JP3469361B2 - 超音波モータの駆動方法及び装置 - Google Patents

超音波モータの駆動方法及び装置

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JP3469361B2 JP16949795A JP16949795A JP3469361B2 JP 3469361 B2 JP3469361 B2 JP 3469361B2 JP 16949795 A JP16949795 A JP 16949795A JP 16949795 A JP16949795 A JP 16949795A JP 3469361 B2 JP3469361 B2 JP 3469361B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波モータの駆動
方法及び駆動装置に係り、特に、超音波モータで発生す
るトルクを制御する超音波モータの駆動方法、及び該駆
動方法を適用可能な駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り超音波振動を駆動力とする超音波モータが知られてい
る。超音波モータの一種である進行波型の超音波モータ
は、周波数が等しくかつ位相が異なる2相の駆動信号が
圧電体に供給されることにより駆動される。この駆動信
号によって発生する圧電体の機械振動により、圧電体と
該圧電体に貼付された弾性体から成るステータに、振動
の腹及び節が弾性体に沿って円環状に移動する超音波振
動(進行波)が励起され、前記弾性体に加圧接触された
ロータ及び駆動軸が回転される。
【0003】超音波モータは一般的なモータと比較して
小型であり、正逆両方向に回転可能でかつ低速回転域で
大きな回転トルクが発生する等の様々な利点を有してい
ることから種々な分野への適用が考えられ、近年では、
例えばオートフォーカスカメラのレンズの駆動等に広く
用いられるようになってきている。レンズの駆動等では
超音波モータのロータの回転を利用しており、より高速
かつ精密にレンズ等を駆動するために、超音波モータの
ロータ位置やロータ回転速度の制御については従来より
種々の方法が研究、提案されている(例えば、「計測技
術」'87 2月号P35〜40、特開昭 63-190568号公報、特
開昭 63-190568号公報、特開平1-126174号公報等参
照)。
【0004】また、進行波型の超音波モータは、非駆動
時にロータを保持しようとする保持トルクがロータに加
わるが、この非駆動時における保持トルク及び駆動時に
ロータに発生する回転トルクを利用し、超音波モータを
車両等のブレーキ装置の駆動源として用いることも提案
されている(特開昭 63-266228号公報)。このような用
途では、超音波モータの回転トルクをどのようにして目
標値に一致するよう制御するかが問題となってくる。
【0005】超音波モータのトルクの制御方法の一例と
して、特開平1-185174号公報には、超音波モータにより
レンズを駆動するオートフォーカスカメラにおいて、手
動でレンズを駆動する際にも超音波モータに駆動信号を
供給すると共に、この駆動信号とステータの振動を検出
するセンサから出力される信号との位相差が所定値とな
るように駆動信号の周波数を変更することにより、手動
でレンズを駆動する際の抵抗となる保持トルクを減少さ
せ、小さな作動トルク(操作力)でレンズを駆動できる
ようにすることが開示されている。また、この公報には
駆動信号の周波数を変更することで作動トルクの大きさ
を変更できることも記載されている。
【0006】このため、上記に基づき、駆動信号の周波
数を変更することにより超音波モータで発生する回転ト
ルクを制御することが考えられる。しかし、駆動信号の
周波数と超音波モータで発生する回転トルクとの関係は
非線形であるので、回転トルクを目標値に一致させるた
めの駆動信号の周波数を導出する処理が非常に複雑であ
り、超音波モータを駆動する駆動装置の構成が複雑とな
ったり、上記処理に時間がかかることにより、回転トル
クが高速でかつ小さな変化幅で変化するように目標値を
変更していったとしても、目標値の変化に対する応答性
が低いという問題がある。また、前述のように周波数と
回転トルクとの関係が非線形であるので、回転トルクを
高い精度で制御することも困難である。
【0007】また、回転トルクの方向を時計回り方向か
ら反時計回り方向へ、又はその逆へ連続的に変化させた
い場合、上記の制御方法では、ステータの振動の振幅が
減少するように駆動信号の周波数を変更し、回転トルク
を減少させて0にした後に、回転トルクの方向が変化す
るように2相の駆動信号の位相を変更し、その後にステ
ータの振動の振幅が増大するように駆動信号の周波数を
変更して回転トルクを増大させる、という複雑な制御を
行う必要があり、回転トルクの方向を変化させる際の応
答性が悪い。また、上記の制御では、回転トルクが0と
なる迄の間の回転トルクの変化量が大きくなると、周波
数の変更量が大きくなるので、回転トルクの方向を変化
させる際の応答性は更に悪化することになる。
【0008】また、仮に応答性を優先し周波数の変更量
を小さくしたとすると、回転トルクの方向が反転する際
に回転トルクが0まで低下する前に回転トルクの方向が
反転することになるので、回転トルクの変化が円滑では
