JP3474747B2 - ホログラム記録媒体、記録装置および再生装置 - Google Patents

ホログラム記録媒体、記録装置および再生装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホログラム記録媒
体、記録装置および再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光磁気記録や光熱相変化型の媒体
(光ディスク等)に比べはるかに高密度な記録を行う光
記録媒体の1つとして、フォトリフラクティブ媒体が知
られている。このフォトリフラクティブ媒体は、高密度
画像など容量の大きなデータを記録することが可能であ
り、次のようなメカニズムによって記録層の屈折率を変
化せしめる媒体である。すなわち、電磁波を照射するこ
とによって、その内部に存在する電荷を空間的に分離せ
しめ、この電荷により発生した電場によって、記録材料
の屈折率を変化させる。したがって、媒体内部に発生す
る電場を大きくすれば、電気光学効果に起因してより大
きな屈折率変化を得ることが可能となる。このようなフ
ォトリフラクティブ媒体は、電磁波の干渉パターンを直
接、屈折率格子として記録できることから、ホログラフ
ィックメモリー、および光演算素子等への応用も期待さ
れている。
【0003】近年、作製の容易さから、有機高分子化合
物を用いたフォトリフラクティブ媒体の開発が盛んにな
っている(例えば、特公平6−55901号公報等)。
しかしながら、これらの媒体を利用するに際しては、電
極を設け外部から電場を印加する必要があった(例え
ば、特開平6−175167号公報)。これは、次のよ
うな事情による。
【0004】電磁波の干渉パターンをフォトリフラクテ
ィブ媒体に照射すると、この電磁波の強度に応じた非平
衡なキャリアがフォトリフラクティブ媒体中に発生す
る。電磁波の照射面に平行となるように、外部電場Eex
をフォトリフラクティブ媒体に印加した際に発生する電
場Eは、次式(3)で表わされる。 E=E0 [(1+iEex/Ed )/{1+iEex/(Ed +Eq )}](I1 +I0 ) (3) E0 =iEd /(1+Ed /Eq ) (4) Ed =(2πD)/(μΛ) (5) Eq =(eNΛ)/(2πε) (6) I0 は照射光強度の空間平均であり、I1 は照射光強度
の極大値と極小値との差である。また、Λは最近接の極
大値間の距離(空間波長)である。εはフォトリフラク
ティブ媒体の誘電率であり、Nは空間電荷の濃度、Dは
拡散係数、μは移動度である。eは素電荷量、iは虚数
単位であり、位相を表している(例えばPochi Y
eh著、Introduction to Photo
refractive Nonlinear Opti
cs,John Wiley&Sons社、1993 年3
章)。
【0005】物理的には、Ed は電荷の拡散による電場
を表わし、Eq はイオン化した不純物および移動できな
い電荷による空間電場を表わしている。通常、拡散係数
Dと移動度μとの間には、アインシュタインの関係式D
/μ=kT/e(kはボルツマン定数、Tは絶対温度)
が成り立つと考えられているので、Ed は物質に依存し
ない定数となる。このため、大きな電場Eを得るには、
d に比べてEq を十分大きくし、かつEexを大きくす
る必要があった。Ed に比べEq を大きくするために
は、上記式(6)において、ΛおよびNを大きくする必
要がある。しかしながら、Λを大きくすると、干渉縞の
密度が減少するため、記録素子にした際の記録密度が小
さくなってしまう。また一方、空間電荷の濃度Nを増や
した場合には、その電荷による散乱が原因となって、移
動度が低下してしまうという欠点が生じる。
【0006】外部電場を印加したときの電場の形成に必
要な時間は、電荷のドリフト速度により決定されるた
め、移動度の低下は書き込み速度の低下を意味する。し
たがって、移動度の低下は極力避けなければならない。
【0007】なお、外部から電場Eexを印加した場合、
可動な電荷(キャリア)は、電場方向に移動するため、
Eは外部電場の方向にほぼ一致する。ポッケルス効果に
よる屈折率変調は電場方向に行なわれるので、この屈折
率の変化を電磁波により読み出すためには、電場の方向
を電磁波の入射方向に垂直に近づけなければならない。
このため、電場を印加する電極形状を工夫する必要があ
り、安価に作製することができなかった。さらに、通常
の光ディスクには利用できない等、用途が限定されてし
まっていた。
【0008】通常の物質、すなわち、 D/μがアイン
シュタインの関係式に従うため極めて小さい物質におい
ては、室温(300K)での空間波長Λ=1μmでの拡
散による電場Ed は0.163MV/mであり、十分に
大きくない。そのため、このような物質を用いたフォト
リフラクティブポリマーでは、外部から10MV/m以
上の電場が印加されてきた(例えば、 W.E.Moe
rner and Scott M.Silence,
Chem.Rev.94,pp127〜155(199
4))。この場合と同程度の内部電場を、 D/μが5
以上、好ましくは10以上の物質では、外部から電場を
印加せずに発生させることが可能となる。そこで、D/
μを大きくする施策の開発が望まれていた。
【0009】最近では、電荷輸送特性である拡散係数D
と移動度μとの比(D/μ)を大きくすることによって
外部電場を印加するための電極を不要とした記録媒体が
試みられている。かかる記録媒体は、屈折率を変調させ
るのに電気光学効果である電場の1次に比例するポッケ
ルス効果や電場の2次に比例するカー効果を利用するも
のである。図4(a)に示すように記録媒体に光が照射
されて干渉縞が形成された場合、光強度および電荷密度
の状態は、それぞれ図4(b)および図4(c)で表わ
され、このとき空間電場は図4(d)に示されるよう
に、位相差Φを生じる。また、ポッケルス効果による屈
折率変調は図4(e)で表わされ、カー効果による屈折
率変調は、図4(f)で表わされる。
【0010】すなわち、媒体中の電気光学効果を有する
材料がランダムである場合、電気光学効果は電場の2次
