JP3495282B2 - 温度補償を施した増幅器 - Google Patents

温度補償を施した増幅器

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JP3495282B2
JP3495282B2 JP04352499A JP4352499A JP3495282B2 JP 3495282 B2 JP3495282 B2 JP 3495282B2 JP 04352499 A JP04352499 A JP 04352499A JP 4352499 A JP4352499 A JP 4352499A JP 3495282 B2 JP3495282 B2 JP 3495282B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯無線機等に用
いられる増幅器、さらには利得可変の増幅器に係り、特
に温度補償を施した増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話機に代表される無線通信
機器の開発が盛んに行われている。これらの無線通信機
器は、例えば人間が所持したり、自動車などに搭載され
て使用されるため、小型かつ軽量であることが要求され
る。このため、機器を構成する部品は従来の構成部品単
体を多数接続したハイブリッド構成よりも、小型化、軽
量化に向くモノリシックIC(集積回路)化が強く望ま
れている。部品の小型化の他に、機器の低価格化も当然
に要求されるが、モノリシックIC化は低価格化にも欠
かせない技術である。
【0003】この種の無線通信機器の使用温度範囲は非
常に広く、例えば−40℃から80℃程度まで回路の特
性を保証する必要がある。しかしながら、このような広
い温度範囲においては、一般に電子回路の利得が温度に
より大幅に変化してしまう。これを避けるため、従来で
は図17(a)に示す増幅器を用いて利得の温度依存性
を小さくしている。この増幅器は、差動トランジスタ対
を構成するトランジスタQ100,Q101のエミッタ
端子間にエミッタ縮退抵抗R100を接続した差動増幅
器である。トランジスタQ100,Q101のエミッタ
端子は電流源I100,I101をそれぞれ介して接地
され、コレクタ端子は抵抗R100,R101をそれぞ
れ介して電源Vccに接続される。入力信号はトランジ
スタQ100,Q101のベース端子間に印加され、出
力信号はトランジスタQ100,Q101のコレクタ端
子間から取り出される。この増幅器の電圧利得G1は、
R101=R102としたとき、次式で近似的に表され
る。 G1=2×R101/R100 (1) 抵抗(電気抵抗)は一般に温度特性を持ち、その値は一
般にR(T)=R(ΔT)=R(To)×(1+f(Δ
T))と表されるとする。ここで、Tは環境の温度、Δ
T=T−To、Toは室温(常温)、R(To)は室温
での抵抗値であり、f(ΔT)は温度依存性を示す温度
に関する多項式である。このような抵抗の温度特性を考
慮すると、式(1)は次式(2)のようになり、抵抗R
101とR100の温度依存性が互いに打ち消される。
【0004】 G1(ΔT)=2×R101(To)×(1+f(ΔT)) /R100(To)×(1+f(ΔT)) =2×R101(To)/R100(To) (2) このように図17(a)の増幅器は利得の温度依存性を
相殺する優れた手法であるが、エミッタ縮退抵抗R10
0による雑音が大きいという問題がある。無線通信機器
に用いる増幅器は、一般に広いダイナミックレンジが要
求されるため、このエミッタ縮退抵抗による雑音を小さ
くする必要がある。雑音の点から考えれば、図17
(b)に示すようにエミッタ縮退抵抗を除去した構成が
望ましいが、利得G2は次式に示すように温度特性を持
ってしまう。 G2(T)=2Ic×R101/VT (3) ここで、Icは電流源I103の電流値である。VTは
熱電圧であり、VT=kT/q(k:ボルツマン定数、
q:電荷素量)で表され、温度Tに比例する。従って、
図17(b)の構成は雑音には優れているものの、利得
が温度により大幅に変化してしまう。熱電圧VTの温度
依存性は抵抗の温度特性よりも一般に大きいため、特に
VTの温度補償が強く求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のエミッタ縮退抵抗を用いた差動増幅器は、利得の温度
依存性を相殺できるという利点を有する反面、エミッタ
縮退抵抗による雑音が大きいため、広ダイナミックレン
ジが要求される無線通信機器には好ましくない。一方、
エミッタ縮退抵抗を有しない差動増幅器は、利得の温度
依存性が大きく、使用温度範囲が広い無線通信機器には
適用が難しいという問題があった。
【0006】本発明は、雑音を増大させることなく利得
の温度依存性をなくし、広い温度範囲にわたって安定し
た利得が得られる増幅器、さらには温度に対して安定な
可変利得特性が得られる可変利得増幅器を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る増幅器は温度依存性を有する第1の電
流源と、温度依存性を有しない第2の電流源と、温度依
存性を有しない第1の利得制御信号と前記第1の電流源
の出力電流とを乗算する第1の乗算手段、前記第の利得
制御信号と前記第2の電流源の出力電流とを乗算する第
2の乗算手段及び前記第1及び第2の乗算手段の乗算結
果を加算して温度依存性を有する第2の利得制御信号を
得る加算手段を含む制御信号変換手段と、前記第2の利
得制御信号に従って利得が制御される利得制御増幅器と
を有することを特徴とする。
【0008】 第1の電流源は、例えばバンドギャップ
リファレンス回路またはWidlar回路を用いて構成
され、これらの回路から温度依存性を有する電流を取り
出し、この温度依存性を有する電流と温度依存性を有し
ない電流の差の電流を出力するように構成される。
【0009】差動増幅器やエミッタ接地型増幅器の利得
は温度依存性をもつが、差動トランジスタ対の共通エミ
ッタ端子またはエミッタ接地トランジスタのエミッタ端
子に与えるバイアス電流として温度依存性を有する電流
源の電流を用いることによって、これらの増幅器の利得
の温度特性が打ち消される。従って、エミッタ縮退抵抗