なくなる。回転トルクの変化の応答性、円滑性は、特に
超音波モータをブレーキ装置の駆動源として用いる等の
場合に重要となってくるが、従来の制御方法では超音波
モータの回転トルクを高速かつ円滑に変化させることは
困難であった。
【0009】本発明は上記事実を考慮して成されたもの
で、超音波モータの回転トルクを高速かつ円滑に変化さ
せることができる超音波モータの駆動方法及び装置を得
ることが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の発明に係る超音波モータの駆動方法
は、周波数が等しくかつ位相が異なる2相の交流信号が
供給されることにより駆動される進行波型の超音波モー
タを駆動するにあたり、超音波モータに供給する2相の
交流信号の位相差の変化に対する超音波モータの回転ト
ルクの変化の傾きを予め求めると共に、超音波モータに
所定方向の回転トルクが発生しかつ該回転トルクが増加
するように前記2相の交流信号の位相差を変化させた際
に前記回転トルクが所定値に一致するときの位相差と、
超音波モータに前記所定方向の回転トルクが発生しかつ
該回転トルクが減少するように前記2相の交流信号の位
相差を変化させた際に前記回転トルクが所定値に一致す
るときの位相差と、のずれ量を予め求めておき、超音波
モータで発生させるべき回転トルクの大きさ、方向及び
回転トルクの変化方向と、前記求めた回転トルクの変化
の傾き及び位相差のずれ量とに基づいて、超音波モータ
に供給する2相の交流信号の位相差を算出し、算出した
位相差だけ位相のずれた2相の交流信号を超音波モータ
に供給し、超音波モータで発生する回転トルクを制御す
る。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記回転トルクの変化の傾き及び位相差の
ずれ量を、超音波モータのステータに発生する振動の振
幅が一定値となっている状態で求めると共に、超音波モ
ータのステータに発生する振動の振幅が前記一定値とな
るように、超音波モータに供給する2相の交流信号の振
幅及び周波数の少なくとも一方を制御することを特徴と
している。
【0012】請求項3記載の発明に係る超音波モータの
駆動装置は、周波数が等しくかつ位相が異なる2相の交
流信号が供給されることにより駆動される進行波型の超
音波モータを駆動する超音波モータの駆動装置におい
て、超音波モータで発生させるべき回転トルクの大き
さ、方向及び回転トルクの変化方向と、予め求められた
超音波モータに供給する2相の交流信号の位相差の変化
に対する超音波モータの回転トルクの変化の傾きと、予
め求められた超音波モータに所定方向の回転トルクが発
生しかつ該回転トルクが増加するように前記2相の交流
信号の位相差を変化させた際に前記回転トルクが所定値
に一致するときの位相差と超音波モータに前記所定方向
の回転トルクが発生しかつ該回転トルクが減少するよう
に前記2相の交流信号の位相差を変化させた際に前記回
転トルクが所定値に一致するときの位相差とのずれ量
と、に基づいて、超音波モータに供給する2相の交流信
号の位相差を算出する位相差演算手段と、前記位相差演
算手段によって算出された位相差だけ位相のずれた2相
の交流信号を超音波モータに供給し、超音波モータで発
生する回転トルクを制御する制御手段と、を含むことを
特徴としている。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、前記回転トルクの変化の傾き及び位相差の
ずれ量は、超音波モータのステータに発生する振動の振
幅が一定値となっている状態で求められており、前記制
御手段は、超音波モータのステータに発生する振動の振
幅が前記一定値となるように、超音波モータに供給する
2相の交流信号の振幅及び周波数の少なくとも一方を制
御することを特徴としている。
【0014】本願発明者等は、超音波モータの回転トル
クの制御に関する種々の実験を行った。その結果、超音
波モータに供給している2相の交流信号の位相差の変化
に対し、超音波モータの回転トルクが図1に示すように
変化することを見いだした。すなわち、2相の交流信号
の一方の相(便宜的にA相と称する)を基準とし、A相
の位相に対する他方の相(便宜的にB相と称する)の位
相の位相差をθ(この位相差θはA相に対しB相の位相
が進んでいる場合には符号が正、遅れている場合には符
号が負となる)とすると、位相差θの変化に対し超音波
モータの回転トルクτは略一定の傾きαで直線的に変化
する。
【0015】また、位相差θを増加(位相差θの符号が
正のときには位相差θの絶対値が増加、符号が負のとき
には位相差θの絶対値が減少)させている場合(このと
きの位相差θに対する回転トルクτの変化を特性xとい
う)と、位相差θを減少(位相差θの符号が正のときに
は位相差θの絶対値が減少、符号が負のときには位相差
θの絶対値が増加)させている場合(このときの位相差
θに対する回転トルクτの変化を特性yという)と、で
超音波モータの回転トルクτが等しくなるときの位相差
θに略一定のずれβが生ずる、所謂ヒステリシス性があ
る。
【0016】なお、図1に示す特性は、B相の位相を基
準としてA相の位相を変化させたとすると、y軸に関し
て線対称な特性となる。
【0017】上記特性に基づき、請求項1記載の発明で
