JP3487210B2 - ネジ及びネジの締結方法 - Google Patents

ネジ及びネジの締結方法

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JP3487210B2 JP07036699A JP7036699A JP3487210B2 JP 3487210 B2 JP3487210 B2 JP 3487210B2 JP 07036699 A JP07036699 A JP 07036699A JP 7036699 A JP7036699 A JP 7036699A JP 3487210 B2 JP3487210 B2 JP 3487210B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮エアを用いた
エアドライバー等で板金同士をネジ止めするネジ及びネ
ジの締結方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、圧縮エアでピストンロッドを駆動
してネジを対象物に打ち込んだ後に、ピストンロッドの
先端に設けられたドライバーを回転させて、ネジをねじ
込むエアドライバーが知られている。図7は、このエア
ドライバーでねじ込むネジを示している。
【0003】このネジ1は、ドライバーの先端部にある
「+」の刃部が嵌合する頭部2の下部に首部3及び胴部
4が形成され、胴部4の先端部が先鋭に尖った形状を有
している。胴部4から首部3にかけてはネジ山5が螺旋
状に形成されており、ネジ山5の外形及び胴部4から首
部3までの太さは略一定の太さになるように形成されて
いる。
【0004】このネジ1を用いて図8に示す建物の壁パ
ネル6を形成する場合、縦フレーム7の上下の端部にC
型鋼板からなる横フレーム8を被せ、横フレーム8の上
からエアドライバーによりネジ1をねじ込む。
【0005】なお、ネジ1をねじ込むエアドライバー
は、圧縮空気が送り込まれるエアシリンダ内にピストン
ロッドが配置され、ピストンロッドの先端部に「+」型
のドライバーの刃部が形成されている。ピストンロッド
の先端部側には最終段のギアが装着されている。ピスト
ンロッドと最終段のギアとはキーとキー溝により、ピス
トンロッドが回転自在且つ往復運動可能とされており、
最終段のギアは回転トルクを伝達するギア機構と噛み合
っている。このギア機構の最初の段のギアはエアモータ
の出力軸に固定されている。エアモータは、ピストンロ
ッドを往復運動させた圧縮エアが導入されるモーターハ
ウジングを有し、モーターハウジング内に出力軸が回転
可能に保持され、出力軸に導入された圧縮エアを受ける
羽根が設けられている。
【0006】ネジ1は、ピストンロッドがシリンダヘッ
ド側に位置しているとき、刃部の前方に位置し、ピスト
ンロッドが最終段のギアにより回転してねじ込みが完了
し、シリンダヘッド側に戻ったときに次のネジ1が供給
される。すなわち、ネジ1が供給される位置の下方に、
多数のネジ1をテープ等により略平行に結束したネジの
巻回体が配置され、ピストンロッドのねじ込み完了後の
初期位置復帰毎に、刃部の前方にネジ1が供給されるよ
うになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ネジ1の場合、頭部2の下部にある首部3及び胴部4の
太さ並びにネジ山5の外径が上から下まで一定とされて
いるので、エアドライバ或いは電気ドライバなどでネジ
1を締め込むと、回転時の抵抗が低く、トルクを調整す
る領域が狭い。このため、図6の締め付け時間t1に示
すように、瞬間的にねじ込みが終わってしまい、縦フレ
ーム7と横フレーム8とのネジ止めなどの場合、二重板
のネジ孔が拡大される結果、ネジ1の締結力が得られな
いいわゆるネジバカが生じることがある。
【0008】また、従来のネジ1の場合、図9に示すよ
うに、縦フレーム7と横フレーム8とをネジ止めした後
に、石膏ボード9(図10参照)を取り付けると、ネジ
の頭部の板金からの突出量が大きいため、横フレーム8
と石膏ボード9との間に、頭部2の突出量相当の隙間1
0が出来る問題があった。
【0009】本発明のネジ及びネジの締結方法は、この
ような課題に着目してなされたものであり、板金同士を
動力を用いたドライバによりネジ止めする場合に、ネジ
孔が形成されて拡大することにより、ネジ山が板金を頭
部側に締結する力が著しく低下することを防止し、併せ
て、板金にネジ止めを行う場合に、ネジの頭部が板金表
