JP3464027B2 - 液晶表示素子 - Google Patents
液晶表示素子Info
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Description
晶表示素子に関し、さらに詳しくは、色補償板として好
適な高分子位相差フィルムを備えたスーパーツイステッ
ドネマチック(STN)型液晶表示素子に関する。
ピュータ、ワードプロセッサ、データ端末等の表示とし
て液晶表示素子が多く採用されている。これらの多くは
大容量表示が行え、視角の広いSTN型液晶表示素子を
主に使用している。しかし、STN型液晶表示素子は複
屈折効果を利用するため着色表示となってしまう欠点が
あった。
色付きを補償して白黒表示を行う高分子フイルムを備え
たSTN型液晶表示素子が提案された。色補償用の高分
子フィルムは特定の高分子成分を含み、延伸、配向を行
うことにより、屈折率異方性が生じるようにされたもの
である。
分子成分は、液晶表示素子に用いられる液晶にくらべて
複屈折の温度変化が著しく小さい。この特性の違いによ
り高温又は低温において補償性能が落ち、液晶表示素子
のコントラストや透過率、視角特性の低下及び背景色変
化を起こす欠点がある。
を行う液晶表示素子は、位相差フィルムの高分子成分の
Δnと、液晶のΔnとの間に温度特性の違いがある。そ
のため、液晶表示素子と位相差フィルムのリタデーショ
ン(厚みをdとした場合、Δn・dで表される物理量で
ある)の温度変化が異なり、温度によりコントラスト比
や透過率、視角特性の低下及び背景色変化を起こしてい
た。
度変化に近い温度変化を呈する位相差フィルムを選択す
ることもできる。しかし、このような位相差フィルム
は、比較的低温下で光学特性が変化する。そのため、一
般に位相差フィルムとして用いるには、その耐熱性が低
く、位相差フィルムのしわなどが発生しやすく、実質的
に広い温度範囲で複屈折の補償を行うことが困難である
ことがわかった。この点について以下に説明する。
て、その光学特性の温度変化について検討した。その結
果、高分子フィルムの光学特性の温度変化は、その高分
子フィルムにおける、側鎖の運動又は主鎖の局所的な運
動による転移点(以下、副転移点という)の存在に密接
に関係していることを見出した。すなわち、副転移点を
−50℃〜90℃の間に持つ高分子フィルムは、温度に
対する複屈折の変化が大きく、液晶表示素子中の液晶組
成物と同等の温度特性を持つように構成できることがわ
かった。
分子(破線)について、横軸に温度、縦軸に自由エネル
ギーをとって、温度変化に対する自由エネルギーの変化
の様子を示したものである。この図から、温度が変化す
るにつれて、自由エネルギーが特異的に変化し、変曲点
を形成する点が存在することがわかる。このような変曲
点は、温度の低いものから順に、主鎖に直接結合した基
の回転などによるもの、側鎖の自由回転によるもの、主
鎖の局所的な運動などによるものであることが知られて
いる。これらは副転移点と呼ばれる。さらに温度が上が
ると、主鎖のミクロブラウン運動によって自由エネルギ
ーが特異的に変化する点(ガラス転移点:Tg)が生
じ、高分子はゴム状、皮革状等になり、最終的には流動
化する。
する点の存在は、温度に対する光学特性、特に、複屈折
の変化に大きく影響する。つまり、複屈折の変化は、主
に高分子の構造上の変化に依存するので、比較的低温で
複屈折が変化するような高分子化合物は、比較的低温で
高分子の構造上の変化を起こす。即ち、前述の自由エネ
ルギーの変曲点を持つ。
移点を持つ高分子化合物を選択し、位相差フィルムを形
成することにより、低温で複屈折の変化が大きく、液晶
層の複屈折変化とほぼ同等の温度変化を有するような位
相差フィルムを得ることができる。
ムは、比較的低温で分子運動をおこすものであるため、
一般に、耐熱性が低い。具体的にいうと、ある程度の高
温下では、しわ等を生じることが多い。したがって、こ
のような位相差フィルムは温度変化のある環境のもとで
は、光学的な均一性を損なって、逆に表示品位を劣化さ
せるおそれのあることがわかった。
位相差フィルムとのΔn・dの温度変化が異なることに
よって生じる色相変化等の欠点を解消するとともに、位
相差フィルムの信頼性を高めて、広い温度範囲でコント
ラストが良く、背景色の変わらないフィルム補償型の液
晶表示素子を得ることである。
を解決すべくなされたものであり、液晶層の複屈折を補
償する光学位相差板として、側鎖の運動又は主鎖の局所
