JP3481710B2 - 光導波路体の製造方法 - Google Patents
光導波路体の製造方法Info
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- JP3481710B2 JP3481710B2 JP01480995A JP1480995A JP3481710B2 JP 3481710 B2 JP3481710 B2 JP 3481710B2 JP 01480995 A JP01480995 A JP 01480995A JP 1480995 A JP1480995 A JP 1480995A JP 3481710 B2 JP3481710 B2 JP 3481710B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信および光情報処
理分野等において使用される光導波路体に関し、特に単
一の導波路が複数の導波路に分岐するような分岐導波路
を有する光導波路体の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、光通信システムや光情報処理シス
テムの実用化が進むにつれ、さらに大容量の光信号を処
理することができ、且つ高機能を有するシステムが要求
されるようになっている。これらシステムの実現には、
光機能素子を集積した光集積回路が不可欠であり、例え
ばプレーナー技術を用いて、ニオブ酸リチウム(LiN
bO3;以下、LNともいう)等の単結晶の機能性材料
基板上に、直線導波路、曲がり導波路、分岐導波路、制
御電極、その他を集積(光集積回路)化することが盛ん
に研究されている。 【0003】ところで、この種の導波路型光制御デバイ
スにおいて、導波光のパワー損失をいかに低減できるか
が実用化を図る上で大きな課題の一つとなっており、特
に導波路どうしが挟角を成す分岐部を持つ分岐導波路に
おける損失(導波光の分岐もしくは合波による損失)
は、デバイス全体の損失に対して大きな割合を占めるた
め、このような損失のできるだけ低い光導波路体が切望
されている。 【0004】例えば図8に示すように、電気光学効果を
有するLNの基体11の表層部に、チタン(Ti)を拡
散させて形成した分岐導波路12を設けた光導波路体G
1が知られている。これは、分岐導波路12上に変調用
電極を設けて、この変調用電極に所定の電圧を印加する
ことによって駆動させるマッハツェンダー干渉計等によ
く用いられるものであり、この分岐導波路12は単一の
直線導波路13と、これより分岐する2本の直線導波路
14,15とから構成され、これら3本の直線導波路を
互いに交差させたY字形状の最も基本的なものである。 【0005】ここで、直線導波路13を通過する光波
は、互いに挟角を成す2本の直線導波路14,15の分
岐開始点16から挟角部17まで徐々に幅が広がるテー
パー部(変移領域)18において、図7(a)〜(c)
に示すごとくに導波路の各断面でのモードフィールド径
が徐々に広がるとともに、挟角部17においてはモード
形状の中央が大きく凹む形状となり、光波のパワーが徐
々に2本の直線導波路14,15側に分離されて、光波
の分岐が生じる。 【0006】2本の直線導波路14,15によって形成
される挟角部17の領域Rは、実際の製造プロセスにお
いては微細加工精度に限界があるので、導波路の拡散源
となるTi等の金属薄膜を本来付着させない領域に付着
が生じた領域である。このように、理想的なパターン形
状(なお、図8の導波路の実線部分は理想的な導波路形
状を示す)と比較して鈍り(金属薄膜が付着した領域
R)が生ずる。この鈍りはモード形状の急激な変動を起
こさせ、ひいては導波光の大きなパワー損失となるの
で、鈍りが生ずるのを極力防止しなければならない。 【0007】そこで、このような鈍りを防ぐ方法とし
て、図6に示すような分岐導波路12を有する光導波路
体G2が提案されている。すなわち、テーパー部18を
形成する箇所において、図に示したような矩形状の切り
欠き領域19を形成した金属薄膜の被着形成を行い、こ
の金属薄膜でもって熱拡散を行わせるのである。このよ
うにすることによって、分岐開始点16の近傍からテー
パー部18の終端(挟角部17)までの間、モード形状
が徐々に中央が凹むように変換させる導波路を形成する
ことができ、モード形状の急激な変化によるパワー損失
を低減しようとしたものである(特公平6−21889