に比例するカー効果で発現することになり、その向きに
依存しない。そのため、書き込まれる屈折率格子の波数
は、図4(f)に示すように照射した干渉縞の波数の2
倍となり、記録光の透過方向では再生光が得られなくな
る。したがって、拡散係数Dと移動度μとの比(D/
μ)を大きくするのみならず、再生光を得る媒体や手段
が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、拡散係数D
と移動度μとの比(D/μ)が大きく、外部から電場を
印加しなくても記録可能であるとともに、無電場下で干
渉縞照射により書き込んだ記録から、容易に再生光が得
られるホログラム記録媒体を提供することを目的とす
る。また本発明は、無電場下で干渉縞照射により書き込
んだ記録から、容易に再生光が得られる記録装置および
再生装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、電荷発生材、電荷輸送材および電気光学
効果を有する材料を含有し、光の照射により干渉縞が形
成されるホログラム記録媒体であって、前記電荷発生材
の含有量は、この記録媒体の前記光が照射される面にお
いて最大値を有し、膜厚方向で単調減少し、光の照射に
より表面方向の電場および厚さ方向の電場が発生する
とを特徴とするホログラム記録媒体を提供する。
【0013】また本発明は、電荷発生材、電荷輸送材、
および電気光学効果を有する材料を含有し、光の照射に
より干渉縞が形成されるホログラム記録媒体であって、
前記電荷発生材は、吸収波長領域が異なる少なくとも2
種類の成分を含み、これらの成分の少なくとも1つは、
前記干渉縞を形成するための書き込み光をその吸収波長
域内で吸収し、残りの成分の少なくとも1つは、前記干
渉縞を形成するための書き込み光をその吸収波長域内で
吸収せず、前記干渉縞を形成するための書き込み光とは
波長が異なる光を吸収し、該光の浸入長は前記干渉縞を
形成するための書き込み光の浸入長より短いことを特徴
とするホログラム記録媒体を提供する。
【0014】さらに本発明は、電荷発生材、電荷輸送
材、および電気光学効果を有する材料を含有するホログ
ラム記録媒体に、電磁波の干渉縞を記録する記録装置で
あって、前記ホログラム記録媒体に干渉縞を形成するた
めの第1の波長を有する第1の光を照射する第1の光源
と、前記干渉縞を形成するための第1の波長とは異なる
第2の波長を有し、前記ホログラム記録媒体への侵入長
が前記第1の光より短い第2の光を、前記ホログラム記
録媒体における前記第1の光の照射面に照射するための
第2の光源とを具備することを特徴とする記録装置を提
供する。
【0015】またさらに本発明は、電荷発生材、電荷輸
送材、および電気光学効果を有する材料を含有し、第1
の波長を有する第1の光を照射することにより干渉縞が
形成されたホログラム記録媒体の干渉縞を再生する再生
装置であって、前記ホログラム記録媒体に参照光を照射
するための参照光光源と、前記干渉縞を形成するための
第1の波長とは異なる第2の波長を有し、前記ホログラ
ム記録媒体への侵入長が前記第1の光より短い第2の光
を、前記ホログラム記録媒体における前記第1の光が照
射された面に照射するための第2の光源と、前記参照光
光源から照射された参照光のうち、前記ホログラム記録
媒体によって回折された成分を読みとる光検出器とを具
備することを特徴とする再生装置を提供する。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。第1の発
明のホログラム記録媒体は、光照射面における電荷発生
材の含有率を最大とすることによって、無電場下で書き
込んだ屈折率格子から再生光を容易に得ることを可能と
したものである。
【0017】この第1の発明のホログラム記録媒体につ
いて説明する。かかる構成の記録媒体としては、例え
ば、電荷発生材の含有率が低い層の上部に電荷発生材の
含有率が高い層を塗布してなる積層構造のものが挙げら
れる。このとき得られる媒体では、電荷発生材の含有量
は光照射面、すなわち記録媒体の表面から他方の面に向
けて単調減少する。減少のしかたは、連続的であっても
よいし、階段状であってもよい。また、複数の層(2層
以上)を積層したものでも、一つの層内で濃度分布を形
成したものでもよい。
【0018】ここで図1を参照して、第1の発明のホロ
グラム記録媒体に光を照射した際の電場の状態を説明す
る。図1において、上部の図は媒体の膜厚方向(Z)と
膜表面方向(Y)において発生した電場を模式的に示し
ている。この媒体に電荷発生材が吸収する光の干渉縞を
照射すると、図1(a)に示すように光の強度に応じた
膜表面方向の電場が発生すると同時に、表面近傍で多量
に発生した光電荷に起因した膜の厚さ方向の電場が発生
する(このような膜厚方向の電場をデンバー電場とも呼
ぶ)。このため、媒体内の空間電場は、膜方向の電場と
膜の厚さ方向の電場との2つの電場を合成したものとな
り、図1(b)に示すように膜方向の電場の大きさによ
り異なる方向を向くようになる。記録を再生するために
照射する光の電場の向きを考慮すると、得られる屈折率
格子の周期は、照射した干渉縞の格子と等しくなり、再
生光が得られるようになる。
【0019】ここで、図1(c)に示した光ビームに対
する媒体の屈折率を考えてみる。光の電場への空間電場
の射影が屈折率変調に寄与する。したがって、図1
(c)に示した媒体中の左のグループの空間電場は、深
さ方向のデンバー電場が重畳されたため、その方向が光
の進行方向とほぼ一致する。このため、光の電場への空
間電場の射影ベクトルは小さく、屈折率変調への寄与は
小さい。一方、図1(c)に示した媒体の右側のグルー
プの空間電場は、デンバー電場重畳によりその方向が光
の進行方向と約π/2の角度をもつ。こうして、光の電
場方向への空間電場の射影ベクトルの大きさは非常に大
きくなり、その結果、屈折率変調に大きく寄与すること
になる。最終的に、照射した干渉縞と同じ波数の屈折率
格子が、第1の発明のホログラム記録媒体に書き込まれ
ることになる。
【0020】第1の発明のホログラム記録媒体における
