JP3482176B2 - 循環型流動層ボイラ - Google Patents

循環型流動層ボイラ

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JP3482176B2 JP2000128380A JP2000128380A JP3482176B2 JP 3482176 B2 JP3482176 B2 JP 3482176B2 JP 2000128380 A JP2000128380 A JP 2000128380A JP 2000128380 A JP2000128380 A JP 2000128380A JP 3482176 B2 JP3482176 B2 JP 3482176B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固気2相を分離さ
せるサイクロンを備えた循環型流動層ボイラに係り、特
に、サイクロンの効率を向上させることで循環型流動層
ボイラの効率を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】砂などを流動材として用いて炉内を循環
させ、炉内温度を一定に保つことで優れた燃焼効率及び
脱硫効率が得られる循環型流動層ボイラにおいては、固
体の流動材と気体の燃焼ガスとを分離させるサイクロン
が必要となる。図9は循環型流動層ボイラを用いた発電
システムの構成図であり、図中の符号1は循環型流動層
ボイラ、2は燃料バンカ、3は添加剤バンカ、4は流動
層型熱交換器、5は対流伝熱部5a、給水加熱部5b、
及び空気予熱器5cよりなる熱交換器、6は集塵装置、
7は蒸気タービン、8は発電機、9は煙突、10は外部
循環型流動床炉(以下流動床炉)、20はサイクロンで
ある。
【0003】この発電システムでは、流動床炉10内で
燃料を燃焼させて発生した燃焼ガスを流動材と共に固気
2相の状態でサイクロン20へ導く。サイクロン20で
は、流動材の砂が主成分である固体と、気体の燃焼ガス
とに分離される。この燃焼ガスはサイクロン20の上部
から熱交換器5に導かれ、対流伝熱部5a及び空気予熱
器5cを通過する際に蒸気及び空気を加熱する。この燃
焼ガスは、集塵装置6へ送られてフライアッシュが除去
された後、煙突9より大気に放出される。一方、流動層
型熱交換器4内には対流伝熱部5aで加熱された蒸気が
供給される。この蒸気は、流動層型熱交換器4により再
加熱され、高温の蒸気となって蒸気タービン7へ送られ
て発電機8を駆動して発電する。
【0004】上述した流動床炉10は矩形断面の縦長柱
状容器であり、その内部である燃焼室11内には、底部
付近に燃料バンカ2及び添加剤バンカ3から燃料及び添
加剤が供給される。さらに、流動床炉10の底面から1
次空気が供給され、側面からは2次空気が供給される。
この結果、流動床炉10内に充填された流動材、底部付
近に供給される燃料及び添加剤は、1次空気と共にたと
えば5〜7m/sec程度の適当な流速で燃焼室10内
を上昇する。この時、たとえば850℃程度の高温に保
たれる流動材と共に上昇する燃料は、2次空気の供給を
得て燃焼し燃焼ガスとなる。また、燃焼ガスが燃焼室1
1内を上昇する過程では石灰や石灰石等の添加剤とも反
応し、燃焼ガスに含まれている硫黄分を除去するいわゆ
る脱硫が行われる。なお、流動材として使用される砂の
平均粒径は、通常0.2〜0.3mm程度である。
【0005】こうして燃焼室11内で燃焼した燃焼ガス
の気体は、主成分が流動材の固体と共に固気2相流とな
り、燃焼室11の上部に設けられた出口開口12からサ
イクロン20へ送られる。出口開口12とサイクロン2
0の入口開口21との間は、サイクロン導入路30によ
って接続されている。そして、サイクロン20内におい
ては、気体である燃焼ガスと固体である流動材とが分離
し、燃焼ガスは上部の出口開口22から熱交換器5へ導
かれ、流動材は底部に落下して流動材出口23から再度
直接燃焼室11内へ導かれるラインと、流動層型熱交換
器4にて熱交換後炉内に戻されるラインに分かれて粒子
