JP3471739B2 - α1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法 - Google Patents

α1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法

Info

Publication number
JP3471739B2
JP3471739B2 JP2000333621A JP2000333621A JP3471739B2 JP 3471739 B2 JP3471739 B2 JP 3471739B2 JP 2000333621 A JP2000333621 A JP 2000333621A JP 2000333621 A JP2000333621 A JP 2000333621A JP 3471739 B2 JP3471739 B2 JP 3471739B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
channel
human animal
pain
mouse
screening
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000333621A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002139485A (ja
Inventor
勉 田邊
弘尚 三枝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Corp filed Critical Japan Science and Technology Corp
Priority to JP2000333621A priority Critical patent/JP3471739B2/ja
Publication of JP2002139485A publication Critical patent/JP2002139485A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3471739B2 publication Critical patent/JP3471739B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α1ECa2+チャネ
ル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニ
ング方法、より詳しくは、電位依存性α1ECa2+チャネ
ルに依存する炎症性疼痛等の侵害受容性疼痛の予防・治
療薬のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電位依存的にカルシウムイオンを透過さ
せて情報伝達を行う膜タンパク質として知られる電位依
存性カルシウムチャネル(VDCC)は、L−、N−、
P−、Q−、R−、及びT−タイプと名付けられたいく
つかの性質的に異なるグループに分類されている(Cell
Ca24, 307-323, 1998、Rev. Physiol. Biochem. Pharm
acol. 139, 33-87, 1999)。これらのタイプのVDCC
は、神経伝達物質放出、膜興奮性、及び遺伝子発現のコ
ントロールを含むさまざまな神経細胞活性に対し重要な
役割を果たすことが知られている(Neuron 21, 13-26,
1998)が、各チャネルタイプの正確な役割は未だ明らか
となっていない。特に、R−タイプCa2+チャネル機能
の理解においては遅れている。R−タイプCa2+チャネ
ルは、もともとL−、N−、P−、Q−タイプCa2+
ャネルに対するブロッカーにおいてもチャネル耐性であ
ると定義され(Neuropharmacology 32, 1075-1088, 199
3)、従って、R−タイプ電流が、いくつかの異なる薬
物耐性Ca2+電流の混合物であるという可能性もある。
R−タイプCa2+チャネルは、特定の神経細胞のある一
定のセットにおける神経伝達物質の放出及び細胞体樹状
突起(somatodendritic)の興奮性に重大な役割を果た
すと示唆されているが(Neuropharmacology 32,1075-10
88, 1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 4720-472
5, 1998、J. Neurosci. 19, 726-736, 1999)、このチ
ャネルの生理的機能は未だ不明である。
【0003】VDCCは、α1、α2−δ、β及びγサブ
ユニットで構成される異種多重結合体(heteromultime
r)である。α1サブユニットは、チャネル機能に必須で
あり、各Ca2+チャネルのタイプを決定する。現在まで
に10種の異なるα1cDNA(α1A,α1B,α1C
α1D,α1E,α1F,α1G,α1H,α1I,α1S
がさまざまな組織からクローニングされ、このクローニ
ングされたα1サブユニットと天然Ca2+チャネルとの
関係を明らかにするために数多くの研究がなされてきた
(Rev. Physiol. Biochem. Pharmacol. 139, 33-87, 19
99)。α1サブユニットのほとんどは、選択的スプライ
シングによる分子的構造を持つことが知られており、ほ
とんどの場合、各α1のアイソフォームの機能的特性
は、関連する天然チャネルの特性と類似していることが
確認されている。しかし、α1Eサブユニットの場合、α
1Eサブユニットを有するCa2+チャネル(α1ECa2+
ャネル)が単一タイプのチャネルのみを表しているかど
うかは未だ明らかにされていない。
【0004】不均一系において発現する場合、T−タイ
プチャネルの透過性(J. Neurosci.16, 4983-4993, 199
6)と類似した透過性を有するα1Eサブユニットは、高
電位活性化型チャネルと低電位活性化型チャネルとの間
の活性化電位範囲、すなわち中間電位活性化型チャネル
であろうと考えられている(Science 260, 1133-1136,
1993、Pflugers Arch. 433, 523-532, 1997)。さら
に、α1E遺伝子の発現は、マウス精子形成細胞及びラッ
ト心筋細胞におけるT−タイプチャネルの存在と関連し
ている(FEBS lett. 388, 150-154, 1996、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA94, 14936-14941, 1997)。これらの結
果は、α1Eサブユニットが少なくともT−タイプCa2+
チャネル機能の側面を有することを示唆している。言う
までもなく、α1E遺伝子ファミリーの他のメンバーの発
現は、高電位活性化型チャネルを発生させ(Nature(Lon
don) 363, 455-458, 1993、Receptors Channels 2, 303
-314, 1994)、神経細胞系ラットα1E遺伝子の発現と神
経細胞系R−タイプ・チャネルとの相互関係が証明され
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 7760-7765, 199
8)、高電位により活性化されたR−タイプ・チャネル
におけるα1Eサブユニットの関連性を示唆している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】今日まで、哺乳類にお
いては10種のα1サブユニットが見い出されている
が、個々のα1サブユニットを有するチャネルがどのよ
うな生理機能を担っているかは必ずしも明確ではない。
特にα1Eサブユニットを有するCa2+チャネル(α 1E
2+チャネル)は、特異的なブロッカーも現在のところ
見い出されておらず、その生理機能がよくわかっていな
い。本発明の課題は、α1ECa2+チャネルの生理機能を
明らかにすると共に、電位依存性Ca2+チャネルに依存
する炎症性疼痛等の侵害受容性疼痛などのα1ECa2+
ャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリ
ーニング方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、α1ECa
2+チャネルの生理的機能を理解するため、薬理学的アプ
ローチではなく、遺伝子的アプローチが有効であると考
えた。そこで、ES細胞を用いたジーンターゲティング
によりα1E変異マウスを作製し、その生体における機能
を明らかにすることを試みた。まず、マウスα1Eサブユ
ニットをコードするカクナーレ(cacna1e)の第1エク
ソン内に核移行シグナルをつけた大腸菌βガラクトシダ
ーゼ(lacZ)遺伝子がインフレームで挿入されたタ
ーゲティングベクターを作製し、ES細胞J1に導入し
て相同組み換え体を得た。そして常法に従い変異マウス
を作製した。ホモ接合体変異マウス(α1E -/-)は自発
的運動の減少及び臆病性の兆候を示したが、他の一般的
行動は見たところ正常であった。一方、ヘテロ接合体変
異マウス(α1E +/-)を用いて、前記リポーター遺伝子
の発現によるX−gal染色を行うことによりα1Eサブ
ユニットの発現部位を検討したところ、α1Eサブユニッ
トが脳内だけでなく、後根神経節(DRG)及び脊髄後
角(SC)等の痛覚伝達コントロールに関連する様々な
部位で発現することを見い出した。最近、チャネルブロ
ッカーにより直接的に、又はレセプター/G−タンパク