電荷発生材としては、書き込み光を吸収して電荷を発生
する任意の材料を用いることができる。かかる材料とし
ては、例えば、セレンおよびセレン合金、CdS、Cd
Se、AsSe、ZnO、α−Siなどの無機光導電
体、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、また
それらの誘導体等のフタロシアニン色素/顔料、ナフタ
ロシアニン色素/顔料、モノアゾ、ジスアゾ、トリスア
ゾなどのアゾ系色素/顔料、ペリレン系染顔料、インジ
ゴ系染顔料、キナクリドン系染顔料、アントラキノン、
アントアントロン等の多環キノン系染顔料、シアニン系
染顔料、例えば、TTF−TCNQで代表されるような
電子受容性物質と電子供与性物質とからなる電荷移動錯
体、アズレニウム塩、C60、C70で代表されるフラーレ
ンならびにその誘導体等が挙げられる。
【0021】これらの電荷発生材は、単独で使用しても
2種類以上の化合物を使用しても構わない。電荷発生材
は、書き込み光を吸収して電荷を発生するものである必
要があるので、書き込み光に対する光学濃度が非常に高
い電荷発生材を用いた場合には、素子の内部の電荷発生
材まで書き込み光が到達しないおそれがある。このよう
な不都合を避けるために、素子とした際の光学密度が1
-6から10の範囲であることが好ましい。
【0022】また、電荷発生材の添加濃度が高すぎる場
合も、内部まで書き込み光が到達しないため、内部まで
書き込むことが困難となる。一方、添加濃度が過剰に低
い場合には発生する電荷密度が低く、所望の内部電場が
得られない。したがって、電荷発生材の添加濃度は、素
子としたときの光学密度が10-6から10の範囲内とな
るように調整することが好ましい。
【0023】電荷発生材の添加量は、具体的には、記録
媒体全体に対して0.001重量%〜15重量%程度と
することが望まれる。0.001重量%未満の場合に
は、光照射で発生する単位体積当たりの電荷が小さく、
十分な内部電荷の発生が困難となり、一方15重量%を
越えると、電荷発生材同士の会合確率が高くなり、媒体
の導電率が上昇して高い内部電場を発生できなくなるお
それがある。
【0024】第1の発明においては、上述したような電
荷発生材の含有率を、媒体の膜厚方向で均一とせずに光
照射面で最大とし、さらに電荷発生材の含有率は膜厚方
向で単調減少させる。媒体の照射面における電荷発生材
の含有量は、電荷発生材の用いる光に対する吸収係数等
に応じて決定することができるが、例えば、15重量%
程度とし、一方、照射面に対向する側での電荷発生材の
含有量は、0.001重量%程度とすることができる。
電荷発生材の含有率は、媒体の照射面側から対向する側
に向けて、少なくとも10重量%程度減少していること
が望ましい。なお、50重量%程度減少していることが
より好ましく、80重量%程度以上が最も好ましい。電
荷発生材の含有率の変化量が上述した範囲未満の場合に
は、本発明の目的を達成することが困難となる。
【0025】また、第1の発明のホログラム記録媒体に
用いられる電荷輸送材は、ホールまたはエレクトロンを
輸送するものであり、例えばホッピング伝導により電荷
を輸送する機能を有する任意の材料を使用することがで
きる。電荷輸送材は、分子単独でもポリマーでも、さら
には他のポリマーとの共重合体となっていてもよい。例
えば、以下に列挙するものが挙げられる。すなわち、イ
ンドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾ
ール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサ
アジアゾール、ピラゾリン、チアチアゾール、トリアゾ
ールなどの含窒素環式化合物、またはその誘導体、また
はこれらを主鎖または側鎖に有する化合物、ヒドラゾン
化合物、トリフェニルアミン類、トリフェニルメタン
類、ブタジエン類、スチルベン類、アントラキノンジフ
ェノキノン等のキノン化合物類またはその誘導体、また
はこれらを主鎖または側鎖に有する化合物、C60、C70
等のフラーレンならびにその誘導体である。さらには、
ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ
アニリン等のπ共役系高分子やオリゴマー;またはポリ
シラン、ポリゲルマン等のσ共役系高分子やオリゴマ
ー;アントラセン、ピレン、フェナントレン、およびコ
ロネンなどの多環芳香族化合物等が挙げられる。
【0026】電荷輸送材の添加量は、記録媒体中5〜9
0重量%程度であることが望まれる。5重量%未満の場
合には十分な機能を得ることが困難となり、一方90重
量%を越えると、空間電荷が保持されにくく光記録媒体
として機能しないおそれがある。
【0027】上述したような電荷発生材から生じたキャ
リアは、電荷輸送材に注入された後、電荷輸送材間を移
動して電場を形成する。したがって、用いる電荷輸送材
のイオン化ポテンシャルおよび電子親和力は、他の分子
と以下に示す関係を有していることが望ましい。すなわ
ち、キャリアがホールの場合には、電荷発生材のイオン
化ポテンシャルIP (CGM)と、電荷輸送材のイオン
化ポテンシャルIP (CTM)とは以下の関係を満たす
ことが好ましい。
【0028】IP (CTM)<IP (CGM) またこのとき、電子は電荷発生材から移動しないことが
要求されるため、電荷発生材の電子親和力χ(CGM)
と電荷輸送材の電子親和力χ(CTM)とは、以下の関
係を満たすことが好ましい。
【0029】χ(CTM)<χ(CGM) 一方、キャリアがエレクトロンの場合には、電荷発生材
および電荷輸送材のイオン化ポテンシャルおよび電子親
和力は、以下の関係にあることが望まれる。
【0030】IP (CGM)<IP (CTM) χ(CGM)<χ(CTM) さらにまた、例えば非線形光学材料等の他の分子やホス
トマトリックスとは、相互作用がないことが望ましい。
【0031】第1の発明のホログラム記録媒体に含有さ
れる電気光学効果を有する材料は、上述したような電荷
発生材や電荷輸送材を兼ねていてもよい。第1の発明の
ホログラム記録媒体は、例えば、電荷発生材の含有率が