号公報等を参照)。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成でもモード形状の中央部に現れる凹みの急激な
変化を極力改善したものではなかった。従来の拡散型の
分岐導波路では、基体11の外表部に残る拡散源領域の
形状ほどに内部の拡散濃度分布が急激に変化しているわ
けではなく、単一の導波路が2つの導波路に分かれる直
線導波路14,15が互いに近接する領域では、双方の
拡散源から拡散元素が輸送され、光波の伝搬方向側にい
くに従い、拡散濃度はいったん増加後、導波路の中央部
において徐々に低減し、図9(a)〜(c)に示すよう
に、最大屈折率の変化も拡散元素の無い基体11の屈折
率n1に対して、最大屈折率がn2→n3→n4という
具合に徐々に大きくなっていくとともに、導波路の中央
部においては挟角部17では低減する。 【0009】このため、導波光がA−A′領域からB−
B′領域に伝搬する間に、導波光のスポットサイズが小
さくなり、光波のエネルギーが導波路中央部に集中する
結果、直線導波路14,15の各々に光波のエネルギー
を充分に分配できず大きな損失となる。 【0010】また、図6の光導波路体G2では矩形状の
切り欠き領域19において、テーパー部17の中央の拡
散源が間引かれるので、図8の光導波路体G1と比較す
ると拡散源のテーパー部18の広がりに対し、内部の導
波路幅および導波路厚も若干広がるため、光波の分配が
よりスムーズに行われるが、テーパー部17の導波路幅
および導波路厚の最適な形状を与えるものではなく、光
波のパワー損失の低減も十分なものではなかった。 【0011】本発明は上記従来の問題を解消するために
提案されたものであり、その目的は光波のパワー損失を
極力低減できる優れた光導波路体の製造方法を提供する
ことにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の光導波路体の製造方法は、電気光学効果を
有する基体上に金属膜を被着させ、しかる後に該金属膜
の構成元素を前記基体中に熱拡散させて、直線導波路
と、該直線導波路の幅が広がる変移領域および該変移領
域に連続した分岐領域から成る分岐導波路とを形成する
光導波路体の製造方法であって、前記金属膜に、前記変
移領域となる部位で光波伝搬方向に対しほぼ平行に、中
央部に形成した第1の切り欠き、該第1の切り欠きの左
右両側に形成した第2の切り欠きおよび第3の切り欠き
を設けて、前記第1の切り欠き、前記第2の切り欠きお
よび前記第3の切り欠きの長さを調整することにより、
前記変移領域における最大屈折率の変化を前記光波伝搬
方向に沿って等しくなるようにしたことを特徴とする。 【0013】 【作用】上記構成の光導波路体の製造方法によれば、単
一の光導波路を伝搬する光波が複数に分岐する導波路に
移る際に、導波路どうしで形成される挟角部においても
光波のエネルギーが分岐する導波路に効率よく分配さ
れ、光波のパワー損失を極力低減できる。 【0014】 【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面に基
づき説明する。まず、図1に示すような、基体1の表層
に分岐導波路2(変移領域とこれに続く分岐領域とから
成る)が形成された光導波路体Gの製造方法について説
明する。 【0015】両面が光学研磨された厚さ約1.0mm程
度のオプティカルグレイドのLN単結晶の基体1(Zカ
ット;カット面が(001)面)上に、リフトオフ法も
しくはエッチング法でもって拡散源となるTi薄膜を被
着形成し、しかる後に熱拡散を行い、Ti濃度の高い分
岐導波路2を形成する。その後、分岐導波路2上に変調
用電極(不図示)を蒸着等により形成して光導波路体G
を完成させる。 【0016】導波路の拡散源となる金属膜である薄膜パ
ターンの具体的な被着形成方法は以下の通りである。基
体1上に、幅が6〜14μm、膜厚約1000Å程度の
Tiの所定の分岐導波路になる位置に薄膜パターンを形
成するが、図1に示す単一の直線導波路3から挟角を成
す2本の分岐領域となる直線導波路4,5に分かれる変
移領域8(分岐開始点6から挟角部7との間)およびそ
の近傍に相当する領域においては、光波の伝搬方向にほ
ぼ沿うような態様で、約1μmのピッチで複数条の微細
な矩形状を成す切り欠きパターン9のごとくな形状に形
成する。ここで、この微細なパターンはdeepUVの
密着式露光により作製する。このような薄膜パターンを