が循環している。このように構成された流動層ボイラ1
では、高温の流動材が系内を循環するので炉内温度が全
域にわたってほぼ一定に保たれる。このため、優れた燃
焼効率が得られ、また、燃焼ガスの脱硫を燃焼室11内
で同時に行うことができるという利点を有している。
【0006】また、上述した従来の循環型流動層ボイラ
1では、図10及び図11に示す構成例のように、流動
床炉10に隣接してサイクロン20が設置されている。
すなわち、流動床炉10の側壁に出口開口12を設け
て、サイクロン20の入口開口21との間を最短距離で
直線的に接続するようサイクロン導入路30が配設され
ている。これは、循環型流動層ボイラ1全体の大きさを
コンパクトにするという思想に基づくものであり、サイ
クロン20において十分な回収率が得られる上、敷地面
積や建設コストを低減できるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、サイ
クロン20を備えた従来の循環型流動層ボイラ1におい
ては、プラント全体をできるだけコンパクトにすること
で、設置面積や建設コストを低減することに重点がおか
れてきた。しかしながら、近年は省エネルギの推進や低
公害化を促進することがより一層重要な課題となってき
ている。このような背景から、循環型流動層ボイラ1に
おいてもより一層の高効率化が望まれており、特に、サ
イクロン20の性能を向上させることにより、固体の未
燃焼燃料を効率よく回収して燃焼効率を向上させ、ま
た、固体の未反応カルシウムを効率よく回収して脱硫性
能を向上させることが強く望まれる。
【0008】石炭やコークスなどの固体燃料を使用した
場合、粒子径がある程度大きい未燃焼固体燃料はサイク
ロン20で流動材と共に回収されて再度燃焼室10内に
供給されるのに対して、粒子径の小さい固体燃料はサイ
クロン20での回収率が極めて低い。このため、サイク
ロン20の性能が向上して小さな粒子径の固体燃料でも
回収できるようになると、その分燃焼効率を向上させる
ことができる。また、未反応添加剤についても同様のこ
とがいえ、粒子径が大きいものについては流動材や固体
燃料と共にサイクロン20において回収可能であるが、
粒子径の小さいものについては回収率が極めて低い。こ
のため、サイクロン20の性能が向上して小さな粒子径
の未反応添加剤でも回収できるようになると、その分脱
硫効率を向上させることができるのである。すなわち、
従来構造の循環型流動層ボイラにおいては、サイクロン
20の回収率自体は100パーセントに近い極めて高い
ものであるが、燃焼ガスと共に流出する未回収固体には
粒子径の小さい未燃焼固体燃料や未反応添加剤が高い割
合で含まれている。従って、これを効率よく回収できれ
ば、燃焼効率や脱硫効率がより一層向上することが見込
まれるのである。
【0009】一般に、サイクロン20の性能を向上させ
る有効な手段として、直径をDとしたサイクロン20の
入口助走区間(整流区間)L、すなわちサイクロン導入
路30の入口長さ(直線部分)を長くし、L/Dを大き
な値に設定することが知られている。しかし、上述した
従来構造のままで単に入口助走区間Lを長くすると、サ
イクロン20の位置が流動床炉10から離れてしまうた
め、循環型流動層ボイラ1全体としての設置面積が大き
くなり、コスト面で極めて不利になるという問題が生じ
る。また、サイクロン20が流動床炉10から離れる
と、その支持構造が複雑になったり支持部材の強度を増
す必要が生じるなどして、コストアップの要因になる。
【0010】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、設置面積の増加を伴うことなくサイクロンの性能
を向上させ、循環型流動層ボイラをより一層高効率化す
ることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、以下の手段を採用した。請求項1に記載の
循環型流動層ボイラは、流動材が循環する燃焼室内に燃
料を供給して燃焼させる外部循環型流動床炉と、該外部
循環型流動床炉に接続され主として流動材の固体から燃