質経路(Curr. Opin. Neurobiol. 8, 351-356, 1998)
により間接的に行うCa2+チャネル機能の調整が、痛覚
伝達をコントロールし、痛覚症状を和らげる治療手段と
して注目されている(Trends Pharmacol. Sci. 20,329-
337, 1999)。
【0007】そこで、上記α1ECa2+チャネル発現の痛
覚コントロールシステムにおける生理学的関連性をさら
に調べるために、α1E変異マウスを用いて痛覚伝達に関
する各種の行動学的試験を行った。その結果、いくつか
の試験で、ヘテロ接合体変異マウス(α1E +/-)及びホ
モ接合体変異マウス(α1E -/-)は、野生型マウス(α
1E +/+)とは異なった応答を示した。すなわち、ヘテロ
接合体変異マウス及びホモ接合体変異マウスは、急性の
機械的刺激、熱刺激、及び化学的刺激に対し正常な痛覚
行動を示したが、炎症性体性痛に対しては鈍い応答を示
した。ホモ接合体変異マウスは、野生型マウスに比べて
も見たところ正常な応答を示したが、ヘテロ接合体変異
マウスは、炎症性内臓痛に対し鈍い応答を示した。さら
に、内臓痛刺激で前感作したホモ接合体変異マウスは、
下行性疼痛抑制経路の長期的影響が有力な野生型マウス
とは非常に対照的で、炎症性体性痛に対し強い応答を示
した。これらの結果は、α1ECa2+チャネルが、脊髄及
び脊髄上位のレベルで痛覚行動をコントロールしている
ことを示している。これまで、痛覚関連現象が欠損した
遺伝子変異マウスに関しいくつかの発表がされている
が、本発明者らにより作製されたα1E変異マウスは下行
性疼痛抑制経路欠損の可能性を示す最初のケースであ
る。本発明はかかる知見に基づいて完成するに至ったも
のである。
【0008】すなわち本発明は、電位依存性Ca2+チャ
ネルα1Eサブユニット遺伝子変異非ヒト動物に被検物質
を投与し、該遺伝子変異非ヒト動物における侵害受容性
疼痛の程度を測定・評価することを特徴とするα1ECa
2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のス
クリーニング方法(請求項1)や、遺伝子変異非ヒト動
物における侵害受容性疼痛の程度を、野生型の非ヒト動
物の場合と比較・評価することを特徴とする請求項1記
載のα1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防
・治療薬のスクリーニング方法(請求項2)や、電位依
存性Ca2+チャネルα1Eサブユニット遺伝子変異非ヒト
動物が、電位依存性Ca2+チャネルα1Eサブユニット遺
伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物であることを
特徴とする請求項1又は2記載のα1ECa2+チャネル機
能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング
方法(請求項3)や、非ヒト動物がマウスであることを
特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のα1ECa2+
ャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリ
ーニング方法(請求項4)や、侵害受容性疼痛が炎症性
疼痛であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記
載のα1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防
・治療薬のスクリーニング方法(請求項5)や、電位依
存性Ca2+チャネルα1Eサブユニット遺伝子変異非ヒト
動物に由来する細胞・組織に被検物質を接触せしめ、該
細胞・組織につながった脊髄における電気生理学的応答
の程度を測定・評価することを特徴とするα1ECa2+
ャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリ
ーニング方法(請求項6)や、脊髄における電気生理学
的応答の程度を、野生型の非ヒト動物の場合と比較・評
価することを特徴とする請求項6記載のα1ECa2+チャ
ネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリー
ニング方法(請求項7)や、電位依存性Ca2+チャネル
α1Eサブユニット遺伝子変異非ヒト動物が、電位依存性
Ca2+チャネルα 1Eサブユニット遺伝子機能が染色体上
で欠損した非ヒト動物であることを特徴とする請求項6
又は7記載のα1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾
病の予防・治療薬のスクリーニング方法(請求項8)
や、非ヒト動物がマウスであることを特徴とする請求項
6〜8のいずれか記載のα1ECa2+チャネル機能障害に
起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法(請
求項9)に関する。
【0009】
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のα1ECa2+チャネル機能
障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方
法としては、電位依存性Ca2+チャネルα1Eサブユニッ
ト遺伝子変異非ヒト動物に被検物質を投与し、該遺伝子
変異非ヒト動物における侵害受容性疼痛の程度を測定・
評価(解析)するスクリーニング方法や、電位依存性C
2+チャネルα1Eサブユニット遺伝子変異非ヒト動物に
由来する細胞・組織に被検物質を接触せしめ、該細胞・
組織につながった脊髄における電気生理学的応答の程度
を測定・評価(解析)するスクリーニング方法であれば
特に制限されるものではないが、評価(解析)に際して
は、野生型の非ヒト動物の場合と比較・評価することが
好ましい。また、上記電位依存性Ca2+チャネルα1E
ブユニット遺伝子変異非ヒト動物としては、電位依存性
Ca2+チャネルα1Eサブユニットをコードする遺伝子D
NAの機能が染色体上で欠損したホモ接合変異非ヒト動
物(α1E -/ -)や、ヘテロ変異非ヒト動物(α1E +/-)を
挙げることができる。
【0011】上記電位依存性Ca2+チャネルα1Eサブユ
ニットをコードする遺伝子DNAの機能が染色体上で欠
損したホモ接合変異非ヒト動物(α1E -/-)とは、例え
ばα1 Eサブユニットをコードする非ヒト動物の内在性遺
伝子の一部もしくは全部が破壊・欠損・置換等の遺伝子
変異により不活性化され、野生型においてα1Eサブユニ
ットを発現する機能を失なった非ヒト動物等をいう。ま
た本発明における非ヒト動物としては、マウス、ラッ
ト、モルモット等の齧歯目動物を具体的に挙げることが
できるが、これらに限定されるものではない。以下、α
1Eサブユニットをコードする遺伝子機能が染色体上で欠
損した非ヒト動物の作製方法を、α1Eサブユニット遺伝
子機能が染色体上で欠損したマウスを例にとって説明す
る。
【0012】α1Eサブユニット遺伝子機能が染色体上で
欠損したマウス、すなわちホモ接合体変異マウス(α1E
-/-)は、例えば、マウス遺伝子ライブラリーからPC
R等の方法により得られた遺伝子断片を用いて、α1E
ブユニット遺伝子をスクリーニングし、スクリーニング
されたα1Eサブユニット遺伝子の一部又は全部を、例え
ばLac−Z遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等マーカ
ー遺伝子で置換し、必要に応じて、5′末端側にジフテ
リアトキシンAフラグメント(DT−A)遺伝子や単純
ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(HSV−tk)
遺伝子等の遺伝子を導入してターゲティングベクターを
作製し、この作製されたターゲティングベクターを線状
化し、マイクロインジェクション法、エレクトロポレー
ション(電気穿孔)法等によってES細胞に導入し、相
同的組換えを行い、その相同的組換え体の中から、X−
galによる染色あるいはG418やガンシクロビル
(GANC)等の抗生物質に抵抗性を示すES細胞を選
択する。この選択されたES細胞が目的とする組換え体
かどうかをサザンブロット法等により確認することが好
ましい。
【0013】上記組換えES細胞をマウスの胚盤胞中に
マイクロインジェクションし、かかる胚盤胞を仮親のマ
ウスに戻し、キメラマウスを作製する。このキメラマウ
スを野生型のマウスとインタークロスさせると、ヘテロ
接合体変異マウス(α1E +/-)を得ることができ、ま
た、このヘテロ接合体変異マウスをインタークロスさせ
ることによって、ホモ接合体変異マウス(α1E -/-)を
得ることができる。そして、かかるホモ接合体変異マウ
スにα1Eサブユニットが欠損しているかどうかを確認す
る方法としては、例えば、上記の方法により得られたマ
ウスの尾端の一部から尾DNAを分離してサザンブロッ
ト法等により調べたり、このマウスの神経細胞等からR
NAを単離してノーザンブロット法等により調べたり、
またこのマウスのα1Eサブユニットの発現をウエスタン
ブロット法等により調べる方法がある。
【0014】本発明のα1ECa2+チャネル機能障害に起
因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法として