形成させた状態で、約1000℃に加熱した炉内で約1
0時間程度、熱拡散を行い、Tiが拡散した部分に分岐
導波路2を形成させるのである。 【0017】上記の拡散源となる薄膜パターンを用い、
且つ上記導波路形成方法により作製された分岐導波路は
変移領域8およびその近傍で、光波伝搬方向に滑らかに
屈折率が変化していく。このことは、分岐導波路を伝搬
する導波光のモード形状が十分緩慢に変化していくこと
により、導波光のパワーに一部が放射モードに変換され
ることを防止している。ただ、変移領域およびその近傍
に複数の切り欠きパターンを設ける際、この複数の切り
欠きパターンの切り欠きの程度(分岐開始点6から切り
欠き終端の距離)が分岐導波路を光波が伝搬する際の分
岐部による損失(以下、分岐損失という)の大きさに関
係する。 【0018】本実施例においては、簡単のため3本の切
り欠きパターンを変移領域およびその近傍に配設し、切
り欠き程度(図1におけるL1;直線導波路3の中心線
の延長上に形成した第1の切り欠き10の分岐開始点6
からの距離,L2;第1の切り欠き10の左右両側に形
成した第2,第3の切り欠き11,12の分岐開始点6
からの距離)と分岐損失の関係を調査した結果を示す。
以下に示す結果は、単一の導波路が分岐部を介し、平行
な2本の導波路になったときの2本の導波路間の距離
(以下、分岐幅という)を30μm、単一の導波路が分
岐する点と分岐した2本の導波路が平行になる所の間の
距離(以下、分岐部長という)を1000μmとしたと
きの値である。 【0019】図3はL2=160μmに固定し、L1を
パラメータとしたときの分岐損失との相関を示したグラ
フである。L1を大きくするに従って、分岐損失は増大
する。この現象の理由は、第1切り欠き10を短くする
ことにより、第1の切り欠き10の終端を導波光が伝搬
するとき、光波の感じる屈折率が不連続に増大し、急激
に導波光のモード形状が変化するため、導波光のパワー
の一部が放射モードに変換され、導波路から漏洩してい
くためと考えられる。一方、L1を小さくするに従って
も、分岐損失は若干ではあるが増加している。この理由
は、第1の切り欠き10を長くすることにより、分岐開
始点6の近傍の屈折率が減少し、導波光を十分閉じ込め
ることができなくなったためと考えることができる。 【0020】図4は、さらにL1=30μmに固定し、
L2をパラメータとしたときの分岐損失との相関を示し
たグラフである。特に、図4は図3のグラフと比較し
て、L2が分岐損失に敏感であることがわかる。図4の
グラフが凹状を呈しているのは、おおむね上記図3のグ
ラフの傾向に対しての考察と同様である。 【0021】これら図3および図4の結果は、変移領域
およびその近傍に切り欠き領域を設ける際には、上記パ
ラメータは最適値が存在し、これらパラメータを最適化
することによって分岐損失の低損失を図ることができる
ことを示す。そして、これら構造の最適化を行なうこと
によって0.04dBまで分岐損失を低減することがで
きたのである。 【0022】上記の分岐部変移領域およびその近傍の拡
散源となる薄膜パターンにおいて、微細な切り欠きパタ
ーンを設けることは、拡散元素の熱拡散により導波路が
形成される導波路作製手段に主眼が置かれている。熱拡
散を行なうことにより、拡散元素は導波路が形成される
基板の深さ方向および表面方向に同時に拡散するが、こ
のことは、拡散源となる薄膜パターンにより微細構造を
形成したときは、ストライプ状構造を有するが、熱拡散
を行った後では、このような不連続な構造は消失し、滑
らかなTi拡散元素濃度分布すなわち滑らかな屈折率分
布構造を有することを意味する。 【0023】なお、この切り欠きパターンは、図5に示
すように光波の分岐する直線導波路4,5における光波
伝搬方向にほぼ直交する方向に形成させてもよく、ま
た、この幅はできるだけ狭く本数を多くした方が滑らか
な拡散濃度分布を形成させることができ、モード形状を
滑らかに変換できると思われる。 【0024】このように、本実施例では変移領域8およ
びその近傍において、切り欠きパターンを有する薄膜パ
ターンでもって熱拡散を行わせ、分岐導波路2を形成さ
せたので、変移領域8の終端に位置する挟角部7におい
ても、スポット径が光導波路体G2より広がり、直線導
波路3から分岐した直線導波路4,5へ光波の伝搬が効
率よく行われ、分岐による損失も大きく低減したのであ
