JP3464257B2 - 自己融着性多層絶縁電線およびこれを用いた変圧器 - Google Patents
自己融着性多層絶縁電線およびこれを用いた変圧器Info
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Description
およびそれを用いた変圧器に関し、更に詳しくは、絶縁
層相互間の剥離性が適正で、半田付け特性も優れ、また
コイル加工時におけるバラケを起こしにくく、電気・電
子機器などに組み込む変圧器の巻線やリード線として有
用な自己融着性多層絶縁電線およびそれを用いた変圧器
に関する。
ional Electrotechnical Communication Standard) Pu
b. 950,65,335,601などによって規定されている。すな
わち、これらの規格では、巻線において導体を被覆する
エナメル皮膜は絶縁層と認定しない、一次巻線と二次巻
線の間には少なくとも3層の絶縁層が形成されているか
または絶縁層の厚みは0.4mm以上であること、一次巻線
と二次巻線の沿面距離は、印加電圧によっても異なる
が、5mm以上であること、また一次側と二次側に300
0Vを印加したときに1分以上耐えること、などが規定
されている。
圧器では、図1で例示するような断面構造が採用されて
いる。すなわち、フェライトコア1に鍔付きのボビン2
が嵌め込まれ、ボビン2の周面両側端に沿面距離を確保
するための絶縁バリヤ3が配置された状態でエナメル被
覆された一次巻線4が巻回されたのち、この一次巻線4
の上に、絶縁テープ5を少なくとも3層巻回し、更にこ
の絶縁テープ層の上に沿面距離を確保するための絶縁バ
リヤ3を配置したのち、同じくエナメル被覆された二次
巻線6が巻回された構造である。
変圧器に代わり、図2で示したように、絶縁バリヤ3や
絶縁テープ層5を含まない構造の変圧器が登場しはじめ
ている。この変圧器は、図1の構造の変圧器に比べて、
全体を小型化することができ、また、絶縁テープの巻回
作業が省略できるなどの利点を備えている。
る一次巻線4および二次巻線6では、いずれか一方もし
くは両方の導体4a(6a)の外周に少なくとも3層の
絶縁層4b(6b),4c(6c),4d(6d)が形
成されていること、しかもこれらの各絶縁層の間では互
いの層間剥離が可能であることが前記したIEC規格と
の関係で必要になる。
に絶縁テープを巻回して1層目の絶縁層を形成し、更に
その上に、絶縁テープを巻回して2層目の絶縁層、3層
目の絶縁層を順次形成して互いに層間剥離する3層構造
の絶縁層を形成したものが知られている。また、導体の
外周に、少なくとも1種以上の樹脂を順次押出被覆し
て、全体として3層構造の押出被覆層を絶縁層とする巻
線も知られている。
線の表面にポリアミドのような樹脂を焼き付けて最外層
に自己融着性の層を形成した絶縁電線が知られている。
この絶縁電線は、コイル加工時に巻回されていく電線が
相互に融着するので、いわゆるコイルのバラケを防止す
ることができ、その結果、製造されたコイルの信頼性を
高めると同時に、コイル生産性を高めることができると
いう利点を備えている。
自己融着性を有する樹脂を溶剤に溶解して成る塗料をエ
ナメル線の表面に塗布したのち焼き付けて形成される。
したがって、エナメル線の外周を被覆する絶縁層と上記
した自己融着層との界面における濡れ性が向上している
ので、自己融着層はエナメル線の絶縁層に強固に密着し
やすくなる。このため、自己融着層の材料としては、様
々なものを利用することができる。
絶縁電線の場合と同じように、絶縁層の外側に自己融着
層を配置したものは、コイル加工時におけるバラケ防
止,コイル加工の信頼性向上にとって有用である。しか
しながら、それぞれの絶縁層と、最外層の絶縁層の外側
に形成される自己融着層を押出被覆によって形成した多
