JP3483924B2

JP3483924B2 - マイクロ波用誘電体磁器

Info

Publication number: JP3483924B2
Application number: JP34390593A
Authority: JP
Inventors: 公男栂野
Original assignee: Sumitomo Special Metals Co Ltd
Current assignee: Hitachi Metals Ltd
Priority date: 1993-12-16
Filing date: 1993-12-16
Publication date: 2004-01-06
Anticipated expiration: 2019-01-06
Also published as: JPH07169326A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、還元し難く製造が容
易なマイクロ波用誘電体磁器に係り、ＢａＯ−ＴｉＯ₂
−Ｎｄ₂Ｏ₃−Ｐｒ₆Ｏ₁₁系に特定量のＣｒ₂Ｏ₃、Ｂｉ₂Ｏ
₃を含有させることにより、マイクロ波周波数領域にお
いて、高い誘電率およびＱ値を有し、誘電率の温度係数
が組成によって自由に選択でき、安定した温度特性を有
するマイクロ波用誘電体磁器に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ニューメディアの発達にともなっ
て、電子技術分野において小型化、デジタル化が進めら
れており、特に、衛星通信、自動車電話、携帯電話など
のマイクロ波を用いた通信技術では、部品の小型化、高
信頼性が高度に要求されている。

【０００３】しかし、従来のマイクロ波回路では、空胴
共振器や導波管がフィルターや伝送線路として用いられ
てきたので、上記要求の障害となっていた。これらの空
胴共振器や導波管は、基本的には電波の伝搬媒体として
空気あるいは真空の安定性を利用しているものである。
従って、上記マイクロ波回路部分を小型化するには、空
気あるいは真空の誘電率に比べて大きな誘電率を有し、
かつ空気や真空と同様に温度などに対しては高安定性を
有する伝搬媒体を使用すればよいことになり、この場
合、マイクロ波の伝搬波長は媒体中で、１／√（εｒ）
（εｒ：比誘電率）となるので、共振波長も１／√（ε
ｒ）となるため、小型化が達成できる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のマイクロ波用誘
電体として知られている磁器としては、ＢａＯ−ＴｉＯ
₂系、ＢａＯ−ＴｉＯ₂−Ｎｄ₂Ｏ₃−Ｂｉ₂Ｏ₃系（特開昭
５９−５１０９１号）などがあるが、ＢａＯ−ＴｉＯ₂
系は比誘電率が４０程度で、部品の超小型化等には不向
きで、また還元されやすく、焼結が困難であるなどの問
題があり、またＢａＯ−ＴｉＯ₂−Ｎｄ₂Ｏ₃−Ｂｉ₂Ｏ₃
系は比誘電率は８０〜１００の大きな値であるが、Ｑが
高くてτｆが０のものが得られ難い問題があった。

【０００５】この発明は、マイクロ波用誘電体磁器とし
て、高誘電率でありながら、誘電率の温度係数を広範囲
で選択でき、高いＱ値をもち、また還元されやすい等の
問題がなく、焼結がしやすく、製造が容易なマイクロ波
用誘電体磁器の提供を目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】発明者は、前記した従来
のマイクロ波用誘電体磁器の欠点を解決できる磁器組成
を種々検討した結果、ＢａＯ−ＴｉＯ₂−Ｎｄ₂Ｏ_3-Ｐｒ
₆Ｏ₁₁系にＣｒ₂Ｏ₃を添加することで、温度係数を変化
させずにＱ値を高めることができ、さらにＢｉ₂Ｏ₃を含
有することにより、誘電率が８０〜１００を有し、誘電
体の共振周波数の温度係数が０ｐｐｍ／℃〜４０ｐｐｍ
／℃まで広くとれ、Ｑ値が１０００以上の誘電体磁器と
して用途範囲を拡大できることを知見した。

【０００７】すなわち、この発明はＢａＯ１２モル％
〜１８モル％、ＴｉＯ₂ ６６モル％〜７４モル％、Ｎ
ｄ₂Ｏ₃ １２モル％〜１８モル％、Ｐｒ₆Ｏ₁₁ １モル
％以下、Ｃｒ₂Ｏ₃ ０．０５モル％〜２モル％に、Ｂａ
Ｏ、ＴｉＯ₂、Ｎｄ₂Ｏ₃、Ｐｒ₆Ｏ_11、Ｃｒ₂Ｏ₃の総量に
対して、Ｂｉ₂Ｏ₃５ｗｔ％〜１５ｗｔ％を含有し、不可
避的不純物からなることを特徴とするマイクロ波用誘電
体磁器である。

【０００８】主成分のＢａＯが１２モル％未満あるいは
１８モル％を越えると、また、ＴｉＯ₂が６６モル未満
あるいは７４モル％を越えると、共振周波数の温度係数
が３０ｐｐｍ／℃以上となり、実用価値がなくなるた
め、ＢａＯ１２モル％〜１８モル％、ＴｉＯ₂ ６６
モル％〜７４モル％とする。好ましくは、ＢａＯ１４
モル％〜１６モル％、ＴｉＯ₂ ６８モル％〜７２モル
％である。

【０００９】Ｎｄ₂Ｏ₃は、１２モル％未満ではεｒが小
さくなり、また、１８モル％を越えるとεｒ、Ｑ共に小
さくなり好ましくないため、１２モル％〜１８モル％と
する。好ましくは、１４モル％〜１６モル％である。

【００１０】Ｐｒ₆Ｏ₁₁は、１モル％を越えると誘電率
が低下して好ましくないため、１モル％以下とする。

【００１１】Ｃｒ₂Ｏ₃は、τｆを変えずにＱを大きくす
る効果があるが、０．０５モル％未満ではＱが小さくな
り、また、２モル％を越えるとｚｆが大幅に増大して好
ましくないため、０．０５モル％〜２モル％とする。

【００１２】Ｂｉ₂Ｏ₃は、誘電率を上げ、τｆを負の方
向にする効果があるが、ＢａＯ、ＴｉＯ₂、Ｎｄ₂Ｏ₃、
Ｐｒ₆Ｏ_11、Ｃｒ₂Ｏ₃の総量に対して、５ｗｔ％未満では
その効果が少なく、１５ｗｔ％を越えるとＱが低くなり
好ましくないため、５ｗｔ％〜１５ｗｔ％とする。Ｂａ
Ｏ、ＴｉＯ₂、Ｎｄ₂Ｏ₃、Ｐｒ₆Ｏ₁₁、Ｃｒ₂Ｏ₃の総量に
対する好ましい範囲は、８ｗｔ％〜１２ｗｔ％である。

【００１３】

【作用】この発明による誘電体磁器は、公知のＢａＯ−
ＴｉＯ₂−Ｎｄ₂Ｏ_3-Ｐｒ₆Ｏ₁₁系に、Ｃｒ₂Ｏ₃を添加す
ることで、温度係数を変化させずにＱ値を高めることが
でき、さらにＢｉ₂Ｏ₃を含有することにより、４．５Ｇ
Ｈｚにて測定した誘電率が８０〜１００を有し、誘電体
の共振周波数の温度係数が０ｐｐｍ／℃〜４０ｐｐｍ／
℃まで広くとれ、Ｑ値が１０００以上となる。

【００１４】

【実施例】純度９９．５％以上のＢａＣＯ₃、ＴｉＯ₂、
Ｎｄ₂Ｏ₃、Ｐｒ₆Ｏ₁₁、Ｃｒ₂Ｏ₃およびＢｉ₂Ｏ₃を表１
に示す組成の磁器となるように配合し、ボールミルで６
時間の混合を行い、乾燥後に９００℃〜１０００℃、１
〜４時間の仮焼を行った。次いで、これを粉砕し、乾燥
後、有機バインダーを１ｗｔ％添加して造粒し、さらに
所定形状に加圧成型した後、１３００℃〜１３８０℃で
２〜４時間焼成し、外径１１ｍｍ×高さ９ｍｍ寸法の焼
結体を得た。

【００１５】得られた焼結体について、２５℃、４．５
ＧＨｚにおける比誘電率εｒ、Ｑ、共振周波数の温度係
数でτｆ（ｐｐｍ／℃）を測定し、その結果を表１に示
す。なお、表１における比誘電体とＱは、誘電体共振器
により測定したもので、共振周波数の温度係数τｆと誘
電率の温度係数τεとは、磁器の線熱膨張係数αとの間
に、下記式のごとき関係がある。 τｆ＝−１／２τε−α

【００１６】また、比較例として表１に示すこの発明の
組成外の磁器となるよう上述の製造方法で焼結体を作製
し、同様に特性を測定し、その結果を表１に示す。表１
より明らかなように、この発明による誘電体は、共振周
波数の温度係数が０ｐｐｍ／℃〜４０ｐｐｍ／℃まで広
くとれ、低損失、高誘電率材料であることが分かる。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【発明の効果】この発明によるマイクロ波用誘電体磁器
は、ＢａＯ−ＴｉＯ₂−Ｎｄ₂Ｏ_3-Ｐｒ₆Ｏ₁₁系に特定量
のＣｒ₂Ｏ₃、Ｂｉ₂Ｏ₃を含有させることにより、還元し
難く製造が容易であるとともに、実施例に示すごとく、
４．５ＧＨｚにて測定した誘電率が８０〜１００を有
し、誘電体の共振周波数の温度係数が０ｐｐｍ／℃〜４
０ｐｐｍ／℃まで任意に選定でき、Ｑ値が１０００以上
の誘電体磁器として用途範囲を拡大できる。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ＢａＯ１２モル％〜１８モル％、Ｔｉ
Ｏ₂ ６６モル％〜７４モル％、Ｎｄ₂Ｏ₃ １２モル％
〜１８モル％、Ｐｒ₆Ｏ₁₁ １モル％以下、Ｃｒ₂Ｏ₃
０．０５モル％〜２モル％に、ＢａＯ、ＴｉＯ₂、Ｎｄ₂
Ｏ₃、Ｐｒ₆Ｏ_11、Ｃｒ₂Ｏ₃の総量に対して、Ｂｉ₂Ｏ₃
５ｗｔ％〜１５ｗｔ％を含有し、不可避的不純物からな
ることを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器。