JP3493148B2 - 画像色処理装置、画像色処理方法および記録媒体 - Google Patents

画像色処理装置、画像色処理方法および記録媒体

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JP3493148B2
JP3493148B2 JP26967098A JP26967098A JP3493148B2 JP 3493148 B2 JP3493148 B2 JP 3493148B2 JP 26967098 A JP26967098 A JP 26967098A JP 26967098 A JP26967098 A JP 26967098A JP 3493148 B2 JP3493148 B2 JP 3493148B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カラー画像から
背景色を抽出する画像色処理装置、画像色処理方法およ
びそれを実現するためのコンピュータプログラムを記録
した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、商品のカタログ等には複数の商
品写真などの商品の画像が掲載されることが多く、この
ような場合にそれら画像には商品の画像以外に、通常、
ほぼ単色無地の背景画像が含まれることが多い。そし
て、このような画像が同一ページ中に複数掲載される場
合に、多くは、それら背景画像の色が統一されているこ
とが望ましい。
【0003】しかしながら、このような画像の基となる
画像の背景色は以下のような理由により通常は異なって
いる。すなわち、異なる写真スタジオで撮影された商品
写真である場合や、撮影の時期、照明の条件、フィルム
の銘柄等が異なる場合などである。
【0004】したがって、そのような複数の画像の背景
色を統一するためには、基となる画像の背景色のみを修
正する必要があり、従来、特許2740436号公報、
特許2740443号公報等の色修正方法を用いて作業
者が各商品画像の背景色を一枚一枚修正している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記方法
等、一般に色修正のためには修正対象となる画像のうち
の代表的な色、および色の範囲を特定する必要がある。
そして、従来は、各商品画像についてのこれらの情報を
作業者が一枚一枚、手作業で抽出しており、したがっ
て、多くの人件費および作業時間を費やしていた。
【0006】この発明は、従来技術における上述の問題
の克服を意図しており、人件費によるコストを抑え、作
業時間を短縮することができる画像色処理装置、画像色
処理方法およびそれを実現するためのコンピュータプロ
グラムを記録した記録媒体を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の請求項1に記載の装置は、カラー画像を
複数の区画に分割する分割手段と、複数の区画のそれぞ
れの代表色を抽出する代表色抽出手段と、複数の区画の
うちエッジ画像を含まない非エッジ区画の集合である非
エッジ区画集合を抽出する非エッジ選択手段と、非エッ
ジ区画集合の各非エッジ区画を順次、注目区画としつ
つ、注目区画の周囲に連続的に存在するとともに、注目
区画の代表色に対して色空間内における所定の類似色判
定条件を満足する色としての類似色を代表色として有す
るような非エッジ区画の広がりを類似色広さとして求め
る類似色広さ決定手段と、非エッジ区画集合のうち類似
色広さが最大の非エッジ区画の代表色をカラー画像の代
表的背景色とする背景色決定手段と、を備える。
【0008】また、この発明の請求項2に記載の装置
は、請求項1に記載の画像色処理装置であって、類似色
判定条件がLab色空間における注目区画の代表色が表
わす点との距離が所定の閾値以下か否かを判定する条件
であることを特徴とする。
【0009】また、この発明の請求項3に記載の装置
は、請求項1または請求項2に記載の画像色処理装置で
あって、さらに、代表的背景色がほぼ無彩色である場合
に、非エッジ区画のうちほぼ無彩色を有する無彩色区画
を選択する無彩色選択手段と、選択された無彩色区画の
代表色のうちほぼ最も明るい代表色およびほぼ最も暗い
代表色を、それぞれ最明背景色および最暗背景色として
選択する明暗選択手段と、を備える。
【0010】 また、この発明の請求項4に記載の装置
は、請求項1または請求項2に記載の画像色処理装置で
あって、代表的背景色がほぼ有彩色である場合に、非エ
ッジ区画のうち彩度および色相のそれぞれについて前記
代表的背景色との差異が所定の閾値の範囲内にあるよう
な代表色を有する非エッジ区画を有彩色区画として選択
する有彩色選択手段と、選択された有彩色区画の代表色
のうちほぼ最も明るい代表色およびほぼ最も暗い代表色
を、それぞれ最明背景色および最暗背景色として選択す
る明暗選択手段と、を備える。
【0011】 また、この発明の請求項5に記載の装置
は、請求項1または請求項2に記載の画像色処理装置で
あって、さらに、代表的背景色がほぼ無彩色か有彩色か
を判定する判定手段と、判定手段により代表的背景色が
ほぼ無彩色であると判定された場合に、非エッジ区画の
うちほぼ無彩色を有する無彩色区画を選択する無彩色選
択手段と、選択された無彩色区画の代表色のうちほぼ最
も明るい代表色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ
最明背景色および最暗背景色として選択する第1明暗選
択手段と、判定手段により代表的背景色がほぼ有彩色で
あると判定された場合に、非エッジ区画のうち彩度およ
び色相のそれぞれについて前記代表的背景色との差異が
所定の閾値の範囲内にあるような代表色を有する非エッ
ジ区画を有彩色区画として選択する有彩色選択手段と、
選択された有彩色区画の代表色のうちほぼ最も明るい代
表色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ最明背景色
および最暗背景色として選択する第2明暗選択手段と、
を備える。
【0012】また、この発明の請求項6に記載の装置
は、請求項3または請求項5に記載の画像色処理装置で
あって、無彩色選択手段が、Lab色空間におけるab
平面内において原点との距離が所定の閾値以下である代
表色を有する非エッジ区画を無彩色区画とすることを特
徴とする。
【0013】
【0014】 また、この発明の請求項7に記載の装置
は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像色
処理装置であって、さらに、選択された代表的背景色を
もとにカラー画像の背景の色を修正する手段を備える。