層絶縁電線の場合、各層の形成時には溶剤を用いること
がないので、前記したエナメル線の場合のように、自己
融着層とその直下に位置する絶縁層の最外層との界面で
は溶剤による濡れ性の向上効果は生じない。したがっ
て、自己融着層とその直下に位置する絶縁層の最外層と
の密着力はあまり大きくはならない。
した多層絶縁電線をコイル加工すると、ガイドノズルと
の摩擦により、最も外側にある自己融着層がその下の絶
縁層から剥離したり、また削り取られたりすることがあ
る。仮に、自己融着層が最外層の絶縁層に残留したとし
ても、その融着性は著しく低下するという問題が発生し
ている。
絶縁電線の場合は、少なくとも3層の絶縁層の間におけ
る層間剥離が可能であるため、最も外側に位置する自己
融着層が剥離したりまたは削れたりしてそれがガイドノ
ズルの内面に付着すると、つぎのような不都合な事態が
より一層生じやすくなる。
加わるテンションが増大して、ガイドノズルとコイルボ
ビンとの間で断線が起こる。また、ガイドノズルの内面
に付着した自己融着層の構成樹脂と絶縁層とが擦れて、
絶縁層が破れるという事態が生ずる。更には、絶縁層の
層間が剥離するという事態が生じ、そのままの状態でコ
イルボビンに巻回されると、巻回された絶縁電線相互間
の擦れにより、絶縁層が破れるという事態が生ずる。そ
して、絶縁層が破れると、コイルの絶縁特性、例えば絶
縁破壊特性が損なわれる。
層の外側に自己融着層が形成されている多層絶縁電線に
おける上記した問題を解決し、半田付け特性が良好で、
IEC規格を満たし、コイル加工時における自己融着層
の剥離現象も起こらず、コイル加工時に絶縁特性等の損
なわれることがなく、信頼性の高い自己融着性多層絶縁
電線およびこれを用いた変圧器を提供することにある。
ために、本発明においては、導体と、前記導体の表面を
被覆する少なくとも3層の絶縁層と、前記絶縁層の最外
層を被覆する自己融着層とから成り、前記自己融着層が
自己融着性樹脂の押出被覆層であり、かつ、前記絶縁層
の最外層が前記自己融着性樹脂と同系統に属する樹脂の
押出被覆層であり、コイル加工時に前記自己融着層の剥
離現象は起こらないことを特徴とする自己融着性多層絶
縁電線が提供される。
格する少なくとも3層の絶縁層が形成されている電線の
外側に、自己融着性樹脂を押出被覆して成る自己融着層
が形成されているものである。その場合、この自己融着
層の直下に位置する絶縁層、すなわち、少なくとも3層
の絶縁層の最外層を構成する樹脂は、自己融着層を構成
する樹脂と同系統の樹脂であることが好ましい。自己融
着層とその下に位置する絶縁層の最外層が同系統の樹脂
で構成されていない場合は、両層の密着強度はあまり高
くならないため、コイル加工時に、自己融着層が絶縁層
の最外層から剥離することが多くなりやすいからであ
る。
化学結合を有する樹脂のことをいう。例えば、アミド結
合を有する樹脂は、ポリアミド系という意味で同系統の
樹脂である。またエステル結合を有する樹脂は、ポリエ
ステル系という意味で同系統の樹脂であるとする。ここ
で、多層絶縁電線の導体を被覆する1層目、2層目また
は3層目の絶縁層を形成する材料は格別限定されない
が、電線の半田付け特性を良好にし、また1層目と2層
目の層間剥離を可能にさせることを考えると、例えば、
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET),ポリブチ
レンテレフタレート樹脂(PBT),ポリエチレンナフ
レート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ
ート樹脂(PCT)のような熱可塑性ポリエステル樹脂
の1種またはそれらの混和物;4−ナイロン,6−ナイ
ロン,6,6−ナイロン,6,10−ナイロン,4,6