的な運動による転移点(以下、副転移点という)が−5
0℃〜90℃の間にある第1の高分子フィルムの少なく
とも1枚と、−50℃〜90℃の間に副転移点がない第
2の高分子フィルムの少なくとも1枚とを重ねて用いた
ことを特徴とする液晶表示素子を提供するものである。
とになされたものであって、光学的変化の大きいある種
の位相差フィルムと、光学的変化は小さいが耐熱性の高
いある種のフィルムとを重ねて用いたことにより、耐熱
性も充分でかつΔn・dの温度変化が液晶層と適合し得
るような位相差フィルムを得て、ひいては良好な表示品
位の液晶表示素子を構成できる。
する。
られる。
れた一対の透明電極基板間に旋光性物質を含有した誘電
異方性が正のネマチック液晶層を挟持し、両電極間での
液晶分子のねじれ角を160〜300°とすればよい。
160°未満では急峻な透過率変化が必要とされる高デ
ューティ比での時分割駆動をした際のコントラスト比の
向上が少なく、逆に300°を超えるとヒステリシスや
光を散乱するドメインを生じやすいためである。特に、
液晶層の△n・dを0.4〜1.5μmにすることが好
ましい。干渉色の補償層を付加して、白黒表示とした場
合、△n・dが0.4μm未満では、オン時の透過率が
低く、青味がかった表示色になりやすく、また1.5μ
mを超えるとオン時の色相が黄色から赤色を呈し、白黒
表示となりにくいからである。特に、表示色の無彩色化
が厳しく要求される用途では、△n・dを0.5〜1.
0μmにすることが好ましい。
は以下のようになる。プラスチック、ガラス等の基板の
表面に、所望のパターンでパターニングされたITO
(In2O3−SnO2)、SnO2等の透明電極が設けら
れて電極付きの基板とされる。電極層は、表示に対応し
てパターニングされていてもよいし、共通電極として用
いられる場合などにはベタ電極とされてもよい。電極層
の形成方法としては、特に限定されないが、層厚を均一
にする見地からは、蒸着法、スパッタ法等が好ましく用
いられる。
極の上又は下にSiO2、TiO2等の絶縁膜、位相差
膜、偏光膜、反射膜、光導電膜等が形成されてもよい。
の基板に、640本のストライプ状の電極が形成され、
他方の基板には、これに直交するように400本のスト
ライプ状の電極が形成され、640×400ドットのよ
うな表示が行われる。さらにこの640本のストライプ
状の電極をそれぞれ3本一組として1920本のストラ
イプ状の電極とし、RGBのカラーフィルターを配置し
てフルカラーで640×400ドットの表示を行うこと
もできる。
グされたポリイミド、ポリアミド等の膜や、斜め蒸着さ
れたSiO等の膜からなる配向制御膜が形成される。表
示モードによっては垂直配向剤を必須で塗布する場合も
ある。2枚の上記基板が準備されて、前記した液晶層を
挟持するようにされる。
短絡防止のためにTiO2、SiO2、Al2O3等の絶縁
膜を設けたり、透明電極にAl、Cr、Ti等の低抵抗
のリード電極を併設したり、カラーフィルターを電極の
上又は下に積層してもよい。
に偏光板を配置する。この偏光板自体もセルを構成する
基板の外側に配置することが一般的である。しかし、所
望の性能が得られるのであれば、基板自体を偏光板で構
成したり、基板と電極との間に偏光層として設けてもよ
い。
き、その応用範囲が広い。なお、透過型で使用する場合
には裏側に光源を配置することが好ましい。もちろん、
光源にも導光体やカラーフィルターを併用してもよい。
さらに、透過型で使用する場合、画素以外の背景部分を
印刷等による遮光膜で覆うこともできる。また、遮光膜
を用いるとともに、表示したくない部分に選択電圧を印
加するように、逆の駆動をすることもできる。
併用することもできる。このカラーフィルターは、セル
内面に形成することにより、視角によるズレを生じな
く、より精密なカラー表示が可能となる。具体的には、
電極の下側に形成してもよいし、電極の上側に形成して
もよい。また、色を補正するためのカラーフィルター
や、カラー偏光板を併用したり、液晶中に色素を添加し
たり、特定の波長分布を有する照明を用いたりしてもよ
い。
電極に電圧を印加するための駆動手段を接続し、駆動を
行う。
わない範囲内で、通常のSTN型液晶表示素子で使用さ
れている種々の技術を適用できる。
示す。図において1、2は一対の偏光板、3は電圧印加
により表示を行うSTN型液晶表示素子の液晶セルであ
る。この液晶セルには、位相差フィルムとのΔn・dの
温度特性を同一にするためTc(透明点)の比較的高い
