JP3478735B2 - 防爆電解コンデンサ - Google Patents

防爆電解コンデンサ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミニウム箔など
からなる陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して積層
し、巻回したコンデンサ素子である巻芯体をケース体に
挿入し封口部材を固定して完成される防爆電解コンデン
サに関するものである。
【0002】
【従来の技術】防爆電解コンデンサは、円筒状にアルミ
ケースに、アルミニウム箔などからなる陽極箔と陰極箔
とをセパレータを介して巻回し、電極リードに接続した
コンデンサ素子と封口部材とを挿入し、封口部材をケー
ス体の縁部にかしめることで完成する構造である。この
際に、コンデンサ素子のケース内における遊びを押さえ
るためにコンデンサ素子のセパレータは多少押さえ付け
られることになる。この結果、コンデンサ素子の上下両
端面の巻芯部分がケース内面と封口部材とにより隙間な
く塞がれる状態になる。このようにケース内で隙間なく
充填されていても、電解コンデンサが正常に機能してい
る状態では何ら問題とならず、コンデンサ素子がケース
内で不動状態となるのでむしろ好ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、なんら
かの原因で電解コンデンサが異常発熱すると、防爆電解
コンデンサ内部の圧力が上昇し、最終的には、圧力を逃
すための防爆弁が開き、内部の圧力を大気中へ逃がし、
爆発を防止するようにしているが、この際に、従来構造
の電解コンデンサによれば、コンデンサ素子の巻芯体の
巻芯部が、セパレータ紙により塞がれる状態となってい
るために、内部圧の逃げ道がなくなることになる。
【0004】このために、折角の防爆弁が開かずに、コ
ンデンサ素子の一部または全体のケースからの飛び出し
や、陽極、陰極間ショート、または、コンデンサ素子の
変形による陽極、陰極間ショートが発生してしまい、シ
ョート時のスパークによる電解液への引火や、飛び出し
たコンデンサ素子部の燃焼が発生するなどの事故発生の
虞があった。
【0005】したがって、本発明は上述した事情に鑑み
て成されたものであり、なんらかの原因で電解コンデン
サが異常発熱した場合において、確実に防爆弁を開くこ
とで、重大な事故発生が起こることのない防爆電解コン
デンサの提供を目的としている。具体的には防爆電解コ
ンデンサ素子の巻芯部分がセパレータ紙により塞がれる
のを、防止することで防爆弁に連通する空間を確保する
ことで異常時に、防爆弁を確実に開くようにして重大な
事故発生が起こることを防止することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決し、
目的を達成するために、本発明によれば、防爆弁を有し
たケース体に、コンデンサ素子である巻芯体と、前記巻
芯体からの電極リードを設けた封口部材とを挿入し、前
記ケース体に対して前記封口部材を固定して完成される
電解コンデンサにおいて、前記封口部材に前記巻芯体の
巻芯部に潜入する突起部を、前記巻芯部の内径に合致す
る部位において複数個分配設し、前記防爆弁に連通する
空間を確保することを特徴としている。
【0007】また、防爆弁を有したケース体に、コンデ
ンサ素子である巻芯体と、前記巻芯体からの電極リード
を設けた封口部材とを挿入し、前記ケース体に対して前
記封口部材を固定して完成される電解コンデンサにおい
て、前記封口部材に前記巻芯体の巻芯部に潜入する突起
部を、包絡線が前記封口部材に連続する付け根部分で前
記巻芯部の内径にほぼ等しく、先端部分で前記巻芯部の
内径より小さく、前記突起部の前記封口部材に連続する
付け根部分は前記巻芯部の内径にほぼ等しい外直径で囲
まれる花弁状をなし、かつ前記先端部分で集合する複数
の半球面体により形成することにより、前記防爆弁に連
通する空間を確保することを特徴としている。
【0008】また、前記防爆弁のケース体内側におい
て、前記空間を形成するための複数の突起部を形成した
ことを特徴としている。
【0009】また、防爆弁を有したケース体に、コンデ
ンサ素子である巻芯体と、前記巻芯体からの電極リード
を設けた封口部材とを挿入し、前記ケース体に対して前
記封口部材を固定して完成される電解コンデンサにおい
て、前記巻芯体の巻芯部に潜入し前記巻芯部の内径に合
致する突起部が複数個分配設された第1の突起部材を、
前記封口部材との間に介在することで前記防爆弁に連通
する空間を確保することを特徴としている。
【0010】また、防爆弁を有したケース体に、コンデ
ンサ素子である巻芯体と、前記巻芯体からの電極リード
を設けた封口部材とを挿入し、前記ケース体に対して前
記封口部材を固定して完成される電解コンデンサにおい
て、前記巻芯体の巻芯部に潜入し前記巻芯部の内径に合
致する突起部が、包絡線が前記封口部材に連続する付け
根部分で前記巻芯部の内径にほぼ等しく、先端部分で前
記巻芯部の内径より小さく、前記突起部の前記封口部材
に連続する付け根部分は前記巻芯部の内径にほぼ等しい
外直径で囲まれる花弁状をなし、かつ前記先端部分で集
