JP3471380B2 - 静電モータ - Google Patents

静電モータ

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JP3471380B2
JP3471380B2 JP34915992A JP34915992A JP3471380B2 JP 3471380 B2 JP3471380 B2 JP 3471380B2 JP 34915992 A JP34915992 A JP 34915992A JP 34915992 A JP34915992 A JP 34915992A JP 3471380 B2 JP3471380 B2 JP 3471380B2
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村 邦 彦 中
倉 洋 小
宮 清 英 雨
田 隆 一 豊
内 義 和 河
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、OA、FA、ME機器
等で今後利用が期待されている微小機構部品や装置のア
クチェータとして使用する小型静電モータおよびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】小型静電モータとしては、例えば、19
89年2月のマイクロ、エレクトロ、メカニカルシステ
ム(Micro,Electro,Mechanica
l,Systems)の国際会議で、「ウォブルモータ
(Wobble Motor)、S.C.ジャコブセン
(Jacobsen)著」に記載された構造が一般的に
知られている。
【0003】以下、図26を参照して従来のこの種の小
型静電モータについて説明する。図26において、20
1は回転子、202は回転子表面の絶縁膜、203は複
数の扇形ステータ電極で、この扇形ステータ電極203
は放電加工により製作されている。
【0004】複数の扇形ステータ電極203に順次電圧
を印加すると、電圧を印加された扇形ステータ電極20
3に回転子201が順次吸引され、扇形ステータ電極2
03の内周面を転動しながら連続回転する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成では、ステータ電極を放電加工で8本の電極に
分離するため加工時間が長くかかること、微細な電極加
工が困難であり量産に向かないこと、また、加工後の電
極間の絶縁と固定が不確実であることなどの課題を有し
ていた。
【0006】また回転子は偏心して回転するので、出力
を取り出すためにはカップリングが必要となるため、小
型化にとって不利であり、また接続損失も生じるという
問題があった。
【0007】またロータとステータ間のスリップや駆動
信号との同期ずれ等が生じると、ロータの回転位置角度
が不明となり、そのために外部にエンコーダをつける必
要があったため小型化が難しかった。
【0008】またロータの出力軸に小型センサを搭載さ
せる場合などは、センサの回転走査以外に出力軸方向の
直線動作による2軸走査のためやセンサの微妙な位置補
正の目的で、小型静電モータにさらに回転軸長方向への
直線動作機構も加えなければならず、小型化に反して構
成が複雑になる課題を有していた。
【0009】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、回転軸の偏心を吸収する機構、精度の高い小型の内
部エンコーダおよび回転軸方向への運動機能を有した小
型高機能な静電モ−タ、ならびに短時間で高精度に、電
極間の絶縁、固定も確実に行なえる量産可能な静電モ−
タの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による静電モータ
の構成は、回転可能なコイルスプリング状のロータ電極
と、ロータ電極に誘電体膜を介して対向配置された複数
のステータ電極と、ロータ電極を支持する回転軸と、こ
の回転軸を支持するとともに軸方向へのロータ電極の移
動を許容する軸受と、コイルスプリング状のロータ電極
に対し半径方向に横切る磁界を発生させるための磁気回
路と、コイルスプリング状のロータ電極に制御電流を流
して軸方向に移動させるための電流源とを備えたもので
ある。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】また、本発明による静電モータの製造方法
の第1の構成は、導電性材料からなるロータ電極の外周
面に誘電体膜を薄膜形成する工程と、この誘電体膜の上
に犠牲層膜を目標ギャップの2分の1の厚さに薄膜形成
する工程と、ステータ電極の一部となる金属薄膜を犠牲
層膜の上に形成する工程と、この金属薄膜の上に樹脂材
料を用いてステータ電極の形状を形成する工程と、この
樹脂材料をエッチング用マスクとして用いてステータ電
極となる部分以外の金属薄膜をエッチングにより除去す
る工程と、この樹脂材料の表面をめっきして下層の金属
薄膜と導通のとれたステータ電極を形成する工程と、こ
のステータ電極を含む表面全体に絶縁性の樹脂を被覆す
る工程と、ロータ電極上の犠牲層膜をエッチングにより
除去してステータ電極部とロータ電極部とを分離するよ
うにしたものである。
【0016】本発明による静電モータの製造方法の第2
の構成は、導電性材料からなるロータ電極の外周面に先
に犠牲層膜を目標ギャップの2分の1の厚さに薄膜形成
し、次いでこの前記犠牲層膜の上に誘電体膜を薄膜形成
ことにより、誘電体膜をステータ電極側に設けるように
したものである。
【0017】本発明による静電モータの製造方法の第3
