JP3486072B2 - 可変利得増幅器 - Google Patents
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- H03F2203/45674—Indexing scheme relating to differential amplifiers the LC comprising one current mirror
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、MOS型半導体
集積回路においてアナログ信号処理を行う場合の基本と
なる可変利得増幅回路に関するものである。
集積回路においてアナログ信号処理を行う場合の基本と
なる可変利得増幅回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタル機器の増大とデジタル信
号処理技術の進歩によって、デジタル信号処理に適した
CMOS集積回路が半導体市場の大部分を占めるように
なってきている。
号処理技術の進歩によって、デジタル信号処理に適した
CMOS集積回路が半導体市場の大部分を占めるように
なってきている。
【0003】ところが、映像や音声信号は入出力がアナ
ログであるため、アナログで処理する方が簡単であった
り、デジタルで処理する場合でもA/D、D/A変換や
その前後のフィルタ処理およびクロック発生のための発
振器などにアナログ回路が必要である。
ログであるため、アナログで処理する方が簡単であった
り、デジタルで処理する場合でもA/D、D/A変換や
その前後のフィルタ処理およびクロック発生のための発
振器などにアナログ回路が必要である。
【0004】アナログ回路にはバイポーラが向いてお
り、CMOSはアナログスイッチやサンプルホールドな
どの一部の回路を除いては不向きとされてきた。しか
し、バイポーラやBiCMOSプロセスはややコスト高
になる上、CMOSでのデジタルアナログ混載による1
チップ化という要求が強く、CMOSでアナログ信号処
理を行うための回路開発が盛んになってきつつある。
り、CMOSはアナログスイッチやサンプルホールドな
どの一部の回路を除いては不向きとされてきた。しか
し、バイポーラやBiCMOSプロセスはややコスト高
になる上、CMOSでのデジタルアナログ混載による1
チップ化という要求が強く、CMOSでアナログ信号処
理を行うための回路開発が盛んになってきつつある。
【0005】アナログ信号処理で頻度が高く、トータル
性能に大きな影響を及ぼす重要な機能として「可変利得
増幅器」がある。バイポーラでは「ゲインセル」という
便利な組み合せトランジスタ回路があり、これを用いて
可変利得増幅器を構成すれば、2つのバイアス電流の比
に比例した利得を持つ回路が簡単に実現できる。
性能に大きな影響を及ぼす重要な機能として「可変利得
増幅器」がある。バイポーラでは「ゲインセル」という
便利な組み合せトランジスタ回路があり、これを用いて
可変利得増幅器を構成すれば、2つのバイアス電流の比
に比例した利得を持つ回路が簡単に実現できる。
【0006】ところが、CMOSで可変利得増幅器を作
る場合、単にバイポーラをCMOSに置き換えた回路や
その変形回路では必ず大きな2次ひずみを発生する、と
いう問題に遭遇する。例えば、図9は最近公開された
(特開平8−298416号公報)CMOSで構成する
可変利得差動増幅器である。これを例に従来回路の問題
点を述べる。
る場合、単にバイポーラをCMOSに置き換えた回路や
その変形回路では必ず大きな2次ひずみを発生する、と
いう問題に遭遇する。例えば、図9は最近公開された
(特開平8−298416号公報)CMOSで構成する
可変利得差動増幅器である。これを例に従来回路の問題
点を述べる。
【0007】この回路はMOSトランジスタM1 、M2
と電流源I1 で構成する差動回路と、MOSトランジス
タM3 、M4 と電流源I2 で構成する差動回路が中心と
なっている。これらはいずれもソースを直結したペアト
ランジスタを電流源でバイアスする形式になっている。
そこで片側のMOSトランジスタM1 とM2 と電流源I
1 で構成する片側の差動回路について考える。ただし、
入力は完全差動信号であることを前提とし、両トランジ
スタはいずれも飽和領域(ピンチオフ領域)で動作して
いるものとし、簡単のため短チャネル効果は考慮しない
ものとする。
と電流源I1 で構成する差動回路と、MOSトランジス
タM3 、M4 と電流源I2 で構成する差動回路が中心と
なっている。これらはいずれもソースを直結したペアト
ランジスタを電流源でバイアスする形式になっている。
そこで片側のMOSトランジスタM1 とM2 と電流源I
1 で構成する片側の差動回路について考える。ただし、
入力は完全差動信号であることを前提とし、両トランジ
スタはいずれも飽和領域(ピンチオフ領域)で動作して
いるものとし、簡単のため短チャネル効果は考慮しない
ものとする。
【0008】このとき、各MOSトランジスタの特性は
主要なパラメータであるkとしきい値電圧Vthの値を用
いて、 I=(k/2)(VGS−Vth)2 と表わすことができる。ここでkはゲート幅をW、ゲー
ト長をL、ゲート容量をCox、チャネルのキャリア移動
度をμとして「μCoxW/L」で表わされる定数であ
る。これを用いて、MOSトランジスタM1 とM2 の動
作の記述式は次のように表わせる。
主要なパラメータであるkとしきい値電圧Vthの値を用
いて、 I=(k/2)(VGS−Vth)2 と表わすことができる。ここでkはゲート幅をW、ゲー
ト長をL、ゲート容量をCox、チャネルのキャリア移動
度をμとして「μCoxW/L」で表わされる定数であ
る。これを用いて、MOSトランジスタM1 とM2 の動
作の記述式は次のように表わせる。
【0009】
M1:I11=(k/2)(VGS1 −Vth)2 … (1)
M2:I12=(k/2)(VGS2 −Vth)2 … (2)
ここで、(1)−(2)を計算すると、
I11−I12=(k/2)(VGS1 +VGS2 −2Vth)(VGS1 −VGS2 )
=(k/2)(VGS1 +VGS2 −2Vth)Vin
… (3)
となる。ただし、VGS1 、VGS2 は、MOSトランジス
タM1 、M2 のそれぞれゲート・ソース間電圧、Vinは
差動入力電圧である。入力信号は完全差動信号と仮定し
