JP3376933B2 - 高周波用誘電体磁器組成物および誘電体共振器 - Google Patents
高周波用誘電体磁器組成物および誘電体共振器Info
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Description
磁器組成物および誘電体共振器に関するものである。
機、衛星放送受信機等のように、マイクロ波やミリ波等
の高周波領域において利用される電子機器に搭載される
誘電体共振器や誘電体フィルタや回路基板等の材料とし
て、誘電体磁器が広く用いられている。
る誘電特性としては、(1)誘電体中では電磁波の波長
が1/(εr )1/2 に短縮されるので、小型化の要求へ
の対応として、比誘電率(εr )が大きいこと、(2)
誘電損失が小さい、すなわちQ値が高いこと、(3)共
振周波数の温度安定性が優れている、すなわち共振周波
数の温度係数(τf)が0(ppm/℃)付近であるこ
と、などが挙げられる。
は、たとえば、Ba(Zn,Ta)O 3 系(特公昭58
−25068号公報参照)、Ba(Sn,Mg,Ta)
O3 系(特公平3−34164号公報参照)、(Zr,
Sn)TiO4 系(特公平4−59267号公報参
照)、Ba2 Ti9 O20(特開昭61−10806号公
報参照)等の誘電体磁器組成物が知られている。
(Zn,Ta)O3 系やBa(Sn,Mg,Ta)O3
系の材料は、Q値が150000〜300000(1G
Hzにおいて)と非常に大きいが、比誘電率(εr )が
24〜30と比較的小さい。
Ti9 O20の材料は、比誘電率(ε r )が37〜40と
比較的大きく、Q値も50000〜60000(1GH
zにおいて)と高い値を示すが、たとえば40を超える
といった比較的大きな比誘電率(εr )を実現するのは
困難である。
る要求が強まり、これに伴って、誘電体材料に関して
も、さらに優れた誘電特性、特に、高い比誘電率
(εr )と高いQ値とを併せ持つ材料の開発に対する要
求が強くなってきているが、このような要求に対して十
分に応えることができていないのが現状である。
r )がたとえば25〜60と比較的大きく、Q値もたと
えば15000(1GHzにおいて)以上と大きく、し
かも、共振周波数の温度係数(τf)を、0(ppm/
℃)を中心に任意に制御できる、高周波用誘電体磁器組
成物、およびそれを用いて構成される誘電体共振器を提
供しようとすることである。
決するため、この発明に係る高周波用誘電体磁器組成物
は、希土類元素(Ln)、Mg、Ta、Ti、およびM
(M:CaおよびSrのうちの少なくとも1種)を含
み、モル比による組成式:aLnOx/2 −bMgO−c
TaO5/2 −dMO−eTiO2 で表わされる組成を有
し、a、b、c、d、eおよびxが、0.100≦a≦
0.350、0.067≦b≦0.233、0.033
≦c≦0.117、0.150≦d≦0.400、0.
150≦e≦0.400、a+b+c+d+e=1、3
≦x≦4の範囲内にあることを特徴としている。
好ましくは、0.150≦a≦0.200、0.100
≦b≦0.133、0.050≦c≦0.067、0.