【0015】 また、この発明の請求項8に記載の方法
は、カラー画像を複数の区画に分割する分割工程と、複
数の区画のそれぞれの代表色を抽出する代表色抽出工程
と、複数の区画のうちエッジ画像を含まない非エッジ区
画の集合である非エッジ区画集合を抽出する非エッジ選
択工程と、非エッジ区画集合の各非エッジ区画を順次、
注目区画としつつ、注目区画の周囲に連続的に存在する
とともに、注目区画の代表色に対して色空間内における
所定の類似色判定条件を満足する色としての類似色を代
表色として有するような非エッジ区画の広がりを類似色
広さとして求める類似色広さ決定工程と、非エッジ区画
集合のうち類似色広さが最大の非エッジ区画の代表色を
カラー画像の代表的背景色とする背景色決定工程と、を
備える。
【0016】 また、この発明の請求項9に記載の方法
は、請求項8に記載の画像色処理方法であって、さら
に、代表的背景色がほぼ無彩色か有彩色かを判定する判
定工程と、判定工程により代表的背景色がほぼ無彩色で
あると判定された場合に、非エッジ区画のうちほぼ無彩
色を有する無彩色区画を選択する無彩色選択工程と、選
択された無彩色区画の代表色のうちほぼ最も明るい代表
色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ最明背景色お
よび最暗背景色として選択する第1明暗選択工程と、判
定工程により代表的背景色がほぼ有彩色であると判定さ
れた場合に、非エッジ区画のうち彩度および色相のそれ
ぞれについて前記代表的背景色との差異が所定の閾値の
範囲内にあるような代表色を有する非エッジ区画を有彩
色区画として選択する有彩色選択工程と、選択された有
彩色区画の代表色のうちほぼ最も明るい代表色およびほ
ぼ最も暗い代表色を、それぞれ最明背景色および最暗背
景色として選択する第2明暗選択工程と、を備える。
【0017】 また、この発明の請求項10に記載の方
法は、請求項8または請求項9に記載の画像色処理方法
であって、さらに、選択された代表的背景色をもとにカ
ラー画像の背景の色を修正する工程を備える。
【0018】 さらに、この発明の請求項11に記載の
記録媒体は、コンピュータによってカラー画像から背景
色を抽出するためのプログラムを記録した記録媒体であ
って、カラー画像を複数の区画に分割する分割機能と、
複数の区画のそれぞれの代表色を抽出する代表色抽出機
能と、複数の区画のうちエッジ画像を含まない非エッジ
区画の集合である非エッジ区画を抽出する非エッジ選択
機能と、非エッジ区画集合の各非エッジ区画を順次、注
目区画としつつ、注目区画の周囲に連続的に存在すると
ともに、注目区画の代表色と視覚的に類似と捉えられる
類似色を代表色として有する非エッジ区画集合に属する
区画の広がりである類似色広さを求めることによって、
非エッジ区画集合の各非エッジ区画について類似色広さ
を求める類似色広さ決定機能と、非エッジ区画集合のう
ち類似色広さが最大の非エッジ区画の代表色をカラー画
像の代表的背景色とする背景色決定機能と、を実現させ
るプログラムを記録している。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。
【0020】<1.実施の形態のシステム構成>図1は
この発明の一実施の形態である画像色処理装置のシステ
ム構成図である。以下、図1を用いてこの画像色処理装
置について説明していく。
【0021】この発明の装置は、画像について、背景色
および背景色の階調の範囲を自動的に求める装置であ
る。
【0022】図1に示すように画像色処理装置100
は、CPU1(分割手段、代表色抽出手段、非エッジ選
択手段、類似色広さ決定手段、背景色決定手段、無彩色
選択手段、明暗選択手段、有彩色選択手段、第1および
第2明暗選択手段に相当するとともに、後述する入力部
5とともに背景色を修正する手段に相当する)、基本的
プログラムが記憶されているROM2、以下に詳述する
画像変換プログラム等を記憶するRAM3、その画像変
換プログラムを磁気ディスクやCD−ROM等の記録媒
体4aから読み出す読み取り部4、キーボードやマウス
等からの入力を受け付ける入力部5、対象画像、画像色
処理結果を表示するカラーディスプレイ6、所要のプロ
グラムやデータを格納するハードディスク7等が適宜イ
ンターフェイス(I/F)を介してバスラインBLによ
り接続された本体部分のほか、スキャナ8、プリンタ9
等の周辺機器を備える1台の一般的なコンピュータシス
テムにおいて、内部のCPU1等が画像変換プログラム
を実行することによって実現される装置である。なお、
このコンピュータシステムはバスラインBLを通じて図
示しない他の装置と通信を行って各種データ等のやり取
りを行うことができるようになっている。また、画像変
換プログラムは予めROM2またはハードディスク7に
記憶しておき、RAM3に読み出して記憶して用いるも
のとしてもよく、その場合にはROM2またはハードデ
ィスク7が記録媒体として機能する。
【0023】以上のような装置構成により以下に示す処
理を行う。
【0024】<2.実施の形態の画像色処理>つぎに、
この実施の形態における画像色処理について説明する。
図2および図3は、この実施の形態の画像色処理の全体
を示すフローチャートである。なお、以下の処理に先立
って予め背景色を抽出すべき画像データが準備され、そ
の画像に背景部分が含まれていることは作業者によって
確認されているものとする。また、以下の処理は特に記
さない限り、RAM3に読み込まれた画像色処理プログ
ラムをCPU1が実行することによりソフトウェア的に
自動的に行われる。
【0025】まず、分祈対象のカラー画像(以下「対象
画像」という。)を複数の区画に分割する(ステップS
1)。図4はこの実施の形態における対象画像の分割の
様子を示す図である。図示のようにこの実施の形態では
対象画像を互いに等しい矩形の区画に分割している。そ
して、画像に2次元直交座標X−Yを設定し、各区画お
よびそれら区画の各画素を座標値で指定する。対象画像
に対してX方向にM、Y方向にN等分したM×N個の区
画を設定する。以下、便宜上、各区画のX方向およびY
方向の画素数をそれぞれa,bで表わす。なお、図4で
はM=N=4としている。
【0026】ところで、この発明はカラー画像に対する
画像色処理を前提としているが、この実施の形態ではカ
ラー画像はR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分を
有するものを対象としている。
【0027】つぎに、各区画画像の代表色を求める(ス
テップS2)。具体的には、全区画のうちの一つの区画
を順に処理対象とし(以下、各ステップにおいて順次、