面の平均的高さから突出する量を極力少なくすることを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の請求項1のネジは、ドライバの刃部が嵌合
する溝を有する頭部の下方に、ネジ山の形成された胴部
が設けられ、この胴部の下端が鋭角的に形成されている
ネジにおいて、前記頭部近傍には該頭部へ向けて前記ネ
ジ山の谷部からの高さが漸増する外径拡大部が設けら
れ、該外径拡大部の下端は前記胴部の太さおよびネジ山
の外径が変化しないネジ部に連なることを特徴とする。
【0011】本発明の請求項2のネジは、ドライバの刃
部が嵌合する溝を有する頭部の下方に、ネジ山の形成さ
れた胴部が設けられ、この胴部の下端が鋭角的に形成さ
れているネジにおいて、前記頭部近傍には該頭部へ向け
て前記胴部の太さが漸増する軸径拡大部が設けられ、該
軸径拡大部の下端は前記胴部の太さおよび前記ネジ山の
外径が変化しないネジ部に連なることを特徴とする。
【0012】本発明の請求項3のネジは、ドライバの刃
部が嵌合する溝を有する頭部の下方に、ネジ山の形成さ
れた胴部が設けられ、この胴部の下端が鋭角的に形成さ
れているネジにおいて、前記頭部近傍には該頭部へ向け
て前記胴部の太さおよび前記ネジ山の高さが漸増する拡
大部が設けられ、該拡大部の下端は前記胴部の太さおよ
び前記ネジ山の外径が変化しないネジ部に連なることを
特徴とする。
【0013】本発明の請求項4のネジは、請求項1乃至
請求項3のネジにおいて、前記頭部と前記ネジ山との間
に、胴部の太さより徐々に径が拡大するテーパー部が形
成されていることを特徴とする。
【0014】本発明の請求項5のネジの締結方法は、圧
縮エア若しくは電気を動力源とするドライバを用いて請
求項1〜請求項3のネジを板金に締結するネジの締結方
法であり、前記ドライバの刃部を前記頭部に嵌合させて
前記ネジの下端部を板金に打ち込んだ後に、前記ドライ
バをネジの締結方向に回転させ、前記胴部上部が前記板
金に進入してから前記頭部が前記板金に接触するまでの
間に、前記ドライバの回転に対して回転抵抗を増大させ
ることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態にかか
るネジを図面に基づいて説明する。
【0016】図1は、この実施の形態にかかるネジ20
の側面形状を示し、図2はネジ20の頭部21の形状を
示している。頭部21の下部には首部22が形成され、
首部22は下部が小径で上部が大径のテーパー状断面と
なる円錐台形状に形成されている。
【0017】首部22の下方は胴部23とされ、胴部2
3の下方に板金に打ち込む先端部24が形成されてい
る。先端部24は、ネジ20の打ち込み時に最初に対象
物に進入するように最下端に形成される先端テーパー部
24bと、先端テーパー部24bの上部に形成され、胴
部23の谷部の軸の太さである軸径より細い軸径を有す
る小径平行ネジ部24aと、小径平行ネジ部24aの上
部に形成され、小径平行ネジ部24aから更に胴部24
の軸径に拡大するテーパー部24cとを有する。先端部
24には、進入用のネジ山25が形成され、胴部23に
はネジ山25に続く大きなネジ山26が形成されてい
る。
【0018】ネジ山26は首部22近傍において、少し
ずつ外径が大きく形成される外径拡大部27とされてい
ると共に、ネジ山26の谷部となる軸径も外径拡大部2
7と併せて拡大されて軸径拡大部28とされている。
【0019】外径拡大部27は胴部23の上端部におい
て2個〜5個程度のネジ山26が形成される領域に設定
され、外径拡大部27の下部の外径より上部の外径が大
きく設定され、外径拡大部27の山部の外径が下部から
上部に向かって徐々に大きく形成されている。
【0020】軸径拡大部28も、外径拡大部27の高さ
の範囲内において、下部から上部にかけて徐々に大きく
なるように形成されている。
【0021】この実施の形態では、胴部23の上部にネ
ジ山26の外径が徐々に拡大する外径拡大部27と、軸
径が徐々に太くなる軸径拡大部28との両者を形成した
が、いずれか片方だけでも良い。また、ネジ山26の頂
点にある山部稜線の幅が下から上になるに従って拡大さ
れても良い。また、ネジ山26のピッチを例えば外径拡
大部27の領域において、ネジ山26のピッチが小さく
なるように変化させても良い。また、ネジ山26の頂点
にある山部稜線に胴部23の軸方向に延びる筋を形成し
ても良い。
【0022】頭部21には、図2,図3に示すように、
ドライバが嵌合する十字溝29が形成されており、十字