の構成は、ステータ電極の形成をフォトリソグラフィと
エッチングにより行なうようにしたものである。
【0018】本発明による静電モータの製造方法は、ほ
ぼ同様な方法によりステータ電極の外側にロータ電極を
形成するようにしたものである。
【0019】
【0020】
【作用】本発明による静電モータは、上記構成により、
軸方向への直進運動も可能な2自由度の小型で高機能な
静電モータを実現することができる。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】本発明による静電モータの製造方法は、上
記第1の構成により、各部の寸法を高精度にコントロー
ルでき、微細なステータ電極の形成が可能であり、しか
も、これらは複数個同時のバッチ処理ができ、量産が可
能である。さらに注型樹脂により電極間の絶縁、固定を
確実に行なうことができる。
【0025】本発明による静電モータの製造方法は、上
記第2の構成により、誘電体膜をステータ電極側に設け
た静電モータを同様な方法により製造することができ
る。
【0026】本発明による静電モータの製造方法は、上
記第3の構成により、フォトリソグラフィとエッチング
技術を用いることにより静電モータの製造をさらに容易
に行なうことができる。
【0027】本発明による静電モータの製造方法は、上
記第4の構成により、ほぼ同様な方法によりアウタロー
タタイプの静電モータを製造することができる。
【0028】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の実施例について説明する。
図1は本発明の第1の実施例を示す静電モータの断面図
である。図1において、1は回転可能なロータ電極、2
はロータ電極1の周囲に対向配置された複数の扇形のス
テータ電極、3は各ステータ電極2の内周面に設けられ
た誘電体膜、4はロータ電極1を支持する回転軸、5は
回転軸4の一部に設けられたコイルスプリング、6は回
転軸を支持する軸受、7はロータ電極1の回転角を検出
するエンコーダ、8は電極部を収容する内部空間、9は
ステータ電極2と軸受6とエンコーダ7を支持するケー
シング、10はエンコーダ7の信号を監視しながらロー
タ電極1とステータ電極2に電圧を印加する回転制御部
である。以下の説明では、ロータ電極1およびステータ
電極2の部分をまとめて静電力発生部ということがあ
る。
【0029】次に上記実施例の動作について説明する。
回転制御部10からロータ電極1とステータ電極2との
間に順次駆動電圧を印加することにより、ロータ電極1
とステータ電極2との間には誘電体膜3を介して静電吸
引力が発生する。このため、ロータ電極1は、電圧を印
加された各ステータ電極2に順次吸引されて、ステータ
電極2の内周面を転動しながら回転する。このとき、ロ
ータ電極1とステータ電極2との間にはギャップがある
ので、ロータ電極1は偏心しながら回転することにな
り、この偏心回転を回転軸4の一部に設けたコイルスプ
リング5が吸収し、軸受6に支持された回転軸4をステ
ータ電極2と同心的に回転させる。
【0030】この静電モータを構成する回転軸4には、
捩じろうとする力に対しては剛性があって確実に回転ト
ルクを伝達する性質と、曲げようとする力に対してはや
わらく偏心を吸収する性質とが要求される。単なる剛体
からなる回転軸では、トルクの伝達性はよいが、曲げに
対して強すぎて偏心が吸収されない。本実施例では、回
転軸4の一部に、図2に示すように、巻かれる線材の断
面が長方形断面の2層巻きのコイルスプリング5を用い
ている。
【0031】長方形断面の線材を用いた理由は、線材の
断面形状が円形であると、コイルスプリング断面を線材
で密に充填することができないため、許容せん断応力が
小さく、ロータの偏心回転に伴ってコイルスプリングが
破損しやすい欠点をもっているからである。
【0032】また、単層巻きであるとロータ電極1の正
逆回転により、巻きが締まる場合と巻きがほどける場合
とが生じてしまい、トルクの伝達特性が異なってしまう
ので、コイルスプリング5を多層巻きとすることにより
一様の特性となるようにしたものである。したがって、
多層巻きにすることにより回転方向が逆転してもコイル
スプリングは同じ特性を持つことになる。
【0033】図3は、本実施例における回転軸4の変形
例を示している。図3において、21は中央部に隔壁2
2を有する円筒形のロータ電極、23は隔壁22に形成
された貫通穴、24は貫通穴23を通されて隔壁22に
接着固定された回転軸、25は回転軸24の中間部を構
成するコイルスプリングである。このコイルスプリング
25も同様に巻き方向が逆の2層構造になっている。こ
の実施例では、回転軸24にコイルスプリング25の部
分を長くとれるので、コイルスプリング25に対する負
荷を軽減することができる。
【0034】以上のように、上記第1の実施例によれ
ば、回転軸4、24の一部をコイルスプリング5、25
にすることにより回転軸の偏心をうまく吸収することが
でき、専用のカップリング用部品が省略できるので、接
続損失が少ない小型で高機能な静電モータを実現するこ
とができる。
【0035】(実施例2)次に本発明の第2の実施例に
ついて図4を参照して説明する。この第2の実施例は、
図1に示した第1の実施例に対して軸封装置を付加して
ケーシング内部を真空にしたものである。すなわち、図
4において、1はロータ電極、2はステータ電極、3は
絶縁体膜、4は回転軸、5はコイルスプリング、6は軸
受、7はエンコーダ部、8は内部空間、9はケーシン
グ、10は回転制御部、11は付加された軸封装置とし