−ナイロン,10−ナイロン,11−ナイロン,12−
ナイロンのような熱可塑性ポリアミド樹脂の1種または
それらの混和物;例えばE−390NAT(商品名、日
本ミラクトラン(株)製)のような熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂;を好適なものとしてあげることができる。
例えば、プラタミドM1186,プラタミドM142
2,プラタミドM1276(いずれも商品名、日本リル
サン(株)製),ベスタメルトX7079(商品名、ダ
イセル・ヒュルス(株)製)のような共重合ポリアミド
樹脂;ベスタメルト4580(商品名、 ダイセル・ヒ
ュルス(株)製)のような共重合ポリエステル樹脂を好
適なものとしてあげることができる。
する場合には、その直下に位置する絶縁層の最外層は、
前記した熱可塑性ポリアミド樹脂の1種またはそれらの
混和物で構成することが必要であり、また自己融着層を
共重合ポリエステル樹脂で形成する場合には、その下の
絶縁層の最外層は、前記した熱可塑性ポリエステル樹脂
の1種またはそれらの混和物で形成することが必要にな
る。
においては、導体と、前記導体の表面を被覆する3層以
上の絶縁層と、前記絶縁層の最外層を被覆する自己融着
層とから成り、導体側から1層目および2層目を構成す
る絶縁層が、例えば脂肪族アルコール成分と酸成分とを
結合して形成されるPETやPBTのような熱可塑性直
鎖ポリエステル樹脂100重量部に対し、側鎖にカルボ
ン酸またはカルボン酸の金属塩を有するエチレン系共重
合体5〜40重量部を配合して成る樹脂混和物の押出被
覆層(a)、全部または一部が脂環族アルコール成分、
例えばシクロヘキサンジメタノールと酸成分とを結合し
て形成される例えばPCTのような熱可塑性直鎖ポリエ
ステル樹脂を主成分とする押出被覆層(b)、全部また
は一部が脂環族アルコール成分、例えばシクロヘキサン
ジメタノールと酸成分とを結合して形成される熱可塑性
直鎖ポリエステル樹脂100重量部に対し、側鎖にカル
ボン酸またはカルボン酸の金属塩を有するエチレン系共
重合体50重量部以下を配合して成る樹脂混和物の押出
被覆層(c)のいずれかで形成され、3層目の絶縁層
が、熱可塑性ポリアミド樹脂または熱可塑性ポリアミド
樹脂を主成分とする樹脂混和物の押出被覆層で形成さ
れ、前記自己融着層が共重合ポリアミド樹脂の押出被覆
層で形成されているものが好適である。
(b)、および押出被覆層(c)のそれぞれの材料,各
樹脂の配合量を上記したように規定したのは以下の理由
に基づく。まず、前記した熱可塑性直鎖ポリエステル樹
脂に前記したエチレン系共重合体を配合すると、そのエ
チレン系共重合体が熱可塑性直鎖ポリエステル樹脂の結
晶化を抑制すると同時に、1層目と2層目の各絶縁層の
層間においても良好な剥離性が確保される。
例えば、エチレン−メタアクリル酸共重合体のカルボン
酸の一部を金属塩にし、一般にアイオノマーと呼ばれる
樹脂(例えば、ハイミラン:商品名、三井ポリケミカル
(株)製),エチレン−アクリル酸共重合体(例えば、
EAA:商品名、ダウケミカル社製),側鎖にカルボン
酸を有するエチレン系グラフト重合体(例えば、アドマ
ー:商品名、三井石油化学工業(株)製)をあげること
ができる。
リエステル樹脂とエチレン系共重合体との配合割合は、
前者100重量部に対し、後者は5〜40重量部の範囲
に設定される。後者の配合量が5重量部より少ない場合
は、形成された絶縁層の耐熱性に問題はないが、熱可塑
性直鎖ポリエステル樹脂の結晶化抑制効果は小さくな
り、そのため、コイル加工時に絶縁層の表面に微小クラ
ックが発生する、いわゆるクレージング現象が多発す
る。また、絶縁層の経時劣化が進んで絶縁破壊電圧の著
しい低下を引き起こすようになる。他方、配合量が40
重量部より多くなると、絶縁層の耐熱性は著しく低下し