ているので、入力信号の中点電位をVB として、入力端
子へ供給される入力電圧はVB +Vin/2とVB −Vin
/2と表わせる。ここで、差動ペアのソース電位VA を
計算する。この場合、 VGS1 =VB +Vin/2−VA VGS2 =VB −Vin/2−VA となるので、VB −VA −Vth=Aとして(1)+
(2)より
タM1 、M2 のそれぞれゲート・ソース間電圧、Vinは
差動入力電圧である。入力信号は完全差動信号と仮定し
ているので、入力信号の中点電位をVB として、入力端
子へ供給される入力電圧はVB +Vin/2とVB −Vin
/2と表わせる。ここで、差動ペアのソース電位VA を
計算する。この場合、 VGS1 =VB +Vin/2−VA VGS2 =VB −Vin/2−VA となるので、VB −VA −Vth=Aとして(1)+
(2)より
【数1】
となる。ゆえに、
【数2】
となる。これを(3)に代入してこの差動ペアのトラン
スコンダクタンスGm1[=(I11−I12)/Vin]を
求めると、
スコンダクタンスGm1[=(I11−I12)/Vin]を
求めると、
【数3】
となる。同様にして、MOSトランジスタM3 、M4 と
電流源I2 で構成する片側の差動回路についても同様に
トランスコンダクタンスGm2 [=(I21−I22)/V
in]を計算すると、
電流源I2 で構成する片側の差動回路についても同様に
トランスコンダクタンスGm2 [=(I21−I22)/V
in]を計算すると、
【数4】
と求まる。ただし、MOSトランジスタM3 とM4 のパ
ラメータkとしきい値電圧Vthの値は、MOSトランジ
スタM1 とM2 に等しい値であるとした。以上、計算し
た2つの差動回路は逆極性の出力同士を繋いでいるので
トータルのGm値は(5)と(6)の差になり、
ラメータkとしきい値電圧Vthの値は、MOSトランジ
スタM1 とM2 に等しい値であるとした。以上、計算し
た2つの差動回路は逆極性の出力同士を繋いでいるので
トータルのGm値は(5)と(6)の差になり、
【数5】
ということになる。この式からも明らかなように、トラ
ンスコンダクタンスGmは入力信号の瞬時振幅値Vinに
応じてダイナミックに変動することになる。これは出力
にひずみが発生することを意味する。トランスコンダク
タンスGmに差動入力電圧Vinの2乗項を含むため主に
2次のひずみとなる。これは出力に抵抗などの線形素子
を負荷とした場合はもちろんのこと、2乗特性を持つM
OSトランジスタを負荷とした場合でもキャンセルでき
るものではなく、より複雑なひずみ波形となるだけであ
る。CMOSトランジスタで可変利得増幅器を作る場
合、必ず大きなひずみ発生を伴うことが避けられず、信
号の品位を劣化させる、という問題点があった。
ンスコンダクタンスGmは入力信号の瞬時振幅値Vinに
応じてダイナミックに変動することになる。これは出力
にひずみが発生することを意味する。トランスコンダク
タンスGmに差動入力電圧Vinの2乗項を含むため主に
2次のひずみとなる。これは出力に抵抗などの線形素子
を負荷とした場合はもちろんのこと、2乗特性を持つM
OSトランジスタを負荷とした場合でもキャンセルでき
るものではなく、より複雑なひずみ波形となるだけであ
る。CMOSトランジスタで可変利得増幅器を作る場
合、必ず大きなひずみ発生を伴うことが避けられず、信
号の品位を劣化させる、という問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきたよう
に、従来、アナログ回路として可変利得差動増幅器をC
MOSだけで実現しようとすると、必ず大きなひずみを
発生することになり、信号品位を著しく劣化させること
が避けられなかった。
に、従来、アナログ回路として可変利得差動増幅器をC
MOSだけで実現しようとすると、必ず大きなひずみを
発生することになり、信号品位を著しく劣化させること
が避けられなかった。
【0011】この発明の目的は、原理的に全くひずみを
発生しない可変利得差動増幅器をCMOSによるアナロ
グ回路で提供することにある。
発生しない可変利得差動増幅器をCMOSによるアナロ
グ回路で提供することにある。
【0012】 上記の課題を解決するために、この発明
の可変利得増幅器においては、差電流出力手段を備える
差動トランジスタ対を2組組み合せ、第1の差動トラン
ジスタ対の第1の電界効果トランジスタと第2の差動ト
ランジスタ対の第2の電界効果トランジスタに入力差動
信号の一方を供給し、前記第1の差動トランジスタ対の
第2の電界効果トランジスタと前記第2の差動トランジ
スタ対の第1の電界効果トランジスタに入力差動信号の
もう一方を供給し、前記第1の差動トランジスタ対の差
電流出力と前記第2の差動トランジスタ対の差電流出力
を1対の差動出力としてなる全差動型増幅器を2組組み
合せ、第1の全差動型増幅器と第2の全差動型増幅器に
は同じ入力差動信号を同じ極性で相対的な直流オフセッ
トを与えて入力し、前記第1の全差動型増幅器の差動出
力と前記第2の全差動型増幅器の差動出力間でそれぞれ
入力に対して逆極性の出力同士を加算してこれを合成差
動出力とし、前記相対的な直流オフセットを変化させる
ことにより前記合成差動出力の電流振幅の入力信号振幅
に対する比を制御し、前記第1の全差動型増幅器の第1
の差動トランジスタ対と第2の差動トランジスタ対のソ
ース端子の接続先である第1の基準電位と前記第2の全
差動型増幅器の第1の差動トランジスタ対と第2の差動
トランジスタ対のソース端子の接続先である第2の基準
電位は共通であり、前記第1の全差動型増幅器の第1の
差動トランジスタ対と第2の差動トランジスタ対の入力
差動電圧が入力されるゲート端子と前記第2の全差動型
増幅器の第1の差動トランジスタ対と第2の差動トラン
ジスタ対の入力差動電圧が入力されるゲート端子との間
に利得制御のための前記直流オフセットを与えたことを
特徴とする。または、差電流出力手段を備える差動トラ
ンジスタ対を2組組み合せ、第1の差動トランジスタ対
の第1の電界効果トランジスタと第2の差動トランジス
タ対の第2の電界効果トランジスタに入力差動信号の一
方を供給し、前記第1の差動トランジスタ対の第2の電
界効果トランジスタと前記第2の差動トランジスタ対の
第1の電界効果トランジスタに入力差動信号のもう一方
を供給し、前記第1の差動トランジスタ対の差電流出力