焼ガスの気体を分離させる左右一対のサイクロンとを具
備してなる循環型流動層ボイラにおいて、主として前記
流動材及び燃焼ガスよりなる固気2相流を前記外部循環
型流動床炉から前記サイクロンへ導くサイクロン導入路
が、前記外部循環型流動床炉と前記サイクロンとの間に
設けられた間隙部分と、前記外部循環型流動床炉の外壁
である側壁に沿わせた部分とにより構成され、前記サ
イクロン導入路を前記側壁の中央に配置した出口開口に
接続すると共に前記側壁に沿って左右に振り分けて設け
ことを特徴とするものである。
【0012】このような循環型流動層ボイラによれば、
サイクロン導入路が、外部循環型流動床炉とサイクロン
との間に設けられた間隙部分と、外部循環型流動床炉の
外壁面である側面に沿わせた部分とにより構成されてい
るので、全体の設置面積をほとんど増すことなく入口助
走区間Lを長くして、サイクロンの性能を向上させるこ
とが可能になる。このため、従来はほとんど回収できな
かった粒子径の小さい個体についても、その回収率を向
上させることができるようになる。
【0013】請求項2に記載の循環型流動層ボイラは、
流動材が循環する燃焼室内に燃料を供給して燃焼させる
外部循環型流動床炉と、該外部循環型流動床炉に接続さ
れ主として流動材の固体から燃焼ガスの気体を分離させ
る左右一対のサイクロンとを具備してなる循環型流動層
ボイラにおいて、主として前記流動材及び燃焼ガスより
なる固気2相流を前記外部循環型流動床炉から前記サイ
クロンへ導くサイクロン導入路が、前記外部循環型流動
床炉と前記サイクロンとの間に設けられた間隙部分と、
前記外部循環型流動床炉の外壁面である側壁に沿わせた
部分とにより構成され、前記サイクロン導入路を互いに
対向する側壁にそれぞれ配置した出口開口に接続すると
共に、それぞれの側壁に沿って左右逆向きに設けたこと
を特徴とするものである。この場合、前記サイクロン導
入路が前記側壁の全長にわたって設けられることが好ま
しい。このような循環型流動層ボイラとしても、サイク
ロン導入路が、外部循環型流動床炉とサイクロンとの間
に設けられた間隙部分と、外部循環型流動床炉の外壁面
である側面に沿わせた部分とにより構成されているの
で、全体の設置面積をほとんど増すことなく入口助走区
間Lを長くして、サイクロンの性能を向上させることが
可能になる。このため、従来はほとんど回収できなかっ
た粒子径の小さい個体についても、その回収率を向上さ
せることができるようになる。また、上記請求項1及び
2に記載の循環型流動層ボイラにおいては、前記サイク
ロン導入路の前記出口開口に対向する壁面に膨出部を設
けることにより、滑らかな流路を形成するとよい。
【0014】請求項5に記載の循環型流動層ボイラは、
流動材が循環する燃焼室内に燃料を供給して燃焼させる
外部循環型流動床炉と、該外部循環型流動床炉に接続さ
れ主として流動材の固体から燃焼ガスの気体を分離させ
るサイクロンとを具備してなる循環型流動層ボイラにお
いて、主として前記流動材及び燃焼ガスよりなる固気2
相流を前記外部循環型流動床炉から前記サイクロンへ導
くサイクロン導入路が、前記外部循環型流動床炉と前記
サイクロンとの間に設けられた間隙部分と、前記外部循
環型流動床炉の外壁面である上壁に沿わせた部分とによ
り構成されていることを特徴とするものである。 このよ
うな循環型流動層ボイラとしても、サイクロン導入路
が、外部循環型流動床炉とサイクロンとの間に設けられ
た間隙部分と、外部循環型流動床炉の外壁面である上壁
に沿わせた部分とにより構成されているので、全体の設
置面積をほとんど増すことなく入口助走区間Lを長くし
て、サイクロンの性能を向上させることが可能になる。
このため、従来はほとんど回収できなかった粒子径の小
さい個体についても、その回収率を向上させることがで
きるようになる。そして、前記サイクロンを左右一対設
け、前記サイクロン導入路を前記上壁の中央に配置した
出口開口に接続すると共に、前記上壁に沿って左右に振
り分けて設けるとよい。あるいは、前記サイクロンを左
右一対設け、前記サイクロン導入路を前記上壁の左右側