300≦d≦0.350、0.300≦e≦0.35
0、a+b+c+d+e=1、3≦x≦4の範囲内にな
るように選ばれる。
は、より特定的な局面では、希土類元素(Ln)、M
g、Ta、Ti、およびM(M:CaおよびSrのうち
の少なくとも1種)を含み、組成式:yLn(Mg2/3
Ta1/3 )O3 −(1−y)MTiO3 で表わされる組
成を有し、yが、0.2≦y≦0.7の範囲内にあり、
ぺロブスカイト型結晶相を主結晶とすることを特徴とし
ている。
は、好ましくは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、
Dy、およびErのうちの少なくとも1種であり、より
好ましくは、Laである。
子に電磁界結合して作動する、誘電体共振器にも向けら
れる。このような誘電体共振器において、誘電体磁器が
上述したようなこの発明に係る高周波用誘電体磁器組成
物から構成される。
よる誘電体共振器1の基本的構造を図解的に示す断面図
である。
ケース2を備え、金属ケース2内の空間には、支持台3
によって支持された柱状の誘電体磁器4が配置されてい
る。また、入力端子5および出力端子6が、金属ケース
2に対して絶縁された状態で、金属ケース2によって保
持されている。
子6に電磁界結合して作動するもので、入力端子5から
入力された所定の周波数の信号だけが出力端子6から出
力される。
磁器4が、この発明に係る高周波用誘電体磁器組成物か
ら構成される。
は、前述したように、希土類元素(Ln)、Mg、T
a、Ti、およびM(M:CaおよびSrのうちの少な
くとも1種)を含み、モル比による組成式:aLnO
x/2 −bMgO−cTaO5/2−dMO−eTiO2 で
表わされる組成を有し、a+b+c+d+e=1であ
り、xは3≦x≦4の範囲内にあるが、a、b、c、d
およびeの各々については、次のような範囲内に選ばれ
る。
0.350の範囲内に選ばれる。a<0.100の場合
は、Q値が低くなり、a>0.350の場合には、共振
周波数の温度係数(τf)の絶対値が80ppm/℃を
超えてしまい、この発明の目的を達成することができな
いからである。
≦a≦0.200の範囲内に選ばれる。このように、a
をより特定的な範囲内に限定することにより、共振周波
数の温度係数(τf)が±28ppm/℃以下の特性を
得ることができる。
≦b≦0.233および0.033≦c≦0.117の
各範囲内に選ばれる。b<0.067の場合やc<0.
033の場合には、Q値が低下し、b>0.233の場
合やc>0.117の場合には、共振周波数の温度係数
(τf)の絶対値が80ppm/℃を超えてしまうため
である。
0≦b≦0.133の範囲、cについては、0.050
≦c≦0.067の範囲に限定される。このように限定
された範囲がより好ましいのは、前述したaの場合と同
様、共振周波数の温度係数(τf)が±28ppm/℃
以下となる特性を得ることができるからである。
0.400の範囲内に選ばれる。d>0.400の場合
には、Q値が低下し、d<0.150の場合には、共振
周波数の温度係数(τf)の絶対値が80ppm/℃を
超えてしまうからである。
0.350の範囲内に選ばれる。このようにより限定さ
れた好ましい範囲によれば、前述したaの場合と同様、
共振周波数の温度係数(τf)が±28ppm/℃以下
の特性を得ることができるからである。
0.400の範囲内に選ばれる。e>0.400の場合
には、Q値が低下し、e<0.150の場合には、共振
周波数の温度係数(τf)の絶対値が80ppm/℃を
超えてしまうからである。
≦e≦0.350の範囲内に選ばれる。このように、e
の範囲を限定することによって、前述したaの場合と同
様、共振周波数の温度係数(τf)が±28ppm/℃
以下の特性を得ることができる。
組成物において、希土類元素(Ln)としては、Y、L
a、Ce、Pr、Nd、Sm、Dy、およびErのうち
の少なくとも1種を用いることができるが、これらの中
で、Laを用いることがより好ましい。Laを用いるこ
とにより、他の場合に比べて、比誘電率(εr )および
Q値をより高くすることができるからである。
において、この発明の目的を損なわない範囲で、わずか
な添加物を加えてもよい。たとえば、SiO2 、Zn
O、MnO、B2 O3 、NiO、CuO、Li2 CO3
等を0.01〜1.0重量%添加した場合、焼成温度が
20〜30℃低下するが、特性は大きく劣化しない。ま
た、Al2 O3 、Sb2 O3 、V2 O5 、WO3 等を1
〜3重量%添加することにより、比誘電率および温度特
性の微調整が可能となり、優れた誘電体磁器を得ること