は、超音波モータに供給する2相の交流信号の位相差
(θ)の変化に対する超音波モータの回転トルクの変化
の傾き(α)を予め求めると共に、超音波モータに所定
方向の回転トルクが発生しかつ該回転トルクが増加する
ように前記2相の交流信号の位相差を変化させた際に前
記回転トルクが所定値に一致するときの位相差と、超音
波モータに所定方向の回転トルクが発生しかつ該回転ト
ルクが減少するように前記2相の交流信号の位相差を変
化させた際に前記回転トルクが所定値に一致するときの
位相差と、のずれ量(β)を予め求めておく。
【0018】そして、超音波モータで発生させるべき回
転トルクの大きさ、方向及び回転トルクの変化方向と、
前記求めた回転トルクの変化の傾き及び位相差のずれ量
とに基づいて、超音波モータに供給する2相の交流信号
の位相差を算出し、算出した位相差だけ位相のずれた2
相の交流信号を超音波モータに供給し、超音波モータで
発生する回転トルクを制御する。
【0019】超音波モータに2相の交流信号を供給する
と共に2相の交流信号の位相差θを変化させた場合に、
超音波モータの回転トルクの変化が特性xに従って変化
するか特性yに従って変化するかは、図1からも明らか
なように、超音波モータで発生させるべき回転トルクの
方向及び変化方向に基づいて判断できる。また、2相の
交流信号の位相差θの変化に対する超音波モータの回転
トルクτの変化は線形性が非常に高いので、超音波モー
タで所定の大きさ、方向の回転トルクを発生させるため
の位相差θは、非常に簡単かつ正確に算出できる。従っ
て、超音波モータの回転トルクを高速かつ小さな変化幅
で変化させることができる。
【0020】また、図1に示すように超音波モータの回
転トルクの変化は、回転トルクの方向が反転する境界領
域(図1において特性x及び特性yの線が横軸と交差し
ている箇所及びその近傍)においても、位相差θの変化
に対し線形性が保たれているので、回転トルクの方向を
変化させる際にも交流信号の周波数を変更する必要はな
く、位相差を変更するのみで、回転トルクの方向を容易
にかつ円滑に変化させることができる。
【0021】ところで、図1に示した特性は、製造誤差
を含まない、又は製造誤差が極めて小さい部品で構成さ
れた理想的な超音波モータであれば、超音波モータのス
テータに発生する振動の振幅の大きさに拘わらず一定又
は略一定となるが、実際の超音波モータでは各部品が製
造誤差を含んでいるので、図1に示した特性を規定する
傾きα及びずれ量βはステータに発生する振動の振幅が
変化すると変化し、回転トルクを精度良く制御すること
は困難である。図1に示す特性も、実際にはステータに
発生する振動の振幅を一定とした状態での実験により得
られたものである。
【0022】このため、請求項2にも記載したように、
回転トルクの変化の傾き及び位相差のずれ量を、超音波
モータのステータに発生する振動の振幅が一定値となっ
ている状態で求めると共に、超音波モータのステータに
発生する振動の振幅が前記一定値となるように、超音波
モータに供給する2相の交流信号の振幅及び周波数の少
なくとも一方を制御することが好ましい。これにより、
構成部品に製造誤差が含まれている超音波モータであっ
ても、回転トルクを高い精度で制御することができる。
【0023】請求項3記載の発明では、位相差演算手段
により、超音波モータで発生させるべき回転トルクの大
きさ、方向及び回転トルクの変化方向と、予め求められ
た超音波モータに供給する2相の交流信号の位相差の変
化に対する超音波モータの回転トルクの変化の傾きと、
予め求められた超音波モータに所定方向の回転トルクが
発生しかつ該回転トルクが増加するように前記2相の交
流信号の位相差を変化させた際に前記回転トルクが所定
値に一致するときの位相差と超音波モータに所定方向の
回転トルクが発生しかつ該回転トルクが減少するように
前記2相の交流信号の位相差を変化させた際に前記回転
トルクが所定値に一致するときの位相差とのずれ量と、
に基づいて、超音波モータに供給する2相の交流信号の
位相差を算出し、制御手段では位相差演算手段によって
算出された位相差だけ位相のずれた2相の交流信号を超
音波モータに供給し、超音波モータで発生する回転トル
クを制御するので、前述した請求項1の発明と同様に、
超音波モータの回転トルクを高速かつ円滑に変化させる
ことができる。
【0024】また、請求項4記載の発明では、回転トル
クの変化の傾き及び位相差のずれ量が、超音波モータの
ステータに発生する振動の振幅が一定値となっている状
態で求められており、制御手段は、超音波モータのステ
ータに発生する振動の振幅が前記一定値となるように、
超音波モータに供給する2相の交流信号の振幅及び周波
数の少なくとも一方を制御するので、前述した請求項2
の発明と同様に、構成部品に製造誤差が含まれている超
音波モータであっても、発生する回転トルクを高い精度
で制御することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下では本発明
に支障のない数値を用いて説明するが、本発明は以下に
記載した数値に限定されるものではない。
【0026】〔第1の実施形態〕図2には、第1の実施
形態に係る進行波型の超音波モータ10が示されてい
る。超音波モータ10は銅合金等から構成される円環状
