JP3493770B2 - 溶融粘度低減剤組成物及び合成繊維の製造方法 - Google Patents

溶融粘度低減剤組成物及び合成繊維の製造方法

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JP3493770B2
JP3493770B2 JP29946694A JP29946694A JP3493770B2 JP 3493770 B2 JP3493770 B2 JP 3493770B2 JP 29946694 A JP29946694 A JP 29946694A JP 29946694 A JP29946694 A JP 29946694A JP 3493770 B2 JP3493770 B2 JP 3493770B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル樹脂用溶
融粘度低減剤組成物及び当該組成物を適用したポリエス
テル繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成繊維の高強度化は、産業用資材に使
用する分野において求められている要求であるが、かか
る分野に適合するために必要な強度を得るために、従来
以上の高重合度の樹脂の紡糸がなされている。しかしな
がら、この場合、樹脂の溶融粘度が上昇して加工性が低
下する問題が提起されている。
【0003】又、近年、特に行われている高速紡糸は、
溶融樹脂の吐出量を増大させなければならず、このため
樹脂の溶融粘度を低減させるために有効な添加剤が求め
られている。
【0004】類似の問題は、染色性を改善したポリエス
テル繊維においても提起されている。即ち、ポリエステ
ル繊維は良好な物性を有する優れた繊維である反面、染
色性が低く、分散染料以外の染料では染色できない欠点
が認められている。それを改善するためにスルホン酸塩
を含有するイソフタル酸成分をテレフタル酸と共重合さ
せたポリエステル樹脂を繊維化する方法が知られてい
る。この繊維は、そのアニオン性に起因してカチオン染
料で染色可能な繊維となる利点が得られるが、反面、樹
脂の溶融粘度が著しく増大する欠点がある。
【0005】かかる問題点を解消するために、合成繊維
用樹脂に対してエチレンビスステアリルアミドやステア
リルアルコール等の添加剤を添加する方法が考えられ
る。この方法では、溶融粘度が低下するが、重合度も同
時に低下する現象も誘引し、実際に使用できるものでは
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、 ポリエス
テル樹脂を溶融紡糸するに当たり、ポリエステル樹脂
重合度を損なうことなく溶融粘度を低減させる性能を有
した新規有用な溶融粘度低減剤組成物及びそれを適用し
ポリエステル繊維の製造方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記の
問題を解決するため鋭意検討を重ねてきた。その結果、
特定のイミド系化合物が対象となるポリエステル樹脂
重合度を低下させることなく、その溶融粘度を低下さ
せ、且つ耐熱性を具備した添加剤であることを見いだし
た。本発明はかかる知見に基づき完成されたものであ
る。
【0008】即ち、本発明に係る溶融粘度低減剤組成物
は、一般式(1)で表される1種又は2種以上のイミド
系化合物(以下「本イミド系化合物」という。)を含有
することを特徴とする。
【0009】 [式中、R1、R2は同一又は異なって、アルキル基(好
ましくは炭素数1〜28)、アルケニル基(好ましくは
炭素数2〜28)、シクロアルキル基(好ましくは炭素
数4〜6)、(R3)a−(シクロヘキシレン)−R4
で示される脂環式基又は(R5)b−(フェニレン)−R
6−で示される芳香族基を表す。R3は水素原子又はアル
キル基(好ましくは炭素数1〜22)を表す。R5はア
ルキル基(好ましくは炭素数1〜22)を表す。R4
6は同一又は異なって、単結合又はアルキレン基(好
ましくは炭素数1〜2)を表す。aは1又は2を表し、
bは0〜2の整数を表す。Yはアルキレン基(好ましく
は炭素数1〜12)若しくはその幾何異性体、アルキル
基(好ましくは1〜3個の炭素数1〜4のアルキル基)
が置換していてもよいフェニレン基、基−CH2−(フ
ェニレン)−CH2−、基−CH2−(シクロヘキシレ
ン)−CH2−又は基B1−Z−B2を表す。Zは直接結
合、−S−、−SO2−、−O−、−CH2−、−CO−
又はアルキル基若しくはアリール基が置換したメチレン
基を表す。B1、B2は同一又は異なって、アルキル基
(好ましくは1〜3個の炭素数1〜4のアルキル基)が
置換していてもよいフェニレン基又はアルキル基(好ま
しくは1〜3個の炭素数1〜4のアルキル基)が置換し
ていてもよいシクロヘキシレン基を表す。nは0〜10
の整数を表す。]
【0010】本イミド系化合物は、ジフェニルスルホン
テトラカルボン酸(以下「DSDA」と略記する。)及
び/又はその無水物(一無水物と二無水物の何れの無水
物も該当する。)(以下「DSDA類」と総称する。)
よりなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の化合物
と、一般式(2)又は一般式(3)で表されるモノアミ
ン(各種の脂肪族一級モノアミン及び芳香族一級モノア
ミンが該当する。)及び/又は一般式(4)で表される
ジアミン(各種の脂肪族一級ジアミン及び芳香族一級ジ
アミンが該当する。)よりなる群から選ばれる1種若し
くは2種以上のアミン化合物とを脱水反応することによ
り製造される。
【0011】R1−A1−NH2 (2) [式中、R1、A1は一般式(1)において記載したとお
りである。]
【0012】R2−A2−NH2 (3) [式中、R2、A2は一般式(1)において記載したとお
りである。]
【0013】H2N−Y−NH2 (4) [式中、Yは一般式(1)において記載したとおりであ
る。]
【0014】脱水反応は、加熱による方法が最も工業的
に好ましいが、必要により無水酢酸−ピリジン、カルボ
ジイミド、亜燐酸トリフェニル等の化学的脱水剤を使用
することもできる。
【0015】又、DSDA類をメチルアルコールやブチ
ルアルコール等の低級アルコールで中間的に部分エステ
ルや全エステルとしたり、塩化チオニル、ホスゲン、塩
素等の塩素化試薬で酸クロリドにする等の実質的にDS
DA類を脱水した形態で当該アミンを作用させることも
有効なことがある。
【0016】DSDAとしては、3,3’,4,4’−
ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,2’,3,
3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,
3’,3,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸
が例示される。
【0017】脂肪族一級モノアミンとしては、飽和又は
不飽和の直鎖、分岐又は脂環式のモノアミンが例示さ
れ、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピ
ルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルア
ミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミ
ン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミ
ン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデ
シルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミ
ン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシ
ルアミン、ヘネイコシルアミン、ドコシルアミン、シク
ロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメ
チルシクロヘキシルアミン、アルキル(炭素数2〜1
8)シクロヘキシルアミン等が例示される。
【0018】更に、実質的にはこれらのアミンを含有す
る混合物、即ち、ヤシアミン、牛脂アミン、魚油アミ
ン、水添ヤシアミン、水添牛脂アミン、水添魚油アミン
等の天然系アミンを使用することは経済的に有意義であ
る。
【0019】これらの脂肪族モノアミンにおいて、炭素
数6に満たないものは、特に、ビスイミド(一般式
(1)においてn=0の化合物)の原料とした場合には
樹脂に溶融した際の発煙が多い傾向があり、好ましくな
い。
【0020】炭素数12〜18のモノアミンは、当該イ
ミド系化合物の溶融粘度低減の性能並びに原料の入手の
容易さや溶融樹脂に添加した時の発煙性から、好ましい
原料である。炭素数18を越えるモノアミンは入手が困
難であることから好ましくないが、天然系アミンの一成
分として混在したアミンは有効である。
【0021】芳香族一級モノアミンとしては、非置換或
いは炭素数1〜22のアルキル置換一級アニリン(以下
「アニリン類」という。)が例示され、より具体的には
アニリン、トルイジン、エチルアニリン、プロピルアニ
リン、ブチルアニリン、ペンチルアニリン、ヘキシルア
ニリン、ヘプチルアニリン、オクチルアニリン、ノニル
アニリン、デシルアニリン、ウンデシルアニリン、ドデ
シルアニリン、トリデシルアニリン、テトラデシルアニ
リン、ペンタデシルアニリン、ヘキサデシルアニリン、
ヘプタデシルアニリン、オクタデシルアニリン、ノナデ
シルアニリン、エイコシルアニリン、ヘネイコシルアニ
リン、ドコシルアニリンが例示される。これらのアニリ
ン類の置換アルキル基は直鎖であっても、分岐であって
もよい。
【0022】これらの芳香族モノアミンの内、ドデシル
アニリンが当該イミド系化合物の溶融粘度低減の性能並
びに原料の入手の容易さから、好ましい原料である。
【0023】脂肪族一級ジアミンとしては、炭素数1〜
12のメチレン基で結合された一級ジアミン及びその幾
何異性体が例示され、具体的には、エチレンジアミン、
トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペン
タメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタ
メチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチ
レンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレ
ンジアミン、ドデカメチレンジアミン及びそれらの幾何
異性体が例示される。
【0024】更に、脂環基を有する脂肪族一級アミンと
しては、1,3−ビスアミノシクロヘキサン、イソホロ
ンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン及びその
脂環式のメチル置換体が例示される。
【0025】又、芳香環を有する脂肪族一級ジアミンと
しては、m−キシリレンジアミンが例示される。
【0026】これらの脂肪族ジアミンの内、エチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビスアミノ
シクロヘキサン、イソホロンジアミン、m−キシリレン
ジアミンは、オリゴイミドの溶融粘度低減の性能並びに
原料の入手の容易さから好ましい原料である。
【0027】芳香族一級ジアミンとして、具体的には、
ベンジジン、ジメチルベンジジン、ジアミノジフェニル
メタン、ジアミノジトリルメタン、ジアミノジフェニル
エタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェ
ニルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジ
フェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、o,m,
p−フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレン
ジアミンを例示することができる。
【0028】これらの芳香族ジアミンの内、ジアミノジ
フェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミ
ノジフェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、o,
m,p−フェニレンジアミン、トリレンジアミンが、オ
リゴイミドの溶融粘度低減の性能並びに原料の入手の容
易さから好ましい原料である。
【0029】上記のモノアミン、ジアミンともに対応す
るイソシアネート化合物、ジイソシアネート化合物も原
料として使用することができる。
【0030】本イミド系化合物は、希望する諸物性に応
じて単独で用いてもよいし、2種以上を適宜混合しても
良い。場合によっては、混基イミドの形態で添加しても
よい。
【0031】本発明に係るイミド系化合物を調製するに
当たり、夫々の原料のモル比を選択することによって、
その重合度を設定できる。具体的には、ビスイミドでは
DSDA類/モノアミン(モル比)=1/1.5〜2.
5、オリゴイミドではDSDA類/モノアミン/ジアミ
ン(モル比)=2〜11/2/1〜10が好ましい。ビ
スイミドとオリゴイミドの混合物を所望する場合は、縮
合反応モル比の設定によって混合物を得ることができ
る。
【0032】当該脱水反応は、加熱による方法が工業的
には最も好ましい。
【0033】反応の前半は、DSDA類と一級アミンと
の中和反応とアミド化反応が中心になり、反応の後半
は、DSDA類とアミンのアミド酸からの脱水反応が中
心となる。
【0034】反応は無溶媒で行ってもよいし、DSDA
類が溶解する化合物を溶媒として用いてもよい。これら
の溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジ
メチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチル
スルホオキシド、ジオキサン等や炭素数1〜4の低級ア
ルコール等の極性有機溶媒が例示できる。
【0035】一方、DSDA類を分散溶媒によって、攪
拌分散しながら、一級アミン類を逐次添加して反応する
方法も有効である。
【0036】これらの分散溶媒としては、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、クメン、テトラリン等の芳香族炭化
水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン
等の脂肪族炭化水素を例示することができる。
【0037】工業的意義からは無溶媒反応が最も好まし
く、上記の分散溶媒をエントレーナーとして少量使用す
る方法も有効である。
【0038】脱水反応は、0〜400℃で行われるのが
好ましい。反応の前半はいずれの温度範囲でも可能であ
るが、反応の後半においては、100〜400℃、好ま
しくは120〜300℃の範囲内が推奨される。100
℃未満の温度では脱水反応の進行が遅く工業的とはいえ
ず、400℃を越える温度では熱分解反応が生起する傾
向にあり、好ましくない。
【0039】反応時間は、反応温度に依存して一概に言
えないが、通常、1〜50時間で行われる。
【0040】脱水反応は、常圧下でもよいし、減圧下で
あってもよい。反応前半は常圧下の反応が好ましく、反
応後半は減圧下が好ましい。減圧度は0.01〜760
トールの範囲のいずれでも可能であるが、特に反応終期
は減圧度が高いことが望ましい。
【0041】反応は、通常、無触媒反応が好ましいが、
触媒として、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カ
ルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、スズ、鉛等
の水酸化物、酸化物、塩化物、有機酸塩を使用すること
もできる。
【0042】以上の操作で得られた本イミド系化合物
は、無溶媒条件で製造された場合はそのまま反応缶から
取り出し、他方、溶媒、分散媒又はエントレーナーを使
用して製造された場合はトッピング等の操作でこれら溶
媒、分散媒又はエントレーナーを除去した後に取り出
す。
【0043】得られた本イミド系化合物、特にオリゴイ
ミドは固体の場合が多く、粉砕してそのまま繊維用樹脂
に添加することができる。
【0044】精製された本イミド系化合物を必要とする
場合は、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系非
極性溶媒又はアセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、ジオキサン、ジグライム、アセトニト
リル、炭素数1〜4の低級アルコール等の脂肪族系極性
溶媒、クロロホルム、モノクロロベンゼン等の塩素系溶
媒等を使用して金属塩等の不溶物を濾別したり、白土処
理等の吸着処理や再沈澱法により精製を行うことができ
る。
【0045】一級アミンの代わりに、そのイソシアネー
ト誘導体を原料として用いた場合も、同様の反応条件が
適用可能である。
【0046】本発明に係るポリエステル樹脂用溶融粘度
低減剤組成物は、本イミド系化合物を必須の成分とし、
必要に応じて他の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線
吸収剤等をこの発明の目的を阻害しない程度に配合して
もよい。
【0047】本発明に係る原料ポリエステル樹脂として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等の溶融紡糸できる樹脂が挙げられ、特に有効
な樹脂としてポリエチレンテレフタレートを主たる繰り
返し単位とするポリエステル樹脂が挙げられる。
【0048】上記ポリエステル樹脂を構成するポリエチ
レンテレフタレート単位以外の成分としては、グリコー
ル成分とジカルボン酸成分が掲げられる。
【0049】当該グリコール成分としては、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキ
サン−1、4−ジメタノール、ネオペンチルグリコー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオ
キシド及び/又はプロピレンオキシド付加物、水素化ビ
スフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド
及び/又はプロピレンオキシド付加物、ビフェノール等
が例示される。
【0050】又、当該カルボン酸成分としては、イソフ
タル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボ
ン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、スルホニルジ
安息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン
酸、p−ヒドロキシ安息香酸等が例示される。
【0051】ポリエステル樹脂の内、特に、ジカルボン
酸成分として、スルホン酸塩を含有するイソフタル酸成
分をテレフタル酸と共重合させたポリエステル樹脂、即
ち、基−SO2M(M:アルカリ金属、アルカリ土類金
属)を含むイソフタル酸を共重合成分として含有して、
ポリエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とする
ポリエステル樹脂に対し、本イミド系化合物は、有効に
機能する。
【0052】本発明に係る溶融粘度低減剤組成物の添加
量は、原料樹脂100重量部に対して0.1〜20重量
部、好ましくは0.5〜10重量部であり、特に1〜5
重量部となるように添加するのが望ましい。添加量が
0.1重量部未満では特性があまり向上せず、20重量
部を越えて添加した場合にはポリエステル繊維に必要な
機械特性を損なう虞がある。
【0053】ポリエステル樹脂に対し溶融粘度低減剤組
成物を添加する操作は、樹脂製造後から溶融紡糸する前
の任意の行程で行ってもよい。例えば、重合反応直後後
の溶融状態で添加してペレット化してもよいし、溶融紡
糸工程において、溶融する原料樹脂ペレットに混合して
溶融紡糸に供してもよく、溶融した樹脂に当該イミドを
添加して混合した後に溶融紡糸に供してもよい。
【0054】本発明のポリエステル繊維は、上記操作に
よって得られた樹脂を溶融状態で紡糸し、冷却後、延
伸、熱処理を施すことにより得られる。
【0055】紡糸は、一般にエクストルーダーとギアポ
ンプと口金と濾過層を一体としたノズルブロック等を装
備した紡糸装置により行われ、通常、樹脂の溶融温度2
00〜350℃、好ましくは、250〜300℃、吐出
圧10〜200kg/cm2で紡糸される。
【0056】紡糸された糸は、冷却後一旦未延伸糸とし
て巻取った後に予熱延伸し、引続き緊張化に熱処理して
もよいし、紡出糸を巻取らずに引き取りローラーで引き
取り、引続き加熱ローラー上で延伸、熱処理しても良
い。延伸、熱処理は通常の繊維と変わりなく行い、延伸
時の好ましい予熱温度は60〜150℃、熱処理の好ま
しい温度は150〜300℃である。
【0057】かくして、溶融樹脂に添加しても、発煙が
少なく、重合度を低下させない溶融粘度低減剤を得るこ
とができ、更に、それを添加した合成繊維を得ることが
できる。
【0058】上記の如くして調製されたポリエステル繊
は、織物、編物、不織布を形成して、衣料、カーテン
等の家庭用布帛 、粘着テープ補強剤、電線被覆剤、テ
ント用布、ターヤコード等の産業用資材用布帛に適して
いる。
【0059】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を詳しく説明す
る。尚、樹脂組成物の特性は、以下の方法により測定し
た。
【0060】メルトフローインデックス(MFI) 265℃、荷重10kgのおける直径1mm、長さ10mmの
オリフィスから10分間に押し出される溶融樹脂量(cm
3/10分)として測定した。MFIが大きい程流動性がよ
く、溶融粘度低減効果があることになる。
【0061】極限粘度 メルトフロー測定後の試料をフェノール/テトラクロル
エタン(6/4、重量基準)溶液として、極限粘度を測
定した。極限粘度は、分子量に依存しているので、極限
粘度の変化が少なければ、重合度の低減がないことにな
る。
【0062】製造例1 3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボ
ン酸二無水物35.8g(0.1モル)とステアリルア
ミン54.2g(0.2モル)とをキシレン500g中
で混合攪拌し、昇温した。生成水を分離除去しながら、
キシレンをも留去して、最終的に反応温度が260℃と
なるまで加熱し、生成水6.9gになるまで反応を継続
した。反応終了後、再びキシレン500gと酸化カルシ
ウム3gを添加し、分散攪拌した後、不溶物を濾別し
た。キシレン約300gを留去した後、約1リットルの
イソプロピルアルコール中に注ぎ込み、再沈させて固体
を析出させ、濾過、乾燥して、3,3’,4,4’−ジ
フェニルスルホンテトラカルボン酸とステアリルアミン
のビスイミド(イミド化合物1)80gを得た。尚、
「イミド化合物1」を赤外吸収分析したところ、イミド
基に起因する特性吸収(ν(C=O))を1775cm-1及び
1703cm-1に認めた。
【0063】製造例2 ステアリルアミンに替えて、ラウリルアミン37.0g
(0.2モル)を使用した以外は製造例1と同様に行っ
て、ビスイミド(イミド化合物2)を作成した。尚、
「イミド化合物2」を赤外吸収分析した結果、「イミド
化合物1」と同様の特性吸収を認めた。
【0064】製造例3 3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボ
ン酸二無水物36.2g(0.1モル)とp−ドデシル
アニリン52.2g(0.2モル)とDMF500g中
で混合攪拌し、昇温した。留出する溶媒と生成水を除去
しながら、最終的に反応温度が260℃となるまで加熱
し、更に10トールまで減圧し、3時間反応を継続し
て、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカ
ルボン酸とp−ドデシルアニリンのビスイミド(イミド
化合物3)を得た。尚、「イミド化合物3」を赤外吸収
分析した結果、「イミド化合物1」と同様の特性吸収を
認めた。
【0065】製造例4 3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボ
ン酸二無水物と2,3’,3,4’−ジフェニルスルホ
ンテトラカルボン酸二無水物の混合物(モル比4:1)
35.8g(0.1モル)とステアリルアミン26.9
g(0.1モル)とヘキサメチレンジアミン5.8g
(0.05モル)をDMF中で混合攪拌し、昇温した。
生成水を分離除去しながら、DMFをも留去して、最終
的に反応温度が260℃となるまで加熱し、10mmHgの
減圧条件下、留出物がなくなるまで反応を継続して、オ
リゴイミド(イミド化合物4)を作成した。尚、「イミ
ド化合物4」を赤外吸収分析した結果、「イミド化合物
1」と同様の特性吸収を認めた。
【0066】製造例5 ヘキサメチレンジアミンに替えて、m−キシリレンジア
ミン6.8g(0.05モル)を使用した以外は製造例
4と同様にして、オリゴイミド(イミド化合物5)を作
成した。尚、「イミド化合物5」を赤外吸収分析した結
果、「イミド化合物1」と同様の特性吸収を認めた。
【0067】実施例1 ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に「イミ
ド化合物1」2重量部を添加後、押出機にて溶融混合
し、得られたステランドを水冷後カッティングして試料
とした。このもののMFI及び極限粘度を第1表に示
す。
【0068】実施例2〜5 溶融粘度低減剤組成物として所定のイミド化合物を適用
した他は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、こ
のもののMFI及び極限粘度を測定した。得られた結果
を第1表に示す。
【0069】比較例1 「イミド化合物1」を適用しない他は実施例1と同様に
して樹脂組成物を調製し、このもののMFI及び極限粘
度を測定した。得られた結果を第1表に示す。
【0070】
【0071】実施例6 5−ナトリウムスルホイソフタル酸2モル%を共重合成
分として含有するポリエチレンテレフタレート樹脂10
0重量部に「イミド化合物1」4重量部を添加後、押出
機にて溶融混合し、得られたステランドを水冷後カッテ
ィングして試料とした。この試料の高化式フローテスタ
ーによる粘度は2800ポイズであり、溶融粘度の低下
が認められた。更に、極限粘度を測定したところ0.5
20であり、重合度低下がほとんど生起しなかった。
【0072】比較例2 「イミド化合物1」を添加しない以外は実施例7と同様
にして測定したところ、樹脂の粘度は4100ポイズで
あり、極限粘度0.53であった。
【0073】実施例7 極限粘度0.90のポリエチレンテレフタレート樹脂1
00重量部に対して、「イミド化合物1」2重量部を8
0℃でドライブレンドして得たペレットをエクストルー
ダー型溶融紡糸機に供給して、樹脂温度280℃、吐出
圧力70kg/cm2で紡糸したところ、紡糸速度は3.7g
/分であり、その糸の極限粘度は0.89であった。
【0074】比較例3 「イミド化合物1」を添加しない以外は実施例7と同様
に紡糸速度を測定したところ2.6g/分であった。
【0075】本発明に係るイミド系化合物は、ポリエス
テル樹脂の溶融粘度を低減し、ポリエステル繊維の生産
性を向上せしめることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−22963(JP,A) 特開 平3−167223(JP,A) 特開 平4−281012(JP,A) 特開 平7−165913(JP,A) 特開 平8−157642(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26 C08L 101/00 C08L 67/00 - 67/08 C08K 3/00 - 13/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) [式中、R、Rは同一又は異なって、アルキル基、
    アルケニル基、シクロアルキル基、(R)a−(シク
    ロヘキシレン)−R−で示される基又は(R)b−
    (フェニレン)−R−で示される基を表す。Rは水
    素原子又はアルキル基を表す。Rはアルキル基を表
    す。R、Rは同一又は異なって、単結合又はアルキ
    レン基表す。aは1又は2を表し、bは0〜2の整数を
    表す。Yはアルキレン基若しくはその幾何異性体、アル
    キル基が置換していてもよいフェニレン基、基−CH
    −(フェニレン基)−CH−、基−CH−(シクロ
    ヘキシレン)−CH−又は基B−Z−Bを表す。
    Zは直接結合、−S−、−SO−、−O−、−CH
    −、−CO−又はアルキル基若しくはアリール基が置換
    したメチレン基を表す。B、Bは同一又は異なっ
    て、アルキル基が置換していてもよいフェニレン基又は
    シクロヘキシレン基を表す。nは0〜10の整数を表
    す。]で表される1種又は2種以上のイミド系化合物を
    含有することを特徴とするポリエチレンテレフタレート
    を主たる繰り返し単位とするポリエステル樹脂用溶融粘
    度低減剤組成物
  2. 【請求項2】ポリエチレンテレフタレートを主たる繰り
    返し単位とするポリエステル樹脂及び請求項1に記載さ
    れたポリエステル樹脂用溶融粘度低減剤組成物を含有し
    てなるポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸することを特
    徴とするポリエステル繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の方法により製造される
    リエステル繊維。
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