異なる複数の層を積層することによって作製することが
できる。この場合には、まず、電荷発生材、電荷輸送材
および電気光学効果を有する材料を混合して溶液を得、
溶媒を蒸発させることによって所定の記録媒体を作製す
る。ここで用い得る溶媒としては、例えば、トリクロロ
エタン、トルエン等が挙げられる。あるいは、溶媒を用
いず、例えば分子混合物を加熱した状態で微粒子を混合
させ、急冷させることによって各層を作製した後、これ
を積層することにより第1の発明のホログラム記録媒体
を作製してもよい。
【0032】なお、第1の発明のホログラム記録媒体を
溶液から作製する場合には、溶液中に非線形光学分子を
溶解させてもよく、電荷発生材等の成分がポリマーでな
い場合には、さらにポリマーをマトリックスとして溶解
させてもよい。使用され得るポリマーとしては、例え
ば、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチ
ラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレン−ブタジ
エン共重合体樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用
いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0033】また、非線形光学材料としては、例えばC
60などを用いることができるが、上述したような電荷発
生材、電荷輸送材、あるいはマトリックスとしての機能
を兼ねてもよい。
【0034】さらに第1の発明のホログラム記録媒体
は、複数の層を積層する以外にも次のような方法で作製
することもできる。すなわち、電荷発生材を含有しない
層を予め形成し、この層の光照射面に向けて電荷発生材
を打ち込みドープすることによって作製してもよい。
【0035】次に、第2の発明の光記録媒体について詳
細に説明する。第2の発明のホログラム記録媒体におい
ては、吸収波長域の異なる少なくとも2種類の電荷発生
材を、電荷輸送材および電気光学効果を有する材料とと
もに配合することによって、膜方向のデンバー電場を重
畳することによる再生光を得ることを可能としたもので
ある。特に、第2の発明における電荷発生材のうち、少
なくとも1つは、その吸収波長域で書き込み光を吸収
し、残りの少なくとも1つは、その吸収波長域で書き込
み光を吸収せず、前記干渉縞を形成するための書き込み
光とは波長が異なる光を吸収し、該光の浸入長は前記干
渉縞を形成するための書き込み光の浸入長より短いもの
を用いる。ここで、吸収波長域とは次のように定義す
る。すなわち、400nmから800nmの波長域で測
定した電子スペクトルにおいて、最大の吸光度をAとし
たとき、0.1A以上の吸収を示す波長域を吸収波長域
とする。また、光の浸入長とは、光強度が入射光強度の
1/eとなる位置の入射表面からの深さである。
【0036】第2の発明のホログラム記録媒体には、書
き込み光(第1の光)を吸収する第1の電荷発生材と、
書き込み光以外の光(第2の光)を吸収する第2の電荷
発生材との少なくとも2種類の電荷発生材が含有されて
いるということができる。この第2の電荷発生材が第2
の光を吸収してデンバー電場を形成する光キャリアを発
生するので、前述の第1の発明の場合と同様にして再生
光が得られるようになる。第2の光の浸入長は、第1の
光の浸入長より短いことが必要であるが、第2の光の浸
入長が第1の光の浸入長の1/2以下であることが好ま
しく、1/10以下であることがより好ましい。
【0037】用い得る電荷発生材としては、前述の第1
の発明において説明したようなものが挙げられ、それら
のなかから吸収波長域の異なる2種以上の成分を適宜選
択して用いることができる。第1の電荷発生材は、書き
込み光を吸収して電荷を発生する必要があるので、素子
とした際の光学密度が10-6から10の範囲となるよ
う、その添加濃度等を決定することが好ましい。一方、
第2の電荷発生材は、上述したように第2の光を吸収し
てデンバー電場を形成する光キャリアを発生するもので
あるので、第2の電荷発生材の第2の光の吸収係数等に
応じてその添加量を適宜決定することができる。
【0038】このような第1の電荷発生材および第2の
電荷発生材の効果を損なわない範囲内で、さらに別の電
荷発生材を配合してもよい。また、電荷輸送材として
も、第1の発明のホログラム記録媒体において説明した
ような成分を配合することができ、その配合量も同様で
ある。すなわち、記録媒体全体に対して、5重量%〜9
0重量%程度とすることが好ましい。なお、用いる電荷
輸送材のイオン化ポテンシャルおよび電子親和力は、電
荷発生材のイオン化ポテンシャルおよび電子親和力との
間には、上述したような関係があることが好ましい。
【0039】第2の発明のホログラム記録媒体は、所定
の少なくとも2種類の電荷発生材を、電荷輸送材および
電気光学効果を有する材料とともに、所定の溶媒に溶解
させて溶液を得た後、溶媒を蒸発させることによって作
製することができる。あるいは、溶媒を用いず、例えば
分子混合物を加熱した状態で微粒子を混合させ、急冷さ
せることによって第2の発明のホログラム記録媒体を作
製してもよい。
【0040】なお、第1のホログラム記録媒体の場合と
同様に、電荷輸送材等の成分がいずれもポリマーでない
場合には、マトリックスとしてのポリマーを配合しても
よい。ここで使用し得るポリマーとしては、例えば、ア
モルファスで、かつ可視光領域でほぼ透明であるポリエ
ステルやPMMA、ポリスチレン等が挙げられる。
【0041】上述したような本発明のホログラム記録媒
体は、本発明の記録装置および再生装置を用いて情報を
記録・再生することができる。本発明のホログラム記録
媒体は、2つの光による干渉縞を形成することによって
情報が記録されるので、光源としては可干渉性(コヒー
レント)の光を用いることができる。干渉縞を得るに
は、同一の光源の光を分割して用いることが好ましい
が、出力波長の同じ2つの光源に相互に帰還をかける
(出力光を相手に入力する)等して、異なる光源を用い