は、ホモ接合体変異非ヒト動物(α1E -/-)及び/又は
ヘテロ接合体変異非ヒト動物(α1E +/-)、例えば、ホ
モ接合体変異マウス及び/又はヘテロ接合体変異マウス
に被検物質を投与し、好ましくはホモ接合体変異マウス
及び/又はヘテロ接合体変異マウスと、野生型マウス
(α1E +/+)、特に同腹の野生型マウスにそれぞれ被検
物質を投与し、該ホモ接合体変異マウス及び/又はヘテ
ロ接合体変異マウスにおける炎症性疼痛等の侵害受容性
疼痛の程度を野生型マウスにおける侵害受容性疼痛の程
度を比較・評価する方法を挙げることができる。上記侵
害受容性疼痛の程度の比較・評価としては、実施例に詳
しく説明されている、ホルマリンを用いて侵害受容器
(nociceptor)を直接刺激することによる痛覚応答の程
度の比較・評価や、ホルマリンによる炎症に誘発された
痛覚応答の程度の比較・評価や、酢酸の投与後の侵害受
容性応答(胴体部身震い)の程度の比較・評価や、酢酸
により感作したマウスにさらにホルマリン投与後の侵害
受容性応答の程度の比較・評価を挙げることができる。
また、α1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予
防・治療薬のスクリーニング方法における被検物質の投
与方法としては、経口投与、静脈投与等特に制限される
ものでなく、被検物質を投与した後、ホモ接合体変異マ
ウス及び/又はヘテロ接合体変異マウスと野生型マウス
における侵害受容性応答の程度が測定され、その比較・
評価が行われる。
【0015】他の態様の本発明のα1ECa2+チャネル機
能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング
方法としては、ホモ接合体変異非ヒト動物(α1E -/-
及び/又はヘテロ接合体変異非ヒト動物(α1E +/-)、
例えば、ホモ接合体変異マウス及び/又はヘテロ接合体
変異マウスに由来する細胞・組織に被検物質を接触せし
め、好ましくはホモ接合体変異マウス及び/又はヘテロ
接合体変異マウスに由来する細胞・組織と、野生型マウ
ス(α1E +/+)、特に同腹の野生型マウスに由来する細
胞・組織にそれぞれ被検物質を接触せしめ、該細胞・組
織につながった脊髄における電気生理学的応答の程度を
測定し、比較・評価(解析)する方法を挙げることがで
きる。細胞・組織につながった脊髄標本は文献(Neuros
cience Res. Supple. 7, S140, 1988)記載の方法に準
じて調製することができる。また、脊髄における電気生
理学的応答としては、脊髄後角の侵害反射電位の変化等
を例示することができる。
【0016】また、α1ECa2+チャネル機能障害に起因
する疾病としては、炎症性疼痛等の侵害受容性疼痛を具
体的に挙げることができ、本発明のスクリーニング方法
により得られるα1ECa2+チャネル機能障害に起因する
疾病の予防・治療薬は、経口的あるいは非経口的に投与
することができる。経口投与剤としては散剤、顆粒剤、
カプセル剤、錠剤などの固形製剤あるいはシロップ剤、
エリキシル剤などの液状製剤とすることができる。ま
た、非経口投与剤として注射剤、経皮製剤あるいは座薬
等とすることができる。これらの製剤は活性成分に薬理
学的、製剤学的に認容される助剤を加えることにより常
法に従って製造することができる。助剤としては、例え
ば、経口剤および粘膜投与剤にあっては、軽質無水ケイ
酸、澱粉、乳糖、結晶セルロース、乳糖カルシウム等の
賦形剤、カルボキシメチルセルロ−ス等の崩壊剤、ステ
アリン酸マグネシム等の滑沢剤などの製剤用成分が、ま
た注射剤にあっては、生理食塩水、マンニトール、プロ
ピレングリコ−ル等の溶解剤ないし溶解補助剤、界面活
性剤などの懸濁化剤などの製剤用成分が、さらに外用剤
にあっては、水性ないし油性の溶解剤ないし溶解補助
剤、粘着剤などの製剤用成分が使用される。また、投与
量は、対象疾患の種類、患者の年齢、性別、体重、症
状、投与形態に応じて適宜決定することができる。
【0017】傷みは不快な感覚と感情を伴い、通常、組
織の損傷によって、あるいは強い侵害性の刺激によって
引き起こされ、その原因により侵害受容性疼痛、神経因
性疼痛、心因性疼痛に大きく分けることができる。傷み
受容器(pain receptor)でのインパルスの発生、その
伝導、中枢神経系での処理は一括して侵害受容(nocice
ption)と呼ばれるが、本発明のα1ECa2+チャネル機
能障害に起因する疾病の予防・治療薬は、かかる侵害受
容を介しての傷みである侵害受容性疼痛に対する生体の
防御システムに重要な抗侵害受容性メカニズムを解明す
る上でも有用である。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明の技術的範囲はかかる実施例に何ら限定され
るものではない。なお、本実施例においては、すべてC
57Bl/6(B6)と129/Svとの交雑背景をも
つマウスを使用した。 実施例1(ターゲティングベクターの構築) マウスCACNA1E遺伝子を含むゲノムクローンを、
129/Svマウスゲノムライブラリー(Stratagene)
からラビットα1EcDNA(FEBS Lett. 308,7-13, 199
2)の184bp(nt1−184)フラグメントをプ
ローブとしてスクリーニングした。エクソン1を含むλ
ファージクローンを単離し、インサートをpBluescriptI
I KS(+)(Stratagene)へサブクローンした後、エ
クソン1のNotI部位からイントロン1のSstI部
位間の2.3kbフラグメントを除去し、α1E発現細胞
を検出することができるように、nlacZ(N末端に
核局在シグナルを有するE.coliのβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子)を、ホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター
(PGK−neo casette)からのネオマイシン耐性遺伝
子とともに、CACNA1Eのリーディングフレームに
読み枠を合わせて挿入することにより、ターゲティング
ベクターBIIZneoを構築した(図1A参照)。かかるタ
ーゲティングベクターBIIZneoのnlacZとPGK−n
eo casetteの両外側には、5′相同部位として1.3k
bのSalI−NotIフラグメント(SalI部位は
ベクターから)及び3′相同部位として7kbのSst
I−SstIフラグメントがそれぞれ形成されている。
また、ジフテリアトキシンAフラグメント遺伝子を、陰
性選択マーカーとして使用した(Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 87, 9918-9922, 1990)。CACNA1E遺伝子
のエクソン1の周辺の制限酵素地図及びターゲティング
ベクターの構造を図1に示す。図1A中、■はエクソン
1のコーディング領域を、neoはPGK−neo cassette
を、DT−Aはジフテリアトキシン−Aフラグメント遺
伝子を、EはEcoRIを、NはNotIを、SはSs
tI、XはXbaIをそれぞれ表している。
【0019】実施例2(変異マウスの作製) 線状化した上記ターゲティングベクターBIIZneoを、エ
レクトロポレーション法によって、129/Sv株由来
のJ1 ES細胞(Cell 69, 915-926, 1992)に導入し
た。ネオマイシン耐性ESクローンをG418によって
選択し、相同組換えが生起したES細胞クローンをサザ
ンブロット分析によりスクリーニングした。127個の
ESクローンのうち、相同組み換えが生起したアレルを
有することが確認された3個のクローンを用いて常法
(in Gene targeting. A practicalapproach, ed. Joyn
er, A.L. (IRL Press, Oxford), pp.107-146, 1993)に
より変異マウスを作製したところ、一匹のヘテロ接合体
変異マウス(α1E +/-)が得られ、次いでホモ接合体マ
ウスを得るために、このヘテロ接合体変異マウスをイン
タークロスしたところ、メンデルの法則に従いα1E欠損
変異マウス(α1E -/ -)を産生した。
【0020】実施例3(サザンブロット分析) 実施例2で得られたα1E欠損変異マウス等の尾DNAの
サザンブロット分析を行った。サザンブロット分析は、
尾DNAをSstIで切断した後、アガロースゲル電気
泳動により分離してニトロセルロース膜に固定し、DIG
High Prime(Boehringer Mannheim)を使用してDIG
(digoxigenin)でラベルしたプローブ(図1参照)を
用いてハイブリダイゼーションを行い、アルカリホスフ
ァターゼ(AP)でラベルした抗DIG抗体及びAPの
基質であるCSPD(Boehringer Mannheim)を用いて
検出することにより行った。サザンブロットの結果を図
1Bに示す。図1B中、3.5kbバンドは野生型対立
遺伝子(WT)に由来し、4.6kbバンドはターゲッ
ト対立遺伝子(Mut)に由来している。+/+は野生
型を、+/−はヘテロ接合体を、−/−はホモ接合変異
体をそれぞれ表している。
【0021】実施例4(RT−PCR分析) 次に、上記得られたα1E欠損変異マウス等の脳における
α1E遺伝子の発現を、脳RNAのRT−PCR分析によ
り調べた。RT−PCR分析は、AGPC法(Anal. Bi
ochem. 167, 156-159, 1987)によりマウスの脳の全R