と前記第2の差動トランジスタ対の差電流出力を1対の
差動出力としてなる全差動型増幅器を2組組み合せ、第
1の全差動型増幅器と第2の全差動型増幅器には同じ入
力差動信号を同じ極性で相対的な直流オフセットを与え
て入力し、前記第1の全差動型増幅器の差動出力と前記
第2の全差動型増幅器の差動出力間でそれぞれ入力に対
して逆極性の出力同士を加算してこれを合成差動出力と
し、前記相対的な直流オフセットを変化させることによ
り前記合成差動出力の電流振幅の入力信号振幅に対する
比を制御し、前記第1の全差動型増幅器の第1および第
2の差動トランジスタ対のそれぞれのソース端子と第1
の基準電位との間に直流オフセットを与え、該第1の基
準電位と前記第2の全差動型増幅器の第1の差動トラン
ジスタ対と第2の差動トランジスタ対のソース端子の接
続先である第2の基準電位とを共通にし、前記第1の全
差動型増幅器の第1および第2の差動トランジスタ対の
それぞれのゲート端子への入力差動電圧と前記第2の全
差動型増幅器の第1および第2の差動トランジスタ対の
それぞれのゲート端子への入力差動電圧とは共通にした
ことを特徴とする。
の可変利得増幅器においては、差電流出力手段を備える
差動トランジスタ対を2組組み合せ、第1の差動トラン
ジスタ対の第1の電界効果トランジスタと第2の差動ト
ランジスタ対の第2の電界効果トランジスタに入力差動
信号の一方を供給し、前記第1の差動トランジスタ対の
第2の電界効果トランジスタと前記第2の差動トランジ
スタ対の第1の電界効果トランジスタに入力差動信号の
もう一方を供給し、前記第1の差動トランジスタ対の差
電流出力と前記第2の差動トランジスタ対の差電流出力
を1対の差動出力としてなる全差動型増幅器を2組組み
合せ、第1の全差動型増幅器と第2の全差動型増幅器に
は同じ入力差動信号を同じ極性で相対的な直流オフセッ
トを与えて入力し、前記第1の全差動型増幅器の差動出
力と前記第2の全差動型増幅器の差動出力間でそれぞれ
入力に対して逆極性の出力同士を加算してこれを合成差
動出力とし、前記相対的な直流オフセットを変化させる
ことにより前記合成差動出力の電流振幅の入力信号振幅
に対する比を制御し、前記第1の全差動型増幅器の第1
の差動トランジスタ対と第2の差動トランジスタ対のソ
ース端子の接続先である第1の基準電位と前記第2の全
差動型増幅器の第1の差動トランジスタ対と第2の差動
トランジスタ対のソース端子の接続先である第2の基準
電位は共通であり、前記第1の全差動型増幅器の第1の
差動トランジスタ対と第2の差動トランジスタ対の入力
差動電圧が入力されるゲート端子と前記第2の全差動型
増幅器の第1の差動トランジスタ対と第2の差動トラン
ジスタ対の入力差動電圧が入力されるゲート端子との間
に利得制御のための前記直流オフセットを与えたことを
特徴とする。または、差電流出力手段を備える差動トラ
ンジスタ対を2組組み合せ、第1の差動トランジスタ対
の第1の電界効果トランジスタと第2の差動トランジス
タ対の第2の電界効果トランジスタに入力差動信号の一
方を供給し、前記第1の差動トランジスタ対の第2の電
界効果トランジスタと前記第2の差動トランジスタ対の
第1の電界効果トランジスタに入力差動信号のもう一方
を供給し、前記第1の差動トランジスタ対の差電流出力
と前記第2の差動トランジスタ対の差電流出力を1対の
差動出力としてなる全差動型増幅器を2組組み合せ、第
1の全差動型増幅器と第2の全差動型増幅器には同じ入
力差動信号を同じ極性で相対的な直流オフセットを与え
て入力し、前記第1の全差動型増幅器の差動出力と前記
第2の全差動型増幅器の差動出力間でそれぞれ入力に対
して逆極性の出力同士を加算してこれを合成差動出力と
し、前記相対的な直流オフセットを変化させることによ
り前記合成差動出力の電流振幅の入力信号振幅に対する
比を制御し、前記第1の全差動型増幅器の第1および第
2の差動トランジスタ対のそれぞれのソース端子と第1
の基準電位との間に直流オフセットを与え、該第1の基
準電位と前記第2の全差動型増幅器の第1の差動トラン
ジスタ対と第2の差動トランジスタ対のソース端子の接
続先である第2の基準電位とを共通にし、前記第1の全
差動型増幅器の第1および第2の差動トランジスタ対の
それぞれのゲート端子への入力差動電圧と前記第2の全
差動型増幅器の第1および第2の差動トランジスタ対の
それぞれのゲート端子への入力差動電圧とは共通にした
ことを特徴とする。
【0013】このような手段をとることにより、入力信
号はCMOS差動ペアのそれぞれの素子のゲートソース
間電圧として直接入力されることになるため、MOSの
2乗特性により純粋な2乗電流に変換される。差動出力
としては「直流+信号分」の2乗と「直流−信号分」の
2乗という形態になり、カレントミラー等でこれらの差
をとれば、数学の公式に沿って「直流×信号分(1次
分)」という出力が取り出せることになる。従って、こ
の回路のトランスコンダクタンスGm(出力電流を入力
電圧で割ったもの)は直流電圧だけに比例することにな
り、この直流電圧を変えることでGmを変えてゲインを
変えることができる。また、Gmは入力信号の瞬時振幅
値Vinには全く依存しないことになる。つまり、入力信
号に応じてGm値がダイナミックに変動するようなこと
はなく、可変利得にしたことでひずみが発生するような
ことはない。
号はCMOS差動ペアのそれぞれの素子のゲートソース
間電圧として直接入力されることになるため、MOSの
2乗特性により純粋な2乗電流に変換される。差動出力
としては「直流+信号分」の2乗と「直流−信号分」の
2乗という形態になり、カレントミラー等でこれらの差
をとれば、数学の公式に沿って「直流×信号分(1次
分)」という出力が取り出せることになる。従って、こ
の回路のトランスコンダクタンスGm(出力電流を入力
電圧で割ったもの)は直流電圧だけに比例することにな
り、この直流電圧を変えることでGmを変えてゲインを
変えることができる。また、Gmは入力信号の瞬時振幅
値Vinには全く依存しないことになる。つまり、入力信
号に応じてGm値がダイナミックに変動するようなこと
はなく、可変利得にしたことでひずみが発生するような
ことはない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、参
考例としての形態について説明するための回路図であ
る。これはMOSトランジスタM1 とM2 で構成する1