る。 【0025】この理由は、図2(a)〜(c)に示すよ
うに、光導波路体Gの変移領域8およびその近傍におい
て、光波伝搬方向に直交する断面の最大屈折率の変化
は、光波伝搬方向に沿ってほぼ等しく、n5≒n6≒n
7(約5×10−3以下程度の変化)となり、このため
変移領域8にてスポット径が徐々に広がり、挟角部7に
てスポット中央部の凹みを徐々に生じさせ、直線導波路
14,15に効率よく光波のエネルギーを分配すること
ができるからである。なお、図2において一点鎖線は光
導波路体G2(図6;切り欠き部の幅は約2μm)の結
果を示す。 【0026】なお、本実施例では光導波路をLN単結晶
の基体表層に形成させたものを一実施例として説明した
が、これに限定されるものではなく、基板として例えば
タンタル酸リチウム等の電気光学効果を有するものであ
ればよく、また光導波路を基体上にリブ状に形成したも
の等各種周知の形態の光導波路に適用できることはいう
までもない。また、電極を設けない光分岐路にも充分に
適用が可能であり、さらに、光導波路の変移領域におけ
る最大屈折率の変化をほぼ等しくする方法は上記実施例
に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない
範囲内で適宜変更し実施し得る。 【0027】 【発明の効果】以上のように、本発明の光導波路体の製
造方法によれば、直線導波路が複数の導波路に分岐する
間の変移領域において、光波伝搬方向に直交する断面の
最大屈折率が光波伝搬方向に沿って等しくなるので、光
波のエネルギーが効率よく分岐され光波のパワー損失を
極力低減できるデバイス特性の優れた光導波路体を提供
できる。また、金属膜の構成元素を基体中に熱拡散させ
て、光波伝搬方向に幅が変化する変移領域とこの変移領
域に続く分岐領域とから成る分岐導波路を形成する場合
に、分岐導波路の変移領域となる部位の金属膜に、光波
伝搬方向に対しほぼ平行な複数条の切り欠きを形成せし
めるといった、きわめて簡便な方法で、光波のエネルギ
ーが効率よく分岐され光波のパワー損失を極力低減でき
るデバイス特性の優れた光導波路体を提供できる。
理分野等において使用される光導波路体に関し、特に単
一の導波路が複数の導波路に分岐するような分岐導波路
を有する光導波路体の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、光通信システムや光情報処理シス
テムの実用化が進むにつれ、さらに大容量の光信号を処
理することができ、且つ高機能を有するシステムが要求
されるようになっている。これらシステムの実現には、
光機能素子を集積した光集積回路が不可欠であり、例え
ばプレーナー技術を用いて、ニオブ酸リチウム(LiN
bO3;以下、LNともいう)等の単結晶の機能性材料
基板上に、直線導波路、曲がり導波路、分岐導波路、制
御電極、その他を集積(光集積回路)化することが盛ん
に研究されている。 【0003】ところで、この種の導波路型光制御デバイ
スにおいて、導波光のパワー損失をいかに低減できるか
が実用化を図る上で大きな課題の一つとなっており、特
に導波路どうしが挟角を成す分岐部を持つ分岐導波路に
おける損失(導波光の分岐もしくは合波による損失)
は、デバイス全体の損失に対して大きな割合を占めるた
め、このような損失のできるだけ低い光導波路体が切望
されている。 【0004】例えば図8に示すように、電気光学効果を
有するLNの基体11の表層部に、チタン(Ti)を拡
散させて形成した分岐導波路12を設けた光導波路体G
1が知られている。これは、分岐導波路12上に変調用
電極を設けて、この変調用電極に所定の電圧を印加する
ことによって駆動させるマッハツェンダー干渉計等によ
く用いられるものであり、この分岐導波路12は単一の
直線導波路13と、これより分岐する2本の直線導波路
14,15とから構成され、これら3本の直線導波路を
互いに交差させたY字形状の最も基本的なものである。 【0005】ここで、直線導波路13を通過する光波
は、互いに挟角を成す2本の直線導波路14,15の分
岐開始点16から挟角部17まで徐々に幅が広がるテー
パー部(変移領域)18において、図7(a)〜(c)
に示すごとくに導波路の各断面でのモードフィールド径
が徐々に広がるとともに、挟角部17においてはモード
形状の中央が大きく凹む形状となり、光波のパワーが徐
々に2本の直線導波路14,15側に分離されて、光波
の分岐が生じる。 【0006】2本の直線導波路14,15によって形成
される挟角部17の領域Rは、実際の製造プロセスにお
いては微細加工精度に限界があるので、導波路の拡散源
となるTi等の金属薄膜を本来付着させない領域に付着
が生じた領域である。このように、理想的なパターン形
状(なお、図8の導波路の実線部分は理想的な導波路形
状を示す)と比較して鈍り(金属薄膜が付着した領域
R)が生ずる。この鈍りはモード形状の急激な変動を起
こさせ、ひいては導波光の大きなパワー損失となるの
で、鈍りが生ずるのを極力防止しなければならない。 【0007】そこで、このような鈍りを防ぐ方法とし
て、図6に示すような分岐導波路12を有する光導波路
体G2が提案されている。すなわち、テーパー部18を
形成する箇所において、図に示したような矩形状の切り
欠き領域19を形成した金属薄膜の被着形成を行い、こ
の金属薄膜でもって熱拡散を行わせるのである。このよ
うにすることによって、分岐開始点16の近傍からテー
パー部18の終端(挟角部17)までの間、モード形状
が徐々に中央が凹むように変換させる導波路を形成する
ことができ、モード形状の急激な変化によるパワー損失
を低減しようとしたものである(特公平6−21889
号公報等を参照)。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成でもモード形状の中央部に現れる凹みの急激な
変化を極力改善したものではなかった。従来の拡散型の
分岐導波路では、基体11の外表部に残る拡散源領域の
形状ほどに内部の拡散濃度分布が急激に変化しているわ
けではなく、単一の導波路が2つの導波路に分かれる直
線導波路14,15が互いに近接する領域では、双方の
拡散源から拡散元素が輸送され、光波の伝搬方向側にい
くに従い、拡散濃度はいったん増加後、導波路の中央部
において徐々に低減し、図9(a)〜(c)に示すよう
に、最大屈折率の変化も拡散元素の無い基体11の屈折
率n1に対して、最大屈折率がn2→n3→n4という
具合に徐々に大きくなっていくとともに、導波路の中央
部においては挟角部17では低減する。 【0009】このため、導波光がA−A′領域からB−
B′領域に伝搬する間に、導波光のスポットサイズが小
さくなり、光波のエネルギーが導波路中央部に集中する
結果、直線導波路14,15の各々に光波のエネルギー
を充分に分配できず大きな損失となる。 【0010】また、図6の光導波路体G2では矩形状の
切り欠き領域19において、テーパー部17の中央の拡
散源が間引かれるので、図8の光導波路体G1と比較す
ると拡散源のテーパー部18の広がりに対し、内部の導
波路幅および導波路厚も若干広がるため、光波の分配が
よりスムーズに行われるが、テーパー部17の導波路幅
および導波路厚の最適な形状を与えるものではなく、光
波のパワー損失の低減も十分なものではなかった。 【0011】本発明は上記従来の問題を解消するために
提案されたものであり、その目的は光波のパワー損失を
極力低減できる優れた光導波路体の製造方法を提供する
ことにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の光導波路体の製造方法は、電気光学効果を
有する基体上に金属膜を被着させ、しかる後に該金属膜
の構成元素を前記基体中に熱拡散させて、直線導波路
と、該直線導波路の幅が広がる変移領域および該変移領
域に連続した分岐領域から成る分岐導波路とを形成する
光導波路体の製造方法であって、前記金属膜に、前記変
移領域となる部位で光波伝搬方向に対しほぼ平行に、中
央部に形成した第1の切り欠き、該第1の切り欠きの左
右両側に形成した第2の切り欠きおよび第3の切り欠き
を設けて、前記第1の切り欠き、前記第2の切り欠きお
よび前記第3の切り欠きの長さを調整することにより、
前記変移領域における最大屈折率の変化を前記光波伝搬
方向に沿って等しくなるようにしたことを特徴とする。 【0013】 【作用】上記構成の光導波路体の製造方法によれば、単
一の光導波路を伝搬する光波が複数に分岐する導波路に
移る際に、導波路どうしで形成される挟角部においても
光波のエネルギーが分岐する導波路に効率よく分配さ
れ、光波のパワー損失を極力低減できる。 【0014】 【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面に基
づき説明する。まず、図1に示すような、基体1の表層