ての磁性流体シールである。この軸封装置は、内部空間
8を真空状態に保てれば、どのような軸封装置を使用し
てもよい。
【0036】一般に静電モータは、使用雰囲気、特に湿
度の影響を受けやすく、本発明のようなコイルスプリン
グを用いる静電モータにおいては、コイルスプリングを
構成する線材が、その構成上、線径が非常に細く、線材
の長さも長いので、大気中の湿度の影響が著しく現われ
てしまう。
【0037】具体的には、コイルスプリングを構成する
線材の表面に水分が吸着されることにより、線の持って
いる表面張力が弱められて線自体が伸びてしまう。この
現象は、線径が非常に細く、長さが長いコイルスプリン
グにおいてはますます顕著となって無視できないもので
ある。
【0038】したがって、上記第2の実施例によれば、
コイルスプリング5が位置するケーシングの内部空間8
が絶えず真空状態に保たれているので、使用雰囲気、特
に湿度の影響を受けずに済み、安定したトルク伝達特性
と偏心吸収特性を得ることができる。
【0039】また、ケーシングの内部空間8が絶えず真
空に保たれていることから外界からの異物の混入が防げ
るため、ロータ電極1とステータ電極2との間隙への異
物の混入による故障を未然に防止することができる。
【0040】さらに、静電モ−タ−を使用する雰囲気が
大気中である場合、静電力発生箇所に必ず空気層が形成
されてしまうため、ステータ電極またはロータ電極上に
形成されている誘電体膜内に微小電流が流れにくい状態
になってしまうのに対し、真空、特に0.5Torr以
下であると誘電体膜内に微小電流が流れやすくなり、誘
電体膜表面近傍に電荷の集中がより加速されることによ
り、大気中での静電力発生のときよりもより大きな静電
力を得ることができるので、大気中での静電力発生の静
電モータと比べてより大きな出力を得ることができる。
【0041】また、薄い空気層が存在しないことは、ロ
ータ電極1がステータ電極2の内周面を転がることによ
り回転トルクを出力する本実施例の静電ウォブルモータ
においては、空気膜の圧力差によるロータとステータと
の間のすべり現象が生じないという利点もある。
【0042】(実施例3)従来、ロータが複数個のステ
ータ電極を転がるタイプの静電モータにおいては、ロー
タの位置検出を行なう方法として、ステータ電極とロー
タ電極間の静電容量Cの変化を、ステップ電圧印加時の
RC回路の時定数の変化で検出するものがある。例えば
特開昭64−12876号公報記載の静電アクチュエー
タは、各ステータ電極とロータ電極間の充電時間を計測
することにより、ロータの位置を求めている。この構成
は、駆動用のステータ電極を用いてロータの位置を求め
られるので、位置検出専用の電極等の必要がなく、アク
チュエータを小型化できるという利点をもつ。
【0043】しかしながら、静電容量Cは浮遊容量の影
響を受け易く、また、ステータ電極等の形状のばらつき
により、静電容量Cに誤差要因が重畳しやすく、RC回
路の時定数にばらつきが生じ、位置検出精度が悪化する
という問題があった。この構成をステータ電極を外側に
配置した構成のウォブルモータに利用すると、ロータが
ステータ内周上のどの位置近辺を転がっているかという
ロータの公転位置は検出できる。すなわちロータの外径
とステータの内径が決定し、かつロータがステータ上を
いかなるすべりもなく転がってゆけば、ロータの自転の
絶対的な回転位置角度は算出できるわけであるが、ロー
タの公転を妨げるような外部負荷がかかるとロータとス
テータの間にスリップが生じ、その時点でロータの自転
の絶対的な回転位置角度を追うことが不能となるという
問題があった。
【0044】本発明の第3の実施例は、このような従来
の課題を解決するものであり、以下図5から図11を参
照して本発明の第3の実施例について説明する。なお、
静電モータの全体の構成は図1または図4に示したもの
と同じであり、これらの重複した説明は省略する。
【0045】図5はロータ電極1の斜視図である。図5
において、31は金属からなる中空円筒状のロータ電
極、32はロータ電極31の表面に一様に形成された誘
電体膜、33は誘電体膜32上の一部に形成された電気
的な抵抗材料であり、この抵抗材料33の厚みは誘電体
膜32の厚さと等しく、したがって内側はロータ電極3
1に接触し、外側は誘電体膜32の表面に露出してい
る。
【0046】図6は図5のロータ電極31をステータ電
極34および各ステータ電極34間の絶縁部材35で形
成された円筒の内側に挿入した状態を示す図である。ス
テータ電極34とロータ電極31はコンデンサを形成し
ており、その容量Cはロータの位置により変化する。ま
たロータ電極31は接地されている。図6(a)ではロ
ータ電極31はステータ電極34a上で接しており、抵
抗材料33はステータ電極34の幅に比べて小さくして
ある。
【0047】いまステータ電極34bのみに電圧Eを加
えたとすると、ロータ電極31は転がりながら図6
(b)の状態となり、ロータ電極31とステータ電極3
4bは抵抗材料33を介して接続されることになる。こ
のときの電気抵抗値をR1とすれば電気等価回路は図7
(a)のようになる。R2をウォブルモータ外部の寄生
抵抗等の合成抵抗とすると、電気的な定常状態ではコン
デンサ端子電圧Vcは印加電圧Eを抵抗R1とR2で分
圧した値となる。ステータ電極34bの電位Vcは分圧
されてEより小さくなり、静電力も小さくなるが、ロー
タ電極31とステータ電極34bとの間に滑りが生じな
い程度に両者を引き付ける垂直抗力が働いていればよ
い。回転トルクの発生は、電圧を印加するステータ電極