を用いた場合のような雑音の増大を伴うことなく、広い
温度範囲にわたって安定した利得が得られる。
【0010】本発明に係る他の増幅器は、Vyを利得制
御増幅器に供給される利得制御電圧、k(T)を温度に
依存する変数、R(T)を温度依存性のある抵抗の抵抗
値、VTを熱電圧としたとき、利得がexp(−k
(T)R(T)Vy/VT(T))に比例する可変利得
増幅器であって、R(T)/VT(T)または1/VT
(T)の温度特性をk(T)により相殺することを特徴
とする。このような構成により、利得が温度に対して安
定な利得可変特性が得られる。
【0011】一つの態様によると、この可変利得増幅器
は、温度依存性を有する第1の電流源と、温度依存性の
ない第1の利得制御信号を第1の電流源出力電流を用い
て温度依存性を有する第2の利得制御信号に変換する制
御信号変換手段と、第2の利得制御信号に従って利得が
制御される利得制御増幅器とからなる。
【0012】他の態様によると、この可変利得増幅器
は、温度依存性を有する電流の温度に対して変化する成
分のみを出力する第1の電流源と、温度依存性を有しな
い第2の電流源と、温度依存性のない第1の利得制御信
号を第1の電流源および第2の電流源の出力電流を用い
て温度依存性を有する第2の利得制御信号に変換する制
御信号変換手段と、第2の利得制御信号に従って利得が
制御される利得制御増幅器とからなる。
【0013】これらの可変利得増幅器においても、第1
の電流源は、例えばバンドギャップリファレンス回路ま
たはWidlar回路を用いて構成され、これらの回路
から温度依存性を有する電流を取り出して出力するか、
またはバンドギャップリファレンス回路またはWidl
ar回路から温度依存性を有する電流を取り出し、この
温度依存性を有する電流と温度依存性を有しない電流の
差の電流を出力するように構成される。
【0014】制御信号変換手段は、第1の利得制御信号
をVx、第2の利得制御信号をVyとし、熱電圧をV
T、1以上の定数をRkとしたとき、 Vy=VT・ln{exp(Rk・Vx/VT)−1} なる入出力特性を有し、また利得制御増幅器は、入力信
号電流をIsig、出力信号電流をIaとしたとき、 Ia/Isig=1/[1+exp(Vy/VT)] なる伝達関数を有することが望ましい。このような構成
により、第1の利得制御信号に対して利得が指数関数的
に変化し、かつ利得が温度に対して安定な利得可変特性
が実現される。
【0015】この制御信号変換手段は、例えば、一方の
トランジスタのコレクタ端子とベース端子が接続され、
他方のトランジスタのトランジスタのベース端子が所定
の直流レベルに固定された差動トランジスタ対と、この
差動トランジスタ対の共通エミッタ端子にコレクタ端子
が接続され、ベース端子とエミッタ端子間に所定のバイ
アス電圧が印加された第1のトランジスタと、この第1
のトランジスタのベース端子に一端が接続された抵抗
と、ベース端子が該抵抗の他端に接続されると共に、第
1の利得制御信号から第1の電流源の出力電流または第
1の電流源および第2の電流源の出力電流を用いて生成
される利得制御電流が供給される第2のトランジスタ
と、この第2のトランジスタのコレクタ端子に電流入力
端子が接続され、電流出力端子が前記差動トランジスタ
対のベース端子とコレクタ端子が共通接続された一方の
トランジスタのコレクタ端子に接続される第1のカレン
トミラー回路とにより構成され、差動トランジスタ対の
二つのトランジスタのベース端子の電位差を第2の利得
制御信号として出力する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。 (第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に
係る増幅器の概略構成を示すブロック図である。この増
幅器は、差動増幅器やエミッタ接地増幅器などの増幅器
に、利得に対する温度補償を施したものであり、温度依
存性を有する電流源1と、この電流源1からの出力電流
Ioutを入力とする増幅段2により構成される。
【0017】増幅段2は、差動増幅器またはエミッタ接
地増幅器であり、差動増幅器の場合は差動トランジスタ
対の共通エミッタ端子に電流源1が接続され、エミッタ
接地増幅器の場合はエミッタ接地トランジスタのエミッ
タに電流源1が接続される。
【0018】次に、温度依存性を有する電流源1の構成
法について説明する。温度依存性を有する電流源1は、
図2(a)に示すようなバンドギャップリファレンス回
路、または図2(b)に示すようなWidlar回路を
基本として実現することができる。
【0019】図2(a)のバンドギャップリファレンス
回路は、例えば文献1:P.R.Gray and R.G.Meyer,“Ana
lysis and Design of ANALOG INTEGTRATED CIRCUITS, 3
rd edition”,WILEY.に記載された周知のバイアス回路
であり、温度依存性のない電流源I112がトランジス
タQ113のコレクタ端子と電源Vccとの間に接続さ
れる。トランジスタQ113のエミッタ端子は接地さ
れ、ベース端子はトランジスタQ112のコレクタ端子
と抵抗R111の一端に接続される。トランジスタQ1
12のエミッタ端子は抵抗R112を介して接地され、
ベース端子はダイオード接続されたトランジスタQ11
1のベース端子およびコレクタ端子に接続される。トラ
ンジスタQ111のエミッタ端子は接地され、コレクタ
端子およびベース端子は抵抗R110を介して抵抗R1
11の他端とトランジスタQ110のエミッタ端子に接
続される。トランジスタQ110のベース端子はトラン
ジスタQ113のコレクタ端子に接続され、コレクタ端
子は電源Vccに接続される。
【0020】この回路では、トランジスタQ111とQ
112のエミッタ面積比が所望の値N(N>1)に設定
される。このように接続されたバンドギャップリファレ
ンス回路の出力電圧Voutは、以下の式で表される。
【0021】 Vout=VBEQ113+VT・ln(N)R111/R112 (4) ここで、VBEQ113はトランジスタQ113のベース・
エミッタ電圧であり、負の温度特性(−2mV/K)を
もち、またVTは熱電圧であり、正の温度特性(+0.