液晶が好適であり、なかでも、Tc =80℃〜130℃
の液晶がよい。
(位相差フィルム)を示している。5、6は液晶層を挟
持するガラス基板、7、8は基板内面に形成されたIT
O、SnO2等の透明電極、9、10はポリイミド、ポ
リアミド等の膜をラビングしたり、SiO 等を斜め蒸
着したりして形成した配向制御膜、11、12は透明電
極と配向制御膜との間に基板間短絡防止のために必要に
より設けられるTiO2、SiO2、Al2O3 等の絶縁
膜、13はこれら2枚のガラス基板5、6の周辺をシー
ルするためのシール材、14は液晶層を示している。
ポリカーボネートのような剛直な主鎖を持つ高分子フィ
ルムを使用していたため、液晶表示素子中の液晶のΔn
と位相差フィルムの成分である高分子のΔnの温度特性
の違いより、高温においてΔn・dの変化量が異なり、
コントラストの低下等が起こる欠点があった。
に、図2に示すような位相差フィルムを作成した。19
は、主鎖に結合した基の回転、側鎖の運動又は主鎖の局
所的な運動による転移点(副転移点)が−50℃〜90
℃の間にある第1の高分子フィルムである。副転移点が
この範囲にないと、液晶セルの動作温度範囲内での位相
差フィルムのΔn・dの変化が起きないため従来の位相
差フィルムと同様の結果となる。より好ましくは、第1
の高分子フィルムの副転移点を−10℃〜40℃の範囲
に設ける。副転移点の数は、液晶層の光学特性の温度変
化と、位相差フィルムの光学特性の温度変化とを合わせ
るように調整されればよい。−50℃〜90℃の間に副
転移点が1〜3点程度存在することが好ましい。この高
分子フィルムは−50℃〜90℃の間で転移点を持つた
め、この温度範囲で分子運動が起きて高分子フィルムの
Δn・dが変化する。
れるポリマーとしては、側鎖に環状構造を持たない、ポ
リエチレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリエーテ
ル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンなどであ
る。主鎖骨格については、ベンゼン環やイミド環のよう
な環状構造をもたないことが好ましい。主鎖骨格にベン
ゼン環のような環状構造を持つことにより、分子の剛直
性が増し−50℃〜90℃の範囲で主鎖骨格の局所的な
運動がおきにくくなるからである。
側鎖の運動又は主鎖の局所的な運動による転移点が−5
0℃〜90℃にあるため信頼性に問題がある場合があ
る。そこで、これらの第1の高分子フィルムと、側鎖の
運動又は主鎖の局所的な運動による転移点を−50℃〜
90℃に持たない透明な第2の高分子フィルム18とを
重ねあわせる。第2の高分子フィルムとして好適に用い
られるポリマーとしては、主鎖骨格にベンゼン環やイミ
ド環のような環状構造を持つ、ガラス転移点が80℃〜
350℃の範囲にあるポリマーであり、具体的には、ポ
リカーボネート、ポリイミド、ポリスルホンなどであ
る。
の位相差フィルムであってもよく、重ね合わせる際に、
Δn・d値の値を合わせるため第2の高分子フィルムを
1枚以上重ねることもできる。また、第2の高分子フィ
ルムを第1の高分子フィルムで挟み込んでもよい。逆
に、第1の高分子フィルムの両側に第2の高分子フィル
ムを積層してもよい。
℃の範囲に持つ位相差フィルムとして好適な材料として
はアクリル系の樹脂である。特に、位相差フィルムとし
ての信頼性を高めるため主鎖骨格又は側鎖に架橋反応を
起こす構造を持つか、架橋剤を添加することにより架橋
反応を起こす構造であることが好ましい。その際の架橋
剤としては主鎖の構造によって異なるが、一般的には、
多官能のアクリルモノマー又はオリゴマーが好適であ
る。
で主鎖のダイレクターを配向させて所定のΔn・dを生
じせしめるが、必ずしも延伸を要せず、磁場や電場を使
うことでポリマー分子を配向させて所定のΔn・dを生
じせしめてもよい。
n・dを200nm〜1000nmとする。たとえば、
全体として、Δn・d=810nmとし、液晶層のΔn
・dとほぼ適合せしめることが好ましい。
頼性よく複屈折の補償が行える理由については次のよう
に考えられる。
晶層と位相差フィルムのΔn・dにおける、それぞれの
温度変化の違う欠点を解決すべく、色付きを補償して白
黒表示を行わせる位相差フィルムを、側鎖の運動又は主
鎖の局所的な運動による転移点が−50℃〜90℃の間
に1〜3点ある高分子フィルムに変更する。このこと