NAを調製し、ランダムヘキサマー及びSuperscriptII
(Gibco BRL)をファーストストランドDNA合成に使
用した。このcDNA標本を、RNaseHで処理し、
PCRのテンプレートとして使用(0.1μgRNA同
等物を1回の反応に使用)した。PCRプライマーとし
ては、CACNA1E遺伝子のエクソン1におけるnl
acZ挿入部位の上流域に位置するmA1E−F1
(5′−AGCAGGAACCGACAAGGAACC
−3′:配列番号1)及びCACNA1E遺伝子のエク
ソン2に位置するmA1E−R1(5′−GGTGGC
CAGGATCATGTACTC−3′:配列番号2)
を用いた。RT−PCR分析の結果を図1C(レーン1
は野生型、レーン2はヘテロ接合体、レーン3はホモ接
合変異体)に示す。図1Cに示されるように、α1E -/-
サンプルにおける陽性シグナルは全く観察されなかっ
た。図1C中、231bpのフラグメントはCACNA
1E発現の特徴であり、Mは100bpのladder(Gibc
o BRL)を示す。
【0022】実施例5(ノーザンブロット分析) また、α1E欠損変異マウス等の脳におけるα1E遺伝子の
発現を、脳RNAのノーザンブロット分析により調べ
た。ノーザンブロット分析は、これらマウスの脳ポリ
(A)+RNA(2.5μg)を各レーンに載せ、α1E
のリピートII及びIII間における細胞質ループに関連す
るCACNA1EcDNAフラグメント(ほぼ1kb)
をプローブとしてブロットすることにより行った。ま
た、GAPDHプローブを、ローディングコントロール
として使用した(Gene 91, 185-191, 1990)。ノーザン
ブロットの結果を図1D(レーン1は野生型、レーン2
はヘテロ接合体、レーン3はホモ接合変異体)に示す。
図1Dに示されるように、α1E -/-サンプルにおける陽
性シグナルは全く観察されなかった。
【0023】実施例6(イムノブロット分析) さらに、これらマウスの脳膜タンパク質のイムノブロッ
ト分析についても行った。マウス脳からの100,00
0×g膜フラクションを、SDS−PAGEサンプルバ
ッファー(10mMTris−HCl:pH6.8、
0.005%クマシブリリアントブルー−G、1.5%
ドデシル硫酸ナトリウム、2M尿素、及び10mMdith
iothreitolを含む)に溶解させ、膜タンパク質(100
μg/レーン)を5%ポリアクリルアミド・ゲル上で分
離した。分離されたタンパク質を、フッ化ポリビニリデ
ン膜(Immobilon P、Millipore)に移し、ECLシス
テム(Amersham-Pharmacia)を用い、分子量ca.25
0kDの単一バンドを検知することができるウサギポリ
クローナル抗α1E抗体(Almone Labs)でブロットを検
出した。イムノブロットの結果を図1E(レーン1は野
生型、レーン2はヘテロ接合体、レーン3はホモ接合変
異体)に示す。図1Eに示されるように、α1E -/-サン
プルにおけるα1Eタンパク質は全く観察されなかった。
かかるα1E欠損変異が確認されたホモ接合変異体マウス
は、野生型同様の生存能力と繁殖力を有していた。
【0024】 実施例7(X−gal及びIB4によるダブル染色) β−gal活性を測定することにより、後根神経節(D
RG)及び脊髄後角(SC)におけるα1ECa2+チャネ
ルの発現を調べた。切開して取り出したSC及びDRG
を、4%パラホルムアルデヒド(PFA)/リン酸バッ
ファー食塩水(PBS)中で1時間潅流固定し、PBS
でゆすぎ、X−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−
インドリル β−D−ガラクトピラノシド)で一晩染色
した(Dev. Growth Differ. 40, 343-353, 1998)。そ
の後、それらをPBS中で4%PFAにより後固定し
た。ヘテロ接合変異体(α1E -/-)から得たSC全体の
後方及び断面におけるX−gal染色の結果をそれぞれ
図2A及び図2Bに示す。SC全体をX−galによっ
て染色した場合、SCの全縦方向に沿って、後角に濃い
青色染色が観察された。なお、図2A及び図2Bにおけ
る縮尺バーは1mmを示す。
【0025】β−gal発現細胞の性質を調べるため、
X−gal染色したSCを切断し、抗物質P抗体や植物
レクチンIB4でダブルラベリングした。パラフィン又
は凍結部位(7μm)を、ペルオキシダーゼ−ラベルの
IB4(Sigma)で文献(J.Histochem. Cytochem. 38,
1683-1686, 1990)記載の方法に準じて染色した。ペル
オキシダーゼの基質として、3,3′−ジアミノベンジ
ジンを使用した。一般的に、主要求心性侵害受容神経細
胞は、物質Pやカルシトニン遺伝子関連ペプチド等のペ
プチド神経伝達物質を産出するものと、酵素マーカーを
発現し、IB4に結合するものの2種類におおまかに分
類されている(Neuron 20, 629-632, 1998)。IB4の
結合(茶色シグナル)を、ヘテロ接合変異体由来のX−
gal染色SC部位において評価した結果を図2Cに示
す。図2Cに示されるように、X−galシグナルがI
B4シグナルの外側及び内側の両方で観察されたので、
ダブル染色の結果は、SCにおけるα1E発現細胞が層
I、II、場合によってはIIIに位置していることを示して
いる。従って、α1Eを発現する後角神経細胞の少なくと
も一部が、主要求心性侵害受容神経細胞により刺激され
ると考えられる。なお、図2Cにおける縮尺バーは10
0μmを示す。
【0026】同様に、α1E +/-マウス腰部の後根神経節
(DRG)全体のX−gal染色を行った。結果を図2
D及びEに示す。図2Dに示されるように、DRGのい
くつかの神経細胞はβ−galを発現した。α1Eを発現
する細胞型を調べるため、X−gal染色した腰部DR
G部位をIB4でダブルラベリングした。IB4の結合
(茶色シグナル)を、ヘテロ接合変異体由来のX−ga
l染色DRG部位において評価した結果を図2Eに示
す。図2Eに示されるように、いくつかのX−gal染
色された神経細胞もまたIB4で染色されている。図2
E中、X−galでのみラベリングされた神経細胞が矢
印で示されている。なお、図2Dにおける縮尺バーは
0.5mmを、図2Eにおける縮尺バーは50μmを示
す。
【0027】実施例8(X−gal染色後のRNAイン
サイチュー ハイブリダイゼーション) X−gal染色した腰部DRGの凍結部位(7μm)
を、文献(in Guide totechniques in mouse developme
nt, eds. Wassarman, P.M. & DePamphilis, M.L. (Acad
emic Press, San Diego), pp.368-370, 1993)記載の方
法に準じて、インサイチュー ハイブリダイゼーション
用に処理した。RT−PCRで増幅したマウスPPT−
A(preprotachykininA)の部分的なcDNAフラグメ
ント(0.8kb)を、pCRII(Invitrogen)にクロ
ーニングし、得られたプラスミドをDIG−ラベル リ
ボプローブ合成用のテンプレートとして用いた。AP−
ラベル抗DIG抗体(Boehringer Mannheim)及びAP
用基質としてのニトロブルー塩化テトラゾリウム及び5
−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸を用い、
ハイブリダイズしたプローブを検出した。PPT−A
cDNAフラグメントのクローニングに、SP−F1
(5′−GTCTGACCGCAAATCGAAC−
3′nt81−100、GenBank Accession No. D1758
4:配列番号3)及びSP−R1(5′−CAGGAA
ACATGCTGCTAGGA−3′nt902-921:配列
番号4)のプライマーを用いた。結果を図2Fに示す。
図2Fに示されるように、いくつかのX−gal染色さ
れた神経細胞もまたPPT−Aシグナルを示していた。
図2F中、X−galでのみラベリングされた神経細胞
を矢印で示した。なお、図2Fにおける縮尺バーは50
μmを示す。
【0028】(行動様式の研究)上記の実験から明らか
なように、α1ECa2+チャネルは痛覚伝達コントロール
に関連する主要求心性神経細胞である後根神経節(DR
G)及び脊髄後角(SC)で発現することがわかった。
また、実験者がマウスを拾い上げようとしたとき、ホモ
接合体変異マウス(α1E -/-)は、野生型マウス(α1E
+/+)と比べ、より激しくもがき、脱出を試みることが
多く、動物の異常感情状態が示された。そこで、以下に
示す不安関連試験や痛覚関連試験等の行動様式の研究を
行った。この行動様式の研究は、ブラインド実験形態と
し、データは平均値±SEMで表し、多重比較のための
Tukey試験、あるいはグループ間比較のためのStudent's
t試験により解析した。
【0029】実施例9(不安関連試験) 一連の実験開始時において生後6〜9週間の雌雄のマウ
スを用いた。全マウスを3つの行動様式パラダイムで連
続的に試験した。試験開始前にマウスを1週間別々に飼
い、毎日手で触れた。各セッション開始前に、試験装置
を1%酢酸で洗浄した。オープンフィールド試験は、5
0cm×50cm×40cmの大きさの塩化ポリビニル
(PVC)プレートで作製したオープンフィールドの中
央部に各マウスを移し、カラートラッキングシステム