085mV/K)をもつ(文献1参照)。これら2つ温
度特性が互いに相殺されるようにln(N)R111/
R112を設定することで、温度依存性のない出力電圧
Voutを生成することができる。図1中に示した温度
依存性を有する電流源1は、電流源I111またはI1
10を参照して構成される電流源であり、次式(5)で
表されるように、温度電圧VT、つまり温度に比例し、
抵抗の温度特性に反比例する電流を発生するものであ
る。
【0022】 I111(ΔT)=VT(ΔT)ln(N)/R112(ΔT) =I111(To){1+(1−r)ΔT/To} (5) ここで、ΔT=T−To、VT(ΔT)=VT(To)
{1+ΔT/To}、rは抵抗の一次の温度係数、R1
12(T)=R112(ΔT)=R112(To){1
+rΔT/To}、I111(To)=VT(To)l
n(N)/R112(To)とした。式(5)から、I
111(ΔT)は温度係数1−rをもつ温度に比例した
電流を供給する電流源と近似できる。ただし、一般にV
Tの温度係数1に比べ抵抗の温度係数rは小さい(1>
>r)ので、温度係数はほぼ1となる。
【0023】図2(b)は、図2(a)のバンドギャッ
プリファレンス回路の接続を変えたWidlar回路に
属する回路であり、やはり先の文献1に記載されてい
る。図2(a)の回路から変更した部分は、トランジス
タQ113のベース端子の接続先をトランジスタQ11
2のコレクタ端子からトランジスタQ112のベース端
子に変えたところである。この回路の電流I111は、
以下の式で表される。 I111=VT[ln(N)+ln(I110/I111)]/R112 (6) ここで、電流I111(T)が近似的に温度に比例する
ことについて、以下に説明する。説明し易いように電流
I111(T)=I111(To)×(1+kΔT/T
o)、R112(T)=R112(ΔT)=R112
(To)×{1+rΔT/To}、VT(T)=VT(T
o)×(1+ΔT/To)に置き換える。温度Toにお
いては、I110(To)=I111(To)=I11
2(To)と設定されるように、回路が設計されている
とする。また、I110は温度に不感な電流I112と
等しいため、I110(T)=I110(To)とな
る。従って、式(6)は以下のように変形される。
【0024】 I111(To)×(1+kΔT/To) =VT(To)/R112(To)×(1+ΔT/To) {1−rΔT/To}×[ln(N)+ln{I110(To) /(I111(To)×(1+kΔT/To))}] (7) 式(7)は以下の式に近似される。 式(7)=VT(To)ln(N)/R112(To)×(1+ΔT/To) {1−rΔT/To}×[1+ln(I110(To)/I111(To))/ ln(N)−ln(1+kΔT/To)/ln(N)] (8) ln{I110(To)/I111(To)}=0であ
るので、式(8)は次式に近似される。 式(8)=I111(To)×(1+(1−r)ΔT/To)×[1−k/l n(N)×ΔT/To] =I111(To)×[1+(1−r)ΔT/To−k/ln(N )×ΔT/To] =I111(To)×[1+(1−r−k/ln(N))×ΔT/ To] (9) 式(7)の左辺と式(9)の右辺は等しいと近似できる
ので、以下の式が成り立つ。 k=(1−r−k/ln(N)) (10) よって、k=(1−r)/(1+1/ln(N))の条
件において、近似的に式(7)が満たされることにな
る。従って、図2(b)の回路においても、温度に比例
した電流I111を取り出すことができる。ただし、図
2(a)の回路における温度の比例係数(k=1)に比
べ、温度の比例係数k(<1)は小さくなる。
【0025】次に、図3〜図4を用いて、上述したバン
ドギャップリファレンス回路またはWidlar回路を
基本にして温度依存性を有する電流源1を実際に構成す
る具体例について説明する。
【0026】図3(a)は、温度依存性を有する電流源
1の第1の具体例を示す図である。回路構成は、基本的
には図2(a)に示したバンドギャップリファレンス回
路を用いている。図2(a)と異なる部分は、トランジ
スタQ114と抵抗R113からなる電流源を構成する
回路が付加され、出力電流IoutをトランジスタQ1
14のコレクタ端子から取り出すところである。ただ
し、抵抗R113の抵抗値は抵抗R112の抵抗値と同
じとし、トランジスタQ114のエミッタ面積はトラン
ジスタQ112と同じとする。この場合、温度に比例し
た電流I111が出力電流Ioutにコピーされること
になる。図3(b)には、温度依存性を有する出力電流
Ioutの温度特性を示してある。
【0027】図4(a)は、温度依存性を有する電流源
1の第2の具体例を示す図である。利得の温度補償を行
う場合、温度係数を自由に設定できる電流源が必要とな
る場合がある。図4(a)は温度係数を自由に設定でき
る温度依存性を有する電流源であり、図3(a)と同様
に図2(a)に示したバンドギャップリファレンス回路
を基本として構成されている。図4(a)の回路接続に
おいて、図2(a)と異なるところを示すと、抵抗R1
10の一端はダイオード接続されたトランジスタQ11
1のベースおよびコレクタ端子に接続され、他端はトラ
ンジスタQ114のエミッタ端子に接続される。トラン
ジスタQ114のベース端子はQ113のコレクタ端子
に接続され、コレクタ端子は電源Vccに接続される。
抵抗R111の一端はトランジスタQ113のベース端
子に接続され、他端はトランジスタQ110のエミッタ
端子に接続される。トランジスタQ110のベース端子
はトランジスタQ113のコレクタ端子に接続され、コ
レクタ端子は電流出力端子とされ、ここから出力電流I
outが取り出される。
【0028】温度依存性のない電流源I113は、電源
VccとトランジスタQ110のエミッタ端子との間に
接続される。電流源I113の電流値は電流源I112
の電流値以下と設定され、I113=mI112(0≦
m≦1)とする。出力電流Ioutは、温度依存性のあ
る電流I111と温度依存性のない電流源I113の電
流との差電流であるので、以下のように表される。