34の切り替えで次のステータ電極34cに担ってもら
うことができるからである。
【0048】次にステータ図6(b)の状態から、ステ
ータ電極34cのみに電圧Eが加わるように切りかえた
とすると、ロータは転がりながら図6(c)の状態とな
るが、このときはステータ電極34cとロータ電極31
の間には抵抗材料33は介在しない。したがって、この
ときの電気等価回路は図7(b)のようになり、抵抗R
1は存在しない。このとき電気的な定常状態ではコンデ
ンサ端子電圧Vcは印加電圧Eと等しくなる。このた
め、図6(b)と(c)の状態の違いは、コンデンサ端
子電圧Vcの違いを図7の検出部36で検出することに
より把握することができ、そのとき検出部36は検出信
号を発生する。
【0049】誘電体膜32も含めたロータ電極31の外
径をdo、ステータ電極34の内径をdiとすると、ロ
ータ電極31がステータ電極34の内周面を転がる回転
数は、ロータ電極31自身の自転の回転数のギヤ比do
/(di−do)倍である。図8の例では9個のステー
タ電極34が40゜ピッチで等間隔で配列されている。
1ピッチのうち、32゜が電極部分、8゜が絶縁部35
である。いまロータ電極31の外径doとステータ電極
34の内径diは、ギア比89となるように設計されて
いる。また、ロータ電極31の抵抗材料33はステータ
電極34の幅より十分に小さくなっている。
【0050】いま、ステータ電極34a〜34iへの電
圧印加を逆順に、すなわちi、h、g、・・、b、aの
順番で電圧印加を切り換え、ロータ電極31がそれに同
期して回転しているとする。ロータ電極31が自転を1
回行なう間に、抵抗材料33はステータ電極34の内周
上とdi/(di−do)=(ギア比+1)回、すなわ
ち90回だけの接触を持つ。ステータ電極34の1ピッ
チ内での接触は10回であり、その内ステータ電極34
の電極部で8回、絶縁部材35上で2回となる。したが
ってステータ電極34aに接続された検出部36aの出
力信号と36bの出力信号は図9のように検出部36a
の出力が出力信号を8回出し、次に抵抗材料33が隣接
ステータ電極34間の絶縁部材35に接触する検出不能
期間を経て、検出部36bが8回の検出信号を出す。
【0051】各検出部36a〜36iまでがこの検出信
号をカウントし、このような検出信号を発する検出部3
6の移り変わりを監視することにより、ロータ電極31
の回転位置角度を検出することができる。
【0052】また、隣接ステータ電極34間の絶縁部3
5を薄くするか、または、図10のように抵抗材料33
をロータ電極31に複数個設け、ある1個の抵抗材料が
隣接ステータ電極34間の絶縁部35に接触してしまう
ような検出不能状態にあるときは、必ず他の抵抗材料3
3がステータ電極34のいずれかに接触するように配置
しておけば、ロータ電極31の自転1周分のエンコーダ
信号の分解能はギア比の値に近づけることができる。
【0053】また、ロータ回転の同期ずれや、ロータス
テータ間のスリップは、同期ずれやスリップのない時の
正常な検出器出力パターンと比較することにより検知す
ることが可能である。
【0054】このように、上記第3の実施例によれば、
ロータ電極31の一部に抵抗材料33を設け、抵抗材料
33と駆動用のステータ電極34との接触を、電気等価
回路の変化としてとらえることにより、モータ内部にギ
ア比の分解能を持つエンコーダを有する小型で高機能な
静電ウォブルモータを実現することができる。
【0055】なお、このエンコーダ機能の内蔵は、図1
1のような、円筒状のロータ電極37により、平板な絶
縁基板38の上にステータ電極39およびアース電極4
0を配置した平面転がり形の静電アクチュエータにも応
用が可能である。
【0056】(実施例4)次に、本発明の第4の実施例
について説明する。図12は本発明の第4の実施例を示
す静電モータの断面図である。図12において、41は
コイルスプリング状のロータ電極、42はロータ電極4
1の両端部に固定された回転軸、43は回転軸42を支
持する軸受、44はロータ電極41の周囲に配置された
扇型の複数のステータ電極、45は軸受43とステータ
電極44とを支持するケーシングである。コイルスプリ
ング状のロータ電極41は、導電性の芯の回りを誘電体
膜46で被覆してあるワイヤを巻いた構造で、前記第1
の実施例と同様に2層構造になっている。また、ロータ
電極41は、回転軸42および軸受43を介して接地さ
れており、ロータ電極41とステータ電極44との間
は、誘電体膜46を介してコンデンサを形成している。
【0057】ステータ電極44の電圧印加を切り換えて
いくことにより、コイルスプリング状のロータ電極41
は静電力によりステータ電極44の内周面を転がる公転
運動をしつつ、自転を行なう。このとき、ロータ電極4
1の外径とステータ電極44の内径との差により、ロー
タ電極41の自転軸は回転軸42の中心から偏心する
が、ロータ電極41はコイルスプリング状に形成されて
それ自体が可撓性を有するため、偏心は吸収され、かつ
回転トルクは回転軸42に確実に伝達される。また静電
力の損失を少なくするためにステータ電極44の内周面
は、ロータ電極41の偏心度およびそのたわみ量にあわ
せて曲率をもたせてあり、コイルスプリング状のロータ
電極41とステータ電極44との接触面積を増やしてい
る。
【0058】以上のように、上記第4の実施例によれ
ば、ロータ電極をコイルスプリング状に形成することに
より、偏心吸収機構を備えた小型で高機能な静電ウォブ
ルモータを実現できる。
【0059】(実施例5)次に、本発明の第5の実施例
について説明する。図13は本発明の第5の実施例を示
