JP3471986B2 - ホール素子及びそれを用いた電力量計 - Google Patents

ホール素子及びそれを用いた電力量計

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JP3471986B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ホール素子及び
それを使用した電力量計の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆるホール効果を生起するホール素
子は、磁束計や電力量計等の計測器類に広く利用されて
いる。
【0003】図11は、磁場が半導体表面に垂直に印加
される従来のホール素子1を示したもので、図11
(a)はそのホール素子の平面図、同図(b)及び
(c)は夫々図11(a)のX−X線及びY−Y線から
矢印方向を見た断面図である。
【0004】従来のホール素子1は次のような工程を経
て製造されていた。即ち、図11に示すように、P型不
純物導電型のシリコン基板等からなる半導体基板11の
基板上に、これとは導電型を異にしたN型不純物導電型
の半導体活性層12がエピタキシャル成長により形成さ
れる。次に、半導体活性層12の外側壁内に素子分離層
13が形成された後、その半導体活性層12上に、シリ
コン酸化膜等の絶縁膜14が形成される。更に、半導体
活性層12にホール素子部12Aを形成するため、夫々
複数の(図11では夫々2個の)電流電極端子15及び
センサ電極端子16が互いに交差するように設けられ
る。
【0005】電流電極端子15及びセンサ電極端子16
は、絶縁膜14への選択的エッチングによる開口部か
ら、まず半導体活性層12への拡散により夫々N+ 拡散
層15a、16aを形成し、その上にアルミニウム(A
l)が選択的に堆積されて形成される。
【0006】その後、ホール素子1は、図示しないが各
2個の電流電極端子15及びセンサ電極端子16が、絶
縁膜14上に形成された電極配線により、ボンディング
パッドに接続された後、外囲器内に収納され、等価的4
端子ブリッジが形成されるように構成される。
【0007】上記のように製造されたチップ状のホール
素子1は、主たる電流は一対の電流電極端子15間の間
で、半導体活性層12の表面に平行する方向に流れ、磁
場はその半導体活性層12の表面に垂直な方向に印加さ
れる。また、ホール素子1の活性領域、即ちホール素子
部12Aは、深さが約4.5μm、縦、横方向(X、Y
方向)がおよそ150μmの平板状の大きさに形成され
る。
【0008】そこで、ホール素子1による等価的4端子
ブリッジの各ブリッジ辺が夫々等しい抵抗値を示す場合
は、平衡(バランス)を示し、センサ電極端子16間に
不平衡電圧(オフセット電圧)が発生することがない。
【0009】しかしながら、ホール素子1の半導体活性
層12に機械的応力が加わると、ピエゾ抵抗効果により
半導体活性層12のキャリア量に部分的な変化が生じ、
各ブリッジ辺が異なった抵抗値を持つようになって、構
成された4端子ブリッジに不平衡電圧が発生する。この
ような現象は、ホール素子部12Aに熱的外乱が加わっ
たときも同様である。
【0010】従来のホール素子1は、上述のようにチッ
プ状に一体となって形成されているから、半導体活性層
12に対して、直接的あるいは間接的に、機械的あるい
は熱的外乱を受けるのは避け難いという性質があった。
特に、半導体基板11からの直接的な内部応力、また図
示しない外囲器から、あるいはホール素子1を例えばプ
リント基板への実装作業の際に外囲器を介して加わる外
部からの応力が、半導体活性層12に伝達され、4端子
ブリッジに不平衡電圧が発生しやすいという問題点があ
った。
【0011】このような不平衡電圧発生に対する従来の
対応策として、一つには、複数個のホール素子1を互い
に90度異なる向きに配置し、電流電極端子15及びセ
ンサ電極端子16を並列接続した、いわゆるオルソゴナ
ル接続法の採用がある。オルソゴナル接続法によれば、
90度向きを異にしたホール素子1同志の不平衡電圧の
極性が逆になり、互いに相殺されることからその不平衡
電圧の発生が回避されるとするものである。また他の対