【0029】 Iout=(ΔT)=I111(ΔT)−I113 =Io(To)×(1+(1−r)ΔT/To)−mIo(To) =Io(To)×(1−m+(1−r)ΔT/To) =(1−m)Io(To)×(1+(1−r)/(1−m)×ΔT/ To) (11) 式(11)から、温度係数は(1−r)/(1−m)と
なるため、0≦r<m<1の範囲で温度係数を1以上に
することが可能となる。
【0030】図4(b)に、r=0,m=0.5とした
場合の出力電流Ioutの温度特性示す。この場合、出
力電流Iout(To)は電流値Io(To)の1/2
となる。カレントミラー回路により出力電流Ioutを
2倍にした場合の電流の温度特性を実線で記してある。
比較のために、図3(a)の回路の電流の温度特性を破
線に示す。図4(a)の回路と図3(a)の回路では、
明らかに温度係数が変わっているのが分かる。
【0031】図5(a)は、温度依存性を有する電流源
1の第3の具体例を示す図であり、やはり温度係数を自
由に設定できる電流源である。この回路は図2(b)に
示したWidlar回路を基本として構成されている。
図5(a)の回路接続において、図2(b)異なるとこ
ろを示すと、トランジスタQ110のコレクタ端子は電
流出力端子とされ、ここから出力電流Ioutが出力さ
れる。温度依存性のない電流源I113は、電源Vcc
とトランジスタQ110のエミッタ端子との間に接続さ
れる。電流源I113の電流値は電流源I112の電流
値以下と設定され、I113=m・I112(0≦m≦
1)とする。出力電流Ioutは温度依存性のある電流
I111と温度依存性のない電流源I113の電流との
差電流であるので、以下のように表される。
【0032】 Iout(ΔT)=I111(ΔT)−I113 =Io(To)×(1+kΔT/To)−mIo(To) =Io(To)×(1−m+kΔT/To) =(1−m)Io(To)×(1+k/(1−m) ×ΔT/To) (12) 式(12)から温度係数はk/(1−m)となるため、
0≦m≦1の範囲で温度係数をk以上にすることが可能
となる。
【0033】図5(b)に、m=0.5とした場合の出
力電流Ioutの温度特性を示す。この場合、Iout
(T)の温度係数は2kとなる。図5(c)には、m=
1とした場合の出力電流Ioutの温度特性を示してい
る。この場合、温度To以下においては、出力電流Io
utは出力されず、温度To以上において出力電流Io
ut(T)が出力される。カレントミラー回路によりI
out(T)を定数倍することで、破線に示す特性が得
ることができる。
【0034】次に、図1に示した増幅器のいくつかの具
体例を説明する。 <第1の具体例>図6は、図1に示した増幅器の第1の
具体例を示す回路図である。この増幅器では、温度依存
性を有する電流源1として図3(a)に示した回路を用
い、この電流源1の出力電流Iout(トランジスタQ
114のコレクタ電流)をテール電流とした差動増幅器
を増幅段2としている。
【0035】図6において、トランジスタQ100,Q
101は差動増幅器の差動トランジスタ対を構成し、ト
ランジスタQ100,Q101のベース端子間に入力信
号電圧Vinが印加される。トランジスタQ100のコ
レクタ端子は抵抗R101を介して電源Vccに接続さ
れ、トランジスタQ101のコレクタ端子は抵抗R10
2を介して電源Vccに接続される。トランジスタQ1
00,Q101の共通エミッタ端子は、トランジスタQ
114のコレクタ端子に接続され、トランジスタQ11
4のエミッタ端子は抵抗R114に接続される。出力信
号電圧Voutは、トランジスタQ100,Q101の
コレクタ端子間から取り出される。
【0036】トランジスタQ144に流れる差動増幅器
のテール電流Io(T)とすると、差動増幅器の利得は
式(3)に示したように2Io(T)×R101/VT
で表される。一方、Io(T)は式(5)と同様に表さ
れるので、差動増幅器の利得G2(T)は次式で表され
る。
【0037】 G2(T)=2VT(T)ln(N)R101/(R112×VT(T)) =2ln(N)R101/R112 (13) 式(13)に示されるように、図6の構成により温度特
性を持たない利得を得ることができる。また、図6では
雑音の原因となるエミッタ縮退抵抗を用いていない。す
なわち、本構成によれば雑音を増大させることなく、広
い温度範囲にわたって安定した利得が得られる。
【0038】<第2の具体例>図7は、図1に示した増
幅器の第2の具体例を示す回路図である。この増幅器で
は、温度依存性を有する電流源1として図4(a)に示
した温度係数が1以上の電流源を用い、差動増幅器を増
幅段2としている。図4(a)の回路の出力電流Iou
tを取り出すために、トランジスタQ115,Q116
による第1のカレントミラー回路が設けられ、さらにト
ランジスタQ117,Q118によるカレントミラー回
路が構成される。
【0039】第2のカレントミラー回路においては、電
流入力側のトランジスタQ117に式(11)で示され
る電流が流れ、電流出力側のトランジスタQ118から
次式で示される電流が差動増幅器のテール電流として出
力される。 Io(ΔT)=M(1−m)Io(To)×(1+(1−r) /(1−m)×ΔT/To) (14) ここで、Mは第2のカレントミラー回路のトランジスタ
Q117,Q118のエミッタ面積比である。M(1−
m)=1とすると、式(14)は以下のようになる。 Io(ΔT)=Io(To)×(1+M(1−r)×ΔT/To)(15) 式(15)において、M=1,m=0の場合は図6と同
じ回路となるため、図7の回路は図6を拡張した回路と
なる。
【0040】この図7の回路の有用性を以下に述べる。
一般に、差動増幅器の出力段には図示しないエミッタフ
ォロワ回路が設けられるが、一般にエミッタフォロワ回
路も温度特性をもち、温度が高くなるほど利得が減少す
る。このようなエミッタフォロワ回路による出力段の温
度補償も含めて差動増幅器の温度補償を行う場合、温度
係数を1以上とする電流源が望まれる。このような場合
に、図7の構成が有用である。例えば、温度係数を1.