す静電モータの断面図である。図13において、51は
2層構造に巻かれたコイルスプリング状のロータ電極、
52a、52bはロータ電極51の両端部を支持する回
転軸、53a、53bはそれぞれ回転軸52a、52b
を支持するとともに、回転軸52a、52bの軸方向へ
の移動を許容する軸受、54はロータ電極51の周囲に
対向配置された扇型の複数のステータ電極、55はステ
ータ電極54の両側に配置されたリング状の永久磁石、
56は軸受53a、53bステータ電極54および永久
磁石55を支持するケーシングである。
【0060】コイルスプリング状のロータ電極51は、
導電性の芯を誘電体膜57で被服した2本のワイヤを2
層巻にしたものである。ステータ電極54側の第1層の
芯はロータ電極51の一端で回転軸52aと導通して軸
受53aを介して接地されており、また誘電体膜57を
介してステータ電極54との間にコンデンサを形成して
いる。内側の第2層目の芯はー端でやはり回転軸52a
と導通して接地されているが、もうー端は回転軸52b
および軸受53bを介して電流源58に接続されてい
る。
【0061】図13において、複数個のステータ電極5
4に電圧を順次切り換えて印加することにより、ロータ
電極51の表側の第1層目の導電性の芯とステータ電極
54との間に静電力が働いてロータ電極51はステータ
電極54の内周面を転がりながら回転し、回転軸52
a、52bが回転トルクを伝達する。
【0062】一方、電流源58からロータ電極51の内
側の第2層目のコイルに電流を流すと、第2層目には、
ステータ電極54からロータ電極51を半径方向垂直に
横切る磁界が働いているので、ロータ電極51の第2層
はローレンツ力を受けて、軸方向に直線移動する推進力
を得ることができる。また、電流源58からの電流の向
きを切り換えることにより、ロータ電極51を軸方向に
往復運動させることが可能となる。ただし、ロータ電極
51の第1層目に流れる電流は、第2層目に流す直進運
動制御用電流に比べてきわめて微弱であるため、第1層
目に働くローレンツ力は、第2層目に働くローレンツ力
を妨げるほどの力ではない。
【0063】以上のように、上記第5の実施例によれ
ば、ロータ電極として2層構造のコイルスプリングを用
い、これを半径方向に横切る磁気回路中に配置して電流
を流すことにより、回転軸が回転および直進の2自由度
の出力を持った小型で高機能な静電モータを実現するこ
とができる。
【0064】(実施例6)次に、本発明による静電モー
タの製造方法について第6の実施例として図14から図
16を参照して説明する。
【0065】まず、第1の工程として、図14(a)に
示すように、ロータ電極61として高精度に仕上げられ
た金属円柱または金属円筒を用意する。具体的にはステ
ンレス、アルミニウムなどで、またはガラスやセラミッ
クで表面に導電性を持たせたものでもよい。そしてこの
ロータ電極61の外周面に高誘電率絶縁膜62をスパッ
タリングなどにより形成する。具体的には、チタニア
(TiO2 )やチタン酸ストロンチウム(SrTi
3 )やチタン酸バリウム(BaTiO3 )などであ
る。
【0066】第2の工程として、図14(b)に示すよ
うに、高誘電率絶縁膜62の上に犠牲層膜63として酸
化珪素膜を目標のギャップ厚さの1/2の厚さになるよ
うに、スパッタリングなどにより形成する。
【0067】第3の工程として図14(c)に示すよう
に、ステ−タ電極の一部になる金属薄膜64を、犠牲層
膜63の上に形成する。具体的には例えばアルミニウム
薄膜でよい。
【0068】第4の工程として、図15(d)に示すよ
うに、金属薄膜64上のステ−タ電極となる位置に、め
っき可能な樹脂材料65によりステ−タ電極の形状を成
形する。
【0069】第5の工程として、図15(e)に示すよ
うに、樹脂材料65をエッチングのマスクとして、ステ
−タ電極位置以外の金属薄膜64をエッチングにより除
去する。
【0070】第6の工程として、図15(f)に示すよ
うに、メッキ処理可能な樹脂材料65をめっきし、下層
の金属薄膜64と導通のとれたステータ電極66を形成
する。
【0071】第7の工程として、図16(g)に示すよ
うに、ステータ電極66および犠牲層膜63の上に絶縁
性樹脂67を注入し、硬化させる。
【0072】第8の工程として、図16(h)に示すよ
うに、酸化珪素の犠牲層膜63をウエットエッチングに
より除去し、外周面に高誘電率絶縁膜62を有するロー
タ電極61と円筒状のステータ電極部とを分離する。そ
の除去した厚さ分がロータ電極61とステータ電極66
との間のギャップ68となる。
【0073】そして最後の工程として、ステータ電極6
6にリード線または端子を接続することで、静電モ−タ
の静電力発生部を形成する。
【0074】以上のように、上記第6の本実施例によれ
ば、スパッタリングなどの薄膜形成と犠牲層膜としての
酸化珪素膜を最後にエッチングにより除去することによ
り、ステ−タ電極部とロータ電極部間のギャップを高精
度にコントロ−ルすることができる。また高誘電率絶縁
膜62により高トルク化が可能である。また絶縁性樹脂
67により電極間の絶縁,固定も確実に行なうことがで
きる。さらに、これらの技術はバッチ処理による量産が
可能であり、小型、高トルク、高精度な静電モ−タを製
造することができる。
【0075】なお、上記第6の実施例の変形例として、
第1の工程としてロータ電極61の外周面に先に犠牲層
膜63を薄膜形成し、次いで第2の工程として犠牲層膜
63の上に高誘電率絶縁膜62を薄膜形成することによ
り、第8の工程におけるエッチング処理の結果、ステー