(CompACT VAS;ムロマチキカイ、東京都)を用いて5
分間ロコモーター活性を測定した。高架かつ迷路試験
は、透明プラスチック壁をもつ2つのオープンアーム
(23cm×8cm)及び2つのクローズドアーム(高
さ15cm)で構成し、アーム及び中央広場は白色プラ
スチック(PVC)プレート製で床から50cmの高さ
にし、オープンアームを、プレクシグラス製の縁(高さ
3mm)で囲い動物が迷路から落ちるのを防いだ。各マ
ウスを、中央広場に移し、その行動を5分間ビデオ録画
し、1フレーム/秒のTIFFフォーマットデータとし
てビデオ画像を保存し、NIHImageプログラム
(米国National Institutes of Health開発、http://rs
b.info.nih.gov/nih-image/)から変換されたソフトで
あるNIHImageEP2.10(O'hara and Co. L
td.、東京都)を用いて、マッキントッシュコンピュー
ターで分析した。オープン及びクローズドアームで費や
された総時間数をそれぞれ計算した。また、聴覚刺激応
答試験は、刺激チャンバー(SR−LABシステム、サ
ンディエゴ)を用いて測定した。マウスの動きを観察す
るため底部に圧電性振動加速度計を設けたプレクシグラ
ス製円柱に各マウスを入れ、セッション開始時に5分間
雑音(65dB)にマウスをさらし、円柱の25cm上
方にあるスピーカーから聴覚刺激(105、115、又
は117dBの白色騒音パルスを任意順で、1msec
間ずつ)を与えた。音パルスの間隔は、30秒で、全体
で60パルス与えた。
【0030】ホモ接合体変異マウス(α1E -/-)の行動
は概ね正常に見えたが、オープンフィールド試験によっ
てわかったように、野生型マウス(α1E +/+)と比べ、
自発的なロコモーター活動のレベルが顕著に低下してい
た。計5分間のオープンフィールド試験における経路距
離(A)及び運動時間(B)の結果を図3A及び図3B
に示す(それぞれP<0.05及びP<0.01;+/
+はn=14、+/−はn=22、−/−はn=2
0)。α1E -/-マウスの場合、フィールドの中央領域
(内側の16個の升目)で費やされた時間の割合は著し
く低かった(図3C、D;P<0.05)。これらの結
果は、α1E -/-マウスがより高レベルの不安をもってい
ることを示している。しかし、高架かつ迷路試験及び聴
覚刺激応答試験においては、3種の遺伝子型間において
全く著しい差異が観察されなかった。高架かつ迷路試験
の結果を図3E(+/+はn=15、+/−はn=1
8、−/−はn=19)に示す。図3E中、白色柱はオ
ープンアームで費やした時間、黒色柱はクローズドアー
ムで費やした時間をそれぞれ表している。また、聴覚刺
激応答試験の結果を図3F(+/+はn=8、+/−は
n=10、−/−はn=15)に示す。図3Fには、1
05dB(白色柱)、115dB(灰色柱)、及び11
7dB(黒色柱)の刺激をそれぞれ与えたときの飛び上
がり応答の結果が示されている。
【0031】実施例10(痛覚関連試験) 前記のように、α1ECa2+チャネルが痛覚伝達に関与し
ている可能性が明らかとなったので、α1E変異マウスの
痛覚関連行動を分析した。全実験は、知覚のある動物の
実験的痛覚研究のための倫理的ガイドライン(in Core
curriculm forprofessional education in pain 2nd e
d., ed. Fields, H.L. (IASP Press, Seattle), pp.111
-112, 1995)に基づいて行われ、以下の痛覚関連試験は
東京医科歯科大学Animal Care Committeeにより承認さ
れている。生後15〜20週間の雌雄のマウスを使用し
た。実験開始前少なくとも1時間、マウスを防音の実験
室に順応させた。また、実験は明条件下(明:暗=1
2:12)で行われた。最初に、von Frey試験により機
械的刺激に対する限界を調べた。機械的刺激に対して5
0%が後足を引っ込める行動が、von Frey hairsで上下
パラダイムを用いて示された(J. Neurosci. Methods 5
3, 55-63, 1994)。結果を図4A(+/+はn=13、
+/−はn=21、−/−はn=24)に示す。各遺伝
子型の動物は限界における顕著な差異の兆候を示さなか
った。
【0032】次に、不快熱刺激への応答を足引っこめ試
験、尾引っこめ試験、及びホットプレート試験により調
べた。腰髄及び仙髄レベルそれぞれでの脊髄反射を調査
するために足引っこめ及び尾引っこめ試験を行い、脊髄
上位(supraspinal)の侵害受容への関与を調査するた
めにホットプレート試験を行った(Pain 22, 1-31, 198
5)。足引っこめ試験としては、後足を引っ込める潜時
を、Hargreavesの方法(Pain 32, 77-88, 1988)により
Ugo Basile足底試験装置を用いて測定した。試験は、高
強度(赤外線強度40)及び低強度(赤外線強度10)
で行い、両強度共にカットオフ時間は23秒とした。低
強度(白色柱;+/+はn=13、+/−はn=21、
−/−はn=24)及び高強度(黒色柱;+/+はn=
12、+/−はn=16、−/−はn=15)の不快熱
刺激に対する後足引っ込め応答潜時の結果を図4Bに示
す。尾引っこめ試験としては、マウスを軽く拘束しなが
ら、尾の3分の2を温水(48〜49℃)に浸し、尾引
っこめの潜時を記録した。カットオフ時間は25秒とし
た。結果を図4Cに示す(+/+はn=12、+/−は
n=17、−/−はn=15)。また、ホットプレート
試験は、3温度(50、52、55℃)で行い、後足を
舐めるまでの潜時を記録した。カットオフ時間は、50
℃で60秒、52℃で40秒、55℃で30秒とした。
ホットプレート試験において50℃(白色柱)、52℃
(黒色柱)、及び55℃(灰色柱)での後足を舐めるま
での潜時の結果を図4D(+/+はn=11、+/−は
n=17、−/−はn=15)に示す。足引っこめ試
験、尾引っこめ試験、及びホットプレート試験におい
て、遺伝子型間で統計学的な差異は全く観察されなかっ
た(図4B、C、D)ことから、α1E変異マウスの機械
的刺激及び不快熱刺激への応答は正常であることがわか
った。
【0033】次に、ホルマリン試験及び酢酸身震い試験
により炎症性疼痛に関連する応答を調べた。ホルマリン
試験は、マウスに軽いハロセン麻酔をかけ、ホルマリン
(食塩水中PFAが0.5%の10μl)を、後足の後
部表面に皮下注射した。その後、マウスを観察チャンバ
ーに移した。注射した足を舐めたり、噛んだりするのに
費やした時間(痛覚応答時間)を、注射後1〜3分及び
5〜7分(フェイズI)、そして注射後10〜47分の
期間では、5分毎に2分間(フェイズII)測定した。フ
ェイズIは、ホルマリンの侵害受容器(nociceptor)へ
の直接刺激による痛覚応答であり、フェイズIIは、ホル
マリンにより引きおこされた炎症による痛覚応答である
(in The Pharmacology of Pain, eds. Dickenson, A.
& Besson, J.- M. (Springer, Berlin), pp.1-20, 199
7)。ホルマリン試験の結果を図5Aに示す。図5Aに
は、野生型マウス(+/+;n=8)、ヘテロ接合体変
異マウス(+/−;n=7)及びホモ接合体変異マウス
(−/−;n=9)におけるホルマリン誘発による後足
を舐める挙動が示され、白色柱はフェイズI、黒色柱は
フェイズIIをそれぞれ表している。図5Aから、フェイ
ズIにおいては、野生型マウス及び変異マウス間で顕著
な差異は観察されなかったが、フェイズIIでの応答は、
α1E +/-マウス及びα1E -/-マウスにおいて著しく低下す
る(それぞれP<0.01、P<0.001)ことがわ
かる。
【0034】次に、末梢における炎症応答について調べ
た。PFA注射した右足の容積(V r)と、コントロー
ル左足の容積(Vl)を、plethysmometer(Unicom TK10
1、Unicom、千葉県)で測定することにより末梢におけ
る炎症を確認した。末梢炎症率(%)は、式;炎症率=
(Vr−Vl)/Vl×100により算出した。その結
果、ホルマリン注射による末梢における炎症応答におい
て差異は全く見い出されなかった(+/+及び−/−マ
ウスにおける周縁炎症率(%)はそれぞれ30.0±
5.3(n=7)及び29.8±3.9(n=5)であ
った)。以上のことから、α1ECa2+チャネルは、SC
及び/又はDRGレベルにおける炎症性痛覚の伝達に関
与し、このチャネルのブロッカーが抗侵害受容(nocice
ption)に対し有用であることがわかる。
【0035】酢酸の腹腔内注射により身震いと呼ばれる
典型的行動が誘発され、炎症による内臓痛のモデルとな
っている(in The Pharmacology of Pain, eds. Dicken
son,A. & Besson, J.- M. (Springer, Berlin), pp.1-2
0, 1997)。酢酸(0.6%)を腹腔内注射し(0.1
ml/体重10g)、20分間の身震い数を計測する身
震い試験の結果を図5B(+/+はn=6、+/−はn
=8、−/−はn=13)に示す。図5Bからもわかる
ように、0.6%酢酸の投与後の侵害受容性応答(胴体
部身震い)は、α1E +/-マウスにおいてのみ顕著に低下
した(P<0.05)。この結果は、α1ECa2+チャネ
ルの密度低下(正常値の半分程度)が、炎症による痛覚