対のソース接地の差動トランジスタ回路である。この差
動トランジスタ回路のゲート端子へは直流電圧制御手段
により入力差動信号に直流電圧Vc を加算して供給す
る。さらにMOSトランジスタM1のドレイン電流I11
を電源Vccで折り返し、MOSトランジスタM2のドレ
イン流し込む。電流の折り返しにはカレントミラーを用
いている。こうしてMOSトランジスタM2 のドレイン
端ではMOSトランジスタM1 のドレイン電流I11とM
OSトランジスタM2 のドレイン電流I12との差電流I
o1(=I11−I12)を出力する。
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、参
考例としての形態について説明するための回路図であ
る。これはMOSトランジスタM1 とM2 で構成する1
対のソース接地の差動トランジスタ回路である。この差
動トランジスタ回路のゲート端子へは直流電圧制御手段
により入力差動信号に直流電圧Vc を加算して供給す
る。さらにMOSトランジスタM1のドレイン電流I11
を電源Vccで折り返し、MOSトランジスタM2のドレ
イン流し込む。電流の折り返しにはカレントミラーを用
いている。こうしてMOSトランジスタM2 のドレイン
端ではMOSトランジスタM1 のドレイン電流I11とM
OSトランジスタM2 のドレイン電流I12との差電流I
o1(=I11−I12)を出力する。
【0015】このような回路で直流電圧を制御すること
により出力電流Io1の入力信号振幅に対する比を制御
する。この回路は基本となる差動トランジスタをNMO
Sで構成した例を示すが、上下反転させてVccをGN
Dに、GNDをVccに、NMOSをPMOSに置き換
えても全く同じ動作をさせることができる。図9の従来
例と比較した場合、基本的な相違は、図9の従来例では
差動トランジスタのソース接続点が電流源でバイアスさ
れているのに対し、本願では差動トランジスタのソース
接続点が定電位(図1ではGND)に固定されている点
である。従来回路では、NMOS差動ペアのソース接続
点は、(4)式にVin2を含む項があることからも明ら
かなように、信号の2次リップルでが乗ってひずみ発生
の原因となっていた。図1の形態ではこの点をGNDに
繋いでいるため、入力信号電圧はNMOS差動ペアのそ
れぞれの素子のゲートソース間に直接加わることにな
り、後述する作用によりひずみ発生を抑制している。
により出力電流Io1の入力信号振幅に対する比を制御
する。この回路は基本となる差動トランジスタをNMO
Sで構成した例を示すが、上下反転させてVccをGN
Dに、GNDをVccに、NMOSをPMOSに置き換
えても全く同じ動作をさせることができる。図9の従来
例と比較した場合、基本的な相違は、図9の従来例では
差動トランジスタのソース接続点が電流源でバイアスさ
れているのに対し、本願では差動トランジスタのソース
接続点が定電位(図1ではGND)に固定されている点
である。従来回路では、NMOS差動ペアのソース接続
点は、(4)式にVin2を含む項があることからも明ら
かなように、信号の2次リップルでが乗ってひずみ発生
の原因となっていた。図1の形態ではこの点をGNDに
繋いでいるため、入力信号電圧はNMOS差動ペアのそ
れぞれの素子のゲートソース間に直接加わることにな
り、後述する作用によりひずみ発生を抑制している。
【0016】図1の形態がひずみを発生しないことを証
明するため、図1の差動回路のトランスコンダクタンス
Gmを計算する。ただし各種条件は図9の従来例の場合
と同様に、入力は完全差動信号、両トランジスタはいず
れも飽和領域(ピンチオフ領域)で動作、短チャネル効
果は考慮しない、各MOSトランジスタのkとVthの値
はそれぞれ等しく、kはゲート幅をW、ゲート長をL、
ゲート容量をCox、チャネルのキャリア移動度をμとし
て「μCoxW/L」で表わされる定数、であるものとす
る。入力信号は完全差動信号と仮定しているので、GN
Dを基準とした入力信号の中点電圧をVB として、入力
端子へ供給される入力電圧は、VGS1 =VB +Vc +V
in/2VGS2 =VB +Vc −Vin/2となる。従って、
この場合のMOSトランジスタM1 とM2 の動作の記述
式は次のように表わせる。
明するため、図1の差動回路のトランスコンダクタンス
Gmを計算する。ただし各種条件は図9の従来例の場合
と同様に、入力は完全差動信号、両トランジスタはいず
れも飽和領域(ピンチオフ領域)で動作、短チャネル効
果は考慮しない、各MOSトランジスタのkとVthの値
はそれぞれ等しく、kはゲート幅をW、ゲート長をL、
ゲート容量をCox、チャネルのキャリア移動度をμとし
て「μCoxW/L」で表わされる定数、であるものとす
る。入力信号は完全差動信号と仮定しているので、GN
Dを基準とした入力信号の中点電圧をVB として、入力
端子へ供給される入力電圧は、VGS1 =VB +Vc +V
in/2VGS2 =VB +Vc −Vin/2となる。従って、
この場合のMOSトランジスタM1 とM2 の動作の記述
式は次のように表わせる。
【0017】
M1:I11=(k/2)(VGS1 −Vth)2
=(k/2)(VB +Vc −Vth+Vin/2)2 … (8)
M2:I12=(k/2)(VGS2 −Vth)2
=(k/2)(VB +Vc −Vth−Vin/2)2 … (9)
従って、出力電流Io1は次のようになる。
【0018】
Io1=I11−I12
=k( VB +Vc −Vth) Vin … (10)
kはMOS素子の形状できまる定数であり、(VB +V
c −Vth)は制御可能な直流電圧なので、出力電流Io
1は入力振幅Vinに正比例し、ひずみ成分はない。
c −Vth)は制御可能な直流電圧なので、出力電流Io
1は入力振幅Vinに正比例し、ひずみ成分はない。
【0019】このように図1の形態では原理的にひずみ
のない出力波形となる。この回路の差動回路としてのト
ランスコンダクタンスGm(=Io1/Vin)は、 Gm=k(VB +Vc −Vth) … (11) となる。従来回路の(7)式とこの式との比較からもひ
ずみが完全に除去できていることがわかる。トランスコ
ンダクタンスGmは、直流電圧Vc を可変させることで
簡単に制御できる。直流電圧Vc を−VB +Vthと等し
くなるまで低減すれば、Gm=0とすることができる。