溝29は首部22に深く形成されている。十字溝29の
底部は胴部23の上端部近傍まで形成されている。
【0023】次に、このネジ20を用いて、エアドライ
バにより板金にねじ込む場合について説明する。この実
施の形態において、エアドライバは、従来から周知の圧
縮エアによりピストンロッドを前進させた後に回転させ
るエアドライバである。ピストンロッドの先端部にはネ
ジを回すドライバの刃部が形成されている。
【0024】エアドライバによりネジ20をねじ込む場
合には、ピストンロッドのシリンダヘッド反対側の端部
近傍にネジ20がセットされている。エアドライバのネ
ジ打ち込み口を板金に当てて、エアドライバのトリガー
を引くと、エアドライバのエアシリンダに圧縮エアが導
入されて、ピストンロッドがシリンダヘッドより遠退
き、ピストンロッドの先端部に設けられたドライバの刃
部が頭部21の十字溝に嵌合する。ピストンロッドは圧
縮エアの供給により更にシリンダヘッドより遠退いてネ
ジ20の先端部24を板金30(図5参照)に打ち込
む。
【0025】ピストンロッドがネジ20の先端部24を
板金30に打ち込んだときに、板金30には打ち込み孔
31が形成されると共に、打ち込み孔31の回りが凹ん
で凹部32が形成される。
【0026】ネジ20の打ち込み後、ピストンロッドは
回転し始め、ネジ20のネジ山26が打ち込み孔31を
拡大しつつ板金20を貫通する。
【0027】図6はこのときの締め付け時間とネジの回
転時の締め付け抵抗の変化を示す。従来の締め付け時間
と締め付け抵抗の変化に較べて、実施の形態のネジ形状
としたことで、従来の締め付け抵抗の最大値はTr1で
あったが、実施の形態のネジではTr1より大きな最大
値Tr2を得ることができると共に、従来のネジの締め
付け時間t1より長いネジの締め付け時間t2を得るこ
とができる。これにより、ドライバーのトルクを制御で
きる領域が広くなり、いわゆるネジバカの発生を充分に
制御できるようになる。また、手動で閉めるときでも従
来のネジよりネジバカを防ぐことが出来る。
【0028】すなわち、ネジ20の打ち込み後ネジ20
を回転すると、先端テーパー部24bにより軸径がテー
パー状に拡大してゆくので、締め付け抵抗が増大する。
先端テーパー部24bから小径平行ネジ部24aに到達
すると、締め付け抵抗が若干低下し、テーパー部24c
から胴部23に至ると、締め付け抵抗が増加した後低下
する。胴部23の締め付け後に、外径拡大部27が打ち
込み孔31の縁部近傍に、到達すると、ネジ山27の外
径が増大し、しかも、胴部23の軸径が太くなる。
【0029】このために、締め付け抵抗の最大値Tr2
が従来の最大値Tr1より増大し、しかも、締め付け時
間t2が従来の締め付け時間t1より増大するので、締
め付け抵抗の増大がドライバの回転数の低下並びに締め
付け時間が長期化して顕在化する。これにより、操作者
にドライバを離すことを促すことができる。
【0030】このドライバの回転数の低下後、首部22
が凹部32の内面に接触すると、ドライバの締め付け抵
抗は更に増大し、ドライバの回転数が落ち、また、締め
付け時間が長くなるので、操作者はドライバをネジから
離す時期であることをより明確に感知でき、ドライバの
制御が容易になる。
【0031】ドライバの回転力が更に著しく低下し締め
付け時間が長くなったときに、トリガを離すと、首部2
2が凹部32内に収まって、ネジ20の頭部21が板金
30の平均的な面の高さに位置し、頭部21の板金30
からの突出量が顕著に少なくなる。
【0032】従って、板金30の上に石膏ボードやパネ
ル等の板材を取り付ける際に、これらの板材と板金30
との隙間を極力小さく又はなくすることができ、フレー
ムと石膏ボードやパネル等とがぴったりと組み付けられ
た品質の高い壁パネルを製造できる。
【0033】
【発明の効果】本発明の請求項1乃至請求項4のネジ及
び請求項5のネジの締結方法によれば、ネジの打ち込み
時に板金側にベンドを発生し、ネジの下端部が板金に差
し込まれる。次に、ドライバを回転させると、板金にネ
ジがねじ込まれる。板金にネジが螺合して進入する過程
で、首部のネジ山の外径或いはネジ山の谷部の太さが増
大するので、板金のネジ孔の縁部がネジ山の山部及び谷
部を締め付ける締め付け抵抗が大となる共に、締め付け
時間が長くなるので、動力を用いたドライバを操作する
場合に、操作者はドライバ離すトルク付与停止の操作を
容易に行うことができ、ネジ孔がネジの軸径以上に拡大
してネジの締め付け力が失われるといういわゆるネジバ
カを防止できる。