応策には、半導体活性層12にゲート端子を設け、その
ゲート端子に外部から不平衡電圧の調整機能を付加し、
電気的フィードバック回路を接続して補償することも考
えられている。
【0012】また、他の対応策としては、半導体基板1
1の結晶方位と電流の向きの最適値を選択し、ピエゾ抵
抗係数の値が最も低くなるように押さえようとする方法
もある。更にまた、半導体活性層12、電流電極端子1
5、センサ電極端子16の相対パターン精度をできるだ
け向上させることによって、不平衡電圧の影響をできる
だけ少なく押さえる方法も考えられている。
【0013】このように、不平衡電圧発生への対応策と
しては、電気回路的補償処置や素子構造の精度を高める
等の対応策等種々考えられているが、そもそもホール素
子1自体がチップ状に一体的に形成されていることか
ら、半導体活性層12に外部から加わる機械的応力や熱
的影響を軽減することは容易ではなかった。特に、ホー
ル素子1の周囲温度は、外囲器から半導体基板11等を
介して、下方から、あるいは側方から半導体活性層12
に伝達されやすい。
【0014】ホール素子1を構成する半導体基板11は
シリコン等の半導体材料で構成されるが、半導体材料は
特有の温度特性を有する。図11に示したホール素子1
の温度特性はおよそ−5.7%/10℃であった。一般
的にN型不純物で不純物濃度がおよそ1016cm-3の場
合、電子の格子移動度は25℃〜100℃の間に約1.
6×103 〜8×102 cm2 /V・secまで変化す
ることが知られている(Helmut.Wolf著「S
ilicon SemiconductorData」
による)。従って、ホール素子1の比感度、入力抵抗な
どもその温度特性に比例して変化する。シリコン結晶材
料は、熱伝達係数が約1.57/cm・℃でどちらかと
いえば熱伝導係数が大きく、電子の格子移動度の温度係
数は約−11.6cm2 /Vsec ℃にもなり、%に変換す
るとほぼ−0.86%/℃と温度変化の大きい特性を有
する。この温度特性はホール素子1としての比感度の低
下のほか不平衡電圧や入力抵抗の増加をもたらすが、こ
れらは半導体の物性そのものに起因するものであるから
回避は容易でなかった。
【0015】図12は図11に示した従来のホール素子
による4端子ブリッジにおいて、試料数20について、
不平衡電圧を測定した分布図であるが、不平衡電圧は−
10〜+10mvまで幅広く分布した。
【0016】このように、従来のホール素子1では、機
械的応力あるいは熱的影響を受けやすいものであるが、
これを軽減するための電気的なフィードバック回路等は
構成が複雑となり、精度も十分ではなく満足し得るもの
ではなかった。特に、ホール素子1を電子式積算電力計
(電力量計)に使用される場合は、屋外など周囲温度条
件が厳しい環境で使用される場合が多いので、より簡単
な構成で、より一段と温度変化が小さく、検出誤差の少
ないホール素子の実現が要望されていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述のよ
うな点に鑑み、周囲温度変化や機械的外乱に対し安定
で、不平衡電圧の発生をより小さな値に押さえ得るホー
ル素子及びそれを使用した電力量計を提供するものであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】第一の発明は、ホール素
子において、半導体基板と、この半導体基板上に形成さ
れ、対をなす電流電極端子及びこの電流電極端子間をつ
なぐ線に交差して得られた対をなすセンサ電極端子が設
けられホール素子部を有する半導体活性層と、この半導
体活性層におけるホール素子部とそれ以外の部分間又は
前記ホール素子部と前記半導体基板間の少なくとも一方
に形成された空隙部とを有することを特徴とする。
【0019】上記のように、この第一の発明は従来と同
様に、半導体基板にホール素子部を形成するものではあ
るが、そのホール素子部の領域の少なくとも一片が半導
体基板と一体的につらなるものの、他の部分は空隙部に
よって他の半導体活性層又は半導体基板と分離する構成
としたものである。このように、半導体活性層のホール
素子形成領域(ホール素子部)の周囲の一部が空隙部に