このようにゲイン(トランスコンダクタンス)を無限小
から制御できるので、制御範囲が広いという特長があ
る。ただし、この場合は入力ダイナミックレンジも小さ
くなるので、トランスコンダクタンスGmを0近くまで
下げるのはあまり現実的ではない。
のない出力波形となる。この回路の差動回路としてのト
ランスコンダクタンスGm(=Io1/Vin)は、 Gm=k(VB +Vc −Vth) … (11) となる。従来回路の(7)式とこの式との比較からもひ
ずみが完全に除去できていることがわかる。トランスコ
ンダクタンスGmは、直流電圧Vc を可変させることで
簡単に制御できる。直流電圧Vc を−VB +Vthと等し
くなるまで低減すれば、Gm=0とすることができる。
このようにゲイン(トランスコンダクタンス)を無限小
から制御できるので、制御範囲が広いという特長があ
る。ただし、この場合は入力ダイナミックレンジも小さ
くなるので、トランスコンダクタンスGmを0近くまで
下げるのはあまり現実的ではない。
【0020】また、電流源でバイアスする方式と違っ
て、差動回路を構成するMOSトランジスタM1 とM2
のソースをGNDに落として使うため、ドレイン側に広
いダイナミックレンジを確保することができる。このた
め低電圧化にも適している。さらにはソースをGNDに
接続していることで、通常のP基板プロセスで作っても
基板効果の影響を受けないという特長があり、高精度・
低ひずみのアナログ回路が構築できる。
て、差動回路を構成するMOSトランジスタM1 とM2
のソースをGNDに落として使うため、ドレイン側に広
いダイナミックレンジを確保することができる。このた
め低電圧化にも適している。さらにはソースをGNDに
接続していることで、通常のP基板プロセスで作っても
基板効果の影響を受けないという特長があり、高精度・
低ひずみのアナログ回路が構築できる。
【0021】図2は、別の参考例としての形態について
説明するための回路図である。この形態は、MOSトラ
ンジスタM3 とM2 で構成するソース接地の差動トラン
ジスタ回路とMOSトランジスタM1 とM4 で構成する
ソース接地の差動トランジスタ回路とを組み合わせたも
のである。それぞれの差動トランジスタ回路は図1の回
路と全く同じ回路構成であり、入力を共通とする以外は
それぞれが独立した構成であるため平衡に動作する。図
2のカレントミラー2と図1のカレントミラーの向きは
同じなので、図2のMOSトランジスタM3 とM2 は図
1のMOSトランジスタM1 とM2 にそれぞれ対応し、
図2の一方の出力電流Io2は図1のIo1と全く等し
くなる。すなわち Io2=I11−I12 =k(VB +Vc −Vth)Vin … (12) と表わすことができる。一方、図2のカレントミラー1
と図1のカレントミラーの向きが逆になっていて、図2
のMOSトランジスタM4 とM1 は図1のMOSトラン
ジスタM1 とM2 にそれぞれ対応しているので、出力に
対する入力差動信号の極性だけが逆の関係にあることに
なる。
説明するための回路図である。この形態は、MOSトラ
ンジスタM3 とM2 で構成するソース接地の差動トラン
ジスタ回路とMOSトランジスタM1 とM4 で構成する
ソース接地の差動トランジスタ回路とを組み合わせたも
のである。それぞれの差動トランジスタ回路は図1の回
路と全く同じ回路構成であり、入力を共通とする以外は
それぞれが独立した構成であるため平衡に動作する。図
2のカレントミラー2と図1のカレントミラーの向きは
同じなので、図2のMOSトランジスタM3 とM2 は図
1のMOSトランジスタM1 とM2 にそれぞれ対応し、
図2の一方の出力電流Io2は図1のIo1と全く等し
くなる。すなわち Io2=I11−I12 =k(VB +Vc −Vth)Vin … (12) と表わすことができる。一方、図2のカレントミラー1
と図1のカレントミラーの向きが逆になっていて、図2
のMOSトランジスタM4 とM1 は図1のMOSトラン
ジスタM1 とM2 にそれぞれ対応しているので、出力に
対する入力差動信号の極性だけが逆の関係にあることに
なる。
【0022】従って、図2のもう一方の出力電流Io1
は、図1のIo1を表わす式(10)でVinを−Vinと
置いたものと等しくなる。すなわち、 Io1=I12−I11 =−k(VB +Vc −Vth)Vin … (13) と表わすことができる。このように図2の回路の2つの
出力端子は(12)式と(13)式で表わされるように
完全な差動信号を出力する。図2の入力も完全な差動信
号が前提だったので、図2の回路を多段に接続して利得
制御範囲を拡大していくことができる。図2の回路のト
ランスコンダクタンス(12)と(13)より、 Gm=(Io2−Io1)/Vin =2k(VB +Vc −Vth) … (14) となって、図1の回路のGmのちょうど2倍となる。直
流電圧を制御することにより出力電流Io2−Io1の
入力信号振幅に対する比を制御できる点や、NMOSを
PMOSに置き換えても全く同じ動作をさせることがで
きる点は先の図1の形態とまったく同じである。
は、図1のIo1を表わす式(10)でVinを−Vinと
置いたものと等しくなる。すなわち、 Io1=I12−I11 =−k(VB +Vc −Vth)Vin … (13) と表わすことができる。このように図2の回路の2つの
出力端子は(12)式と(13)式で表わされるように
完全な差動信号を出力する。図2の入力も完全な差動信
号が前提だったので、図2の回路を多段に接続して利得
制御範囲を拡大していくことができる。図2の回路のト
ランスコンダクタンス(12)と(13)より、 Gm=(Io2−Io1)/Vin =2k(VB +Vc −Vth) … (14) となって、図1の回路のGmのちょうど2倍となる。直
流電圧を制御することにより出力電流Io2−Io1の
入力信号振幅に対する比を制御できる点や、NMOSを
PMOSに置き換えても全く同じ動作をさせることがで
きる点は先の図1の形態とまったく同じである。
【0023】上記の参考例には色々な変形例が考えられ
る。図3はこのような変形例の1つである。図2の回路
に対してMOSトランジスタM1 、M2とそれぞれの出
力端子との間にゲートを定電圧Vb につないだMOSト
ランジスタM5 とM6 を挿入したものである。こうする
ことにより、出力端子から寄生容量を介して入力側に信
号が漏れ戻ることを阻止し、周波数特性を改善するもの