低下に関与していることを示している。また、他のチャ
ネルがα 1E -/-マウスにおけるα1E欠損を埋め合わせる
可能性を明らかにしている。酢酸身震い試験の場合と比
べ、α1E -/-マウスのホルマリンへの応答がα1E +/+マウ
スより小さいという前記試験結果と合わせ考察すると、
両試験におけるα1E -/-マウスの応答の差異は、炎症性
の侵害受容(nociception)が異なるルートをたどるこ
とを反映している可能性がある。ホルマリンにより発生
した痛覚シグナルは腰部SCに入るが、酢酸により発生
した痛覚シグナルは胸部及び腰部SCに入る。埋め合わ
せのメカニズムがα1E -/-マウスにおいて起こるなら
ば、それは胸部レベルで起こると思われる。この点を確
かめるために、我々は、胸部及び腰部SCにおけるVD
CCのα1Aα1Bα1Cα1D及びα1Gサブユニットをコード
する遺伝子発現を、半量的RT−PCRにより調査し
た。しかし、両部位におけるこれらの遺伝子発現は、α
1E +/+マウス、α1E +/-マウス、及びα1E -/-マウス間に
おいて顕著には異ならなかった。今までのところ我々
は、埋め合わせメカニズムの存在を示すデータを得てい
ない。これら一連の根拠により、埋め合わせメカニズム
存在の可能性が自動的に排除されるわけではないが、α
1E -/-マウスにおける身震い応答が脊髄上位(supraspin
al)の抗侵害受容性経路の阻害により維持されていると
見ることができる。
【0036】次に、体内侵害受容性応答に対する内臓痛
刺激による感作の影響を調べた。マウスを酢酸(0.6
%酢酸)により感作した。痛覚応答は、酢酸注射1時間
後に収まった。次に、ホームケージにマウスを戻した。
マウスの行動は、正常なように見え、痛みの兆候を示さ
なかった。感作マウスをさらに18〜20日間休養さ
せ、後足にホルマリンを注射した。フェイズIにおける
ホルマリンへの応答は、α1E +/+マウスにおいてわずか
に低下したが、α1E +/-マウス及びα1E -/-マウスにおい
てはわずかに上昇した。フェイズIIでは、これに反し、
α1E +/+マウスとα1E -/-マウスとは互いに著しく対照的
な応答を示した(図5C)。α1E -/-マウスにおいて
は、ホルマリンを注射した無感作α1E -/-マウスと比
べ、フェイズII応答は著しく上昇した(P<0.01)
が、α1E +/+マウスは反対の応答を示した。α1E +/+マウ
スで観察された明白な痛覚抑制効果は、下行性疼痛抑制
系調節メカニズムの一例として解釈することができる。
図5Cにおける+/+はn=4、+/−はn=10、−
/−はn=10であり、無感作マウスのデータ(点付き
柱)も比較のために示されている。なお、無感作マウス
と比べ、感作したB6マウスにおいて著しいフェイズII
応答低下(P<0.001)も観察した(n=25)。
【0037】この新規下行性疼痛抑制経路は、拡散性痛
み抑制コントロール(DNIC)経路に幾分類似してい
るが、異なるものである(Biol. Res. 28, 113-125, 19
95)。本発明者らは最近、感作B6マウスにおけるこの
痛覚応答抑制がモルヒネ様ペプチドに非依存性ではある
が、セロトニンレセプター(5−HT2A/2C)拮抗薬に
感受性があることを明らかにした。これにより、下行性
疼痛抑制経路におけるセロトニンの関与を示した。α1E
-/-マウスにおいて観察された痛覚応答の上昇は、下行
性疼痛抑制経路の抑制効果の低下、また、下行性疼痛抑
制促通経路の活性化が損なわれていないことにより説明
することができる。現実に、同種類の刺激が脊髄上位レ
ベルで抗侵害受容性及び侵害受容性経路の両方を活性化
させることが知られている(Pain 78, 59-69, 1998)。
【0038】下行性疼痛抑制経路に関与するセロトニン
作動性神経細胞のプライマリーオリジンは延髄縫線核の
神経細胞であると考えられている(in Textbook of pai
n. 3rd ed., eds. Wall, P.D. & Melzack, R. (Churchi
ll Livingstone, Edinburgh), pp.243-257, 1994)。し
かし、α1E +/-における脳のX−gal染色は延髄にお
けるα1E発現を示さなかったが(図2G)、延髄神経細
胞活性をコントロールするといわれている(in Textboo
k of pain. 3rd ed., eds. Wall, P.D. & Melzack, R.
(Churchill Livingstone, Edinburgh), pp.243-257, 19
94)中脳水道周囲灰白質(PAG:periaqueductal gra
y)において検知された(図2H)。なお、図2Gにお
ける縮尺バーは0.5mmを、図2Hにおける縮尺バー
は100μmを示す。従って、PAG神経細胞の興奮性
をコントロールすることにより、及び/又は、延髄神経
細胞を活性化させるために興奮性伝達物質を放出するこ
とにより、α1ECa2+チャネルが下行性疼痛抑制に関与
するものであると推測することができる。図6はα1E
異表現型を説明するモデルである。化学的刺激物注射の
結果として生じた炎症媒体は一次求心性繊維を刺激し、
後角神経細胞の興奮を誘発する。この情報はさらに脊髄
上位構造(例えば視床)へと運ばれる。α1ECa2+チャ
ネルは、遺伝子量に依存してこれら情報伝達の片方又は
両方を媒介する。Ca2+チャネルはさらに、PAG神経
細胞の興奮の上昇、あるいは、ターミナルから刺激伝達
物質の放出を誘発することにより延髄神経細胞を活性化
させ、下行性疼痛抑制シグナルを媒介する。延髄神経細
胞により放出されたセロトニンは、順番に脊髄痛覚伝達
の抑制コントロールを行う。
【0039】最近、本発明者らにより、下行性疼痛抑制
経路の長期にわたる活性化が、酢酸注射と対照的に、ホ
ルマリン注射での前処理により誘発されないことが見い
出されている。これは、ホルマリン試験における応答低
下(図5A)及び無感作α1E -/-マウスでの酢酸身震い
試験における(α1E +/-マウスと比較した)応答上昇
(図5B)と一致する。酢酸により誘発された下行性疼
痛抑制経路の活性化は、驚くほど長期間(少なくとも3
週間)続いた。PAG/延髄軸でのシナプス伝達の長期
的増強(Nature(London) 361, 31-39, 1993)等、この
長期的増強効果に神経細胞可塑性が関与するとすれば、
α1ECa2+チャネルを通り流入するCa2+がこの過程に
不可欠であることを示す。
【0040】
【発明の効果】本発明のスクリーニング方法によると、
電位依存性Ca2+チャネルに依存する炎症性疼痛等の侵
害受容性疼痛などのα1ECa2+チャネル機能障害に起因
する疾病の予防・治療薬を得ることができ、またこれら
の予防・治療薬はα1ECa2+チャネルの生理機能を明ら
かにする上で有用である。
【0041】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> JAPAN SCIENCE AND TECHNOLOGY CORPORATION <120> Screening methods of prophylactic/therapeutic agent for diseases derived from impaired function of alpha-1E Ca2+ channel <130> A081P10 <140> <141> <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:mA1E-F1 <400> 1 agcaggaacc gacaaggaac c 21 <210> 2 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:mA1E-R1 <400> 2 ggtggccagg atcatgtact c 21 <210> 3 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:SP-F1 <400> 3 gtctgaccgc aaatcgaac 19 <210> 4 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:SP-R1 <400> 4 caggaaacat gctgctagga 20
【図面の簡単な説明】
【図1】ホモ接合体変異マウス(α1E -/-)の作製に関
し、AはCACNA1E遺伝子のエクソン1の周辺の制
限酵素地図及びターゲッティングベクターの構造を示す
図であり、Bはサザンブロット分析、CはRT−PCR
分析、Dはノーザンブロット分析、Eはイムノブロット
分析の結果をそれぞれ示す図である。
【図2】痛覚伝達に関与する神経系におけるCACNA
1E遺伝子の発現パターンを示す図である(参考写真参
照)。
【図3】野生型マウス(α1E +/+)、ヘテロ接合体変異
マウス(α1E +/-)及びホモ接合体変異マウス
(α1E -/-)における不安関連挙動試験の結果を示す図
である。
【図4】野生型マウス(α1E +/+)、ヘテロ接合体変異
マウス(α1E +/-)及びホモ接合体変異マウス
(α1E -/-)における急性痛み試験の結果を示す図であ
る。
【図5】皮下又は内蔵への化学的刺激に対する侵害受容
性応答の結果を示す図である。
【図6】α1Eチャネル機能を説明するための図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/48 G01N 33/48 N

