JP3482783B2 - 光ピックアップ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクの信号
を記録および／または再生するために使用される光ピッ
クアップ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、このような光ピックアップ装置
は、例えば図５に示すように、構成されている。図５に
おいて、光ピックアップ１は、対物レンズ２を保持する
レンズホルダー３と、該レンズホルダー３に備えられた
コイルボビンに巻回されたフォーカス用コイル３ａおよ
びトラッキング用コイル３ｂと、該レンズホルダー３
を、固定配置されたダンパーベース４に対してフォーカ
ス方向Ｆおよびトラッキング方向Ｔｒに移動可能に支持
するサスペンションバネ５と、該ダンパーベース４をラ
ジアル方向Ｒに揺動調整可能に支持するアクチュエータ
ベース６と、アクチュエータベース６をタンジェンシャ
ル方向Ｔａに揺動調整可能に支持するピックアップベー
ス７とから構成されている。

【０００３】上記サスペンションバネ５は、図示の場
合、全体として二対、計４本のサスペンションバネ５が
配設されており、それぞれレンズホルダー３の両側に
て、レンズホルダー３とダンパーベース４とを連結する
ことにより、機械的および電気的に接続するようになっ
ている。

【０００４】アクチュエータベース６には、二本のヨー
ク６ａ，６ｂが一体に形成されている。これらのヨーク
６ａ，６ｂは、それぞれレンズホルダー３をトラッキン
グ方向に垂直な水平方向Ｘから間隔をあけて挟むように
配設されており、一方のヨーク６ａのレンズホルダー３
に対向した内面には、マグネット８が備えられている。
さらに、アクチュエータベース６は、ダンパーベース４
をＸ方向から固定するための立上り部６ｃと、立上り部
６ｃを貫通してダンパーベース４に設けられたネジ穴４
ａに螺合するネジ６ｄと、下方からアクチュエータベー
ス６を貫通してダンパーベース４の下面に設けられたネ
ジ穴に螺合するネジ６ｅとを備えている。

【０００５】ピックアップベース７は、アクチュエータ
ベース６をタンジェンシャル方向Ｔａに調整可能に支持
するように、アクチュエータベース６のための支持面７
ａを備えている。さらに、ピックアップベース７は、レ
ーザーダイオード７ｂ，ビームスプリッタ７ｃ，立上げ
ミラー７ｄおよびフォトダイオード７ｅを備えている。
さらに、ピックアップベース７は、下方からピックアッ
プベース７を貫通してアクチュエータベース６の下面に
設けられたネジ穴に螺合するネジ７ｆとを備えている。

【０００６】このように構成された光ピックアップ１に
よれば、レーザダイオード７ｂから出た光は、ビームス
プリッタ７ｃにより反射された後、立上げミラー７ｄに
より反射されて、対物レンズ２を介して、光ディスク
（図示せず）の信号面に集光される。そして、光ディス
クの信号面で反射された光は、再び対物レンズ２を介し
て立上げミラー７ｄで反射され、ビームスプリッタ７ｃ
を透過した後、フォトダイオード７ｅに入射する。これ
により、フォトダイオード７ｅからの出力信号に基づい
て光ディスクの信号面に記録された情報が検出され得る
ようになっている。

【０００７】ここで、ラジアルスキュー調整は、以下の
ようにして行なわれる。先づ、ネジ６ｄを緩く締めるこ
とにより、ダンパーベース４がアクチュエータベース６
に対してラジアル方向Ｒに揺動し得るようにする。そし
て、ネジ６ｅの回転による進退により、ダンパーベース
４をネジ６ｄを中心として揺動させることにより、ダン
パーベース４のラジアルスキュー調整を行なった後、ネ
ジ６ｄを固く締め付けることにより、ダンパーベース４
がアクチュエータベース６に対して固定される。かくし
て、ダンパーベース４のラジアルスキュー調整が行なわ
れる。