である。
る。図3はこのような変形例の1つである。図2の回路
に対してMOSトランジスタM1 、M2とそれぞれの出
力端子との間にゲートを定電圧Vb につないだMOSト
ランジスタM5 とM6 を挿入したものである。こうする
ことにより、出力端子から寄生容量を介して入力側に信
号が漏れ戻ることを阻止し、周波数特性を改善するもの
である。
【0024】図4は別の変形例である。図2の回路に対
して出力端子と定電圧Vbの間に抵抗RL をつなぎこれ
を負荷抵抗として電圧出力を取り出すようにしたもので
ある。図3や図4のような変形は図2の回路に対してだ
けではなく、図1の回路に対しても成立するものである
ことは言うまでもない。
して出力端子と定電圧Vbの間に抵抗RL をつなぎこれ
を負荷抵抗として電圧出力を取り出すようにしたもので
ある。図3や図4のような変形は図2の回路に対してだ
けではなく、図1の回路に対しても成立するものである
ことは言うまでもない。
【0025】次に、この発明の第1の実施の形態につい
て図5の回路図を用いて説明する。この実施の形態は、
MOSトランジスタM1 〜M4 で構成する図2の回路
を、2組用いて構成したものである。図2に相当する回
路は、MOSトランジスタM1、M1'、M2 、M2'で構
成する右半分の回路とMOSトランジスタM3 、M3'、
M4 、M4'で構成する左半分の回路である。これらの2
つの回路の逆極性の電流出力同士を互いに接続して合成
出力としている。
て図5の回路図を用いて説明する。この実施の形態は、
MOSトランジスタM1 〜M4 で構成する図2の回路
を、2組用いて構成したものである。図2に相当する回
路は、MOSトランジスタM1、M1'、M2 、M2'で構
成する右半分の回路とMOSトランジスタM3 、M3'、
M4 、M4'で構成する左半分の回路である。これらの2
つの回路の逆極性の電流出力同士を互いに接続して合成
出力としている。
【0026】このとき、M2'−M1 間のカレントミラー
とM3'−M4 間のカレントミラーとはまとめてカレント
ミラーCM1とし、M1'−M2 間のカレントミラーとM
4'−M3 間のカレントミラーとはまとめてカレントミラ
ーCM2とした。そして右半分と左半分の回路には同じ
入力信号を直流オフセットを与えて供給する。この回路
の出力電流Io1、Io2とトランスコンダクタンスG
mを計算する。ただし、各種条件は図1の形態の場合と
同様であるとする。入力信号は完全差動信号と仮定して
いるので、GNDを基準とした入力信号の中点電圧をV
Bとして、入力端子へ供給される入力電圧は、VGS1 =
VB +Vin/2VGS2 =VB −Vin/2となる。従っ
て、この場合のMOSトランジスタM1 〜M4 の動作の
記述式は次のように表わせる。
とM3'−M4 間のカレントミラーとはまとめてカレント
ミラーCM1とし、M1'−M2 間のカレントミラーとM
4'−M3 間のカレントミラーとはまとめてカレントミラ
ーCM2とした。そして右半分と左半分の回路には同じ
入力信号を直流オフセットを与えて供給する。この回路
の出力電流Io1、Io2とトランスコンダクタンスG
mを計算する。ただし、各種条件は図1の形態の場合と
同様であるとする。入力信号は完全差動信号と仮定して
いるので、GNDを基準とした入力信号の中点電圧をV
Bとして、入力端子へ供給される入力電圧は、VGS1 =
VB +Vin/2VGS2 =VB −Vin/2となる。従っ
て、この場合のMOSトランジスタM1 〜M4 の動作の
記述式は次のように表わせる。
【0027】
M1:I11=(k/2)(VGS1 −Vth)2
=(k/2)(VB −Vth+Vin/2)2 …(15)
M2:I12=(k/2)(VGS2 −Vth)2
=(k/2)(VB −Vth−Vin/2)2 …(16)
M3:I21=(k/2)(VGS3 −Vth)2
=(k/2)(VB −Vc −Vth+Vin/2)2 …(17)
M4:I22=(k/2)(VGS4 −Vth)2
=(k/2)(VB −Vc −Vth−Vin/2)2 …(18)
従って、出力電流Io1とIo2をはそれぞれ次のよう
に表わせる。
に表わせる。
【0028】
Io1=(I12+I21)−(I11+I22)
=(I21−I22)−(I11−I12)
=(k/2){2(VB −Vc −Vth)Vin
−2(VB −Vth)Vin}
=−kVc Vin …(19)
Io2=(I11+I22)−(I12+I21)
=(I11−I12)−(I21−I22)
=(k/2){2(VB −Vth)Vin
−2(VB −Vc −Vth)Vin}
=kVc Vin …(20)
kはMOS素子の形状できまる定数であり、Vc は直流
制御電圧なので、出力電流Io1とIo2は入力振幅V
inに正比例し、ひずみ成分はない。
制御電圧なので、出力電流Io1とIo2は入力振幅V
inに正比例し、ひずみ成分はない。
【0029】このように、図5の実施の形態でも差動出
力はもちろんシングル出力でもひずみのない出力波形と
なり、差動では完全に対称な無ひずみの出力とが得られ
る。この回路の差動回路としてのトランスコンダクタン
スGm[=(Io2−Io1)/Vin]を求めると、 Gm=2kVc … (21) となる。この式が従来例にあるようなVinの項を含まな
いことから明らかなように、上記参考例の形態と同様に
ひずみが完全に除去できていることがわかる。トランス
コンダクタンスGmは、直流制御電圧Vc を可変させる
ことで簡単に制御できる。Vc を0になるまで低減すれ
ば、Gm=0とすることができる。
力はもちろんシングル出力でもひずみのない出力波形と
なり、差動では完全に対称な無ひずみの出力とが得られ
る。この回路の差動回路としてのトランスコンダクタン
スGm[=(Io2−Io1)/Vin]を求めると、 Gm=2kVc … (21) となる。この式が従来例にあるようなVinの項を含まな
いことから明らかなように、上記参考例の形態と同様に
ひずみが完全に除去できていることがわかる。トランス
コンダクタンスGmは、直流制御電圧Vc を可変させる
ことで簡単に制御できる。Vc を0になるまで低減すれ
ば、Gm=0とすることができる。
【0030】このように、ゲイン(トランスコンダクタ
ンス)を無限小から制御できるので、制御範囲が広いと
いう特長がある。この場合Vc はVB などとは無関係に