てしまう。両者の好ましい配合割合は、前者100重量
部に対し、後者は7〜25重量部である。
は、全部または一部が脂環族アルコールのシクロヘキサ
ンジメタノールであるアルコール成分と酸成分とを結合
して形成される直鎖ポリエステル樹脂、例えばポリシク
ロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂(PCT)で
あり、前記したPETなどに比べてより優れた耐熱性を
備えている。
電圧の低下を抑制することを考えると、上記した樹脂に
変性樹脂として、例えば、ポリアミド樹脂,ポリカーボ
ネート樹脂,ポリウレタン樹脂などを、熱可塑性直鎖ポ
リエステル樹脂100重量部に対して10〜100重量
部配合することが好ましい。このようなPCT系樹脂と
しては、例えば、EKTAR−DN,EKTAR−D
A,EKTAR−GN(商品名、東レ(株)製)を好適
なものとして使用することができる。
は、前記したPCT系樹脂と、押出被覆層(a)の形成
に用いた樹脂混和物における必須材料であるエチレン系
共重合体との樹脂混和物である。この樹脂混和物におい
て、PCT系樹脂とエチレン系共重合体との配合割合
は、前者100重量部に対し、後者は50重量部以下に
設定される。
と、PCT系樹脂の優れた耐熱性が低下してしまい、形
成された絶縁層の耐熱性に問題が生ずるからである。両
者の好ましい配合割合は、前者100重量部に対し、後
者5〜30重量部である。
絶縁層は、上記した樹脂に、更に、半田付け特性を阻害
しない範囲内で、各種の変性樹脂や添加剤などを配合し
たもので形成してもよい。本発明の多層絶縁電線は、1
層目用の樹脂を導体の外周に押出被覆して所望厚みの1
層目の絶縁層を形成し、ついで、この1層目の絶縁層の
外周に2層目用の樹脂を押出被覆して所望厚みの2層目
の絶縁層を形成し、更に、この2層目の絶縁層の外周に
3層目用の樹脂を押出被覆して例えば3層の絶縁層を形
成したのち、その最外層に、自己融着層用の樹脂を押出
被覆して製造することができる。
覆層の形成時には、1層目や2層目の押出被覆が終了し
た時点で、その押出被覆層の表面を、例えば水冷または
空冷のような方法で100℃以下に冷却したのち、2層
目や3層目の押出被覆層を形成すると、1層目と2層
目、2層目と3層目の絶縁層間の剥離性が向上して有効
である。
層とその下に位置する絶縁層の最外層とは同系統の樹脂
で構成されているので、両者の密着力は強い。そのた
め、コイル加工時に、自己融着層が絶縁層の最外層から
剥離することが少なくなると同時に、コイルのバラケも
ほとんど起こらず、信頼性に富むコイルを非常に安定し
た状態で製造することができるようになる。
記した熱可塑性ポリアミド樹脂またはそれを主成分とす
る樹脂混和物で形成し、自己融着層を共重合ポリアミド
樹脂で形成すると、これらの樹脂はいずれもアミド結合
を有するので、分子間で強固な水素結合を形成し、互い
に密着性が良好になる。すなわち、自己融着層の剥離は
起こりづらくなっている。
た押出被覆層(a),押出被覆層(b)または/および
押出被覆層(c)で形成し、3層目の絶縁層と自己融着
層をいずれもポリアミド系樹脂で形成した自己融着性多
層絶縁電線は、絶縁層相互間の剥離性と、自己融着層の
密着性とのバランスが良くなるとともに、半田付け特
性,電気絶縁性,コイル加工性も優れたものになるので
好適である。
イロンで形成した自己融着性絶縁電線は耐熱性が良好に
なる。
練して、各押出被覆層用の樹脂混和物を調製した。導体
として線径0.6mmの軟銅線を用意し、その外周に、上記
樹脂混和物を押出被覆して、表示の厚みで1層目の押出
被覆層を形成したのち、2層目の押出被覆層を形成し、
更に2層目の外周に上記樹脂混和物を押出被覆して3層
絶縁電線とし、最後に、自己融着層用の樹脂を押出被覆