合する複数の半球面体により形成されている第1の突起
部材を、前記封口部材との間に介在することで前記防爆
弁に連通する空間を確保することを特徴としている。
【0011】また、前記防爆弁のケース体内側におい
て、前記空間を形成するために前記巻芯体の巻芯部に潜
入する突起部を形成した第2の突起部材を介在させるこ
とを特徴としている。
【0012】そして、前記ケース体は、アルミニウム材
から前記防爆弁とともに一体成形されるアルミニウム製
であり、また、前記封口部材は前記電極リードをインサ
ート成形した樹脂成形品であることを特徴としている。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の各実施形態につい
て添付図面を参照して述べる。
【0020】先ず、図1は第1実施形態の電解コンデン
サの平面図(a)と、そのX−X線矢視断面図である。
【0021】図1においてケース1は、押し出し成形で
円筒状に成形されたアルミニウムから成形されており、
その天井部において図示のようなX型の防爆弁4がプレ
ス加工されている。この防爆弁4はプレス加工により他
の部分の板厚よりも薄くなるようにして、内圧が発生し
たときに、この部分が破れることで、花弁状に開くよう
にしている。
【0022】このケース1中にコンデンサ素子である巻
芯体2と、この巻芯体2から予め電極リード6、7に対
して電気的接続をするとともに電気リード6,7を一体
成形した封口部材3とを挿入し、ケース1の縁部をかし
めることで、図示の完成品を得る。
【0023】この封口部材3の中央には巻芯2体の巻芯
部2aに潜入するとともに、概ね半球状に形成された突
起部の包絡線を、封口部材3に連続する付け根部分で巻
芯部の内径にほぼ等しく、先端部分で巻芯部の内径より
小さくなるように設定した、突起部3aが形成されてお
り、この突起部3aと上記の防爆弁4との間において空
間を確保している。
【0024】上記の構成によれば、なんらかの原因で電
解コンデンサが異常発熱し、電解コンデンサ内部の圧力
が上昇し、最終的に圧力を逃すための防爆弁4が破線図
示のように開くときに、空間から圧力が外部に開放され
る。この結果、従来のようにセパレータが巻芯部分を塞
ぐ事態が防止されることで、防爆弁4が開いた時に、コ
ンデンサ素子の飛び出しを防止することができるように
なる。
【0025】図2は、突起部3aの外観斜視図(a)、
同平面図(b)である。
【0026】本図において、突起部3aは、図示のよう
に封口部材3に連続する付け根部分で巻芯部の内径にほ
ぼ等しい外直径で囲まれる6枚の形状部3a−1、3a
−2、3a−3、3a−4、3a−5、3a−6を有す
る花弁状を有しており、また先端部分で集合する半球面
体から形成されている。このように、形状部3a−nの
間に空間を形成することで、空間が封口部材3と防爆弁
4との間でさらに形成されることになり、より安全とな
る。尚、上記の形状部の数は上記に限定されずいくつで
も良い。
【0027】図3は、突起部3bの平面図(a)、同X
−X線矢視断面図(b)である。本図において、既に説
明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を
割愛すると、図示のように合計で6個の突起部3bを、
巻芯部の内径Dに合致する部位に配設する。このように
配設することで空間が同様に確保でき、安全対策を図る
ことができる。
【0028】図4は、電解コンデンサの平面図(a)、
同X−X線矢視断面図(b)である。本図において、既
に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説
明を割愛すると、防爆弁4のケース1の内側において、
4個所の突起部11が形成されており、これら突起部1
1と上記突起部3aの間において空間部が確保され、安
全対策を図ることができる。
【0029】図5は、電解コンデンサの中心断面図であ
る。本図において、既に説明済みの構成部品については
同様の符号を附して説明を割愛すると、防爆弁4のケー
ス1内側において、上記の空間を形成するためにコンデ
ンサ素子の巻芯体の巻芯部2aに潜入する突起部15
a、15bを一体形成した第2の突起部材5を夫々介在
させている。
【0030】図6と図7の第2の突起部材5の外観斜視
図において、突起部15a、15bの包絡線が付け根部
分では巻芯径にほぼ等しく、先端部分では、巻芯より細
くなっている。従って、コンデンサ素子の巻芯の中へ容
易に挿入することができるようになる。以上の構成によ
りコンデンサ素子のセパレータにより巻芯部分が塞がれ
て空間部がなくなる事を防止できる。これらの第2の突
起部材5に使用される素材としては、ゴムやテフロン等
の、電解コンデンサの電解液に対する耐性の高い材料で
ある。ここで、薄板状に一つの突起がある形状で薄板部
は、多数の穴の開いた構造とすることで電極リード用の
穴以外は格別無くても良い。また、図7に図示のように
網状に形成された構造物で、突起部分は単純な山形状と
しても良い。
【0031】以上説明の構成により、なんらかの理由に
より電解コンデンサの内部圧力が増大し防爆弁が開いた
場合に、内部圧力の逃げ道を確保し、防爆弁が開いた時
に、コンデンサ素子を押え付けることで、コンデンサ素