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電位依存性Ca2+チャネルα1Eサブ
    ユニット遺伝子変異非ヒト動物に被検物質を投与し、該
    遺伝子変異非ヒト動物における侵害受容性疼痛の程度を
    測定・評価することを特徴とするα1ECa2+チャネ
    ル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニ
    ング方法。
  2. 【請求項2】 遺伝子変異非ヒト動物における侵害受容
    性疼痛の程度を、野生型の非ヒト動物の場合と比較・評
    価することを特徴とする請求項1記載のα1ECa2+
    チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスク
    リーニング方法。
  3. 【請求項3】 電位依存性Ca2+チャネルα1Eサブ
    ユニット遺伝子変異非ヒト動物が、電位依存性Ca2+
    チャネルα1Eサブユニット遺伝子機能が染色体上で欠
    損した非ヒト動物であることを特徴とする請求項1又は
    2記載のα1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾
    病の予防・治療薬のスクリーニング方法。
  4. 【請求項4】 非ヒト動物がマウスであることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか記載のα1ECa2+チャ
    ネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリー
    ニング方法。
  5. 【請求項5】 侵害受容性疼痛が炎症性疼痛であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のα1ECa
    2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬の
    スクリーニング方法。
  6. 【請求項6】 電位依存性Ca2+チャネルα1Eサブ
    ユニット遺伝子変異非ヒト動物に由来する細胞・組織に
    被検物質を接触せしめ、該細胞・組織につながった脊髄
    における電気生理学的応答の程度を測定・評価すること
    を特徴とするα1ECa2+チャネル機能障害に起因す
    る疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法。
  7. 【請求項7】 脊髄における電気生理学的応答の程度
    を、野生型の非ヒト動物の場合と比較・評価することを
    特徴とする請求項6記載のα1ECa2+チャネル機能
    障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方
    法。
  8. 【請求項8】 電位依存性Ca2+チャネルα1Eサブ
    ユニット遺伝子変異非ヒト動物が、電位依存性Ca2+
    チャネルα1Eサブユニット遺伝子機能が染色体上で欠
    損した非ヒト動物であることを特徴とする請求項6又は
    7記載のα1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾
    病の予防・治療薬のスクリーニング方法。
  9. 【請求項9】 非ヒト動物がマウスであることを特徴と
    する請求項6〜8のいずれか記載のα1ECa2+チャ
    ネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリー
    ニング方法。
JP2000333621A 2000-10-31 2000-10-31 α1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法 Expired - Fee Related JP3471739B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000333621A JP3471739B2 (ja) 2000-10-31 2000-10-31 α1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000333621A JP3471739B2 (ja) 2000-10-31 2000-10-31 α1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002139485A JP2002139485A (ja) 2002-05-17
JP3471739B2 true JP3471739B2 (ja) 2003-12-02