【０００８】また、タンジェンシャルスキュー調整は、
以下のようにして行なわれる。ネジ７ｆの回転による進
退により、アクチュエータベース６を支持面７ａに沿っ
て揺動させることにより、アクチュエータベース６のタ
ンジェンシャルスキュー調整が行われ、アクチュエータ
ベース６がピックアップベース７に対して固定される。
かくして、アクチュエータベース６のタンジェンシャル
スキュー調整が行なわれる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成の光ピックアップ装置１においては、上記アク
チュエータベース６は、フォーカス方向Ｆおよびトラッ
キング方向Ｔｒの駆動力を増大させるために、より大き
な磁束密度が得られるように、マグネット８に近接して
ヨーク６ａ，６ｂを備えている。このヨーク６ａ，６ｂ
を含むアクチュエータベース６は、通常板金加工または
焼結加工により形成されている。このため、板金加工の
場合には、形状に一定の制限があり、所望の形状のアク
チュエータベース６そしてヨーク６ａ，６ｂを形成する
ことができないことがあると共に、加工精度が比較的低
く、さらに重いことから、光ピックアップ装置１のアク
セス高速化のためには、駆動力の大きな駆動手段が必要
になってしまうという問題があった。また、焼結加工の
場合には、形状の制限はないものの、コストが高くなっ
てしまうという問題があった。

【００１０】本発明は、以上の点に鑑み、アクチュエー
タベースに関して、所望の形状が容易に得られると共
に、コストが低減され得るようにした、光ピックアップ
装置を提供することを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明によ
れば、対物レンズを保持するレンズホルダーと、該レン
ズホルダーのコイル巻回部に巻回されたフォーカス用コ
イルおよびトラッキング用コイルと、該レンズホルダー
を固定配置されたダンパーベースに対してフォーカス方
向およびトラッキング方向に移動可能に支持するサスペ
ンションバネと、ダンパーベースを固定配置されたアク
チュエータベースと、上記コイルに対向するようにアク
チュエータベース上に配設されたマグネットと、上記ア
クチュエータベースを保持するピックアップベースと、
を含んでいる、光ピックアップ装置において、上記アク
チュエータベースは、上記ダンパーベースがラジアルス
キュー調整後に当接固定される後端面と、該アクチュエ
ータベースをタンジェンシャル方向に調整可能に支持す
るよう上記ピックアップベースに形成された略Ｖ字形の
支持面に受けられる略半円形の支持部とを有し、合成樹
脂により成形されていることを特徴とする、光ピックア
ップ装置により、達成される。

【００１２】本発明による光ピックアップ装置は、好ま
しくは、上記アクチュエータベースが、金属粉末を混入
した合成樹脂により成形されている。

【００１３】本発明による光ピックアップ装置は、好ま
しくは、上記マグネットが、アクチュエータベースに対
してインサート成形等により、一体に構成されている。

【００１４】

【作用】上記構成によれば、アクチュエータベースが、
合成樹脂により成形されていることから、所望の形状を
得ることが可能であると共に、複雑な形状であっても、
高精度で、且つ低コストで形成され得ることになる。

【００１５】また、アクチュエータベースの重量が軽減
されることから、アクセス時の光ピックアップ装置の移
動が比較的小さな駆動力で行なわれ得るので、光ピック
アップ装置のアクセス高速化にも対応可能である。

【００１６】上記アクチュエータベースが、金属粉末を
混入した合成樹脂により成形されている場合には、アク
チュエータベースがヨークの機能を有することになり、
部品点数が低減されることにより、光ピックアップ全体
のコストが低減され得ることになる。

【００１７】上記マグネットが、アクチュエータベース
に対してインサート成形等により、一体に構成されてい
る場合には、マグネットの取付が不要となり、組立コス
トが低減され得ることになる。

【００１８】

【実施の形態】以下、図面に示した実施形態に基づい
て、本発明を詳細に説明する。図１乃至図４は、本発明
による光ピックアップ装置の一実施形態を示している。

【００１９】図１乃至図４において、光ピックアップ装
置１０は、対物レンズ１１を保持するレンズホルダー１
２と、該レンズホルダー１２に備えられたコイル巻回部
に巻回されたフォーカス用コイル１２ａおよびトラッキ
ング用コイル１２ｂと、該レンズホルダー１２を固定配
置されるダンパーベース１３に対してフォーカス方向Ｆ
およびトラッキング方向Ｔｒに移動可能に支持するサス
ペンションバネ１４と、該ダンパーベース１３をラジア
ル方向Ｒに揺動調整可能に支持するアクチュエータベー
ス１５と、アクチュエータベース１５をタンジェンシャ
ル方向Ｔａに揺動調整可能に支持するピックアップベー
ス１６とを含んでいる。