2としたい場合は、m=0.83、M=1.2とするよ
うに回路を設定すればよい(ただし、r=0と仮定し
た。)。ここで寸法が1:1.2のトランジスタを実現
するには、トランジスタのエミッタ面積比を5:6とす
るカレントミラー回路を用いればよい。
【0041】<第3の具体例>図8は、図1に示した増
幅器の第3の具体例を示す回路図である。この増幅器で
は、温度依存性を有する電流源1として図5(a)に示
した温度係数を自由に設定する電流源を用い、差動増幅
器を増幅段2としている。図5(a)の回路の出力電流
Ioutを取り出すために、トランジスタQ115,Q
116による第1のカレントミラー回路が設けられ、さ
らにトランジスタQ117,Q118によるカレントミ
ラー回路が構成される点は、図7と同様である。
【0042】この場合、トランジスタQ118の出力電
流は次式で表わされる。 Io(ΔT)=M(1−m)Io(To)×(1+k) /(1−m)×ΔT/To) (16) 式(16)において、温度ToのときIo(To)とす
るように設定すると、M(1−m)=1を満たすように
M,mを設定する条件が加わる。この場合の電流Iou
t(ΔT)(=Io(ΔT)は、次式で表される。 Io(ΔT)=Io(To)×(1+Mk×ΔT/To) (20) この図7の構成によっても、図6と同様に差動増幅器以
外の温度特性を補償することが可能である。
【0043】<第4の具体例>図1の増幅段2は差動増
幅器に限られるものでなく、エミッタ端子が交流的に接
地されているエミッタ接地増幅器であれば、同様に温度
補償が可能となる。
【0044】図9は、図1に示した増幅器の第4の具体
例を示す回路図であり、温度特性を有する電流源1とし
て図3(a)に示した電流源を用い、増幅段2をトラン
ジスタQ100とそのコレクタ端子に接続された負荷抵
抗R101とで構成し、トランジスタQ100のエミッ
タ端子にトランジスタQ114と交流接地用のキャパシ
タC100を並列に接続している。温度依存性を有する
電流源1として、図4(a)または図5(a)の回路を
用いてエミッタ接地増幅器を構成してもよいことはいう
までもない。
【0045】次に、本発明を可変利得増幅器に適用した
実施形態について説明する。 (第2の実施形態)図10は、本発明の第2の実施形態
として温度補償を施した可変利得増幅器を示している。
温度依存性を有する電流源11の出力電流Ioutは、
乗算器13の一方の入力に供給される。第1の利得制御
電圧Vxは電圧−電流変換回路12によってcVx(c
は定数)なる電流に変換された後、乗算器13の他方の
入力に供給される。乗算器13からは温度依存性を有す
る利得制御電流ICNT(T)が出力され、これが制御
信号変換回路14により第2の利得制御電圧Vyに変換
され、利得制御増幅器15に供給される。
【0046】携帯無線機のような無線通信機器における
無線送受信機回路では、IF(中間周波数)段に可変利
得増幅器が配置され、この可変利得増幅器によりIF信
号を適正なレベルに調整できるように構成される。ま
た、近年盛んに開発が進められているCDMA(符号分
割多元接続)方式の無線通信機器では、送信電力制御が
必須であるため、このIF段の可変利得増幅器は70d
B以上の信号レベル制御を可能とするような広範囲の利
得制御を行うことが求められる。
【0047】一般に、このような広範囲の利得制御を行
うためには、利得制御信号に対して指数関数的に信号レ
ベルを調節することが要求される。しかし、従来の可変
利得増幅器では、利得制御信号に対して指数関数的に信
号レベルを調節できる範囲がかなり制限され、上記の要
求に応えることが難しく、この範囲を超えて利得を変化
させるようにすると制御が困難になってしまうという問
題があった。
【0048】本実施形態によれば、第1の利得制御電圧
Vxに対して指数関数的に利得制御増幅器15の利得を
制御できる範囲が拡大され、しかも利得の温度依存性を
小さくすることができる。
【0049】以下、図10の各部の具体例について説明
する。まず、温度依存性を有する電流源11としては、
第1の実施形態における電流源1と同様に、図3
(a)、図4(a)、図5(a)のいずれの回路を用い
ることも可能であるが、以下の説明では図3(a)の回
路を用いるものとする。
【0050】図11は、図10における電圧−電流変換
回路12の具体的な回路例を示している。この回路は、
トランジスタQ20,Q21、エミッタ縮退抵抗R20
および電流源I20,I21からなる差動回路と、トラ
ンジスタQ22,Q23および抵抗R20,R21から
なるカレントミラー回路で構成される。
【0051】第1の利得制御電圧Vxは、差動回路の一
方のトランジスタQ21のベース端子に与えられ、他方
のトランジスタQ20のコレクタ端子から電流に変換さ
れて出力される。カレントミラー回路は、トランジスタ
Q20のコレクタ電流を入力電流としてトランジスタQ
22で受け、トランジスタQ23のコレクタ端子から電
流信号cVxを取り出す。この電圧−電流変換回路の出
力電流はVx/R20と近似できるため、定数cはc=
1/R20と近似できる。
【0052】図12は、図10における乗算器13の具
体的な回路例を示している。温度依存性のない電流源I
ref1は、電源Vccと差動トランジスタ対を構成す
るトランジスタQ10,Q11の共通エミッタ端子に接
続される。トランジスタQ10のコレクタ端子とベース
端子は共通接続され、第1の利得制御電圧Vxにある定
数c(コンダクタンス)を乗じた電流cVxを発生する
可変電流源を介して接地される。トランジスタQ11の
ベース端子は基準電圧源VBB1に接続され、コレクタ
端子は接地される。
【0053】温度依存性を有する電流源I(T)は、電
源電圧Vccと差動トランジスタ対を構成するトランジ
スタQ12,Q13の共通エミッタ端子に接続される。
トランジスタQ13のコレクタ端子はトランジスタQ1
4,Q15と抵抗R10,R11からなるカレントミラ
ー回路の電流入力端子に接続され、ベース端子はトラン
ジスタQ10のベース端子に接続される。トランジスタ
Q12のベース端子は基準電圧源VBB1に接続され、
コレクタ端子は接地される。カレントミラー回路の電流
出力端子はトランジスタQ15のコレクタ端子であり、
ここから利得制御電流ICNT(T)が出力される。