設定できるため、中点電位VB を必要値に設定して入力
ダイナミックレンジを確保しておくことができる。従っ
て、上記参考例としての形態で説明したように、トラン
スコンダクタンスGmを絞ったときに入力ダイナミック
レンジが不足してしまうということもなく、良好な特性
を維持することができる。また、トランスコンダクタン
スGmはkとVc だけの非常に単純な形で与えられ、し
きい置電圧Vthなどk以外の素子パラメータを含まない
ことから、プロセスパラメータのばらつきに対するばら
つき感度も低く、高精度の可変利得回路が構成できる。
シングル出力でも無ひずみなので多段に接続してもひず
まない点、低電圧化にも適している点と基板効果の影響
を受けないという特長は上記参考例としての形態と同様
である。
ンス)を無限小から制御できるので、制御範囲が広いと
いう特長がある。この場合Vc はVB などとは無関係に
設定できるため、中点電位VB を必要値に設定して入力
ダイナミックレンジを確保しておくことができる。従っ
て、上記参考例としての形態で説明したように、トラン
スコンダクタンスGmを絞ったときに入力ダイナミック
レンジが不足してしまうということもなく、良好な特性
を維持することができる。また、トランスコンダクタン
スGmはkとVc だけの非常に単純な形で与えられ、し
きい置電圧Vthなどk以外の素子パラメータを含まない
ことから、プロセスパラメータのばらつきに対するばら
つき感度も低く、高精度の可変利得回路が構成できる。
シングル出力でも無ひずみなので多段に接続してもひず
まない点、低電圧化にも適している点と基板効果の影響
を受けないという特長は上記参考例としての形態と同様
である。
【0031】この発明の第1の実施の形態の変形例を図
6の回路図を用いて説明する。この実施の形態は、図5
に示した回路において、左半分の回路の2組の差動ペア
を構成するM3 −M4 とM3'−M4'への入力に与える直
流オフセットVc を、図5に示したように差動ペアトラ
ンジスタのゲート電圧に与える代わりに、差動ペアトラ
ンジスタのソース電圧に与えたものである。
6の回路図を用いて説明する。この実施の形態は、図5
に示した回路において、左半分の回路の2組の差動ペア
を構成するM3 −M4 とM3'−M4'への入力に与える直
流オフセットVc を、図5に示したように差動ペアトラ
ンジスタのゲート電圧に与える代わりに、差動ペアトラ
ンジスタのソース電圧に与えたものである。
【0032】図5の回路の可変利得動作は、同じ入力信
号を供給する右半分の回路の差動トランジスタと左半分
の差動トランジスタのゲート・ソース間に相対的な直流
電圧差を付けることでこの機能を達成するものである。
従って、ゲート電圧にオフセットを持たせた図5の回路
と、ソース電圧にオフセットを持たせた図6の回路は、
右半分の回路のトランジスタと左半分の回路のトランジ
スタのゲート・ソース間の相対的な関係は全く同じにな
るため、全く同じ動作になることは明らかである。
号を供給する右半分の回路の差動トランジスタと左半分
の差動トランジスタのゲート・ソース間に相対的な直流
電圧差を付けることでこの機能を達成するものである。
従って、ゲート電圧にオフセットを持たせた図5の回路
と、ソース電圧にオフセットを持たせた図6の回路は、
右半分の回路のトランジスタと左半分の回路のトランジ
スタのゲート・ソース間の相対的な関係は全く同じにな
るため、全く同じ動作になることは明らかである。
【0033】図7と図8は、図2に示した別の参考例と
しての形態の回路に、コンデンサの負荷を付けて周波数
特性の調整が可能なフィルタ回路への応用が可能なこと
について説明するためのものである。図7の左の回路は
図2と全く同じ回路図であり、これを図7右に示すよう
なシンボルで表わすものとする。そして、この回路とコ
ンデンサを組み合わせて図8のような回路を組むことに
より、2次のBPFを構成したものである。
しての形態の回路に、コンデンサの負荷を付けて周波数
特性の調整が可能なフィルタ回路への応用が可能なこと
について説明するためのものである。図7の左の回路は
図2と全く同じ回路図であり、これを図7右に示すよう
なシンボルで表わすものとする。そして、この回路とコ
ンデンサを組み合わせて図8のような回路を組むことに
より、2次のBPFを構成したものである。
【0034】各トランスコンダクタンスGmは前述した
ように完全に線形な特性を有し、各コンデンサは線形な
素子であるため、このフィルタからは無ひずみの出力を
得ることができる。また、直流オフセットVc を変える
ことにより、各Gm値を一括して制御できるため、周波
数特性を周波数軸に対して比例制御することができ、半
導体の製造ばらつきに起因した時定数ずれによるフィル
タ特性のばらつきを補正することができる。
ように完全に線形な特性を有し、各コンデンサは線形な
素子であるため、このフィルタからは無ひずみの出力を
得ることができる。また、直流オフセットVc を変える
ことにより、各Gm値を一括して制御できるため、周波
数特性を周波数軸に対して比例制御することができ、半
導体の製造ばらつきに起因した時定数ずれによるフィル
タ特性のばらつきを補正することができる。
【0035】このようなフィルタへの応用は、図1に示
した形態でも、図5に示した実施の形態でも全く同様に
して、フィルタ回路を構成することができる。
した形態でも、図5に示した実施の形態でも全く同様に
して、フィルタ回路を構成することができる。
【0036】以上、参考例としての形態、別の参考例と
しての形態、およびこの発明を用いた例として第1の実
施の形態とその変形・応用例について説明してきたが、
これまでの説明ではNMOSを基本とした構成を例に示
したが、NMOSをPMOSに変え、VccをGND
に、GNDをVccに置き換えることにより、全く同様
のPMOS可変利得差動増幅器が構成できる。
しての形態、およびこの発明を用いた例として第1の実
施の形態とその変形・応用例について説明してきたが、
これまでの説明ではNMOSを基本とした構成を例に示
したが、NMOSをPMOSに変え、VccをGND
に、GNDをVccに置き換えることにより、全く同様
のPMOS可変利得差動増幅器が構成できる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係るC
MOSで構成する可変利得増幅器は、ソース接続点を定