【0034】また、本発明の請求項4のネジは、首部に
テーパー部形成されているので、頭部が板金に接触する
直前になると、締め付け抵抗が更に大となってドライバ
の回転数の低下が顕著になるとともに、締め付け時間が
長くなる。このため、動力を用いたドライバの操作者が
ドライバをネジから離すトルク付与停止の操作におい
て、この操作をより確実に行うことが出来ると共に、ネ
ジを板金に打ち込んだ際のネジ孔周辺のくぼみに、テー
パー部が収まるので、ネジの頭部が板金の平均的高さよ
り突出する量が少なくなり、板金の上に石膏ボードやパ
ネル等の板材を取り付ける際に、これらの板材と板金と
の隙間を極力小さく又はなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるネジの側面形状を
示す図
【図2】図1のネジの頭部形状を示す平面図
【図3】図2の十字溝の中心を通る部分断面図
【図4】図1のネジにおける首部近傍部分の拡大図
【図5】図1のネジを板金にねじ込んだ場合のネジ孔周
辺の拡大図
【図6】図1のネジを板金にねじ込んだ場合の回転数と
回転抵抗との変化を示すグラフ
【図7】従来のネジの側面形状を示す図
【図8】壁パネルのフレームの骨組みを示す図
【図9】図8の縦フレームと横フレームとをネジにより
締結するときの部分断面図
【図10】図8のフレーム骨組みに石膏ボードを取り付
けた状態の部分断面図
【符号の説明】
20 ネジ 21 頭部 22 首部 23 胴部 24 ネジの先端部 25 先端部のネジ山 26 胴部のネジ山 27 外径拡大部 28 軸径拡大部 29 十字溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−246214(JP,A) 特開 平9−273526(JP,A) 特開 平11−62930(JP,A) 実開 昭62−119516(JP,U) 実開 平4−109215(JP,U) 実開 平7−18016(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16B 25/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドライバの刃部が嵌合する溝を有する頭
    部の下方に、ネジ山の形成された胴部が設けられ、この
    胴部の下端が鋭角的に形成されているネジにおいて、
    記頭部近傍には該頭部へ向けて前記ネジ山の谷部からの
    高さが漸増する外径拡大部が設けられ、該外径拡大部の
    下端は前記胴部の太さおよびネジ山の外径が変化しない
    ネジ部に連なることを特徴とするネジ。
  2. 【請求項2】 ドライバの刃部が嵌合する溝を有する頭
    部の下方に、ネジ山の形成された胴部が設けられ、この
    胴部の下端が鋭角的に形成されているネジにおいて、
    記頭部近傍には該頭部へ向けて前記胴部の太さが漸増す
    る軸径拡大部が設けられ、該軸径拡大部の下端は前記胴
    部の太さおよび前記ネジ山の外径が変化しないネジ部に
    連なることを特徴とするネジ。
  3. 【請求項3】 ドライバの刃部が嵌合する溝を有する頭
    部の下方に、ネジ山の形成された胴部が設けられ、この
    胴部の下端が鋭角的に形成されているネジにおいて、
    記頭部近傍には該頭部へ向けて前記胴部の太さおよび前
    記ネジ山の高さが漸増する拡大部が設けられ、該拡大部
    の下端は前記胴部の太さおよび前記ネジ山の外径が変化
    しないネジ部に連なることを特徴とするネジ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のネジにおいて、
    前記頭部と前記ネジ山との間に、胴部の太さより徐々に
    径が拡大するテーパー部が形成されていることを特徴と
    するネジ。
  5. 【請求項5】 圧縮エア若しくは電気を動力源とするド
    ライバを用いて請求項1〜請求項3のネジを板金に締結
    するネジの締結方法であり、前記ドライバの刃部を前記
    頭部に嵌合させて前記ネジの下端部を板金に打ち込んだ
    後に、前記ドライバをネジの締結方向に回転させ、前記
    胴部上部が前記板金に進入してから前記頭部が前記板金
    に接触するまでの間に、前記ドライバの回転に対して回
    転抵抗を増大させることを特徴とするネジの締結方法。
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