【0054】温度依存性を有する電流源I(T)は、図
3(a)の回路から出力される電流Ioutの定数倍の
電流aVT・ln(N)/R112を流す電流源であ
る。また、入力の第1の利得制御電圧Vxの最大値をV
xmaxとすると、Iref1にはcVxmaxの電流
が流れるものとする。
【0055】この回路において、トランジスタQ10に
は電流源Iref1の電流cVxmaxのうち、電流c
Vxが流れるように設定されている。トランジスタQ1
0,Q11のベース端子間の電圧とトランジスタQ1
2,Q13のベース端子間の電圧は等しいため、トラン
ジスタQ12,Q13からなる差動回路のコレクタ電流
とI(T)の比はcVx/cVxmaxとなる。従っ
て、トランジスタQ13のコレクタ端子には電流I
(T)Vx/Vxmaxが流れることになる。トランジ
スタQ14,Q15と抵抗R10,R11からなるカレ
ントミラー回路の電流利得を1とした場合、出力電流I
CNT(T)は以下のようになる。
【0056】 ICNT(T)=I(T)Vx/Vxmax =aln(N)[VT(T)/R112] ×[Vx/Vxmax] (18) 図13は、図10における制御信号変換回路14と利得
制御増幅器15の一部を具体的に示している。制御信号
変換回路14には、図10で説明したように第1の利得
制御電圧Vxを電圧−電流変換回路12により変換した
電流cVxと温度依存性を有する電流源11からの出力
電流Ioutとを乗算器13で乗じて得られる利得制御
電流ICNTが入力される。
【0057】図13において、第1のトランジスタQ2
0のベース端子は電圧源VBEおよび抵抗Rの一端に接
続され、抵抗Rの他端と第2のトランジスタQ21のベ
ース端子は図10における乗算器13の出力端子に接続
され、利得制御電流ICNT(=kVx)が供給され
る。
【0058】トランジスタQ21のエミッタ端子は接地
され、コレクタ端子はトランジスタQ22,Q23およ
び抵抗R10,R11からなるカレントミラー回路の電
流入力端子(トランジスタQ22のベース端子およびコ
レクタ端子)に接続される。このカレントミラー回路の
電流出力端子(トランジスタQ23のコレクタ端子)
は、トランジスタQ10のコレクタ端子に接続されてい
る。
【0059】利得制御電流ICNTは、制御信号変換回
路14によって第2の利得制御電圧Vyに変換され、差
動増幅器の差動トランジスタ対を構成するトランジスタ
Q1,Q2のベース端子間に入力される。これによりト
ランジスタQ1,Q2の共通エミッタ端子から入力され
る電流信号Isigが減衰され、トランジスタQ1のコ
レクタ端子から電流Iaとして取り出される。
【0060】この動作を説明すると、図13における利
得制御電流ICNTとして、いま第1の利得制御電圧信
号Vxを電圧−電流変換した電流kVxが流れるとすれ
ば、トランジスタQ20のベース・エミッタ間電圧はV
BEであるのに対し、トランジスタQ21のベース・エ
ミッタ間電圧はVBE−RkVxとなる。従って、トラ
ンジスタQ20のコレクタ電流IoはIs・exp(V
BE/VT)、トランジスタQ21のコレクタ電流I1
はIs・exp((VBE−RkVx)/VT)=Io
・exp(−RkVx/VT)となる。
【0061】トランジスタQ21のコレクタ電流I1
は、トランジスタQ22,Q23とR10,R11から
なるカレントミラー回路を介してトランジスタQ10の
ベースおよびコレクタ端子に流れる。トランジスタQ1
1のベース端子は電圧源VBBに接続されており、トラ
ンジスタQ11のコレクタ端子には、近似的にトランジ
スタQ20のコレクタ電流IoとQ10のコレクタ電流
I1の差電流Io−I1が流れる。従って、第2の利得
制御電圧Vyは以下の式で表される。
【0062】 Vy=VBEQ11−VBEQ10 =VT・ln((Io−I1)/Is)−VT・ln(I1/Is) =VT・ln((Io/I1)−1) =VT・ln(exp(RkVx/VT)−1) (19) 一方、利得制御増幅器15の利得、つまりIsigから
Iaの伝達関数は、次式で近似される。 Ia/Isig=1/(1+exp(Vy/VT)) (20) 式(19)と式(20)から、Ia/Isigは次式と
なる。 Ia/Isig=1/(1+exp(VT/VT・ln (exp(RkVx/VT)−1)) =1/(1+exp(RkVx/VT)−1) =1/exp(RkVx/VT) =exp(−RkVx/VT) (21) 式(21)と式(20)を比較して分かるように、制御
信号変換回路14を用いることで、広範囲に変化する第
1の利得制御電圧Vxに対して利得が指数関数的に変化
する。
【0063】図14に、利得制御電流ICNTが温度依
存性を持たない場合の第1の利得制御電圧Vx(V)に
対する利得制御増幅器15のdB表示の利得の変化を示
す。図14および式(21)から分かるように、温度に
より利得制御信号に対するdB表示の利得の傾きが変化
する。利得の変化は温度が高くなれば変化が小さくな
り、温度が低くなれば変化が大きくなる。これは温度V
Tの温度特性により生じるものであり、この温度特性を
小さくできるような可変利得増幅器が望まれる。
【0064】本実施形態によると、温度依存性を持つ利
得制御電流ICNT(T)を制御信号変換回路14に入
力することによって、利得の温度特性を小さくした可変
利得増幅器を実現できる。以下、この理由について説明
する。
【0065】今、利得制御電流をICNT(T)=k・
Vxとおくと、本実施形態ではkは温度依存性をもち、
次式で与えられる。 k=a・ln(N)/Vxmax[VT(T)/R112] (22) この式(22)を式(21)に代入すると、次式に示す
ように温度依存性のない可変利得特性、つまり温度によ
って利得が変化しない特性が得られる。
【0066】 Ia/Isig=exp(−RkVx/VT) =exp(−R・a・ln(N) /Vxmax[VT(T)/R112]Vx/VT(T)) =exp(−a・ln(N)(R/R112) ・(Vx/Vxmax)) (23) ここで、式(23)においては温度依存性を示す要素と
して、抵抗値(R,R112)が含まれているが、抵抗
値の割算となっているため、抵抗の温度特性は相殺され
る。
【0067】このように本実施形態の可変利得増幅器に
よれば、第1の利得制御電圧Vxに対して利得を指数関
数的に変化させることができ、加えて温度による利得変
