JP3467154B2 - 吸収式空調機 - Google Patents

吸収式空調機

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は吸収式空調機に関す
る。 【0002】 【従来の技術】従来から、凝縮と蒸発とのサイクルによ
り空調を行なう吸収式空調機が知られている。冷媒に
水、吸収剤に臭化リチウムを用いた従来の吸収式空調機
では、高温再生器で低濃度の臭化リチウム水溶液(以
下、臭化リチウムの濃度に応じて単に低濃度溶液、中間
濃度溶液、高濃度溶液と呼ぶ)を加熱し、第1気液分離
器で水蒸気と中間濃度溶液とに分離する。分離した中間
濃度溶液は高温熱交換器で温度を下げた後、低温再生器
で第1気液分離器で分離した水蒸気により加熱され、第
2気液分離器にて水蒸気と高濃度溶液とに分離する。第
2気液分離器で分離した水蒸気は凝縮器に送られ、冷却
されて液化し、蒸発器にて散布される。また第2気液分
離器で分離した高濃度溶液は、低温熱交換器で温度を下
げた後吸収器の散布ノズルから散布される。蒸発器で散
布された水は低圧のため蒸発し、吸収器の高濃度溶液に
吸収される。高濃度溶液は水蒸気を吸収して低濃度とな
り、循環ポンプにより低温熱交換器と高温熱交換器とを
介して高温再生器に送られる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このようなサイクルで
の運転中は、第1気液分離器,第2気液分離器,吸収器
の順に圧力が低くなるため、その圧力差により臭化リチ
ウム水溶液がスムーズに循環する。しかしながら、運転
開始直後にはこれらの圧力がほぼ一定となっているた
め、臭化リチウム水溶液がスムーズに循環しないといっ
た問題があった。特に、フィンチューブ式熱交換器を用
いた高温再生器のような場合には、第1気液分離器の圧
力が急激に上昇して第2気液分離器との間に圧力差が生
じ、臭化リチウム水溶液が第2気液分離器にスムーズに
流れるが、第2気液分離器の臭化リチウム水溶液の温度
が十分に上昇していない場合には吸収器との圧力差が小
さく、散布ノズルの抵抗により第2気液分離器内の臭化
リチウム水溶液が吸収器にスムーズに流れない。そのた
め、第2気液分離器内で増加して、水蒸気流路から凝縮
器側に流れてしまう恐れがある。本発明の吸収式空調機
は上記課題を解決し、運転開始時に吸収液が冷媒流路に
流入することを防止することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の吸収式空調機は、冷媒比率の高い吸収液を加熱する
高温再生器と、上記高温再生器で加熱された吸収液を冷
媒比率の低い吸収液と冷媒蒸気とに分離する第1気液分
離器と、上記第1気液分離器で分離された吸収液を、該
第1気液分離器で分離された冷媒蒸気により加熱する低
温再生器と、上記低温再生器で加熱された吸収液を冷媒
比率の低い吸収液と冷媒蒸気とに分離する第2気液分離
器と、上記第2気液分離器からの冷媒蒸気を冷却して凝
縮する凝縮器と、上記凝縮器からの液体冷媒を散布する
蒸発器と、上記第2気液分離器からの吸収液を散布して
上記蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を吸収する吸収器とを備
えた吸収式空調機において、上記第2気液分離器の所定
量を越えた吸収液を上記吸収器に送るオーバーフロー管
と、吸収液の温度が高い場合には該オーバーフロー管の
流路を閉じる開閉手段とを備えたことを要旨とする。 【0005】上記構成を有する本発明の吸収式空調機
は、高温再生器にて冷媒比率の高い吸収液を加熱し、第
1気液分離器にて冷媒比率の低い吸収液と冷媒蒸気とに
分離する。そして低温再生器では、第1気液分離器で分
離した吸収液を第1気液分離器で分離した冷媒蒸気によ
り加熱し、第2気液分離器にて冷媒比率の更に低い吸収
液と冷媒蒸気とに分離する。分離した冷媒蒸気を凝縮器
にて冷却して凝縮し、蒸発器で散布して蒸発させる。ま
た、分離した吸収液を吸収器で散布し、蒸発器で蒸発し
た水蒸気を吸収させる。運転開始直後には、第2気液分
離器の吸収液の温度が低く、吸収器との圧力差が小さい
ため、第2気液分離器の吸収液は吸収器にスムーズに流
れずに増加するが、所定量を越えた場合にはオーバーフ
ロー管により吸収器に送られる。その後吸収液の温度が
上昇すると、開閉手段によりオーバーフロー管の流路を
閉じるが、吸収液が高温であることにより第2気液分離
器と吸収器との圧力差が大きくなっているため、第2気
液分離器の吸収液は吸収器にスムーズに流れる。 【0006】 【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用
を一層明らかにするために、以下本発明の吸収式空調機
の好適な実施例について説明する。図1は、本発明の一
実施例としての吸収式空調機の概略構成図である。この
吸収式空調機は、バーナ1の燃焼熱によりフィンチュー
ブ式熱交換器10a内を流れる低濃度溶液を加熱する高