タ電極66の内周面に高誘電率絶縁膜62を有する静電
モータを製造することができる。
【0076】(実施例7)次に、本発明の静電モータの
他の製造方法について、第7の実施例として図17およ
び図18を参照して説明する。まず第1から第3までの
工程は上記実施例6における図14の(a)〜(c)と
同様であり、ロータ電極71の外周面に高誘電率絶縁膜
72を薄膜形成した後、その表面に犠牲層膜として酸化
珪素膜73を薄膜形成し、さらにその上に金属薄膜74
を形成する。
【0077】第4の工程として、図17(a)に示すよ
うに、金属薄膜74の上にフォトレジスト層75を塗
布、乾燥させ、さらにフォトリソグラフィーによりフォ
トレジスト層75にステ−タ電極パタ−ンを形成する。
【0078】第5の工程として、図17(b)に示すよ
うに、フォトレジスト層75をマスクにして金属薄膜7
4をエッチングした後、第6の工程として、フォトレジ
スト層75を除去してステ−タ電極76を形成する。
【0079】第7から第9までの工程は上記実施例6と
同様であり、第7の工程で、図17(c)に示すよう
に,ステ−タ電極76と犠牲層膜73の上に、絶縁性の
樹脂77を注入硬化し、第8の工程で、犠牲層膜73で
ある酸化珪素膜をウエットエッチングにより除去し、外
周面に高誘電率絶縁膜72を有するロータ電極71と円
筒状のステータ電極部とを分離する。その除去した厚さ
分がロータ電極71とステータ電極76との間のギャッ
プ78となる。最後の工程で、ステ−タ電極76に端子
またはリ−ド線を接続することで、静電モ−タの静電力
発生部を形成する。
【0080】以上のように、上記第7の実施例によれ
ば、フォトリソグラフィ−とエッチング技術により、簡
単な方法でより微細なステ−タ電極形成が可能となり、
小型、高トルク、高精度な静電モータを製造することが
できる。
【0081】なお、上記第7の実施例においても、上記
第6の実施例の実施例と同様に、第1の工程としてロー
タ電極71の外周面に先に犠牲層膜73を薄膜形成し、
次いで第2の工程として犠牲層膜73の上に高誘電率絶
縁膜72を薄膜形成することにより、第8の工程におけ
るエッチング処理の結果、ステータ電極76の内周面に
高誘電率絶縁膜72を有する静電モータを製造すること
ができる。
【0082】以上の各実施例は、ロータ電極がステータ
電極の内側に配置されたインナータイプの静電モータの
例であるが、ロータ電極がステータ電極の外側に配置さ
れるアウタータイプの静電モータも同様な方法により製
造することができる。以下、このようなアウタータイプ
の静電モータの実施例について上記インナータイプの静
電モータに対応させて簡単に説明する。
【0083】(実施例8)図18は本発明の第8の実施
例を示す静電モータの断面図であり、図1に示す第1の
実施例に対応するものである。図18において、81は
絶縁性のステータ電極支持棒、82はステータ電極支持
棒81の外周面に露出するように設けられた扇形の複数
のステータ電極、83はステータ電極82の周囲に対向
配置されたロータ電極、84はロータ電極83の内周面
に形成された誘電体膜、85はロータ電極83を支持す
る回転軸、86は回転軸85の一部に設けられた2重構
造のコイルスプリング、87は回転軸85を支持する軸
受、88はステータ電極支持棒81および軸受87を支
持するケーシング、89はケーシング88の内部空間で
ある。ステータ電極82に順次通電することにより、ロ
ータ電極83がステータ電極82に順次吸引されてステ
ータ電極82の外周面を転動しながら回転する。このと
きのロータ電極83の偏心回転はコイルスプリング86
によって吸収され、回転力が回転軸85から取り出され
る。
【0084】(実施例9)図19は本発明の第9の実施
例を示す静電モータの断面図であり、図4に示す第2の
実施例に対応するものである。構成は上記第8の実施例
に軸封装置90を付加したものであり、この軸封装置9
0によりケーシング88の内部空間89を真空状態に保
つことにより、使用雰囲気、特に湿度の影響を受けずに
安定した伝達特性と偏心吸収特性を得ることができる。
【0085】(実施例10)図20は本発明の第10の
実施例を示す静電モータの静電力発生部の斜視図であ
り、図6に示す第3の実施例に対応するものである。図
20において、101は絶縁性のステータ電極支持棒、
102はステータ電極支持棒101の外周面に露出する
ように設けられた扇形の複数のステータ電極、103は
ステータ電極102の周囲に対向配置されたロータ電
極、104はロータ電極103の内周面に形成された誘
電体膜、110は誘電体膜104の一部に形成された電
気的な抵抗材料であり、誘電体膜104の厚さと同じ厚
さを有する。この実施例例においても、前記した第3の
実施例と同様な作用効果を有する。
【0086】(実施例11)図21は本発明の第11の
実施例を示す静電モータの断面図であり、図12に示す
第4の実施例に対応するものである。図21において、
111は絶縁性のステータ電極支持棒、112はステー
タ電極支持棒111の外周面に露出するように設けられ
た扇形の複数のステータ電極、113はステータ電極1
02の周囲に対向配置された2層構造のコイルスプリン
グ状のロータ電極、114はロータ電極113の一端部
に固定された回転軸、115はロータ電極113の他端
部に固定された端板、116は回転軸114を支持する
軸受、117はロータ電極113をステータ電極支持棒
111上で支持する軸受、118はステータ電極支持棒
111および軸受116を支持するケーシングである。