ることも可能である。
【0042】情報を記録する際には、2つの光の一方に
情報を付加させ、これともう一方の光との間に生ずる干
渉縞を媒体に記録する。このため、2つの光間に光路差
を生じるので、コヒーレント長の短い光であると干渉縞
を生じない。このような理由から、光路差より長いコヒ
ーレンスをもつレーザーまたはエタロン等が、光源とし
て好ましい。通常、コンピューター用の端末やビデオ編
集、またはデータベース用メモリ等への応用を考える
と、装置内部での光路差は1cm以上程度と考えられる
ので、ガスレーザーや半導体レーザー、特に帰還をかけ
コヒーレンス長を長くした半導体レーザーが光源として
好ましく用いられる。
【0043】なお、外部から電場を印加して書き込んで
もよいが、電場を印加せずに書き込むときに本発明は特
に効果的である。本発明の記録装置は、情報の記録に用
いる干渉縞を形成する光(第1の光)を照射するための
第1の光源に加えて、この第1の光とは波長が異なり、
媒体への侵入長がより短い光(第2の光)を照射する機
能(以下、第2の光源と称する)をさらに備えた装置で
ある。なお、光検出器を具備する再生装置に上述したよ
うな第2の光源を設ければ、本発明の再生装置とするこ
とができる。さらに、本発明の記録装置および再生装置
は、2つの機能を兼ねていてもよい。
【0044】かかる装置を用いることによって、再生光
を容易に得ることが可能となる。デンバー電場は、媒体
に記録された情報を読み出すときまでに形成されればよ
いので、上述したような第2の光の照射は、書き込み時
および読み出し時のいずれとしてもよい。
【0045】本発明の記録装置においては、第2の光は
記録光を照射し終える前に照射することが望ましく、本
発明の再生装置においては、読み出し終える前までに第
2の光を照射することが好ましい。これは、第2の光照
射により生成するデンバー電場を記録時または再生時の
電場に寄与させるためである。
【0046】なお、生じるデンバー電場を十分に高くさ
せるために、このような第2の光源に対する本発明のホ
ログラム記録媒体の光学密度は、書き込み光のそれより
も高いことが必要である。
【0047】第2の光源から照射される第2の光は、媒
体に含有される電荷発生材によって媒体の表面近傍で吸
収される波長の光であり、記録光および参照光とは波長
の異なる光である。また、干渉縞を照射している場所に
第1の光と同時に又はそれに先だって照射されればよい
ため、第2の光は、必ずしもコヒーレント光である必要
はない。さらに、第2の光を照射するのは干渉縞を照射
する部分であって、第2の光の照射面積と干渉縞の照射
面積が極端に相違しなければ、どちらが大きくても構わ
ない。
【0048】このような第2の光を媒体に照射する角度
は、特に限定されず、記録光や参照光と異なる角度で照
射してもよい。また、その照射開始時間は、記録装置に
おいては、干渉縞を照射する以前であることがより好ま
しいが、干渉縞を照射し終える前であれば、干渉縞照射
開始後でも構わない。再生装置においては、第2の光の
照射開始時間は、読み出し光を照射する前がより好まし
いが、読み出し光照射終了前であれば、読み出し光を照
射開始後でも構わない。
【0049】またさらに、本発明の記録装置は、媒体上
の記録場所を変化するために、x,y,z方向への駆動
モーターなどを兼ね備え光源または媒体を移動させるこ
とができる機能または、ミラー類例えばマイクロミラー
などを兼ね備え、光路を変えることができる機能を具備
していることが好ましい。
【0050】上述したような本発明の記録装置および再
生装置は、本発明のホログラム記録媒体以外にも適用す
ることができる。具体的には、情報を記録するための第
1の光源の波長と、第2の光源の波長とを、電荷発生材
の吸収波長に応じて適宜変更することによって、所望の
効果を得ることが可能である。
【0051】なお、本発明のホログラム記録媒体に記録
された情報は、以下のような2種類の方法で消去するこ
とができる。第1の方法は、媒体に一様に光を照射した
り熱を加えることによってトラップされた電荷を再分布
させ、電荷分布を一様にする方法であり、第2の方法は
トラップされた電荷を極性の反対の電荷と再結合させる
方法である。
【0052】電荷分布を一様にする第1の方法は、媒体
の広い領域に記録された情報を消去するのに適した方法
であり、一方、電荷を消去する第2の方法は、局所的に
書き込まれた記録を消去するのに適している。この場
合、極性の反対の電荷を発生する機構を媒体に付与する
必要があり、例えば、発生する電荷がキャリアの場合に
は、エレクトロン発生材およびその輸送材を含有させる
必要がある。
【0053】本発明のホログラム記録媒体は、電荷発生
材の含有率に傾斜を設けることによって、あるいは、特
定の2種類の電荷発生材を配合することによって、D/
μを大きくするとともに、膜方向のデンバー電場を重畳
することを可能とした。このため、外部から電場を印加
しなくても内部電場を形成することができ、回折効率は
高く記録の保存安定性に優れ、しかも再生光を容易に得
られるホログラム記録媒体が実現された。
【0054】また、本発明の記録装置、再生装置におい
ては、干渉縞を形成するための記録光とは波長が異な
り、侵入長のより短い第2の光を照射するための第2の
光源を備えているので、情報が記録された媒体から再生
光を容易に得ることが可能となった。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例および比較
例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明
はこれらの例に限定されるものではない。 (実施例1)まず、以下に示す処方で各成分をトルエン
に分散および溶解して、第1のトルエン溶液を調製し
た。
【0056】 非線形光学材料および電荷発生材: カーボンクラスターC70 0.3重量% 電荷輸送材:(M−1) 40重量% マトリックス:ポリスチレン 59.7重量% さらに、以下に示す処方で各成分をトルエンに分散およ
び溶解して、第2のトルエン溶液を調製した。
