱式粒度分布測定
装置LA−920を使用して測定した結果、メジアン径
は108nmで最大粒子径は1300nmであった。
管状膜(ポリイミド管状物)を作製し、電気抵抗を測定
した結果、印加電圧100Vにおける体積抵抗率は6.
0×1010Ω・cmであった。また、印加電圧500v
における体積抵抗率は107Ω・cm以下に低下してお
り、デジタル超高抵抗/微少電流計では測定不能であっ
た。この結果からDBP吸収量が90cm3を超えるも
の、また、揮発分が2.5重量%未満のカーボンブラッ
クを使用した場合には、カーボンブラックを略均一に分
散させ難く、この溶液から製造したポリイミド管状物の
電気抵抗は安定性に乏しいものであることが分かる。
ク(DBP吸収量:64cm3、比表面積100m2/g
当りの揮発分:2.1重量%)を用いた以外は、実施例
1と同じ方法により、ポリアミック酸含有量が16重量
%で、カーボンブラック含有量が13重量%のスラリー
4kgを調製した。このスラリーを用い、実施例1と同
様の条件にてカーボンブラックの粉砕等を行い、ポリイ
ミド前駆体溶液を調製した。この溶液について、カーボ
ンブラックの状態を実施例1と同様の方法で測定した結
果、メジアン径は200nmで最大粒子径は1500n
mであった。この結果から、揮発分が2.5重量%未満
のカーボンブラックを使用した場合には、カーボンブラ
ックが微細に粉砕されたポリイミド管状物用の溶液を取
得することは困難であることが分かる。
含有量が16重量%で、カーボンブラック含有量が19
重量%のスラリー4kgを調製した。一方、媒体攪拌式
湿式微粉砕機のベッセル内に直径1.0mm、真比重
3.5のアルミナ製媒体を充填率75%になるように充
填した。この媒体攪拌式湿式微粉砕機に前記スラリー全
量を仕込み、実施例1と同様の条件で撹拌しながら、カ
ーボンブラックをポリイミド前駆体を含有する溶液の中
で微粉砕させて、ポリイミド前駆体溶液3.0kgを製
造した。この溶液について、カーボンブラックの粉砕さ
れた程度を測定した結果、メジアン径は150nmで最
大粒子径は2300nmであり、使用した媒体ではカー
ボンブラックを100nm以下に粉砕できなかった。
前駆体溶液によれば、絶縁材料と導電材料との中間的な
特性を備え且つ部分的な抵抗率のバラツキが少なく、し
かも、印加電圧に対して抵抗率の変化が少ないポリイミ
ド樹脂、例えば、ポリイミド管状物を容易に製造するこ
とができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 DBP吸収量が40cm3以上90cm3
以下、比表面積100m2/g当りの揮発分が2.5重
量%以上の酸性カーボンブラックが、イミド転化してな
るポリイミド樹脂100重量部に対して5〜30重量部
となるように含有されてなり、メジアン径100nm以
下に粉砕されて分散してなることを特徴とするポリイミ
ド前駆体溶液。 - 【請求項2】 前記カーボンブラックの最大粒子径が1
000nm以下である請求項1記載のポリイミド前駆体
溶液。 - 【請求項3】 DBP吸収量が40cm3以上90cm3
以下、比表面積100m2/g当りの揮発分が2.5重
量%以上の酸性カーボンブラックを、イミド転化してな
るポリイミド樹脂100重量部に対して5〜30重量部
となるように含有させ、直径が0.3mm以上2.0m
m以下、真比重が5.0以上9.0以下の媒体を用いた
媒体攪拌式湿式微粉砕機によって、ポリイミド前駆体を
含有する溶液中でメジアン径100nm以下に粉砕する
ことを特徴とするポリイミド前駆体溶液の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載のポリイミド前駆体
溶液がイミド転化してなるポリイミド樹脂が、管状に成
形されていることを特徴とするポリイミド管状物。 - 【請求項5】 印加電圧100Vにおける体積抵抗率が
108〜1013Ω・cmに設定されてなる請求項4記載
のポリイミド管状物。
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---|---|---|---|
JP2000162640A JP3495317B2 (ja) | 2000-05-31 | 2000-05-31 | ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、並びに、ポリイミド管状物 |
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