より特に半導体基板から分離されることで、半導体基板
から直接的に、あるいは外囲器から間接的に、更にはプ
リント基板への実装に際しての熱的影響や機械的応力の
伝達が軽減され、熱的変化やピエゾ抵抗効果の発生が緩
和される。
【0020】第二の発明は、上記第一の発明によるホー
ル素子を電力検出用素子又は電力乗算用素子として電力
量計に組込んだことを特徴とする。
【0021】即ち、上記第一発明によるホール素子は、
空隙部の存在により、ピエゾ抵抗効果の影響が軽減され
るとともに、熱的変化による影響が軽減されるから、周
囲温度の環境が厳しい電力量計に採用することによっ
て、電力計測精度の向上が図れる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、この発明によるホール素
子、及びホール素子を用いた電力量計の一実施の形態を
図1乃至図10を参照して詳細に説明する。なお、図1
1に示した従来の構成と同一構成には、同一符号を付し
て詳細な説明は省略する。
【0023】図1はこの発明によるホール素子1の第一
の実施の形態を示す斜視図である。また図2は図1のX
−X線から矢印方向を見た断面図である。
【0024】即ち、ホール素子1は、まずP型シリコン
不純物導電型の半導体基板11上にN型不純物半導体か
らなる半導体活性層12が形成され、図2に示すよう
に、この半導体活性層12上に形成された絶縁膜14に
は、従来と同様に対をなす電流電極端子15と、この電
流電極端子15間をつなぐ線に交差してセンサ電極端子
16が構成されている。
【0025】この電流電極端子15及びセンサ電極端子
16は半導体活性層12にあって、ホール素子部12A
を形成するものであるが、この実施の形態では平板状を
なすホール素子部12Aの一片が半導体活性層12につ
らなっているものの、他の3片は空隙部17を介して、
同じ半導体活性層12の他の部分及び下方の半導体基板
11に面している。
【0026】即ち、この実施の形態では、ホール素子部
12Aは舌片状をなし、一方の電流電極端子15側のみ
の片が同じ半導体活性層12に一体化されているもの
の、他の3片は、半導体基板11に形成された凹状溝1
7a及び半導体活性層12に形成された貫通溝17bか
らなる空隙部17に面した構造をなしている。
【0027】なお、半導体活性層12は、移動度を高め
るため不純物濃度はおよそ1015/cm3 、層の深さは
比感度の関係から2〜5μmに形成した。また、絶縁層
14のエッチングを経て形成された電流電極端子15及
びセンサ電極端子16の各拡散層15a、16aは、濃
度がおよそ1020/cm3 のN型不純物拡散で深さ約1
μmに形成し、これら一対の各電流電極端子15及びセ
ンサ電極端子16間の間隔は約150μmとした。
【0028】また、半導体基板11と半導体活性層12
との間をPN接合分離とするため、半導体活性層12の
深さ(2〜5μm)に到達するまで、幅20μm以上の
P型拡散層による素子分離層13を形成した。なお、素
子分離層13の不純物濃度は約1018/cm3 とした。
【0029】更に、空隙部17の大きさは、熱遮断効果
及び後述する半導体基板11の加工技術の点から、半導
体基板11内での高さを1〜3μm、半導体活性層12
での幅を3〜10μmとした。
【0030】また、図1に示す斜視図で、各電流電極端
子15及びセンサ電極端子16とこれらに対応して設け
られたボンディングパッド15、16との間は、ア
ルミニウムによる電極配線15b、16bで接続されて
いる。各電極配線15b、16bの外側は、ホール素子
部12Aを形成した半導体活性層12とは空隙部17を
隔てて形成されているから、ボンディング時に加わる機
械的応力のホール素子部12Aへの影響が軽減される。
従って、このホール素子1による等価的4端子ブリッジ
を構成したとき、外部からの機械的応力がホール素子部
12Aへ伝達されるのが軽減されるから、ピエゾ抵抗効
果によるキャリア量の変化は少なくなり、不平衡電圧の
発生が回避される。
【0031】なお、ホール素子1による主たる電流は従
来のホール素子と同様に、半導体活性層12表面に平行
に流れ、磁場は半導体活性層12表面に対して垂直方向
に印加される、いわゆる横型ホール素子を形成する。