ができる。
組成物において、前述したモル比による組成式をより特
定的に表した組成式:yLn(Mg2/3 Ta1/3 )O3
−(1−y)MTiO3 で表わされる組成物としなが
ら、ぺロブスカイト型結晶相を主結晶とするようにし、
yを0.2≦y≦0.7の範囲内で変化させることによ
り、共振周波数の温度係数(τf)を、0(ppm/
℃)を中心に任意に変化させることが可能な誘電体磁器
組成物を得ることができる。この場合、比誘電率
(εr ) は25〜60と大きく、また、Q値も150
00以上の値を得ることができる。
き説明する。
(La2 O3 等)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化
タンタル(Ta2 O5 )、炭酸カルシウム(CaC
O3 )、炭酸ストロンチウム(SrCO3 )、および酸
化チタン(TiO2 )をそれぞれ準備し、これらを表1
および表2に示す組成比率で調合した。
1/3 )O3 −(1−y)MTiO3 におけるLa(Mg
2/3 Ta1/3 )O3 とMTiO3 との比率を表わすyで
ある。
は、モル比による組成式:aLaO 3/2 −bMgO−c
TaO5/2 −dMO−eTiO2 (ただし、MはCaお
よび/またはSr)における各成分のモル比を表わす
a、b、c、dおよびeである。
1におけるLa2 O3 の代わりに「希土類元素」の欄に
示した種々の希土類元素の酸化物を用いたもので、試料
53〜68については、表1中の試料17に対応する組
成を有しており、試料69〜74については、表1中の
試料48に対応する組成を有している。
たものは、この発明の範囲外のものである。
をもって調合された粉末を、ボールミルを用いて16時
間湿式混合した後、脱水、乾燥し、次いで、1100〜
1300℃で3時間仮焼し、この仮焼粉末に適量のバイ
ンダを加えて、再度、ボールミルを用いて16時間湿式
粉砕することにより、調整粉末を得た。
0kg/cm2 の圧力で円板状にプレス成形した後、1
400〜1500℃の温度で4〜10時間大気中におい
て焼成し、直径10mm、厚み5mmの焼結体を得た。
8GHzにおける比誘電率(εr )およびQ値を両端短
絡型誘電体共振器法にて測定し、Q×f=一定則に従っ
て、1GHzのQ値に換算した。また、TE〔01δ〕
モード共振周波数から、共振周波数の25℃〜55℃で
の温度係数(τf)を測定した。これらの結果が、表1
および表2に示されている。
発明の範囲内にある試料によれば、マイクロ波帯におい
て比誘電率を大きな値に保ちながら高いQ値を与えるこ
とができる。
の発明において、モル比を表わすa、b、c、dおよび
eの各範囲に関して限定した理由について説明する。
350と限定したのは、a<0.100の場合には、試
料1および2のように、Q値が低くなり、a>0.35
0の場合には、試料35、36、37、45および46
のように、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値が8
0ppm/℃を超えてしまうからである。
が特に好ましいとしたのは、試料10〜23および47
〜52において見られるように、共振周波数の温度係数
(τf)の絶対値を28ppm/℃以下にすることがで
きるからである。
と限定したのは、b<0.067の場合には、試料1、
3および8のように、Q値が低くなり、b>0.233
の場合には、試料29、34、36、37、45および
46のように、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値
が80ppm/℃を超えてしまうからである。
が特に好ましいとしたのは、試料10〜23、38およ
び47〜52において見られるように、共振周波数の温
度係数(τf)の絶対値を28ppm/℃以下にするこ
とができるからである。
と限定したのは、c<0.033の場合には、試料1、
7および8のように、Q値が低くなり、c>0.117
の場合には、試料29、30、36、37、45および
46のように、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値
が80ppm/℃を超えてしまうためである。
が特に好ましいとしたのは、試料10〜23、38およ
び47〜52において見られるように、共振周波数の温
度係数(τf)の絶対値を28ppm/℃以下とするこ
とができるからである。
と限定したのは、d>0.400の場合には、試料1お
よび6のように、Q値が低くなり、d<0.150の場
合には、試料31、36、37、45および46のよう
に、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値が80pp
m/℃を超えてしまうからである。
が特に好ましいとしたのは、試料10〜23、38およ
び47〜52において見られるように、共振周波数の温
度係数(τf)の絶対値を28ppm/℃以下とするこ
とができるからである。
と限定したのは、e>0.400の場合には、試料1お
よび4のように、Q値が低下し、e<0.150の場合
には、試料33、36、37、45および46のよう
に、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値が80pp
m/℃を超えてしまうからである。
が特に好ましいとしたのは、試料10〜23、38およ
び47〜52において見られるように、共振周波数の温
度係数の絶対値を28ppm/℃以下とすることができ
るからである。
る試料53〜68とを比較すればわかるように、希土類
元素としてLaを用いるのが好ましく、このようにLa
を用いることにより、比誘電率(εr ) およびQ値を
ともにより高くすることができる。
れているものは、組成式:yLa(Mg2/3 Ta1/3 )
O3 −(1−y)MTiO3 で表わされる組成を有し、
ぺロブスカイト型結晶相を主結晶とするものであるが、
試料5、9〜12、17、23〜28、32、38〜4
4および47〜52の間での比較からわかるように、y
を0.2≦y≦0.7の範囲内で変更することにより、
共振周波数の温度係数(τf)を0ppm/℃を中心に
任意に変化させることができる。また、これらの試料で
は、比誘電率(εr )を略25〜60と大きく、また、
そのほとんどのものについて、15000以上のQ値を
与えている。
電率およびQ値がともに高く、共振周波数の温度係数
(τf)を小さくすることができる高周波用誘電体磁器
組成物が得られ、これを焼結させて得られた誘電体磁器
は、誘電体共振器のような高周波機器において有利に用
いることができる。
が、組成式:yLn(Mg2/3 Ta 1/3 )O3 −(1−
y)MTiO3 (ただし、Lnは希土類元素、MはCa
およびSrのうちの少なくとも1種)で表わされる組成
を有し、yが、0.2≦y≦0.7の範囲内にあり、ぺ
ロブスカイト型結晶相を主結晶とする場合には、yを変
更することにより、共振周波数の温度係数(τf)を0
(ppm/℃)を中心に任意に制御することが可能にな
る。
図解的に示す断面図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 希土類元素(Ln)、Mg、Ta、T
i、およびM(M:CaおよびSrのうちの少なくとも
1種)を含み、 モル比による組成式:aLnOx/2 −bMgO−cTa
O5/2 −dMO−eTiO2 で表される組成を有し、 a、b、c、d、eおよびxが、 0.100≦a≦0.350 0.067≦b≦0.233 0.033≦c≦0.117 0.150≦d≦0.400 0.150≦e≦0.400 a+b+c+d+e=1 3≦x≦4 の範囲内にあることを特徴とする、高周波用誘電体磁器
組成物。 - 【請求項2】 前記a、b、c、d、eおよびxが、 0.150≦a≦0.200 0.100≦b≦0.133 0.050≦c≦0.067 0.300≦d≦0.350 0.300≦e≦0.350 a+b+c+d+e=1 3≦x≦4 の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の高
周波用誘電体磁器組成物。 - 【請求項3】 希土類元素(Ln)、Mg、Ta、T
i、およびM(M:CaおよびSrのうちの少なくとも
1種)を含み、 組成式:yLn(Mg2/3 Ta1/3 )O3 −(1−y)
MTiO3 で表される組成を有し、 yが、0.2≦y≦0.7の範囲内にあり、 ペロブスカイト型結晶相を主結晶とすることを特徴とす
る、高周波用誘電体磁器組成物。 - 【請求項4】 前記希土類元素(Ln)は、Y、La、
Ce、Pr、Nd、Sm、Dy、およびErのうちの少
なくとも1種である、請求項1ないし3のいずれかに記
載の高周波用誘電体磁器組成物。 - 【請求項5】 前記希土類元素(Ln)は、Laであ
る、請求項4に記載の高周波用誘電体磁器組成物。 - 【請求項6】 誘電体磁器が入出力端子に電磁界結合し
て作動する、誘電体共振器において、前記誘電体磁器
は、請求項1ないし5のいずれかに記載の高周波用誘電
体磁器組成物からなることを特徴とする、誘電体共振
器。
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