【００２０】上記レンズホルダー１２は、樹脂成形さ
れ、ほぼ中央に対物レンズ１１を保持すると共に、対物
レンズ１１の光軸の周り（Ｆ方向の周り）に、フォーカ
ス用コイル１２ａが巻回されており、またフォーカス方
向Ｆおよびトラッキング方向Ｔｒに垂直なＸ方向の周り
に、トラッキング用コイル１２ｂが巻回されている。

【００２１】また、上記ダンパーベース１３は、同様に
樹脂成形されており、その後端面が、後述するアクチュ
エータベース１５の後壁内面に対して当接され、ネジ１
３ａの周りのラジアルスキュー方向Ｒに関してラジアル
スキュー調整された後、ネジ１３ａの締付により固定保
持されるようになっている。

【００２２】上記サスペンションバネ１４は、図示の場
合、全体として二対、計４本のサスペンションバネ１４
が配設されており、それぞれレンズホルダー１２の両側
にて、レンズホルダー１２とダンパーベース１３とを連
結することにより、機械的および電気的に接続するよう
になっている。

【００２３】アクチュエータベース１５は、樹脂成形に
より、上述したレンズホルダー１２およびダンパーベー
ス１３を包囲するように、形成されている。さらに、ア
クチュエータベース１５は、上記レンズホルダー１２を
トラッキング方向Ｔｒに垂直な水平方向Ｘから間隔をあ
けて挟むように配設された二つのマグネット１７を備え
ている。

【００２４】このマグネット１７は、アクチュエータベ
ース１５に対して接着等により一体に取り付けられ、あ
るいはインサート成形等によってアクチュエータベース
に対して一体化されている。

【００２５】さらに、アクチュエータベース１５は、全
体が強磁性金属材料が混入された樹脂によって成形され
ることにより、ヨークの機能を有するように構成されて
いる。

【００２６】ピックアップベース１６は、アクチュエー
タベース１５をタンジェンシャル方向Ｔａに調整可能に
支持するように、アクチュエータベース１５の両側に設
けられた半円形状の支持部１５ａを受けるための例えば
Ｖ字形の支持面１６ａと、アクチュエータベース１５を
タンジェンシャルスキュー調整した後に固定するための
固定手段（図示せず）を備えている。また、ピックアッ
プベース１６は、レーザーダイオード，ビームスプリッ
タ，立上げミラーおよびフォトダイオード（何れも図示
せず）を備えている。

【００２７】本発明実施形態による光ピックアップ装置
１０は、以上のように構成されており、レンズホルダー
１２のコイル巻回部に巻回された各コイル１２ａ，１２
ｂの巻線は、それぞれサスペンションバネ１４を介し
て、ダンパーベース１３から、外部の駆動電圧供給源に
接続される。これにより、外部から、各コイル１２ａ，
１２ｂに駆動電圧が供給されることにより、フォーカス
用コイル１２ａまたはトラッキング用コイル１２ｂに磁
界が発生する。

【００２８】そして、各コイル１２ａ，１２ｂによる磁
束が、マグネット１７，１７（そしてヨークとして機能
するアクチュエータベース１５）により形成され且つ該
コイル１２ａ，１２ｂを通過する磁束と相互に作用する
ことにより、該レンズホルダー１２に対して、フォーカ
ス方向Ｆおよびトラッキング方向Ｔｒの力が作用する。

【００２９】かくして、レンズホルダー１２に取り付け
られた対物レンズ１１が、フォーカス方向Ｆおよびトラ
ッキング方向Ｔに関して適宜に移動せしめられ得るよう
になっている。