コイルスプリング状のロータ電極113は、導電性の芯
の回りを誘電体膜119で被覆したワイヤを互いに逆向
きに2層構造で巻いたものであり、回転軸114および
軸受116を介して接地されている。本実施例において
も、前記第4の実施例を同様な作用効果を有する。
【0087】(実施例12)図22は本発明の第12の
実施例を示す静電モータの断面図であり、図13に示す
第5の実施例に対応するものである。構成は、上記第1
1の実施例における軸受116および117として回転
および軸方向に直線運動が可能な軸受121、122を
使用するとともに、ステータ電極112の両側にリング
状の永久磁石123を固定して磁気回路を構成し、コイ
ルスプリング状のロータ電極113の外側第1層のコイ
ルに軸方向の推進力を得るための電流を流す電流源12
4を接続したものである。本実施例においても、前記第
5の実施例と同様な作用効果を得ることができる。
【0088】(実施例13)次に、アウタロータタイプ
の静電モータの製造方法について第13の実施例として
説明する。図23から図25は本発明の第13の実施例
における静電モータの製造工程を示す断面図であり、図
14から図16に示す第6の実施例に対応する。
【0089】まず第1の工程として、図23(a)に示
すように、絶縁性のステータ電極支持棒131の上にス
テータ電極となる金属薄膜132をスパッタリングなど
により形成する。
【0090】第2の工程として、図23(b)に示すよ
うに、金属薄膜132上のステータ電極の位置にめっき
可能な樹脂材料133によりステータ電極の形状に成形
する。
【0091】第3の工程として、図23(c)に示すよ
うに、樹脂材料133をマスクとしてステータ電極以外
の金属薄膜132をエッチングにより除去する。
【0092】第4の工程として、図24(d)に示すよ
うに、残された樹脂材料133の表面をめっきしてステ
ータ電極134を形成する。
【0093】第5の工程として、図24(e)に示すよ
うに、ステータ電極134を含む表面全体に絶縁性樹脂
135を注入硬化させて、ステータ電極間を埋め、かつ
厚みをステータ電極と等しくする。
【0094】第6の工程として、図24(f)に示すよ
うに、表面全体に高誘電率絶縁膜136をスパッタリン
グなどにより形成する。
【0095】第7の工程として、図25(g)に示すよ
うに、高誘電率絶縁膜136の上に犠牲層膜137とし
ての酸化珪素膜をスパッタリングなどにより目標ギャッ
プ厚さの2分の1になるように形成する。
【0096】第8の工程として、図25(h)に示すよ
うに、犠牲層膜137の上に金属薄膜をスパッタリング
などにより形成し、さらにその上にめっきを施してロー
タ電極138を形成する。
【0097】第9の工程として、図25(i)に示すよ
うに、犠牲層膜137としての酸化珪素膜をエッチング
により除去して、ステータ電極部とロータ電極部とを分
離し、両者間にギャップ139を形成する。これによ
り、ステータ電極134の外周面に高誘電率絶縁膜13
6を有するステータ電極部とその回りに対向する円筒状
のロータ電極部とを得ることができる。
【0098】なお、上記第15の実施例において、第2
の工程でめっき可能な樹脂材料133を用いてステータ
電極の形状に形成する代わりに、フォトレジストを用い
てステータ電極の形状に形成し、第3の工程でこのフォ
トレジストをマスクとして下層の金属薄膜132をエッ
チングにより除去し、第4の工程としてこのフォトレジ
ストを除去することによっても、同様な構造の静電力発
生部を得ることができる。
【0099】また、第6の工程と第7の工程の順番を逆
にすることにより、ロータ電極138の内周面に高誘電
率絶縁膜136を有する静電力発生部を得ることができ
る。
【0100】以上、本発明の実施例を説明してきたが、
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、種々
の変更、付加、適用が可能である。例えば、ロータ位置
検出用の抵抗材料を有さない場合は、誘電体膜をロータ
電極またはステータ電極のいずれに形成してもよく、ロ
ータ電極またはステータ電極は両端支持ではなく片持ち
支持でもよく、ケーシング内部を真空状態に保つ構成や
ロータ電極の回転角を検出する構成も適宜適用されるも
のである。
【0101】
【発明の効果】本発明は、上記各実施例から明らかなよ
うに、以下のような効果を有する。まず本発明による静
電モータは、回転軸の少なくとも一部にコイル複層構造
のコイルスプリングを備えているので、ロータ電極の回
転軸の偏心回転をうまく吸収した小型で高機能な静電モ
ータを実現することができる。
【0102】また本発明による静電モータは、誘電体膜
の一部に電気的な抵抗材料を設けるという簡単な構成に
より、ステータ電極またはロータ電極からロータ電極の
回転位置角度情報を検出することができ、高精度な回転
制御部を備えた小型で高機能な静電モータを実現するこ
とができる。
【0103】また本発明による静電モータは、ロータ電
極をコイルスプリング状にすることにより、ロータ電極
の偏心回転をうまく吸収するとともに、部品点数を削減
して接続損失を低減した小型で高機能な静電モータを実
現することができる。
【0104】また本発明による静電モータは、ロータ電
極をコイルスプリング状にするとともに、このコイルス
プリングに磁気回路中で電流を流すことにより、軸方向
への直進運動も可能な2自由度の小型で高機能な静電モ
ータを実現することができる。
【0105】また本発明による静電モータは、ロータ電
極およびステータ電極を収容するケーシングの内部を真