壁近傍にそれぞれ配置した出口開口に接続して、それぞ
れのサイクロン導入路が上壁に沿って横断するように設
けるとよく、この場合、前記出口開口が対角位置にある
ことが好ましい。また、上記循環型流動層ボイラにおい
ては、前記サイクロン導入路の前記出口開口に対向する
壁面に膨出部を設けることにより、滑らかな流路を形成
するとよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る循環型流動層
ボイラの一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1
に示す循環型流動層ボイラの第1の実施形態において、
(a)は要部を示す平面図、(b)は(a)のA−A線
に沿う断面図である。この循環型流動層ボイラ1は、外
部循環型流動床炉(以下流動床炉)10とサイクロン2
0とを具備して構成される。このうち、流動床炉10
は、砂などの流動材が循環する燃焼室11内に燃料及び
空気を供給して燃焼させる炉であり、長辺a及び短辺b
よりなる矩形断面を有する縦長の柱状容器となってい
る。流動床炉10の側壁13には、主として流動材及び
燃焼ガスよりなる固気2相流をサイクロン20へ送出す
る出口開口14が設けられている。この出口開口14は
側壁13の上部中央に配設されるが、好ましくは矩形断
面の長辺a側となる側壁を利用して設ければよい。な
お、出口開口14の開口面積については、固気2相流が
適当な流速となるよう考慮して決められる。
【0016】出口開口14の外側には、固気2相流を流
動床炉10からサイクロン20へ導くための流路として
サイクロン導入路30が側壁13に沿って設けられてい
る。このサイクロン導入路30は、出口開口14から左
右に振り分けられ、流動床炉10の左右に隣接して一対
設けられたサイクロン20の入口開口21にそれぞれ直
線的に接続されている。従って、サイクロン20の位置
は、流動床炉10の外壁に沿って設けられた直線状のサ
イクロン導入路30が入口開口21にスムーズに接続さ
れるようにすればよい。また、流動床炉10の短辺b側
の側壁との間には、間隙Sが設けられている。この間隙
Sは、サイクロン20の回収効率を上げるためには大き
くするのが好ましいのであるが、同時に循環型流動層ボ
イラのコンパクト化や低コスト化を妨げることにもなる
ため、状況に応じた最適値を適宜決定すればよい。
【0017】この結果、流動床炉10の出口開口14と
サイクロン20の入口開口21との間は、その一部が側
壁13に沿う直線状のサイクロン導入路30によって接
続され、長さL1の入口助走区間が形成される。なお、
サイクロン導入路30は直線とするのが最適ではある
が、曲率の小さな緩やかな曲線としてもよい。
【0018】このような構成とすれば、流動床炉10と
サイクロン20との間に大きな間隙Sを設けなくても従
来より長い助走区間L1を形成することができる。具体
的には、間隙Sを図11の助走区間Lと同じ(S=L)
にした場合、サイクロン導入路30の断面積分だけ流動
床炉10の外側に膨出するものの、サイクロン20の位
置を幅拡大方向に変更しなくてすむため、循環型流動層
ボイラの設置面積はほとんど同じにすることができる。
また、サイクロン導入路30の少なくとも一部が側壁1
3に沿うものであるから、その支持等を簡単な構造で容
易に行うことができ、コスト面でも有利になる。なお、
サイクロン20を4基設置する場合には、出口開口14
を両方の長辺aに開口し同様のサイクロン導入路30を
側壁に沿って設ければよい。
【0019】図2に示した循環型流動層ボイラは、第1
の実施形態として図1に示したものの変形例である。こ
の変形例では、サイクロン導入路30の出口開口14と
対向する壁面に膨出部31を設けてある。この膨出部3
1により、流動床炉30から流出する固気2相流は90
度の急激な方向転換をしなくてすむ。このため、スムー
ズな方向転換が可能になり、流れの乱れが低減されるこ
とで助走区間における整流を容易にする。なお、図示の
膨出部31は直線を組み合わせた断面形状となっている
が、曲線の壁面により膨出部31を形成してもよい。
【0020】図3は循環型流動層ボイラの第2の実施形
態を示すもので、流動床炉10の左右に一対のサイクロ
ン20を設け、側壁13に沿ってサイクロン導入路30
を設ける点は同様である。しかし、この実施形態では、
互いに対向する側壁13にそれぞれ出口開口14a,1
4bが設けられ、これらの出口開口14a,14bとサ
イクロン20の入口開口21とを接続する2本のサイク
ロン導入路30がそれぞれの側壁13に沿って設けられ
ている。この場合、それぞれの出口開口14a,14b
をサイクロン導入路30を介して実際に接続する側のサ
イクロン20から遠い端部位置に配設し、サイクロン導
入路30を側壁13の全長にわたって設けるようにすれ
ば、より長い助走区間L2を得ることができる。なお、
この場合のサイクロン導入路30においても、図2に示
すように、出口開口と対向する壁面に膨出部を設けて、
固気2相流のスムーズな方向転換を可能にしてもよい。
【0021】図4は循環型流動層ボイラの第3の実施形
態を示すものである。この実施形態は、流動床炉10の
上壁15に出口開口14を設けてあり、左右一対あるサ
イクロン20の入口開口21との間を左右に振り分け上
壁15に沿わせたサイクロン導入路30で接続した点が
異なっている。この場合、出口開口14は上壁15にお
ける長辺aの中央部に配置するのが好ましく、図1に示
す第1の実施形態と同様に、延長された助走区間L1を
得ることができる。また、サイクロン導入路30を上壁
15に沿わせて設けることで、設置面積が増すのを防ぐ
ことができ、しかも、側壁13に沿わせたものより上壁
15の存在により支持構造が容易になる。なお、この場
合のサイクロン導入路30についても、図5に示す変形
例のように出口開口と対向する壁面に膨出部31を設け
て、固気2相流のスムーズな方向転換を可能にしてもよ
い。
【0022】図6は循環型流動層ボイラの第4の実施形
態を示すもので、流動床炉10の左右に一対のサイクロ
ン20を設け、上壁15に沿ってサイクロン導入路30
を設ける点は同様である。しかし、この実施形態では、
2本のサイクロン導入路30を上壁15に沿って設け、
同上壁15の左右側壁である短辺bの近傍にそれぞれ配
置した出口開口14a,14bに一端を接続してある。
サイクロン導入路30の他端は上壁15に沿って流動床
炉10を横断し、サイクロン20の入口開口21に接続
される。この場合、好適には二つの出口開口14a,1
4bを上壁15の対角位置にそれぞれ配置して、長辺a
を最大限有効に利用することでより長い助走区間L2を
得るとよい。ここで、対角位置とは必ずしも上壁15の
長辺aと短辺bとが交わる位置に限定されるものではな
い。なお、この場合のサイクロン導入路30において
も、図5に示すように、出口開口と対向する壁面に膨出
部を設けて、固気2相流のスムーズな方向転換を可能に
してもよい。
【0023】上述したような構成としてサイクロン導入
路30の助走区間Lを長くすると、図7に示すように、
サイクロン効率を向上させることができる。ここで、D
はサイクロン20の直径であり、助走区間Lを長くして
L/Dの値が大きくなると、サイクロン効率が向上する
ことが分かる。また、図8に示す粒子径と部分回収効率
との関係を見ると、L/Dの値が大きくなれば粒子径の
小さいものでも効率よく回収できることが分かる。特
に、粒子径が大きい場合にはL/D値に係わらず100
%またはそれに近い回収率を得られるが、粒子径が小さ
くなるとL/D値の大きいものほど回収率が高いことが
示されている。これは、循環型流動層ボイラ1におい
て、従来回収率の低かった未燃固体燃料粒子や未反応カ
ルシウム粒子の回収率が高まることを意味している。換
言すれば、集塵装置6で回収されてフライアッシュと共
に廃棄される量が減少することを意味している。ここ
で、未燃固体燃料とは石炭やコークスなどを意味してい
る。
【0024】このように未燃固体燃料や未反応カルシウ
ムの回収率が向上すると、回収された未燃固体燃料及び
未反応カルシウムは流動床炉10の燃焼室11に再度供
給されて燃焼または脱硫に寄与することができるため、