温再生器10と、高温再生器10により加熱された低濃
度溶液を水蒸気と中間濃度溶液とに分離する第1気液分
離器11と、フィンチューブ式熱交換器20a内を流れ
る中間濃度溶液を第1気液分離器11からの水蒸気によ
り再加熱する低温再生器20と、低温再生器20により
加熱された中間濃度溶液を水蒸気と高濃度溶液とに分離
する第2気液分離器21と、第2気液分離器21からの
水蒸気を冷却して液化させる凝縮器30と、蒸発器と吸
収器とを一体形成した二重管部40とを備える。尚、図
示しないが凝縮器30と二重管部40とに送風するため
のファンを備える。 【0007】第1気液分離器10は、臭化リチウム水溶
液が流れやすいように第2気液分離器20より上方に設
置される。また、高温再生器10と低温再生器20と
は、それぞれフィンチューブ式熱交換器10a,20a
を流れる臭化リチウム水溶液を加熱する。そのため、溶
液を加熱する際の熱効率が良く、運転開始の立ち上がり
時間が早い。 【0008】二重管部40は、図示しない室内機の冷媒
である水を循環する冷水管41と、冷水管41の外側に
形成された外管42とにより構成される。冷水管41と
外管42との間には、蒸発吸収室43が形成される。蒸
発吸収室43の冷水管41外面には環状の受皿44が設
けられ、凝縮器30及び低温再生器20から送られた水
は、散布ノズル45により受皿44に滴下され、受皿4
4の底に設けられた散布穴から冷水管41の外面に沿っ
て散布される。また、蒸発吸収室43の外管42内面に
も環状の受皿46が設けられ、第2気液分離器21で分
離した高濃度溶液は、散布ノズル47により受皿46に
滴下され、受皿46の底に設けられた散布穴から外管4
2の内面に沿って散布する。冷水管41の外面に沿って
散布された水は低圧のため蒸発し、冷水管41を流れる
水から気化熱に相当する熱を奪って冷却し、室内機では
冷水管41に循環する冷水により冷房運転を行なう。ま
た蒸発した水蒸気は、外管42の内面に沿って散布され
た高濃度溶液により直ちに吸収される。その際外管42
の内面で高濃度溶液が吸収熱を発生するが、図示しない
ファンからの送風により放熱冷却される。 【0009】第2気液分離器21にはオーバーフロー管
60が設けられ、外管42下部に接続される。オーバー
フロー管60には温度によって流路を開閉するサーマル
バルブ70が設けられる。サーマルバルブ70は、臭化
リチウム水溶液の外部への洩れを防ぐため第2気液分離
器21内に設け、外部との接点を無くした構造としてい
る。 【0010】サーマルバルブ70は、図2に示すよう
に、上面が筒状のケース71に固定されるベローズ72
と、ベローズ72を上方に押すばね73と、ベローズ7
2の底面に固定される弁体74と、弁体74の一部とケ
ース71とに固定されるスナップ板75とを備える。ベ
ローズ72内にはサーモエレメント76(ワックス,エ
ーテル,アルコール等)が入っており、温度が上昇する
ことで膨張し、ベローズ72が伸びて弁体74を下方向
に押す。そして、オーバーフロー管60を流れる臭化リ
チウム水溶液が所定温度(本実施例では100℃)以上
になると、二点鎖線に示すようにベローズ72による下
方向の押力によりスナップ板75が反転し、弁体74に
より流路を閉じる構成になっている。 【0011】蒸発吸収室43から高温再生器10への溶
液循環路48には、低濃度溶液を高温再生器10に循環
する循環ポンプ49と、第2気液分離器21から送られ
る高濃度溶液と熱交換するための低温熱交換器50と、
第1気液分離器11から送られる中間濃度溶液と熱交換
するための高温熱交換器51とが設けられる。 【0012】次に、この吸収式空調機の動作について説
明する。図示しない運転開始スイッチがONされると、
循環ポンプ49を作動し、バーナ1の燃焼を開始する。
バーナ1の燃焼により、高温再生器10のフィンチュー
ブ式熱交換器10aを流れる臭化リチウム水溶液が加熱
されて温度が上昇し、第1気液分離器11内の圧力が上
昇する。そのため第2気液分離器21との間に圧力差が
生じ、臭化リチウム水溶液が低温再生器20に流れる。
一方、第2気液分離器21内の臭化リチウム水溶液の温
度は低く、蒸発吸収室43との間の圧力差が殆どないた
め、散布ノズル47の抵抗による影響が大きく、第2気
液分離器21の臭化リチウム水溶液は蒸発吸収室43に
スムーズに流れない。そのため、第2気液分離器21内
の臭化リチウム水溶液が増加するが、所定水位を越える
とオーバーフロー管60により蒸発吸収室43にバイパ
スされる。そのため臭化リチウム水溶液が増加して凝縮
器30に流れてしまうことを防ぐことができる。しばら
く運転が継続すると、臭化リチウム水溶液の温度が上昇
して第2気液分離器21内の圧力が上昇するため、第2
気液分離器21と蒸発吸収室43との圧力差が大きくな
り、臭化リチウム水溶液が第2気液分離器21から蒸発
吸収室43へスムーズに流れるようになる。ここで、オ
ーバーフロー管60に流れる臭化リチウム水溶液の温度
が上昇するとサーマルバルブ70が閉弁するため、臭化
リチウム水溶液の温度上昇後には通常のサイクルで運転