電圧端子に接続した1組または2組の差動MOSトラン
ジスタとカレントミラーで構成し、入力に直流電圧また
は直流オフセットを付加して入力信号を与えることによ
り、原理的に無ひずみの出力を得ることができる。ま
た、制御範囲も無限小からの制御が可能であり制御範囲
が広いこと、利得が制御電圧に正比例するため制御が簡
単で扱い易いこと、シングル出力でも無ひずみなので多
段に接続してもひずまない等の利点を有している。
MOSで構成する可変利得増幅器は、ソース接続点を定
電圧端子に接続した1組または2組の差動MOSトラン
ジスタとカレントミラーで構成し、入力に直流電圧また
は直流オフセットを付加して入力信号を与えることによ
り、原理的に無ひずみの出力を得ることができる。ま
た、制御範囲も無限小からの制御が可能であり制御範囲
が広いこと、利得が制御電圧に正比例するため制御が簡
単で扱い易いこと、シングル出力でも無ひずみなので多
段に接続してもひずまない等の利点を有している。
【図1】可変利得増幅器の参考例としての形態について
説明するための回路図。
説明するための回路図。
【図2】別の参考例としての形態について説明するため
の回路図。
の回路図。
【図3】別の参考例としての形態の第1の変形例につい
て説明するための回路図。
て説明するための回路図。
【図4】別の参考例としての形態の第2の変形例につい
て説明するための回路図。
て説明するための回路図。
【図5】この発明の第1の実施の形態について説明する
ための回路図。
ための回路図。
【図6】この発明の第1の実施の形態の変形例について
説明するための回路図。
説明するための回路図。
【図7】図2の回路図とそれをシンボルで示した説明
図。
図。
【図8】この発明に係る可変利得増幅器のフィルタへの
応用例について説明するための回路図。
応用例について説明するための回路図。
【図9】従来の可変利得増幅器について説明するための
回路図。
回路図。
M1 〜M6 ,M1'〜M4'…CMOSトランジスタ、C
M,CM1 ,CM2 …カレントミラー、Vc …直流電
圧。
M,CM1 ,CM2 …カレントミラー、Vc …直流電
圧。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭57−205796(JP,A)
特開 平2−261206(JP,A)
特開 平6−152320(JP,A)
特開 平2−195711(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H03G 3/10
Claims (3)
- 【請求項1】 差電流出力手段を備える差動トランジス
タ対を2組組み合せ、第1の差動トランジスタ対の第1
の電界効果トランジスタと第2の差動トランジスタ対の
第2の電界効果トランジスタに入力差動信号の一方を供
給し、前記第1の差動トランジスタ対の第2の電界効果
トランジスタと前記第2の差動トランジスタ対の第1の
電界効果トランジスタに入力差動信号のもう一方を供給
し、前記第1の差動トランジスタ対の差電流出力と前記
第2の差動トランジスタ対の差電流出力を1対の差動出
力としてなる全差動型増幅器を2組組み合せ、第1の全
差動型増幅器と第2の全差動型増幅器には同じ入力差動
信号を同じ極性で相対的な直流オフセットを与えて入力
し、前記第1の全差動型増幅器の差動出力と前記第2の
全差動型増幅器の差動出力間でそれぞれ入力に対して逆
極性の出力同士を加算してこれを合成差動出力とし、前
記相対的な直流オフセットを変化させることにより前記
合成差動出力の電流振幅の入力信号振幅に対する比を制
御し、前記第1の全差動型増幅器の第1の差動トランジ
スタ対と第2の差動トランジスタ対のソース端子の接続
先である第1の基準電位と前記第2の全差動型増幅器の
第1の差動トランジスタ対と第2の差動トランジスタ対
のソース端子の接続先である第2の基準電位は共通であ
り、前記第1の全差動型増幅器の第1の差動トランジス
タ対と第2の差動トランジスタ対の入力差動電圧が入力
されるゲート端子と前記第2の全差動型増幅器の第1の
差動トランジスタ対と第2の差動トランジスタ対の入力
差動電圧が入力されるゲート端子との間に利得制御のた
めの前記直流オフセットを与えたことを特徴とする可変
利得増幅器。 - 【請求項2】 差電流出力手段を備える差動トランジス
タ対を2組組み合せ、第1の差動トランジスタ対の第1
の電界効果トランジスタと第2の差動トランジスタ対の
第2の電界効果トランジスタに入力差動信号の一方を供
給し、前記第1の差動トランジスタ対の第2の電界効果
トランジスタと前記第2の差動トランジスタ対の第1の
電界効果トランジスタに入力差動信号のもう一方を供給
し、前記第1の差動トランジスタ対の差電流出力と前記
第2の差動トランジスタ対の差電流出力を1対の差動出
力としてなる全差動型増幅器を2組組み合せ、第1の全
差動型増幅器と第2の全差動型増幅器には同じ入力差動
信号を同じ極性で相対的な直流オフセットを与えて入力
し、前記第1の全差動型増幅器の差動出力と前記第2の
全差動型増幅器の差動出力間でそれぞれ入力に対して逆
極性の出力同士を加算してこれを合成差動出力とし、前
記相対的な直流オフセットを変化させることにより前記
合成差動出力の電流振幅の入力信号振幅に対する比を制
御し、前記第1の全差動型増幅器の第1および第2の差
動トランジスタ対のそれぞれのソース端子と第1の基準
電位との間に直流オフセットを与え、該第1の基準電位
と前記第2の全差動型増幅器の第1の差動トランジスタ
対と第2の差動トランジスタ対のソース端子の接続先で
ある第2の基準電位とを共通にし、前記第1の全差動型
増幅器の第1および第2の差動トランジスタ対のそれぞ
れのゲート端子への入力差動電圧と前記第2の全差動型
増幅器の第1および第2の差動トランジスタ対のそれぞ
れのゲート端子への入力差動電圧とは共通にしたことを
特徴とする可変利得増幅器。 - 【請求項3】 出力電流を流出する出力端子には負荷と
してコンデンサを接続して積分回路の機能を持たせ、こ
のような積分回路を2個以上用いて互いに結線してフィ
ルタ回路を構成し、利得制御のための前記直流オフセッ
トを変化させることによりフィルタの周波数特性を制御
することを特徴とする請求項1または2に記載の可変利
得増幅器。
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