循環型流動層ボイラとしての燃焼効率を向上させ、ま
た、脱硫効率をも向上させることができる。なお、石油
などの液体燃料を使用する循環型流動層ボイラの場合に
は、サイクロン20の効率向上が燃焼効率の向上に寄与
することはないものの、未反応カルシウムの回収率向上
により脱硫効率を向上させることができる。また、未燃
固体燃料や未反応カルシウムの回収率が高いと、燃焼ガ
スと共に熱交換器5を通過する際に伝熱管などに付着し
て汚れの原因となる可能性が低下するので、メンテナン
ス間隔を長くして運転できるという利点もある。
【0025】なお、出口開口14の位置については、上
述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば側
壁13や上壁15の中央以外にも適宜設けることが可能
であり、また、サイクロン導入路30を長辺aに沿って
配置するだけではなく、最大長さは短くなるものの、短
辺bに沿って配置してもよい。
【0026】
【発明の効果】上述した本発明の循環型流動層ボイラに
よれば、設置面積をほとんどあるいは全く増すことなく
サイクロンの助走区間を長くすることが可能になるの
で、サイクロン効率を向上させて粒子径の小さい未燃燃
料や未反応カルシウムを高い割合で回収することができ
る。このため、循環型流動層ボイラの燃焼効率や脱硫効
率を向上させることができ、省エネルギや低公害化の促
進に大きな効果を奏する。また、設置面積を増すことな
助走区間を長くし、しかも、サイクロン導入路を簡単な
支持構造で支持することが可能になるので、コスト面で
も有利になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る循環型流動層
ボイラ要部を示す図で、(a)は平面図、(b)は
(a)のA−A断面図である。
【図2】 図1に示した第1の実施形態の変形例を示す
平面図である。
【図3】 本発明の第2の実施形態に係る循環型流動層
ボイラ要部を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面
図である。
【図4】 本発明の第3の実施形態に係る循環型流動層
ボイラ要部を示す図で、(a)は平面図、(b)は
(a)のB−B断面図である。
【図5】 図4に示した第3の実施形態の変形例を示す
平面図である。
【図6】 本発明の第4の実施形態に係る循環型流動層
ボイラ要部を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面
図である。
【図7】 サイクロン直径に対する入口長さ(L/D)
とサイクロン効率との関係を示す図である。
【図8】 粒子径と部分回収効率との関係を示す図であ
る。
【図9】 循環型流動層ボイラを用いた発電システムの
構成図である。
【図10】 従来の循環型ボイラの構成例を示す斜視図
である。
【図11】 従来の循環型流動層ボイラ要部を示す図
で、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C断面図で
あるである。
【符号の説明】
1 循環型流動層ボイラ 10 外部循環型流動床炉(流動床
炉) 11 燃焼室 12 出口開口 13 側壁 14,14a,14b 出口開口 15 上壁 20 サイクロン 21 入口開口 30 サイクロン導入路 31 膨出部 L,L1,L2 助走区間 S 間隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F27D 17/00 105 F27D 17/00 105G F23C 11/02 311 (56)参考文献 特開 平4−217702(JP,A) 特開 平5−340510(JP,A) 特開 平3−286914(JP,A) 特開 平6−229513(JP,A) 特開 昭63−220008(JP,A) 実開 平4−49715(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23C 10/02 B01J 8/22 B04C 5/24 F27B 15/12 F27D 17/00 101 F27D 17/00 105