【0032】次に、図1及び図2に示したホール素子1
の製造工程を図3を参照し説明する。即ち、図3は図1
のY−Y線で切断して見た方向での製造工程を順次示し
たもので、図3(a)に示すように、まずP型不純物導
電型を持つシリコン基板等の半導体基板11を上方から
選択的に幅約180μm、深さ約1μm、長さ約180
μmの大きさにエッチングオフを行い、空隙部17の一
部となる凹状溝17aを形成する。次に、半導体基板1
1上に、半導体活性層12を構成する厚さ60μm程度
の他の半導体基板(第2の半導体基板)12aを接着剤
により貼り合わせ、その半導体基板12aの厚さが2〜
5μmとなるように表面を研磨し、その上にシリコン酸
化膜による絶縁膜3を形成する(図3(b))。
【0033】この結果、凹状溝17aは他の半導体基板
12aにより閉じられるが、半導体基板12aに舌状形
のホール素子部12Aを形成するために、凹状溝17a
につらなる貫通溝17bを、上方から見てU字状に、ト
レンチ(溝)エッチングにより形成し、図3(c)に示
すような空隙部17を有するホール素子1の基板が形成
される。
【0034】次に、図4(a)に示すように、空隙部1
7の内面に、熱酸化により厚さ約500nmの酸化膜1
8を形成する。このようにして、重要なホール素子部1
2Aの空隙部17に面した手前及び左右の外側面、及び
同じく空隙部17に面した半導体基板11及び他の半導
体基板12aの各面は酸化膜18により誘電体分離され
るので、ホール素子部12Aは電気的に安定したものと
なる。
【0035】なお、ホール素子部12Aと半導体基板1
1との接合部については、図示しないがホール素子の活
性領域を規定するためのパターン化が必要であるが、他
の半導体基板12aをN型としたためP型接合分離領域
とするのが適当であり、熱拡散により素子分離層(1
3)を形成する。
【0036】最後に、図4(b)に示すように、一対の電
流電極端子15、及び一対のセンサ電極端子16を形成
した後は、各電極15、16とこれらに対応したボンデ
ィングパッド(15、16)までアルミニウムによ
る電極配線を施す等、通常の半導体製造プロセスと同様
な過程を経てホール素子1が形成される。
【0037】なお、ホール素子部12Aが他の半導体基
板12と一体に構成される部分は、機械的強度が保たれ
る限り、機械的熱的外乱がホール素子部12Aに影響す
るのを回避するために、できるだけその部分の断面積が
小さい方が望ましい。
【0038】上記図3及び図4による説明の過程で、図
3(c)では、トレンチエッチングにより貫通溝17b
を形成することを述べたが、貫通溝17bを半導体基板
11の凹状溝17aにどのように位置合せするかが課題
となる。貫通溝17bを凹状溝17aに位置合せしてホ
ール素子1を製造する方法を図5を参照して説明する。
なお、図5では、図3及び図4とは相違し、凹状溝17
aのやや内側に位置合せを行って、貫通溝17bを形成
する場合を示しているが、工程の要部にかかわる部分の
みを示し、詳細な説明は省略している。
【0039】即ち、まず図5(a)に示すように、半導
体基板11にエッチングオフにより凹状溝17aを形成
する。次に、第2の半導体基板12aからなる半導体活
性層12を接着により半導体基板11上に張り付けるこ
とになるが、その張り付け前に、第2の半導体基板12
a内に予めマスク合わせの基準位置を決定し、その基準
位置領域に張り付け面側から深さ約10μm程度の高濃
度不純物拡散層12Bを形成した。次に、高濃度不純物
拡散層12Bの形成面が半導体基板11側になるように
して第2の半導体基板12aを張り付け、張り付け後の
表面を研磨することによって、高濃度不純物拡散層12
Bを露出させる。その後、沸酸及び硝酸の混合溶液に浸
すことによって、高濃度不純物拡散層12A表面がエッ
チングされ、図5(b)に示すように表面から明らかに
識別できる段差12Cが形成される。
【0040】そこで、この段差12Cを目印(基準位
置)として、凹状溝17aの位置を推し量ることができ
る。従って、第2の半導体基板12aのパターンニング
の位置合わせを段差12Cを基準として行うことによ
り、第2の半導体基板12aにトレンチエッチングによ