子の飛び出しを防止することができる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
コンデンサ素子のセパレータが巻芯部分を塞ぐ事を防止
することで、防爆弁が開いた時に、コンデンサ素子の飛
び出しを防止できる、より安全な防爆電解コンデンサを
提供できる。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の防爆電解コンデンサの
平面図(a)、同X−X線矢視断面図(b)である。
【図2】突起部3aの外観斜視図(a)、同平面図
(b)である。
【図3】突起部3bの平面図(a)、同X−X線矢視断
面図(b)である。
【図4】電解コンデンサの第2実施形態の平面図
(a)、同X−X線矢視断面図(b)である。
【図5】電解コンデンサの第3実施形態の中心断面図で
ある。
【図6】第2の突起部材15の外観斜視図である。
【図7】第2の突起部材15の外観斜視図である。
【符号の説明】
1 ケース 2 コンデンサ素子 3 封口部材 3a 突起部 3b 突起部 15 第2の突起部材

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防爆弁を有したケース体に、コンデンサ
    素子である巻芯体と、前記巻芯体からの電極リードを設
    けた封口部材とを挿入し、前記ケース体に対して前記封
    口部材を固定して完成される電解コンデンサにおいて、 前記封口部材に前記巻芯体の巻芯部に潜入する突起部
    を、 前記巻芯部の内径に合致する部位において複数個分
    配設し、前記防爆弁に連通する空間を確保することを特
    徴とする防爆電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 防爆弁を有したケース体に、コンデンサ
    素子である巻芯体と、前記巻芯体からの電極リードを設
    けた封口部材とを挿入し、前記ケース体に対して前記封
    口部材を固定して完成される電解コンデンサにおいて、 前記封口部材に前記巻芯体の巻芯部に潜入する突起部
    を、 包絡線が前記封口部材に連続する付け根部分で前記
    巻芯部の内径にほぼ等しく、先端部分で前記巻芯部の内
    径より小さく、前記突起部の前記封口部材に連続する付
    け根部分は前記巻芯部の内径にほぼ等しい外直径で囲ま
    れる花弁状をなし、かつ前記先端部分で集合する複数の
    半球面体により形成することにより、前記防爆弁に連通
    する空間を確保することを特徴とする防爆電解コンデン
    サ。
  3. 【請求項3】 前記防爆弁のケース体内側において、前
    記空間を形成するための複数の突起部を形成したことを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の防爆電解コ
    ンデンサ。
  4. 【請求項4】 防爆弁を有したケース体に、コンデン
    サ素子である巻芯体と、前記巻芯体からの電極リードを
    設けた封口部材とを挿入し、前記ケース体に対して前記
    封口部材を固定して完成される電解コンデンサにおい
    て、 前記巻芯体の巻芯部に潜入し前記巻芯部の内径に合致す
    る突起部が複数個分配設された第1の突起部材を、前記
    封口部材との間に介在することで前記防爆弁に連通する
    空間を確保することを特徴とする防爆電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 防爆弁を有したケース体に、コンデンサ
    素子である巻芯体と、前記巻芯体からの電極リードを設
    けた封口部材とを挿入し、前記ケース体に対して前記封
    口部材を固定して完成される電解コンデンサにおいて、 前記巻芯体の巻芯部に潜入し前記巻芯部の内径に合致す
    る突起部が、包絡線が 前記封口部材に連続する付け根部
    分で前記巻芯部の内径にほぼ等しく、先端部分で前記巻
    芯部の内径より小さく、前記突起部の前記封口部材に連
    続する付け根部分は前記巻芯部の内径にほぼ等しい外直
    径で囲まれる花弁状をなし、かつ前記先端部分で集合す
    る複数の半球面体により形成されている第1の突起部材
    を、前記封口部材との間に介在することで前記防爆弁に
    連通する空間を確保することを特徴とする防爆電解コン
    デンサ。
  6. 【請求項6】 前記防爆弁のケース体内側において、前
    記空間を形成するために前記巻芯体の巻芯部に潜入する
    突起部を形成した第2の突起部材を介在させることを特
    徴とする請求項4乃至請求項5のいずれか1項に記載の
    防爆電解コンデンサ。
  7. 【請求項7】 前記ケース体は、アルミニウム材から前
    記防爆弁とともに一体成形されるアルミニウム製であ
    り、また、前記封口部材は前記電極リードをインサート
    成形した樹脂成形品であることを特徴とする請求項1乃
    請求項6のいずれか1項に記載の防爆電解コンデン
    サ。
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