して自己融着性多層絶縁電線を製造した。
につき、下記の仕様で各種の特性を測定した。 半田付け性:電線の末端約40mmの部分を温度400℃
の溶融半田に浸漬し、浸漬した30mmの部分に半田が付
着するまでの時間(秒)を測定。この時間が短いほど半
田付け性に優れていることを表す。
覆のそれぞれの電線につき、JISC3003で規定す
る2個撚り法に準じて片方に裸銅線を用い、そのときの
絶縁破壊電圧を測定。また、3層被覆の電線について
は、大気中に1年間放置したのち上記と同じ方法で絶縁
破壊電圧を測定し、電気絶縁性の経時変化を調べた。
3003に準拠して2個撚りし、その状態で、温度20
0℃(実施例1〜4、実施例9,10、比較例1〜3)
または230℃(実施例5〜8,比較例4)で7日間の
加熱処理を施したのち絶縁破壊電圧を測定。この値が大
きいほど耐熱性に優れていることを表す。
に成形し、実施例1,実施例3〜10,比較例1〜4に
ついては160℃で15分間加熱融着、実施例2につい
ては140℃で15分間加熱融着したのち、JIS30
03に準拠して常温と80℃における接着強度を測定。
絶縁層および自己融着層を長手方向にカッターナイフで
切り裂いた状態で3%伸長させながら、直径12mmのコ
イルボビンにコイリングし、自己融着層と絶縁層とが互
いに剥離するか否かを観察。この試験は、通常のコイリ
ング作業時に、自己融着層と絶縁層との間に剥離が生ず
るか否かを調べる試験で、このときは剥離を起こさない
ことが必要である。
有する導電性角芯に、コイル加工機を用いて6kgの張力
をかけながら電線を整列巻き(50ターン)し、電線と
角芯の間に電圧3000Vを印加したときに、絶縁破壊
が起こるまでの時間を測定。この試験はコイル各10個
ずつで行い、結果は平均値で評価。この時間が長いほ
ど、コイル加工時に絶縁層に損傷がおこっていないこ
と、すなわちコイル加工性に優れていることを表す。な
お、ガイドノズルとしては、先端の孔径が電線の外径よ
り0.05mm大きいものを用い、また線速は10m/分に
設定した。
電線を角芯から解いてその表面を観察し、絶縁層に発生
した破れの個数を調べた。
に亘りカッターナイフで切り裂いたのち、電線の周方向
にも、1本、全周に亘って切込みを入れ、電線の一端を
よじり器に固定し、他端をよじり器のチャックに挟んで
電線を真っ直ぐに保持し、この状態でチャックを回転さ
せて電線を長手方向によじり、3層の絶縁層が各層に容
易に剥離するか否かを調べた。
の絶縁層にポリアミド樹脂を使用し、自己融着層の形成
に共重合ポリアミドを用いた例であるが、いずれの特性
も優れていることがわかる。実施例4は、3層目の絶縁
層にポリエステル樹脂を使用し、自己融着層の形成に共
重合ポリエステルを用いた例であり、いずれの特性も優
れているが、実施例1〜3、実施例9,10より接着力
が幾分低下している。
ル樹脂を使用し、自己融着層の形成に異種材料の共重合
ポリアミドを用いたため、コイル加工試験時に自己融着
層の剥離が生じ、接着力が低下した。また、ポリエチレ
ン系共重合体を用いていないので、1年後の電気絶縁性
が低下している。比較例2は、絶縁層にテフロン樹脂を
使用し、自己融着層の形成に異種材料の共重合ポリアミ
ドを用いた例である。この例はすべての層間の密着力が
悪いものであるためか、コイル加工試験の結果が悪く、
また自己融着層が剥離して接着力がない。しかも半田付
け特性を全く示さない。
脂(PET系)に多量の変性樹脂を添加したもので絶縁
層を構成しているので、耐熱性が著しく低下している。
実施例5は、1層目と2層目の絶縁層をPCT系樹脂単
独で形成したものであるが、その特性は良好である。た
だし、電気絶縁性の経時劣化を防ぐためには、3層目の
絶縁層を熱可塑性ポリアミド樹脂で形成することが必要
である。