【0057】 非線形光学材料および電荷発生材: カーボンクラスターC70 3.0重量% 電荷輸送材:(M−1) 40重量% マトリックス:ポリスチレン 57.0重量% ここで用いた各成分を、以下の化学式に示す。
【0058】
【化1】
【0059】
【化2】
【0060】
【化3】
【0061】式中、nは整数である。得られた第1のト
ルエン溶液を加熱減圧することにより溶媒を除去して乾
燥物質を得た。一方、石英基板を予め120℃に加熱し
ておき、この上に膜厚調整用のスペーサーおよび前述の
乾燥物質を配置して溶解させた。さらに、その上からも
う1枚の石英基板を押し当てることにより、膜厚150
μmの第1の層を作製した。その後、上部の石英基板を
取り去って、第1層の上に第2のトルエン溶液を塗布
し、乾燥させて膜厚約0.2μmの第2の層を形成し
た。
【0062】光記録媒体としての性能を評価するため
に、光照射によってできる膜内に形成された電場に起因
する光学特性の変化による回折格子の回折効率の測定を
行なった。
【0063】図2は、本発明の記録媒体を用いた書き込
み・読み出しの原理を説明する模式図である。図示する
ように、ヘリウム−ネオンレーザーのビームを物体光2
と参照光3との二つに分け、試料1上で交わるように照
射することにより、試料にレーザー光による干渉縞を形
成した。こうして生じた干渉縞により内部電場が発生し
て光学特性の変調が起こり、媒体に回折格子が形成され
る。光記録媒体として利用する場合には、物体光を記録
する物体からの反射光または液晶表示素子等で構成され
る透過型の画像表示素子(ページャ)を透過させた光を
試料上に照射し、これに交わりかつ照射面を被覆するよ
うに参照光を照射する。さらに、第2の光源からの波長
480nmの光4を干渉縞に重なるようにして試料1に
照射して、このまま1分間放置して書き込みを行なっ
た。
【0064】その後、物体光2と波長480nmの光4
とを遮断し、書き込み時と同様の参照光3のみを照射す
ることによって再生を行なった。書き込みが行なわれて
いれば、上述したように媒体に回折格子が形成されてい
るので、参照光3は媒体により回折され、参照光3から
物体光2の透過方向への反射方向成分5と、透過方向成
分6とに分けられる。
【0065】そこで、物体光が透過してくる方向5に、
再生ビームの強度を測定するための光パワービームや再
生像を取り込むためのCCD等の光検出器7を予め設置
しておけば、この光検出器によって照射していないはず
の物体光、すなわち再生像が観測され、光メモリーとし
て機能する。
【0066】ここで、参照光に再生される物体光の強度
(Iobj.)と照射した参照光の強度(Iref.)との比
(Iobj./Iref.)を回折効率として求めた。前述の手
順にしたがって測定された本実施例の膜の回折効率は、
30.0%であり、記録は約8ヶ月間読みとり可能であ
った。
【0067】(実施例2)実施例1で用いたホログラム
記録媒体を用いて、第2の光源からの光を読み出し時に
照射して、読み出しが可能かどうか調べた。具体的に
は、第2の光源からの光4を、書き込み時ではなく読み
出し時に照射した以外は、上述の実施例1と同様の物体
光2、参照光3および第2の光源からの波長480nm
の光4を用いて同様のホログラム記録媒体に書き込み・
読み出しを行なった。
【0068】書き込まれた媒体には、物体光2と参照光
3との重ね合わせで生じた干渉縞に応じた内部電場の回
折格子が形成されている。そこに、第2の光源からの波
長480nmの光4を照射すると、デンバー効果による
電場が、予め書き込まれた電場に重畳されて、書き込み
時に照射した干渉縞に応じた屈折率格子が形成されるこ
とになる。したがって、読み出し時に照射した参照光3
は媒体1により回折され、参照光3から物体光2の透過
方向への反射方向成分5と透過方向成分6とに分けられ
る。
【0069】実施例1の場合と同様にして回折効率を測
定したところ、30.3%と実施例1の場合とほぼ同程
度であった。また記録は、約9ヶ月間読みとり可能であ
った。
【0070】(実施例3)実施例1および2で用いたホ
ログラム記録媒体を用いて、第2の光源を用いずに書き
込み、読み出しが可能かどうか調べた。具体的には、第
2の光源からの光4を照射しない以外は、上述の実施例
1と同様の物体光2および参照光3を用いて同様のホロ
グラム記録媒体に書き込み・読み出しを行なった。
【0071】書き込まれた媒体には、物体光2と参照光
3との重ね合わせで生じた干渉縞に応じた内部電場の回
折格子が形成されている。このとき形成される内部電場
は、媒体の表面近くでの電荷の発生効率が高いため、膜
の深さ方向に強度が分布したものとなる。そのため、再
生時に照射した参照光3は媒体1により回折され、参照
光3から物体光2の透過方向への反射方向成分5と透過
方向成分6とに分けられる。
【0072】実施例1の場合と同様にして回折効率を測
定したところ、5.8%と読みとり可能であった。また
記録は、約1ヶ月間読みとり可能であった。 (実施例4)まず、以下に示す処方で各成分をトルエン
に分散してトルエン溶液を調製した。
【0073】 電荷輸送材:(M−1) 40重量% マトリックス:ポリスチレン 60重量% この溶液からキャストにより石英基板上に膜厚150μ
mの膜を作製した。次に、非線形光学材料および電荷発
生材として、カーボンクラスターC70を微粉砕させてト
ルエン中に分散させたものを、スプレーガンでキャスト
して作った膜に打ち込みドープさせた。これを乾燥させ
て試料とした。
【0074】光記録媒体としての性能を評価するため
に、光記録によって膜内に形成された電場に起因する回
折格子の回折効率を、実施例1の場合と同様にして測定
した。具体的には、実施例1と同様の物体光2、参照光
3および第2の光源からの波長480nmの光4を、上
述の試料に照射して書き込み、参照光3のみを照射して
読み出しを行なった。
【0075】実施例1の場合と同様にして回折効率を測
定したところ、25%であった。また、記録は約7ヶ月
間読みとり可能であった。 (比較例1)第2の層を形成せずに第1の層のみの単層
構造とした以外は、上述の実施例1と同様にして記録媒