Family

ID=18809670

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000333621A Expired - Fee Related JP3471739B2 (ja) 2000-10-31 2000-10-31 α1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3471739B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002139485A (ja) 2002-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mark et al. Delayed postnatal loss of P/Q-type calcium channels recapitulates the absence epilepsy, dyskinesia, and ataxia phenotypes of genomic Cacna1a mutations
Shen et al. Essential role of STAT3 in postnatal survival and growth revealed by mice lacking STAT3 serine 727 phosphorylation
André et al. Disruption of retinoid-related orphan receptor β changes circadian behavior, causes retinal degeneration and leads to vacillans phenotype in mice
Ivanov et al. Cerebellar ataxia, seizures, premature death, and cardiac abnormalities in mice with targeted disruption of the Cacna2d2 gene
US20100146645A1 (en) Transgenic animal model for modelling pathological anxiety, a method for identifying compounds for treatment of diseases or disorders caused by pathological anxiety and a method for using wfs1 protein as a target for identifying effective compounds against pathological anxiety
US5698766A (en) Transgenic animal model for testing drugs for treating eating disorders and epilepsy
AU754699B2 (en) Corticotropin releasing factor receptor 1-deficient mice
JP2004500843A (ja) トランスジェニック動物
KR20020092891A (ko) 코르티코트로핀 분비 인자 수용체 2 결핍 마우스 및 이의용도
EP1554382B1 (en) Gpr54 knock-out mammals and screening methods using them
US20100287626A1 (en) Method of screening ptp zeta activity promoter or inhibitor
US6333447B1 (en) Transgenic model of heart failure
JP3471739B2 (ja) α1ECa2+チャネル機能障害に起因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法
Near et al. Loss of AND-34/BCAR3 expression in mice results in rupture of the adult lens
US5817912A (en) Transgenic mice with disrupted NPY Y1 receptor genes
JP4550530B2 (ja) シナプス成熟障害モデル動物
WO2001030137A1 (fr) Animal knockout a canal n-calcium
WO2006096648A2 (en) Mouse model
JP4898126B2 (ja) Troyシグナルが阻害されたトランスジェニック非ヒト動物
JP2000209980A (ja) インタ―ロイキン―1関連疾患モデルノックアウト動物
JP2002518056A (ja) アッセイにおけるPeg3遺伝子の使用、並びに肥満、体温調節および行動障害に関連する産物
WO1996035785A9 (en) Transgenic animals having a defective thyroid hormone receptor beta gene
KR100406484B1 (ko) 타입 5 아데닐릴 싸이클라아제가 결실된 형질전환동물,그의 제조방법 및 용도
WO1996035785A2 (en) Transgenic animals having a defective thyroid hormone receptor beta gene
JP3817638B2 (ja) トランスジェニック非ヒト哺乳動物

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

A072 Dismissal of procedure [no reply to invitation to correct request for examination]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072

Effective date: 20040420

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080912

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080912

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090912

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100912

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees