JP3480917B2 - 経編によるシャツまたはパンツとなる無縫製生地と、これを用いたシャツまたはパンツの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は経編によるシャツま
たはパンツとなる無縫製生地と、これを用いたシャツま
たはパンツの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
における経編による無縫製（無縫成）生地となるパンツ
の両脚部やシャツの胴部に対する両袖部は単に他部分と
分離した丈の編成によるため、これらの部分に余裕がな
くパンツやシャツとして使用した場合に窮屈感が伴うも
ので適切なものでない課題が生じていた。そこで、本発
明は上記した従来の課題を解決して編成による分離箇所
に余裕を付与できるようにしたシャツまたはパンツとな
る無縫製生地と、これを用いたシャツまたはパンツの製
造方法とを提供することを目的としている。

【０００３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成できる本
発明による経編によるシャツまたはパンツとなる無縫製
生地としては、請求項１に記載したように、経編編成に
て筒状の編地が連続編成されてあるとともに、一定長さ
単位内に編地の一部に捨て部となる細幅編地部をその左
右にて編地と分離して形成してあり、また上記細幅編地
部の上下端は編地と連続して編成してあり、上記細幅編
地部の左右に位置する編地は表裏一体の筒状部となるよ
うに編成されてあることを特徴としている。細幅編地は
表裏別々より筒状編成が好ましい。

【０００４】上記請求項１におけるシャツまたはパンツ
となる無縫製生地によると、一定長さ単位毎に編地の一
部に捨て部となる細幅編地部を形成してあるので、この
細幅編地部を切除すると、切除後には両端を綴じ編に編
成してあるので、細幅編地部の幅部分が余裕のある空間
部分として形成され、パンツの両脚部間や、シャツの胴
部と袖部間として余裕を持たせることができる。しかも
切離された細幅編地部の左右に位置する編地は表裏一体
の筒状部となるように編成されてあるため、捨て部とな
る細幅編地部の切離除去により縫製の必要性は殆ど生じ
ないものとなる。

【０００５】なお、細幅編地部の切除にて残ることにな
る捨て部の上端が開放されている場合には綴じるための
縫製を施してもよいが、請求項２に記載したように、上
記細幅編地部の切離後に残ることになる捨て部上端は、
表裏一体に編成されてあることを特徴としておくと、全
く捨て部上端も縫製不要となり、より無縫製化が実現で
きる。特に、請求項３に記載したようにダブルジャカー
ド筬付ラッシェル機により経編編成されていると、非常
に好適な経編編成にて上記シャツまたはパンツとなる無
縫製生地が提供できることになる。

【０００６】さらに、上記無縫製生地を用いたシャツま
たはパンツとなる製造方法としては、請求項４に記載し
たように、請求項１〜３の何れかに記載の無縫製生地を
一定単位長さ毎に切離するとともに捨て部となる細幅編
地部を切離除去して衣類を形成することを特徴としてい
ると、一定単位毎の編地の切離と、捨て部となる筒状部
を切離するだけで簡単に無縫製か略無縫製の衣類を提供
できることになり、極めて好都合となる。

【０００７】

【発明の実施の形態】次いで、本発明の実施形態につい
て図を参照しながら以下に説明する。図１はパンツ用の
無縫製（無縫成）による編地Ａを示しており、図２はシ
ャツ用の無縫製による編地Ｂを示しているもので、経編
編成にて筒状の編地が連続編成されている。そして各図
における１０−１０は一定長さ単位毎にカットするカッ
トライン部、２０は編地Ａまたは編地Ｂにおいて編成に
て形成した捨て部となる細幅編地部であり、その左右２
１，２２は編地Ａまたは編地Ｂと分離して形成してあ
る。そして細幅編地部２０を切離して残る編地側の上端
は開放しておき、細幅編地部２０の切除後、捨て部Ｃに
残る上端Ｃ′を縫成にて綴じてもよいが、実施上表裏一
体となる綴じ編等にて表裏一体に編成してあり、細幅編
地部２０を切除しても何等縫製の必要がない状態になる
ように形成しておくと、より至便である。

【０００８】また、切離された細幅編地部２０の左右２
１，２２に位置する編地部分３０，４０又は編地３０，
４０は表裏一体の筒状部となるように編成してある。ま
た、カットライン部１０−１０を長い細幅編地部２０の
中央にして実施する場合をパンツ用の編地を例にして図
７に示してある。上記のような無縫製編地を編成するに
は、図５で示す前後２列針列Ｎ，Ｎ′と、２列のジャカ
ード筬列Ｊ，Ｊ′を有し、かつ少なくとも２列の地筬
Ｇ，Ｇ′を備えたダブルジャカード筬付ダブルラッシェ
ル機を用いて編成されるもので、地筬Ｇ，Ｇ′の地糸
ｇ，ｇ′にて鎖編の編成を行うとともに、ジャカード筬
Ｊ，Ｊ′にて前編針Ｎによる前面編布と、後編針Ｎ′に
よる後面編布を編成物の形態によって振り糸ｈ，ｈ′に
より綴じ編みにして表裏一体に編成している。そして表
裏の編地には振り糸ｈ，ｈ′の鎖編に対する編成作用、
即ち、穴地、薄地、厚地等の編成により、各種編組織の
変化とともに自由に所定の柄模様を形成できるものであ
る。特に、細幅編地部２０の上端を開放せず、表裏一体
に綴じ編等にて編成する各糸の編成態様は図６(a) (b)
に示すものであり、地筬Ｇ，Ｇ′による前後の鎖編とな
る地糸ｇ，ｇ′をジャカード筬Ｊ，Ｊ′による振り糸
ｈ，ｈ′にて連結し、綴じ編を編成している。

【０００９】上記のように編成されてある無縫製生地
を、衣類として形成するには一定単位長さ毎にカットラ
イン部１０，１０で切離するとともに捨て部Ｃとなる細
幅編地部２０を切離除去して、パンツ（図３）またはシ
ャツ（図４）を形成することができる。パンツの場合に
は股ぐりとなる両脚間、シャツの場合には胴部と袖部間
に何れも捨て部Ｃにて余裕ができ、着用感がよい。な
お、シャツの衿部等必要箇所については事後的に折返し
て端部の縫製を果したり、肩部の縫製を果して外観的体
裁を整えて実施できることは言うまでもない。

【００１０】さらに生地として、伸縮性付与のための糸
使いや編組織の対応をはかることも実施上当然のことで
ある。

【００１１】

【発明の効果】以上のように本発明によると、捨て部と
なる細幅編地部を編成し、編成後に捨て部となる細幅編
地部を切離除去できるような無縫製生地を提供できるこ
とにより、股ぐりとなる両脚間に余裕のあるパンツや、
胴部と袖部間に余裕のあるシャツを無縫製生地にて提供
できる点で従来品にない独自のものを提供できることに
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】パンツ用の無縫製生地の正面図である。

【図２】シャツ用の無縫製生地の正面図である。

【図３】パンツの正面図である。

【図４】シャツの正面図である。

【図５】ダブルラッシェル機の要部を示す概要図であ
る。

【図６】(I)(II) は表裏の一体編成による綴じ編みを例
示する組織概要図である。

【図７】実施の変更例をパンツ用の編地について示した
正面図である。

【符号の説明】

Ａ パンツ用の編地 Ｂ シャツ用の編地 １０ カットライン部 ２０ 細幅編地部 Ｃ 捨て部 Ｃ′ 捨て部上端 ｇ，ｇ′ 地糸による鎖編 ｈ，ｈ 前後（表裏）を継なぐ振り糸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2001−115358（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−71460（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−104901（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−223351（ＪＰ，Ａ) 特公 昭52−12306（ＪＰ，Ｂ２) 発明協会公開技報公技番号86−5822 (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) D04B D03D

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】経編編成にて筒状の編地が連続編成されて
   あるとともに、一定長さ単位内に編地の一部に捨て部と
   なる細幅編地部をその左右にて編地と分離して形成して
   あり、また上記細幅編地部の上下端は編地と連続して編
   成してあり、上記細幅編地部の左右に位置する編地は表
   裏一体の筒状部となるように編成されてあることを特徴
   とする経編によるシャツまたはパンツとなる無縫製生
   地。
2. 【請求項２】上記細幅編地部の切離後に残ることになる
   捨て部上端は、表裏一体に編成されてあることを特徴と
   する請求項１記載の経編によるシャツまたはパンツとな
   る無縫製生地。
3. 【請求項３】ダブルジャカード筬付ダブルラッシェル機
   により経編編成されていることを特徴とする上記請求項
   １記載の経編によるシャツまたはパンツとなる無縫製生
   地。
4. 【請求項４】請求項１〜３の何れかに記載の無縫製生地
   を一定単位長さ毎に切離するとともに捨て部となる細幅
   編地部を切離除去して形成することを特徴とする経編に
   よるシャツまたはパンツとなる無縫製生地を用いたシャ
   ツまたはパンツの製造方法。