で、液晶層のΔn・dの温度特性と同様のΔnの温度特
性を持つ位相差フィルムを構成できる。さらに、その位
相差フィルムを上記副転移点を−50℃〜90℃に持た
ないフィルムと重ね合わせることにより、高温時の位相
差フィルムの信頼性を保つことができる。このようにし
て、低温〜高温時において液晶層と位相差フィルムのリ
タデーションの差が変わらず、コントラストや背景色の
変化を防ぐことができる。
たITO透明電極をストライプ状にパターニングし、転
写法によりSiO2による短絡防止用の絶縁膜を形成
し、ポリイミドのオーバーコートをスピンコートし、こ
れをラビングして配向制御膜を形成した基板を作成し
た。第2の基板として、ガラス基板上に設けられたIT
O透明電極を第1の基板と直交するようにストライプ状
にパターニングし、SiO2の絶縁膜を形成し、ポリイ
ミドのオーバーコートをし、これを第1の基板のラビン
グ方向と交差角60°となるようにラビングして配向制
御膜を形成した基板を作成した。
した液晶セルを形成し、この液晶セル内に誘電異方性が
正のネマチック液晶を注入して240°ねじれの左らせ
んの液晶層となるようにし、注入口を封止した。この実
施例の液晶層のΔn・dは25℃で860nm(光の波
長:590nm)であった。
に示した図である。1、2は一対の偏光板、3は液晶セ
ル、4は一軸性の光学位相差板(位相差フィルム)であ
る。
の偏光板の偏光軸方向、位相差フィルムの光軸方向及び
液晶層上側の液晶分子の長軸方向、並びに下側の偏光板
の偏光軸方向及び液晶層の下側の液晶分子の長軸方向の
相対位置を示した平面図である。
軸方向からみた上側の偏光板の偏光軸22の方向を反時
計回りに計った角度をθ1、液晶層の上側の液晶分子2
1の長軸方向からみた位相差フィルムの光軸方向23を
反時計回りに計った角度をθ2、液晶層の下側の液晶分
子の24の長軸方向からみた下側の偏光板の偏光軸25
の方向を時計回りに計った角度をθ3、液晶層の下側の
液晶分子の24の長軸方向からみた下側の位相差フィル
ムの光軸方向26の方向を時計回りに計った角度をθ4
とする。この実施例では、θ1、θ2、θ3、θ4はそれぞ
れ125°、280°、25°、100°としている。
点存在するポリメタクリル酸メチルの位相差フィルム
に、−50℃〜90℃の間に上記副転移点がないポリカ
ーボネートの位相差板を重ね合わせ、そのフィルムを2
つ作成し、液晶セルの両側に配置して、液晶表示素子を
作成した。重ね合わせた位相差フィルム1枚でのΔn・
dは405nmであった。
リカーボネートに変更し、θ1、θ2、θ3、θ4はそれぞ
れ125°、100°、25°、100°とした液晶表
示素子を比較例として作成した。
ューティ比、1/15バイアスで駆動して、コントラス
ト比及び背景色変化を調べた結果を表1に示す。
のしわなどの不良は見られず、耐熱性は充分であった。
液晶表示素子の欠点であった高温時におけるコントラス
ト比の低下や背景色の変化などを解消して広い温度範囲
でコントラスト比の低下や背景色の変化のない液晶表示
素子が得られる。また、高温時でも視角特性の広い液晶
表示素子が得られる。
面図。
た断面図。
長軸方向、偏光板の偏光軸方向及び光学位相差板の光軸
方向の相対位置を示した平面図。
ためのグラフ。
Claims (3)
- 【請求項1】液晶層の複屈折を補償する光学位相差板と
して、側鎖の運動又は主鎖の局所的な運動による転移点
(以下、副転移点という)が−50℃〜90℃の間にあ
る第1の高分子フィルムの少なくとも1枚と、−50℃
〜90℃の間に副転移点がない第2の高分子フィルムの
少なくとも1枚とを重ねて用いたことを特徴とする液晶
表示素子。 - 【請求項2】光学位相差板の合計のリタデーションが2
00nm〜1000nmである請求項1に記載の液晶表
示素子。 - 【請求項3】光学位相差板に用いる第2の高分子フィル
ムの主鎖の運動によるガラス転移点が80℃〜350℃
の範囲にある請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
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-
1993
- 1993-12-06 JP JP30550093A patent/JP3464027B2/ja not_active Expired - Fee Related
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