化を小さくすることができる。
【0068】(第3の実施形態)図15は、本発明の第
3の実施形態に係る温度補償を施した可変利得増幅器で
あり、第2の実施形態との違いは温度に依存しない利得
制御電流ICNT0(=k0・Vx)と温度に依存する
成分のみからなる利得制御電流CNT1(T)を加算す
ることにより、利得制御電流ICNTを生成する点にあ
る。
【0069】図15において、温度依存性を有する電流
源21は、温度依存性を有する電流成分のみを出力する
電流源であり、この電流源21からの出力電流Iout
は乗算器13の一方の入力に供給される。第1の利得制
御電圧Vxは、電圧−電流変換回路12によってcVx
(cは定数)なる電流に変換された後、乗算器13の他
方の入力に供給される。乗算器13からは、温度に依存
する成分のみからなる利得制御電流ICNT1(T)が
出力される。
【0070】一方、温度依存性のない電流源22からは
温度に依存しない電流が出力され、乗算器24の一方の
入力に供給される。第1の利得制御電圧Vxは電流−電
圧変換回路23にも供給され、この電圧−電流変換回路
23により電流に変換された後、乗算器24の他方の入
力に供給される。乗算器24からは、温度に依存しない
利得制御電流ICNT0=ko・Vxが出力される。
【0071】乗算器13から出力される温度に依存する
成分のみからなる利得制御電流ICNT1(T)と、乗
算器24から出力される温度に依存しない利得制御電流
ICNT0とは加算器25により加算され、温度依存性
を有する利得制御電流ICNT(T)となり、これが制
御信号変換回路14により第2の利得制御電圧Vyに変
換され、利得制御増幅器15に供給される。
【0072】図16は、図15における温度依存性を有
する電流源21と乗算器13の部分の具体例であり、電
流源21は温度に依存する成分のみの電流を発生する。
温度依存性のない電流源22は、エミッタ縮退抵抗を用
いた差動増幅器等を別に用意して発生させる。図16の
回路構成は、図12(a)の回路と図12(a)の回路
の極性を反転した回路を2つ用いて構成されている。そ
れぞれの出力はトランジスタQ35のコレクタ端子およ
びトランジスタQ41のコレクタ端子から得られ、トラ
ンジスタQ35,Q41のコレクタ端子を共通接続する
ことにより、温度に依存する成分のみからなる利得制御
電流ICNT1(T)が得られる。
【0073】電流源I31,I34は、図15の電圧−
電流変換回路12の出力電流に相当する温度依存性のな
い利得制御電流cVxが流れる電流源であり、その電流
値はcVxmaxに設定される。
【0074】温度依存性を有する電流源I30(T)
は、図4(a)または図5(a)に示した回路を用いて
構成され、その電流は図5(c)に示すように温度To
において電流が0となり、温度の上昇に応じて電流が増
加し、To以下においては電流は0となるように設定さ
れる。
【0075】電流源I35(T)は、図4(a)または
図5(a)に示した回路を用いて構成され、その電流は
図5(c)に対して反対の特性を示すように設定され
る。すなわち、温度Toにおいて電流が0となり、To
以上温度が上昇した場合は電流が0となり、To以下に
おいては温度に比例して電流が増加するように設定され
る。
【0076】次に、図16の回路の動作について説明す
る。トランジスタQ41のコレクタ電流IQ41は、次式
で表される。 IQ41(T)=I35(T)Vx/Vxmax =d・ln(N)[VT(T)/R112(T)−VT(To)/ R112(To)]Vx/Vxmax ;T≧To =0 ;T<To (24) ここで、dは定数である。
【0077】VT(T)=VT(ΔT)=VT(To)
[1+ΔT/To]と表し、R112(T)=R112
(ΔT)=R112(To)[1+rΔT/To]と近
似すると、式(24)のT≧Toの場合は以下のように
近似できる。
【0078】 IQ41(T)=IQ41(ΔT) =d・ln(N)VT(To)/R112(To) ×((1−r)ΔT/To)Vx/Vxmax (25) 同様に、トランジスタ35の電流IQ35は以下のように
なる。 IQ35(T)=IQ35(ΔT) =0 ;T≧To =d・ln(N)VT(To)/R112(To)×((1− r)ΔT/To)Vx/Vxmax ;T<To (26) ICNT1(T)=ICNT1(ΔT)は、IQ41(Δ
T)とIQ35(ΔT)の減算であるので、以下のように
なる。 ICNT1(ΔT)=IQ41(ΔT)−IQ35(ΔT) =d・ln(N)VT(To)/R112(To) ×((1−r)ΔT/To)Vx/Vxmax =k1(ΔT)Vx (27) ここで、k1(ΔT)=d・ln(N)VT(To)/
R112(To)×((1−r)ΔT/To)/Vxm
axとした。図15のICNT(T)は、以下のように
なる。 ICNT(T)=ICNT0+ICNT1(T) =(k0+k1(ΔT))Vx =k0(1+k1(ΔT)/k0)Vx (28) 一方、図13で示した利得制御増幅器15の利得Ia/
Isigは、exp(−k(T)RVx/VT(T))
と表される。ここで、VT(T)=VT(ΔT)=VT
(To)[1+ΔT/To]と表し、R(T)=R(Δ
T)=R(To)[1+rΔT/To]と近似すると、
利得Ia/Isigは以下のように近似できる。
【0079】 Ia/Isig(ΔT) =exp(−k(ΔT)/(1+(1−r)ΔT/To) ×[R(To)/VT(To)]×Vx) (29) また、式(28)と図13を対応させると、k(ΔT)
はk0(1+k1(ΔT)/k0)を表すことになる。
従って、式(29)のk(ΔT)/(1+(1−r)Δ
T/To)=f(ΔT)は以下のようになる。
【0080】 f(ΔT)=k0(1+k1(ΔT)/k0) /(1+(1−r)ΔT/To) =k0(1+d・ln(N)VT(To) /R112(To)×((1−r)ΔT/To) /(k0・Vxmax))/(1+(1−r)ΔT/To) =k0(1+(1−r)ΔT/To) /(1+(1−r)ΔT/To) =k0 (30) ここで、d・ln(N)VT(To)/R112(T
o)/(k0Vxmax)=1とした。式(30)より
式(29)は式(31)となり、温度に依存しない可変
利得特性が実現できる。