【００３０】この場合、アクチュエータベース１５が樹
脂成形されていることから、複雑な形状であっても、容
易に且つ高精度で所望の形状を得ることが可能である。

【００３１】また、アクチュエータベース１５は、その
重量が樹脂成形によって軽減されることから、アクセス
時の光ピックアップ装置１０の光ディスクの半径方向に
関する移動が、比較的小さな駆動力で行なわれ得ること
になり、光ピックアップ装置１０のアクセス高速化が容
易に実現され得ることになる。

【００３２】尚、アクチュエータベース１５は、強磁性
金属粉末を混入した合成樹脂により成形されていること
により、ヨークの機能を有することになるため、別体に
構成したヨークが不要となる。従って、部品点数が低減
されることにより、光ピックアップ装置１０全体のコス
トが低減され得ることになる。

【００３３】尚、上記実施形態においては、アクチュエ
ータベース１５は、全体が、強磁性金属粉末を混入した
樹脂により成形されているが、これに限らず、通常の樹
脂成形によって形成されていてもよい。この場合、マグ
ネット１７の磁束密度を高めるために、別体に構成され
たヨークが、アクチュエータベース１５内に接着等によ
り取り付けられ、あるいはインサート成形により一体化
され得る。

【００３４】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ア
クチュエータベースが、合成樹脂により成形されている
ことから、所望の形状を得ることが可能であると共に、
複雑な形状であっても、高精度で、且つ低コストで形成
され得ることになる。

【００３５】また、アクチュエータベースの重量が軽減
されることから、アクセス時の光ピックアップ装置の移
動が比較的小さな駆動力で行なわれ得るので、光ピック
アップ装置のアクセス高速化にも対応可能である。

【００３６】かくして、本発明によれば、アクチュエー
タベースに関して、所望の形状が容易に得られると共
に、コストが低減され得るようにした、極めて優れた光
ピックアップ装置が提供され得ることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による光ピックアップ装置の一実施形態
を示し、（Ａ）は上面から観た斜視図，（Ｂ）は下面か
ら観た斜視図である。

【図２】図１の光ピックアップ装置におけるアクチュエ
ータの平面図である。

【図３】図１のアクチュエータの背面図である。

【図４】本発明による光ピックアップ装置の一実施形態
を示す分解側面図である。

【図５】従来の光ピックアップ装置の一例を示す分解斜
視図である。

【符号の説明】

１０ 光ピックアップ装置 １１ 対物レンズ １２ レンズホルダー １２ａ フォーカス用コイル １２ｂ トラッキング用コイル １３ ダンパーベース １４ サスペンションバネ １５ アクチュエータベース １６ ピックアップベース １７ マグネット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G11B 7/085 G11B 7/09

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】対物レンズを保持するレンズホルダーと、
   該レンズホルダーのコイル巻回部に巻回されたフォーカ
   ス用コイルおよびトラッキング用コイルと、該レンズホ
   ルダーを固定配置されたダンパーベースに対してフォー
   カス方向およびトラッキング方向に移動可能に支持する
   サスペンションバネと、ダンパーベースを固定配置され
   たアクチュエータベースと、上記コイルに対向するよう
   にアクチュエータベース上に配設されたマグネットと、
   上記アクチュエータベースを保持するピックアップベー
   スと、を含んでいる、光ピックアップ装置において、 上記アクチュエータベースは、上記ダンパーベースがラ
   ジアルスキュー調整後に当接固定される後端面と、該ア
   クチュエータベースをタンジェンシャル方向に調整可能
   に支持するよう上記ピックアップベースに形成された略
   Ｖ字形の支持面に受けられる略半円形の支持部とを有
   し、合成樹脂により成形されていることを特徴とする、
   光ピックアップ装置。
2. 【請求項２】上記アクチュエータベースが、金属粉末を
   混入した合成樹脂により成形されていることを特徴とす
   る、請求項１に記載の光ピックアップ装置。
3. 【請求項３】上記マグネットが、アクチュエータベース
   に対してインサート成形等により、一体に構成されてい
   ることを特徴とする、請求項１または２に記載の光ピッ
   クアップ装置。