体を作製した。すなわち、実施例1における第1のトル
エン溶液と同様の組成のトルエン溶液を調製し、これを
加熱減圧することにより溶媒を除去して乾燥物質を得
た。一方、石英基板を予め120℃に加熱しておき、こ
の上に膜厚調整用のスペーサーおよび前述の乾燥物質を
配置して溶解させた。さらに、その上からもう1枚の石
英基板を押し当てることにより、膜厚150μmの試料
を作製した。その後、上部の石英基板を取り去って、試
料を得た。
【0076】得られた試料の特性を実施例1の場合と同
様にして評価したところ、フォトリフラクティブ効果の
発現は認められなかった。 (実施例5)以下に示す処方で各成分をトルエンに分散
および溶解して、トルエン溶液を調製した。
【0077】 非線形光学材料および電荷発生材: カーボンクラスターC70 0.3重量% カーボンクラスターC60 1.0重量% 電荷輸送材:(M−2) 40.0重量% マトリックス:ポリスチレン 58.7重量% ここで用いた成分を、以下の化学式に示す。
【0078】
【化4】
【0079】
【化5】
【0080】得られた混合溶液を加熱減圧することによ
り溶媒を除去して乾燥物質を得、これを用いて前述の実
施例1の場合と同様の手法で膜厚150μmの試料を作
製した。
【0081】光記録媒体としての性能を評価するため
に、光照射によってできる膜内に形成された電場に起因
する光学特性の変化による回折格子の回折効率を、次の
ようにして測定した。
【0082】用いた装置の概略を図3に示す。図示する
装置は、ホログラフィックメモリー装置の一種であり、
信号光(または物体光)12と参照光13とを記録媒体
18に同時に照射し、そのとき生じる干渉縞を記録せし
める装置である。本実施例においては、第2の光源11
からの光を、再生時に媒体18に同時に照射する。信号
光の作成法としては、液晶などからなる空間変調器に光
を通す方法が一般的であるが、ここではマイクロミラー
を空間光変調器として用いた。
【0083】図3に示すように、レーザー光源8から照
射された光は、まずビームスプリッター9により2つの
光に分けられる。マイクロミラーアレイである空間光変
調器に光をあて、デジタル信号の情報を光にのせる。す
なわち、ミラーの傾きによって光を信号光の光路に導く
場合と導かない場合とによって情報を付加して、信号光
12を作成する。このとき、マイクロミラーアレイは、
同時に媒体18の所望の位置に信号光を導く作用も兼ね
る。また、マイクロミラーアレイに照射される光は、マ
イクロミラーアレイの大きさによっては、ビームエキス
パンダーなどでビーム径を広げてもよい。
【0084】一方、ビームスプリッター9で分割された
他方の光は参照光13となり、この参照光に、第2の光
源11からの光を混ぜる。記録媒体18の所望の位置に
ミラー10を配置して参照光13を導き、信号光12と
同時に媒体に照射することによって記録を行なう。
【0085】記録の読み出しは、第2の光源11からの
光と、参照光13とを、記録時と同様に媒体に照射する
ことによって行なう。再生された光14は、記録時に用
いたミラーとは媒体を介して反対側に位置するミラーや
レンズ16を用いて光検出器17に導き、電気信号とし
て情報を検出する。
【0086】具体的には、本実施例においては、信号光
12と参照光13とを光記録媒体18上で交わるように
照射することによって、光記録媒体に干渉縞を形成し
た。さらに、第2の光源11からの波長400nmの光
を30秒間照射して書き込みを行なった。
【0087】その後、信号光12と第2の光源11から
の波長400nmの光とを遮断し、書き込み時と同様の
参照光13のみを照射して読み出しを行なったところ、
記録した情報を読み出すことができた。また、記録は約
8ヶ月間読み出し可能であった。
【0088】(実施例6)実施例5で用いたホログラム
記録媒体を用いて、第2の光源からの光を読み出し時に
照射して、読み出しが可能かどうかの調べた。具体的に
は、第2の光源11からの光を、書き込み時ではなく読
み出し時に照射した以外は、上述の実施例5と同様の信
号光12、参照光13および第2の光源11から波長4
00nmの光を用いて同様のホログラム記録媒体に書き
込み・読み出しを行なった。
【0089】書き込まれた媒体には、信号光12と参照
光13との重ね合わせで生じた干渉縞に応じた内部電場
の回折格子が形成されている。そこに、第2の光源11
からの波長400nmの光を照射すると、デンバー効果
による電場が、予め書き込まれた電場に重畳されて、書
き込み時に照射した干渉縞に応じた屈折率格子が形成さ
れることになる。
【0090】実施例5の場合と同様にして光検出器17
で記録を読み出したところ、記録した情報を読み出すこ
とができた。また、記録は約8ヶ月間読み出し可能であ
った。
【0091】(実施例7)実施例5および6で用いたホ
ログラム記録媒体を用いて、第2の光源を用いずに書き
込み、読み出しが可能かどうか調べた。具体的には、第
2の光源11からの光を照射しない以外は、上述の実施
例5と同様の信号光12および参照光13を用いて、同
様の光記録媒体18に書き込み・読み出しを行った。
【0092】実施例5の場合と同様にして光検出器17
で記録を読み出したところ、記録した情報を読み出すこ
とができた。記録は約8ヶ月間読み出し可能であった。
媒体18には、物体光12と参照光13との重ね合わせ
で生じた干渉縞に応じた内部電場の回折格子が形成され
ている。このとき形成される内部電場は、媒体の表面近
くでの電荷の発生効率が高いため膜の厚さ方向に強度が
分布したものになる。そのため、参照光は媒体により回
折され、光メモリーとして機能したと考えられる。
【0093】(実施例8)以下に示す処方で各成分をト
ルエンに分散および溶解して、トルエン溶液を調製し
た。
【0094】 非線形光学材料および電荷発生剤: (G−1) 0.2重量% (G−2) 0.1重量% (G−3) 0.2重量% 電荷輸送材:(M−3) 35.0重量% マトリックス:ポリスチレン 64.4重量% ここで用いた各成分を、以下の化学式に示す。
【0095】
【化6】
【0096】
【化7】
【0097】