空状態に保つことにより、コイルスプリング等の性質を
一定に保ち、安定したトルク伝達と偏心吸収機能を持続
できる小型で高機能な静電モータを実現することができ
る。
【0106】また本発明による静電モータの製造方法
は、半導体製造技術を利用することにより、各部の寸法
を高精度にコントロール可能であり、微細な形状のステ
ータ電極を形成することができる。しかも、これらは複
数個同時のバッチ処理が可能であり、量産が可能であ
る。また注型樹脂により電極間の絶縁、固定を確実に行
なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す静電モータの断面
図。
【図2】本発明の第1の実施例におけるコイルスプリン
グの部分断面図。
【図3】本発明の第1の実施例の変形例を示すロータ電
極部の断面図。
【図4】本発明の第2の実施例を示す静電モータの断面
図。
【図5】本発明の第3の実施例におけるロータ電極部の
斜視図。
【図6】本発明の第3の実施例における動作を示す概略
断面図。
【図7】本発明の第3の実施例における動作を示す等価
回路図。
【図8】本発明の第3の実施例における動作を示す概略
断面図。
【図9】本発明の第3の実施例における動作を示す特性
図。
【図10】本発明の第3の実施例の変形例を示す静電モ
ータの概略断面図。
【図11】本発明の第3の実施例の別の変形例を示す静
電モータの概略斜視図。
【図12】本発明の第4の実施例を示す静電モータの断
面図。
【図13】本発明の第5の実施例を示す静電モータの断
面図。
【図14】本発明の第6の実施例における静電モータの
製造工程を示す断面図。
【図15】本発明の第6の実施例における静電モータの
製造工程を示す断面図。
【図16】本発明の第6の実施例における静電モータの
製造工程を示す断面図。
【図17】本発明の第7の実施例における静電モータの
製造工程を示す断面図。
【図18】本発明の第8の実施例を示す静電モータの断
面図。
【図19】本発明の第9の実施例を示す静電モータの断
面図。
【図20】本発明の第10の実施例における静電力発生
部の概略斜視図。
【図21】本発明の第11の実施例における静電モータ
の断面図。
【図22】本発明の第12の実施例における静電モータ
の断面図。
【図23】本発明の第13の実施例における静電モータ
の製造工程を示す断面図。
【図24】本発明の第13の実施例における静電モータ
の製造工程を示す断面図。
【図25】本発明の第13の実施例における静電モータ
の製造工程を示す断面図。
【図26】従来の静電モータの概略を示す部分斜視図。
【符号の説明】
1 ロータ電極 2 ステータ電極 3 誘電体膜 4 回転軸 5 コイルスプリング 6 軸受 7 エンコーダ 8 内部空間 9 ケーシング 10 回転制御部 11 磁性流体シール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊 田 隆 一 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番 1号 松下技研株式会社内 (72)発明者 河 内 義 和 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番 1号 松下技研株式会社内 (72)発明者 植 野 進 一 郎 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番 1号 松下技研株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−51367(JP,A) 特開 平3−117385(JP,A) 特開 平4−222471(JP,A) 特開 昭63−95865(JP,A) 特開 昭64−12876(JP,A) 特公 平2−22256(JP,B2) 実公 昭52−17052(JP,Y2) 実公 平2−36085(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 1/00 H02N 11/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転可能なコイルスプリング状のロータ電
    極と、前記ロータ電極に誘電体膜を介して対向配置され
    た複数のステータ電極と、前記ロータ電極を支持する回
    転軸と、前記回転軸を支持するとともに軸方向への前記
    ロータ電極の移動を許容する軸受と、前記コイルスプリ
    ング状のロータ電極に対し半径方向に横切る磁界を発生
    させるための磁気回路と、前記コイルスプリング状のロ
    ータ電極に制御電流を流して軸方向に移動させるための
    電流源とを備えた2自由度の静電モータ。
  2. 【請求項2】各ステータ電極と軸受とを保持してモータ
    の外殻を構成するケーシングを有し、ロータ電極が断面
    矩形の線材を巻き方向を異にして巻いた複数層のコイル
    スプリングであることを特徴とする請求項に記載の静
    電モータ。
  3. 【請求項3】ケーシングの内部を真空に封止したことを
    特徴とする請求項2に記載の静電モータ。
  4. 【請求項4】ロータ電極がステータ電極の内側に配置さ
    れている請求項1からのいずれかに記載の静電モー
    タ。
  5. 【請求項5】ロータ電極がステータ電極の外側に配置さ
    れている請求項1からのいずれかに記載の静電モー
    タ。
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