処理対象とされる区画を「対象区画」という)、各対象
区画内の各画素の3つの色成分それぞれの階調の分布に
ついてのヒストグラム(R、G、B成分それぞれに階級
値の範囲を持つため、RGB色空間において直方体の階
級(階級ブロック)を有する)を作成し、得られたヒス
トグラムのうちで最も度数の高い階級ブロックである最
多階級ブロックを求め、最多階級ブロックおよびそれに
隣接する階級ブロックに属する画素の色成分ごとの階調
値の平均値を対象区画の代表色の各色成分値とするもの
である。なお、この代表色の抽出方法は、本出願人によ
る特願平10−94569に開示されている。
【0028】つぎに、全区画に対して対象画像中のエッ
ジ画像を含まない、滑らかな部分に属する非エッジ区画
を求める(ステップS3)。具体的には以下のようにし
て求める。
【0029】まず、対象区画が滑らかな部分に属する
か、エッジ画像を含む部分に属するかを判定するため、
各画素に対して滑らかさを示すパラメータd(i,j)を
設定する。図5は画素の指定方法を示す図である。図示
のように各画素をP(i,j)と表し、XおよびY成分の
インデックスをそれぞれiおよびjと表わす。そして、
画素P(i,j)に対してパラメータd(i,j)を対応させ
る。ここで、パラメータd(i,j)は、画素P(i,j)に
おける画像の滑らかさを表わす量となっていて、以下の
条件式により決定される。
【0030】
【数1】
【0031】
【数2】
【0032】
【数3】
【0033】
【数4】
【0034】なお、ここでは画素P(i,j)のR,G,
B成分をそれぞれPr(i,j)、Pg(i,j),Pb(i,
j)と表わしている。これらの式から分かるように、パ
ラメータd(i,j)は注目画素P(i,j)に対して斜めに
隣接する画素P(i−1,j−1),P(i+1,j−1),
P(i−1,j+1),P(i+1,j+1)の階調の平均値
と注目画素P(i,j)の階調との差の絶対値となってい
る。したがって、パラメータd(i,j)の値が「0」に
近いほど注目画素と周囲の画素との階調差が少ないこと
になり、画像として滑らかでエッジ成分を含まないこと
を意味するのである。そして、このようなパラメータd
(i,j)を対象区画に含まれる画素のうち、対象区画の
周縁部の画素を除く全画素に対して求める。周縁部の画
素を除いたのは周縁部の画素には隣接する画素数が少な
く、画像の滑らかさの判定の対象に含めるのは不適当で
あり、また、そのような1画素分を滑らかさの判定の対
象から除いても判定結果に大きく影響を与えないためで
ある。なお、パラメータd(i,j)は絶対値の和なので
負の値をとらない。
【0035】図6は対象区画におけるパラメータd(i,
j)を求める手順を示すフローチャートである。以下、
パラメータd(i,j)の具体的な求め方について説明す
る。
【0036】まず、対象区画に含まれる周縁(最も外
側)以外の各画素P(i,j)のパラメータd(i,j)を求
める(図6:ステップS21)。すなわち、0<i<(a
−1),0<j<(b−1)の範囲にわたってインデック
スiとjを変化させた各注目画素P(i,j)について上
記数1〜数4の式に基づいてパラメータd(i,j)を求
め、RAM3に記憶していく。
【0037】つぎに、それらの画素P(i,j)のパラメ
ータd(i,j)の和sdを求める(図6:ステップS2
2)。すなわち、パラメータd(i,j)の和を求めて、
その値を和sdとする。
【0038】つぎに、対象区画内における全画素P(i,
j)のパラメータd(i,j)の平均値を求める(図6:ス
テップS23)。すなわち、周縁の画素を除く全画素の
数(a−2)×(b−2)で和sdを割り、パラメータd
(i,j)の平均値adを求める。
【0039】つぎに、全区画終了か否かを判定し(図
6:ステップS24)、対象区画を変更しつつ全区画
(M×N個)について平均値adが求まるまでステップ
S21〜S24の処理を繰り返す。なお、上記和sdお
よび平均値adが各区画の滑らかさを表わす値となる。
【0040】つぎに、求められた平均値adを用いて全
区画のうち滑らかでエッジ成分を含まない画像を有する
区画としての非エッジ区画を求める手順を、それを示す
フローチャートである図7を用いて説明する。
【0041】まず、平均値adが第1閾値th1以下の
区画である非エッジ区画候補を求める(図7:ステップ
S31)。ここで、第1閾値th1は、この閾値より大
きい平均値adを有する区画画像には明らかにエッジ成
分があると判断される値を予め実験等により求めておい
た値である。
【0042】つぎに、全非エッジ区画候補の平均値ad
についてのヒストグラムを求める(図7:ステップS3
2)。そして、得られたヒストグラムに対して判別分析
を行って第2閾値th2を求める(図7:ステップS3
3)。ここで行う判別分析についてより具体的に説明す
る。ステップS31で求められた非エッジ区画候補は平
均値adが第1閾値th1以下の区画は画像中にエッジ
成分が有るか否か判別が難しい区画となっている。この
ような区画の集合にはエッジ成分を含む区画と、それを
含まない滑らかな画像の区画とが含まれている。したが
って得られたヒストグラムは、エッジ成分が含まれてい
る区画、すなわち平均値adが大きい区画と、エッジ成
分が含まれていない区画、すなわち平均値adが小さい
区画との2群に大まかに分けられるものと考えられる。
そこで、ここでは判別分析として両群の重心(度数を重
さとして)の間の距離が最大となるようにヒストグラム
を2つの群に分け、両群の境界となる平均値adを求
め、この平均値adを求める第2閾値th2とするとい
うものである。
【0043】つぎに、平均値adが第2閾値th2以下
の区画を滑らかな画像を有する区画である非エッジ区画
とする(図7:ステップS34)。すなわち、上記のよ
うにして求められた2群のうち平均値adが小さい側の
群に属する区画を非エッジ区画とするのである。
【0044】以上から分かるように、この実施の形態で
は、平均値adが第1閾値th1以下の区画、すなわ
ち、画像中にエッジ成分が有るか否か判別が難しい区画
のみに着目し、それらの区画についてさらに詳細に非エ
ッジ区画の判別を行っている。したがって、第1閾値t
h1を用いないで全ての区画について平均値adのヒス
トグラムを作成し、そのヒストグラムに対して上述の判
別分析を行って非エッジ区画を求める場合より、正確で
効率よく非エッジ区画を抽出できるのである。
【0045】図2の説明に戻る。つぎに、非エッジ区画
の集合に含まれる各区画画像について、周囲に滑らかに
連続し、かつ、当該区画画像とよく似た色であると視覚
的に捉えられる類似色を有する区画の数である類似色広
さ係数c(m,n)を求める(ステップS4)。
【0046】図8は最大の類似色広さ係数を求める手順
を示すフローチャートである。以下、図8を用いて最大
の類似色広さ係数の求め方についてより詳細に説明して
いく。
【0047】まず、対象画像中の全ての区画(M×N
個)に、その区画と類似の色を有する範囲の広さを示す
類似色広さ係数c(m,n)を割り当てる。ここで、m,
nは、対象画像内の区画の座標を表わす。この類似色広
さ係数c(m,n)は非エッジ区画の集合に属す区画を注
目区画として、その周囲に存在するとともに、同じく非
エッジ区画に属し、かつ、その代表色が注目区画と類似
している区画(以下「類似色区画」という。)の数を表
わしている。すなわち、類似色広さ係数c(m,n)が大
きいものほど周囲に注目区画と代表色が類似している非
エッジ区画が多いことを表わしている。
【0048】まず、各区画に対する類似色広さ係数c
(m,n)の初期値として、非エッジ区画には「1」を、
それ以外の区画には「0」を設定する(図8:ステップ
S41)。
【0049】つぎに、最大の類似色広さ係数を求めるた
めのパラメータTに「1」を設定する(図8:ステップ
S42)。
【0050】つぎに、c(m,n)=Tの区画を注目区画
とする(図8:ステップS43)。
【0051】図9は各区画の類似色広さ係数c(m,n)
の設定の様子を示す図であり、各矩形は区画B(参照符
号一部省略)を表わし、各矩形中の数値は類似色広さ係
数c(m,n)を表わす。図9(a)に示すように、最初
は各区画の類似色広さ係数c(m,n)は「1」か「0」
となっている。
【0052】つぎに、注目区画の(T+2)×(T+2)近
傍の区画の過半数で類似色広さ係数c(m,n)が正、か
つ、代表色が類似か否かを判定し(図8:ステップS4
4)、この条件を満たせば、注目区画の類似色広さ係数
c(m,n)をT+2とし(図8:ステップS45)、ス
テップS46に進む。逆に条件を満たさなければそのま
まステップS46に進む。
【0053】この判定を図9の具体例を基に説明する。
まず、画像内の全ての類似色広さ係数c(m,n)が
「1」(パラメータT)の区画について、その3×3
((T+2)×(T+2))近傍の区画(図9(a)中、斜
線を付した区画)の類似色広さ係数c(m,n)と、代表
色が当該区画と類似しているか否かを調べる。具体的に
は、類似色広さ係数c(m,n)が正で、かつ代表色が注
目区画ABと類似している区画が近傍の区画の過半数で
あれば、注目区画ABの類似色広さ係数c(m,n)を
「3」とし、そうでなければそのまま(「1」のまま)
とする。
【0054】ここで、注目区画に隣接する区画の代表色
が注目区画と類似しているか否かの判定は色空間におけ
る所定の類似色判定条件に従って行う。そして、この実
施の形態では、そのような類似色判定条件として以下の
ようなものを採用している。すなわち、注目区画の代表
色と注目区画に隣接する区画の代表色とをRGB表色系
の値からLab表色系の値に変換して、Lab色空間内
の点として表現する。図10はLab表色系における類
似色の判定を模式的に示す図である。図10中において
上記両代表色を点p1およびp2として模式的に表し
た。ところで、Lab色空間内での2点p1,p2間の
距離dは色の類似度合いを表わすものとして知られてい
る。したがって、注目区画の代表色と注目区画に隣接す
る区画の代表色とのLab空間での距離dを求め、予め
実験により求めてある類似色と判定するための閾値(L
ab色空間内での距離の閾値)と比較し、閾値以下であ
れば、両代表色が類似していると判定し、そうでなけれ
ば類似していないとする。なお、RGB表色系の値から
Lab表色系の値に変換するためには、まず、ROM2
内に予め用意されていたRGB表色系の値からLab表
色系の値に変換するルックアップテーブルを用いて変換
する。
【0055】つぎに、上記処理がc(m,n)=Tの全
区画について終了したか否かを判定し(図8:ステップ
S46)、終了していなければステップS43に戻り、
ステップS43〜S46の処理をc(m,n)=Tの全区
画に対して繰り返す。そして、全区画に対してそれらの
処理が終了したと判定されると、c(m,n)=T+2の
区画があるか否かの判定を行う(図8:ステップS4
7)。そして、そのような区画があれば、パラメータT
に「2」を加算し(図8:ステップS48)、ステップ
S43に戻り、c(m,n)=T+2の区画がないと判断
されるまでステップS43〜S48の処理を繰り返す。
【0056】再び、図9の具体例の説明を続ける。上述
のようにしてパラメータT=1の状態でステップS43
〜S46の処理をc(m,n)=1(すなわちc(m,n)=
T)の全区画について行った状態を示すのが図9(b)
である。図9(b)に示すようにc(m,n)=3(すな
わちc(m,n)=T+2)の区画が存在するため、ステ
ップS47で「Yes」と判定され、ステップS48に
おいてT=3とされてステップS43に戻る。ステップ
S44において、今度は画像内の全ての類似色広さ係数
c(m,n)が「3」(T)の区画について、その5×5
近傍の区画の類似色広さ係数c(m,n)と代表色を調
べ、類似色広さ係数c(m,n)が正の値を取り、かつ、
代表色が注目区画ABと類似している区画が過半数であ
れば、当該区画の類似色広さ係数c(m,n)を「5」
(T+2)とする。この様子を示したのが図9(c)で
ある。このようにして、各区画の周囲において類似色を
有する非エッジ区画の広がりを検出する範囲を順次大き
くしていき(パラメータTを「2」ずつ増加させてい
き)つつ、上記のように類似色広さ係数c(m,n)の値
を更新していく。これにより、周囲の類似色を有する非
エッジ区画の広がりが大きい区画は類似色広さ係数c
(m,n)が次第に大きくなっていくとともに、次第に、
類似色広さ係数c(m,n)の値が更新される区画数が減
少していく。
【0057】そして、ステップS47での判定で「N
o」と判定されると、最大の類似色広さ係数としてパラ
メータTを設定する(図8:ステップS49)。すなわ
ち、全ての非エッジ区画について類似色の広がりを検出
し終わったことになり、全区画の類似色広さ係数c(m,
n)のうちの最大値はその時点でのパラメータTになっ
ているはずであるため、最大の類似色広さ係数にそのパ
ラメータTを設定するのである。
【0058】つぎに、図2に戻り、類似色広さ係数が最
大の区画を最大類似色区画として求め(ステップS
5)、最大の類似色広さ係数(以下、「最大類似色広
さ」という)を有していた区画の代表色を、その画像の
代表的な背景色である代表的背景色と決定し、記憶する
(ステップS6)。すなわち、非エッジ区画で、かつ、
周囲に滑らかに連続し、かつ、類似色を有する区画の広
がりが最も広い区画の代表色を代表的背景色と判断する
のである。ただし、類似色広さ係数c(m,n)が最大類
似色広さと一致する区画が1つの場合、その区画の代表
色を、その画像の代表的背景色とするのであるが、一致
する区画が複数ある場合がある。このような場合には、
それらの区画の代表色の色相を求め、さらに、それら色
相の平均値を求める。なお、代表色の色相の求め方は次
に示すHSL表色系への変換を行うことによって得られ
る。そして、それらの代表色のうち得られた色相の平均
値に最も近い色相を持つ区画の代表色をその画像の代表
的背景色と決定し、RAM3に記憶する。
【0059】これで、対象画像の代表的背景色が求めら
れた。
【0060】つぎに、代表的背景色が無彩色に近いか否
かを判定する(ステップS7)。具体的には求められた
RGB表色系により表わされた代表的背景色RP(RG
B)をHSL表色系により表わされた代表的背景色RP
(HSL)に変換し、その色成分のうちS(彩度)成分
を所定の彩度閾値と比較し、彩度閾値より小さい場合に
は代表的背景色が無彩色または無彩色に近いと判定し、
ステップS8に進む。逆に彩度閾値以上の場合には代表
的背景色が有彩色または有彩色に近いと判定しステップ
S10に進む。
【0061】なお、RGB表色系の値をHSL表色系の
値に変換するには、ROM2内に用意されたルックアッ
プテーブルにてR,G,Bの値を知覚色の3属性値であ
る色相H、彩度S、明度Lに変換する。ただし、R,
G、Bの値は色相H、彩度S、明度Lの値に直接対応し
ていないので、この変換においては、一旦R,G、Bの
値をLab表色系(明度Lに対応する1次元座標、及び
彩度S、色相Hを符号aとbの平面に描いた2次元座標
からなる3次元座標空間)の値に変換する。次にそのL
ab表色系の値をHSL表色系の値に変換する。図11
はLab色空間とHSL色空間との関係を示す図であ
る。このときのLab色空間とHSL色空間は図11に
示すような関係となっている。図11において、Lab
色空間のL軸はHSL色空間の明度Lにそのまま対応
し、a軸とb軸の2次元座標上の動径が彩度Sに対応
し、a軸と動径とのなす角θが色相Hに対応している。
なお、この変換の詳細も本出願人による特願平10−9
4569に開示されている。
【0062】つぎに、代表的背景色が無彩色または無彩
色に近いと判定された場合には、非エッジ区画の集合の
うち、代表色が無彩色または無彩色に近い色を持つ区画
である無彩類似区画の集合を求める(ステップS8)。
具体的には非エッジ区画の代表色rp(RGB)を、前
述の方法によりLab表色系の値rp(Lab)に変換
し、非エッジ区画の集合のうち代表色rp(Lab)の
ab成分が、ab平面内における原点O(無彩色を表す
L軸)から所定の距離(閾値)以内にある区画(色が近
い区画とみなす)の集合を求める。これは、無彩色に近
い色の場合は色の類似性は色相にあまり依存しないた
め、一律に無彩色からの距離のみによって色の類似を判
断しているのである。なお、その際には、L(明るさ)
成分を無視する。
【0063】つぎに、各無彩類似区画の代表色のうち、
最も明るい代表色および最も暗い代表色を、それぞれ、
対象画像の最も明るい背景色である最明背景色および最
も暗い背景色である最暗背景色と決定し、記憶する(ス
テップS9)。具体的には、上記の無彩色に色が近い区
画の集合に属し、かつ最も明るい(Lが最大)区画を最
明区画とする。同様に上記の無彩色に色が近い区画の集
合に属し、かつ最も暗い(Lが最小)区画を最暗区画と
する。そして、最明区画および最暗区画の代表色をそれ
ぞれ最明背景色および最暗背景色と決定し、RAM3に
記憶する。
【0064】逆に、ステップS7において、代表的背景
色が有彩色または有彩色に近いと判定された場合には、
非エッジ区画のうち、代表色が代表的背景色と色相およ
び彩度が近い有彩類似区画を求める(ステップS1
0)。具体的には、非エッジ区画の代表色rp(RG
B)をHSL系の値rp(HSL)に変換し、非エッジ
区画の集合のうち代表色rp(HSL)の彩度(S)お
よび色相(H)と代表的背景色RP(HSL)の彩度
(S)および色相(H)とのそれぞれの差が所定の閾値
以下のとき、その代表色は代表的背景色と色が近いとし
てその区画を有彩類似区画とし、そのような有彩類似区
画の集合を求める。
【0065】つぎに、各有彩類似区画の代表色のうち、
最も明るい代表色および最も暗い代表色を、それぞれ、
対象画像の最も明るい背景色である最明背景色および最
も暗い背景色である最暗背景色と決定し、記憶する(ス
テップS11)。具体的には、上記有彩類似区画の集合
に属し、かつ最も明るい(Lが最大値)の区画を最明区
画とする。同様に上記有彩類似区画の集合に属し、かつ
最も暗い(Lが最小値)の区画を最暗区画とする。そし
て、最明区画および最暗区画の代表色をそれぞれ最明背
景色および最暗背景色と決定し、RAM3に記憶する。
【0066】以上で、代表的背景色、最明背景色および
最暗背景色が求められた。そして、必要によりこれらの
色データを用いて背景色を修正する(ステップS1
2)。
【0067】具体的には、代表的背景色を被修正色とし
て、また、最明背景色および最暗背景色を被修正色を基
準とした色修正処理の範囲とし、それぞれをHSL表色
系に変換する。さらに、作業者によりHSL表色系で表
わされた変更後の目的色が入力部5を通じて指定され
る。つぎに、代表的背景色と目的色とから色修正用のパ
ラメータを設定する。このパラメータは代表的背景色と
目的色との比率のような値である。さらに、対象画像の
画素単位の画像データをHSL表色系の画像データに変
換し、その変換後の画像データが上記色変更処理の範囲
に該当するかどうかを判定し、該当する画像データにつ
いてのみ、その画素の元のRGB画像データに上記パラ
メータを乗じて目的色またはそれに近い色に修正すると
いうものである。なお、この色修正方法の詳細は本出願
人による特許2740436号公報、特許274044
3号公報に開示されている。
【0068】なお、上記代表的背景色、最明背景色およ
び最暗背景色の色データをハードディスク7や記録媒体
4a等に記録しておいて必要時に取り出して色修正を行
うこともできる。
【0069】なお、以上において対象とされる画像は複
数用意される場合もあり、その場合は上記処理を繰り返
す。以上で、実施の形態の画像色処理は終了する。
【0070】以上、説明したように、この実施の形態の
画像色処理装置によれば、自動的にカラー画像に対して
代表的背景色、最明背景色および最暗背景色を求め、そ
れらを基にそのカラー画像の背景色を色修正するため、
人手によりカラー画像について背景色を抽出し、色修正
する場合と比べて作業負担を軽減することができ、それ
により、人件費によるコストを抑えることができるとと
もに、作業時間を短縮することができる。
【0071】また、非エッジ区画の集合のうち類似色広
さが最大の非エッジ区画の代表色をカラー画像の代表的
背景色とするため、背景色に色の濃淡がある場合にもそ
の中から代表的な背景色を的確に抽出できる。また、そ
のような代表的背景色を基に背景色の色修正を行うこと
により、色修正をそれに適した色を基に行うことがで
き、色修正の質を向上することができる。
【0072】また、類似色広さ係数を求める際に、La
b色空間における代表色同士の距離が所定の閾値以下か
否かによって類似色か否かを判定するため、類似色を客
観的に抽出でき、背景と視覚的に類似な色の広がりを正
確に捉えることができるとともに、代表的背景色を正確
に抽出することができる。
【0073】また、代表的背景色がほぼ無彩色か有彩色
かを判定し、ほぼ無彩色と判定された場合およびほぼ有
彩色と判定された場合のそれぞれに上述のように最明背
景色および最暗背景色を求めるので、代表的背景色が有
彩色の画像および無彩色の画像の両方に利用できるので
汎用性が高い。また、それにより得られた最明背景色お
よび最暗背景色を用いて背景色の範囲を正確に指定で
き、したがって、背景色の修正を行う場合にも背景画像
の色のみを容易に修正できる。また、それにより、より
人件費によるコストを抑えることができるとともに、よ
り作業時間を短縮することができる。
【0074】さらに、代表的背景色が無彩色の場合に
は、Lab色空間におけるab平面内において原点との
距離が所定の閾値以下である代表色を有する非エッジ区
画を無彩色区画とし、逆に代表的背景色が有彩色の場合
には、代表的背景色と彩度および色相のそれぞれについ
て代表的背景色との差異が所定の閾値の範囲内にある代
表色を有する非エッジ区画を有彩色区画とするため、そ
れぞれ、無彩色区画および有彩色区画を正確に抽出で
き、したがって、正確な最明背景色および最暗背景色を
抽出できるので、背景画像の範囲をさらに正確に抽出で
き、色修正もさらに正確に行える。
【0075】<3.変形例>上記実施の形態において画
像色処理装置およびそれによる画像色処理の一例を示し
たが、この発明はこれに限られるものではない。
【0076】例えば、上記実施の形態では、背景色抽出
の対象となる画像データをそのまま用いて画像色処理を
行うものとしたが、画像色処理を開始する(図2のステ
ップS1を実行する)前に対象となる画像データのサイ
ズを所定の閾値と比較し、それより大きい場合には適当
な方法(画素の間引き等)により縮小した後に上記画像
色処理を行ってもよい。その場合には、画像データのデ
ータ量が少なくなるので、RAM等の画像データの記憶
容量が少なくて済むとともに、処理速度も向上する。
【0077】また、上記実施の形態では、図3のフロー
チャートのステップS7において代表的背景色がほぼ無
彩色かほぼ有彩色かを判定するものとしたが、背景色が
ほぼ無彩色、または有彩色の画像のみを対象としている
場合には、ステップS6を行った後に、それぞれ、ステ
ップS8,S9またはステップS10、S11のみを行
い、さらにステップS12を行うものとしてもよい。
【0078】また、上記実施の形態では各画素の画像の
滑らかさを表すパラメータd(i,j)を求める方法とし
て、数1〜数3のように各色成分について注目画素P
(i,j)に対して斜めに隣接する画素P(i−1,j−
1),P(i+1,j−1),P(i−1,j+1),P(i+
1,j+1)の階調の平均値と注目画素P(i,j)の階調
との差の絶対値を求め、数3の式により、それらの和を
パラメータd(i,j)とするものとしたが、注目画素P
(i,j)に対してX軸およびY軸の正側および負側に隣
接する画素P(i−1,j),P(i+1,j),P(i,j−
1),P(i,j+1)の階調の平均値と注目画素P(i,
j)の階調との差の絶対値をパラメータd(i,j)とした
り、画素P(i,j)に隣接する画素P(i+r,j+s)
(r=0,±1およびs=0,±1)全ての階調の平均
値との差の絶対値をパラメータd(i,j)としたり、さ
らには、最隣接の画素以外にさらにその外側に隣接する
画素の階調の平均値との差の絶対値を用いてもよい。
【0079】さらに、上記実施の形態では、図3のフロ
ーチャートのステップS9およびS11において最も明
るい区画および最も暗い区画の代表色をそれぞれ最明背
景色および最暗背景色としたが、最も明るい区画の代表
色より若干明るい色および最も暗い区画の代表色より若
干暗い色をそれぞれ最明背景色および最暗背景色として
もよい。これは、図2のステップS2において抽出した
各区画画像の代表色はそれらの区画の代表的な色を抽出
しているため、それら区画の全画素がその代表色を有し
ているとは限らず、通常はその代表色を中心として所定
の範囲での広がりを有しているものと思われる。したが
って、最も明るい(または暗い)代表色を有する区画に
はそれより若干明るい(または暗い)画素も存在してい
るものと思われ、このような代表色を最明(暗)背景色
とすると、色修正の際にそれらの区画に本来背景画像に
含まれる画素であっても色修正されないもの(修正のし
残し)や、逆に本来背景色に含まれない画素であっても
色修正されるもの(修正し過ぎ)が生じる可能性がある
からである。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし
求項6の発明によれば、カラー画像を複数の区画に分割
する分割手段と、複数の区画のそれぞれの代表色を抽出
する代表色抽出手段と、複数の区画のうちエッジ画像を
含まない非エッジ区画の集合を抽出する非エッジ選択手
段と、非エッジ区画の前記集合の各非エッジ区画を順
次、注目区画としつつ、注目区画の周囲に連続的に存在
するとともに、注目区画の代表色と視覚的に類似と捉え
られる類似色を代表色として有する非エッジ区画の集合
に属する区画の数である類似色広さを求めることによっ
て、非エッジ区画の集合の各非エッジ区画について類似
色広さを求める類似色広さ決定手段と、非エッジ区画の
集合のうち類似色広さが最大の非エッジ区画の代表色を
カラー画像の代表的背景色とする背景色決定手段とを備
えるため、人手によりカラー画像について背景色を抽出
する場合と比べて作業負担を軽減することができ、それ
により、人件費によるコストを抑えることができるとと
もに、作業時間を短縮できる。
【0081】 また、請求項1ないし請求項11の発明
によれば、非エッジ区画の集合のうち類似色広さが最大
の非エッジ区画の代表色をカラー画像の代表的背景色と
するため、背景色に色の濃淡がある場合にもその中から
代表的な背景色を的確に抽出できる。また、そのような
代表的背景色を基に背景色の色修正を行うことにより、
色修正をそれに適した色を基に行うことができ、色修正
の質を向上することができる。
【0082】また、請求項2の発明によれば、Lab色
空間における代表色同士の距離が所定の閾値以下か否か
によって類似色か否かを判定するため、類似色を客観的
に抽出でき、背景と視覚的に類似な色の広がりを正確に
捉えることができるとともに、代表的背景色を正確に抽
出することができる。
【0083】 また、請求項3、請求項5および請求項
の発明によれば、代表的背景色がほぼ無彩色である場
合に、非エッジ区画のうちほぼ無彩色を有する無彩色区
画の代表色のうちほぼ最も明るい代表色およびほぼ最も
暗い代表色を、それぞれ最明背景色および最暗背景色と
するため、また、請求項4、請求項5および請求項9
発明によれば、代表的背景色がほぼ有彩色である場合
に、非エッジ区画のうち彩度および色相のそれぞれにつ
いて前記代表的背景色との差異が所定の閾値の範囲内に
あるような代表色を有する非エッジ区画として選択され
た有彩色区画について、その代表色のうちほぼ最も明る
い代表色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ最明背
景色および最暗背景色とするため、それぞれ、最明背景
色および最暗背景色を用いて背景色の範囲を正確に指定
でき、したがって、背景色の修正を行う場合にも背景画
像の色のみを容易に修正できる。また、それにより、よ
り人件費によるコストを抑えることができるとともに、
より作業時間を短縮することができる。
【0084】 また、請求項5および請求項9の発明に
よれば、代表的背景色がほぼ無彩色か有彩色かを判定
し、ほぼ無彩色と判定された場合およびほぼ有彩色と判
定された場合のそれぞれに上述のように最明背景色およ
び最暗背景色を求めるので、代表的背景色が有彩色の画
像および無彩色の画像の両方に利用できるのでより汎用
性が高い。
【0085】 また、請求項6の発明によれば、Lab
色空間におけるab平面内において原点との距離が所定
の閾値以下である代表色を有する非エッジ区画を無彩色
区画とするため、無彩色区画を正確に抽出でき、したが
って、正確な最明背景色および最暗背景色を抽出できる
ので、背景画像の範囲をさらに正確に抽出でき、色修正
もさらに正確に行える。
【0086】 また、請求項7の発明によれば、選択さ
れた代表的背景色をもとにカラー画像の背景の色を修正
するので、背景色の修正をも自動的に行うことができる
ので、一層、人件費によるコストを抑えることができる
とともに、作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である画像色処理装置の
システム構成図である。
【図2】実施の形態の画像色処理の全体を示すフローチ
ャートである。
【図3】実施の形態の画像色処理の全体を示すフローチ
ャートである。
【図4】実施の形態における対象画像の分割の様子を示
す図である。
【図5】画素の指定方法を示す図である。
【図6】実施の形態における対象区画のパラメータd
(i,j)を求める手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態における非エッジ区画を求める手順
を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態における最大の類似色広さ係数を求
める手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態における各区画の類似色広さ係数の
設定の様子を示す図である。
【図10】Lab表色系における類似色の判定を模式的
に示す図である。
【図11】Lab色空間とHSL色空間との関係を示す
図である。
【符号の説明】
1 CPU 2 ROM(記録媒体) 3 RAM 4 読取り部 4a 記録媒体 7 ハードディスク(記録媒体) 100 画像色処理装置 B 区画 AB 注目区画 RP 代表的背景色 T パラメータ c(m,n) 類似色広さ係数 th1,th2 第1および第2閾値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06T 1/00 510 G06T 11/60 120 G06T 1/00 280 G06T 3/00 400 H04N 1/46 H04N 1/60

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラー画像を複数の区画に分割する分割
    手段と、 前記複数の区画のそれぞれの代表色を抽出する代表色抽
    出手段と、 前記複数の区画のうちエッジ画像を含まない非エッジ区
    画の集合である非エッジ区画集合を抽出する非エッジ選
    択手段と、 前記非エッジ区画集合の各非エッジ区画を順次、注目区
    画としつつ、前記注目区画の周囲に連続的に存在すると
    ともに、前記注目区画の前記代表色に対して色空間内に
    おける所定の類似色判定条件を満足する色としての類似
    色を代表色として有するような非エッジ区画の広がりを
    類似色広さとして求める類似色広さ決定手段と、 前記非エッジ区画集合のうち前記類似色広さが最大の前
    記非エッジ区画の代表色を前記カラー画像の代表的背景
    色とする背景色決定手段と、を備えることを特徴とする
    画像色処理装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の画像色処理装置であっ
    て、 前記類似色判定条件がLab色空間における前記注目区
    画の代表色が表わす点との距離が所定の閾値以下か否か
    を判定する条件であることを特徴とする画像色処理装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の画像色
    処理装置であって、さらに、 前記代表的背景色がほぼ無彩色である場合に、前記非エ
    ッジ区画のうちほぼ無彩色を有する無彩色区画を選択す
    る無彩色選択手段と、 選択された前記無彩色区画の前記代表色のうちほぼ最も
    明るい代表色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ最
    明背景色および最暗背景色として選択する明暗選択手段
    と、を備えることを特徴とする画像色処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の画像色
    処理装置であって、 前記代表的背景色がほぼ有彩色である場合に、前記非エ
    ッジ区画のうち彩度および色相のそれぞれについて前記
    代表的背景色との差異が所定の閾値の範囲内にあるよう
    な代表色を有する非エッジ区画を有彩色区画として選択
    する有彩色選択手段と、 選択された前記有彩色区画の前記代表色のうちほぼ最も
    明るい代表色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ最
    明背景色および最暗背景色として選択する明暗選択手段
    と、を備えることを特徴とする画像色処理装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2に記載の画像色
    処理装置であって、さらに、 前記代表的背景色がほぼ無彩色か有彩色かを判定する判
    定手段と、 前記判定手段により前記代表的背景色がほぼ無彩色であ
    ると判定された場合に、前記非エッジ区画のうちほぼ無
    彩色を有する無彩色区画を選択する無彩色選択手段と、 選択された前記無彩色区画の前記代表色のうちほぼ最も
    明るい代表色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ最
    明背景色および最暗背景色として選択する第1明暗選択
    手段と、 前記判定手段により前記代表的背景色がほぼ有彩色であ
    ると判定された場合に、前記非エッジ区画のうち彩度お
    よび色相のそれぞれについて前記代表的背景色との差異
    が所定の閾値の範囲内にあるような代表色を有する非エ
    ッジ区画を有彩色区画として選択する有彩色選択手段
    と、 選択された前記有彩色区画の前記代表色のうちほぼ最も
    明るい代表色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ最
    明背景色および最暗背景色として選択する第2明暗選択
    手段と、を備えることを特徴とする画像色処理装置。
  6. 【請求項6】 請求項3または請求項5に記載の画像色
    処理装置であって、 前記無彩色選択手段が、Lab色空間におけるab平面
    内において原点との距離が所定の閾値以下である前記代
    表色を有する前記非エッジ区画を前記無彩色区画とする
    ことを特徴とする画像色処理装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記
    載の画像色処理装置であって、さらに、 選択された前記代表的背景色をもとに前記カラー画像の
    背景の色を修正する手段を備えることを特徴とする画像
    色処理装置。
  8. 【請求項8】 カラー画像を複数の区画に分割する分割
    工程と、 前記複数の区画のそれぞれの代表色を抽出する代表色抽
    出工程と、 前記複数の区画のうちエッジ画像を含まない非エッジ区
    画の集合である非エッジ区画集合を抽出する非エッジ選
    択工程と、 前記非エッジ区画集合の各非エッジ区画を順次、注目区
    画としつつ、前記注目区画の周囲に連続的に存在すると
    ともに、前記注目区画の前記代表色に対して色空間内に
    おける所定の類似色判定条件を満足する色としての類似
    色を代表色として有するような非エッジ区画の広がりを
    類似色広さとして求める類似色広さ決定工程と、 前記非エッジ区画集合のうち前記類似色広さが最大の前
    記非エッジ区画の代表色を前記カラー画像の代表的背景
    色とする背景色決定工程と、を備えることを特徴とする
    画像色処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の画像色処理方法であっ
    て、さらに、 前記代表的背景色がほぼ無彩色か有彩色かを判定する判
    定工程と、 前記判定工程により前記代表的背景色がほぼ無彩色であ
    ると判定された場合に、前記非エッジ区画のうちほぼ無
    彩色を有する無彩色区画を選択する無彩色選択工程と、 選択された前記無彩色区画の前記代表色のうちほぼ最も
    明るい代表色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ最
    明背景色および最暗背景色として選択する第1明暗選択
    工程と、 前記判定工程により前記代表的背景色がほぼ有彩色であ
    ると判定された場合に、彩度および色相のそれぞれにつ
    いて前記代表的背景色との差異が所定の閾値の範囲内に
    あるような代表色を有する非エッジ区画を有彩色区画と
    して選択する有彩色選択工程と、 選択された前記有彩色区画の前記代表色のうちほぼ最も
    明るい代表色およびほぼ最も暗い代表色を、それぞれ最
    明背景色および最暗背景色として選択する第2明暗選択
    工程と、を備えることを特徴とする画像色処理方法。
  10. 【請求項10】 請求項8または請求項9に記載の画像
    色処理方法であって、さらに、 選択された前記代表的背景色をもとに前記カラー画像の
    背景の色を修正する工程を備えることを特徴とする画像
    色処理方法。
  11. 【請求項11】 コンピュータによってカラー画像から
    背景色を抽出するためのプログラムを記録した記録媒体
    において、 カラー画像を複数の区画に分割する分割機能と、 前記複数の区画のそれぞれの代表色を抽出する代表色抽
    出機能と、 前記複数の区画のうちエッジ画像を含まない非エッジ区
    画の集合である非エッジ区画を抽出する非エッジ選択機
    能と、 前記非エッジ区画集合の各非エッジ区画を順次、注目区
    画としつつ、前記注目区画の周囲に連続的に存在すると
    ともに、前記注目区画の前記代表色と視覚的に類似と捉
    えられる類似色を前記代表色として有する前記非エッジ
    区画集合に属する区画の広がりである類似色広さを求め
    ることによって、前記非エッジ区画集合の各非エッジ区
    画について前記類似色広さを求める類似色広さ決定機能
    と、 前記非エッジ区画集合のうち前記類似色広さが最大の前
    記非エッジ区画の代表色を前記カラー画像の代表的背景
    色とする背景色決定機能と、を実現させるプログラムを
    記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
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