PCT系樹脂を主成分とする樹脂混和物で形成している
ので、耐熱性は優れ、他の特性も優れている。実施例8
は、3層目の絶縁層をPCT系樹脂で形成し、自己融着
層を共重合ポリエステル樹脂で形成しているので、実施
例5〜7に比べて接着力は若干低下しているが、他の特
性は良好である。
樹脂で形成し、自己融着層を異種材料の共重合ポリアミ
ド樹脂で形成しているので、両層の密着強度は低く、コ
イル加工試験時に自己融着層の剥離が起きている。ま
た、導体と1層目の絶縁層との密着性も悪い。この比較
例4は、全ての層間の密着性が悪いためか、コイル加工
性や接着性が悪い。
自己融着性多層絶縁電線およびこれを用いた変圧器は、
IEC規格を満たし、半田付け特性も良好である。そし
て、コイル加工時に自己融着層の剥離現象は起こらず、
優れた融着特性を示し、コイル加工時における信頼性の
高いものである。
外層とを同系統の樹脂で形成したことがもたらす効果で
ある。
示す断面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 導体と、前記導体の表面を被覆する少な
くとも3層の絶縁層と、前記絶縁層の最外層を被覆する
自己融着層とから成り、前記自己融着層が自己融着性樹
脂の押出被覆層であり、かつ、前記絶縁層の最外層が前
記自己融着性樹脂と同系統に属する樹脂の押出被覆層で
あり、コイル加工時に前記自己融着層の剥離現象は起こ
らないことを特徴とする、絶縁層の層間の剥離性が良好
であるとともにコイル加工性が良好な自己融着性多層絶
縁電線。 - 【請求項2】 前記絶縁層の最外層がポリアミド系樹脂
であり、前記自己融着層が共重合ポリアミド樹脂から成
る請求項1の自己融着性多層絶縁電線。 - 【請求項3】 導体と、前記導体を被覆する3層以上の
絶縁層と、前記絶縁層の最外層を被覆する自己融着層と
から成り、導体側から1層目および2層目の絶縁層が、 (a)脂肪族アルコール成分と酸成分とを結合して形成
される熱可塑性直鎖ポリエステル樹脂100重量部に対
し、側鎖にカルボン酸またはカルボン酸の金属塩を有す
るエチレン系共重合体5〜40重量部を配合して成る樹
脂混和物の押出被覆層、 (b)全部または一部が脂環族アルコール成分と酸成分
とを結合して形成される熱可塑性直鎖ポリエステル樹脂
を主成分とする押出被覆層、 (c)全部または一部が脂環族アルコール成分と酸成分
とを結合して形成される熱可塑性直鎖ポリエステル樹脂
100重量部に対し、側鎖にカルボン酸またはカルボン
酸の金属塩を有するエチレン系共重合体50重量部以下
を配合して成る樹脂混和物の押出被覆層、のいずれかで
あり、3層目の絶縁層が、熱可塑性ポリアミド樹脂また
は熱可塑性ポリアミド樹脂を主成分とする樹脂混和物の
押出被覆層であり、前記自己融着層が共重合ポリアミド
樹脂の押出被覆層である請求項1の自己融着性多層絶縁
電線。 - 【請求項4】 前記脂環族アルコール成分がシクロヘキ
サンジメタノールである請求項3の自己融着性多層絶縁
電線。 - 【請求項5】 請求項1,2,3または4の自己融着性
多層絶縁電線のいずれか1つを用いた変圧器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106486255A (zh) * | 2015-08-28 | 2017-03-08 | 株式会社村田制作所 | 线圈部件 |
CN106486255B (zh) * | 2015-08-28 | 2018-12-07 | 株式会社村田制作所 | 线圈部件 |
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JPH07176215A (ja) | 1995-07-14 |
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