【化8】
【0098】
【化9】
【0099】得られたトルエン溶液を加熱減圧すること
により溶媒を除去して乾燥物質を得た。一方、石英基板
を予め120℃に加熱しておき、この上に膜厚調整用の
スペーサーおよび前述の乾燥物質を配置して溶解させ
た。さらに、その上からもう1枚の石英基板を押し当て
ることにより、膜厚150μmの試料を作製した。
【0100】光記録媒体としての性能を評価するため
に、光照射によって膜内に形成された電場に起因する屈
折格子の回折効率を、実施例1の場合と同様にして測定
した。具体的には、実施例1と同様の物体光2、参照光
3および第2の光源からの波長480nmの光4を上述
の試料に照射して書き込み、参照光3のみを照射して読
み出しを行なった。
【0101】実施例1の場合と同様にして回折効率を測
定したところ、20%であり、記録の寿命は1年以上で
あった。 (比較例2)非線形光学材料および電荷発生材として、
60を配合しない以外は、上述の実施例5と同様にして
記録媒体を作製した。具体的には、まず、以下に示す処
方で各成分をトルエンに分散および溶解して得られた溶
液を調製した。
【0102】 非線形光学材料および電荷発生材: カーボンクラスターC70 0.3重量% 電荷輸送材:(M−2) 40重量% マトリックス:ポリスチレン 59.7重量% こうして得られた混合溶液を加熱減圧することにより溶
媒を除去して乾燥物質を得た。一方、石英基板を予め1
20℃に加熱しておき、この上に膜厚調整用のスペーサ
ーおよび前述の乾燥物質を配置して溶解させた。さら
に、その上からもう1枚の石英基板を押し当てることに
より、膜厚150μmの試料を作製した。その後、上部
の石英基板を取り去って、試料を得た。実施例5の場合
と同様にして評価したところ、フォトリフラクティブ効
果の発現は認められず、読み出しはできなかった。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、拡
散係数Dと移動度μとの比(D/μ)が大きく、外部か
ら電場を印加しなくても光照射により高密度の情報を記
録可能であるとともに、無電場下で干渉縞照射により書
き込んだ記録から、再生光を容易に得られるホログラム
記録媒体が提供される。また本発明によれば、無電場下
で干渉縞照射により書き込んだ記録から、再生光を容易
に得られる記録装置および再生装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】デンバー効果重畳による無電場下における非局
所応答の発現モデルを説明する図。
【図2】書き込み・読み出しの原理を説明する図。
【図3】書き込み読み出し装置の一例を説明する図。
【図4】干渉縞を照射することにより生成するフォトリ
フラクティブ屈折率格子。
【符号の説明】
1…試料 2…第1の光源からの物体光 3…第1の源からの参照光 4…第2の光源からの第2の光 5…物体光の透過方向 6…参照光の透過方向 7…光検出器 8…レーザー光源 9…ビームスプリッター 10…ミラー 11…第2の光源 12…信号光(書き込み) 13…参照光 14…信号光(読み出し) 15…マイクロミラーアレイデバイス 16…レンズ 17…光検出器 18…光記録媒体

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電荷発生材、電荷輸送材および電気光学
    効果を有する材料を含有し、光の照射により干渉縞が形
    成されるホログラム記録媒体であって、 前記電荷発生材の含有量は、この記録媒体の前記光が照
    射される面において最大値を有し、膜厚方向で単調減少
    、光の照射により表面方向の電場および厚さ方向の電
    場が発生することを特徴とするホログラム記録媒体。
  2. 【請求項2】 電荷発生材、電荷輸送材、および電気光
    学効果を有する材料を含有し、光の照射により干渉縞が
    形成されるホログラム記録媒体であって、 前記電荷発生材は、吸収波長領域が異なる少なくとも2
    種類の成分を含み、 これらの成分の少なくとも1つは、前記干渉縞を形成す
    るための書き込み光をその吸収波長域内で吸収し、 残りの成分の少なくとも1つは、前記干渉縞を形成する
    ための書き込み光をその吸収波長域内で吸収せず、前記
    干渉縞を形成するための書き込み光とは波長が異なる光
    を吸収し、該光の浸入長は前記干渉縞を形成するための
    書き込み光の浸入長より短いことを特徴とするホログラ
    ム記録媒体。
  3. 【請求項3】 電荷発生材、電荷輸送材、および電気光
    学効果を有する材料を含有するホログラム記録媒体に、
    電磁波の干渉縞を記録する記録装置であって、 前記ホログラム記録媒体に干渉縞を形成するための第1
    の波長を有する第1の光を照射する第1の光源と、 前記干渉縞を形成するための第1の波長とは異なる第2
    の波長を有し、前記ホログラム記録媒体への侵入長が前
    記第1の光より短い第2の光を、前記ホログラム記録媒
    体における前記第1の光の照射面に照射するための第2
    の光源とを具備することを特徴とする記録装置。
  4. 【請求項4】 電荷発生材、電荷輸送材、および電気光
    学効果を有する材料を含有し、第1の波長を有する第1
    の光を照射することにより干渉縞が形成されたホログラ
    ム記録媒体の干渉縞を再生する再生装置であって、 前記ホログラム記録媒体に参照光を照射するための参照
    光光源と、 前記干渉縞を形成するための第1の波長とは異なる第2
    の波長を有し、前記ホログラム記録媒体への侵入長が前
    記第1の光より短い第2の光を、前記ホログラム記録媒
    体における前記第1の光が照射された面に照射するため
    の第2の光源と、 前記参照光光源から照射された参照光のうち、前記ホロ
    グラム記録媒体によって回折された成分を読みとる光検
    出器とを具備することを特徴とする再生装置。
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