の弾性体12を備え、この弾性体12に圧電体14が貼
付されてステータ28が形成されている。
【0027】圧電体14は電気信号を機械振動に変換す
る圧電材料から成り、多数の電極により円環状に分割、
配列されて構成されている。一方、駆動軸16に取付け
られたロータ18は、アルミ合金等から成るロータリン
グ20に円環状のスライダ22が接着されて形成されて
おり、スプリング24によってスライダ22が前記弾性
体12に加圧接触されている。このスライダ22として
は、安定した摩擦力、摩擦係数を得るために、例えばエ
ンジニアリングプラスチック等が用いられ、これにより
高効率でロータ18を駆動することができる。
【0028】また、弾性体12には圧電素子26(図3
参照)が貼付されている。図3に示すように、圧電素子
26は一端が接地されており、他端が超音波モータ駆動
回路30(本発明に係る超音波モータの駆動装置に対応
している)の周波数制御部32の入力端に接続されてい
る。圧電素子26は弾性体12の振動を検出し、該振動
に応じた振幅、周期の交流信号(フィードバック信号)
を出力する。周波数制御部32の出力端は電圧制御発振
回路(VCO)34の信号入力端に接続されている。V
CO34は、信号入力端に入力された信号の電圧レベル
に応じた周波数かつ一定振幅の信号を出力する。
【0029】VCO34の信号出力端はフェイズシフタ
36の信号入力端に接続されている。またフェイズシフ
タ36の指示信号入力端は、マイクロコンピュータを含
んで構成された位相差指示部38が接続されている。位
相差指示部38には超音波モータ10の回転トルクの目
標値τT が入力される。位相差指示部38は本発明の位
相差演算手段に対応しており、入力された回転トルクの
目標値τT に基づいて超音波モータ10に供給する2相
の交流駆動信号の位相差θを演算し、演算した位相差θ
を指示信号としてフェイズシフタ36へ出力する。
【0030】フェイズシフタ36の2個の信号出力端の
一方は電力増幅器40の入力端に、他方は電力増幅器4
2の入力端に接続されている。フェイズシフタ36は請
求項3に記載の制御手段に対応しており、VCO34か
ら入力された信号を2個に分岐し(便宜的に一方をA
相、他方をB相と称する)、2相の信号の位相差が指示
された位相差θに一致するように2相の信号の一方又は
両方の位相を変更する。そして、2個の信号出力端を介
し、A相の信号を電力増幅器40へ、B相の信号を電力
増幅器42へ各々出力する。
【0031】電力増幅器40、42はインダクタンス素
子又はトランス等を含んで構成されており、入力された
信号を一定の増幅率で増幅(昇圧)して超音波モータ駆
動信号として出力する。電力増幅器40の出力端は圧電
体14Aの一端に接続されており、電力増幅器42の出
力端は圧電体14Bの一端に接続されている。圧電体1
4A、14Bの他端は接地されている。この圧電体14
A、14Bによって超音波モータ10の圧電体14が構
成される。
【0032】次に第1の実施形態の作用を説明する。超
音波モータ10の駆動を開始する際、周波数制御部32
は比較的低い電圧レベルの周波数制御信号を出力し、駆
動回路30のVCO34は周波数制御信号の電圧レベル
に対応して、超音波モータ10の駆動周波数帯域よりも
充分高い周波数の信号を出力する。VCO34から出力
された信号は、フェイズシフタ36でA相とB相とに分
岐されると共に、互いの位相差が指示された位相差θに
一致するように位相が変更された後に、各々電力増幅回
路38、40で増幅(昇圧)され、駆動信号として超音
波モータ10の圧電体14A、14Bに供給される。
【0033】この駆動信号は圧電体14A、14Bで機
械振動に変換され、ステータ28に進行波が励起されて
駆動軸16及びロータ18が回転される。また、ステー
タ28の振動は圧電素子26によって電気信号(フィー
ドバック信号)に変換され、駆動回路30の周波数制御
部32に入力される。周波数制御部32では、圧電素子
26から入力されたフィードバック信号に基づいて、超
音波モータ10に供給される駆動信号の周波数が超音波
モータ10の最適駆動周波数となるように、周波数制御
信号の電圧レベルを制御する。
【0034】具体的には、例えば本出願人が既に特願平
6-20952号で提案しているように、前記圧電素子26か
ら入力されたフィードバック信号を、入力された信号の
レベルが出力信号のレベルを越えている場合には出力信
号のレベルを入力信号のレベルに一致させ、入力された
信号のレベルが出力信号のレベル未満の場合には出力信
号のレベルを所定値以下の減少速度で減少させる信号処
理回路に入力して処理し、前記信号処理回路から出力さ
れた信号の平均的なレベルが基準レベルを越えていれば
周波数制御信号の電圧レベルを徐々に低くし(これによ
り駆動信号の周波数は上昇)、前記平均的なレベルが基
準レベル未満であれば周波数制御信号の電圧レベルを徐
々に高くする(これにより駆動信号の周波数は低下)。
【0035】これにより、VCO34から出力されフェ
イズシフタ36、電力増幅器40、42を経て超音波モ
ータ10に供給される駆動信号の周波数は、負荷の変動
や周囲温度の変動等に拘わらず超音波モータ10の最適
駆動周波数を追従するように制御されることになる。前
述のように電力増幅器40、42の増幅率は一定である