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動材が循環する燃焼室内に燃料を供給
    して燃焼させる外部循環型流動床炉と、該外部循環型流
    動床炉に接続され主として流動材の固体から燃焼ガスの
    気体を分離させる左右一対のサイクロンとを具備してな
    る循環型流動層ボイラにおいて、 主として前記流動材及び燃焼ガスよりなる固気2相流を
    前記外部循環型流動床炉から前記サイクロンへ導くサイ
    クロン導入路が、前記外部循環型流動床炉と前記サイク
    ロンとの間に設けられた間隙部分と、前記外部循環型流
    動床炉の外壁面である側壁に沿わせた部分とにより構成
    され、前記サイクロン導入路を前記側壁の中央に配置し
    た出口開口に接続すると共に前記側壁に沿って左右に振
    り分けて設けたことを特徴とする循環型流動層ボイラ。
  2. 【請求項2】 流動材が循環する燃焼室内に燃料を供給
    して燃焼させる外部循環型流動床炉と、該外部循環型流
    動床炉に接続され主として流動材の固体から燃焼ガスの
    気体を分離させる左右一対のサイクロンとを具備してな
    る循環型流動層ボイラにおいて、 主として前記流動材及び燃焼ガスよりなる固気2相流を
    前記外部循環型流動床炉から前記サイクロンへ導くサイ
    クロン導入路が、前記外部循環型流動床炉と前記サイク
    ロンとの間に設けられた間隙部分と、前記外部循環型流
    動床炉の外壁面である側壁に沿わせた部分とにより構成
    され、前記サイクロン導入路を互いに対向する側壁にそ
    れぞれ配置した出口開口に接続すると共に、それぞれの
    側壁に沿って左右逆向きに設けたことを特徴とする循環
    型流動層ボイラ。
  3. 【請求項3】 前記サイクロン導入路が前記側壁のほぼ
    全長にわたって設けられたことを特徴とする請求項2記
    載の循環型流動層ボイラ。
  4. 【請求項4】 前記サイクロン導入路の前記出口開口に
    対向する壁面に膨出部を設けたことを特徴とする請求項
    1から3のいずれかに記載の循環型流動層ボイラ。
  5. 【請求項5】 流動材が循環する燃焼室内に燃料を供給
    して燃焼させる外部循環型流動床炉と、該外部循環型流
    動床炉に接続され主として流動材の固体から燃焼ガスの
    気体を分離させるサイクロンとを具備してなる循環型流
    動層ボイラに おいて、 主として前記流動材及び燃焼ガスよりなる固気2相流を
    前記外部循環型流動床炉から前記サイクロンへ導くサイ
    クロン導入路が、前記外部循環型流動床炉と前記サイク
    ロンとの間に設けられた間隙部分と、前記外部循環型流
    動床炉の外壁面である上壁に沿わせた部分とにより構成
    されていることを特徴とする循環型流動層ボイラ。
  6. 【請求項6】 前記サイクロンを左右一対設け、前記サ
    イクロン導入路を前記上壁の中央に配置した出口開口に
    接続すると共に、前記上壁に沿って左右に振り分けて設
    けたことを特徴とする請求項5記載の循環型流動層ボイ
    ラ。
  7. 【請求項7】 前記サイクロンを左右一対設け、前記サ
    イクロン導入路を前記上壁の左右側壁近傍にそれぞれ配
    置した出口開口に接続して、それぞれのサイクロン導入
    路が上壁に沿って横断するように設けられたことを特徴
    とする請求項5記載の循環型流動層ボイラ。
  8. 【請求項8】 前記出口開口が対角位置にあることを特
    徴とする請求項7記載の循環型流動層ボイラ。
  9. 【請求項9】 前記サイクロン導入路の前記出口開口に
    対向する壁面に膨出部を設けたことを特徴とする請求項
    6から8のいずれかに記載の循環型流動層ボイラ。
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