【0081】 Ia/Isig(ΔT) =exp(−k0[R(To)/VT(To)]×Vx) (31)
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば雑
音の増大を伴うことなく、広い温度範囲にわたり安定し
た利得が得られる増幅器を提供することができる。
【0083】さらに、本発明によると、利得制御増幅器
の利得が利得制御信号に対して指数関数的に変化する可
変利得増幅器の利得制御信号を温度依存性を有する電流
源を用いて生成することにより、利得制御が容易であっ
て、しかも温度に対して安定な可変利得制御特性を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る温度補償を施
した増幅器の概略構成を示すブロック図
【図2】 温度依存性のない電流源の原型となる従来の
バンドギャップリファレンス回路およびWidlar回
路の回路図
【図3】 バンドギャップリファレンス回路から温度依
存性を有する電流を取り出す電流源の一例を示す回路図
およびその温度特性を示す図
【図4】 バンドギャップリファレンス回路から温度依
存性を有する電流を取り出す電流源の他の例を示す回路
図およびその温度特性を示す図
【図5】 Widlar回路から温度依存性を有する電
流を取り出す電流源の一例を示す回路図およびその温度
特性を示す図
【図6】 同実施形態に係る増幅器の第1の具体例を示
す回路図
【図7】 同実施形態に係る増幅器の第2の具体例を示
す回路図
【図8】 同実施形態に係る増幅器の第3の具体例を示
す回路図
【図9】 同実施形態に係る増幅器の第4の具体例を示
す回路図
【図10】 本発明の第2の実施形態に係る可変利得増
幅器の概略構成を示すブロック図
【図11】 同実施形態における電圧−電流変換回路の
具対例を示す回路図
【図12】 同実施形態における乗算器の具体例を示す
回路図
【図13】 同実施形態における制御信号変換回路およ
び利得制御増幅器の具体例を示す回路図
【図14】 同実施形態に係る可変利得増幅器の温度補
償を施さない場合の温度特性を示す図
【図15】 本発明の第3の実施形態に係る可変利得増
幅器の概略構成を示すブロック図
【図16】 同実施形態における要部の具体例を示す図
【図17】 従来の温度依存性のない差動増幅器および
温度依存性の大きな差動増幅器を示す回路図
【符号の説明】
1…温度依存性を有する電流源 2…増幅段(差動増幅器またはエミッタ接地増幅器) 11…温度依存性を有する電流源 12…電圧−電流変換回路 13…乗算器 14…制御信号変換回路 15…利得制御増幅器 21…温度依存性を有する電流源 22…温度依存性のない電流源 23…電圧−電流変換回路 24…乗算器 25…加算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03F 1/30 H03F 3/45 H03G 3/02 - 3/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度依存性を有する第1の電流源と、 温度依存性を有しない第2の電流源と、 温度依存性を有しない第1の利得制御信号と前記第1の
    電流源の出力電流とを乗算する第1の乗算手段、前記第
    1の利得制御信号と前記第2の電流源の出力電流とを乗
    算する第2の乗算手段及び前記第1及び第2の乗算手段
    の乗算結果を加算して温度依存性を有する第2の利得制
    御信号を得る加算手段を含む制御信号変換手段と、 前記第2の利得制御信号に従って利得が制御される利得
    制御増幅器と、 を具備することを特徴とする増幅器。
  2. 【請求項2】 前記第1の電流源は、温度依存性を有す
    る電流から温度依存性のない電流を差し引いた電流を出
    力することを特徴とする請求項1に記載の増幅器。
  3. 【請求項3】 前記第1の電流源は、バンドギャップリ
    ファレンス回路またはWidlar回路から前記温度依
    存性を有する電流を取り出すことを特徴とする請求項2
    に記載の増幅器。
  4. 【請求項4】 前記制御信号変換手段は、第1の利得制
    御信号をVx、第2の利得制御信号をVyとし、熱電圧
    をVT、1以上の定数をRkとしたとき、 Vy=VT・ln{exp(Rk・Vx/VT)−1} なる入出力特性を有し、 前記利得制御増幅器は、入力信号電流をIsig、出力
    信号電流をIaとしたとき、 Ia/Isig=1/[1+exp(Vy/VT)] なる伝達関数を有することを特徴とする請求項1に記載
    の増幅器。
  5. 【請求項5】 前記制御信号変換手段は、 一方のトランジスタのコレクタ端子とベース端子が接続
    され、他方のトランジスタのベース端子が所定の直流レ
    ベルに固定された差動トランジスタ対と、 前記差動トランジスタ対の共通エミッタ端子にコレクタ
    端子が接続され、ベース端子とエミッタ端子間に所定の
    バイアス電圧が印加された第1のトランジスタと、 前記第1のトランジスタのベース端子に一端が接続され
    た抵抗と、 ベース端子が前記抵抗の他端に接続されると共に、前記
    第1の利得制御信号から前記第1の電流源の出力電流ま
    たは前記第1の電流源および第2の電流源の出力電流を
    用いて生成される利得制御電流がベース端子に供給され
    る第2のトランジスタと、 前記第2のトランジスタのコレクタ端子に電流入力端子
    が接続され、電流出力端子が前記差動トランジスタ対の
    前記一方のトランジスタのコレクタ端子に接続される第
    1のカレントミラー回路とを有し、 前記差動トランジスタ対の二つのトランジスタのベース
    端子の電位差を前記第2の利得制御信号として出力する
    ことを特徴とする請求項1または4に記載の増幅器。
  6. 【請求項6】 前記利得制御増幅器は、前記第2の利得
    制御信号がベース端子間に入力され、共通エミッタ端子
    に入力信号電流が流れる電流差動トランジスタ対を有
    し、該差動トランジスタ対の一方のコレクタ端子から出
    力信号電流を取り出すことを特徴とする請求項1または
    4に記載の増幅器。
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