に分岐導波路2(変移領域とこれに続く分岐領域とから
成る)が形成された光導波路体Gの製造方法について説
明する。 【0015】両面が光学研磨された厚さ約1.0mm程
度のオプティカルグレイドのLN単結晶の基体1(Zカ
ット;カット面が(001)面)上に、リフトオフ法も
しくはエッチング法でもって拡散源となるTi薄膜を被
着形成し、しかる後に熱拡散を行い、Ti濃度の高い分
岐導波路2を形成する。その後、分岐導波路2上に変調
用電極(不図示)を蒸着等により形成して光導波路体G
を完成させる。 【0016】導波路の拡散源となる金属膜である薄膜パ
ターンの具体的な被着形成方法は以下の通りである。基
体1上に、幅が6〜14μm、膜厚約1000Å程度の
Tiの所定の分岐導波路になる位置に薄膜パターンを形
成するが、図1に示す単一の直線導波路3から挟角を成
す2本の分岐領域となる直線導波路4,5に分かれる変
移領域8(分岐開始点6から挟角部7との間)およびそ
の近傍に相当する領域においては、光波の伝搬方向にほ
ぼ沿うような態様で、約1μmのピッチで複数条の微細
な矩形状を成す切り欠きパターン9のごとくな形状に形
成する。ここで、この微細なパターンはdeepUVの
密着式露光により作製する。このような薄膜パターンを
形成させた状態で、約1000℃に加熱した炉内で約1
0時間程度、熱拡散を行い、Tiが拡散した部分に分岐
導波路2を形成させるのである。 【0017】上記の拡散源となる薄膜パターンを用い、
且つ上記導波路形成方法により作製された分岐導波路は
変移領域8およびその近傍で、光波伝搬方向に滑らかに
屈折率が変化していく。このことは、分岐導波路を伝搬
する導波光のモード形状が十分緩慢に変化していくこと
により、導波光のパワーに一部が放射モードに変換され
ることを防止している。ただ、変移領域およびその近傍
に複数の切り欠きパターンを設ける際、この複数の切り
欠きパターンの切り欠きの程度(分岐開始点6から切り
欠き終端の距離)が分岐導波路を光波が伝搬する際の分
岐部による損失(以下、分岐損失という)の大きさに関
係する。 【0018】本実施例においては、簡単のため3本の切
り欠きパターンを変移領域およびその近傍に配設し、切
り欠き程度(図1におけるL1;直線導波路3の中心線
の延長上に形成した第1の切り欠き10の分岐開始点6
からの距離,L2;第1の切り欠き10の左右両側に形
成した第2,第3の切り欠き11,12の分岐開始点6
からの距離)と分岐損失の関係を調査した結果を示す。
以下に示す結果は、単一の導波路が分岐部を介し、平行
な2本の導波路になったときの2本の導波路間の距離
(以下、分岐幅という)を30μm、単一の導波路が分
岐する点と分岐した2本の導波路が平行になる所の間の
距離(以下、分岐部長という)を1000μmとしたと
きの値である。 【0019】図3はL2=160μmに固定し、L1を
パラメータとしたときの分岐損失との相関を示したグラ
フである。L1を大きくするに従って、分岐損失は増大
する。この現象の理由は、第1切り欠き10を短くする
ことにより、第1の切り欠き10の終端を導波光が伝搬
するとき、光波の感じる屈折率が不連続に増大し、急激
に導波光のモード形状が変化するため、導波光のパワー
の一部が放射モードに変換され、導波路から漏洩してい
くためと考えられる。一方、L1を小さくするに従って
も、分岐損失は若干ではあるが増加している。この理由
は、第1の切り欠き10を長くすることにより、分岐開
始点6の近傍の屈折率が減少し、導波光を十分閉じ込め
ることができなくなったためと考えることができる。 【0020】図4は、さらにL1=30μmに固定し、
L2をパラメータとしたときの分岐損失との相関を示し
たグラフである。特に、図4は図3のグラフと比較し
て、L2が分岐損失に敏感であることがわかる。図4の
グラフが凹状を呈しているのは、おおむね上記図3のグ
ラフの傾向に対しての考察と同様である。 【0021】これら図3および図4の結果は、変移領域
およびその近傍に切り欠き領域を設ける際には、上記パ
ラメータは最適値が存在し、これらパラメータを最適化
することによって分岐損失の低損失を図ることができる
ことを示す。そして、これら構造の最適化を行なうこと
によって0.04dBまで分岐損失を低減することがで
きたのである。 【0022】上記の分岐部変移領域およびその近傍の拡
散源となる薄膜パターンにおいて、微細な切り欠きパタ
ーンを設けることは、拡散元素の熱拡散により導波路が