る、凹状溝17aに位置合せされた貫通溝17bの形成
が行われる(図5(c))。
【0041】その後は、図3及び図4に示した工程と様
に、空隙部17内面に酸化膜18を形成し(図5
(d))、次に電流電極端子15及びセンサ電極端子1
6の構成(図5(e))を経て、ホール素子が形成され
る。
【0042】次に、上記第一の実施の形態では、半導体
基板11及び半導体活性層12をシリコン基板で形成し
たものとして説明したが、これらを高温動作に優れてい
るSOI(Silicon On Insulato
r)による基板により構成してホール素子1を製造する
ことができる。
【0043】図6はSOIにより半導体基板11及び半
導体活性層12を形成した場合の、この発明によるホー
ル素子の第二の実施の形態の説明図で、第一の実施の形
態と同様な製造工程を経ることから、要部の製造工程の
みを示している。
【0044】即ち、SOIからなる半導体基板11のエ
ッチングオフにより凹状溝17aを形成し、その凹状溝
17aを酸化膜19で埋めた後、表面を研磨して平坦化
する(図6(a))。次に、半導体基板11表面全体を
覆うように、半導体活性層となるSOIの第2の半導体
基板12aを載せ、接着剤で張り付ける(図6
(b))。このとき、第一の実施の形態の中の図5
(b)で説明したのと同様に、第2の半導体基板12a
には高濃度不純物拡散層12Bによる段差12Cを形成
した。
【0045】次に、第2の半導体基板12をトレンチエ
ッチングを施した後、酸化膜19のみをエッチングオフ
する沸酸系溶液にて処理し、所望の空隙部17を形成し
た(図6(c))。
【0046】以後は、図示しないが、第一の実施の形態
と同様に、空隙部17に側壁面に酸化膜を形成し、電流
電極端子15及びセンサ電極端子16を形成した後、A
lによる電極配線を行いホール素子を完成させる。
【0047】このように、半導体基板11及び半導体活
性層12となる第2の半導体基板12aをSOIにより
構成したことによって、温度特性の良好なホール素子を
得ることができる。なお、SOIは半導体基板11及び
第2の半導体基板12aのいずれか一方でも良い。
【0048】また、この実施の形態によるホール素子に
よれば、SOI基板による温度特性の改善とともに、空
隙部17が形成されたことにより、ホール素子部12A
は外部からの機械的応力や周囲温度による影響を軽減で
き、等価的4端子ブリッジを構成した場合に、不平衡電
圧の発生を大幅に軽減することができる。
【0049】図7は上記第一及び第二の実施の形態によ
るホール素子により、等価的4端子ブリッジを構成した
場合の不平衡電圧の分布図である。図12に示した従来
のホール素子1と同様に、試料数20のホール素子につ
いて測定した結果の分布を示しているが、上述のよう
に、空隙部17の存在により、半導体基板11及びホー
ル素子1を収納する外囲器等からの機械的応力が大幅に
緩和されることから、ピエゾ抵抗効果が軽減され、±
0.5mvの範囲内に収まり、不平衡電圧の発生が著し
く改善されたことを示している。
【0050】更に、この発明によれば、ホール素子1の
比感度も改善される。図8はこの発明の実施の形態によ
るホール素子1の比感度の温度依存性を実線(イ)で示
し、従来のホール素子の比感度(点線(ロ)で示す)と
比較して示した図である。この発明によるホール素子の
構造はホール素子の形成部の一部のみ半導体基板11に
残し、他の部分は空隙部17により分離しを形成とした
もので、図8に示した通り、温度補償回路の無い状態
で、温度特性が従来およそ−5.7%/10℃のもの
が、この発明によれば大幅に改善され、ほとんど温度変
化への依存が見られない程改善された。
【0051】以上説明のように、この発明のホール素子
によれば、温度特性が格段に改善されるため、格別補償
回路等を設けることなく、これを使用した計測機器等の
精度向上を図ることができる。
【0052】従って、例えば、自動車のエンジンクラン
クシャフト軸の回転数など、車輪の回転数の検出には2
50〜300℃の高温での厳しい環境にあるが、この発
明のホール素子は、そのような高温部での使用に好適で
ある。上記第二の実施の形態で説明した温度特性の良好
なホール素子を、車の車輪の回転数検出用に採用した場