が行なわれる。 【0013】以上説明したように、本実施例の吸収式空
調機によれば、以下の様な効果を生ずる。1.運転開始
時に第2気液分離器21の臭化リチウム水溶液が所定水
位を越えた場合には蒸発吸収室43にバイパスすること
により、臭化リチウム水溶液が水蒸気流路から凝縮器3
0に入ってしまうことを防ぐことができる。また、臭化
リチウム水溶液の温度が上昇した後にはオーバーフロー
管60の流路を閉じ、第2気液分離器21から蒸発吸収
室43に臭化リチウム水溶液が流れることを防ぐため効
率が良い。更に、サーマルバルブ70によって流路を開
閉するため、構成が簡単となりコストが低減できる。加
えてサーマルバルブ70を第2気液分離器21内に設け
た構造により、臭化リチウム水溶液の外部洩れを防ぐこ
とができる。2.冷水管41と外管42との間に形成さ
れる蒸発吸収室43で蒸発及び吸収を行なうといった簡
単な構成により、構造を簡単にすることができるため、
装置を小さくし重量を小さくでき、コストを低減でき
る。また、蒸発吸収室43の向い合った面で蒸発と吸収
とを行なうことにより水蒸気が高濃度溶液によりスムー
ズに吸収され、更に冷水管41を周りから冷却するため
効率がよい。3.高温再生器10と低温再生器20とに
フィンチューブ式熱交換器10a,20aを備えること
で、装置内に必要な臭化リチウム水溶液の量を減少させ
ることができるため、運転開始の立ち上がり時間を短縮
することができ、また器具の重量を減らすことができ
る。また、フィンチューブ式熱交換器により、溶液を加
熱する際の熱効率が良く、更に高温再生器10,低温再
生器20のそれぞれのフィンチューブ式熱交換器10
a,20aや、第1気液分離器11,第2気液分離器2
1を共通化できるため、製造コストを低減することがで
きる。 【0014】尚、本実施例においては、サーマルバルブ
70によりオーバーフロー管60の流路を開閉したが、
開閉弁はこれに限ったものではなく、温度によって流路
を開閉するものであれば同様の効果を得ることができ
る。例えば第2気液分離器21の臭化リチウム水溶液の
温度を検出する温度センサを設け、その検出温度に基づ
いて開閉する電磁弁により流路を開閉してもよい。ま
た、開閉弁の位置は気液分離器内に限らず、オーバーフ
ロー管60の流路中であればよい。また、本実施例で
は、第2気液分離器21にのみオーバーフロー管60を
設けたが、第1気液分離器11にオーバーフロー管を設
けてもよい。また、二重管の形状は円形の管に限ったも
のではなく、例えば多角形の異径同軸管により二重管を
形成してもよい。また、冷媒と吸収剤とは水と臭化リチ
ウムとに限ったものではない。 【0015】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる
態様で実施し得ることは勿論である。 【0016】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明の吸収式空
調機によれば、吸収液の温度が低い場合には、第2気液
分離器の所定量を越えた吸収液をオーバーフロー管によ
り吸収器に送るため、運転開始直後の第2気液分離器の
オーバーフローを防ぐことができる。また吸収液の温度
が高い場合にはオーバーフロー管を閉じることにより、
第2気液分離器から吸収器に吸収液が流れることを防ぐ
ため効率が良い。
【図面の簡単な説明】 【図1】一実施例としての吸収式空調機の概略構成図で
ある。 【図2】サーマルバルブの概略構成図である。 【符号の説明】 10…高温再生器、 11…第1気液分離器、 20…
低温再生器、21…第2気液分離器、 30…凝縮器、
40…二重管部、49…循環ポンプ、 50…低温熱
交換器、 51…高温熱交換器、60…オーバーフロー
管、 70…サーマルバルブ。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 冷媒比率の高い吸収液を加熱する高温再
    生器と、 上記高温再生器で加熱された吸収液を冷媒比率の低い吸
    収液と冷媒蒸気とに分離する第1気液分離器と、 上記第1気液分離器で分離された吸収液を、該第1気液
    分離器で分離された冷媒蒸気により加熱する低温再生器
    と、 上記低温再生器で加熱された吸収液を冷媒比率の低い吸
    収液と冷媒蒸気とに分離する第2気液分離器と、 上記第2気液分離器からの冷媒蒸気を冷却して凝縮する
    凝縮器と、 上記凝縮器からの液体冷媒を散布する蒸発器と、 上記第2気液分離器からの吸収液を散布して上記蒸発器
    で蒸発した冷媒蒸気を吸収する吸収器とを備えた吸収式
    空調機において、 上記第2気液分離器の所定量を越えた吸収液を上記吸収
    器に送るオーバーフロー管と、 吸収液の温度が高い場合には該オーバーフロー管の流路
    を閉じる開閉手段とを備えたことを特徴とする吸収式空
    調機。
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