形成される導波路作製手段に主眼が置かれている。熱拡
散を行なうことにより、拡散元素は導波路が形成される
基板の深さ方向および表面方向に同時に拡散するが、こ
のことは、拡散源となる薄膜パターンにより微細構造を
形成したときは、ストライプ状構造を有するが、熱拡散
を行った後では、このような不連続な構造は消失し、滑
らかなTi拡散元素濃度分布すなわち滑らかな屈折率分
布構造を有することを意味する。 【0023】なお、この切り欠きパターンは、図5に示
すように光波の分岐する直線導波路4,5における光波
伝搬方向にほぼ直交する方向に形成させてもよく、ま
た、この幅はできるだけ狭く本数を多くした方が滑らか
な拡散濃度分布を形成させることができ、モード形状を
滑らかに変換できると思われる。 【0024】このように、本実施例では変移領域8およ
びその近傍において、切り欠きパターンを有する薄膜パ
ターンでもって熱拡散を行わせ、分岐導波路2を形成さ
せたので、変移領域8の終端に位置する挟角部7におい
ても、スポット径が光導波路体G2より広がり、直線導
波路3から分岐した直線導波路4,5へ光波の伝搬が効
率よく行われ、分岐による損失も大きく低減したのであ
る。 【0025】この理由は、図2(a)〜(c)に示すよ
うに、光導波路体Gの変移領域8およびその近傍におい
て、光波伝搬方向に直交する断面の最大屈折率の変化
は、光波伝搬方向に沿ってほぼ等しく、n5≒n6≒n
7(約5×10−3以下程度の変化)となり、このため
変移領域8にてスポット径が徐々に広がり、挟角部7に
てスポット中央部の凹みを徐々に生じさせ、直線導波路
14,15に効率よく光波のエネルギーを分配すること
ができるからである。なお、図2において一点鎖線は光
導波路体G2(図6;切り欠き部の幅は約2μm)の結
果を示す。 【0026】なお、本実施例では光導波路をLN単結晶
の基体表層に形成させたものを一実施例として説明した
が、これに限定されるものではなく、基板として例えば
タンタル酸リチウム等の電気光学効果を有するものであ
ればよく、また光導波路を基体上にリブ状に形成したも
の等各種周知の形態の光導波路に適用できることはいう
までもない。また、電極を設けない光分岐路にも充分に
適用が可能であり、さらに、光導波路の変移領域におけ
る最大屈折率の変化をほぼ等しくする方法は上記実施例
に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない
範囲内で適宜変更し実施し得る。 【0027】 【発明の効果】以上のように、本発明の光導波路体の製
造方法によれば、直線導波路が複数の導波路に分岐する
間の変移領域において、光波伝搬方向に直交する断面の
最大屈折率が光波伝搬方向に沿って等しくなるので、光
波のエネルギーが効率よく分岐され光波のパワー損失を
極力低減できるデバイス特性の優れた光導波路体を提供
できる。また、金属膜の構成元素を基体中に熱拡散させ
て、光波伝搬方向に幅が変化する変移領域とこの変移領
域に続く分岐領域とから成る分岐導波路を形成する場合
に、分岐導波路の変移領域となる部位の金属膜に、光波
伝搬方向に対しほぼ平行な複数条の切り欠きを形成せし
めるといった、きわめて簡便な方法で、光波のエネルギ
ーが効率よく分岐され光波のパワー損失を極力低減でき
るデバイス特性の優れた光導波路体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光導波路体の一実施例を示す平面
図である。 【図2】(a)〜(c)は、それぞれ図1のA−A′,
B−B′,C−C′線断面における最大屈折率変化を示
す図である。 【図3】本発明に係る光導波路体の一実施例において、
L1をパラメータとしたときの分岐損失の変化を示した
グラフである。 【図4】本発明に係る光導波路体の一実施例において、
L2をパラメータとしたときの分岐損失の変化を示した
グラフである。 【図5】本発明に係る光導波路体の他の実施例を示す平
面図である。 【図6】光導波路体の従来例を示す平面図である。 【図7】(a)〜(c)は、それぞれ図8のA−A′,
B−B′,C−C′線断面におけるモード形状を示す図
である。 【図8】光導波路体の他の従来例を示す平面図である。 【図9】(a)〜(c)は、それぞれ図8のA−A′,
B−B′,C−C′線断面における最大屈折率変化を示
す図である。 【符号の説明】 1:基体 2:分岐導波路 3,4,5:直線導波路 8:変移領域 G:光導波路体
図である。 【図2】(a)〜(c)は、それぞれ図1のA−A′,
B−B′,C−C′線断面における最大屈折率変化を示
す図である。 【図3】本発明に係る光導波路体の一実施例において、
L1をパラメータとしたときの分岐損失の変化を示した
グラフである。 【図4】本発明に係る光導波路体の一実施例において、
L2をパラメータとしたときの分岐損失の変化を示した
グラフである。 【図5】本発明に係る光導波路体の他の実施例を示す平
面図である。 【図6】光導波路体の従来例を示す平面図である。 【図7】(a)〜(c)は、それぞれ図8のA−A′,
B−B′,C−C′線断面におけるモード形状を示す図
である。 【図8】光導波路体の他の従来例を示す平面図である。 【図9】(a)〜(c)は、それぞれ図8のA−A′,
B−B′,C−C′線断面における最大屈折率変化を示
す図である。 【符号の説明】 1:基体 2:分岐導波路 3,4,5:直線導波路 8:変移領域 G:光導波路体
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平2−221903(JP,A)
特開 平4−254380(JP,A)
特開 昭63−60405(JP,A)
特開 昭63−60407(JP,A)
特開 昭56−126809(JP,A)
特開 昭63−60406(JP,A)
特開 昭62−62305(JP,A)
特開 昭61−55612(JP,A)
特開 昭57−157207(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G02B 6/12
G02B 6/13
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 電気光学効果を有する基体上に金属膜を
被着させ、しかる後に該金属膜の構成元素を前記基体中
に熱拡散させて、直線導波路と、該直線導波路の幅が広
がる変移領域および該変移領域に連続した分岐領域から
成る分岐導波路とを形成する光導波路体の製造方法であ
って、前記金属膜に、前記変移領域となる部位で光波伝
搬方向に対しほぼ平行に、中央部に形成した第1の切り
欠き、該第1の切り欠きの左右両側に形成した第2の切
り欠きおよび第3の切り欠きを設けて、前記第1の切り
欠き、前記第2の切り欠きおよび前記第3の切り欠きの
長さを調整することにより、前記変移領域における最大
屈折率の変化を前記光波伝搬方向に沿って等しくなるよ
うにしたことを特徴とする光導波路体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01480995A JP3481710B2 (ja) | 1994-08-31 | 1995-01-31 | 光導波路体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6-207156 | 1994-08-31 | ||
JP20715694 | 1994-08-31 | ||
JP01480995A JP3481710B2 (ja) | 1994-08-31 | 1995-01-31 | 光導波路体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08122546A JPH08122546A (ja) | 1996-05-17 |
JP3481710B2 true JP3481710B2 (ja) | 2003-12-22 |
Family
ID=26350833
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01480995A Expired - Fee Related JP3481710B2 (ja) | 1994-08-31 | 1995-01-31 | 光導波路体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3481710B2 (ja) |
-
1995
- 1995-01-31 JP JP01480995A patent/JP3481710B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08122546A (ja) | 1996-05-17 |
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