合、空隙部17の存在による温度特性の改善と、高温動
作に優れたSOIの特性とが相俟って、PN接合のリー
ク電流が抑制され、また半導体基板11そのもののドリ
フト電流を押さえることができるので、300℃程度ま
での高温状態でも高精度なホール感度検出が可能とな
る。
【0053】次に、上記各実施の形態によるホール素子
を、電力量計に適用したこの発明の第三の実施の形態に
ついて図9を参照して説明する。図9はホール素子1を
用いた電気量測定装置を示すもので、被測定系の電流を
その電流値に比例した電圧として出力する電流測定装置
である。なお、被測定系の電流が直流の場合は、出力は
直流電圧となり、被測定系の電流が交流の場合の出力は
交流電圧となる。
【0054】即ち、図9において、ホール素子1には、
一対の電流電極端子151、152と一対の電圧出力端
子であるセンサ電極端子161、162が設けられてい
る。一対の電流電極端子151、152間に定電流源2
から一定値の直流電流が流れ、被測定系の電流値に正比
例した磁界Bが紙面に垂直な方向に印加されると、一対
のセンサ電極端子161、162間に被測定系の電流値
に正比例したホール電圧が発生する。
【0055】センサ電極端子161、162のホール電
圧Va,Vbは減算器3に供給され、ホール電圧差(V
a−Vb)はk倍に増幅され出力端子4から出力され
る。ホール電圧差(Va−Vb)が被測定系の電流値に
正比例した値であり、出力端子4の出力電圧を読み取る
ことにより、被測定系の電流値が測定される。
【0056】また、ホール素子1は、ホール素子中のキ
ヤリアがホール素子表面近くに移動ルートをとった場合
は、機械的あるいは周囲温度等の外乱を受けやすく、逆
にホール素子1の内陸部に移動ルートをとった場合は外
乱を受けにくい。そこで、ホール素子1内には、そのよ
うなキヤリアの移動径路を制御するための半導体層LY
を備えている。
【0057】ホール素子1の一方の電流電極端子151
は演算増幅器5の反転入力端子(−)に接続され、この
反転入力端子(−)には、定電流源2からの一定値の直
流電流Iにより一対の電流電極端子151、152間に
発生する電圧Vが入力される。また、演算増幅器5の非
反転入力端子(+)には、基準電圧源6が接続され、基
準電圧Vr が与えられている。基準電圧Vr は、定電流
源2による一定値の直流電流Iと、電流電極端子15
1、152間の抵抗値、即ちホール素子1の所望のキャ
リア移動径路に対応する抵抗値Rとにより得られる電圧
Vr=I・Rに設定されている。
【0058】そして演算増幅器5の出力はホール素子1
内のキャリアの移動径路を制御するための半導体層LY
に接続されている。従って、1対の電流電極端子15
1、152間に発生する電圧Vが、基準電圧Vr と等し
くなるように、半導体層LYにフィードバック制御さ
れ、抵抗値Rが一定、つまりホール素子1中のキャリア
の移動径路が常に一定となるように制御される。なお、
演算増幅器5の非反転入力端子(+)及び反転入力端子
(−)への接続は、ホール素子1の半導体の構成によっ
ては入れ替り、常に負帰還回路が構成されるように接続
される。
【0059】このように、この実施の形態によれば、一
対の電流電極端子151、152間の抵抗値Rが常に一
定になるように制御されるから、ホール素子1中のキャ
リアの移動径路が、外乱の影響を受けにくい半導体内陸
部の領域に設定されるよう制御される。従って、出力端
子4からの出力電圧k(Va−Vb)は経年変化や外乱
の影響を受けず安定したものとなり、測定誤差が少なく
精度のよい電流測定が可能となる。
【0060】図10は、被測定系の電流値に正比例した
磁界Bを得る手段を示している。コイル端子T1,T2
に被測定系の電流Iを入力すると、コア7によりその被
測定系の電流に正比例した磁界Bが得られ、その磁界B
がホール素子1に印加される。
【0061】以上説明のように、この発明によるホール
素子によれば、ホール素子部は空隙によって他の半導体
活性部あるいは半導体基板と隔たりを有する部分を持つ
ので、外部からの機械的応力に基づくピエゾ抵抗効果に
よる影響や、周囲温度による影響を軽減でき、不平衡電
圧の発生が少なく安定した等価的4端子ブリッジを形成