ので、超音波モータ10に供給される駆動信号が最適駆
動周波数に一致している状態では、ステータ28に発生
する振動の振幅は一定となる。このように、周波数制御
部32は請求項4に記載した制御手段に対応している。
【0036】一方、本実施形態に係る超音波モータ10
は、最適駆動周波数かつ一定振幅の駆動信号を供給して
いる状態(ステータ28に発生する振動の振幅が一定と
なっている状態)で、2相の駆動信号の位相差θを変更
して超音波モータ10に発生する回転トルクの大きさ及
び方向を変化させる実験が行われ、位相差θ−回転トル
クτ特性が予め測定されている。測定結果の一例を図4
に示す。なお、図4では位相差θを−60°〜+60°の範
囲で変更した場合を例として示しているが、位相差θの
変更範囲を−80°〜+80°程度に広げても、回転トルク
の変化の傾きα及び位相差のずれ量βは殆ど変化しない
ことも確認されている。
【0037】上記の結果に基づき、位相差指示部38で
は、図5に示す処理が所定時間毎に実行される。すなわ
ち、ステップ100では今回の処理における回転トルク
の目標値τT (n) が前回の処理時の回転トルクの目標値
τT (n-1) よりも大きいか否かを判断することにより、
回転トルクの目標値τT の変化方向を判定する。なお、
位相差指示部38に入力される回転トルクの目標値τT
は、符号が正のときは時計回り方向へのトルクを、符号
が負のときは反時計回り方向へのトルクを表し、表すト
ルクの大きさが大きくなるに従って絶対値が増大するよ
うに値が定められている。第1の実施形態では、超音波
モータ10の回転トルクを開ループにより制御している
ので、超音波モータ10の回転トルクの変化方向は、回
転トルクの目標値τT の変化方向に一致する。
【0038】今回の目標値τT (n) が前回の目標値τT
(n-1) よりも大きい場合にはステップ100の判定が肯
定され、ステップ102へ移行する。この判定が肯定さ
れるのは、図4からも明らかなように、目標値τT が表
している回転トルクの方向が反時計回り方向であれば回
転トルクの絶対値が減少するように目標値τT が変更さ
れた場合であり、目標値τT が表している回転トルクの
方向が時計回り方向であれば回転トルクの絶対値が増加
するように目標値τT が変更された場合であるので、駆
動信号の位相差θの変化に対し、超音波モータ10の回
転トルクτは図4の特性xに従って変化する。
【0039】特性xにおける位相差θと回転トルクτと
の関係は次式で表される。 τ=α(θ−β/2) …(1) この(1)式を位相差θに関する式に変形し、回転トル
クτを回転トルクの目標値τT (n) に置き換えると、次
の(2)式が得られる。
【0040】 θ=1/α・τT (n) +β/2 …(2) 上記(2)式は駆動信号の位相差θの変化に対し、超音
波モータ10の回転トルクτが特性xに従って変化する
ときに、目標値τT (n) に一致する回転トルクを発生さ
せるための駆動信号の位相差θを表しており、ステップ
102では(2)式に従って位相差θを演算し、ステッ
プ106へ移行する。
【0041】一方、今回の目標値τT (n) が前回の目標
値τT (n-1) よりも小さい場合にはステップ100の判
定が否定され、ステップ104へ移行する。ステップ1
00の判定が否定されるのは、図4からも明らかなよう
に、目標値τT が表している回転トルクの方向が反時計
回り方向であれば回転トルクの絶対値が増加するように
目標値τT が変更された場合であり、目標値τT が表し
ている回転トルクの方向が時計回り方向であれば回転ト
ルクの絶対値が減少するように目標値τT が変更された
場合であるので、駆動信号の位相差θの変化に対し超音
波モータ10の回転トルクτは図4の特性yに従って変
化する。
【0042】特性yにおける位相差θと回転トルクτと
の関係は次式で表される。 τ=α(θ+β/2) …(3) この(3)式を位相差θに関する式に変形し、回転トル
クτを回転トルクの目標値τT (n) に置き換えると、次
の(4)式が得られる。
【0043】 θ=1/α・τT (n) −β/2 …(4) 上記(4)式は駆動信号の位相差θの変化に対し超音波
モータ10の回転トルクτが特性yに従って変化すると
きに、目標値τT (n) に一致する回転トルクを発生させ
るための駆動信号の位相差θを表しており、ステップ1
04では(4)式に従って位相差θを演算し、ステップ
106へ移行する。
【0044】次のステップ106では、上記で演算した
位相差θを位相差の指示値としてフェイズシフタ36へ
出力し、処理を終了する。フェイズシフタ36では、電
力増幅器40、42へ出力する2相の信号の位相差が、
指示された位相差θに一致するように2相の信号の位相
を変更するので、この信号が電力増幅器40、42で昇
圧され、駆動信号として超音波モータ10に供給され
る。従って、超音波モータ10の回転トルクτが回転ト
ルクの目標値τT に一致するように、2相の駆動信号の
位相差θが制御されることになる。
【0045】このように、第1の実施形態では2相の駆
動信号の位相差θの変化に対し、超音波モータ10で発
生する回転トルクτの変化の線形性が非常に高い点に着
目し、回転トルクの目標値τT より(2)式又は(4)
式を用いて位相差θを求める、開ループ制御を行ってい
るので、目標値τT に対応する位相差θを極めて簡単な
演算により求めることができる。従って、超音波モータ
の回転トルクτが高速かつ小さな変化幅で変化するよう
に目標値τT が変化された場合、或いは回転トルクτの
方向が変化するように目標値τT が変化された場合であ
っても、超音波モータ10の回転トルクτを高速かつ円
滑に変化させることができる。
【0046】〔第2の実施形態〕次に本発明の第2の実
施形態を説明する。なお、第1の実施形態と同一の部分
には同一の符号を付し、説明を省略する。図6に示すよ
うに、第2の実施形態では超音波モータ10のロータ1
8及び駆動軸16の回転トルクτの大きさ及び方向を検
出するトルクセンサ46が設けられている。
【0047】トルクセンサ46は位相差指示部38に接
続されており、検出した回転トルクの大きさ及び方向を
表す回転トルク検出値τM を位相差指示部38へ出力す
る。この回転トルク検出値τM は、具体的には前述の回
転トルク目標値τT と同様に、符号が正のときは時計回
り方向への回転トルクを、符号が負のときは反時計回り
方向への回転トルクを表し、表す回転トルクの大きさが
大きくなるに従って絶対値が増大するように値が定めら
れている。
【0048】次の図7のフローチャートを参照し、第2
の実施形態の作用として、第2の実施形態に係る位相差
指示部38において所定時間毎に実行される位相差θ演
算処理について説明する。ステップ120では、回転ト
ルク目標値τT (n) 及び回転トルク検出値τM (n) を取
り込む。ステップ122では次式に従って、ステップ1
20で取り込んだ回転トルク目標値τT (n) と回転トル
ク検出値τM (n) との偏差w(n) を演算する。
【0049】w(n) =τT (n) −τM (n) 次のステップ124では、上記で演算した偏差w(n)
と、前回及び前々回に演算した偏差w(n-1) 、w(n-2)
を用い、次の(5)式に従って位相差の変更量Δθを演
算し、ステップ126へ移行する。
【0050】 Δθ(n) =KP (w(n) −w(n-1))+Ki ・w(n) +Kd (w(n) −2×w(n-1) +w(n-2)) …(5) 但し、KP :比例ゲイン、Ki :積分ゲイン、Kd :微
分ゲイン 上記(5)式の第1項は比例項を、第2項は積分項を、
第3項は微分項を各々表しており、所謂PID制御によ
り位相差θの変更量Δθを求めている。なお、(5)式
における各項のゲインKP 、Ki 、Kd は、図4に示し
た超音波モータ10の位相差θ−トルクτ特性の傾きα
を考慮して値が定められている。
【0051】ところで、前述の(1)(3)式において
θ−β/2=θ1 、θ+β/2=θ 2 とし、(1)式に
おける回転トルクτをτ1 、(3)式における回転トル
クτをτ2 とすると、次の(6)(7)式が得られる。
【0052】 τ1 =αθ1 =α(θ2 −β) …(6) τ2 =αθ2 =α(θ1 +β) …(7) 第2の実施形態では、回転トルクの目標値τT と検出値
τM との偏差wに基づいて閉ループ制御により位相差θ
を変更して回転トルクを制御するので、回転トルクの検
出値τM が目標値τT に一致したときには位相差θは
(2)式又は(4)式に一致することになり、超音波モ
ータ10の位相差θ−回転トルクτ特性のヒステリシス
性に起因するずれ量βに対応するオフセット(+β/2
又は−β/2)が加わっている。ここで、目標値τT
変化した、或いは外乱が加わった等の理由により、回転
トルクτをそれまでの変化方向と逆にする場合には、前
述のヒステリシス性を考慮すると、前記オフセットの符
号を反転する必要がある。これは、前回の位相差θを基
準とすると、先の(6)(7)式にも示すようにずれ量
βを加算又は減算することに相当する。
【0053】従って、次のステップ126〜136で
は、超音波モータ10の回転トルクの変化方向を表して
いる位相差の変更量Δθ(n) を用いて、前回の処理で求
めた位相差θ(n-1)に対するオフセットOFFSETの設定を
行う。すなわち、ステップ126では、上記で演算した
位相差の変更量Δθ(n) と前回の処理で演算した位相差
の変更量Δθ(n-1) との積(Δθ(n) ×Δθ(n-1))が0
よりも大きいか否かを判定する。この判定が否定された
場合には、Δθ(n) とΔθ(n-1)の符号が異なっている
か、又は何れかが0の場合であり、回転トルクτの変化
方向が変化すると判断できるので、ステップ128へ移
行し今回の位相差の変更量Δθ(n)が0か否か判定す
る。
【0054】判定が否定された場合にはステップ130
へ移行し、今回の位相差の変更量Δθ(n)が0よりも大
きいか否か判定する。この判定が肯定された場合は、前
回の位相差の変更量Δθ(n-1)は符号が負又は0であ
り、今回の位相差の変更量Δθ(n) の符号が正となった
場合(先の(7)式に対応)であるので、ステップ13
2でオフセットOFFSETとしてβを設定し、ステップ13
8へ移行する。またステップ130の判定が否定された
場合は、前回の位相差の変更量Δθ(n-1)は符号が正又
は0であり、今回の位相差の変更量Δθ(n) の符号が負
となった場合(先の(8)式に対応)であるので、ステ
ップ134でオフセットOFFSETとして−βを設定し、ス
テップ138へ移行する。
【0055】一方、ステップ126の判定が肯定された
場合は、今回の位相差の変更量Δθ(n) の符号がΔθ(n
-1) と等しいので、回転トルクτの変化方向は変化しな
い。また、ステップ128の判定が肯定された場合は、
今回の位相差の変更量Δθ(n) が0であり、前回出力し
た位相差θを変更しない場合であるので、この場合も回
転トルクτの変化方向は変化しない。このため、ステッ
プ126又はステップ128の判定が肯定された場合に
は、ステップ136でオフセットOFFSETとして0を設定
し、ステップ138へ移行する。
【0056】ステップ138では、前回の処理で求めた
位相差θ(n-1)、今回の位相差の変更量Δθ(n) 及びオ
フセットOFFSETを加え合わせて、今回の位相差θ(n)を
演算する(次の(8)式参照)。
【0057】 θ(n)=θ(n-1)+Δθ(n) +OFFSET …(8) 次のステップ140では、上記で演算した位相差θ(n)
を位相差の指示値としてフェイズシフタ36へ出力し、
処理を終了する。これにより、フェイズシフタ36、電
力増幅器40、42を介して位相差θ(n)の2相の駆動
信号が超音波モータ10に供給される。そして超音波モ
ータ10のロータ18及び駆動軸16の回転トルクの変
化がトルクセンサ46によって検出され、検出結果が検
出値τM として位相差指示部38に入力される。これに
より、超音波モータ10の回転トルク検出値τM が回転
トルクの目標値τT に一致するように、2相の駆動信号
の位相差θが閉ループ制御されることになる。
【0058】このように、第2の実施形態では超音波モ
ータ10の回転トルクを検出し、回転トルクの目標値τ
T と検出値τM との偏差wに応じて位相差θを変更する
ので、第1の実施形態と比較して、より精密に回転トル
クτを制御することができる。
【0059】なお、上記では位相差指令部38をマイク
ロコンピュータを含んで構成していたが、これに限定さ
れるものではなく、論理回路等のデジタル回路や、アナ
ログ回路により構成することも可能である。
【0060】また、上記では超音波モータ10の位相差
θ−回転トルクτ特性を予め測定して傾きα及びずれ量
βを求めた例を説明したが、位相差θ−回転トルクτ特
性における傾きα及びずれ量βは超音波モータの仕様に
よって大きく変化するものの、同一仕様の超音波モータ
を多数個製造した場合に製造誤差等に起因する個々のモ
ータのばらつきによる影響は余り大きくはない。従っ
て、同一仕様の超音波モータを多数個製造した場合に個
々のモータ毎に傾きα及びずれ量βを求める必要はな
く、或るモータの駆動に際し、同一仕様の他のモータで
求めた傾きα及びずれ量βを用いることができることは
言うまでもない。
【0061】更に、超音波モータ10に供給する駆動信
号の振幅又は周波数を変更することによりステータ28
の振動の振幅の大きさを段階的に変更しながら、前記振
幅値が各値のときの位相差θ−回転トルクτ特性を各々
測定して傾きα及びずれ量βを各々求めておき、超音波
モータ10の駆動に際しては、上記で求めた傾きα及び
ずれ量βのうち、ステータの現在の振幅の大きさに対応
する傾きα及びずれ量βを選択的に用いて超音波モータ
10の回転トルクを制御するようにしてもよい。これに
より、ステータの振動の振幅を一定に制御しない駆動方
式においてステータの振動の振幅が変化した場合や、超
音波モータのロータを所定速度で回転させたい等の場合
にも、超音波モータ10の回転トルクを正確に制御する
ことができる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように請求項1及び請求項
3記載の発明は、超音波モータで発生させるべき回転ト
ルクの大きさ、方向及び回転トルクの変化方向と、予め
求められた超音波モータに供給する2相の交流信号の位
相差の変化に対する超音波モータの回転トルクの変化の
傾きと、予め求められた超音波モータに所定方向の回転
トルクが発生しかつ該回転トルクが増加するように前記
2相の交流信号の位相差を変化させた際に前記回転トル
クが所定値に一致するときの位相差と超音波モータに所
定方向の回転トルクが発生しかつ該回転トルクが減少す
るように前記2相の交流信号の位相差を変化させた際に
前記回転トルクが所定値に一致するときの位相差とのず
れ量と、に基づいて、超音波モータに供給する2相の交
流信号の位相差を算出し、算出した位相差だけ位相のず
れた2相の交流信号を超音波モータに供給するので、超
音波モータの回転トルクを高速かつ円滑に変化させるこ
とができる、という優れた効果を有する。
【0063】請求項2及び請求項4記載の発明は、回転
トルクの変化の傾き及び位相差のずれ量を、超音波モー
タのステータに発生する振動の振幅が一定値となってい
る状態で求め、超音波モータのステータに発生する振動
の振幅が前記一定値となるように、超音波モータに供給
する2相の交流信号の振幅及び周波数の少なくとも一方
を制御するようにしたので、上記効果に加え、構成部品
に製造誤差が含まれている超音波モータであっても、発
生する回転トルクを高い精度で制御できる、という効果
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明者等が実験により求めた、超音波モー
タの位相差θ−回転トルクτ特性を示す線図である。
【図2】超音波モータの概略構成を示す一部断面斜視図
である。
【図3】第1の実施形態に係る駆動回路の概略構成を示
すブロック図である。
【図4】本実施形態で用いた超音波モータの位相差θ−
回転トルクτ特性を示す線図である。
【図5】第1の実施形態に係る位相差指示部で実行され
る位相差演算処理を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態に係る駆動回路の概略構成を示
すブロック図である。
【図7】第2の実施形態に係る位相差指示部で実行され
る位相差演算処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 超音波モータ 18 ロータ 28 ステータ 30 駆動回路 32 周波数制御部 36 フェイズシフタ 38 位相差指示部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−353075(JP,A) 特開 平4−370986(JP,A) 特開 平5−292762(JP,A) 特開 昭63−190568(JP,A) 特開 平1−126174(JP,A) 特開 昭63−266228(JP,A) 特開 平1−185174(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 2/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数が等しくかつ位相が異なる2相の
    交流信号が供給されることにより駆動される進行波型の
    超音波モータを駆動するにあたり、 超音波モータに供給する2相の交流信号の位相差の変化
    に対する超音波モータの回転トルクの変化の傾きを予め
    求めると共に、 超音波モータに所定方向の回転トルクが発生しかつ該回
    転トルクが増加するように前記2相の交流信号の位相差
    を変化させた際に前記回転トルクが所定値に一致すると
    きの位相差と、超音波モータに前記所定方向の回転トル
    クが発生しかつ該回転トルクが減少するように前記2相
    の交流信号の位相差を変化させた際に前記回転トルクが
    所定値に一致するときの位相差と、のずれ量を予め求め
    ておき、 超音波モータで発生させるべき回転トルクの大きさ、方
    向及び回転トルクの変化方向と、前記求めた回転トルク
    の変化の傾き及び位相差のずれ量とに基づいて、超音波
    モータに供給する2相の交流信号の位相差を算出し、 算出した位相差だけ位相のずれた2相の交流信号を超音
    波モータに供給し、超音波モータで発生する回転トルク
    を制御する超音波モータの駆動方法。
  2. 【請求項2】 前記回転トルクの変化の傾き及び位相差
    のずれ量を、超音波モータのステータに発生する振動の
    振幅が一定値となっている状態で求めると共に、 超音波モータのステータに発生する振動の振幅が前記一
    定値となるように、超音波モータに供給する2相の交流
    信号の振幅及び周波数の少なくとも一方を制御すること
    を特徴とする請求項1記載の超音波モータの駆動方法。
  3. 【請求項3】 周波数が等しくかつ位相が異なる2相の
    交流信号が供給されることにより駆動される進行波型の
    超音波モータを駆動する超音波モータの駆動装置におい
    て、 超音波モータで発生させるべき回転トルクの大きさ、方
    向及び回転トルクの変化方向と、予め求められた超音波
    モータに供給する2相の交流信号の位相差の変化に対す
    る超音波モータの回転トルクの変化の傾きと、予め求め
    られた超音波モータに所定方向の回転トルクが発生しか
    つ該回転トルクが増加するように前記2相の交流信号の
    位相差を変化させた際に前記回転トルクが所定値に一致
    するときの位相差と超音波モータに前記所定方向の回転
    トルクが発生しかつ該回転トルクが減少するように前記
    2相の交流信号の位相差を変化させた際に前記回転トル
    クが所定値に一致するときの位相差とのずれ量と、に基
    づいて、超音波モータに供給する2相の交流信号の位相
    差を算出する位相差演算手段と、 前記位相差演算手段によって算出された位相差だけ位相
    のずれた2相の交流信号を超音波モータに供給し、超音
    波モータで発生する回転トルクを制御する制御手段と、 を含むことを特徴とする超音波モータの駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記回転トルクの変化の傾き及び位相差
    のずれ量は、超音波モータのステータに発生する振動の
    振幅が一定値となっている状態で求められており、 前記制御手段は、超音波モータのステータに発生する振
    動の振幅が前記一定値となるように、超音波モータに供
    給する2相の交流信号の振幅及び周波数の少なくとも一
    方を制御することを特徴とする請求項3記載の超音波モ
    ータの駆動装置。
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