することができる。
【0062】更にまた、この発明によるホール素子は高
温でもその影響を軽減し、高精度の測定を可能とするの
で、電力量計や車両の回転速度の検出素子として使用し
て顕著な効果を発揮するものである。
【0063】
【発明の効果】この発明はホール素子の温度特性の大幅
な改善、半導体ホール素子には必然的な外部乃至内部応
力による不平衡電圧を低減することを可能ならしめたも
のであり、実用上の効果大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるホール素子の第一の実施の形態
を示した斜視図である。
【図2】図1に示すホール素子のX−X断面図である。
【図3】図1に示したホール素子の製造工程を示すY−
Y断面図である。
【図4】図3に続きホール素子の製造工程を示すY−Y
断面図である。
【図5】図3及び図4に示すホール素子の製造工程のな
かで、特に空隙部17の形成工程を詳細に説明した工程
説明図である。
【図6】この発明による第二の実施の形態を説明したホ
ール素子の主要製造工程図である。
【図7】図1及び図6に示したホール素子の不平衡電圧
の分布図である。
【図8】図1及び図6に示したホール素子の比感度の周
囲温度特性図である。
【図9】この発明による第三の実施の形態を説明したも
ので、ホール素子を使用した電力量計を示す回路図であ
る。
【図10】この発明によるホール素子により電流値に正
比例した磁界を得る手段であるコアを示す斜視図であ
る。
【図11】図11(a)は従来のホール素子を示す平面
図、図11(b)は図11(a)のX−X断面図、図1
1(c)は図11(a)のY−Y断面図である。
【図12】図11に示したホール素子の不平衡電圧の分
布図である。
【符号の説明】
1 ホール素子 11 半導体基板 12 半導体活性層 12A ホール素子部 12a 第2の半導体基板 13 素子分離層 14 絶縁膜(酸化膜) 15 電流電極端子 16 センサ電極端子 17 空隙部 17a 凹状溝 17b 貫通溝 18 絶縁膜 19 酸化膜 2 定電流源 5 コア
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−162055(JP,A) 特開 昭53−57983(JP,A) 特開 平7−153973(JP,A) 特開 平7−249804(JP,A) 特開 平3−11678(JP,A) 特開 昭51−74588(JP,A) 特開 昭57−210677(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/06 G01R 33/07

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凹状溝を有する第1の半導体基板
    と、前記第1の半導体基板上に配置された第2の半導体基板
    に設けられ、対をなす電流電極端子及び前記電流電極端
    子間をつなぐ線に交差する方向に対をなすセンサ電極端
    子が設けられたホール素子部を有する半導体活性層と、 前記半導体活性層に設けられ前記 凹状溝に連なる貫通溝
    と、前記凹状溝とを有する空隙部 とを備えることを特徴
    とするホール素子。
  2. 【請求項2】 前記第2の半導体基板をSOIで構成し
    たことを特徴とする請求項記載のホール素子。
  3. 【請求項3】 前記空隙部に面する前記ホール素子部の
    前記半導体活性層及び前記第1の半導体基板
    少なくとも一方に酸化膜を形成したことを特徴とする請
    求項1又は2記載のホール素子。
  4. 【請求項4】 前記第1の半導体基板と前記第2の半導
    体基板とは互いに異なる導電型で構成したことを特徴と
    する請求項1又は2記載のホール素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項のうちいずれか1
    の請求項記載のホール素子を電力検出用素子又は電力乗
    算用素子として組込み構成されたことを特徴とする電力
    量計。
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